JP2010135617A - 半導体ウエハの保護膜、ならびにそれを用いる半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法 - Google Patents

半導体ウエハの保護膜、ならびにそれを用いる半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法 Download PDF

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Hiromasa Yamaguchi
博正 山口
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巳喜男 塩野
Takashi Matsuda
高至 松田
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Abstract

【課題】半導体ウエハへの良好な密着性、粘着性を有し、耐薬品性、耐熱性、低透湿性に優れ、かつ、使用後は半導体ウエハ表面に残存せずに容易に剥離できる半導体ウエハの保護膜、ならびに該保護膜を利用する半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法を提供する。
【解決手段】硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の硬化皮膜からなる半導体ウエハの保護膜;半導体ウエハの片面または両面を上記保護膜で被覆することを含む半導体ウエハ表面の保護方法;(a)半導体ウエハの片面を上記保護膜で被覆して保護膜被覆半導体ウエハを得る工程を有する半導体ウエハの加工方法。上記加工方法は、(b)裏面研削工程、(c)貫通孔形成工程、(d)貫通電極作製工程、および(e)保護膜剥離工程の特定の組み合わせを更に有してもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハの精密加工時や運搬時に半導体ウエハ表面を効果的に保護することができる半導体ウエハの保護膜、ならびにそれを用いる半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法に関する。
昨今の携帯電話やデジタルスチルカメラなどのポータブル電子機器のさらなる小型・薄型化と高機能化に伴い、それらを実現する半導体製品への要求も高度化しており、半導体チップを多積層化し、かつ小型・薄型化を実現したパッケージの需要が高まりつつある。
半導体素子が多層配線化されるのに伴って、回路が形成された半導体ウエハの表面に半導体ウエハ保護組成物を用いて保護基板を接着した上で、半導体ウエハの裏面を研磨し、その後、研磨面をエッチングして鏡面にし、この鏡面に裏面側回路を形成するプロセスが実施されている。この場合には、裏面側回路が形成されるまでは保護基板は接着したままになる。
また、近年では、複数の半導体素子を縦に積み上げるスタック構造が検討されている。即ち、半導体素子に貫通孔を設けて貫通電極を作製し、その電極同士を接合することにより、平面状に集積度を向上させるのではなく、縦方向に集積度を向上させる工法が検討されている。半導体素子に貫通孔を設けるときや貫通電極を形成するときには、酸やアルカリ性溶液でのエッチングや200℃以上の高温プロセスが必要となるため、回路が形成された半導体ウエハの表面には保護フィルムが接着される。この保護フィルムは、上記のエッチングや高温プロセスが終了するまで、半導体ウエハ上に接着したままとなる。
これらのプロセスにおいて半導体ウエハ表面を保護する方法としてはこれまでにさまざまな方法が提案されている(特許文献1〜5)。主なものは、アクリル系ポリマーやポリイミドなどを粘着層として支持体であるフィルムに塗工し、これをウエハに貼りあわせるものである。また、被保護面にフォトレジストやエポキシ樹脂を塗工し、膜形成を行ってウエハ表面を保護する方法も提案されている。
しかしながら、これらの材料で半導体ウエハを保護しようとしても、得られる保護材料は耐熱性、耐溶剤性などが十分であるとは言い難い。例えば、該保護材料は、プラズマ処理によるウエハ表面の加工や酸・アルカリ溶液によるエッチングを行おうとした場合に膨潤・溶解して損なわれてしまうおそれがあり、十分な保護性能を有してはいない。また、該保護材料は、剥離させようとした場合にその一部が付着・残存するおそれもある。
さらに、フォトレジストやワックスといった材料を用いて保護膜を形成させ、使用後に該保護膜を剥離させると、これらの材料が溶解した処理液が発生するが、該処理液を廃棄すると環境に多大な負荷が掛かってしまう。しかし、近年は環境保護の観点から、環境に負荷の掛からない方法で半導体ウエハの加工を行うことが求められてきている。
以上のとおり、耐熱性、耐溶剤性などに優れるため十分な保護性能を有し、環境に負荷の掛からない方法で容易に剥離する半導体ウエハ保護膜を用いる半導体ウエハの加工方法の開発に対する要求が高まっている。
特開昭61−158145号公報 特公平6−30353号公報 特開2001−53041号公報 特開2003−173993号公報 特開2004−214310号公報
本発明は、半導体ウエハへの良好な密着性、粘着性を有し、耐薬品性、耐熱性、低透湿性に優れ、かつ、使用後は半導体ウエハ表面に残存することなく容易に剥離することができる半導体ウエハの保護膜、ならびに該保護膜を利用する半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の半導体ウエハの保護膜、半導体ウエハ表面の保護方法および半導体ウエハの加工方法により、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は第一に、硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の硬化皮膜からなる、半導体ウエハの保護膜を提供する。
本発明は第二に、半導体ウエハの片面または両面を上記保護膜で被覆することを含む半導体ウエハ表面の保護方法を提供する。
本発明は第三に、
(a)半導体ウエハの片面を上記保護膜で被覆して保護膜被覆半導体ウエハを得る工程
を有する半導体ウエハの加工方法を提供する。
本発明の半導体ウエハの保護膜は、耐熱性、耐薬品性、低透湿性に優れ、半導体ウエハへの密着性、粘着性が良好であるため、該保護膜を半導体ウエハの一方の表面に密着させて該表面を十分に保護したまま、該半導体ウエハの他方の表面にさまざまな加工を施すことができる。該保護膜は、保護基板を用いなくても半導体ウエハ表面を効果的に保護することができる。また、該保護膜は、含フッ素炭化水素系剥離液への浸漬やエネルギー線の照射により半導体ウエハ表面から容易にかつ完全に剥離させることができる。該剥離液は、保護膜を溶解するものではないため、廃液処理が不要となり環境への負荷も軽減される。
以下、本発明を詳しく説明する。以下の説明において、粘度は回転粘度計を用いた測定法(JIS K 7117に準拠する。)による値である。Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基を意味する。
[半導体ウエハの保護膜]
本発明の保護膜は、硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の硬化皮膜からなる、半導体ウエハの保護膜である。
<硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物>
本発明で用いられる硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物は、半導体ウエハへの良好な密着性、粘着性を有し、耐薬品性、耐熱性、低透湿性に優れ、かつ、使用後は半導体ウエハ表面に残存することなく容易に剥離することができる硬化皮膜を与えるものである限り、特に限定されない。該硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物としては、例えば、
(A)一分子中に二個以上のアルケニル基を有するポリフルオロジアルケニル化合物、
(B)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を二個以上有し、105℃において3時間放置後の加熱減量が5質量%以下である含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)有効量の白金族金属化合物、及び
(D)疎水性シリカ粉末、
を含有する組成物が挙げられる。以下、各成分について説明する。
・(A)ポリフルオロジアルケニル化合物
(A)成分であるポリフルオロジアルケニル化合物は、例えば、分子鎖の両末端にアルケニル基を有するものであり、好ましくは下記一般式(1)で表される。なお、(A)成分は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。
CH=CH−(X)−Rf−(X’)−CH=CH (1)
〔式中、Xは、式:−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR−CO−(式中、Yは、式:−CH2−又は式:
Figure 2010135617

で表される二価の基であり、Rは水素原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)で表される二価の基であり、
X’は、式:−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR−Y’−(式中、Y’は、式:−CH2−又は式:
Figure 2010135617

で表される二価の基であり、Rは上記と同じである。)で表される二価の基であり、
Rfは、下記一般式(i):
−Ct2t[OCF2CF(CF3)]pOCF2(CF2rCF2O[CF(CF3)CF2O]qt'2t'− (i)
(式中、p及びqは1〜150の整数であって、かつ、pとqの和の平均は2〜200であり、rは0〜6の整数であり、t及びt’は2又は3である。)、
又は下記一般式(ii):
−Ct2t[OCF2CF(CF3)]u(OCF2vOCt'2t'− (ii)
(式中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数であり、t及びt’は上記と同じである。)
で表される二価のパーフルオロポリエーテル基であり、
zは独立に0又は1である。〕
Rfで表される二価のパーフルオロポリエーテル基の重合度(p+q)または(u+v)の下限は2以上の整数であれば特に制限はされないが、低汚染性、低残留性を備えるために、好ましくは30以上、特に好ましくは80以上である。
が非置換又は置換の一価炭化水素基である場合、その例としては、炭素原子数1〜20の非置換又は置換の一価炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などの非置換の炭化水素基が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるポリフルオロジアルケニル化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 2010135617

(式中、m及びnは1〜150の整数、m+n(平均)=2〜200である。)
(A)成分の23℃における粘度は、5〜100,000mPa・s、特に5,000〜50,000mPa・sの範囲であることが望ましい。
・(B)含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B)成分である含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンは上記(A)成分に対して架橋剤ないし鎖長延長剤として作用する。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、そのために、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、ヒドロシリル基。以下、SiH基ともいう)を2個以上、好ましくは3個以上有する。なお、(B)成分は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。
この(B)成分である含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、105℃において3時間放置後の加熱減量が5質量%以下であることが必要で、好ましくは1質量%以下である。この加熱減量は、直径6cmのアルミシャーレに試料1.5gを精秤し、大気中、105℃に3時間放置することによって生じる減量(質量%)を測定して得られる値である。本組成物から本発明の保護膜を製造するには、該組成物を半導体ウエハ上に膜状に塗布した後に開放系で硬化させるが、(B)成分の加熱減量が5質量%を超えると、揮発性の(B)成分が多すぎてそれが硬化時に揮散する結果、得られる硬化皮膜は架橋密度が不足し物性低下、硬化不良等を引き起こし易い。
該含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンは(A)成分との相溶性、分散性、硬化により得られる硬化皮膜の均一性等の観点から、好ましくは一分子中にパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキシアルキル基およびパーフルオロオキシアルキレン基から選ばれる基を1種又は2種以上有する。これらのパーフルオロ基の例としては、特に下記一般式で示されるものを挙げることができる。
・・パーフルオロアルキル基:
g2g+1
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
・・パーフルオロアルキレン基:
−Cg2g
(式中、gは上記と同じである。)
・・パーフルオロオキシアルキル基:
Figure 2010135617

(式中、fは2〜200、好ましくは2〜100の整数であり、hは1〜3の整数である。)
・・パーフルオロオキシアルキレン基:
Figure 2010135617

(式中、i及びjは1以上の整数、i+jの平均は2〜200、好ましくは2〜100である。)
−(CF2CF2O)k(CF2O)LCF2
(式中、k及びLはおのおの1以上の整数であり、k+Lの平均は2〜200、好ましくは2〜100である。)
また、これらパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とをつなぐ二価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基又はそれらの組み合わせ、或いはこれらの基にエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合等を介在させたものであってもよく、例えば、
−CH2CH2−,
−CH2CH2CH2−,
−CH2CH2CH2OCH2−,
−CH2CH2CH2−NH−CO−,
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−,
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−,
−CH2CH2CH2−O−CO−,
−Ph’−N(CH3)−CO−
等の炭素原子数2〜12のものが挙げられる。
この(B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、一価の含フッ素置換基、即ちパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基を含有する有機基以外のケイ素原子に結合した一価の置換基としては、炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などの非置換の炭化水素基、ならびにこれらの炭化水素基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の置換炭化水素基が挙げられる。
(B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、環状、鎖状、三次元網状及びそれらの組み合わせのいずれでもよい。この含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常3〜60、好ましくは4〜30程度である。
また、(B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量は、750〜3000、好ましくは800〜2400の範囲であることが好ましい。分子量が小さすぎると揮発性成分が増すので前記の加熱減量が5質量%を超え易く、大きすぎると(A)成分であるポリフルオロジアルケニル化合物に対する溶解性が低下する。
このような含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記の化合物が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。
Figure 2010135617
Figure 2010135617
Figure 2010135617
Figure 2010135617
Figure 2010135617
Figure 2010135617
(B)成分の配合量は、(A)成分を硬化して所要のゴム弾性を有する硬化皮膜を得るのに必要な有効量である。特に本組成物中の上記(A)成分が有するアルケニル基の合計の1モルに対し、(B)成分のヒドロシリル基(SiH基)を0.5〜5.0モル、好ましくは1.0〜2.0モル供給する量である。該配合量が少なすぎると架橋度が不十分になることがあり、多すぎると鎖長延長が優先し硬化が不十分となったり、硬化時に発泡が起こったり、得られる硬化皮膜の耐熱性等が低下することがある。
・(C)白金族金属化合物
(C)成分である白金族金属化合物は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進する触媒として作用するもので、当業者に周知のものはいずれも使用することができる。(C)成分は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。(C)成分の白金族金属化合物としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びパラジウムの化合物があげられるが、入手が比較的容易である点では白金化合物が望ましい。該白金化合物としては、例えば、塩化白金酸;塩化白金酸とエチレン等のオレフィン、アルコール、ビニルシロキサン等との錯体;シリカ、アルミナ、カーボン等とその上に担持された金属白金との複合体等を挙げることができる。白金化合物以外の(C)成分の白金族金属化合物としては、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等を例示することができる。
(C)成分の使用量は、触媒としての有効量でよい。例えば(A)成分及び(B)成分の合計量に対して白金族金属換算で0.1〜500ppm(質量基準)を配合することが好ましい。
・(D)疎水性シリカ粉末
(D)成分である疎水性シリカ粉末は、本組成物から得られる硬化皮膜に適切な物理的強度を付与する作用を有するものである。(D)成分は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。この(D)成分のシリカ粉末としては、シリコーンゴム用充填剤として通常使用されるものとして公知のBET比表面積が50m2/g以上のものが使用され、該BET比表面積は特に50〜400m2/gであることが好ましい。
また、該疎水性シリカ粉末は、フュームドシリカやコロイダルシリカなどの親水性シリカなどにケイ素化合物などを用いて表面処理(疎水化処理)を施したものである。なお、親水性シリカへのケイ素化合物の処理方法としては、公知の方法を使用することができ、ケイ素化合物の種類によって最適な方法を選択することができる。
上記の疎水化処理に用いるケイ素化合物の例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のオルガノクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン、トリメチルヒドロキシシラン、ジメチルヒドロキシシラン等のオルガノヒドロキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(D)成分の疎水性シリカ粉末を他の成分、特に(A)成分のポリフルオロジアルケニル化合物と混練する場合には、表面処理剤として含フッ素オルガノシラン、含フッ素オルガノシロキサン又はこれらの組み合わせを配合することが好ましい。具体的には、これらの表面処理剤を、上記(A)成分のポリフルオロジアルケニル化合物に上記(D)成分の疎水性シリカ粉末を添加した混合物をニーダーなどの混練装置中で加熱混練するときに添加する。このとき必要に応じて少量の水を加えて加熱処理すると、疎水性シリカ粉末に残存する表面シラノールが処理される。加熱処理は100〜200℃の範囲で実施される。これによりシリカ粉末と他の成分との混和性が改良され、組成物の貯蔵時における「クレープ硬化」と呼ばれる現象を抑制することができると共に、組成物の流動性が向上する。
上記の含フッ素オルガノシラン及び含フッ素オルガノシロキサンは、一分子中にパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる基を有し、かつケイ素原子に直結したヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜6、特に1〜4のアルコキシ基)又はこれらの組み合わせを有することが好ましい。その分子構造は特に限定されない。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し5〜50質量部が好ましく、更に好ましくは10〜30質量部の範囲である。配合量が少なすぎると得られる硬化皮膜の物理的特性が低下し易く、かつ密着性・粘着性が不安定となる場合がある。配合量が多すぎると得られる組成物の流動性が低下し、作業性や成型性が低下する上に、得られる硬化皮膜の物理的強度も低下するおそれがある。
・その他の成分
本組成物においては、上記の(A)〜(D)成分以外にも、必要に応じてその他の成分を添加することができる。
具体的には、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤として、下記式(2)のポリフルオロモノアルケニル化合物、下記式(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物、下記式(4)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物又はこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。
Rf−(X’)−CH=CH (2)
[式中、X’及びzは上記と同じであり、Rfは、下記一般式(iii):
F−[CF(CF)CFO]−C2t− (iii)
(式中、tは上記と同じであり、wは、1〜200の整数であるが、但し、実際に使用される(A)成分を表す一般式(1)中のRf基に関するp+q(平均)及びrの和、並びにu及びvの和のいずれよりも小さいように選択される。)
で表される基である。]
s2s+1−O−(CFCFCFO)−Cs'2s'+1 (3)
(式中、s及びs’は1〜3の整数であり、cは1〜200の整数であるが、但し、実際に使用される(A)成分を表す一般式(1)中のRf基に関するp+q(平均)及びrの和、並びにu及びvの和のいずれよりも小さいように選択される。)
s2s+1−O−(CFO)(CFCFO)−Cs'2s'+1 (4)
(式中、s及びs’は上記と同じであり、d及びeはおのおの1〜200の整数であるが、但し、dとeの和が実際に使用される(A)成分を表す一般式(1)中のRf基に関するp+q(平均)及びrの和、並びにu及びvの和いずれよりも小さいように選択される。)
上記一般式(2)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 2010135617
上記一般式(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
CF3O−(CF2CF2CF2O)n−CF2CF3
(n=1〜200の整数)
上記一般式(4)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
CF3O−(CF2O)m(CF2CF2O)n−CF3
(m=1〜199の整数、n=1〜199の整数、ただし、m+n=2〜200、)
上記一般式(2)〜(4)のおのおので表されるポリフルオロ化合物の配合量は、その種類や使用目的によって異なるが、本組成物中の(A)成分が前記一般式(1)で表されるとき、そのポリフルオロジアルケニル化合物100質量部に対して合計で1〜100質量部が好ましく、更に好ましくは10〜50質量部である。また、該ポリフルオロ化合物の粘度(23℃)は、5〜100,000mPa・sの範囲であることが望ましい。
また、ヒドロシリル化反応触媒の反応促進作用の制御剤を必要に応じて添加することができる。このような反応制御剤としては、通常使用される公知のものを使用することができ、例えば1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレンアルコールや、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、トリアリルイソシアヌレート、ポリビニルシロキサン化合物、有機リン化合物等が挙げられる。反応制御剤の添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
更に、無機質充填剤を必要に応じて添加することができる。例えば、石英粉末、溶融石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の補強性又は準補強性充填剤、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミン酸コバルト等の無機顔料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン等の耐熱向上剤、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、金属粉末等の熱伝導性付与剤、カーボンブラック、銀粉末、導電性亜鉛華等の導電性付与剤、有機顔料や酸化防止剤等の有機化合物を添加することができる。
加えて、本発明の組成物には、作業性向上のため、必要に応じて適宜、溶剤を添加することができる。溶剤としては、例えば、フッ素系溶剤(分子中にフッ素原子を含む溶剤)等が挙げられる。フッ素系溶剤としては、例えば、メタキシレンヘキサフロライド、アルキル(パーフルオロアルキル)エーテル、パーフルオロアルキルエーテル、またはそれらの混合物等が挙げられ、市販品ではHFE7100、HFE7200(共に商品名、3M製)等が挙げられる。
なお、これらの任意的な配合成分の添加量は、得られる組成物の特性及び硬化皮膜の物性を損なわない範囲で調整される。
・組成物の調製
上記の硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の製造方法は特に限定されない。該硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物が上記の(A)成分〜(D)成分を含有する組成物である場合、その製造方法としては、例えば、該(A)成分〜(D)成分、及びその他の任意成分をロスミキサー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、二本ロールミル等の混合装置により均一に混合する方法が挙げられる。
上記の硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の23℃における粘度は10〜2,000Pa・sであることが作業性の面で望ましい。粘度が高すぎると、装置等からの吐出が困難になる場合がある。また、粘度が低すぎると、硬化前後での形状保持性が悪くなるなど、作業性が低下することがある。前記粘度は、上記(A)成分〜(D)成分およびその他の任意成分の種類や添加量を適宜選択することにより調整することができるが、前記溶剤、特に前記フッ素系溶剤を前記組成物に添加することによって効果的に調整することができる。
・具体例
硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の具体例としては、商品名「Shin−Etsu SIFEL」(登録商標)で総称される信越化学工業社製の各パーフルオロポリエーテルエラストマー組成物が挙げられる。この組成物は、硬化前は液状であり取り扱いが容易であること、硬化後は耐薬品性などに優れていること、硬化前後を通じて半導体ウエハへの移行成分が少ないことなどから、半導体ウエハの保護膜という用途に特に適している。
<半導体ウエハの保護膜>
本発明の半導体ウエハの保護膜は、溶剤を含まない硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物をウエハ上に塗布し硬化させて硬化皮膜を形成させることにより、または、溶剤以外の成分と粘度が望ましい範囲となる量の溶剤とからなる硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物をウエハ上に塗布し、該溶剤を揮発させるとともに該組成物を硬化させて硬化皮膜を形成させることにより、得ることができる。溶剤としては、例えば、フッ素系溶剤が挙げられる。フッ素系溶剤の例は前記のとおりである。
前記組成物をウエハ上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーターなどの装置を用いる方法や、該組成物にウエハを直接浸漬する方法などが挙げられるが、膜厚の均一性などの観点から、スピンコーターにより塗布する方法が望ましい。
硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の硬化条件は、常温〜200℃、特に80〜150℃で1分間〜1時間、特に3〜10分間とすることが好ましい。溶剤を含む組成物を用いた場合にはこの条件下で該溶剤が揮発し、それとともに硬化が進行する。
硬化皮膜の形態はゴム状、ゲル状のいずれでもよい。硬化皮膜は積層して形成させてもよい。硬化皮膜の膜厚は特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、10〜100μmであることが好ましく、特に15〜50μmであることが好ましい。
[半導体ウエハ表面の保護方法]
本発明の半導体ウエハ表面の保護方法は、半導体ウエハの片面または両面を本発明の保護膜で被覆することにより、半導体ウエハ表面を保護する方法である。該保護方法により、半導体ウエハの精密加工時や運搬時に半導体ウエハ表面を効果的に保護することができる。
[半導体ウエハの加工方法]
上記保護膜を用いる本発明の半導体ウエハの加工方法は、
(a)半導体ウエハの片面を上記保護膜で被覆して保護膜被覆半導体ウエハを得る工程
を有する。前記片面には予め回路が形成されていてもよい。
本発明の半導体ウエハの加工方法は、好ましい一実施形態において、工程(a)の後に、
(b)前記保護膜被覆半導体ウエハの保護膜で被覆されていない片面を研削する工程
を更に有してもよい。該加工方法は、より好ましい一実施形態において、工程(b)の後に、
(c)前記保護膜被覆半導体ウエハに貫通孔を形成させる工程、及び
(d)該貫通孔を形成させた保護膜被覆半導体ウエハに貫通電極を作製する工程
を更に有してもよい。
本発明の半導体ウエハの加工方法は、別の好ましい一実施形態において、工程(a)の後に、上記の工程(c)及び(d)を更に有してもよい。
本発明の半導体ウエハ加工方法において、半導体ウエハの片面は、工程(a)で本発明の保護膜により被覆されるため、その後の工程(b)〜(d)の半導体ウエハの加工時に機械的衝撃、高熱、強酸性溶液、強アルカリ性溶液等に直接さらされることがなく、十分に保護することができる。特に、工程(a)において前記保護膜で被覆される片面に予め回路が形成されている場合、この回路が破壊されるのを効果的に抑えつつ、工程(b)〜(d)において半導体ウエハの加工を行うことができる。
工程(b)は、前記保護膜被覆半導体ウエハを該保護膜が設けられている側で支持体に密着させた状態で行うことが作業性等の観点から好ましい。支持体としては、ウエハ研削装置の処理テーブル等が挙げられ、吸引や粘着性等により前記ウエハは支持体に支持固定される。研削加工を施されるのとは反対側の半導体ウエハ表面と支持体との間には前記保護膜が介在しているため、該表面は支持体への支持固定に伴う機械的な衝撃等から十分に保護することができる。
工程(c)における貫通孔の形成および工程(d)における貫通電極の作製は公知の方法にしたがって行うことができる。
本発明の加工方法は、工程(c)および(d)を行わない場合は工程(b)の後に、または、工程(c)および(d)を行う場合は工程(d)の後に、
(e)前記保護膜被覆半導体ウエハから保護膜を剥離させる工程
を更に有してもよい。該保護膜を剥離させる方法としては、例えば、(方法1)該保護膜被覆半導体ウエハを含フッ素炭化水素系剥離液に浸漬することにより剥離させる方法、(方法2)該保護膜被覆半導体ウエハにエネルギー線を照射して半導体ウエハに対する保護膜の粘着力を低下させることにより剥離させる方法、(方法3)剥離液やエネルギー線による処理を行わず、人手または装置によって該保護膜被覆半導体ウエハから物理的に剥離させる方法等が挙げられる。この中でも、方法1または2が好ましく、使用する装置が簡便であり、かつ、短時間で完全に保護膜を剥離させることができるため、方法1が特に好適に用いられる。
方法1で用いられる含フッ素炭化水素系剥離液の例としては、上記のフッ素系溶剤(分子中にフッ素原子を含む溶剤)、例えば、メタキシレンヘキサフロライド、アルキル(パーフルオロアルキル)エーテル、パーフルオロアルキルエーテルが挙げられ、市販品ではHFE7100、HFE7200(共に商品名、3M製)等が挙げられる。これらの剥離液は単独で又は混合物としてあるいはその一種以上を主成分として含む混合液として使用することが剥離性の点から好ましい。剥離時間を短縮する目的で、上記剥離液をその沸点以下の温度で加温してもよい。
方法2で用いられるエネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられ、装置を簡略化できる等の観点から、紫外線が好ましい。
本発明の加工方法は、上記の工程(a)〜(e)以外の工程をこれらの工程の間や工程(e)の後に有していてもよい。例えば、工程(b)の直後に洗浄工程を更に有していてもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
<半導体ウエハ上での保護膜の形成>
[実施例1]
下記式(5)で示されるポリフルオロジアルケニル化合物(粘度5,600mPa・s)100部に疎水性シリカ粉末であるAerosil R976(Aerosil社製)3.0部を配合した。更に、エチニルシクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液0.2部、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金金属濃度0.5質量%)0.2部、下記式(6)で示される含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン(加熱減量2.2質量%)3.4部を加え、混合して組成物を調製した。得られた組成物の粘度は70Pa・sであった。
Figure 2010135617
Figure 2010135617

得られた組成物をシリコンウエハ(直径8インチ、厚さ725μm)の片面にスピンコーターで塗布し、150℃で10分間加熱硬化させて、厚さ30μmの硬化皮膜を得た。
[実施例2]
実施例1で得られた組成物 10gをフッ素系溶剤HFE7200(商品名、3M製) 20gで希釈して前記組成物の溶液を得た。シリコンウエハ(直径8インチ、厚さ725μm)の片面に該溶液をスピンコーターで塗布し、150℃で10分間加熱し、該溶剤を揮発させ、該組成物を硬化させて、厚さ20μmの硬化皮膜を得た。
[実施例3]
上記式(5)で示されるポリフルオロジアルケニル化合物(粘度5,600mPa・s)100部に疎水性シリカ粉末であるAerosil R972(日本アエロジル社製)12.5部を配合した。更に、エチニルシクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液0.3部、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金金属濃度0.5質量%)0.2部、下記式(7)で示される含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン(加熱減量0.3質量%)20.7部を加え、混合して組成物を調製した。得られた組成物の粘度は127Pa・sであった。
Figure 2010135617

得られた組成物をシリコンウエハ(直径8インチ、厚さ725μm)の片面にスピンコーターで塗布し、150℃で10分間加熱硬化させて、厚さ50μmの硬化皮膜を得た。
[比較例1]
シリコンウエハ(直径8インチ、厚さ725μm)の片面に、ポリエチレンテレフタレート製基材(厚さ38μm)と該基材上に塗工されたアクリル系粘着剤層(厚さ25μm)とからなる半導体ウエハ用表面保護フィルムを貼り付けた。
<含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンの加熱減量>
上記式(6)又は(7)で示される含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、直径6cmのアルミシャーレに1.5g精秤した。このアルミシャーレを大気中、乾燥機内で、105℃にて3時間放置した。その後シャーレを室温に放冷した後に再度精秤し加熱減量(質量%)を測定した。結果は実施例1または3に記載のとおりである。
<加工性の評価>
実施例1〜3で保護膜を形成させたウエハ及び比較例1で保護フィルムを貼り付けたウエハの各々をウエハ研削装置の処理テーブルに、保護膜または保護フィルムと処理テーブルとが密着するように、吸引により支持固定し、ウエハの厚さが150μmになるまで裏面(保護膜を形成させたのとは反対側の面)に研削加工を行った。研削加工終了後、該ウエハをHFE7200に25℃で20分間浸漬すると、実施例1〜3の硬化皮膜は容易に剥離したが、比較例1の粘着剤層の一部はウエハに残留してしまった。
<耐熱性の評価>
実施例1〜3で保護膜を形成させたウエハ及び比較例1で保護フィルムを貼り付けたウエハの各々を150℃の雰囲気に1時間放置した後、上記加工性の評価を行った。その結果、実施例1〜3で保護膜を形成させたウエハでは、シリコンウエハに対する硬化皮膜の粘着力は損なわれず、問題なく研削加工を行うことができた。しかし、比較例1で保護フィルムを貼り付けたウエハでは、粘着剤層の一部が融解してしまい、研削加工を行うことができなかった。
<耐薬品性の評価>
実施例1〜3で保護膜を形成させたウエハ及び比較例1で保護フィルムを貼り付けたウエハの各々をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に25℃で2時間浸漬した後、上記加工性の評価を行った。その結果、実施例1〜3で保護膜を形成させたウエハでは、シリコンウエハに対する硬化皮膜の粘着力は損なわれず、問題なく研削加工を行うことができた。しかし、比較例1で保護フィルムを貼り付けたウエハでは粘着剤層が剥離してしまい、研削加工を行うことができなかった。

Claims (14)

  1. 硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物の硬化皮膜からなる、半導体ウエハの保護膜。
  2. 前記硬化性フルオロポリエーテルエラストマー組成物が、
    (A)一分子中に二個以上のアルケニル基を有するポリフルオロジアルケニル化合物、
    (B)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を二個以上有し、105℃において3時間放置後の加熱減量が5質量%以下である含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)有効量の白金族金属化合物、及び
    (D)疎水性シリカ粉末、
    を含有する組成物である請求項1に係る保護膜。
  3. (A)成分のポリフルオロジアルケニル化合物が、下記一般式(1):
    CH=CH−(X)−Rf−(X’)−CH=CH (1)
    〔式中、Xは、式:−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR−CO−(式中、Yは、式:−CH2−又は式:
    Figure 2010135617

    で表される二価の基であり、Rは水素原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)で表される二価の基であり、
    X’は、式:−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR−Y’−(式中、Y’は、式:−CH2−又は式:
    Figure 2010135617

    で表される二価の基であり、Rは上記と同じである。)で表される二価の基であり、
    Rfは、下記一般式(i):
    −Ct2t[OCF2CF(CF3)]pOCF2(CF2rCF2O[CF(CF3)CF2O]qt'2t'− (i)
    (式中、p及びqは1〜150の整数であって、かつ、pとqの和の平均は2〜200であり、rは0〜6の整数であり、t及びt’は2又は3である。)、
    又は下記一般式(ii):
    −Ct2t[OCF2CF(CF3)]u(OCF2vOCt'2t'− (ii)
    (式中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数であり、t及びt’は上記と同じである。)
    で表される二価のパーフルオロポリエーテル基であり、
    zは独立に0又は1である。〕
    で表される化合物である請求項1または2に係る保護膜。
  4. (B)成分である含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、一分子中にパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキシアルキル基及びパーフルオロオキシアルキレン基から選ばれる基を少なくとも1個有する請求項1〜3のいずれか1項に係る保護膜。
  5. 半導体ウエハの片面または両面を請求項1〜4のいずれか1項記載の保護膜で被覆することを含む半導体ウエハ表面の保護方法。
  6. (a)半導体ウエハの片面を請求項1〜4のいずれか1項記載の保護膜で被覆して保護膜被覆半導体ウエハを得る工程
    を有する半導体ウエハの加工方法。
  7. 前記片面に予め回路が形成されていることを特徴とする請求項6に係る加工方法。
  8. 工程(a)の後に、
    (b)前記保護膜被覆半導体ウエハの保護膜で被覆されていない片面を研削する工程
    を更に有する請求項6または7に係る加工方法。
  9. 前記保護膜被覆半導体ウエハを該保護膜が設けられている側で支持体に密着させた状態で、工程(b)を行うことを特徴とする請求項8に係る加工方法。
  10. 工程(b)の後に、
    (c)前記保護膜被覆半導体ウエハに貫通孔を形成させる工程、及び
    (d)該貫通孔を形成させた保護膜被覆半導体ウエハに貫通電極を作製する工程
    を更に有する請求項8または9に係る加工方法。
  11. 工程(a)の後に、
    (c)前記保護膜被覆半導体ウエハに貫通孔を形成させる工程、及び
    (d)該貫通孔を形成させた保護膜被覆半導体ウエハに貫通電極を作製する工程
    を更に有する請求項6または7に係る加工方法。
  12. 工程(b)の後に、
    (e)前記保護膜被覆半導体ウエハから保護膜を剥離させる工程
    を更に有する請求項8または9に係る加工方法。
  13. 工程(d)の後に、
    (e)前記保護膜被覆半導体ウエハから保護膜を剥離させる工程
    を更に有する請求項10または11に係る加工方法。
  14. 工程(e)が、前記保護膜被覆半導体ウエハを含フッ素炭化水素系剥離液に浸漬することにより、または、前記保護膜被覆半導体ウエハにエネルギー線を照射して半導体ウエハに対する保護膜の粘着力を低下させることにより、行われることを特徴とする請求項12または13に係る加工方法。
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