JP2010135190A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Shigetaka Tsubouchi
繁貴 坪内
Takefumi Okumura
壮文 奥村
Akihide Tanaka
明秀 田中
Tokuji Ueda
上田  篤司
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、電池寿命を維持低減させることなく高出力を可能とするリチウムイオン二次電池を提供することである。
【解決手段】
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、有機電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、負極が、難黒鉛化炭素材料を含み、有機電解液が溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含み、環状カーボネートの前記溶媒における組成比率が18.0vol%以上30.0vol%以下であり、鎖状カーボネートの溶媒における組成比率が70.0vol%以上82.0vol%以下であり、添加剤として、ハロゲン化環状カーボネートを含み、ハロゲン化環状カーボネートの溶媒に対して組成比率が、0.4wt%以上3.2wt%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高い出力性能を有し、自己放電の少ないハイブリッド自動車等に好適な新規なリチウムイオン二次電池に関する。
環境保護,省エネルギーの観点から、エンジンとモーターとを動カ源として併用したハ
イブリッド電気自動車(HV)が開発,製品化されている。また、将来的には、電気プラグから電力を供給できるシステムを有するプラグインハイブリッド電気自動車(PHV)の開発が進められている。このハイブリッド自動車のエネルギー源として電気を繰返し充電放電可能な二次電池は必須の技術である。
なかでも、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池を含む他の二次電池に比べ、その動作電圧が高く、高い出力を得やすい点で有力な電池であり、今後、ハイブリッド自動車の電源として益々重要性が増している。
原理的に広い電圧範囲で作動させることが可能なリチウムイオン二次電池用電解液には、耐電圧特性が必要であり、有機化合物を溶媒とする有機電解液が用いられている。
なかでも、電解質としてリチウム塩を有し、溶媒としてカーボネートを有する電解液が高導電率化でき、広い電位窓を有する点で、リチウムイオン二次電池用の電解液として広く用いられている。
しかしながら、これらのリチウム塩とカーボネート溶媒とからなる電解液はリチウムイオン二次電池の負極表面で反応することが知られている。これらの電極反応を抑制し、電池の長期保存,連続充放電においても高耐性な電池にするために、しばしば電解液に溶媒よりも高い還元反応電位をもった添加剤を加られている。これらの添加剤は、それ自身が還元分解し、電極表面に不活性な被膜を形成し、その電極表面上に形成された被膜が継続した電極反応を抑制する。
前記のような添加剤によって、従来に比べ電池の寿命ははるかに向上したが、これらの表面被膜が電極の抵抗成分となり電池の出力は低下してしまう。それゆえこれまで、電解液に含有させる添加剤の種類,量の研究開発が数多くなされている。これらの報告は、電解液中での添加剤の量のみを規定しており、電池の容積や電極面積によらないものであり、電池としての電解液量を規定していない。これでは、近年、高容量化,高出力化に伴い、容器内にできる限りの電極を収納させるようになった電池において、電極の活物質あたりの添加剤量を規定することは必須である。
表面被膜を形成させる負極の炭素材料には、大きく分けて、X線回折により求めた(002)面の平均面間隔d002が0.38nm以上0.40nm以下の炭素質材料(「難黒鉛化炭素」と本発明では定義する)、0.34nm以上0.38nm未満の炭素質材料(「易黒鉛化炭素」と本発明では定義する)、0.335nm以上0.34nm未満の炭素質材料(「黒鉛」と本発明では定義する)がある。これら炭素材料の重量あたりのLi吸蔵量はそれぞれ異なる。それは、電気化学反応量に違いがあることに他ならぬ、電極表面に効率的に低抵抗の被膜を形成させるためには各炭素材に見合った添加剤の量を規定することが必要である。
特開2007−317655号公報 特開2007−299542号公報 特開2007−299541号公報 特開2007−184257号公報 特開2007−042329号公報
本発明の目的は、電池寿命を維持低減させることなく高出力を可能とするリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、有機電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、負極が、X線回折により求めた(002)面の平均面間隔が、0.38nm以上0.40nm以下である炭素材料を含み、有機電解液が複数の溶媒と添加剤と電解質とを含み、溶媒として、(式1)で表される環状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R1,R2,R3,R4は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、(式2)で表される鎖状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R5,R6は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、を含み、(式1)で表される環状カーボネートの前記溶媒における組成比率が18.0vol%以上30.0vol%以下であり、(式2)で表される鎖状カーボネートの溶媒における組成比率が70.0vol%以上82.0vol%以下であり、添加剤として、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R7,R8,R9は、水素,炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,ハロゲンのいずれかを表わす)を含み、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネートの溶媒に対して組成比率が、0.4wt%以上3.2wt%以下であって、電解質として、LiPF6又はLiBF4で表されるリチウム塩のうちいずれかひとつを含み、電解質の濃度が、溶媒と添加剤の総量に対して0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることを特徴とする。
また、正極が、LiMnxM1yM2z2(式中、M1がCo,Niから選ばれる少なくとも1種、M2がCo,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種、x+y+z=1,0.2≦x≦0.6,0.2≦y≦0.6,0.05≦z≦0.4)で表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする。
また、環状カーボネートが、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートの少なくとも一つを含み、鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートの少なくとも一つを含むことを特徴とし、好ましくは環状カーボネートがエチレンカーボネートであって、鎖状カーボネートがジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートであることを特徴とする。
さらに、エチルメチルカーボネートに対するジメチルカーボネートの体積比が、1.0以上1.4以下であることを特徴とし、炭素材料の重量に対するハロゲン化環状カーボネートの重量比が、1.0以上3.0以下であることを特徴とする。
また、ハロゲン化環状カーボネートが4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)であることを特徴とする。
また本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、負極が、難黒鉛化炭素材料を含み、電解液が、複数の溶媒と、電解質とを含み、溶媒として、(式1)で表される環状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R1,R2,R3,R4は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、(式2)で表される鎖状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R5,R6は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、を含み、(式1)で表される環状カーボネートの溶媒における組成比率が18.0vol%以上30.0vol%以下であり、(式2)で表される鎖状カーボネートの溶媒における組成比率が70.0vol%以上82.0vol%以下であり、かつ、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネート
Figure 2010135190
(式中、R7,R8,R9は、水素,炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,ハロゲンのいずれかを表わす)を含み、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネートの溶媒に対する組成比率が、0.4wt%以上1.6wt%以下であることを特徴とする。
また、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネートの溶媒に対する組成比率が、0.4wt%以上1.2wt%以下であればより好ましい。
(式1)で表される溶媒としては、リチウム塩の解離度を向上し、イオン伝導性を向上させ、(式3)に比べ還元電位の低いものであり、例えば、エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC),ブチレンカーボネート(BC)などが挙げられる。これらのうち誘電率が最も高くリチウム塩の解離度を向上でき、高イオン伝導な電解液を提供できるECが好ましい。
(式2)で表される溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC),エチルメチルカーボネート(EMC),ジエチルカーボネート(DEC),メチルプロピルカーボネート(MPC),エチルプロピルカーボネート(EPC)等を用いることができる。
DMCは、相溶性の高い溶媒であり、EC等と混合して用いるのに好適である。DECは、DMCよりも融点が低く、−30℃の低温特性には好適である。EMCは、分子構造が非対称であり、融点も低いので低温特性には好適である。その中でも広い温度範囲で電池特性を確保できるECとDMCの混合溶媒が好ましい。
(式3)で表される化合物としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC),ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC),フルオロプロピレンカーボネート(FPC),フルオロブチレンカーボネート(FBC),クロロエチレンカーボネート,ジクロロエチレンカーボネート,クロロプロピレンカーボネート),クロロブチレンカーボネート等を用いることができる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート(FEC),ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)が好ましい。
電解液に用いるリチウム塩としては、特に限定はないが、無機リチウム塩では、LiPF6,LiBF4,LiClO4,LiI,LiCl,LiBr等、また、有機リチウム塩では、LiB[OCOCF3]4,LiB[OCOCF2CF3]4,LiPF4(CF3)2,LiN(SO2CF3)2,LiN(SO2CF2CF3)2等を用いることができる。特に、LiPF6は、品質の安定性およびカーボネート溶媒中ではイオン伝導性が高いことから好ましい。
正極材料には、組成式LiMnxM1yM2z2(式中、M1は、Co,Niから選ばれ
る少なくとも1種、M2は、Co,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種であり、x+y+z=1,0.2≦x≦0.6,0.2≦y≦0.6,0.05≦z≦0.4)で表されるものが好ましい。特に、LiMn0.4Ni0.4Co0.22,LiMn1/3Ni1/3Co1/32,LiMn0.3Ni0.4Co0.32,LiMn0.35Ni0.3Co0.3Al0.52,LiMn3.5Ni0.3Co0.30.52,LiMn0.35Ni0.3Co0.3Fe0.52,LiMn0.35Ni0.3Co0.3Mg0.52などを用いることができる。なお、これらを一般的に正極活物質と称する場合がある。組成中、Niを多くすると容量が大きく取れ、Coを多くすると低温での出力が向上でき、Mnを多くすると材料コストを抑制できる。特に、LiMn1/31/3Co1/32は、低温特性とサイクル安定性とが高く、ハイブリット自動車(HEV)用リチウム電池材料として最適である。また、添加元素は、サイクル特性を安定させるのに効果がある。他に、一般式LiMxPO4(M:Fe又はMn,0.01≦X≦0.4)やLiMn1-xxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0.01≦X≦0.4)である空間群Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物でも良い。
また、負極材料が難黒鉛化性炭素のときに、本発明の最も高い効果を発揮するが、これらの効果を低減させない程度に、他の材料を混合させる事が可能である。例えば、炭素材料としては易黒鉛化性炭素,黒鉛が挙げられ、リチウムやシリコンの合金も用いる事ができる。
(捲回型電池の作製)
図1は、本実施例の捲回型電池の片側断面図である。
まず、正極活物質としてLiMn1/3Ni1/3Co1/32を用い、導電材としてカーボンブラック(CB1)と黒鉛(GF1)を用い、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いて、乾燥時の固形分重量をLiMn1/3Ni1/3Co1/32:CB1:GF1:PVDF=86:9:2:3の比となるように、溶剤としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いて、正極材ペーストを調製した。
この正極材ペーストを、正極集電体1として用いたアルミ箔に塗布し、80℃で乾燥,加圧ローラーでプレス、120℃で乾燥して正極電極層2を正極集電体1に形成した。
次に、負極材料としてd002が0.387nmの難黒鉛化性炭素を用い、導電材としてカーボンブラック(CB2)を用い、バインダとしてPVDFを用いて、乾燥時の固形分重量を、擬似異方性炭素:CB1:PVDF=88:5:7の比となるように、溶剤としてNMPを用いて、負極材ペーストを調製した。
この負極材ペーストを、負極集電体3として用いた銅箔に塗布し、80℃で乾燥,加圧ローラーでプレス、120℃で乾燥して負極電極層4を負極集電体3に形成した。
作製した電極間にセパレータ7を挟み込み、捲回群を形成し、負極電池缶13に挿入した。さらに実施例1の電解液を注液し、かしめることで捲回型電池(実施例1)を作製した。なお、図1において、9は負極リード、10は正極リード、11は正極インシュレータ、12は負極インシュレータ、14はガスケット、15は正極電池蓋である。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し0.4wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例1とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し0.8wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例2とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し1.2wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例3とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し1.6wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例4とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し2.0wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例5とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し2.4wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例6とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し2.8wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例7とした。
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し3.2wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例8とした。
〔比較例1〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例1とした。
〔比較例2〕
EC:GBL:DMC:EMC=19:5:38:38の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例2とした。
〔比較例3〕
EC:GBL:DMC:EMC=18:10:36:36の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例3とした。
〔比較例4〕
EC:GBL:DMC:EMC=19:15:34:34の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例4とした。
〔比較例5〕
EC:PC:DMC:EMC=19:5:34:34の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例5とした。
〔比較例6〕
EC:PC:DMC:EMC=18:10:36:36の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例6とした。
〔比較例7〕
EC:PC:DMC:EMC=17:15:34:34の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例7とした。
〔比較例8〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し0.4wt%のVCを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例8とした。
〔比較例9〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し0.8wt%のVCを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例9とした。
〔比較例10〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し1.2wt%のVCを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を比較例10とした。
〔比較例11〕
実施例2の捲回型電池における負極材料としてd002が0.345nmの易黒鉛化性炭素を用いたものを比較例11とした。
〔比較例12〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し4.0wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例9とした。
〔比較例13〕
EC:DMC:EMC=20:40:40の体積組成比で混合した溶媒に、電解質としてリチウム塩LiPF6を1mol/L溶解したものに、前記混合溶媒と電解質塩とからなる溶液全重量に対し4.8wt%のFECを添加したものを電解液とした前記捲回型電池を実施例10とした。
表1は捲回型電池において、25℃,SOC100%(4.1V)における放電開始5sec後の直流抵抗(DCR:Direct Current Resistance)と25℃、SOC50%(3.7V)での保存時の電圧低下(mV/day)をそれぞれ比較例1に対する比率で表したもの(低下電圧比,DCR比)である。
Figure 2010135190
表1における、実施例1〜8と比較例1〜7との比較によりEC,DMC,EMCからなる三成分の溶媒系にFECを有する事で、他の溶媒組成では実現困難である保存時の電圧降下、およびDCRを低減していることが分かる。実施例1〜3と比較例8〜10との比較により、添加剤によって電池のDCRを低減するための添加剤としては分子内に二重結合を有する環状カーボネート化合物ではなく、分子内にF基を有する環状カーボネート化合物が適していることが示された。また実施例2と実施例11との比較により、EC/DMC/EMCからなる三成分の溶媒系にFECを有する電解液の電池のDCRに及ぼす効果は、負極の活物質の種類にもよるものであり、黒鉛化炭素である場合に効果があることが示された。またFECの量は実施例1〜10と比較例1との比較により、比較例1よりも電圧降下およびDCR比共に小さい0.4〜3.2wt%が適している。
FECは電解液中に溶媒と相溶し存在するため、NMR等の電解液中の組成を特定できる分析手法において電解液中の溶媒およびFECの量を容易に知る事ができる。
本実施例においては、リチウムイオン二次電池として、これまでのリチウムイオン二次電池に比べ、保存時の電圧降下が少なく、DCRが改善されており、従来のリチウム二次電池に比べ保存時の電圧低下に伴う容量劣化、および入出力性能が改善されている。また電池一本あたりの電池出力が向上するため、必要な組電池の本数を低減することができ、モジュールを小型,軽量化できる効果がある。
本発明のリチウムイオン二次電池は高容量な電量を必要とする全ての機器に適応することができるが、主に高い出力を必要とするHEV等に用いた場合に最も優れた能力を発揮する。
本発明に関わる捲回型電池の片側断面図。
符号の説明
1 正極集電体
2 正極電極層
3 負極集電体
4 負極電極層
7 セパレータ
9 負極リード
10 正極リード
11 正極インシュレータ
12 負極インシュレータ
13 負極電池缶
14 ガスケット
15 正極電池蓋

Claims (8)

  1. リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、有機電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、
    前記負極が、X線回折により求めた(002)面の平均面間隔が、0.38nm以上0.40nm以下である炭素材料を含み、
    前記有機電解液が、複数の溶媒と、添加剤と、電解質とを含み、
    前記溶媒として、(式1)で表される環状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R1,R2,R3,R4は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、
    (式2)で表される鎖状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R5,R6は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、
    を含み、
    (式1)で表される環状カーボネートの前記溶媒における組成比率が18.0vol%以上30.0vol%以下であり、(式2)で表される鎖状カーボネートの前記溶媒における組成比率が70.0vol%以上82.0vol%以下であり、
    前記添加剤として、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R7,R8,R9は、水素,炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,ハロゲンのいずれかを表わす)
    を含み、
    (式3)で表されるハロゲン化環状カーボネートの前記溶媒に対して組成比率が、0.4wt%以上3.2wt%以下であって、
    前記電解質として、LiPF6又はLiBF4で表されるリチウム塩のうちいずれかひとつを含み、
    前記電解質の濃度が、前記溶媒と前記添加剤の総量に対して0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記正極が、LiMnxM1yM2z2(式中、M1がCo,Niから選ばれる少なくとも1種、M2がCo,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種、x+y+z=1,0.2≦x≦0.6,0.2≦y≦0.6,0.05≦z≦0.4)で表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートの少なくとも一つを含み、前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記環状カーボネートがエチレンカーボネートであって、前記鎖状カーボネートがジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートであることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記エチルメチルカーボネートに対する前記ジメチルカーボネートの体積比が、1.0以上1.4以下であることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記炭素材料の重量に対する前記ハロゲン化環状カーボネートの重量比が、1.0以上3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記ハロゲン化環状カーボネートが4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  8. リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、
    前記負極が、難黒鉛化炭素材料を含み、
    前記電解液が、複数の溶媒と、電解質とを含み、
    前記溶媒として、(式1)で表される環状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R1,R2,R3,R4は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、
    (式2)で表される鎖状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R5,R6は、水素,炭素数1〜3のアルキル基のいずれかを表わす。)と、
    を含み、
    (式1)で表される環状カーボネートの前記溶媒における組成比率が18.0vol%以上30.0vol%以下であり、(式2)で表される鎖状カーボネートの前記溶媒における組成比率が70.0vol%以上82.0vol%以下であり、
    かつ、(式3)で表されるハロゲン化環状カーボネート
    Figure 2010135190
    (式中、R7,R8,R9は、水素,炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,ハロゲンのいずれかを表わす)
    を含み、
    (式3)で表されるハロゲン化環状カーボネートの前記溶媒に対する組成比率が、0.4wt%以上1.6wt%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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