JP2010132607A - アトピー性皮膚炎治療用軟膏剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】タクロリムス水和物に対する溶解性が高く、保存安定性に優れた、人体に対する副作用がなく、無臭であり、着色しないタクロリムス水和物を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎治療用薬剤を提供すること。
【解決手段】タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤。
【選択図】なし
【解決手段】タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、アトピー性皮膚炎治療用軟膏剤に関する。
従来、タクロリムス水和物は、アトピー性皮膚炎の治療に有効であることが知られている(特許文献1、非特許文献1)。
しかしながら、タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有するアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤は、従来知られていない。
特許第2526752号
1993年4月アステラス製薬株式会社発行「プロトピック軟膏0.1%」
しかしながら、タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有するアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤は、従来知られていない。
本発明の課題は、タクロリムス水和物に対する溶解性が高く、保存安定性に優れた、人体に対する副作用がなく、無臭であり、着色しないタクロリムス水和物を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎治療用薬剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、医薬分野で使用されうる極めて多数の溶剤、溶解補助剤、安定化剤、界面活性剤等の医薬製剤のための添加剤と、タクロリムス水和物との組み合わせを含む軟膏剤を試製し、その薬剤性状を詳しく検討した結果、驚くべきことに、タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤が上記本発明の課題を解決することを見出し、さらに鋭意検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤、
(2) タクロリムス水和物を軟膏基剤全体に対してタクロリムスとして約0.01〜1%(w/w)を含有することを特徴とする(1)記載の軟膏剤、
(3) トリアセチンを軟膏基剤全体に対して約1〜10%(w/w)を含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の軟膏剤、に関する。
(1) タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤、
(2) タクロリムス水和物を軟膏基剤全体に対してタクロリムスとして約0.01〜1%(w/w)を含有することを特徴とする(1)記載の軟膏剤、
(3) トリアセチンを軟膏基剤全体に対して約1〜10%(w/w)を含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の軟膏剤、に関する。
本発明によれば、タクロリムス水和物に対する溶解性が高く、保存安定性に優れた、人体に対する副作用がなく、無臭であり、着色しないタクロリムス水和物を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎治療用薬剤が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軟膏製剤のアトピー性皮膚炎治療のための有効成分は、タクロリムス水和物である。タクロリムス水和物は、本願出願日前公知の化合物である。本発明において使用されるタクロリムス水和物は、公知の製造方法に従って製造されてよい。例えば、特許第256752号参照。
本発明に使用されるトリアセチンは、グリセリルトリアセタートとも称され、医薬製剤における可塑剤、基剤、コーティング剤などとして市販されているので、本発明においては、そのような市販されているトリアセチンを使用してもよいし、公知方法に従って製造されたものであってもよい。
タクロリムス水和物の本発明の軟膏製剤全体に対する使用量は、通常はタクロリムスとして約0.01〜1%(w/w)程度であり、好ましくは大人用軟膏としては、約0.1%(w/w)であり、小児用軟膏としては、約0.03%(w/w)である。
トリアセチンの本発明の軟膏製剤全体に対する使用量は、通常は約1〜10%(w/w)程度であり、好ましくは約2〜8%(w/w)である。
本発明の軟膏製剤のアトピー性皮膚炎治療のための有効成分は、タクロリムス水和物である。タクロリムス水和物は、本願出願日前公知の化合物である。本発明において使用されるタクロリムス水和物は、公知の製造方法に従って製造されてよい。例えば、特許第256752号参照。
本発明に使用されるトリアセチンは、グリセリルトリアセタートとも称され、医薬製剤における可塑剤、基剤、コーティング剤などとして市販されているので、本発明においては、そのような市販されているトリアセチンを使用してもよいし、公知方法に従って製造されたものであってもよい。
タクロリムス水和物の本発明の軟膏製剤全体に対する使用量は、通常はタクロリムスとして約0.01〜1%(w/w)程度であり、好ましくは大人用軟膏としては、約0.1%(w/w)であり、小児用軟膏としては、約0.03%(w/w)である。
トリアセチンの本発明の軟膏製剤全体に対する使用量は、通常は約1〜10%(w/w)程度であり、好ましくは約2〜8%(w/w)である。
本発明の軟膏は、所望によりタクロリムス水和物及びトリアセチン以外の成分を含んでいてもよい。そのようなタクロリムス水和物及びトリアセチン以外の成分として、例えば、吸収促進剤、増粘剤、保湿剤、乳化剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤、安定剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、油性物質などを含んでいてもよい。
吸収促進剤としては、例えば、尿素、酵素などが挙げられる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、カラメル、タルク、医薬品等に使用することができるタール色素などが挙げられる。
芳香剤としては、例えば、カンフル、サリチル酸メチルなどが挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェノールなどが挙げられる。
安定剤としては、例えば、サリチル酸エチレングリコール、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、ハイドロコーチゾンなどが挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、ヨウ素剤、エタノールなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、パラベン類などが挙げられる。
油性物質としては、炭化水素類(流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、パラフィンなど)、動・植物油(サラシミツロウ、カルナバロウ、ラノリンなど)、高級脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸など)、脂肪族高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコールなど)などが、挙げられる。
本発明の軟膏は、上記の成分を公知手段に従って混合することによって製造される。混合するための手段としては、例えば、ホモミキサーなどの高速撹拌機が便宜に使用される。
本発明の軟膏をアトピー患者に対して、1日1〜2回適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとするのが好ましい。
吸収促進剤としては、例えば、尿素、酵素などが挙げられる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、カラメル、タルク、医薬品等に使用することができるタール色素などが挙げられる。
芳香剤としては、例えば、カンフル、サリチル酸メチルなどが挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェノールなどが挙げられる。
安定剤としては、例えば、サリチル酸エチレングリコール、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、ハイドロコーチゾンなどが挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、ヨウ素剤、エタノールなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、パラベン類などが挙げられる。
油性物質としては、炭化水素類(流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、パラフィンなど)、動・植物油(サラシミツロウ、カルナバロウ、ラノリンなど)、高級脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸など)、脂肪族高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコールなど)などが、挙げられる。
本発明の軟膏は、上記の成分を公知手段に従って混合することによって製造される。混合するための手段としては、例えば、ホモミキサーなどの高速撹拌機が便宜に使用される。
本発明の軟膏をアトピー患者に対して、1日1〜2回適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとするのが好ましい。
次に、本発明を試験例及び具体的製剤処方例によって説明するが、本発明の権利範囲は、そのような処方例などによって限定して解釈されるべきものでない。
[試験例]
目的
タクロリムス水和物原薬の各種溶媒への溶解度と溶媒中での安定性を測定し、薬物溶解剤選択時の参考データとする。
実験方法
合計9種類の溶媒中でのタクロリムス水和物の溶解度と安定性を測定する。
目的
タクロリムス水和物原薬の各種溶媒への溶解度と溶媒中での安定性を測定し、薬物溶解剤選択時の参考データとする。
実験方法
合計9種類の溶媒中でのタクロリムス水和物の溶解度と安定性を測定する。
1)使用原薬
Concord Biotech Limitedから入手したタクロリムス水和物 (Lot No. 03508008)。
2)溶解度測定方法
(i) 溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコールを用いる場合は、タクロリムス水和物0.2gを試験管に秤量する。その他の溶媒用にはタクロリムス水和物0.1gを試験管に秤量する。
(ii) (i)に溶媒1mL添加し、5、20、60℃で10分間超音波処理する。
3000rpm、10min遠心分離する。ただし、5℃の場合は2800rpm、10minとする。
上澄み液を試験法に従い定量する。
3)安定性試験方法
(i) 9種類の溶媒への薬物溶解度測定結果を参考に、初期濃度が0.1% (w/v)となるようにサンプルを調製する。
(ii) 加速及び苛酷試験条件
温度40℃で湿度75%の条件下に、2週間(W)及び4週間(W)保存した。
温度60℃で湿度75%の条件下に、2週間(W)及び4週間(W)保存した。
(iii) 容器
褐色ガラス瓶でopen bottleとclose bottleを使用した。
Concord Biotech Limitedから入手したタクロリムス水和物 (Lot No. 03508008)。
2)溶解度測定方法
(i) 溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコールを用いる場合は、タクロリムス水和物0.2gを試験管に秤量する。その他の溶媒用にはタクロリムス水和物0.1gを試験管に秤量する。
(ii) (i)に溶媒1mL添加し、5、20、60℃で10分間超音波処理する。
3000rpm、10min遠心分離する。ただし、5℃の場合は2800rpm、10minとする。
上澄み液を試験法に従い定量する。
3)安定性試験方法
(i) 9種類の溶媒への薬物溶解度測定結果を参考に、初期濃度が0.1% (w/v)となるようにサンプルを調製する。
(ii) 加速及び苛酷試験条件
温度40℃で湿度75%の条件下に、2週間(W)及び4週間(W)保存した。
温度60℃で湿度75%の条件下に、2週間(W)及び4週間(W)保存した。
(iii) 容器
褐色ガラス瓶でopen bottleとclose bottleを使用した。
結果と考察
(I)溶解度測定結果
溶媒として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ベンジルアルコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル(SEFSOL-218)、トリアセチン、マクロゴール400(PEG400)に対する溶解度が高かった。各温度条件下での溶解度を以下の表に示す。
(I)溶解度測定結果
溶媒として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ベンジルアルコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル(SEFSOL-218)、トリアセチン、マクロゴール400(PEG400)に対する溶解度が高かった。各温度条件下での溶解度を以下の表に示す。
(II)安定性試験結果
9種類の溶媒中で良好な安定性を有するものとして、トリアセチン、TRIFAT、IPM、SEFSOL-228、トリエスターがあげられる。
NMPやPEG400では容器のopenとclose bottle間で安定性に大差があり、特にopen bottleでの安定性が悪かった。これらの溶媒には吸湿性であるという特徴があり、サンプル保管中の重量増加も著しかった。そのため、定量値が低下したと考えられる。
また、PEG400中での安定性は非常に悪く、温度60℃、湿度75%、2週間(W)保存後で既にopen bottleのサンプルに関して薬物ピークを検出することができなかった。加速及び苛酷条件下での残存率(%)を以下の表に示す。
9種類の溶媒中で良好な安定性を有するものとして、トリアセチン、TRIFAT、IPM、SEFSOL-228、トリエスターがあげられる。
NMPやPEG400では容器のopenとclose bottle間で安定性に大差があり、特にopen bottleでの安定性が悪かった。これらの溶媒には吸湿性であるという特徴があり、サンプル保管中の重量増加も著しかった。そのため、定量値が低下したと考えられる。
また、PEG400中での安定性は非常に悪く、温度60℃、湿度75%、2週間(W)保存後で既にopen bottleのサンプルに関して薬物ピークを検出することができなかった。加速及び苛酷条件下での残存率(%)を以下の表に示す。
溶解度測定結果ではNMP、ベンジルアルコール、SEFSOL-218、トリアセチン、 PEG400に対する溶解度が高かったが、溶解度と安定性に優れている溶媒としてはトリアセチンであった。
逆に、溶解度の低かった溶媒SEFSOL-228、トリエスター、TRIFAT、IPMは、優れた安定性を有していた。しかし、これらの溶媒に薬物0.1gを溶解する場合を考えると、60℃の加温条件下でも5mL〜22mLもの溶媒量を必要とすることから、単独使用は難しいと考える。
まとめ
薬物溶解度の高い溶媒(NMP、ベンジルアルコール、SEFSOL-218、PEG400)では、逆に安定性が悪いという、相反する結果となった。トリアセチンに関しては、溶解度も安定性についても共に優れていたことから、単独使用を想定した薬物溶解剤としては、意外にもトリアセチンが最も望ましいことが判明した。
逆に、溶解度の低かった溶媒SEFSOL-228、トリエスター、TRIFAT、IPMは、優れた安定性を有していた。しかし、これらの溶媒に薬物0.1gを溶解する場合を考えると、60℃の加温条件下でも5mL〜22mLもの溶媒量を必要とすることから、単独使用は難しいと考える。
まとめ
薬物溶解度の高い溶媒(NMP、ベンジルアルコール、SEFSOL-218、PEG400)では、逆に安定性が悪いという、相反する結果となった。トリアセチンに関しては、溶解度も安定性についても共に優れていたことから、単独使用を想定した薬物溶解剤としては、意外にもトリアセチンが最も望ましいことが判明した。
Claims (3)
- タクロリムス水和物とトリアセチンとを含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎治療用軟膏剤。
- タクロリムス水和物を軟膏基剤全体に対してタクロリムスとして約0.01〜1%(w/w)を含有することを特徴とする請求項1記載の軟膏剤。
- トリアセチンを軟膏基剤全体に対して約1〜10%(w/w)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の軟膏剤。
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JP2008310462A JP2010132607A (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | アトピー性皮膚炎治療用軟膏剤 |
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JP2008310462A JP2010132607A (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | アトピー性皮膚炎治療用軟膏剤 |
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-
2008
- 2008-12-05 JP JP2008310462A patent/JP2010132607A/ja active Pending
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