JP2010126744A - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱りんを行うに際して未滓化のCaOの低減をしつつ脱りん効率を向上させる。
【解決手段】底吹きを行うことができる転炉1又は取鍋に溶銑3を装入して、当該溶銑3の脱りんを行う溶銑の脱りん方法において、溶銑3に投入する生石灰及び転炉スラグをそれぞれ大きさ毎に分け、大きさ毎に溶銑3に供給する供給量を決める。大きさ毎に分けられた生石灰及び転炉スラグの供給量に基づいて溶銑3を攪拌する底吹きの攪拌動力密度を適正化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶銑の脱りん方法に関する。
従来より、高炉から出銑した溶銑に対して脱りんを行う様々な技術が開発されてきている(例えば、特許文献1〜特許文献5)。
特許文献1の溶銑の脱珪・脱りん方法では、CaO源と酸素源を添加し、溶銑の脱珪脱りん処理を行うに際し、転炉内の溶銑上の空間容積を溶銑1t当たり0.20m3/t以上、0.6m3/t以下とし、粒径5mm未満のCaO源の添加を行うと共に、スラグ塩基度が1.4相当分以上の粒径5mm未満のCaO源を末期に添加している。
特許文献2の溶銑の脱りん方法では、CaO含有脱りん剤を酸素ガスをキャリアガスとして吹き付ける溶銑の脱りん方法において、CaO含有カバースラグを生成した後、CaO含有脱りん剤を吹き付けると共に、CaO含有カバースラグはCaO含有物が上置き添加された溶銑をガス攪拌し、かつ、酸素含有ガスを上吹きして生成させている。
特許文献3の上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶銑脱燐処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量を調整して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T.Feを質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の塊状石灰源の原単位を10kg/t以下としている。
特許文献4の溶銑予備処理方法では、塊状の石灰源を溶銑に上方投入する場合にはその添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、塊状石灰源投入と粉体石灰源吹き込みを併用する場合にはその両方あるいは少なくとも塊状石灰源の添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とする。
特許文献5の溶銑の脱りん方法では、溶銑にCaO源及び酸素源を添加して溶銑の脱りん処理を行うに際し、溶銑に付与する撹拌力εを1.2〜10kw/tとし、CaF2 、CaCl2 等の滓化剤を添加すること無く微粉CaO源をスラグ中のCaOとSiO2 比が1.7〜2.1モル比となるように添加している。
特開2002−256320号公報 特許第3687433号 特開2002−105526号公報 特開2003−105419号公報 特許第3288208号
特許文献1〜特許文献5の技術であっても、溶銑に供給するCaO源の供給量と、溶銑の攪拌動力密度との関係が示されていないため、操業に適用しても未滓化のCaO(Free−CaO)が多くなる場合があると共に、脱りんの効率が低下することが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、脱りんを行うに際して未滓化のCaOの低減をしつつ脱りん効率の優れた溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、
発明者は、脱りんを行うに際して未滓化のCaOの低減をしつつ脱りん効率を向上させることについて様々な観点から検証を行った。
その結果、CaO源として生石灰と転炉スラグとの両者を溶銑に供給することとし、それぞれが式(1)〜式(3)を満たすようにし、溶銑を攪拌する攪拌動力密度を式(4)に示すように、設定することによって、未滓化CaOの低減を確実に行うと共に脱りん効率を向上させることを見出した。
言い換えれば、溶銑に供給する生石灰及び転炉スラグについて、球換算直径が5mm未満である小粒と、球換算直径が5mm超である中粒や大粒に分けた上で、小粒、中粒及び大粒の溶銑に供給する配分比率を設定し、全供給量に対する中粒や大粒の生石灰及び転炉スラグの配分比率に基づいて攪拌動力密度を設定している。
本発明によれば、脱りんを行うに際して未滓化のCaOの低減をしつつ脱りん効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の溶銑の脱りん方法を行う転炉の全体側面図を示している。
なお、説明の便宜上、溶銑や溶鋼のことを溶湯ということがある。
図1は、上底吹き機能を有する転炉1であって、この転炉1は脱りん処理を行うことができるものである。転炉1は、上方に向かって開口する炉口2を備えている。転炉1には、当該転炉1に装入された溶湯3に対して酸素を吹き込む上吹ランス4が炉口2から挿入自在に設けられている。また、転炉1には、副原料を投入するシュート5が配備されている。転炉1の炉壁には炉体の傾動により溶湯3を出鋼できるように出湯口6が形成され、転炉1の炉底には溶湯3内へ撹拌用ガスを供給できるように底吹き用の羽口7が形成されている。
本発明の溶銑の脱りん方法を転炉の動作と共に説明する。
転炉1を用いて脱りん処理を行うには、高炉から出銑した溶銑3を転炉1に装入し、CaO源となる生石灰や転炉での吹錬等で使用した転炉スラグ(プリメルトスラグ)をシュート5等を介して転炉1に投入する。転炉1の炉底の羽口7から一酸化炭素、窒素、アルゴンなどのガスを吹き込んで溶銑3を攪拌しながら脱りん処理を行う。
[生石灰の供給量について]
本発明の溶銑の脱りん方法では、脱りん剤として溶銑3に供給する生石灰を大きさ毎に分け、大きさ毎に溶銑3に供給する供給量を規定している。即ち、溶銑3に生石灰を供給するにあたっては、生石灰の大きさを球の直径に換算して、その球換算直径が5mmを超える生石灰の供給量をAとし、球換算直径が5mm未満となる生石灰の供給量をBとしている。
なお、図9に示すように、球換算直径とは、粒を3次元に見たときの最大長をaとし、これと垂直に交わる直線の中で、粒表面で区切られる線分長さが最短ものの長さをbとし、さらにこれら2本の直線に垂直に交わるもう一本の直線が、粒表面で区切られる線分長さをcとしたときに、図中の式で表されるものである。
脱りん時の溶銑温度は、一般的に1200℃〜1400℃である。一方で、生石灰、即ちCaOの溶融温度は溶銑温度よりも遙かに高い2500℃程度である。ここで、脱りん処理時のCaOとPとの反応『3(CaO)+5(FeO)+2[P]=(3CaO・P2O5)+5[Fe]』を考えると、CaOの溶融温度が溶銑温度よりも非常に高いために反応時間が長くなる。そこで、反応時間を短くするためには、溶銑3に供給する生石灰の大きさを極力小さくすることが好ましい。
生石灰の大きさに対する反応性を調べる実験を行ったところ、生石灰の粒径(直径)が5mm前後で反応性の違いが見られた。
この実験では、0.3tの銑鉄を高周波溶解炉で溶解し、1330℃に維持した後、所定粒径に揃えた生石灰3kgを溶銑3上に投入し、60L/分のN2をキャリアガスを吹き込んだ。また、実験では、酸素源となる鉄鉱石を60kg/tを4kg/分の速度で投入し、生石灰の反応を調査した。生石灰の反応性は、鉄鉱石の吹き込み開始から3分後のスラグを分析に供し、スラグ中の遊離しているCaO濃度(Free-CaO)を分析することにより評価した。このFree-CaO濃度が低いほど、反応性が高い。
図2は、実験の結果を示したもので、生石灰の粒径(直径)とFree-CaO質量%との関係を示したものである。図2に示すように、生石灰の粒径が5mmを超えるとFree-CaO濃度が急激に上昇しており、生石灰の粒径が5mm以下になると急激に減少している。
したがって、このようなことに鑑み、本発明では、生石灰の供給量を球換算直径が5mmを超えるものと球換算直径が5mm以下であるものとに分け、後述するように、それぞれの供給量を規定している。
[転炉スラグの供給量について]
本発明の溶銑の脱りん方法では、溶銑3に供給する転炉スラグを大きさ毎に分け、大きさ毎に溶銑3に供給する供給量を規定している。即ち、溶銑3に転炉スラグを供給するにあたっては、転炉スラグの大きさを球の直径に換算して、その球換算直径が5mmを超える転炉スラグの供給量をCとし、球換算直径が5mm未満となる転炉スラグの供給量をDとしている。
転炉スラグは、脱炭吹錬等で1600℃以上の高温で一旦溶融させたもの(プリメルト)であるため、生石灰に比べてCaOの未滓化にはなり難いが、生石灰に比べて密度が高く、気孔性が小さい。このため、転炉スラグを塊で溶銑3に供給した場合は、浸潤し難く、脱りん性が低下する可能性がある。そこで、脱りん性を向上させるためには、溶銑3に供給する転炉スラグの大きさを極力小さくすることが好ましい。
転炉スラグの大きさに対する脱りん性を調べる実験を行ったところ、転炉スラグの粒径(直径)が5mm前後で脱りん性の違いが見られた。
この実験では、0.3tの銑鉄([P]=0.11〜0.12%)を高周波溶解炉で溶解し、1330℃に維持した後、所定粒径に揃えた転炉スラグを9kg溶銑3上に投入した。また、実験では、60L/分のN2をキャリアガスとして、酸素源となる鉄鉱石を57kg/tを4kg/分で投入して、脱りん能については、処理後の溶銑3の[P]を調査した。
図3は、実験の結果を示したもので、転炉スラグの粒径(直径)と溶銑3の[P]質量%との関係を示したものである。図3に示すように、転炉スラグの粒径が5mmを超えると溶銑3の[P]が急激に上昇しており、転炉スラグの粒径が5mm以下になると急激に減少している。
したがって、このようなことに鑑み、本発明では、転炉スラグの供給量を、球換算直径が5mmを超えるものと球換算直径が5mm以下であるものとに分け、後述するように、それぞれの供給量を規定している。
[球換算直径の異なる生石灰の供給量の配分について]
上述したように、CaOの反応性を向上させるという点から見れば、生石灰を溶銑3に投入する際は、全ての生石灰を球換算直径が5mm以下とすることが好ましい。
しかしながら、球換算直径が5mm以下は、その粒度が小さく見かけの嵩比重が小さいく、当該生石灰のみで脱りんに十分な量を溶銑3に供給しようとすると非常に時間がかかってしまう。
このように、CaO源となる生石灰の投入に時間がかかってしまうと、脱りん反応の前に引き起こされる脱珪反応後のスラグの塩基度(CaO/SiO2)が低くなり過ぎ、その結果、脱珪反応完了後の脱りん反応が速やかに進行しないばかりか、脱珪反応完了直後にスラグフォーミングやスロッピングが生じやすい状態となる。このとき、スラグが炉体や炉口へ付着したり、極端な場合には炉外へ流出したりするため、脱りん反応に必要なスラグ量が減少し、最終的には、脱りん効率が低下することになる。
よって、CaO源となる生石灰を溶銑3に供給する場合であっても、ある程度、素早く必要な生石灰を溶銑3に供給する必要があり、CaOの反応性の向上とCaO源の投入速度(供給速度)との両面から見ると、粒径が5mm以下の生石灰に加えて、短時間で溶銑3にCaO源を供給できる5mm超の生石灰も必要である。
そこで、本発明の脱りん方法では、CaOの反応性とCaO源の供給速度との両面から考えると、全供給量に対する球換算直径が5mm超える生石灰の割合(配分比率)を式(1)を満たすようにしている。
即ち、本発明では、式(1)に示すように、生石灰の全供給量に対して、球換算直径が5mm超える生石灰は5%以上とし、球換算直径が5mm未満の生石灰は95%未満としていて、これにより、最終的には、脱りん効率を向上させている。
[球換算直径が5mm超える生石灰び転炉スラグのトータルの供給量について]
上述したように、球換算直径が5mm以上の生石灰を式(1)を満たすように供給することによって、CaOの反応性が良く、且つ、CaO源の供給速度も遅くないものとしているが、CaOの供給源は生石灰だけでなく、転炉スラグも供給源となる。
そこで、上述した生石灰の供給量を加味した上で、転炉スラグの供給量を考えると、球換算直径が5mm超える生石灰び転炉スラグのトータルの供給量(A+C)と、全供給量(A+B+C+D)との割合αは、式(2)を満たすものとしている。なお、式(2a)は、球換算直径が5mm超える生石灰び転炉スラグのトータルの供給量の割合αの計算式を示している。
球換算直径が5mm超える生石灰及び転炉スラグのトータルの供給量の割合αが式(2)を満たすように、全供給量の65%以上とすることによって、CaO源の添加歩留の増加させ、脱珪反応完了直後のスロッピングやフォーミングによる炉内付着を抑制することができ、最終的に、脱りん効率を向上させている。
なお、CaOの供給源である生石灰た転炉スラグの量が非常に多い場合は、CaOの滓化性が悪化する(滓化が遅くなる)ために、球換算直径が5mm超える生石灰及び転炉スラグのトータルの供給量(A+C)の上限値は、式(2)に示すように0.95以下(全供給量の95%以下)としている。
さて、球換算直径が5mm超える生石灰及び転炉スラグのトータルの供給量(A+C)は式(2)を満たすように、設定する必要があるが、転炉スラグは生石灰と異なり、転炉脱炭吹錬時に1600℃以上の高温で一旦溶融しているため、密度が高く、気孔率が小さい。そこで、球換算直径が5mm超える転炉スラグが生石灰に比べてあまにも多い場合は、転炉スラグが浸潤し難いために、脱りん反応に寄与するのが生石灰に比べて遅く、脱りん効率の低下を招く恐れがある。
そこで、脱りん効率の観点から全供給量(A+B+C+D)に対する球換算直径が5mm超える転炉スラグの供給量Cの割合は、式(3)を満たす必要がある。なお、式(3a)は、球換算直径が5mm超える転炉スラグのトータルの供給量の割合βの計算式を示している。
球換算直径が5mm超える転炉スラグの供給量が式(3)を満たすように全供給量の60%未満とすることによって、生石灰に対する転炉スラグの供給量を適正化して、最終的に、脱りん効率を向上させている。
[攪拌動力密度について]
上述したように、生石灰と転炉スラグとの供給量を規定したが、脱りん処理においては、ある程度、溶銑3を攪拌しないとスラグの滓化性や溶銑3の脱りん性が悪くなるため、本発明では、溶銑3を攪拌する底吹きの攪拌動力密度を式(4)を満たすように設定している。なお、式(4a)は、攪拌動力密度の計算式であり、『出展 森一美、佐野正道、「インジェクション冶金の動力学」鉄と鋼,第64巻,1981年,687頁、第64式』にに記載されている一般的なものである。ただし、第64式ではη=0とした。
式(4)に示すように、本発明では、球換算直径が5mm超える生石灰の供給量と、球換算直径が5mm超える転炉スラグの供給量とに応じて、底吹きの攪拌動力密度を規定している。即ち、本発明では、式(4)に示すように、粒度の大きな生石灰や粒度の大きな転炉スラグの比率が高い場合は、攪拌動力密度の下限値を高め、特に、転炉スラグは生石灰に比べて密度が高く気孔率が小さいため、同量の生石灰の添加時よりも強い攪拌を与えることとしている。なお、攪拌力(攪拌動力密度)を過剰に強くすると溶銑3中の[C]がスラグ中のFeOを多量に還元してしまい、スラグによる脱りん能力を著しく低下させてしまう。また、後で行う脱炭処理(脱炭精錬)における溶銑昇温用の熱源を失うこととなり操業上好ましくない。これらの理由によって、攪拌動力密度の上限値は、1900W/tonとしている。
本発明によれば、溶銑3に投入する生石灰と転炉スラグとの量を、それぞれの大きさに応じて、式(1)〜式(3)を満たすように設定し、溶銑3を攪拌する底吹きの攪拌動力密度を式(4)を満たすように設定して脱りんを行うことによって、CaO源となる生石灰や転炉スラグの反応性を高めると共に、脱りんに必要なスラグ量を確保し、未滓化のCaOの低減をしつつ脱りん効率の優れた操業を行うことができる。
球換算直径が5mm以下の生石灰や球換算直径が5mm以下の転炉スラグを溶銑3に供給するにあたっては、溶鋼中にインジェクションすることが好ましい。これによって、粒度が非常に小さい生石灰や転炉スラグを溶銑3に供給する際に、粉状の生石灰や転炉スラグが大気中に舞い上がることを防止することができ、CaO源を溶銑3に供給したときの歩留まりを向上することができる。
表1は、溶銑の脱りんを行った実施条件を示している。表2及び表3は、表1の実施条件に基づき、本発明の溶銑の脱りん方法によって処理を行った実施例をまとめたものである。また、表4及び表5は、表1の実施条件に基づき、本発明の溶銑の脱りん方法とは異なる方法で処理を行った比較例をまとめたものである。
実施条件について詳しく説明する。
表1に示すように、溶銑の脱りんを行うにあたっては、高周波溶解炉を用いた。なお、本発明では、脱りん効率等の化学反応を見ているために、高周波溶解炉であっても転炉における溶銑3の脱りんと同じように考えることができる。転炉での操業では一般的に上吹きランスもガス(酸素)を吹き込んで脱りん処理を行うが、上吹きガスが溶銑の有効に作用するエネルギーは、底吹きが略100%であるに対して上吹きは10%程度であることが後述する甲斐らの文献に示す如く知られおり、底吹きに比べて非常に小さいため、本発明の溶銑の脱りん方法では、底吹きによる攪拌動力密度についてのみ規定している。上吹きと底吹きとの関係は、『甲斐、大河平、平居、村上、佐藤「上底吹き転炉の冶金反応特性に対する鋼浴攪拌強さの影響」、鉄と鋼、第68巻、第14号、1982年、1946〜1954頁』に記載されている。
また、銑鉄を高周波溶解炉に投入し、溶融後の銑鉄(溶銑3)の成分は、表1に示すものを用いた。酸素源としては、固体酸素(鉄鉱石)を投入した。即ち、ランスを溶銑3中に挿入し、鉄鉱石をN2のキャリアガスと共に吹き込んだ。ランスの吹き込み深さ(吹き込み位置)は静止浴面から300mm又は260mmの位置とした。
表2及び表3の実施例及び比較例では、脱りん処理終了後における[C]、[P]の実績値が予め定めた値を満たしているか評価すると共に、スラグ内のFree−CaOについて、予め定めた値を満たしているか否かを評価した。
溶銑3の脱りん処理を行うと、同時に脱炭反応が進行することになるが、脱りん処理の際に脱炭を行い過ぎる(過脱炭する)と、溶銑3の凝固温度が上がり過ぎ、脱りん処理後の溶銑3の運搬する際に(脱りん後の溶銑3を脱炭を行う転炉に運搬する際)に支障をきたす場合があるため、実操業として[C]の下限値を3.3質量%以上としている。
溶銑3脱りんに続いて行われる、脱炭処理において[C]を0.03〜0.8%程度に低下させながら、脱りんを行うことが可能であるが、転炉での脱炭処理時には燃焼させることによって、溶銑温度を上昇させるため、発熱反応である脱りんには不利な条件となる。不利な条件な中で、脱りんを行うには、転炉にて用いるスラグ量や酸素量を増加する必要があり、大きなコスト上昇を招く。これらのことにより、溶銑3の脱りん処理後には、[P]の上限値を0.030質量%以下にする必要がある。
脱りん処理後のスラグは、埋め立て資材や路盤の下地などの土木資源として再利用されることがある。脱りん処理後のスラグに未滓化石灰(Free−CaO)が残留していると、雨水や大気中の水分と反応して膨張することになる。スラグを再利用する際には膨張を予め促進させるエージング処理がなされるが、Free−CaOの濃度が3.0質量%を超えると、エージング処理に多大な時間を要するばかりか、スラグの再利用も難しくなるのが実情である。
したがって、脱りん処理終了後の[C]の下限値が3.3質量%以上となるものを良好「○」とし、[P]の上限値が0.030質量%以下となるものを良好「○」とし、Free−CaOの濃度が3.0質量%以下となるものを良好「○」とした。
表2に示すように、生石灰又は転炉スラグを溶銑3に供給するにあたって、実験番号1〜実験番号27の実施例では、5mm超の生石灰を必ず用いることとし、その他は5mm以下の生石灰、5mm超の転炉スラグ、5mm以下の転炉スラグのうち、少なくとも1つ以上のものを用いた。
これらの実施例においては、5mm超の生石灰を必ず用いるとし、その他のものはどのような組み合わせであっても、表3に示すように、それぞれの供給量が式(1)、、式(2)及び式(3)を満たし、且つ、生石灰及び転炉スラグの供給量に基づいて決定した攪拌動力密度が式(4)を満たしていれば、脱りん処理終了後の[C]を3.3質量%以下(評価「○」)、[P]を0.03質量%以下(評価「○」)、Free-(CaO)を3.0質量%以下(評価「○」)にすることができた。
表4及び表5に示すように、実験番号28〜実験番号41の比較例では、生石灰又は転炉スラグを溶銑3に供給するにあたって、実施例と同じ組み合わせの生石灰た転炉スラグを用いたとしても、それぞれの供給量が式(1)、式(2)、式(3)を満たさないか、又は、式(45)を満たさない場合、[C]、[P]、Free-(CaO)の少なくとも1つが基準から外れるものとなった(評価「×」)。
図4は、実施例及び比較例において全供給量に対する5mm超える生石灰と転炉スラグとのトータル量の割合αと、脱りん処理後の[P]との関係をまとめたものである。
図4に示すように、トータル量の割合αが0.65〜0.95の範囲で、且つ、β≧0.6であれば、[P]を0.03質量%以下にすることができる。特に、5mm以下の生石灰又は転炉スラグをインジェクションした場合は、[P]は0.02質量%以下となり、[P]を低くすることができた。
図5は、実施例及び比較例において全供給量に対する5mm超える転炉スラグの供給量の割合βと、脱りん処理後の[P]との関係をまとめたものである。図5に示すように、5mm超える転炉スラグの割合βが0.6以下であれば、[P]を0.03質量%以下にすることができる。特に、5mm以下の生石灰又は転炉スラグをインジェクションした場合は、インジェクションを行わなかったものに比べて[P]は低くすることができた。
図6は、実施例及び比較例において攪拌動力密度と、脱りん処理後の[P]との関係をまとめたものである。図6に示すように、攪拌動力密度Eが式(4)の下限値を満たす場合(E≧250+400α+500β)、[P]を0.03質量%以下となり、攪拌動力密度Eが式(4)の下限値を満たさない場合(E<250+400α+500β)、[P]は0.03質量%未満となった。
図7は、実施例及び比較例において攪拌動力密度と、脱りん処理後の[Free−CaO]との関係をまとめたものである。図7に示すように、攪拌動力密度Eが式(4)の下限値を満たす場合(E≧250+400α+500β)、[Free−CaO]を3.0質量%以下とすることができ、攪拌動力密度Eが式(4)の下限値を満たさない場合(E<250+400α+500β)、[Free−CaO]は3.0質量%を超えるものとなった。
図8は、実施例及び比較例において攪拌動力密度と、脱りん処理後の[C]との関係をまとめたものである。図8に示すように、攪拌動力密度Eが1900(Watt/T)を超えると、[C]が3.3質量%未満となるものがあった。これから分かるように、攪拌動力密度Eの上限値は、式(4)の右辺の値と同じ1900(Watt/T)とする必要がある。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上記の実施形態では、転炉にて脱りん処理を行うものとしているが、本発明の溶銑の脱りん方法は、取鍋に溶銑3を装入して溶銑3を攪拌することによって脱りん処理を行うものに適用してもよい。
転炉の全体側面図である。 生石灰の粒径(直径)とFree-CaO質量%との関係図である。 転炉スラグの粒径(直径)と溶銑[P]質量%との関係図である。 全供給量に対する5mm超える生石灰と転炉スラグとのトータル量の割合αと、脱りん処理後の[P]との関係図である。 全供給量に対する転炉スラグの供給量の割合βと、脱りん処理後の[P]との関係図である。 攪拌動力密度と、脱りん処理後の[P]との関係図である。 攪拌動力密度と、脱りん処理後の[Free−CaO]との関係図である。 攪拌動力密度と、脱りん処理後の[C]との関係図である。 球換算直径を説明する説明図である。
符号の説明
1 転炉
2 炉口
3 溶湯(溶鋼、溶銑)
4 上吹ランス
5 シュート
6 出湯口
7 羽口

Claims (1)

  1. 底吹きを行うことができる転炉又は取鍋に溶銑を装入して、当該溶銑の脱りんを行う溶銑の脱りん方法において、
    溶銑に投入する生石灰と転炉スラグとのそれぞれが式(1)〜式(3)を満たすように設定し、溶銑を攪拌する底吹きの攪拌動力密度を式(4)を満たすように設定して脱りんを行うことを特徴とする溶銑の脱りん方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016037619A (ja) * 2014-08-05 2016-03-22 新日鐵住金株式会社 脱りん予備処理溶銑を用いる転炉の操業方法

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