JP2010126674A - ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010126674A
JP2010126674A JP2008304348A JP2008304348A JP2010126674A JP 2010126674 A JP2010126674 A JP 2010126674A JP 2008304348 A JP2008304348 A JP 2008304348A JP 2008304348 A JP2008304348 A JP 2008304348A JP 2010126674 A JP2010126674 A JP 2010126674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
pellet
pellets
water
resin pellet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008304348A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5431714B2 (ja
Inventor
Masaki Takeuchi
正基 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2008304348A priority Critical patent/JP5431714B2/ja
Publication of JP2010126674A publication Critical patent/JP2010126674A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5431714B2 publication Critical patent/JP5431714B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】ステンレスタンクの腐食原因となる揮発性成分を含む残留塩化物イオンが少ないポリカーボネート樹脂ペレットを提供する。
【解決手段】溶融混練したポリカーボネート樹脂をペレット化し、得られたペレットを40〜100℃の温水に2〜48時間浸漬処理することを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は残留塩化物イオンの少ないポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法に関する。
一般に、ポリカーボネートは押出機を用いて溶融混練、ダイよりストランドを引き、バスにより冷却、ペレタイザーでペレット化して製品としている。しかしながら特に溶液法で製造されたポリカーボネート樹脂粉粒体中には原料や溶剤由来の有機塩素化合物が微量残留していることが多いため、かかる樹脂粉粒体を押出機で溶融混練してペレットを製造する際に、高温の溶融状態での混練中にHCl由来の揮発性塩化物イオンが生成することが特許文献1の中に示されている。
一般にポリカーボネート樹脂ペレットはSUS304やSUS316などのステンレス製タンクなどに一時保管されることが多く、かかるHCl由来の揮発性塩化物イオンがステンレスタンク内壁を腐食させる原因となりうる。一般に金属酸化物がポリカーボネート樹脂ペレット中に混入するとペレットを溶融成形して得られた製品の色相が著しく損なわれる問題が生じるため、ペレット中には揮発性塩化物イオンが極力残留させないことが課題であった。
また、特許文献2には温水でペレットを輸送することが記載されており、ペレット中のHCl由来の塩化物イオンが抽出されることが期待されるけれども、実際にはペレット輸送で温水に浸漬されている時間は高々数十秒程度であり、ステンレス腐食を低減させるほどの効果は見出せない。
特開平10−211686号公報 特開2003−200421号公報
本発明は、ステンレスタンクの腐食原因となる揮発性成分を含む残留塩化物イオンが少ないポリカーボネート樹脂ペレットを提供することを目的とする。
本発明は、溶液法で得られたポリカーボネート樹脂をペレット化するに当たり、溶融したポリカーボートをダイよりストランドに引きバスで冷却してカットし、得られたペレットを40〜100℃の温水に2〜48時間浸漬処理したのち脱水・乾燥することを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法である。好ましくは縦置きの筒状容器において温水浸漬処理をするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法であり、ポリカーボネート樹脂の分子量が1.5×10〜3.5×10の範囲であるポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法であり、温水浸漬処理後のポリカーボネート樹脂ペレット中の塩化物イオン濃度が50ppb以下であるポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法である。
本発明によって製造されたポリカーボネート樹脂ペレット中の塩化物イオンは少なく、ステンレスタンク腐食防止に効果がある。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶剤の存在下界面重合法で反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールとしては例えばハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルオキシド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等があげられる。なかでもビスフェノールA、ビスフェノールZ、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライドまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲンまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤、触媒および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、ブロモエタン、ブチルクロライド、クロロプロパンおよびクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられ、特に塩化メチレンが好ましく用いられる。これらの溶媒は単独もしくは2種以上混合して使用される。
また、反応促進のために用いるアミン系触媒としては、例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒が挙げられ、特にトリエチルアミンが好ましく用いられる。
界面重縮合法による反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つことが好ましい。また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で1×10〜4×10が好ましく、1.5×10〜3.5×10がより好ましく、1.6×10〜2.4×10が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
上記反応により得られたポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液は、通常水洗浄が施される。この水洗工程は、好ましくはイオン交換水等の電気伝導度10μS/cm以下、より好ましくは1μS/cm以下の水により行われ、前記有機溶媒溶液と水とを混合、攪拌した後、静置してあるいは遠心分離機等を用いて、有機溶媒溶液相と水相とを分液させ、有機溶媒溶液相を取り出すことを繰り返し行い、水溶性不純物を除去する。水洗浄を行うことにより水溶性不純物が除去され、得られるポリカーボネート樹脂の色相は良好なものとなる。
また、上述のポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液は、触媒等の不純物を除去するために酸洗浄やアルカリ洗浄を行うことも好ましい。
酸洗浄に用いる酸としてはりん酸、塩酸、硫酸等の水溶液が好ましく用いられ、好ましくは0.0004〜40g/リットル濃度(またはpH5以下)の水溶液が使用される。アルカリ洗浄に用いるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物が挙げられ、特に水酸化ナトリウムが好ましく用いられ、好ましくは0.1〜20g/リットル濃度(またはpH11.5以上)の水溶液が使用される。
アルカリ洗浄や酸洗浄に用いる水溶液と有機溶媒溶液との割合は、水溶液/有機溶媒溶液(容量比)で表して0.2〜1.5の範囲で用いるのが、洗浄が効率的に行われ好ましい。
前記水洗浄が施された有機溶媒溶液は、次いで、溶媒を除去してポリカーボネート樹脂の粉粒体を得る操作が行われる。
ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る方法(造粒工程)としては、操作や後処理が簡便なことから、ポリカーボネート粉粒体および温水(40〜90℃程度)が存在する造粒装置中に、攪拌状態で、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液を連続的に供給して、該溶媒を蒸発させることにより、スラリーを製造する方法が好ましく採用される。造粒装置としては攪拌槽やニーダーなどの混合機が好ましく採用される。
かかるスラリーは、次いで熱水処理を行うこともできる。熱水処理工程は、かかるスラリーを90〜100℃の熱水の入った熱水処理容器に供給するかまたは供給した後に蒸気の吹き込みなどにより水温を90〜100℃にすることによって、スラリーに含まれる有機溶媒を除去するものである。
前記造粒工程で排出されたスラリーまたは前記熱水処理後のスラリーは、好ましくは濾過、遠心分離等によって水および有機溶媒をある程度除去し、ポリカーボネート樹脂の湿潤ペーストを回収する。
前記ポリカーボネート樹脂の湿潤ペーストは、次いで乾燥される。乾燥機としては、伝導加熱方式でも熱風加熱方式でもよく、ポリカーボネート樹脂が静置、移送されても攪拌されてもよい。なかでも、伝導加熱方式でポリカーボネート樹脂が攪拌される溝形または円筒乾燥機が好ましく、溝形乾燥機が特に好ましい。乾燥温度は130℃〜150℃の範囲が好ましく採用される。
乾燥後、溶融混練押出処理に供給されるポリカーボネート樹脂粉粒体の形状は、粉末状、微粒状、フレーク状、ペレット状のもののいずれであってもよく、好ましくは粉末状、微粒状またはフレーク状のものである。ところでポリカーボネート樹脂粉粒体中の塩化物イオン濃度は高々40ppb程度であり粉粒体自体はステンレスタンクに腐食を生じさせない。しかしながら粉粒体中には上記有機溶媒等の塩素化合物がppmオーダーで含まれており、特許文献1に記載されているように樹脂粉粒体を押出機で溶融混練してペレットを製造する際にHCl由来の揮発性塩化物イオンが生成するものと考えている。当然ながら粉粒体自体に含まれる塩素化合物は少ないに越したことはなく、0.5〜500ppmの範囲のものが好ましく、0.5〜100ppmの範囲がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂粉粒体中の塩素化合物濃度が上記範囲より高いと溶融混練したペレット中の揮発性塩化物イオン濃度が高くなって本発明の方法では抽出除去困難になり、上記範囲未満では溶融混練したペレット中の揮発性塩化物イオン濃度が低くなって、そもそも本発明を必要としない。
かかる樹脂粉粒体にリン系化合物やヒンダードフェノールなどに代表される熱安定剤、飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルで代表される離型剤、ベンゾトリアゾール化合物に代表される紫外線吸収剤紫外線吸収剤などの添加物を必要に応じて添加してもよい。添加後の混合物はV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行うことが好ましい。
その後、ポリカーボネート樹脂粉粒体は、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザーによりペレット化される。
本発明の温水浸漬処理は、得られたペレットを温水に浸漬させるものである。本発明で外部より供給する温水は塩化物イオンを抽出する観点および不要なイオンのコンタミを防ぐ観点から極力イオンが排除された温水を用いることが好ましく、その電気伝導度は10μS/cm以下が好ましく、5μS/cmがより好ましく、1μS/cmがさらに好ましい。
また、温水は処理中に塩化物イオンが抽出されるため、外部より温水を供給して容器内の温水を排出しなければ塩化物イオンが濃度徐々に上昇し、塩化物イオンを抽出する能力が低下する。塩化物イオンを適正に抽出するために温水の供給と排出量を制御して容器内の電気伝導度を50μS/cm以下とすることが好ましく、30μS/cm以下とすることがより好ましく、15μS/cmとすることがさらに好ましい。
また、温水の温度はペレット中の塩化物イオンを効果的に抽出する目的で40〜100℃であり、好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは80〜100℃である。40℃未満では充分に塩化物イオンが抽出されず好ましくない。
温水にペレットを浸漬する時間は、充分にペレット中から塩化物イオンを抽出する目的で2〜48時間であり、好ましくは4〜20時間であり、より好ましくは6〜15時間である。2時間未満では充分に塩化物イオンが抽出されず、また48時間を超えると抽出は充分であるが、経済的に不利になり且つポリカーボネート樹脂の品質上の問題が発生する場合があるため共に好ましくない。
本発明の温水浸漬処理は実質的な浸漬時間や浸漬温度が上記範囲に入っていればバッチ式でも連続式でもよい。バッチ式における容器形状はペレットの塩化物イオンが十分抽出できれば任意なものでよいが、ペレット表面近傍から水中に塩化物イオンが拡散しやすいように水流を付けたり、攪拌を行ったりすることが好ましい。連続式の場合は上記バッチ層を直列で段階的に配置するほか、ペレットを筒状の容器に温水と共に詰めて心太式に処理することが好ましい。この場合も塩化物イオンが拡散しやすいよう水流等を付けることが好ましい。
縦置きの筒状容器(例えば固定式カラム状容器)でペレットが上から下に移動する場合、水流は容器下方から上方に流すことが好ましい。またこの場合水流の速度は空塔速度で30mm/s以下が好ましく、25mm/s以下がより好ましく、20mm/s以下がさらにより好ましい。攪拌効率から言えば水流は速い方がよいが、上記の場合水流が30mm/sを超えるとペレットが浮遊したり流されたりして好ましくなく、このような場合はメッシュやパンチングメタル等でペレットの流出を防ぐことが好ましい。
浸漬処理時に、容器内のポリカーボネート樹脂ペレットと温水との重量比は1:0.9〜1:2の範囲であることが好ましい。温水の比がこの範囲より少ないと塩化物イオンが効果的に抽出されないばかりでなくペレットの容器からの排出が困難になるため好ましくなく、温水の比がこの範囲より大きいと容器そのものが大きくなって非効率となり共に好ましくない。なお、かかる温水を流水させたり循環させたりする場合にはその設備内に存在する温水は上記比には含めない。
温水浸漬処理後のポリカーボネート樹脂ペレットには多量の水分が含まれているので必要に応じて脱水、乾燥を行ってもよい。脱水にはパンチングメタルなど篩状の装置でペレットと水を分離したり、ペレットに急風を当てて水分を吹き飛ばしたりすることが挙げられる。
次にさらに水分率を低減させるために乾燥機を用いて水分を蒸発させてもよい。乾燥機としては、伝導加熱方式でも熱風加熱方式でもよく、ポリカーボネート樹脂ペレットが静置、移送されても攪拌されてもよい。なかでも、伝導加熱方式でポリカーボネート樹脂ペレットが攪拌される溝形または円筒乾燥機が好ましく、溝形乾燥機が特に好ましい。乾燥温度は130℃〜150℃の範囲が好ましく採用される。また全体を減圧して乾燥を促進させてもよい。乾燥後、得られるペレットの水分は品質保持の観点から2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂ペレットを成形に用いる際には水分は300ppm以下としないとシルバーストリークが発生するため事前に乾燥を必要とするが、水分が2000ppmを超えると事前の乾燥に多大な時間が掛かり品質上好ましくない。
本発明の温水浸漬処理後に得られたペレット中の残留塩化物イオン濃度はステンレスタンク腐食を抑制する観点から50ppb以下が好ましく、40ppb以下がより好ましく、30ppb以下がさらに好ましい。本発明によって製造されたポリカーボネート樹脂ペレット中の塩化物イオンは少なく、ステンレスタンク腐食防止に効果がある。逆に残留塩化物イオン濃度が50ppbを超えると、数ヶ月の単位でステンレスタンク表面に茶色の粉を葺いたように赤錆が形成され、徐々に進行していくため極めて好ましくない。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、評価は下記の方法により行なった。
(1)腐食評価方法:ペレットの中に長さ50mm、幅20mm,厚さ3mmのSUS304片を埋め、50℃、90%RHの環境下で6ヶ月間置き、SUS304片表面の錆の有無を観察した。錆が発生して好ましくなければ×、錆が発生せず好ましければ○で表現した。
(2)塩化物イオン濃度測定:ペレット10gを80℃、10gの超純水中に入れ、24時間抽出を行い、得られた溶液についてDionex社製分離カラムIonPacAS12Aを具備したDionex社製イオンクロマトグラフDX−120を用いて塩化物イオン濃度を測定し、得られた結果からペレット中の濃度を算出した。
[ポリカーボネート樹脂ペレット(1)の製造法]
ポリカーボネート樹脂粉粒体(帝人化成(株)製パンライトL−1225WX;粘度平均分子量19,700)100重量部に対して、トリメチルホスフェート(熱安定剤)0.03重量部及びテトラステアリン酸エステル(離型剤)0.2重量部混合したものをベント付き二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX120α)の原料供給口から供給し、ポリカーボネート樹脂の吐出量1,100kg/Hr、スクリュ回転数150rpm、樹脂温度280℃、ベント真空度5kPaの押出条件で溶融押出したストランドを冷却バスで冷却した後、切断機で切断して直径3mm、長さ3mmのペレット(1)を得た。ペレット(1)の塩化物イオン濃度は198ppbであった。
[ポリカーボネート樹脂ペレット(2)の製造法]
ポリカーボネート樹脂粉粒体として、粘度平均分子量15,200のポリカーボネート樹脂粉粒体を使用した以外は、上記ペレット(1)の製造法と同様の方法でペレット(2)を得た。ペレット(2)の塩化物イオン濃度は138ppbであった。
[ポリカーボネート樹脂ペレット(3)の製造法]
ポリカーボネート樹脂粉粒体として、粘度平均分子量32,800のポリカーボネート樹脂粉粒体を使用した以外は、上記ペレット(1)の製造法と同様の方法でペレット(3)を得た。ペレット(3)の塩化物イオン濃度は175ppbであった。
なお、下記の実施例および比較例におけるイオン交換水は、20℃で0.75μS/cmのイオン交換水を使用した。
[実施例1]
上記ペレット(1)1kgを1Lの蓋付きPPボトルに入れ、81℃に加熱したイオン交換水を満たし、ペレットをイオン交換水に10時間静置浸漬した後、ペレットを濾別し、120℃、4時間熱風乾燥機で水分を蒸発させた。このようにして得られたペレットについて、腐食評価を行ったところ試験片の表面に錆は見られなかった。このペレットの塩化物イオン濃度は32ppbであった。
[実施例2〜3]
イオン交換水の温度および浸漬時間を表1に示した通り変更させた他は実施例1と同様に実験を行い、腐食評価およびペレットの塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
[実施例4]
ペレット(1)の代わりにペレット(2)を使用し、イオン交換水の温度を表1に示した通り変更させた他は実施例1と同様に実験を行い、腐食評価およびペレットの塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
[実施例5]
内径100mm、高さ1000mmのSUS304製処理容器に、ペレット(1)を3.5kg仕込み、容器下方から空塔線速20mm/sで81℃に加熱したイオン交換水を流して同上部より排出させ、該イオン交換水を2.5時間循環させた。得られたペレット−水混合物からペレットを濾別し、120℃、4時間熱風乾燥機で水分を蒸発させた。得られたペレットの腐食評価および塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
[実施例6]
ペレット(1)の代わりにペレット(3)を使用し、容器下方から空塔線速5mm/sでイオン交換水を15時間循環させた以外は実施例5と同様に実験を行い、腐食評価およびペレットの塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
[比較例1]
ペレット(1)をイオン交換水に浸漬させずに腐食評価を行ったところ表面に赤茶色の錆がはっきり見られた。
[比較例2]
ペレット(3)をイオン交換水に浸漬させずに腐食評価を行ったところ表面に赤茶色の錆がはっきり見られた。
[比較例3]
イオン交換水の温度および浸漬時間を表1に示した通り変更させた他は実施例1と同様に実験を行い、腐食評価およびペレットの塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
[比較例4]
イオン交換水の浸漬時間を表1に示した通り変更させた他は実施例1と同様に実験を行い、腐食評価およびペレットの塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2010126674

Claims (4)

  1. 溶融混練したポリカーボネート樹脂をペレット化し、得られたペレットを40〜100℃の温水に2〜48時間浸漬処理することを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
  2. 縦置きの筒状容器において温水浸漬処理をする請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
  3. ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が1.5×10〜3.5×10の範囲である請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
  4. ポリカーボネート樹脂ペレット中の塩化物イオン濃度が50ppb以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
JP2008304348A 2008-11-28 2008-11-28 ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 Expired - Fee Related JP5431714B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008304348A JP5431714B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008304348A JP5431714B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010126674A true JP2010126674A (ja) 2010-06-10
JP5431714B2 JP5431714B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=42327280

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008304348A Expired - Fee Related JP5431714B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5431714B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04142330A (ja) * 1990-10-02 1992-05-15 Mitsui Petrochem Ind Ltd ポリカーボネートの精製法
JPH11241012A (ja) * 1997-12-22 1999-09-07 General Electric Co <Ge> 或光の波長に対して不透明な半導体ウェ―ハ用ポリカ―ボネ―ト調合物およびキャリヤ
JP2001269929A (ja) * 2000-03-28 2001-10-02 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートペレットの製造方法
JP2003200421A (ja) * 2001-10-30 2003-07-15 Teijin Chem Ltd ミスカット量が低減されたポリカーボネート樹脂ペレットおよびその製造方法
JP2003261669A (ja) * 2002-03-12 2003-09-19 Teijin Chem Ltd ポリカーボネート樹脂の製造方法および光学用成形品
JP2008214552A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法、その製造方法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット及び成形品

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04142330A (ja) * 1990-10-02 1992-05-15 Mitsui Petrochem Ind Ltd ポリカーボネートの精製法
JPH11241012A (ja) * 1997-12-22 1999-09-07 General Electric Co <Ge> 或光の波長に対して不透明な半導体ウェ―ハ用ポリカ―ボネ―ト調合物およびキャリヤ
JP2001269929A (ja) * 2000-03-28 2001-10-02 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートペレットの製造方法
JP2003200421A (ja) * 2001-10-30 2003-07-15 Teijin Chem Ltd ミスカット量が低減されたポリカーボネート樹脂ペレットおよびその製造方法
JP2003261669A (ja) * 2002-03-12 2003-09-19 Teijin Chem Ltd ポリカーボネート樹脂の製造方法および光学用成形品
JP2008214552A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法、その製造方法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット及び成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5431714B2 (ja) 2014-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5242001B2 (ja) 熱的に安定化させたポリカーボネート組成物
JP5591111B2 (ja) 高粘度ポリエステル溶融物でできた低加水分解性ポリエステル顆粒の製造方法、および該ポリエステル顆粒の製造装置
EP0403657B1 (en) A porous, crystallized, aromatic polycarbonate prepolymer, a porous, crystallized aromatic polycarbonate, and production methods
TWI621471B (zh) 去揮發裝置及其使用方法
JP2009538369A (ja) 結晶化用コンベヤー
US5684087A (en) Process for producing thermoplastic granulated polymer material from polymer solutions
JP2010275466A (ja) ポリカーボネート樹脂ペレット、その製造方法および成形品
JP5431714B2 (ja) ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法
JP5241552B2 (ja) ポリカーボネートおよびジアリールカーボネートの製造方法
KR20230049672A (ko) 통합된 드럼-건조 및 압출에 의해 중합체 용액으로부터 용매를 제거하기 위한 방법
JP2003518536A (ja) 均質化脱揮によるポリカーボネートの単離
US5852157A (en) Process for the production of polycarbonate agglomerate
JP3391005B2 (ja) 部分結晶性ポリカーボネート粉末の分離法
JP2008195646A (ja) ビスフェノール化合物の回収方法
KR102307698B1 (ko) 상 계면 방법에 따른 폴리카르보네이트의 제조 방법
JPH10292050A (ja) ポリカーボネートペレットの製造方法
JP3799311B2 (ja) 有機溶媒の回収方法
JP6212904B2 (ja) ポリカーボネート樹脂ペレット及びその製造方法
CN1037688C (zh) 聚碳酸酯的制备方法
JP2002047350A (ja) ポリカーボネート樹脂粉粒体の製造方法
JP5942548B2 (ja) ポリカーボネート樹脂ペレット
JP3498768B2 (ja) ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2004059624A (ja) ポリカーボネート樹脂溶液の固形化方法
JP3724630B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JPH11310218A (ja) 中空成形容器

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110705

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110705

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130220

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5431714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees