JP2010125446A - 摩砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被摩砕物を取り入れる導入口と摩砕後の被摩砕物を排出する排出口を備え、軸長方向が略水平となるように配置された略円筒状のドラム体と、前記ドラム体内を該ドラム体の軸長方向に貫く回転軸と、前記回転軸の長さ方向に沿って所定間隔で、該回転軸に対して傾斜した角度で取り付けられるとともに、所定粒径未満の被摩砕物のみを通過させる貫通孔を有し、前記ドラム体内を区画して該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室を形成する複数の仕切板と、前記摩砕室内に収容された摩砕媒体とからなり、前記導入口は前記ドラム体の軸長方向中央の周面に設けられ、前記排出口は前記ドラム体の軸長方向両端面に設けられている摩砕機である。
【選択図】図2
Description
そのうち、被摩砕物の滞留時間を長くとるために、ドラム体内を複数の仕切板により区画した構造を有するものも多く存在しており、このような構造を有する摩砕機では、被摩砕物は仕切板の周縁部とドラム体内壁との隙間を通ってドラム体の一端側から他端側へと移動しながら、各区画内においてボールにより摩砕される。
そのため、ボールと被摩砕物が等速度で回るいわゆる共回り現象が発生し、摩砕効率が大きく低下する原因となっていた。
特許文献1記載の発明は、仕切板を回転軸に対して傾斜して取り付けるという従来に無い全く新規な発想に基づいた発明であって、これによりボールに積極的に前後方向の運動を与えることを可能としたものである。
先ず、この摩砕機は、ドラム体の一端部から他端部に向けて被摩砕物を移動させる工程で摩砕処理を行うものであるため、1台の摩砕機においては1つの摩砕工程しか形成することができず、処理効率の向上に限界があった。
また、この摩砕機は、摩砕後の被摩砕物を排出するための排出口が、多数のボール(摩砕媒体)が収容された摩砕室に対応する位置のドラム体周面に形成されているために、被摩砕物の排出がボールにより妨げられていた。つまり、ボールがドラム体から飛び出すことを防ぐために、排出口は必ずボールよりも小さく形成する必要があることから、排出口がボールにより塞がれた状態となり易く、これにより被摩砕物の排出が妨げられていた。
そのため、被摩砕物がドラム体から円滑に排出されずにドラム体内に長時間滞留し、これによって処理効率が低下するとともに、過度に摩砕されることで所望粒径の被摩砕物(最終製品)が得られない場合があった。
更に、排出口が設けられた区画(摩砕室)においては、ドラム体の下周面に摩砕室内のメンテナンス(掃除やボールの交換等)のための開口部を設けることができないため、メンテナンス性が悪かった。
しかしながら、乾式処理の場合、処理の際に大量の微粉末が発生するため、処理中や処理後において作業現場に多量の粉塵が舞い、これによって作業者の身体に悪影響を及ぼす危険性があった。
また、装置内において発生した微粉末が付着することによって摩砕効率が低下したり、微粉末が被摩砕物に混入したりすることによって最終製品の品質が低下してしまうという問題もあった。
特許文献2記載の発明は、仕切板により区画された処理空間(摩砕室)にそれぞれ吹込手段と吸引手段を設けることにより、各処理空間における摩砕処理にて発生した微粉末を回収するようにしたものである。
先ず、この摩砕機は、摩砕により生じた微粉末を、吹込手段と吸引手段を利用して吸引回収することができるものの、吹込手段と吸引手段が設けられた区画(摩砕室)には全て多数のボール(摩砕媒体)が収容されているため、吹込手段により吹き込まれた気体の流れや吸引手段により生じる気体の流れがボールにより妨げられ、摩砕室内の微粉末を確実に回収することが困難であった。つまり、発生した微粉末は重力の作用で摩砕室の下方に溜まり易いが、摩砕室内に多数のボールが存在していることにより、吹込手段及び吸引手段の作用が下方に溜まった微粉末に充分に及ばず、微粉末の回収が不十分となる。
その結果、残留した微粉末がボールに付着して摩砕効率が低下したり、被摩砕物に付着して最終製品の品質が低下することとなっていた。
特許文献2に記載された摩砕機では、ドラム体内にスクリューが設けられていることにより、このような問題は生じないものの、スクリューを設けるためにドラム体が大型化してしまうという新たな問題が生じる。
この新たな問題は、本願出願人が提案している下記特許文献3に記載の摩砕機のように、ボールが収容された区画(摩砕室)に直接導入口を設けることにより解決できる。しかし、このように摩砕室に直接導入口を設けると、導入口が設けられた摩砕室内において被摩砕物が詰まってしまうことを防ぐために、少量ずつしか被摩砕物を供給することができず、処理効率の低下を招いていた。
また、吸引ノズルが、前記空間内の気体を吸引可能な位置に設けられていることにより、吸引ノズルにより生じる気体の流れが摩砕媒体により妨げられにくく、当該空間内にある微粉末の殆どを確実に吸引回収することができる。その結果、残留した微粉末が摩砕媒体に付着して摩砕効率が低下したり、被摩砕物に付着して最終製品の品質が低下することがない。
すなわち、排出口がドラム体の軸長方向両端面に設けられていることによって、全ての摩砕室に対応する部分のドラム体の下周面に摩砕室内のメンテナンス用の開閉扉を設けることが可能となり、これによりメンテナンス性を向上させることができる。
図1は本発明に係る摩砕機の好適な実施形態の一例を示す正面図、図2は本発明に係る摩砕機の縦断面図、図3は図1のA−A線断面図である。
本発明に係る摩砕機(1)は、略円筒形状のドラム体(2)と、該ドラム体(2)内を軸長方向に貫いて回転する回転軸(3)と、該回転軸(3)に取り付けられてドラム体(2)内を複数の摩砕室(6)に区画する仕切板(4)と、各摩砕室内に収容された多数の摩砕媒体(5)とから構成される。
尚、図3では仕切板(4)は省略されている。
導入口(7)は、ドラム体(2)の軸長方向中央の周面上部に設けられており、排出口(8)はドラム体(2)の軸長方向両端面に設けられている。
図示例では、ドラム体(2)の軸長方向両端面に夫々排出ダクト(10)が取り付けられている。排出ダクト(10)は、ドラム体(2)の軸長方向両端面においてドラム体内部と連通しており、この連通部から直角下向きに屈曲して下方に向けて延びている部分の下端部に排出口(8)が設けられている。
摩砕媒体(5)は、例えば金属製のボール等からなり、摩砕室(6)内に取り入れられた被摩砕物と衝突し、擦り合わされることによって、被摩砕物が摩砕される。
2つのルートでは夫々摩砕処理が行われるため、1台の摩砕機のドラム体内部において同時に2つの摩砕工程が形成されることになり、従来の摩砕機に比べて処理効率を約2倍に向上させることが可能となる。
これにより、導入口(7)が設けられた摩砕室(6a)内において被摩砕物が詰まってしまうことが防がれ、多量の被摩砕物を連続的に供給することが可能となり、処理効率を向上させることができる。
以下、この空間(11)について、図4を用いてより具体的に説明する。
仕切板(4)は回転軸(3)に対して傾斜して取り付けられているため、回転軸(3)が回転すると、仕切板(4)は正面視においてある瞬間では左下がりの状態(図4(a)参照)となり、次の瞬間には右下がりの状態(図4(b)参照)となる。
ここで、図4(a)(b)から明らかなように、ドラム体(2)の左右両端部に形成された空間(11)には摩砕媒体(5)が存在していない状態が形成される。つまり、空間(11)は仕切板(4)の回転に伴って摩砕媒体(5)が存在していない状態が形成される空間である。
これらドラム体(2)両端部の空間(11)は排出口(8)と連通しており、摩砕後の被摩砕物は空間(11)を通って排出口(8)へと導かれる。
そのため、摩砕後の被摩砕物を円滑に排出することが可能となって、処理効率を大幅に向上させることができる。
また、被摩砕物が排出されずにドラム体内に長時間滞留することがなくなるため、過度の摩砕が防止され、所望の粒径を有する高品質の被摩砕物を得ることができる。
具体的には、空間(11)の上方の領域(11a)のみに半円形状の厚板(12)が配設されており(図2参照)、この厚板(12)の体積分だけ下方の領域(11b)が上方の領域(11a)に比べて広くなっている。
排出口(8)は下方の領域(11b)とのみ連通している。連通部分は図2中に符号(13)で示した部分である。
これらの開口部(26)は各摩砕室(6)に対応する部分の底部に夫々設けられており、図3に示すように、扉を開いて開口部(26)を開放することにより各摩砕室(6)から個別に摩砕媒体(5)を取り出すことが可能となっている。
仕切板(4)は、回転軸(3)が挿通される中心穴(14)を有する楕円形(又は円形)のプレートからなり、仕切板(4)の全面に亘って略均等に且つ略同心楕円状(又は同心円状)に配置された長穴からなる多数の貫通孔(15)を有している。
貫通孔(15)は、隣り合う摩砕室(6)同士を相互に連通状態とし、摩砕媒体(5)により所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみを通過させるために設けられている。
また、貫通孔(15)とは別に、中心穴(14)に沿うように円形の貫通孔(19)が複数設けられている。
このように、仕切板(4)が2つの部材に分割可能とされていることによって、仕切板(4)を容易に回転軸(3)から取り外してメンテナンスや交換を行うことが可能となる。
また、本発明における仕切板(4)は、3つ以上の部材に分割可能とする構成を採用することもできる。但し、仕切板(4)が分割可能とされていない、即ち1枚板からなるものも本発明に含まれる。
ブロック(20)は、仕切板(4)の外周縁に沿って略等間隔で取り付けられており、周方向に隣り合う貫通孔(15)同士の間の部分において、仕切板(4)の中心に向けて延びている。
ブロック(20)は、互いに平行に形成されて仕切板(4)を表裏両面側から挟み込む一対の挟持部(20a)と、該一対の挟持部の一端側を連結する連結部(20b)とから形成されており、全体として正面視コの字状を呈している。
一対の挟持部(20a)には、連結部(20b)から離れた部分を同一軸線で貫く貫通孔(20c)が形成されている。尚、貫通孔(20c)は図示例では1つであるが2つ以上形成してもよい。
これにより、一対の挟持部(20a)はその先端側(一端側)だけでなく基端側(他端側)においても、連結部(20b)の幅からはみ出ている部分で仕切板(4)を挟持することができる。
また、一対の挟持部(20a)の隙間は、仕切板(4)の厚みと略等しくされており、各挟持部(20a)の長さは、例えば仕切板(4)の内周縁から外周縁までの距離の70〜90%に設定されている。
尚、仕切板(4)のピン(17)が挿通される位置には、貫通孔(41)が形成されている(図7参照)。
ピン(17)の本数はブロック(20)の貫通孔(20c)の大きさや形状に合わせて設定され、図7では2本のピン(17)を使用した場合が示されている。
ボス(16)は、円筒体(16a)と、この円筒体(16a)の外周面に該円筒体の軸長方向に対して傾斜して固着された傾斜板(16b)とから構成される。
円筒体(16a)は、ボルトにより一体化された2つの半円筒部材からなり、ボルトを外すことにより2つに分割して回転軸(3)から取り外すことができるようになっている。
傾斜板(16b)には周方向に等間隔で貫通孔(18)が形成されており、図7に示す如く、この貫通孔(18)と仕切板(4)に設けられた貫通孔(19)を重合一致させてボルト(B)を挿通しナット(N)を螺合することによって、傾斜板(16b)に仕切板(4)を固定することができ、これによりボス(16)に仕切板(4)が固定される。
吸引ノズル(23)は、摩砕室(6)内において摩砕により生じた微粉末及び摩砕室(6)から空間(11)へと導入された微粉末を吸引するために設けられており、摩砕機の外部に設けられた吸引装置(図示せず)と接続されている。
吹込ノズル(24)は、摩砕室(6)及び空間(11)の内部に気体を吹き込んで摩砕により生じた微粉末を浮上させることにより、吸引ノズル(23)による吸引回収を容易にするために設けられており、摩砕機の外部に設けられたコンプレッサや送風機等(図示せず)と接続されている。
その結果、残留した微粉末が摩砕媒体に付着して摩砕効率が低下したり、被摩砕物に付着して最終製品の品質が低下することがない。
2 ドラム体
3 回転軸
4 仕切板
5 摩砕室
6 摩砕媒体
7 導入口
8 排出口
10 排出ダクト
11 空間
11a 上方の領域
11b 下方の領域
23 吸引ノズル
24 吹込ノズル
26 開口部
Claims (7)
- 被摩砕物を取り入れる導入口と摩砕後の被摩砕物を排出する排出口を備え、軸長方向が略水平となるように配置された略円筒状のドラム体と、
前記ドラム体内を該ドラム体の軸長方向に貫く回転軸と、
前記回転軸の長さ方向に沿って所定間隔で、該回転軸に対して傾斜した角度で取り付けられるとともに、所定粒径未満の被摩砕物のみを通過させる貫通孔を有し、前記ドラム体内を区画して該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室を形成する複数の仕切板と、
前記摩砕室内に収容された摩砕媒体とからなり、
前記導入口は前記ドラム体の軸長方向中央の周面に設けられ、前記排出口は前記ドラム体の軸長方向両端面に設けられていることを特徴とする摩砕機。 - 前記複数の摩砕室には、該摩砕室内において摩砕により生じた微粉末を吸引する吸引ノズルが夫々設けられており、
前記ドラム体は、前記仕切板の回転に伴って前記摩砕媒体が存在していない状態が形成される空間を両端部に有しており、
前記空間は前記排出口と連通しており、
前記吸引ノズルは、前記空間内の気体を吸引可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の摩砕機。 - 前記複数の摩砕室には、該摩砕室に気体を吹き込んで摩砕により生じた微粉末を浮上させる吹込ノズルが夫々設けられており、
前記吹込ノズルは、前記空間内に気体を吹き込み可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項2記載の摩砕機。 - 前記ドラム体は、前記複数の摩砕室の夫々に対応する部分の底面に開閉可能な開口部を有していることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の摩砕機。
- 前記複数の摩砕室のうち、前記導入口と連通している摩砕室は、その他の摩砕室に比べて広く形成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の摩砕機。
- 前記空間は、下方の領域が上方の領域に比べて広く形成されており、前記排出口は前記下方の領域と連通していることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の摩砕機。
- 前記排出口は、前記ドラム体の軸長方向両端面に取り付けられた排出ダクトに設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の摩砕機。
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