JP3945717B1 - 摩砕機及び摩砕機用仕切板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被摩砕物を内部に取り入れるドラム体と、該ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸と、該中心軸に取り付けられて前記ドラム体内を相互に連通する複数の摩砕室に区画する仕切板4と、摩砕室内に装填された摩砕媒体とからなり、ドラム体と中心軸の少なくともいずれか一方が軸回りに回転することにより被摩砕物を摩砕する摩砕機であって、仕切板4は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみを通過させる貫通孔15が設けられるとともに、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部が形成されており、該切り込み部に対してコの字状のブロック20が嵌合されている。
【選択図】図6
Description
そのうち、被摩砕物の滞留時間を長くとるために、ドラム体内を複数の仕切板により区画した構造を有するものも多く存在しており、このような構造を有する摩砕機では、被摩砕物は仕切板の周縁部とドラム体内壁との隙間を通ってドラム体の一端側から他端側へと移動しながら、各区画内においてボールにより摩砕される。
そのため、ボールと被摩砕物が等速度で回るいわゆる共回り現象が発生し、摩砕効率が大きく低下する原因となっていた。
しかしながら、この本願出願人が創出した摩砕機は、摩砕効率においては飛躍的な進歩を果たしたものの、仕切板が中心軸に対して傾斜して取り付けられているため、従来の摩砕機に比べると、仕切板表面に対する摩砕媒体(ボール等)の摩擦が大きい。
そのため、仕切板が短期間で摩耗し易くなって、仕切板を頻繁に交換しなければならず、面倒であるとともに、作業効率の低下と設備コストの増大を招いていた。
尚、仕切板が中心軸に対して直角に取り付けられている従来の摩砕機においても、仕切板の摩耗は当然生じるものであるから、仕切板の摩耗を低減させることは従来の摩砕機においても解決が強く要望されていた課題であった。
特許文献2記載の発明は、仕切板の表面に多数の半球状のビットを突設したものであり、ボール等の摩砕媒体がビットに当たることで仕切板の表面との摩擦が低減され、仕切板の交換頻度を少なくすることが可能となる。
しかも、ブロックはコの字状であって、仕切板の外周縁に沿って形成された切り込み部への嵌合によって仕切板に装着されているため、仕切板を中心軸に固定した状態においても取り付け取り外しの作業を容易に行うことができる。そのため、ブロックが摩耗した場合等には短時間で交換作業を行うことができ、摩砕機の稼働率を大幅に向上させることが可能となる。
図1は本発明に係る摩砕機の好適な実施形態の一例を示す正面図、図2は本発明に係る摩砕機の縦断面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1のB−B線断面図である。
本発明に係る摩砕機(1)は、略円筒形状のドラム体(2)と、該ドラム体(2)内を軸長方向に貫いて回転する中心軸(3)と、該中心軸(3)に取り付けられてドラム体(2)内を複数の摩砕室に区画する仕切板(4)と、前記各摩砕室内に装填された多数の摩砕媒体(5)とから構成される。
尚、図3及び図4では、仕切板と摩砕媒体の図示を省略している。
導入口(6)はドラム体(1)の上面に開口して形成され、その上部には被摩砕物を投入するための投入用ホッパ(8)が接続されている。
排出口(7)はドラム体(2)の周壁に形成された多数の貫通孔から構成され、これら排出口(7)を囲うように、図4に示すように排出用ホッパ(9)が接続されている。
排出用ホッパ(9)の前後面には、開閉可能な扉(11)が取り付けられており、これらの扉(11)を開けてホッパ内部を点検することができる。
また、排出用ホッパ(9)の上部には、エアー吹き出しノズル(10)が排出用ホッパ(9)の底部に向けて配置されており、このエアー吹き出しノズル(10)から排出用ホッパ(9)内に向けてエアーを吹き出すことによって、ドラム体(2)から排出用ホッパ(9)へと取り出された被摩砕物を速やかに底部から排出することが可能となる。
この上半分面(2a)の開放は、下半分面(2b)に取り付けられた油圧シリンダー(25)の駆動によって行うことが可能となっている。
このように、ドラム体(2)の上半分面が開放可能となっていることにより、仕切板(4)のメンテナンスや交換作業を容易に行うことができる。
さらに、ドラム体(2)の外周面の上方寄り位置には、開閉可能な窓部(28)が設けられている。窓部(28)は、各摩砕室に対応する位置毎に設けられており、この窓部(28)を開けることによって、各摩砕室内部の消耗品を確認したり摩砕媒体を補充したりすることができる。
中心軸(3)の一端部にのみモータ(12)を接続した場合、回転時に中心軸自身の重量やボールから受ける負荷によって中心軸が他端部において偏心してしまうため、これを防ぐために大きな駆動力を必要とするが、中心軸(3)をその両端部に接続したモータ(12)の駆動によって回転させることによって、中心軸端部の偏心が抑えられるため、消費電力を低減することが可能となる。また、駆動機構の設置面積を縮小することができる。
また、油圧駆動のモータは、ショックロードに強く、無段可変速のため、中心軸(3)の回転数を容易に調整することができ、被摩砕物の種類に合わせて適宜対応することが可能となる。但し、本発明では、電気モータを用いることも可能である。
箱状部(21)は、その側面に開口された側面開口部(22)のみによって外部と連通しており、この側面開口部(22)は各摩砕室(13)に対応する位置にそれぞれ設けられている。
この支持脚(27)は、ドラム体(2)の前後方向(図1にて左右方向)における前方寄り位置と後方寄り位置に取り付けられている。そして、これらの支持脚(27)のうち、後方寄り位置にある支持脚には油圧シリンダー(27a)が設けられており、この油圧シリンダー(27a)を伸縮させることによって、ドラム体(2)を前後方向において任意の角度に傾斜させることができ、これによって、被摩砕物のドラム体(2)内における滞留時間を調節することが可能となる。
図6は、仕切板(4)の外観斜視図である。
仕切板(4)は、中心軸(3)が挿通される中心穴(14)を有する楕円形(又は円形)のプレートからなり、仕切板(4)の全面に亘って略均等に且つ略同心楕円状(又は同心円状)に配置された長穴からなる多数の貫通孔(15)を有している。これらの貫通孔(15)は、上記した摩砕室同士を連通する連通部分に相当し、摩砕媒体(5)により所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみを通過させるために設けられている。
また、これら貫通孔(15)とは別に、中心穴(14)に沿うように円形の貫通孔(19)が設けられている。
このように、仕切板(4)が2つの部材に分割可能とされていることによって、仕切板(4)を容易に中心軸(3)から取り外してメンテナンスや交換を行うことが可能となる。
また、本発明における仕切板(4)は、3つ、4つ、5つ、6つ等、より多くの部材に分割可能とする構成を採用することもでき、このような多分割構造としても同様の作用効果が得られる。
但し、仕切板(4)が分割可能とされていない、即ち1枚板からなるものも本発明に含まれる。
ブロック(20)は、仕切板(4)の外周縁に沿って略等間隔で取り付けられており、周方向に隣り合う貫通孔(15)同士の間の部分において、仕切板(4)の中心に向けて延びている。
ブロック(20)は、互いに平行に形成されて仕切板(4)を表裏両面側から挟み込む一対の挟持部(20a)と、該一対の挟持部の一端側を連結する連結部(20b)とから形成されており、全体として正面視コの字状を呈している。
一対の挟持部(20a)には、他端(連結部と反対側のコの字の開放端)の近傍位置を同一軸線で貫く貫通孔(20c)が形成されている。
これにより、一対の挟持部(20a)はその先端側(一端側)だけでなく基端側(他端側)においても、連結部(20b)の幅からはみ出ている部分で仕切板(4)を挟持することができる。
また、一対の挟持部(20a)の隙間は、仕切板(4)の厚みと略等しくされており、各挟持部(20a)の長さは、仕切板(4)の内周縁から外周縁までの距離の1/3〜2/3に設定されている。
尚、この図では、仕切板(4)が2つの部材からなる場合における一方の仕切板を示している。また、図6で示した仕切板(4)とは、貫通孔(15)の数が異なっている。
仕切板(4)は、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部(41)が形成されている。
各切り込み部(41)は、仕切板(4)の中心方向に向かって長方形状に切り込まれて形成されており、その長さ(中心方向に向かう長さ)及び幅は、ブロック(20)の連結部(20b)の長さ及び幅と略等しく設定されている。
ブロック(20)の嵌合は、切り込み部(41)に対して、コの字状のブロック(20)を開放端側(挟持部の先端側)から差し入れることにより行われる。
具体的には、切り込み部(41)の仕切板(4)の中心方向への延長線上の近傍位置に貫通孔(42)が形成されている。
この貫通孔(42)は、切り込み部(41)に対してブロック(20)を嵌合した状態において、ブロック(20)に形成された貫通孔(20c)と合致するようになっており、両貫通孔(42)(20c)が合致した状態においてピン(17)を嵌挿することによって、ブロック(20)が仕切板(4)に対して確実に固定される。
ピン(17)は、全体として円柱状であって、その長さはブロック(20)の全体厚み(図7において上下方向の厚み)と略等しく設定されている。
また、長さ方向の中間部分に両端部分に比べて小径の小径部(17a)を有しており、この小径部(17a)に板バネ(17b)が巻回されている。
板バネ(17b)の外径は、外力が加わっていない自然状態においては、仕切板(4)に形成された貫通孔(42)の内径よりも大きいが、外力を加えることにより貫通孔(42)の内径よりも小さくすることができる。また、板バネ(17b)がピン(7)から脱落しないように、自然状態における板バネ(17b)の内径は、ピン(7)の両端部の外径よりも小さくなっている。
板バネ(17b)の幅(小径部(17a)の長さと略等しい)は、仕切板(4)の厚みと同じかそれよりも大きく設定される。
嵌挿状態において、ピン(17)の両端部分(小径部以外の部分)の外面は、ブロック(20)に形成された貫通孔(20a)の内面に密接し、板バネ(17b)の外面は仕切板(4)に形成された貫通孔(42)の内面に密接する。
そのため、ブロックが摩耗した場合等には短時間で交換作業を行うことができ、摩砕機の稼働率を大幅に向上させることが可能となる。
各ブロック(20)の挟持部(20a)の厚み及び/又は幅は、中心から外周縁に向かうにつれて大きくなるようにしてもよい。このようにすると、周速度の大きい外周縁近傍において仕切板の摩耗を効果的に防止することができ、仕切板全体の摩耗を均一化できるため好ましい。
このようにすると、仕切板(4)の摩耗が効果的に防がれるとともに、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物が貫通孔(15)を通過することが阻害されない。
この場合において、ブロック全体を単一の高硬度材料(例えば超硬合金や高クロム鋼)から形成してもよいし、所定の金属材料(例えば炭素鋼や鉄)にて形成されたブロックの表面を、当該金属材料より高硬度の材料(例えば超硬合金や高クロム鋼)で被覆することによって形成してもよい。
このように設定すると、摩砕機の作動時において、ブロック(20)同士の間に摩砕媒体(5)が入り込むことができる。この状態では、ブロック(20)の間に他の摩砕媒体が接触することが防がれるので、仕切板の摩耗を効果的に抑制することができるとともに、被摩砕物が仕切板の貫通孔を通過することが殆ど妨げられない。また、2d>D≧dとすると、ブロック間において摩砕媒体の侵入が許容されると同時に、進入した摩砕媒体の仕切板表面に沿う移動が制限されるため、仕切板の摩耗がより効果的に抑制される。
また、ブロック(20)が仕切板(4)の表面から突出する高さを、粉砕媒体(5)の直径以上に設定すると、ブロック(20)同士の間に挟まれた摩砕媒体(5)が脱出しにくくなって、他の摩砕媒体の接触をより確実に防ぐことが可能となるため好ましい。
ボス(16)は、円筒体(16a)と、この円筒体(16a)の外周面に該円筒体の軸長方向に対して傾斜して固着された傾斜板(16b)とから構成される。
円筒体(16a)は、ボルトにより一体化された2つの半円筒部材からなり、ボルトを外すことにより2つに分割して中心軸(3)から取り外すことができるようになっている。
傾斜板(16b)には周方向に等間隔で貫通孔(18)が形成されており、図9に示す如く、この貫通孔(18)と仕切板(4)に設けられた貫通孔(19)を重合一致させてボルト(B)を挿通しナット(N)を螺合することによって、傾斜板(16b)に仕切板(4)を固定することができ、これによりボス(16)に仕切板(4)が固定される。
仕切板(4)に設けられる貫通孔(19)の大きさは、摩砕室(13)内にて所定寸法未満になるまで摩砕された被摩砕物のみを通す大きさとされ、その所定寸法はドラム体(2)の上流側(一端側)から下流側(他端側)の仕切板にかけて次第に小さくなっていることが好ましい。
例えば、摩砕機の中心軸(3)を回転させずにドラム体(2)を回転させるように構成してもよいし、中心軸(3)とドラム体(2)の両方を互いに逆方向に回転させるように構成してもよい。また、仕切板(4)を中心軸(3)に対して傾斜させずに直角に取り付けたものや、ドラム体(2)の内面と仕切板(4)の外周縁との間に隙間を有するものも含まれる。
(実施例)
図6に示す構造を有する摩砕機用仕切板を図2及び図10に示すように中心軸に取り付けた摩砕機を用いて、コンクリート殻を原料として摩砕処理を行い、最終製品としてコンクリート用骨材を得た。
(比較例)
実施例で使用した摩砕機において、ブロック(20)が取り付けられていない仕切板を用いた以外は、実施例と同様に摩砕処理を行い、最終製品としてコンクリート用骨材を得た。
実施例及び比較例で得られた骨材を粗骨材(粒径5〜20mm)と細骨材(粒径0〜5mm)とにふるい分けし、絶乾密度(g/cm3)及び吸水率(%)を測定した。粗骨材についての結果を図11に示し、細骨材についての結果を図12に示す。尚、図11及び図12において、黒塗り印が実施例、白抜き印が比較例を示し、印横の数値は、運転条件であり、左側の数値が1時間当たりの処理トン数、右側の数値がドラム体の回転数を示している。
図11に示すように、実施例により得られた粗骨材は全ての運転条件においてJIS A 5201に規定される品質規格値を満たしていたが、比較例では殆どの条件で品質規格値を満たさなかった。
また、図12に示すように、実施例により得られた細骨材は全ての運転条件においてJIS A 5308付属書に規定される品質緩和規定値を満たしていたが、比較例では全ての条件で品質緩和規定値を満たさなかった。
これは、仕切板の表裏面に突出するように取り付けられたブロックにより、摩砕媒体(ボール)の周方向への移動が抑制され、摩砕媒体の共回り現象がより確実に防止されたことと、ブロックが仕切板の外周縁に取り付けられていることにより、摩砕媒体は周速度の大きい外方においては移動が抑制される一方で、周速度の遅い内方においては自由な移動が可能となるため、摩砕媒体の移動が過度に抑制されず、骨材に対する摩砕作用が適度に発揮されたことによるものと考えられる。
2 ドラム体
3 中心軸
4 仕切板
41 切り込み部
42 貫通孔
5 摩砕媒体
13 摩砕室
15 貫通孔
17 ピン
17a 小径部
17b 板バネ
20 ブロック
20a 挟持部
20b 連結部
20c 貫通孔
Claims (2)
- 被摩砕物を内部に取り入れるドラム体と、該ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸と、該中心軸に取り付けられて前記ドラム体内を相互に連通する複数の摩砕室に区画する仕切板と、前記摩砕室内に装填された摩砕媒体とからなり、前記ドラム体と中心軸の少なくともいずれか一方が軸回りに回転することにより被摩砕物を摩砕する摩砕機であって、前記仕切板は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみを通過させる貫通孔が設けられるとともに、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部が形成されており、該切り込み部に対してコの字状のブロックが嵌合されており、
前記仕切板は、前記切り込み部の近傍位置に貫通孔が形成されており、
前記ブロックは、互いに平行に形成されて前記仕切板を表裏両面側から挟み込む一対の挟持部と、該一対の挟持部の一端側を連結する連結部とからなり、
前記一対の挟持部には、他端近傍位置を同一軸線で貫く貫通孔が形成されており、
前記仕切板に形成された貫通孔と、前記ブロックに形成された貫通孔とが合致して、該合致した貫通孔にピンが嵌挿されており、
前記ピンは長さ方向の中間部分に小径部を有し、該小径部には板バネが巻回されており、
該板バネは、その復元力により前記仕切板の貫通孔内面を押圧していることを特徴とする摩砕機。 - 摩砕媒体が収容されたドラム体の内部に被摩砕物を取り入れて摩砕する摩砕機において、前記ドラム体内を軸長方向に貫く中心軸に取り付けられて該ドラム体内を相互に連通する複数の摩砕室に区画する仕切板であって、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部が形成されており、該切り込み部に対してコの字状のブロックが嵌合されており、
前記切り込み部の近傍位置に貫通孔が形成されており、
前記ブロックは、互いに平行に形成されて前記仕切板を表裏両面側から挟み込む一対の挟持部と、該一対の挟持部の一端側を連結する連結部とからなり、
前記一対の挟持部には、他端近傍位置を同一軸線で貫く貫通孔が形成されており、
前記切り込み部の近傍位置に形成された貫通孔と、前記ブロックに形成された貫通孔とが合致して、該合致した貫通孔にピンが嵌挿されており、
前記ピンは長さ方向の中間部分に小径部を有し、該小径部には板バネが巻回されており、
該板バネは、その復元力により前記仕切板の貫通孔内面を押圧していることを特徴とする摩砕機用仕切板。
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