JP2004267958A - 摩砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端部に被摩砕物を取り入れる導入口が設けられ他端部に摩砕後の被摩砕物を排出する排出口が設けられたドラム体と、このドラム体内を軸長方向に貫く回転軸と、この回転軸に該回転軸に対し傾斜した角度で取り付けられ前記ドラム体内を区画して該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室を形成する仕切部材と、前記摩砕室内に装填された複数の摩砕用装填部材とから構成されてなり、前記仕切部材は複数の部材により分割可能に形成されている。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は摩砕機に関し、より詳しくは内部が複数の摩砕室に仕切られた摩砕機において、長期間に亘って優れた摩砕効率を得ることができるとともに、メンテナンス性にも優れた摩砕機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンクリートやアスファルトの廃材から再生骨材を得るための装置として、種々のボールミル型摩砕機が存在している。
そのうち、被摩砕物の滞留時間を長くとるために、ドラム体内を複数の仕切板により区画した構造を有するものも多く存在しており、このような構造を有する摩砕機では、被摩砕物は仕切板の周縁部とドラム体内壁との隙間を通ってドラム体の一端側から他端側へと移動しながら、各区画内においてボールにより摩砕される。
【0003】
しかしながら、このような従来の摩砕機は、仕切板が回転軸に対して直角に取り付けられているため、ボールを積極的に前後方向(ドラム体の軸長方向)に移動させることはできず、ボールの運動は径方向及び周方向が殆どであった。そのため、ボールと被摩砕物が等速度で回るいわゆる共回り現象が発生し、摩砕効率が大きく低下する原因となっていた。
【0004】
本出願人はかかる問題点を解決するために、上記した共回り現象の発生を防いで、摩砕効率を飛躍的に向上させることを可能とした摩砕機を既に提案している(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3261125号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1記載の発明は、仕切板を回転軸に対して傾斜して取り付けるという従来に無い全く新規な発想に基づいた発明であって、これによりボールに積極的に前後方向の運動を与えることを可能としたものである。
しかしながら、この本願出願人が創出した摩砕機は、摩砕効率においては飛躍的な進歩を果たしたものの、仕切板が回転軸に対して傾斜して取り付けられているため、従来の摩砕機に比べて仕切板表面に対するボールや被摩砕物の摩擦が大きく、仕切板の摩耗が大きいという問題があった。また、そのために、仕切板の交換を含むメンテナンスを比較的こまめに行う必要があるが、仕切板をドラム体から取り外すのに手間がかかるため、メンテナンスに時間を要するという問題もあった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決すべくなされたものであって、優れた摩砕効率が得られるとともに、仕切板の摩耗を小さく抑えることができて、仕切板の交換等のメンテナンスも容易に行うことが可能である摩砕機を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、一端部に被摩砕物を取り入れる導入口が設けられ他端部に摩砕後の被摩砕物を排出する排出口が設けられたドラム体と、このドラム体内を軸長方向に貫く回転軸と、この回転軸に該回転軸に対し傾斜した角度で取り付けられ前記ドラム体内を区画して該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室を形成する仕切部材と、前記摩砕室内に装填された複数の摩砕用装填部材とから構成されてなり、前記仕切部材は複数の部材により分割可能に形成されてなることを特徴とする摩砕機に関する。
請求項2に係る発明は、前記ドラム体の上半分面が開放可能に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の摩砕機に関する。
請求項3に係る発明は、前記仕切部材の表裏面を被覆するように耐摩耗性材料からなるライナーが着脱可能に取り付けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載の摩砕機に関する
請求項4に係る発明は、前記ライナーが複数の部材により分割可能に形成されてなることを特徴とする請求項3記載の摩砕機に関する。
請求項5に係る発明は、前記回転軸が、その両端部にそれぞれ接続されたモーターの回転によって回転するように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の摩砕機に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る摩砕機の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る摩砕機の正面図、図2は本発明に係る摩砕機の縦断面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1のB−B線断面図である。
本発明に係る摩砕機(1)は、略円筒形状のドラム体(2)と、該ドラム体(2)内において回転する回転軸(3)と、該回転軸(3)に取り付けられてドラム体(2)内を複数の摩砕室に区画する仕切部材(4)と、前記各摩砕室内に装填された多数の摩砕用装填部材(5)とから構成される。
尚、図3及び図4では、仕切り部材と摩砕用装填部材の図示を省略している。
【0010】
ドラム体(2)の一端部には、被摩砕物(原料)を内部に取り入れるための導入口(6)が設けられ、他端部には摩砕後の被摩砕物を排出する排出口(7)が設けられている。
導入口(6)はドラム体(1)の上面に開口して形成され、その上部には被摩砕物を投入するための投入用ホッパ(8)が接続されている。
排出口(7)はドラム体(2)の周壁に形成された多数の貫通孔から構成され、これら排出口(7)を囲うように、図4に示すように排出用ホッパ(9)が接続されている。
排出用ホッパ(9)の前後面には、開閉可能な扉(11)が取り付けられており、これらの扉(11)を開けてホッパ内部を点検することができる。
また、排出用ホッパ(9)の上部には、エアー吹き出しノズル(10)が排出用ホッパ(9)の底部に向けて配置されており、このエアー吹き出しノズル(10)から排出用ホッパ(9)内に向けてエアーを吹き出すことによって、ドラム体(2)から排出ホッパ(9)へと取り出された被摩砕物を速やかに底部から排出することが可能となる。
【0011】
ドラム体(2)は、円筒の上半分を構成する上半分面(2a)と、円筒の下半分を構成する下半分面(2b)を組み合わせることにより形成されており、図5に示す如く上半分面(2a)の全体を開放することが可能となっている。
この上半分面(2a)の開放は、下半分面(2b)に取り付けられた油圧シリンダー(25)の駆動によって行うことが可能となっている。
このように、ドラム体(2)の上半分面が開放可能となっていることにより、仕切部材(4)のメンテナンスや交換作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、ドラム体(2)の底部には、内部に装填された摩砕用装填部材(5)を外部に取り出すための排出口(26)が設けられている。この排出口(26)は各摩砕室の底部にそれぞれ設けられており、図3に示すように各摩砕室から個別に摩砕用装填部材(5)を取り出すことが可能となっている。
さらに、ドラム体(2)の外周面の上方寄り位置には、開閉可能な窓部(28)が設けられている。窓部(28)は、各摩砕室に対応する位置毎に設けられており、この窓部(28)を開けることによって、各摩砕室内部の消耗品を確認したり摩砕用装填材を補充したりすることができる。
【0013】
回転軸(3)は、ドラム体(2)内を該ドラム体を軸長方向に貫くように配設されており、その左右両端部にはそれぞれ油圧駆動のモーター(12)が接続され、これら2つのモーター(12)の駆動によって回転するように構成されている。
回転軸(3)の一端部にのみモーター(12)を接続した場合、回転時に回転軸自身の重量やボールから受ける負荷によって回転軸が他端部において偏心してしまうため、これを防ぐために大きな駆動力を必要とするが、回転軸(3)をその両端部に接続したモーター(12)の駆動によって回転させることによって、回転軸端部の偏心が抑えられるため、消費電力を低減することが可能となる。また、駆動機構の設置面積を縮小することができる。
また、油圧駆動のモーターは、ショックロードに強く、無段可変速のため、回転軸(3)の回転数を容易に調整することができ、被摩砕物の種類に合わせて適宜対応することが可能となる。
【0014】
仕切部材(4)は、回転軸(3)に該回転軸に対して傾斜した角度で取り付けられている。この仕切部材(4)は、ドラム体(2)内を区画し、該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室(13)を形成する。摩砕室同士は連通しているが、この連通する部分は、摩砕用装填材(5)が通過し得ない大きさとされている。
【0015】
図6は仕切部材(4)の平面図であり、(a)は仕切板(4)を上下に2分割した状態を示す図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
仕切部材(4)は、回転軸(3)が挿通される中心穴(14)を有する楕円形のプレートからなり、略同心楕円状に配置された長穴からなる多数の貫通孔(15)を有している。これらの貫通孔(15)が上記した摩砕室同士を連通する連通部分に相当する。また、これら貫通孔(15)とは別に、中心穴(14)に沿うように円形の貫通孔(19)が設けられている。
この仕切部材(4)は、上半分を構成する部材(4a)と、下半分を構成する部材(4b)の2つの半楕円状部材から構成されており、1枚の仕切部材(4)をこれら2つの部材(4a)(4b)に分割することが可能となっている。
【0016】
このように、仕切部材(4)が2つの部材に分割可能とされていることによって、仕切部材(4)を容易に回転軸(3)から取り外してメンテナンスや交換を行うことが可能となる。
但し、本発明における仕切部材(4)は、少なくとも2つ以上に分割できればよく、3つ、4つ、5つ、6つ等、より多くの部材に分割可能とする構成を採用することもでき、このような多分割構造としても同様の作用効果が得られる。
【0017】
仕切部材(4)は、図7に示す如くボス(16)を介して回転軸(3)に取り付けられる。
ボス(16)は、円筒体(16a)と、この円筒体(16a)の外周面に該円筒体の軸長方向に対して傾斜して固着された傾斜板(16b)とから構成される。
円筒体(16a)は、ボルトにより一体化された2つの半円筒部材からなり、ボルトを外すことにより2つに分割して回転軸(3)から取り外すことができるようになっている。
傾斜板(16b)には周方向に等間隔で貫通孔(18)が形成されており、図7に示す如く、この貫通孔(18)と仕切部材(4)に設けられた貫通孔(19)を重合一致させてボルト(B)を挿通しナット(N)を螺合することによって、傾斜板(16b)に仕切部材(4)を固定することができ、これによりボス(16)に仕切部材(4)が固定される。
【0018】
仕切部材(4)の数は特に限定されず、1枚であってもよいが、図示例のように、仕切部材(4)を回転軸(3)の軸長方向に相互に間隔をあけて複数枚設けることが好ましく、この場合には仕切部材(4)同士の間にそれぞれ摩砕室(13)が形成される。
仕切部材(4)に設けられる貫通孔(19)の大きさは、摩砕室(13)内にて所定寸法未満になるまで摩砕された被摩砕物のみを通す大きさとされ、その所定寸法はドラム体(2)の上流側(一端側)から下流側(他端側)の仕切部材にかけて次第に小さくなっていることが好ましい。
【0019】
また、本発明においては、各仕切部材(4)に対して、その表裏面を被覆するように耐摩耗性材料からなるライナー(図示略)を取り付けることができる。
ライナーは、仕切部材(4)と同じく、回転軸(3)が挿通される中心穴と、略同心楕円状に配置された長穴からなり被摩砕物が通過する多数の貫通孔を有する楕円形のプレートからなり、仕切部材(4)の表面及び裏面の全面を被覆するように、ボルト等の任意の固定手段によって着脱可能に仕切部材(4)に対して固定される。
ライナーの素材は、耐摩耗性に優れた素材であれば特に限定されず、例えば、各種の鋼材やセラミックス等が好適に使用される。
このように、仕切部材(4)の表裏面に耐摩耗性材料からなるライナーが取り付けられていることによって、仕切部材(4)の摩耗が防がれる。また、ライナーが着脱可能に取り付けられていることによって、ライナーが摩耗した場合には、ライナーのみを仕切部材(4)から取り外して交換すればよく、作業性及び経済性に優れたものとなる。
ライナーは、1枚のプレートにより形成してもよいが、仕切部材(4)と同様に複数の部材により分割可能に形成すると、ライナーの交換作業が容易となるため好ましい。
尚、本発明においては、仕切部材(4)だけでなくドラム体(2)の内面にも同様の素材からなるライナー(図示略)が取り付けられており、これによってドラム体と仕切部材の双方の摩耗を防ぐことが可能となっている。
【0020】
摩砕媒体となる摩砕用装填材(5)(以下、装填材(5)という)は、各摩砕室(13)内に複数個ずつ装填されている。この装填材(5)は、例えば金属製のボール等からなり、摩砕室(13)内に取り入れられた被摩砕物と衝突することによって、被摩砕物が摩砕される。
【0021】
ドラム体(2)の各摩砕室(13)の上部にはそれぞれ開口部(20)が形成され、更にこれらの開口部(20)の上部には開口部(20)を全て覆うような箱状部(21)が形成されている。
箱状部(21)は、その側面に開口された側面開口部(22)のみによって外部と連通しており、この側面開口部(22)は各摩砕室(13)に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0022】
各側面開口部(22)には、それぞれ吸引パイプ(23)が挿入され、これら吸引パイプ(23)の先端は、開口部(22)から入ってドラム体(2)内の各摩砕室(13)に配置されている。尚、各吸引パイプ(23)の基端部は、吸引ポンプ(図示略)を介してバグフィルター(図示略)に接続されている。
【0023】
また、箱状部(21)には空気供給パイプ(24)が配設されており(図3参照)、この空気供給パイプ(24)は複数に分岐されて、各分岐端は開口部(22)から入ってドラム体(2)内の各摩砕室(13)内に配置されている。尚、空気供給パイプの基端部は、送風機(図示略)に接続されている。
【0024】
このように、ドラム体(2)の各摩砕室(13)内に、それぞれ吸引パイプ(23)及び空気供給パイプ(24)の先端が挿入されていることによって、各摩砕室(13)内で発生した微粉末を効率良く回収することが可能となっている。
【0025】
また、ドラム体(2)の底面にはドラム体を地面上の一定高さに支持するための支持脚(27)が設けられている。
この支持脚(27)は、ドラム体(2)の前後方向(図1にて左右方向)における前方寄り位置と後方寄り位置に取り付けられている。そして、これらの支持脚(27)のうち、後方寄り位置にある支持脚には油圧シリンダー(27a)が設けられており、この油圧シリンダー(27a)を伸縮させることによって、ドラム体(2)を前後方向において任意の角度に傾斜させることができ、これによって、被摩砕物のドラム体(2)内における滞留時間を調節することが可能となる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、仕切部材が傾斜して且つ分割可能に取り付けられているため、優れた摩砕効率が得られるとともに、仕切部材の摩耗に伴う交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、長期間に亘って高い摩砕処理性能を維持することが可能である摩砕機を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、ドラム体の上半分面が開放可能に形成されてなるので、仕切部材のメンテナンスや交換作業をきわめて容易に行うことが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、仕切部材の表裏面を被覆するように耐摩耗性材料からなるライナーが着脱可能に取り付けられているので、仕切部材の摩耗が防がれて長期間に亘って優れた摩砕性能を維持することができるとともに、ライナーが摩耗した場合には、ライナーのみを容易に取り外して交換することができ、作業性及び経済性に優れたものとなる。
請求項4に係る発明によれば、ライナーが複数の部材により分割可能に形成されているので、ライナーの交換作業をきわめて容易に行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、回転軸が、その両端部にそれぞれ接続されたモーターの回転によって回転するように構成されているので、回転軸端部の偏心が抑えられ、消費電力を低減することが可能となるとともに、駆動機構の設置面積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摩砕機の正面図である。
【図2】本発明に係る摩砕機の縦断面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】ドラム体の上半分面を開放した状態を示す断面図である。
【図6】(a)は仕切板を上下に2分割した状態を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図7】仕切部材をボスを介して回転軸に取り付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 摩砕機
2 ドラム体
2a ドラム体の上半分面
3 回転軸
4 仕切部材
5 摩砕用装填部材
12 モーター
13 摩砕室
Claims (5)
- 一端部に被摩砕物を取り入れる導入口が設けられ他端部に摩砕後の被摩砕物を排出する排出口が設けられたドラム体と、このドラム体内を軸長方向に貫く回転軸と、この回転軸に該回転軸に対し傾斜した角度で取り付けられ前記ドラム体内を区画して該ドラム体内に相互に連通する複数の摩砕室を形成する仕切部材と、前記摩砕室内に装填された複数の摩砕用装填部材とから構成されてなり、前記仕切部材は複数の部材により分割可能に形成されてなることを特徴とする摩砕機。
- 前記ドラム体の上半分面が開放可能に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の摩砕機。
- 前記仕切部材の表裏面を被覆するように耐摩耗性材料からなるライナーが着脱可能に取り付けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載の摩砕機。
- 前記ライナーが複数の部材により分割可能に形成されてなることを特徴とする請求項3記載の摩砕機。
- 前記回転軸が、その両端部にそれぞれ接続されたモーターの回転によって回転するように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の摩砕機。
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