JP2010121205A - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅方向に複数のレーンを成すように配列した基材または幅広の基材に対しても、膜厚や特性が均一な薄膜を効率良く成膜することが可能であり、また、良好な生産性で厚い膜の成膜が可能な成膜方法および成膜装置を提供する。
【解決手段】レーザー光Lによってターゲット6から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材34の表面上に堆積させ、基材34の表面上に薄膜を形成するにあたり、基材34の移動方向を転向させる転向部材11を囲んで加熱ボックス20を設けるとともに、転向部材11に接した状態にある基材34の表面に対向するようにターゲット6を配し、転向部材11に基材34の裏面が接しつつ、基材34を長手方向に移動させた状態で、加熱ボックス20の中を均等加熱するヒーター25により、基材34を加熱し、ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置を、基材34の幅方向と同じ方向に振幅させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光によってターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材上に堆積させ、薄膜を形成する成膜方法(レーザー蒸着方法)および成膜装置(レーザー蒸着装置)に関する。
酸化物超電導体を導電体として使用するためには、テープ状などの長尺の基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を形成する必要がある。
従来、図3に示すように、ハステロイ(登録商標)テープなどの金属基材32の上にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの多結晶中間薄膜33を形成した帯状の基材34を用い、その多結晶中間薄膜33上にYBaCu系の酸化物超電導体の薄膜31を成膜する試みが行なわれている。
酸化物超電導体の薄膜を成膜するため、レーザー蒸着法による薄膜の形成方法が採用されている(例えば特許文献1参照)。
図4に、特許文献1に記載されたレーザー蒸着装置の一例を示す。このレーザー蒸着装置50は、一方の側で複数の転向部材51a〜51gを同軸的に配列した第1の転向部材群51と、他方の側で複数の転向部材52a〜52gを同軸的に配列した第2の転向部材群52と、基材60の転向部材群51、52間に配された部分61に対向するように配されたターゲット57と、ターゲット57にレーザー光La、Lb、Lcを照射するレーザー光発光手段53a、53b、53cと、基材60のターゲット57に対向する部分61を支持する基台54と、基材60を転向部材群51、52に向けて送り出す送出リール55と、基材60を巻き取る巻取リール56を備えている。
送出リール55と巻取リール56とは、不図示の駆動装置により互いに同期して駆動されており、各転向部材51a〜51g、52a〜52gによって移動方向が転向した基材60を転向部材群51、52の間で複数列(複数のレーン)とした状態で搬送するための搬送手段を構成している。
レーザー光La、Lb、Lcによりターゲット57から叩き出され若しくは蒸発されたターゲット57の構成粒子はプルーム58となり、基材60のターゲット57に対向する部分61に堆積して薄膜が形成される。また、ターゲット57に対して複数レーンの基材60が対向しているので、一度に蒸着される面積を広く取ることができ、プルーム58内の構成粒子を有効に利用することができる。
また、特許文献2には、長尺基材を囲んで保温する開口付きヒータボックスと、該ヒータボックスの開口に隣接して設けられたターゲットホルダと、該ターゲットホルダに保持されるターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段とを備え、前記レーザー光を前記ターゲットの表面に照射し、該ターゲットから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子を前記ヒータボックス内の長尺基材表面に堆積させることを特徴とする薄膜形成装置が記載されている。
特開2004−263227号公報 特開2006−233266号公報
従来のレーザー蒸着装置の場合、基材60のターゲット57に対向する部分61を支持する基台54の内部にヒーター(図示略)が設けられ、基材60の裏面(薄膜が形成される面とは反対側の面)から接触加熱により、基材60のターゲット57に対向する部分61の温度を制御している。しかしながら、生産性を向上させるために、高速に基材60を搬送すると、基材60の加熱が不十分になり、安定的な温度制御が難しい。また、成膜回数を増やして厚い膜を成膜しようとすると、基材60の裏面からの接触加熱では、厚く積層した膜の表面にまで十分に熱が伝わらないうちに基材60がヒーターから離れてしまうので、基材60の表面温度を一定に保つことが難しいため、結晶配向性の高い超電導層を成膜することが難しいという問題がある。この問題を解決するために、積層毎にヒーターによる加熱温度を上昇させることも考えられるが、加熱温度の上昇に伴い、基材60に形成されている多結晶中間薄膜と成膜される超電導層との界面反応が起こり易くなり、超電導特性が低下してしまうため、単に加熱温度を上昇させるとする解決手段は好ましくない。
基材60は、転向部材群51、52間に配された部分61においてターゲット57に対向しているので、レーザー光La、Lb、Lcはターゲット57に対し、基材60の配列方向とほぼ同じ方向に照射することになる。レーザー光発光手段53a、53b、53cから遠い側に配された基材60に薄膜を形成するとき、レーザー光発光手段53a、53b、53cに近い側の基材60によってレーザー光La、Lb、Lcが遮られてしまう。
また、上述したように、基台54に内蔵したヒーターによる接触加熱では基材60の表面温度に幅方向の温度分布が生じやすいので、各レーンの温度ばらつきがあると、一部のレーンに成膜不良が生じるおそれがある。
このため、レーンの数あるいは基材の幅を増やすことが難しいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、幅方向に複数列を成すように配列された基材または幅広の基材に対しても、膜厚や特性が均一な薄膜を効率良く成膜することが可能であり、また、良好な生産性で厚い膜の成膜が可能な成膜装置および成膜方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、レーザー光によってターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜方法であって、前記基材の移動方向を転向させる転向部材を囲んで加熱ボックスを設けるとともに、前記転向部材に接した状態にある前記基材の表面に対向するようにターゲットを配し、前記転向部材に前記基材の裏面が接しつつ、前記基材を長手方向に移動させた状態で、前記加熱ボックスの中を均等加熱するヒーターにより、前記基材を加熱し、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させ、前記基材を前記構成粒子の堆積領域内を通過させることにより、前記基材の表面上に前記構成粒子を堆積させて、前記基材の表面上に薄膜を形成することを特徴とする成膜方法を提供する。
また本発明は、レーザー光によってターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記基材の移動方向を転向させる転向部材と、前記転向部材によって移動方向が転向した状態にある基材を、その長手方向に搬送する搬送手段と、前記転向部材に接した状態にある前期基材の表面に対向するように配されたターゲットと、前記ターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段と、前記転向部材を囲んで設けられた加熱ボックスと、前記加熱ボックスの中を均等加熱するヒーターと、を少なくとも備え、前記加熱ボックスは、前記ヒーターにより、前記基材を加熱するものであり、前記レーザー光発光手段は、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させるものであることを特徴とする成膜装置を提供する。
前記転向部材は、前記帯状の基材の幅に応じた軸方向の長さを有することが好ましい。
前記加熱ボックスは、前記構成粒子の堆積領域と、その領域に位置する転向部材と、その転向部材に巻回された基材とを囲むように設けられていることが好ましい。
前記ターゲットに対向する前記基材の表面温度のバラツキを5度以内に制御することが好ましい。
前記成膜装置は、酸化物超電導膜の成膜用であることが好ましい。
本発明によれば、転向部材に接した状態にある基材の表面に対向するようにターゲットを配するので、ターゲットにレーザー光を照射する位置を基材の幅方向と同じ方向に振幅させるときに、レーザー光が基材自身によって遮られることがないので、ターゲット表面の広い領域から粒子を蒸発させて利用することができる。また、加熱ボックスを設けて、一定温度に保たれた加熱ボックス中に基材を搬送することにより、基材の温度を安定して保つことができるので、基材表面の温度のバラツキを抑制し、適正な成膜温度範囲をより広く確保することができる。また、成膜される基材表面の温度を安定に維持することができるので、積層毎のこまめな温度制御が必要なく、特性を低下させることなく厚い膜を成膜することができる。また、基材の幅方向に温度を均一に保つことができるため、基材の幅を広くしたり、基材のターゲットに対向する部分を幅方向に並べて多数のレーンを配列したりしても、均一な特性の膜を同時に成膜することが可能になる。さらに、生産性を向上させるために線速(基材の長手方向の搬送速度)を速くしても、加熱ボックスを設けていることにより、基材表面の温度制御の応答が速く、成膜表面の温度を安定に維持することができるので、膜厚や特性が均一な膜を良好な生産性で成膜することができる。
さらに、本発明において酸化物超電導膜を成膜する場合には、裏面からの加熱に比べ、中間層と超電導層の界面反応を抑制することができる。また、加熱ボックスを設けることにより、基材の温度を安定して保つことができるので、均一で安定した特性の超電導層を成膜することが可能となる。
本発明の成膜装置の一例を示す正面図である。 本発明の成膜装置を用いた成膜方法を説明する斜視図である。 帯状の基材上に酸化物超電導膜を堆積してなる線材の一例を示す断面図である。 従来のレーザー蒸着装置の一例を示す斜視図である。 本発明の成膜装置を用いた成膜方法の他例を示す斜視図である。 本発明の成膜装置を用いた成膜方法の他例を示す斜視図である。 実施例1〜3および比較例6〜8の結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る成膜方法および成膜装置の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1に、本発明の成膜装置の一形態例を示し、図2に、本形態例の成膜装置を用いた成膜方法を示す。
本実施形態の成膜装置1は、レーザー光Lによってターゲット6から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子の噴流(プルーム7)を帯状の基材34上に堆積させ、この構成粒子による薄膜を基材34上に形成する、レーザー蒸着法による成膜装置である。
図1、図2に示すように、この成膜装置1は、帯状の基材34を収容する処理容器2と、基材34の移動方向を転向させる転向部材11a、11b、11c、11d、11e、11f、11gを同軸的に配列してなる転向部材群11と、これら転向部材11a〜11gによって移動方向が転向した状態にある基材34を、その長手方向に搬送する搬送手段10と、基材34のうち裏面が転向部材11a〜11gに接した部分35に対向するように配されたターゲット6と、水平に設置されたターゲット6にレーザー光Lを照射するレーザー光発光手段5と、転向部材群11を囲んで設けられた加熱ボックス20を少なくとも備えている。
本実施形態の成膜装置1の場合、搬送手段10は、複数の転向部材を配列してなる一対の転向部材群11,14に向けて送り出される基材34が巻回された送出リール12と、転向部材群11,14から巻き取られる基材34が巻回される巻取リール13とを備えている。また、送出リール12と巻取リール13とは、不図示の駆動装置により互いに同期して駆動され、基材34がその長手方向に搬送されるようになっている。
図1および図2に示すように、転向部材群11、14は、同径の転向部材が同軸的に配列してなる構成である。また、ターゲット6に対向する転向部材群11においては、各転向部材11a〜11gに裏面が接しつつ、各転向部材11a〜11gによって移動方向が転向した状態にある基材34のうち、ターゲット6に対向する部分35が、ターゲット6から等距離に位置している。各転向部材は、基材34の幅に応じた軸方向の長さを有し、複数列を成す基材34が隙間なく配列されるものが好ましい。
転向部材11a〜11gは、円柱状もしくは円板状、半円柱状もしくは半円板状、楕円柱状もしくは楕円板状など、基材の移動方向を滑らかに転向させる湾曲した側面(湾曲面)を有するものが好ましい。これにより、転向部材によって移動方向が転向した状態にある基材34は、ターゲット6に対向する部分35において、ターゲット6に向かって凸の形状に湾曲するようになる。なお、「円柱状もしくは円板状」等は、転向部材の径と軸方向の長さとの比を特に限定しない趣旨である。
転向部材11a〜11gは、搬送される基材34とともに回転する構成でも良く、転向部材11a〜11gは動かずに、その側面上で基材34が滑っている構成でも良い。転向部材11a〜11gを回転させる場合には、基材34の移動速度に合わせて転向部材11a〜11gを回転させる駆動手段(図示せず)を設けても良い。
基材34は、図4と同様、図1に示すように、1本の長尺の基材34が各転向部材群11、14で移動方向を変えて(ターンして)複数の転向部材群11、14の間で複数回巻回され、ターゲット6に対向する部分35を複数回通過するようになっている。また、これらの転向部材群11、14を周回することにより、ターゲット6に対向する部分35では図2に示すように基材34が複数列とされる構成になっている。本実施形態では、転向部材群11、14は二つ設けられている。
図1に示す場合、基材34は、二つの転向部材群11、14間を周回するように配置され、転向部材において基材34の移動方向が変更される転向角度(基材34が当該転向部材に接し始めたときの移動方向と、基材34が当該転向部材から離れ始めるときの移動方向との角度差に相当する角度)は、180°である。この例において、転向部材群11側の転向部材の径を転向部材群14側の転向部材の径より大きくして、転向部材群11における基材34の転向角度が180°を超えるようにしたり、転向部材群11側の転向部材の径を転向部材群14側の転向部材の径より小さくして、転向部材群11における基材34の転向角度が180°未満となるようにしても構わない。
また、三つまたは四つの転向部材群を三角形状または四角形状に配置して、転向角度が120°程度または90°程度とすることもできる。転向角度は、90〜180°が好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。
なお、ターゲット6の反対側に位置する転向部材群14を省略して、ターゲット6に対向する転向部材群11に対し、複数本の基材34を複数組の送出リール12および巻取リール13で搬送するようにし、複数列とされた各基材34が、ターゲット6に対向する部分35を1回通過する構成とすることも可能である。
また、基材を複数列とする代わりに、図6に示すように、基材34の幅を広くすることもできる。この場合は、ターゲット6に対向して複数の転向部材からなる転向部材群を配する代わりに、基材34の幅に応じた軸方向の長さを有する一つの転向部材11を用いることができる。
さらに、送出リール12と巻取リール13の役割を入れ替え可能にして、リールに巻き取った基材34を再度ターゲットに対向する位置に送出できるように構成した場合、基材34の一端側のリールと、基材34の他端側のリールとの間で、基材34の往復動作を繰り返すことにより、厚い膜を成膜することが可能である。
処理容器2には、排気孔3を介して真空排気装置4が接続され、この真空排気装置4により処理容器2内を所定の圧力に減圧するようになっている。
基材34の移動方向を転向させる転向部材群11、14、送出リール12および巻取リール13は処理容器2内に収容され、処理容器2内が所定の圧力に減圧されている間は、基材34の長手方向の全体が、処理容器2内の減圧下に置かれるようになっている。
処理容器2内には、ターゲット6に対向するように配された転向部材群11を囲んで設けられた加熱ボックス20を備えている。この加熱ボックス20の内壁面に、加熱ボックス20の中を均等加熱するヒーター25を備える。図1では、加熱ボックス20の各壁面20a、20b、20c、20dの内側(内壁)に複数のヒーター25を備える例を示しているが、本発明はこれに限定されず、ヒーター25は、加熱ボックス20の中を均等加熱することができる位置に設置されていれば良い。ヒーター25の設置位置としては、例えば、加熱ボックス20の内側が好ましく、加熱ボックス20の内壁20a、20b、20c、20dに接していなくても良く、さらに、加熱ボックス20の内部に加えて、転向部材群11の内部にも併設することもできる。加熱ボックス20は、ヒーター25に通電することで、加熱ボックス20内の温度を一定に保ち、加熱ボックス20内の基材34を均一に加熱し保温できるようになっている。また、従来の成膜装置50では、ターゲット57やレーザー53a、53b、53c等の操作(動作)の影響により成膜表面の温度の変動が起こりやすく成膜表面の温度を安定制御するのが難しいという問題があった。一方、本発明に係る成膜装置および成膜方法によれば、加熱ボックス20を設けたことにより、ターゲット6やレーザー5等の操作(動作)の影響を防ぎ、成膜表面の温度を安定制御することができる。さらに、従来の成膜装置50では、基材60の裏面から加熱を行っていたため、基材60の表面からの熱の逃げが起こり易く、成膜表面の温度が設定温度よりも低くなってしまうという問題があった。一方、本発明に係る成膜装置および成膜方法によれば、加熱ボックス20を設け、加熱ボックス20内の温度は一定に保たれているため、基材34の表面からの熱の逃げを防ぎ、基材34の表面温度を安定に保つことができる。したがって、基材34の表面温度のバラツキを抑制することができるので、良好な特性の膜を成膜するための温度範囲(適正温度範囲)を広くとることができる。
加熱ボックス20は箱状であり、図1の場合、紙面の手前側および奥側にも壁面(図示せず)を有する。加熱ボックス20は、直方体状や、両底面にも壁面を有する円筒状など、適宜の形状を有するものが使用可能である。加熱ボックス20を構成するものとしては、例えば金属製のフレームと断熱材とを組み合わせた構造のものを挙げることができるが、加熱ボックス20中の温度を安定に保つことができるものであれば特に限定されない。
各ヒーター25は、赤外線などにより、基材34を非接触で直接加熱することができる。
ヒーター25は、例えば通電式の加熱ヒーターが挙げられる。
これらのヒーター25は、加熱ボックス20の内部を均等加熱して、加熱ボックス20内の温度を安定に保ち、加熱ボックス20内の基材34を所定の温度に保持するようになっている。これにより、基材34を高速に搬送しても、基材34を十分に加熱することができるので、成膜される材料等のため、より狭い温度範囲内に制御することが必要な場合でも、安定した温度制御が可能になる。したがって、膜い厚や特性が均一な膜を良好な生産性で成膜することができる。
基材34がターゲット6に対向する部分35を複数回通過するようにして、膜厚を大きくする場合にも、従来の成膜装置50では、基材60の裏面から加熱を行っていたため、成膜される基材60表面まで熱が伝わるのに若干の時間がかかり、基材60がヒーター対向領域を通過した後は温度低下するので、積層毎に数℃ずつ成膜温度を上げるなどの温度制御を行う必要があった。これに対して、本実施形態の成膜装置1によれば、加熱ボックス20と加熱ボックス20内を均等加熱するヒーター25とを設けたことにより、加熱ボックス20中の温度を安定に保つことができるため、成膜中の基材34表面の温度制御の安定性に優れ、膜厚を大きくするのに伴って成膜表面の温度が徐々に下がることも抑制できるので、温度設定を変化させる必要がない。したがって、本発明に係る成膜装置および成膜方法により、酸化物超電導膜を成膜する場合には、従来の成膜装置50のように、成膜温度を上昇させることにより起こる中間層と超電導層との界面反応を抑制することができる。そのため、特性を低下させることなく、厚い酸化物超電導膜を成膜することが可能となる。
本発明に係る成膜装置および成膜方法によれば、成膜される基材34表面(ターゲット6の構成粒子の堆積領域であるターゲット6に対向する部分35)の温度のバラツキを5度以内に制御して成膜することが好ましく、加熱ボックス20を設けたことにより、このように安定した温度制御か可能となるので、安定した特性の薄膜および厚い膜を成膜することができる。なお、本明細書および特許請求の範囲における「温度のバラツキを5度以内に制御する」とは、所望の温度に対して±2.5度以内の範囲に温度を制御することを意味する。
なお、この実施形態において、加熱ボックス20は転向部材群11の周囲および転向部材群11、14間にレーン状に配列されている基材34の長手半分位を覆うように形成されている。さらに、加熱ボックス20の上面部20cに、転向部材群11、14間に搬送される基材34を通過させるための穴23、24が設けられ、加熱ボックス20内には、ターゲット6に対向する転向部材群11のみが収容されている。このように、成膜領域(構成粒子の堆積領域)と、成膜領域に位置する転向部材群11と、転向部材群11に巻回された基材34とを囲むように加熱ボックス20を設けた場合は、加熱ボックス20の容積とヒーター25の設置面積をより小さくすることができ、成膜中の基材34を効率的に加熱することができるため好ましい。また、基材34は穴23から内部の温度が安定に保たれた加熱ボックス20内に入ってターゲット6に対向する部分35に到達するので、基材34がターゲット6に対向する部分35に到達するまでの時間内に、基材34の温度を成膜に望ましい温度範囲内まで上昇させることができる。さらに、本実施形態のように、成膜領域に近い側を囲んで加熱ボックス20を設けた場合、成膜領域を通過して穴24から加熱ボックス20の外部に搬送された基材34は、その表面温度を低下させることができるので、基材34の表面に成膜された膜の特性を良好にすることができる。すなわち、成膜領域を通過する際の基材34の表面温度は、成膜に適した温度となっているが、酸化物超電導膜を成膜する場合、成膜温度は例えば800℃程度と非常に高い温度とする必要がある。このような温度で成膜することにより、結晶配向性の良好な膜が成膜されるが、成膜後も高温で加熱を続けると、基材34である中間層と超電導層との界面反応が進行してしまい、結果的に特性の低い膜となってしまう。そのため、酸化物超電導膜を成膜する場合には、成膜後の基材34の温度を低下させて、中間層と超電導層との界面反応を防ぐ必要がある。本実施形態のように、加熱ボックス20を設けることにより、成膜時には800℃程度である基材34の温度を、成膜後、加熱ボックス20の外部を通過する際にはその温度を例えば200度程度まで低下させることができる。そして、200度程度まで温度を低下させた基材34を、また穴23から加熱ボックス20内部へと搬送し、再び800℃程度とした状態で成膜を行う。このように成膜時の加熱および成膜後の冷却を繰り返すことにより、中間層と超電導層との界面反応を防ぎつつ、厚い超伝導層を形成することができる。
なお、本発明は図1に示す形態に限られるものではなく、両方の転向部材11、14を加熱ボックス20に収容して加熱することもできる。この場合は、基材34が他方の転向部材群14を通過する間にも基材34を加熱ボックス20とヒーター25とで加熱して、温度制御することが可能になる。
加熱ボックス20の側壁部20aには、レーザー光発光手段5のレーザー光Lを取り込むための窓21が設けられている。また、加熱ボックス20の底面部20bには、ターゲット6の表面で生じたプルーム7を加熱ボックス20内に導入するための開口部22が設けられている。なお、本実施形態の場合、レーザー光発光手段5は処理容器2の内部に設置されている。このほか、処理容器2にも窓を設けて、レーザー光発光手段5を処理容器2の外に配置することもできる。
ターゲット6にレーザー光Lを照射するレーザー光発光手段5は、ターゲット6からその構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させることができるレーザー光Lを発生するものであれば良い。レーザーの波長、出力、照射エネルギー等は、ターゲット6の材質や成膜速度等に応じて、適宜設定することが可能である。
本実施形態のレーザー光発光手段5は、図2に示すように、ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置を、このターゲット6に対向する転向部材群11における転向部材11a〜11gの配列方向と同じ方向(図2の矢印R)に振幅(スキャン)させるようになっている。これにより、転向部材11a〜11gの周面上で移動方向が転向された基材34に対して、プルーム7により各基材34に達する構成粒子の濃度の均一性を高めることができる。また、基材34の幅方向において、膜厚や特性が均一な薄膜を効率良く成膜することが可能になる。また、構成粒子が基材34の表面に堆積して薄膜を形成する割合(収率)を向上させることができる。その結果、本実施形態の成膜方法および成膜装置1では、生産性を大幅に向上させることが可能になる。
レーザー光発光手段5は、レーザー光Lの照射位置を振幅させる手段(不図示)として、ミラーやプリズム、光ファイバ等を用い、レーザー光発光手段5からのレーザー光Lの出射方向を変更可能とした構成が挙げられる。なお、「ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置」とは、プルーム7の発生する位置を基材34の幅方向に振幅移動させるため、基材34を基準とした相対位置を意味する。
また、ターゲット6の表面がなるべく全面にわたって消費されるように、ターゲット6の表面におけるレーザー光Lの照射位置を連続的に移動させることが好ましい。そのため、ターゲット6を保持する手段(図示せず)が、レーザー光Lに対してターゲット6を任意の方向に並進または回転させる機構を備えることが好ましい。例えば、レーザー光発光手段5によるレーザー光Lの照射位置が基材34の幅方向に振幅移動するのに対して、例えば交互に、ターゲット6が基材34の長手方向に振幅移動することによって、ターゲット6の表面が局所的に消費されることを防ぎ、ターゲットの寿命を延ばすことができる。
また、レーザー光発光手段5は、上記のレーザー光Lの照射位置を振幅させる手段(不図示)に加えて、レーザー光Lをターゲット6の表面に対して照射する入射角度θを調整する手段(不図示)を備えることもできる。レーザー光Lの入射角度θを調整する手段(不図示)としては、例えば、レーザー光発光手段5とターゲット6との間にミラーを配置し、レーザー光発光手段5から出射したレーザー光Lの光路をミラーにて変更した上で、ターゲット6に照射できるようにしておき、このミラーを用い、その角度を変化させることによりレーザー光Lの入射角度θを調整する構成を例示できる。勿論、ミラーの傾斜角度を調整することで、ターゲット6に対する水平方向の照射位置も変更することができる。レーザー光Lの入射角度θが90°に近くなるにつれて、ターゲット6に入射されるレーザー光Lのターゲット6表面上のスポットサイズは小さくなり、そのエネルギー密度が大きくなる。一方、レーザー光Lの入射角度θが小さくなるにつれて、ターゲット6表面上のレーザー光Lのスポットサイズは大きくなり、そのエネルギー密度が小さくなる。レーザー光Lの入射角度θは40°以上とすることが好ましく、40°以上、60°以下とすることがより好ましく、40°以上50°以下とすることがさらに好ましい。入射角度θが40°未満の場合には、ターゲットに照射されるレーザー光Lのスポットサイズが大きくなるため、高特性の薄膜形成に必要なエネルギー密度の閾値を下回ってしまい、形成される薄膜の膜厚が減少し、高特性の薄膜を成膜できなくなる場合がある。また、入射角度θが60°を超えると、エネルギー密度は高くなるが、ターゲット6表面上のレーザー光Lのスポットサイズが小さくなりすぎてしまい、ターゲット6から叩き出され若しくは蒸発する構成粒子のプルーム7が放射状に広がり易くなるため、基材34表面に堆積される構成粒子の収率が低下し、成膜される薄膜の膜厚が減少してしまう場合がある。
なお、レーザー光発光手段5の振幅および入射角度θを調整する機構の他例として、レーザー光発光手段5に、上下又は左右に首振りするためのギアやモーターを備えた旋回機構や駆動機構も例示することができる。
加熱ボックス20に収容された転向部材11a〜11gは、比較的熱容量の大きいものが好ましい。転向部材11a〜11gは、加熱ボックス20内でヒーター25により常時加熱されている上、基材34と転向部材11a〜11gとの間で接触による熱の交換が起こっても温度の変動が生じにくい。これにより、基材34のターゲット6に対向する部分35の温度(およびその長手方向における前後の一定範囲内の温度)を、より安定して保持することができる。
転向部材11a〜11gがその半径方向の内側と外側で、異なる材質から構成される場合は、基材34に接触する外側の部分だけでも、基材34の温度を維持するのに十分な熱容量を有することが好ましい。
成膜条件にも耐える耐熱性を有し、転向部材11a〜11gの構成に適する材料としては、例えばインコネル(INCONEL(登録商標))が挙げられる。
次に、本発明の成膜方法について説明する。
本発明の成膜方法は、レーザー光Lによってターゲット6から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材34の表面上に堆積させ、基材34の表面上に薄膜を形成する成膜方法であって、基材34の移動方向を転向させる転向部材11を囲んで加熱ボックス20を設けるとともに、転向部材11に接した状態にある基材34の表面に対向するようにターゲット6を配し、転向部材11に基材34の裏面が接しつつ、基材34を長手方向に移動させた状態で、加熱ボックス20の中を均等加熱するヒーター25により、基材34を加熱し、ターゲット6にレーザー光Lを照射する位置を、34基材の幅方向と同じ方向(図2の矢印R方向)に振幅させ、基材34を構成粒子の堆積領域内を通過させることにより、基材34の表面上に構成粒子を堆積させて、基材34の表面上に薄膜を形成することを特徴とする。
以下、本発明の成膜装置1を用いた成膜方法の一実施形態として、基板34の上にYBaCuからなる酸化物超電導体薄膜31を形成する場合の成膜方法について説明する。本実施形態では、基材上に形成される薄膜として、酸化物超電導体薄膜を例に挙げて説明することとするが、この酸化物超電導体薄膜は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
ハステロイからなる基材32上にGdZr(GZO)からなる多結晶中間薄膜33が形成された基材34(薄膜積層体)を、多結晶中間薄膜33側がターゲット6側になるように転向部材11a〜11gに巻回する。また、酸化物超電導体のターゲットとしてYBaCuからなる長方形状のターゲット6をセットする。
次いで、処理容器2内を真空排気手段4により所定の圧力に減圧する。ここで必要に応じて処理容器2内に酸素ガスを導入して処理容器2内を酸素雰囲気としても良い。
次いで、送出リール12、転向部材群11及び巻取リール13を同時に駆動し、基材34を送出リール12から巻取リール13に向けて所定の速度にて移動させる。同時に、ヒーター25を作動させて、加熱ボックス20内を均等加熱して加熱ボックス20内を一定温度に保温しつつ、加熱ボックス20内の基材34を加熱し、基材34の表面温度を所望の温度に制御・保持する。この場合、薄膜が形成される基材34表面の温度のバラツキを5度以内に制御することにより、均一な特性の薄膜を形成することができるので好ましい。加熱ボックス20内の基材34表面の温度制御は、加熱ボックス20内の適所に複数の温度センサを設置しておき、加熱ボックス20内の基材34表面の温度が均一になるように複数のヒーター25を個別にON/OFF制御すること等によって行うことが好ましい。
次いで、レーザー光発光手段5によりレーザー光Lをターゲット6に照射する。この場合、レーザー光Lによりターゲット6から叩き出され若しくは蒸発される構成粒子は、その放射方向の断面積が拡大したプルーム7となり、基材34の表面上の堆積領域を覆う。
さらに、図2に示すように、レーザー光Lがターゲット6の表面に照射する位置を、基材34の幅方向と同じ方向(矢印R方向)に振幅させる。これにより幅方向において構成粒子の濃度を均一にすることができる。この時、レーザー光Lをターゲット6の表面に対して照射する入射角度θを調整する手段(不図示)により、レーザー光Lの入射角度θを所望の角度に設定して照射することもできる。これにより、構成粒子を均一な状態・濃度で基材34表面に堆積させることができるため、高特性膜を成膜することが可能となる。
そして、基材34を、転向部材群11に基材34の裏面が接しつつ、長手方向に移動する状態で、構成粒子の堆積領域(ターゲット6と対向する部分35)内を通過させる。
ここでは、基材34が転向部材郡11を周回する間に、基材34の表面上に酸化物超電導体からなる薄膜が成膜される。これにより、基材34の表面上には、幅方向において膜厚や特性が均一となされた酸化物超電導体薄膜31が成膜される。
本発明の成膜方法によれば、加熱ボックス20と加熱ボックス20の内部を均等加熱するヒーター25とを設けて、加熱ボックス20内の基材34を加熱することにより、薄膜が形成される基材34表面の温度を安定して制御することができるため、安定した特性の薄膜を形成することが可能となる。また、成膜される基材34表面の温度を安定に維持することができるので、積層毎のこまめな温度制御が必要なく、特性を低下させることなく厚い膜を成膜することができる。また、基材34の幅方向に対してレーザー光Lを振幅させることで、幅方向において構成粒子の濃度が均一になるため、幅方向に複数列を成すように配列された基材または幅広の基材に対しても、幅方向において膜厚や特性分布が均一になされた薄膜および厚い膜を形成することが可能となる。
さらに、本発明の成膜方法では、レーザー光Lの照射位置を基材34の幅方向(図2の矢印R方向)に振幅させることに加えて、レーザー光Lをターゲット6の表面に対して照射する入射角度θを調整して成膜することが好ましい。本発明の成膜装置1で上述したように、レーザー光Lの入射角度θを好ましい範囲として照射することにより、高特性の薄膜を形成することができる。
また、本発明の成膜方法では、レーザー光Lの出力に合わせて、レーザー光Lの照射位置を基材34の幅方向(矢印R方向)に振幅させる走査速度を調整することにより、基材34の表面上に薄膜を形成する際に、蒸着エリアにおける単位時間、単位面積当たりの成膜レート(μm/cm・s)を適正なレートに制御しながら成膜することが好ましい。具体的な成膜レートとしては、0.13μm/cm・s以下とすることが好ましく、0.1μm/cm・s以下とすることがより好ましい。成膜レートが0.13μm/cm・sを超える場合には、レーザー光Lによりターゲット6の表面から叩き出され若しくは蒸発する構成粒子が不均一になり易く、基材34に積層される薄膜の膜厚や特性が不均一となり、低特性膜となる場合がある。
本発明の成膜方法によれば、基材の表面上に薄膜を形成する際の成膜レートを0.13μm/cm・s以下とすることにより、膜厚や特性分布が均一な薄膜を、長時間に亘って安定して形成することが可能となる。したがって、本発明によれば、高特性膜を優れた生産性で成膜することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、図1および図2に示すように、基材34が転向部材群11により180°周回(ターン)される中間点領域に対向してターゲット6が配置される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、水平に設置したターゲット6の上に転向部材群11の回転軸を水平に設置し、基材34の裏面が転向部材群11に接しつつ、周回(ターン)が完了する直前または途中の領域36に対向して、ターゲット6を配置してもよい。レーザー光発光手段5、ターゲット6、転向部材群11および基材34の相対的な位置関係を図5に示すように配置することによって、レーザー光Lが基材34や転向部材群11によって遮られることがなく、基材34の幅方向(矢印R)に対してレーザー光Lを振幅させることができるため、形成される薄膜の幅方向において構成粒子の濃度が均一となり、膜厚や特性分布が均一な薄膜を成膜することが可能となる。また、図5に示すようにターゲット6を配置することにより、レーザー光Lを上述したように基材34の幅方向(矢印R)に振幅させることに加えて、さらに、ターゲット6の表面に対するレーザー光Lの入射角度θを適切な角度に調整しながら、レーザー光Lをターゲット6に照射することも可能である。この場合、レーザー光Lは、転向部材群11により周回(ターン)される基材34の搬送領域に遮られることなく、適切な入射角度θで照射されるため、構成粒子を均一な状態・濃度で基材34表面に堆積させることができ、高特性膜を成膜することができる。
なお、図5においては、水平に設置したターゲット6の上方に転向部材群11があり、ターゲット6と転向部材群11の側方からレーザー光Lを照射する例を示したが、転向部材群11、ターゲット6、レーザー光発光手段5の上下関係は逆でもよく、転向部材群11は水平配置でなくとも縦型配置でもよい。
本発明の成膜方法および成膜装置は、酸化物超電導膜の成膜用として、好適に用いることができる。
酸化物超電導膜を成膜する場合のターゲット6は、形成しようとする超電導膜31と同等または近似した組成、あるいは、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物の焼結体あるいは酸化物超電導体などの板材を用いることができる。酸化物超電導体としては、YBaCuに代表されるRE123系の酸化物超電導体が挙げられる。酸化物超電導膜は、臨界温度が90K以上のものが好ましい。酸化物超電導膜の厚みは、例えば1〜8μmとすることができる。
また、基材34としては、金属基材32の上に、イオンビームアシストデポジション(IBAD)法などによって、1層又は2層以上の多結晶中間薄膜33を形成したものが好ましい。多結晶中間薄膜33の材質としては、GdZr(GZO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。なかでも、立方晶系の結晶構造を有する結晶の集合した微細な結晶粒が多数相互に結晶粒界を介して接合一体化されているものが好ましい。多結晶中間薄膜33の厚さは、例えば1μm程度とされる。多結晶中間薄膜33において、各結晶粒の結晶軸のc軸は基材34の表面(成膜面)に対してほぼ垂直に向けられ、各結晶粒の結晶軸のa軸同士およびb軸同士は、互いに同一方向に向けて面内配向されていると、酸化物超電導膜をエピタキシャル成長させて結晶配向性に優れた薄膜を得ることができるので、好ましい。
また、本発明の成膜方法および成膜装置は、IBAD中間薄膜上に積層されるCeO中間層の成膜や、そのCeO中間層の上に積層される酸化物超電導膜の成膜などにも、好適に用いることができる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1〜8および比較例1〜9)
実施例では、図1および図2に示す本発明の成膜装置を用い、比較例では、図4に示す成膜装置を用いて、帯状の基材上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導膜(超電導層)を成膜した。
基材としては、実施例と比較例のいずれも共通に、幅10mm、厚さ0.1mmのハステロイ(登録商標)テープ上に、IBAD法により、GdZr(GZO)からなる厚さ1μmの多結晶中間薄膜(中間層)を形成したものを用いた。
結果を表1に示す。なお、Ic(A)は臨界電流、Jc(MA/cm)は臨界電流密度を示す。また、適正温度範囲とは、超電導層を形成する際に良好な特性の膜の成膜が可能である温度領域を示す。この適正温度範囲は、成膜される超電導材料により異なるが、表1においては、Y−Ba−Cu−O系の酸化物超電導膜(超電導層)の成膜に適した温度(約800℃)に対して、成膜温度を変化させて、臨界電流密度Jcが1.0MA/cm以上の特性の酸化物超電導体が得られた最高温度と最低温度との差を求め、適正温度範囲とした。
また、実施例1〜3および比較例6〜8について、超電導層の膜厚と臨界電流Icとの関係をプロットした結果を図7に示す。
Figure 2010121205
表1に示すように、比較例1〜9の成膜装置では、ターゲット上に基材が3レーンまたは5レーン並ぶように配列して成膜した。レーンの数をこれ以上増加させると、レーザー光が遮られてしまうため、ターゲットにレーザー照射することができなかった(多レーン化の問題)。一方、実施例1〜8の成膜装置では、レーザー光が基材に遮られることなく、照射位置のスキャン幅を容易に拡大することができるので、10mm×7レーン(実施例1〜6)、10mm×14レーン(実施例7、8)の多レーン化が実現できた。
比較例5〜9の成膜装置では、レーザーの最大発振周波数である300Hzを使用すると、単位面積および単位時間当たりの蒸着粒子量が多すぎるため、超電導層の結晶配向性が低下し、表面が荒れた状態の膜が成膜されてしまい、その表面積の増大により基材表面からの熱の逃げが多くなり、基材表面の温度低下の影響が生じた。さらに、比較例の成膜装置では、成膜される基材の裏面から加熱を行っているため、基材表面まで十分に加熱ができないと考えられ、その表面温度の制御が難しくなり、成膜領域における基材の表面温度を測定し、その温度分布差を測定したところ約20度程度のバラツキがあった。このため、適正な成膜温度範囲(適正温度範囲)が10〜20℃程度と狭くなり、臨界電流Icが最高でも370Aで、品質の良い膜ができなかった(適正成膜温度範囲の問題)。これに対し、実施例1〜8の成膜装置では、レーザーの最大発振周波数である300Hzを使用しても、レーザーを振幅させることにより(実施例1〜6ではスキャン幅75mm、実施例7、8ではスキャン幅150mm)、単位面積および単位時間当たりの蒸着粒子量を成膜に適した量とすることができ、特性や膜厚が均一な超電導層が成膜できた。また、加熱ボックスを設けたことによりターゲット等の駆動部による外乱を受けにくく、基材表面からの熱の逃げも防いで、成膜される基材表面の温度を安定して制御できるため、成膜領域における基材の表面温度を測定し、その温度分布差を測定したところ5度以内のバラツキに制御されていた。その結果、実施例1〜8では適正な成膜温度範囲(適正温度範囲)が20〜50℃程度と、比較例と比較して広くなり、安定した成膜が可能になった。線速が100m/hの例を除外すると、適正な成膜温度範囲が30〜50℃となり、さらに安定した成膜が可能になる。この結果より、本発明の成膜装置および成膜方法によれば、成膜される基材の表面温度を約5度以内のばらつきに制御し、均一な特性の超電導層を形成することができることは明らかである。
また、図7に示すように、比較例6〜8では、膜厚が小さい時の超電導特性(臨界電流Ic)は良好であるものの、膜厚が増加するに従い、成膜される基材表面への加熱がしにくくなり、積層毎の加熱温度を上昇させなければならないため、中間層と超電導層との界面反応が起こり、厚さ2μmを超えたあたりから超電導特性が伸びなくなってしまった。これに対し、実施例1〜3では、薄膜時の超電導特性(臨界電流Ic)は比較例6よりも低いものの、加熱ボックスを設けたことにより、厚膜化しても基材表面温度が安定して保たれるために加熱温度を上昇させる必要がないのでその超電導特性は低下せず、実施例3では膜厚4.2μmで臨界電流Icが820Aと、膜厚を大きくしつつ、高特性化を達成した。
比較例1〜4では、比較例5〜9においてレーザーの発振周波数を300Hzとすると単位面積および単位時間当たりの蒸着粒子量が多すぎるために、特性の良好な超電導層を成膜することができなかったため、レーザーの発振周波数を120Hz(最大発振周波数の40%)に抑えて成膜した。しかし、比較例1〜4では、基材の裏側(薄膜積層面とは反対側)から加熱しているため、成膜回数を増やして厚膜化を施す場合、成膜表面の温度が徐々に下がってしまい、積層ごとの温度を上げなければ成膜表面の温度を所定温度に維持できなかった。その際、弊害として中間層と超電導層との間で界面反応が進行し、内部の超電導層が反応により破壊してしまうため、結果として線速を抑えたまま成膜回数を増やして膜厚を大きくしたとしても、臨界電流Icが738A、臨界電流密度Jcが1.8MA/cmの膜が限界であった(比較例4)。また、比較例1〜4では、厚膜化(1.1μmから4.1μm)するに従って、基材表面への加熱が十分でなくなり、基材表面温度の制御が難しくなるため、適正温度範囲が狭くなり(40℃から10℃)、超電導特性である臨界電流密度Jcも1.1μmの薄膜の場合(比較例1)には3.5MA/cmと高特性であったが、膜厚を大きくするにしたがって特性が低下し、比較例4の膜厚4.1μmの場合には、Jcが1.8MA/cmまで低下してしまった。なお、適正温度範囲が10℃と狭い場合には、基材表面温度の制御が難しい従来の装置では、これ以上の厚膜化は現実的に不可能である。
一方、実施例では膜厚を大きくしてもその超電導特性は低下せず、実施例3では臨界電流Icが820A、臨界電流密度Jcが2.0MA/cm、実施例8では臨界電流Icが980A、臨界電流密度Jcが2.4MA/cmの試料が得られた。実施例の成膜装置では、成膜温度(加熱ボックス内部の温度)を800℃とし、加熱ボックスの外部では基材の温度を最も温度の低い部分で約200度まで低下させて、成膜時の加熱と成膜後の冷却を繰り返して積層を行ったことにより、中間層と超電導層との界面反応を抑制しながら膜厚を大きくすることを行った。その結果、実施例8では膜厚4.1μmで、臨界電流密度Jcが2.4MA/cm、臨界電流Icが980Aの線材作製に成功した。
さらに、実施例3と比較例4とを比較すると、比較例4では4.1μmの厚い膜が成膜できてはいるものの、レーザー発振周波数が120Hzであるために成膜レートが遅く、線速40m/hで成膜回数を10回必要とした。これに対し、実施例3では、線速40m/hで成膜回数6回で4.2μmの厚い膜が成膜できていることから、比較例4よりも良好な生産性で厚い膜を成膜できることが明らかである。また、線速および成膜回数が同一の実施例3と比較例2とを比較すると、実施例3では4.2μmの厚い膜が成膜できているが、比較例2では2.4μmの膜しか成膜できておらず、この結果よりも、本発明に係る成膜装置および成膜方法によれば、従来の成膜装置と比較して生産性を向上させることができることが明らかである。
また、長尺線材の作製を考慮した場合、レーザー発振器の連続発振時間や、ターゲットの長時間使用によるターゲット表面荒れに起因するプルームの不安定化等により、連続成膜時間に制限が生じる。このため、できるだけ速い線速で成膜する必要がある。しかしながら、比較例の成膜装置で線速を40m/hから60m/hに速めて成膜すると(比較例9)、ヒーターで加熱された基台との接触により基材表面の温度を維持しているために、線速増加に伴う加熱時間の短縮により加熱が不十分となり、臨界電流Icが140Aと、高特性膜を形成することができなかった(高線速化の問題)。これに対し、実施例の成膜装置では、線速80m/hまでは安定した温度で成膜が可能であり、線速80m/hでも350Aに近いIc値の線材作製が可能であった(実施例5)。また、実施例6では100m/hでも、Icが343A、Jcが2.1MA/cmの優れた値を示している。
(実施例9〜16)
図1に示すような本発明の成膜装置を用い、レーザー光の照射をターゲット表面に対する入射角度を変化させて、帯状の基材(テープ幅10mm)上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体薄膜を形成した。なお、基材として、上記実施例1〜8と同じ構成のものを用いた。
形成した酸化物超電導体薄膜について、レーザー入射角度、レーザー光のスポットサイズ、膜厚、臨界電流(Ic)、臨界電流密度(Jc)を表2に示す。なお、レーン数:7、スキャン幅:75mm、基材の搬送速度(作製速度):20m/h、レーザー出力:180W(1パルスエネルギー約400mJ)として、成膜を行った。
Figure 2010121205
表2に示したように、レーザー入射角度θに応じてターゲット表面に照射されるレーザー光のスポットサイズは変化する。レーザー入射角度θが90°の場合にスポットサイズが最小となり、ターゲット表面に照射されるレーザー光のエネルギー密度が大きくなると考えられるが、装置の構造上、レーザー光の照射光路がレーンに遮られる為、実際には不可能である。表2の結果より、本発明の成膜装置及び成膜方法では、レーザー入射角度が40°以上、60°以下の場合に優れた特性の薄膜が形成されている。中でも、レーザー入射角度が40°以上、50°以下の場合(実施例12〜14)には、膜厚が1.6μm以上で、臨界電流密度Jcが3.0MA/cm以上の高特性膜を形成することができている。レーザー入射角度が40°未満の場合には、ターゲットに照射されるレーザー光のスポットサイズが大きくなるため、高特性の薄膜形成に必要なエネルギー密度の閾値を下回ってしまい、形成される薄膜の膜厚が減少し、臨界電流密度Jcも低くなってしまう。
以上により、本発明の成膜方法及び成膜装置を用いることにより、高特性の薄膜を形成することが可能となる。また、帯状で広幅の基材を用いることにより、構成粒子の収率を著しく向上させることもできる。その結果、優れた特性の薄膜を良好な生産性で成膜することが可能となる。
(実施例17〜22および比較例10、11)
図1に示すような本発明の成膜装置を用い、蒸着エリアにおける単位時間、単位面積当たりの成膜レート(μ/cm・s)を変化させて、帯状の基材(テープ幅10mm)上にY−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体薄膜を形成した。なお、基材として、上記実施例1〜8と同じ構成のものを用いた。
形成した酸化物超電導体薄膜について、レーザー出力、レーザー走査、成膜レート、膜厚、臨界電流(Ic)、臨界電流密度(Jc)を表3に示す。ここで、表3におけるレーザー走査としては、1倍エリアは4cmを示す。なお、レーン数:7、基材の搬送速度(作製速度):20m/h、レーザーの1パルスエネルギー:約400mJとして、成膜を行った。また、比較例10、11として、図4に示すような成膜装置を用い、レーザー走査を行わない例を示した。
Figure 2010121205
表3の結果より、レーザー走査を行わない比較例10および11では、成膜レートが高くなり、基材の幅方向の膜厚も均一とすることができないため、臨界電流密度Jcが1.5MA/cm以下の低い特性の薄膜となっている。一方、本発明のレーザー走査を行う成膜装置および成膜方法では、高特性の薄膜が成膜されている。中でも、成膜レートを0.13μm/cm・s以下、より好ましくは0.1μm/cm・s以下であって、0.06〜0.02μm/cm・sの範囲とした場合(実施例18〜20、22)は、いずれも臨界電流密度Jcが3.0MA/cm以上の高特性の薄膜を成膜することができている。また、本発明の成膜装置および成膜方法によれば、レーザー出力が大きい場合にも、レーザー走査速度を上げて成膜レートを0.13μm/cm・s以下、より好ましくは0.1μm/cm・s以下に制御することが可能であるため、高特性膜を長時間に亘って安定して成膜することができる。さらに、帯状で広幅の基材を用いることにより、構成粒子の収率を著しく向上させることもできる。その結果、優れた特性の薄膜を良好な生産性で成膜することが可能となる。
以上、本発明の成膜方法及び成膜装置について説明してきたが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更が可能である。
上述した実施例では、酸化物超電導体薄膜を形成する場合について、本発明の成膜方法及び成膜装置を適用した例を詳述したが、例えば、IBAD中間薄膜上にCeO中間層を形成し、次いで酸化物超電導体薄膜を形成する場合においては、本発明の成膜方法及び成膜装置をCeO中間層の形成にも使用することが可能である。
本発明は、レーザー光をターゲットに照射して、このターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、この構成粒子を帯状の基材上に堆積させることにより薄膜を形成する成膜方法及び成膜装置に広く適用可能である。
L…レーザー光、1…成膜装置、2…処理容器、5…レーザー光発光手段、6…ターゲット、7…プルーム、10…搬送手段、11…転向部材群、11a〜11g…転向部材、20…加熱ボックス、25…ヒーター、31…薄膜(酸化物超電導膜)、34…基材、35…基材の転向部材によって移動方向が転向した部分。

Claims (10)

  1. レーザー光によってターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜方法であって、
    前記基材の移動方向を転向させる転向部材を囲んで加熱ボックスを設けるとともに、前記転向部材に接した状態にある前記基材の表面に対向するようにターゲットを配し、
    前記転向部材に前記基材の裏面が接しつつ、前記基材を長手方向に移動させた状態で、前記加熱ボックスの中を均等加熱するヒーターにより、前記基材を加熱し、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させ、前記基材を前記構成粒子の堆積領域内を通過させることにより、前記基材の表面上に前記構成粒子を堆積させて、前記基材の表面上に薄膜を形成することを特徴とする成膜方法。
  2. 前記転向部材は、前記帯状の基材の幅に応じた軸方向の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記構成粒子の堆積領域と、その領域に位置する転向部材と、その転向部材に巻回された基材とを囲むように前記加熱ボックスを設け、その加熱ボックス内で前記基材を加熱することを特徴とする請求項1または2記載の成膜方法。
  4. 前記構成粒子の堆積領域内を通過する前記基材の表面温度のバラツキを5度以内とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の成膜方法。
  5. レーザー光によってターゲットから叩き出され若しくは蒸発した構成粒子を帯状の基材の表面上に堆積させ、前記基材の表面上に薄膜を形成する成膜装置であって、
    前記基材の移動方向を転向させる転向部材と、
    前記転向部材によって移動方向が転向した状態にある基材を、その長手方向に搬送する搬送手段と、
    前記転向部材に接した状態にある前記基材の表面に対向するように配されたターゲットと、
    前記ターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段と、
    前記転向部材を囲んで設けられた加熱ボックスと、
    前記加熱ボックスの中を均等加熱するヒーターと、
    を少なくとも備え、
    前記加熱ボックスは、前記ヒーターにより、前記基材を加熱するものであり、
    前記レーザー光発光手段は、前記ターゲットに前記レーザー光を照射する位置を、前記基材の幅方向と同じ方向に振幅させるものであることを特徴とする成膜装置。
  6. 前記転向部材は、前記帯状の基材の幅に応じた軸方向の長さを有することを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記加熱ボックスが、前記構成粒子の堆積領域と、その領域に位置する転向部材と、その転向部材に巻回された基材とを囲むように設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の成膜装置。
  8. 前記ヒーターにより前記加熱ボックス中の温度を制御して、前記ターゲットに対向する前記基材の表面温度のバラツキを5度以内に制御することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の成膜装置。
  9. 前記ヒーターが、前記加熱ボックスに配されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の成膜装置。
  10. 酸化物超電導膜の成膜用であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の成膜装置。
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