JP2015206106A - 脱ガス装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、これらの薄膜を効率よく成膜する方法として、フィルムをロール状に巻回してなるロールからフィルムを送り出し、長手方向に搬送しつつ成膜や表面処理等の所定の処理を行い、成膜済のフィルムをロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール法(Roll to Roll法 以下、RtoR法とも言う)が知られている。
従って、アモルファス半導体等の成膜において、高品質な薄膜を成膜するためには、成膜基板となるフィルムに、水分などの揮発性成分が含まれていないことが重要である。
例えば、特許文献1には、主に薄膜太陽電池の製造に利用されるRtoR法による脱ガス処理装置において、脱ガス処理を行う真空チャンバを、フィルムが通過するスリットで連通する第1槽および第2槽に分けて、第1槽に不活性ガスを導入することにより、上流側の第1槽の圧力を、下流側の第2槽の圧力よりも高くする装置が記載されている。
特許文献1に記載される装置は、このような構成を有することにより、排出されるガスが多い第1槽では、フィルム表面へのガスの最付着を防止すると共に、熱伝達性を向上し、他方、排出されるガスが少なくなる第2槽では、圧力を低くして、フィルムからのガスの除去を好適に行うことができる。
しかしながら、従来の脱ガス装置では、搬送中に、様々な要因で、フィルムの温度が下がってしまい、適正な脱ガス処理を安定して行うことが難しい。
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内を排気する真空ポンプと、
前記真空チャンバ内に配置される、前記フィルムを搬送するための複数のローラと、
前記フィルムを加熱するフィルム加熱手段、前記真空チャンバのチャンバ壁を加熱する1以上の壁加熱手段、および、前記ローラの1以上に設けられるローラ加熱手段とを有することを特徴とする脱ガス装置を提供する。
また、前記ローラ加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となるのが好ましい。
また、前記ローラ加熱手段で加熱されるローラがフリーローラであるのが好ましい。
また、前記ローラ加熱手段によって加熱されるローラの内、前記壁加熱手段との距離が20mm以下のローラを3本以上有するのが好ましい。
さらに、前記フィルム加熱手段を1つのみ有するのが好ましい。
そのため、本発明の脱ガス装置を利用することにより、薄膜太陽電池やタッチパネルの製造において、基板となるフィルムの上に、水分等に起因する劣化が少ない高品質な膜を成膜することができる。
図1に示す脱ガス装置10は、RtoR法によって、フィルムFの脱ガス処理を行うものである。すなわち、脱ガス装置10は、例えば、薄膜太陽電池やタッチパネル等の製造において、フィルムFの搬送方向の上流(以下、単に上流、逆側を下流とも言う)側の装置Xから供給されたフィルムF(ウェブ)を、長手方向に搬送しつつ脱ガス処理を行い、脱ガス処理を行ったフィルムFを、下流側の装置Yに搬送する。
なお、脱ガス装置10は、図示した部材以外にも、フィルムFの搬送ガイド、温度測定手段、圧力測定手段、不活性ガスの導入手段、真空チャンバ12を開放/閉塞するための扉、真空チャンバ12の内部監視手段等、公知のフィルムFからの脱ガス装置が有する各種の部材を有してもよい。
フィルム加熱手段20によって所定の温度に加熱されたフィルムFは、ローラ16a〜16jによって所定の経路で搬送されつつ、脱ガス処理を施され、上面に形成されたスリット12bを通り、真空チャンバ12から排出されて、下流側の装置Yに搬送される。
従って、装置Xは、フィルムFを巻回してなるフィルムロールからフィルムFを送り出す巻出し装置(アンワインダ)でも、フィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、フィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。他方、装置Yも、脱ガス処理を施されたフィルムFを巻き取る巻取り装置(ワインダ)でも、脱ガス処理を施されたフィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、脱ガス処理を施されたフィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート等の各種の樹脂材料からなるフィルム等が好適に例示される。
また、脱ガス装置10は、必要に応じて、真空チャンバ12内の圧力を下げるために、補助手段として公知のクライオコイルを用いてもよい。なお、脱ガス装置10は、クライオコイルを、1個のみ用いてもよく、複数のクライオコイルを用いてもよい。さらに、本発明においては、圧力を下げるための補助手段は、クライオコイル以外にも、公知の各種のものが利用可能である。
上流の装置Xから搬送されたフィルムFは、ローラ16a〜16bによって所定方向にガイドされて搬送されて、ローラ16aの上流に配置されるフィルム加熱手段20で加熱されて、脱ガス処理に対応する所定温度まで昇温される。
具体的には、フィルム加熱手段20は、加熱ローラ、温風による加熱手段、熱電ヒータを利用する加熱手段等、公知のフィルム状物(シート状物)の加熱手段が、各種利用可能である。
また、図1に示す脱ガス装置10においては、好ましい態様として、フィルム加熱手段20は、真空チャンバ12の内部に配置されている。しかしながら、本発明の脱ガス装置では、真空チャンバ12へのフィルムFの入り口となるスリット12aの直上流など、真空チャンバ12の外部にフィルム加熱手段を設けてもよい。
ここで、フィルム加熱手段20は、下流に配置する程、フィルム加熱手段20で加熱した後の真空チャンバ12内における加熱後のフィルムFの搬送長すなわちフィルムFの搬送時間が短くなり、脱ガス処理の効率が悪くなる。
従って、フィルム加熱手段20は、真空チャンバ12の内部に配置する場合には、装置構成やメンテナンスを行う際の作業性等に応じて、できるだけ上流側に配置するのが好ましい。
また、フィルム加熱手段20を真空チャンバ12の外部に配置する場合には、加熱後の温度降下を少なくするために、フィルム加熱手段20は、できるだけ真空チャンバ12への入り口となるスリット12aの近傍に配置するのが好ましい。
しかしながら、本発明の脱ガス装置10は、フィルムFを加熱するフィルム加熱手段20に加え、各ローラを加熱するローラ加熱手段26およびチャンバ壁(真空チャンバ12の壁)を加熱するチャンバ壁加熱手段24を有する。そのため、後述するが、脱ガス装置10によれば、フィルム加熱手段20で加熱されたフィルムFを、真空チャンバ12内において、温度を保った状態で搬送できる。
従って、本発明によれば、通常、フィルム加熱手段20は、フィルムFの搬送方向の一カ所のみに設ければよい。しかしながら、本発明の脱ガス装置10においては、必要に応じて、フィルムFの搬送方向の複数箇所に、フィルム加熱手段20を設けてもよい。
ローラ16a〜16jは、RtoR法を利用する装置に用いられる公知のローラで、通常は、ステンレス等の金属ローラである。
しかしながら、ローラ16a〜16jの内の幾つかは、必要に応じて、駆動ローラであってもよい。また、ローラ16a〜16jの内の幾つかは、必要に応じて、フィルムFの張力を検出するテンションピックアップ、フィルムFの張力を調整するテンションコントローラなど、フィルムFを所定経路に案内する以外の機能を有してもよい。
ローラ加熱手段26を設けられるローラに、テンションコントロールやテンションピックアップ等の機能を持たせると、ローラが有する熱が、テンション調整やテンションの検出結果に影響を与える可能性が有る。
従って、これらの機能を持たせるローラには、ローラ加熱手段26を設けないのが好ましい。言い換えれば、ローラ加熱手段26を設けられるローラは、従動ローラで、かつ、テンションコントロール等の機能も有さない、フリーローラであるのが好ましい。すなわち、本発明において、好適なフリーローラとは、フィルムを案内する以外の機能を有さないローラである。
図示例の脱ガス装置10は、上下方向に配列されたローラを横方向に離間して配置することにより、フィルムFを横方向に往復するように搬送して、狭い空間内すなわち小さな真空チャンバ12内でも、長いフィルムFの搬送長を確保できるようにしている。
さらに、本発明の脱ガス装置10は、フィルム加熱手段20およびローラ加熱手段26に加えて、真空チャンバ12の天井面の1箇所、ならびに、左側および右側の内側面に、真空チャンバ12のチャンバ壁を主に加熱するためのチャンバ壁加熱手段24が設けられる。
本発明の脱ガス装置10は、RtoR法を利用するフィルムFからの脱ガス装置において、フィルムFの加熱手段、ローラの加熱手段、および、チャンバ壁の加熱手段の3つの加熱手段を有することにより、安定して適正な脱ガスを行うことを可能にしている。
ここで、本発明者らの検討によれば、適正な脱ガス処理を安定して行うためには、脱ガスに対応する所定温度に昇温したフィルムFを、温度を低下させることなく、適宜設定した脱ガスが好適に進行する温度以上に保って、所定の搬送長(すなわち、搬送速度に応じた脱ガス処理の時間)、真空チャンバ12内でフィルムFを搬送するのが有効である。
ここで、特許文献1にも記載されるように、脱ガス装置では、フィルムの搬送に加熱ローラ(ローラの加熱手段を設けられたローラ)を用いることは、公知である。加熱ローラを用いることにより、ローラによるフィルムFの冷却は、防止できる。
ところが、本発明者らの検討によれば、ローラを加熱して、ローラによるフィルムFの温度低下を抑制しても、放射によって真空チャンバ12の壁面から熱が奪われて、フィルムFの温度が下がってしまう。
そのため、本発明の脱ガス装置10によれば、ローラによるフィルムFの温度低下のみならず、放射によるフィルムFの温度低下も抑制して、真空チャンバ12内において、フィルム加熱手段20で加熱したフィルムFを、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保って、搬送できる。これにより、本発明の脱ガス装置10は、適正なフィルムFの脱ガス処理を、安定して行うことができる。
具体的には、電熱ヒータ、温媒循環手段等が例示される。
なお、図示例の脱ガス装置10では、ローラ加熱手段26はローラ16a等に内蔵されている。しかしながら、本発明の脱ガス装置では、外部からローラを加熱するローラ加熱手段も利用可能である。
なお、このローラ加熱手段26で加熱されたローラ16a等の温度と、フィルム加熱手段20で加熱されたフィルムFの温度とは、同じ温度でも異なる温度でもよい。この点に関しては、後述するチャンバ壁加熱手段24も同様である。
ここで、ローラ加熱手段26を設けられたローラ16a等の間隔は、フィルムFの目的温度や、フィルムFの搬送速度にもよるが、本発明者の検討によれば、ローラ16a等の間でのフィルムFの温度低下が10℃以下となるような間隔とするのが好ましい。
このような間隔を適切に選べば、例えばフィルムFの設定温度が100℃の場合、各ローラ加熱手段26で、ローラ16a等の温度が110℃とになるよう加熱することで、フィルムFのすべての地点における温度を100〜110℃の範囲内に収めることができる。
また、フィルムFの種類(形成材料や厚さなど)によっては、フィルムFを、室温から脱ガス処理に対応する所定温度まで急に加熱すると、フィルムFに悪影響を与える可能性も有る。そのため、必要に応じて、フィルム加熱手段20よりも上流にローラを配置して、このローラにローラ加熱手段26を設けてもよい。
具体的には、シースヒータ、リボンヒータ等が例示される。中でも、シースヒータは、好適に利用される。
すなわち、本発明の脱ガス装置10において、チャンバ壁加熱手段24の位置および数は、真空チャンバ12の構造や形状、真空チャンバ12の形成材料、フィルムFの搬送経路(ローラの位置)、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送長、フィルムFの幅方向の温度差等に応じて、フィルム加熱手段20の下流において、フィルムFを適宜設定した温度以上に保てるように、シミュレーションや実験等を行って、1カ所以上を、適宜、選択すればよい。
この点を考慮すると、本発明の脱ガス装置10においては、ローラ加熱手段26が設けられたローラ16a等の内、チャンバ壁加熱手段24との距離が20mm以下のローラを、3本以上、有するのが好ましい。図示例の脱ガス装置10においては、ローラ加熱手段26が設けられた全てのローラが、これに相当する。
これに対して、図2に概念的に示すように、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に3分割して、幅方向の中央のヒータ24aよりも、外側のヒータ24bおよび24cの温度を高くすることで、ローラの温度すなわちフィルムFの温度を幅方向で均一にできる。従って、このような構成を有することにより、フィルムFの全面に渡って、フィルムFの温度を、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保つことが可能になる。
特に、図2に示すチャンバ壁の左側内面に配置されるチャンバ壁加熱手段24のように、ローラすなわちフィルムFの搬送経路と対面して配置されるチャンバ壁加熱手段24は、このような分割の効果が大きい。
また、図2に示す例においては、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に3分割しているが、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に4以上に分割して、中央から幅方向の外側に向けて、漸次、加熱温度を高くするようにしてもよい。
さらに、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に分割するのではなく、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に加熱温度を可変として、中央から幅方向の外側に向けて、漸次、加熱温度を高くするようにしてもよい。
これによれば、ローラ16a等の温度を幅方向の全域で均一にして、フィルムFの温度を幅方向に均一にできる。従ってこのような構成を有することにより、フィルムFの全面に渡って、フィルムFの温度を、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保つことが可能になる。
また、ローラ16a〜16jのいずれかにフィルムFを掛け回さない、ローラ16a〜16jにおけるフィルムFを掛け回す順番を変更する等によって、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送経路を変更できるようにしてもよい。
なお、脱ガス装置10は、フィルムFの搬送駆動源を有さず、装置Xや装置Yなど、脱ガス装置10の上下流に配置される装置によるフィルムFの搬送を、脱ガス装置10におけるフィルムFの搬送駆動源として利用してもよい。
12 真空チャンバ
14 真空ポンプ
16a〜16j ローラ
20 フィルム加熱手段
24 チャンバ壁加熱手段
26 ローラ加熱手段
Claims (6)
- フィルムを長手方向に搬送しつつ、前記フィルムの脱ガス処理を行う脱ガス装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内を排気する真空ポンプと、
前記真空チャンバ内に配置される、前記フィルムを搬送するための複数のローラと、
前記フィルムを加熱するフィルム加熱手段、前記真空チャンバのチャンバ壁を加熱する1以上の壁加熱手段、および、前記ローラの1以上に設けられるローラ加熱手段とを有することを特徴とする脱ガス装置。 - 前記壁加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となる請求項1に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となる請求項1または2に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ加熱手段で加熱されるローラがフリーローラである請求項1〜3のいずれかに記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ加熱手段によって加熱されるローラの内、前記壁加熱手段との距離が20mm以下のローラを3本以上有する請求項1〜4のいずれかに記載の脱ガス装置。
- 前記フィルム加熱手段を1つのみ有する請求項1〜5のいずれかに記載の脱ガス装置。
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