JP2015206106A - 脱ガス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール・トゥ・ロール法によって、フィルムの脱ガス処理を安定して適正に行うことを可能にする脱ガス装置を提供する。【解決手段】脱ガス装置10は、フィルムFの脱ガス処理を行う真空チャンバ12内に、フィルムFを搬送するための複数のローラ16a〜16j、フィルムFを加熱するフィルム加熱手段20、真空チャンバのチャンバ壁を加熱する壁加熱手段24、及び、ローラ16a〜16jを加熱するローラ加熱手段26を設けることにより構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムから水分等の脱ガス処理を行う脱ガス装置に関する。詳しくは、ロール・トゥ・ロール法によって、フィルムの脱ガス処理を、安定して適正に行うことができる脱ガス装置に関する。
薄膜太陽電池やタッチパネルの製造において、基板となるフィルムに、スパッタリング等の気相成膜法によって、目的とする機能を発現するアモルファス半導体やITO(Indium Tin Oxide(酸化インジウム錫))などの薄膜を成膜することが行われている。
また、これらの薄膜を効率よく成膜する方法として、フィルムをロール状に巻回してなるロールからフィルムを送り出し、長手方向に搬送しつつ成膜や表面処理等の所定の処理を行い、成膜済のフィルムをロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール法(Roll to Roll法 以下、RtoR法とも言う)が知られている。
ところで、気相成膜法では、意図的あるいは不可避的に、成膜基板となるフィルムが加熱される場合が多い。また、気相成膜法では、通常、真空チャンバ内を所定の圧力に減圧して成膜を行う。そのため、フィルムが水分等を含んでいると、成膜過程において、フィルムから水分等が放出され、これらの成分が不純物として膜中に混入する。また、このような不純物は、適正な成膜の阻害要因にもなる。
従って、アモルファス半導体等の成膜において、高品質な薄膜を成膜するためには、成膜基板となるフィルムに、水分などの揮発性成分が含まれていないことが重要である。
このような不都合を回避するために、薄膜太陽電池やタッチパネルの製造においては、アモルファス半導体やITO等の成膜に先立ち、フィルム中に含まれる水分や、その他の揮発性成分を除去する、いわゆる脱ガス処理が行われる。
この脱ガス処理を適正に行うために、各種の脱ガス装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、主に薄膜太陽電池の製造に利用されるRtoR法による脱ガス処理装置において、脱ガス処理を行う真空チャンバを、フィルムが通過するスリットで連通する第1槽および第2槽に分けて、第1槽に不活性ガスを導入することにより、上流側の第1槽の圧力を、下流側の第2槽の圧力よりも高くする装置が記載されている。
特許文献1に記載される装置は、このような構成を有することにより、排出されるガスが多い第1槽では、フィルム表面へのガスの最付着を防止すると共に、熱伝達性を向上し、他方、排出されるガスが少なくなる第2槽では、圧力を低くして、フィルムからのガスの除去を好適に行うことができる。
特開2000−299481号公報
ここで、本発明者らの検討によれば、RtoR法によってフィルムの脱ガス処理を行う装置では、適正に脱ガス処理を行うためには、フィルムを脱ガスに対応する所定温度まで上昇したら、フィルムの温度を下げることなく、温度を保った状態で、真空チャンバ内でフィルムを搬送することが重要である。
しかしながら、従来の脱ガス装置では、搬送中に、様々な要因で、フィルムの温度が下がってしまい、適正な脱ガス処理を安定して行うことが難しい。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、例えば薄膜太陽電池やタッチパネルなど製造工程において、RtoR法によって基板となるフィルムの脱ガス処理を行う脱ガス装置であって、フィルムの温度を脱ガスに対応する所定温度まで上昇したら、それ以降、フィルムを適宜設定した温度以上の状態で真空チャンバ内にてフィルムを搬送することができ、これにより、適正な脱ガス処理を安定して行うことができる脱ガス装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の脱ガス装置は、フィルムを長手方向に搬送しつつ、前記フィルムの脱ガス処理を行う脱ガス装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内を排気する真空ポンプと、
前記真空チャンバ内に配置される、前記フィルムを搬送するための複数のローラと、
前記フィルムを加熱するフィルム加熱手段、前記真空チャンバのチャンバ壁を加熱する1以上の壁加熱手段、および、前記ローラの1以上に設けられるローラ加熱手段とを有することを特徴とする脱ガス装置を提供する。
このような本発明の脱ガス装置において、前記壁加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となるのが好ましい。
また、前記ローラ加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となるのが好ましい。
また、前記ローラ加熱手段で加熱されるローラがフリーローラであるのが好ましい。
また、前記ローラ加熱手段によって加熱されるローラの内、前記壁加熱手段との距離が20mm以下のローラを3本以上有するのが好ましい。
さらに、前記フィルム加熱手段を1つのみ有するのが好ましい。
このような本発明の脱ガス装置によれば、フィルムを脱ガス処理に対応する温度まで昇温したら、それ以降、フィルムの温度を下げることなく、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保って真空チャンバ内でフィルムを搬送することができる。従って、本発明の脱ガス装置によれば、薄膜太陽電池やタッチパネルの基板となるフィルムから、適正な脱ガス処理を安定して行うことができる。
そのため、本発明の脱ガス装置を利用することにより、薄膜太陽電池やタッチパネルの製造において、基板となるフィルムの上に、水分等に起因する劣化が少ない高品質な膜を成膜することができる。
本発明の脱ガス装置の一例を概念的に示す図である。 図1に示される脱ガス装置に用いられるチャンバ壁加熱手段の一例を概念的に示す図である。
以下、添付の図面を基に、本発明の脱ガス装置について詳細に説明する。
図1に、本発明の脱ガス装置の一例を概念的に示す。
図1に示す脱ガス装置10は、RtoR法によって、フィルムFの脱ガス処理を行うものである。すなわち、脱ガス装置10は、例えば、薄膜太陽電池やタッチパネル等の製造において、フィルムFの搬送方向の上流(以下、単に上流、逆側を下流とも言う)側の装置Xから供給されたフィルムF(ウェブ)を、長手方向に搬送しつつ脱ガス処理を行い、脱ガス処理を行ったフィルムFを、下流側の装置Yに搬送する。
このような脱ガス装置10は、基本的に、真空チャンバ12と、真空ポンプ14と、ローラ16a〜16jと、フィルム加熱手段20と、チャンバ壁加熱手段24とを有して構成される。また、ローラ16a〜16iは、ローラ加熱手段26を内蔵している。
なお、脱ガス装置10は、図示した部材以外にも、フィルムFの搬送ガイド、温度測定手段、圧力測定手段、不活性ガスの導入手段、真空チャンバ12を開放/閉塞するための扉、真空チャンバ12の内部監視手段等、公知のフィルムFからの脱ガス装置が有する各種の部材を有してもよい。
脱ガス装置10において、上流側の装置Xから搬送されたフィルムFは、底面に形成されたスリット12aから所定の圧力に減圧された真空チャンバ12内に搬送され、ローラ16a〜16bによって所定方向に案内されて搬送されつつ、フィルム加熱手段20によって、予め設定された所定温度(所定の脱ガス温度)まで昇温される。
フィルム加熱手段20によって所定の温度に加熱されたフィルムFは、ローラ16a〜16jによって所定の経路で搬送されつつ、脱ガス処理を施され、上面に形成されたスリット12bを通り、真空チャンバ12から排出されて、下流側の装置Yに搬送される。
なお、本発明の脱ガス装置10において、脱ガス装置10にフィルムFを供給する上流側の装置X、および、脱ガス装置10から脱ガス処理したフィルムFを供給される装置Yは、脱ガス装置10が製造に利用される製品等に応じて、各種の装置が利用可能である。
従って、装置Xは、フィルムFを巻回してなるフィルムロールからフィルムFを送り出す巻出し装置(アンワインダ)でも、フィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、フィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。他方、装置Yも、脱ガス処理を施されたフィルムFを巻き取る巻取り装置(ワインダ)でも、脱ガス処理を施されたフィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、脱ガス処理を施されたフィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。
さらに、本発明の脱ガス装置10で脱ガス処理を行うフィルムFも、公知の樹脂フィルムが、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート等の各種の樹脂材料からなるフィルム等が好適に例示される。
図示例の脱ガス装置10において、真空チャンバ12は、内部を目的とする真空度に維持可能であれば、各種の脱ガス装置に利用される、ステンレス等で形成される公知の真空チャンバが利用可能である。真空チャンバ12には、必要に応じて腐食防止などを目的にメッキ処理が成されてもよい。
真空ポンプ14も、真空チャンバ12の内部における脱ガス処理により発生した気体を十分に排気することができ、目的とする真空度が得られるものであれば、公知の各種の真空ポンプが利用可能である。具体的には、油拡散ポンプ、油回転ポンプ、クライオポンプ、ターボ分子ポンプ等が例示される。
また、脱ガス装置10は、必要に応じて、真空チャンバ12内の圧力を下げるために、補助手段として公知のクライオコイルを用いてもよい。なお、脱ガス装置10は、クライオコイルを、1個のみ用いてもよく、複数のクライオコイルを用いてもよい。さらに、本発明においては、圧力を下げるための補助手段は、クライオコイル以外にも、公知の各種のものが利用可能である。
なお、脱ガス装置10において、脱ガス処理を行う際の真空チャンバ12内の圧力は、成膜装置において成膜を行う際の圧力や、フィルムFの種類や厚さ、脱ガスを行う際のフィルムFの温度等に応じて、脱ガス処理を好適に行うことができる圧力を、適宜、設定すればよい。
フィルム加熱手段20は、長手方向に搬送されるフィルムFを主に加熱して、フィルムFを脱ガス処理に対応する所定温度にするものである。
上流の装置Xから搬送されたフィルムFは、ローラ16a〜16bによって所定方向にガイドされて搬送されて、ローラ16aの上流に配置されるフィルム加熱手段20で加熱されて、脱ガス処理に対応する所定温度まで昇温される。
フィルム加熱手段20は、フィルムFを目的とする温度まで加熱可能であれば、公知の各種のフィルム状物(シート状物)の加熱手段が利用可能である。なお、フィルム加熱手段20は、真空中でフィルムFを加熱するものでも、大気圧下でフィルムFを加熱するものでもよい。
具体的には、フィルム加熱手段20は、加熱ローラ、温風による加熱手段、熱電ヒータを利用する加熱手段等、公知のフィルム状物(シート状物)の加熱手段が、各種利用可能である。
また、図1に示す脱ガス装置10においては、好ましい態様として、フィルム加熱手段20は、真空チャンバ12の内部に配置されている。しかしながら、本発明の脱ガス装置では、真空チャンバ12へのフィルムFの入り口となるスリット12aの直上流など、真空チャンバ12の外部にフィルム加熱手段を設けてもよい。
フィルム加熱手段20によるフィルムFの加熱温度(脱ガス処理に対応する所定の温度)は、フィルムFの種類や厚さ、脱ガス処理を行う際の真空チャンバ12内の圧力、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送長や搬送速度、フィルムFの熱伝導率、フィルムFの熱放射率等に応じて、フィルムFの脱ガス処理を確実に行える温度を、適宜、設定すればよい。
本発明の脱ガス装置10において、フィルム加熱手段20の位置は、フィルムFの搬送経路、真空チャンバ12でのフィルムFの搬送長、フィルムFの熱降下温度等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、フィルム加熱手段20は、下流に配置する程、フィルム加熱手段20で加熱した後の真空チャンバ12内における加熱後のフィルムFの搬送長すなわちフィルムFの搬送時間が短くなり、脱ガス処理の効率が悪くなる。
従って、フィルム加熱手段20は、真空チャンバ12の内部に配置する場合には、装置構成やメンテナンスを行う際の作業性等に応じて、できるだけ上流側に配置するのが好ましい。
また、フィルム加熱手段20を真空チャンバ12の外部に配置する場合には、加熱後の温度降下を少なくするために、フィルム加熱手段20は、できるだけ真空チャンバ12への入り口となるスリット12aの近傍に配置するのが好ましい。
また、図示例の脱ガス装置10は、フィルム加熱手段20を、フィルムFの搬送方向の一カ所にしか配置していない。本発明の脱ガス装置は、この構成以外にも、必要に応じて、フィルムFの搬送方向の複数箇所に、フィルム加熱手段を配置してもよい。
しかしながら、本発明の脱ガス装置10は、フィルムFを加熱するフィルム加熱手段20に加え、各ローラを加熱するローラ加熱手段26およびチャンバ壁(真空チャンバ12の壁)を加熱するチャンバ壁加熱手段24を有する。そのため、後述するが、脱ガス装置10によれば、フィルム加熱手段20で加熱されたフィルムFを、真空チャンバ12内において、温度を保った状態で搬送できる。
従って、本発明によれば、通常、フィルム加熱手段20は、フィルムFの搬送方向の一カ所のみに設ければよい。しかしながら、本発明の脱ガス装置10においては、必要に応じて、フィルムFの搬送方向の複数箇所に、フィルム加熱手段20を設けてもよい。
フィルム加熱手段20で加熱されたフィルムFは、ローラ16a〜16jによって所定の搬送経路に案内されて搬送され、スリット12bから真空チャンバ12(脱ガス装置10)の外に搬送され、下流の装置Yに供給される。
ローラ16a〜16jは、RtoR法を利用する装置に用いられる公知のローラで、通常は、ステンレス等の金属ローラである。
これらのローラ16a〜16jは、基本的に、フィルムFを所定の搬送経路に案内(搬送経路を変更)する機能のみを有するフリーローラである。
しかしながら、ローラ16a〜16jの内の幾つかは、必要に応じて、駆動ローラであってもよい。また、ローラ16a〜16jの内の幾つかは、必要に応じて、フィルムFの張力を検出するテンションピックアップ、フィルムFの張力を調整するテンションコントローラなど、フィルムFを所定経路に案内する以外の機能を有してもよい。
ここで、駆動ローラ、および、テンションピックアップやテンションコントローラ等として機能するローラは、後述するローラ加熱手段26を設けられないローラであるのが好ましい。すなわち、図示例の脱ガス装置10においては、テンションピックアップ等として機能するローラは、ローラ16jであるのが好ましい。
ローラ加熱手段26を設けられるローラに、テンションコントロールやテンションピックアップ等の機能を持たせると、ローラが有する熱が、テンション調整やテンションの検出結果に影響を与える可能性が有る。
従って、これらの機能を持たせるローラには、ローラ加熱手段26を設けないのが好ましい。言い換えれば、ローラ加熱手段26を設けられるローラは、従動ローラで、かつ、テンションコントロール等の機能も有さない、フリーローラであるのが好ましい。すなわち、本発明において、好適なフリーローラとは、フィルムを案内する以外の機能を有さないローラである。
また、ローラ16a、16c、16e、16gおよび16iは、真空チャンバ12の図中左側の側面に沿って、上下方向に配列される。また、ローラ16b、16d、16f、16hおよび16jは、先のローラ16a、16c、16e、16gおよび16iと離間して、真空チャンバ12の図中右側の側面に沿って、上下方向に配列される。
図示例の脱ガス装置10は、上下方向に配列されたローラを横方向に離間して配置することにより、フィルムFを横方向に往復するように搬送して、狭い空間内すなわち小さな真空チャンバ12内でも、長いフィルムFの搬送長を確保できるようにしている。
本発明の脱ガス装置10において、ローラ16a〜16iには、各ローラを主に加熱するためのローラ加熱手段26が内蔵されてる。
さらに、本発明の脱ガス装置10は、フィルム加熱手段20およびローラ加熱手段26に加えて、真空チャンバ12の天井面の1箇所、ならびに、左側および右側の内側面に、真空チャンバ12のチャンバ壁を主に加熱するためのチャンバ壁加熱手段24が設けられる。
本発明の脱ガス装置10は、RtoR法を利用するフィルムFからの脱ガス装置において、フィルムFの加熱手段、ローラの加熱手段、および、チャンバ壁の加熱手段の3つの加熱手段を有することにより、安定して適正な脱ガスを行うことを可能にしている。
周知のように、RtoR法を利用する脱ガス装置においては、減圧した真空チャンバ内において、脱ガス処理を行うフィルムFを加熱しつつ、所定の搬送経路で搬送することにより、脱ガス処理を行う。
ここで、本発明者らの検討によれば、適正な脱ガス処理を安定して行うためには、脱ガスに対応する所定温度に昇温したフィルムFを、温度を低下させることなく、適宜設定した脱ガスが好適に進行する温度以上に保って、所定の搬送長(すなわち、搬送速度に応じた脱ガス処理の時間)、真空チャンバ12内でフィルムFを搬送するのが有効である。
しかしながら、RtoR法を利用する脱ガス装置では、真空チャンバ12内を搬送されるフィルムFが、フィルムFを所定経路で搬送するためのローラに接触すると、ローラに熱を奪われて、直ちに、温度が下がってしまう。
ここで、特許文献1にも記載されるように、脱ガス装置では、フィルムの搬送に加熱ローラ(ローラの加熱手段を設けられたローラ)を用いることは、公知である。加熱ローラを用いることにより、ローラによるフィルムFの冷却は、防止できる。
ところが、本発明者らの検討によれば、ローラを加熱して、ローラによるフィルムFの温度低下を抑制しても、放射によって真空チャンバ12の壁面から熱が奪われて、フィルムFの温度が下がってしまう。
これに対して、本発明の脱ガス装置10は、フィルムFを加熱するフィルム加熱手段20、ローラ16a〜16iを加熱するローラ加熱手段26(以下、これらのローラ加熱手段26を設けられたローラをまとめて、『ローラ16a等』とも言う)に加え、真空チャンバ12のチャンバ壁を加熱するチャンバ壁加熱手段24を有する。
そのため、本発明の脱ガス装置10によれば、ローラによるフィルムFの温度低下のみならず、放射によるフィルムFの温度低下も抑制して、真空チャンバ12内において、フィルム加熱手段20で加熱したフィルムFを、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保って、搬送できる。これにより、本発明の脱ガス装置10は、適正なフィルムFの脱ガス処理を、安定して行うことができる。
本発明の脱ガス装置10において、ローラ加熱手段26は、脱ガス装置等で利用されている公知のローラの加熱手段が、各種、利用可能である。
具体的には、電熱ヒータ、温媒循環手段等が例示される。
なお、図示例の脱ガス装置10では、ローラ加熱手段26はローラ16a等に内蔵されている。しかしながら、本発明の脱ガス装置では、外部からローラを加熱するローラ加熱手段も利用可能である。
ローラ加熱手段26によるローラ16a等の加熱温度は、基本的に、真空チャンバ12内で脱ガスが進行するように、適宜設定した以上とすればよい。例えば、フィルム加熱手段20で加熱した後のフィルムFの設定温度が100℃である場合には、ローラ加熱手段26は、ローラ16a等を、100℃超の温度になるように加熱すればよい。
なお、このローラ加熱手段26で加熱されたローラ16a等の温度と、フィルム加熱手段20で加熱されたフィルムFの温度とは、同じ温度でも異なる温度でもよい。この点に関しては、後述するチャンバ壁加熱手段24も同様である。
ローラ加熱手段26を設けられたローラ16a等は、ローラ16a等同士の間隔が短い程(すなわち、ローラ間の搬送時間が短い程)、フィルムFの温度低下を防止できる。
ここで、ローラ加熱手段26を設けられたローラ16a等の間隔は、フィルムFの目的温度や、フィルムFの搬送速度にもよるが、本発明者の検討によれば、ローラ16a等の間でのフィルムFの温度低下が10℃以下となるような間隔とするのが好ましい。
このような間隔を適切に選べば、例えばフィルムFの設定温度が100℃の場合、各ローラ加熱手段26で、ローラ16a等の温度が110℃とになるよう加熱することで、フィルムFのすべての地点における温度を100〜110℃の範囲内に収めることができる。
本発明の脱ガス装置10において、ローラ加熱手段26を設けるローラは、各ローラの形成材料、ローラの間隔、ローラの位置(フィルムFの搬送経路)、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送長、フィルムFの温度降下等に応じて、フィルム加熱手段20の下流において、フィルムFを適宜設定した温度以上に保てるように、シミュレーションや実験等を行って、複数個を、適宜、選択すればよい。
また、フィルムFの種類(形成材料や厚さなど)によっては、フィルムFを、室温から脱ガス処理に対応する所定温度まで急に加熱すると、フィルムFに悪影響を与える可能性も有る。そのため、必要に応じて、フィルム加熱手段20よりも上流にローラを配置して、このローラにローラ加熱手段26を設けてもよい。
本発明の脱ガス装置10において、チャンバ壁加熱手段24も、公知の板状物の加熱手段が、各種、利用可能である。
具体的には、シースヒータ、リボンヒータ等が例示される。中でも、シースヒータは、好適に利用される。
チャンバ壁加熱手段24によるチャンバ壁の加熱温度も、ローラ加熱手段26と同様、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上とすればよい。
本発明の脱ガス装置10において、チャンバ壁加熱手段24の配置位置は、図示例の左右の側面、および、天井面の1箇所以外にも、各種の位置が利用可能である。また、チャンバ壁加熱手段24の数も、図示例の3つ以外にも、1つあるいは2つでも良く、さらに、4以上のチャンバ壁加熱手段24を有してもよい。
すなわち、本発明の脱ガス装置10において、チャンバ壁加熱手段24の位置および数は、真空チャンバ12の構造や形状、真空チャンバ12の形成材料、フィルムFの搬送経路(ローラの位置)、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送長、フィルムFの幅方向の温度差等に応じて、フィルム加熱手段20の下流において、フィルムFを適宜設定した温度以上に保てるように、シミュレーションや実験等を行って、1カ所以上を、適宜、選択すればよい。
ここで、チャンバ壁加熱手段24は、真空チャンバ12のチャンバ壁以外にも、近接する物を加熱する。
この点を考慮すると、本発明の脱ガス装置10においては、ローラ加熱手段26が設けられたローラ16a等の内、チャンバ壁加熱手段24との距離が20mm以下のローラを、3本以上、有するのが好ましい。図示例の脱ガス装置10においては、ローラ加熱手段26が設けられた全てのローラが、これに相当する。
このような構成を有することにより、ローラ加熱手段26で加熱されたローラ16a等による加熱に加え、真空チャンバ12内を搬送されるフィルムFを、チャンバ壁を加熱するチャンバ壁加熱手段24でも加熱できるので、フィルム加熱手段20で加熱した後に真空チャンバ12内を搬送されるフィルムFの温度を、より確実に、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保つことが可能になる。
チャンバ壁加熱手段24は、図2に、ローラ16a、16c、16e、16gおよび16iと対面する、チャンバ壁の左側内面に配置されるチャンバ壁加熱手段24を例示して示すように、少なくとも1つは、フィルムFの幅方向(以下、単に『幅方向』とも言う)に3分割して、幅方向の中央のヒータ24aよりも、外側(両端側)のヒータ24bおよび24cの温度を高くするのが好ましい。
本発明者らの検討によれば、ローラの温度は、ベアリング等を伝ってチャンバ壁に熱が逃げるため、中央よりも端部の方が低く成り易い。すなわち、このローラで搬送されるフィルムFの温度も、幅方向の中央部よりも、端部の方が低く成り易い。
これに対して、図2に概念的に示すように、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に3分割して、幅方向の中央のヒータ24aよりも、外側のヒータ24bおよび24cの温度を高くすることで、ローラの温度すなわちフィルムFの温度を幅方向で均一にできる。従って、このような構成を有することにより、フィルムFの全面に渡って、フィルムFの温度を、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保つことが可能になる。
特に、図2に示すチャンバ壁の左側内面に配置されるチャンバ壁加熱手段24のように、ローラすなわちフィルムFの搬送経路と対面して配置されるチャンバ壁加熱手段24は、このような分割の効果が大きい。
なお、チャンバ壁加熱手段24において、分割した各ヒータの温度は、ローラの長さ、目的とするフィルムFの温度、チャンバ壁加熱手段24の位置の距離等に応じて、ローラの温度を幅方向の全域で均一にできる温度を、シミュレーションや実験等を行って、適宜、設定すればよい。
また、図2に示す例においては、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に3分割しているが、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に4以上に分割して、中央から幅方向の外側に向けて、漸次、加熱温度を高くするようにしてもよい。
さらに、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に分割するのではなく、チャンバ壁加熱手段24を幅方向に加熱温度を可変として、中央から幅方向の外側に向けて、漸次、加熱温度を高くするようにしてもよい。
さらに、本発明の脱ガス装置10においては、同様の理由で、ローラ加熱手段26も、幅方向に3以上に分割して、同様に、中央から幅方向の両側に向かって、漸次、加熱温度を高くするようにしてもよい。
これによれば、ローラ16a等の温度を幅方向の全域で均一にして、フィルムFの温度を幅方向に均一にできる。従ってこのような構成を有することにより、フィルムFの全面に渡って、フィルムFの温度を、脱ガスが進行するように適宜設定した温度以上に保つことが可能になる。
本発明の脱ガス装置10において、フィルムFの搬送経路は、図示例以外にも、目的とする搬送長を確保できれば、各種の搬送経路が利用可能である。
また、ローラ16a〜16jのいずれかにフィルムFを掛け回さない、ローラ16a〜16jにおけるフィルムFを掛け回す順番を変更する等によって、真空チャンバ12内におけるフィルムFの搬送経路を変更できるようにしてもよい。
なお、脱ガス装置10は、フィルムFの搬送駆動源を有さず、装置Xや装置Yなど、脱ガス装置10の上下流に配置される装置によるフィルムFの搬送を、脱ガス装置10におけるフィルムFの搬送駆動源として利用してもよい。
以上、本発明の脱ガス装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
薄膜太陽電池の製造やタッチパネルの製造など、樹脂フィルムを基板とする各種の製品の製造に、好適に利用可能である。
10 脱ガス装置
12 真空チャンバ
14 真空ポンプ
16a〜16j ローラ
20 フィルム加熱手段
24 チャンバ壁加熱手段
26 ローラ加熱手段

Claims (6)

  1. フィルムを長手方向に搬送しつつ、前記フィルムの脱ガス処理を行う脱ガス装置であって、
    真空チャンバと、
    前記真空チャンバ内を排気する真空ポンプと、
    前記真空チャンバ内に配置される、前記フィルムを搬送するための複数のローラと、
    前記フィルムを加熱するフィルム加熱手段、前記真空チャンバのチャンバ壁を加熱する1以上の壁加熱手段、および、前記ローラの1以上に設けられるローラ加熱手段とを有することを特徴とする脱ガス装置。
  2. 前記壁加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となる請求項1に記載の脱ガス装置。
  3. 前記ローラ加熱手段の1以上が、前記フィルムの幅方向に3以上に分割して、前記フィルムの幅方向の外側に向けて、漸次、高い加熱温度となる請求項1または2に記載の脱ガス装置。
  4. 前記ローラ加熱手段で加熱されるローラがフリーローラである請求項1〜3のいずれかに記載の脱ガス装置。
  5. 前記ローラ加熱手段によって加熱されるローラの内、前記壁加熱手段との距離が20mm以下のローラを3本以上有する請求項1〜4のいずれかに記載の脱ガス装置。
  6. 前記フィルム加熱手段を1つのみ有する請求項1〜5のいずれかに記載の脱ガス装置。
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