JP2013140684A - アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置 - Google Patents

アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013140684A
JP2013140684A JP2011289618A JP2011289618A JP2013140684A JP 2013140684 A JP2013140684 A JP 2013140684A JP 2011289618 A JP2011289618 A JP 2011289618A JP 2011289618 A JP2011289618 A JP 2011289618A JP 2013140684 A JP2013140684 A JP 2013140684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
film
transparent conductive
water vapor
conductive film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011289618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5812417B2 (ja
Inventor
Masayasu Takahashi
橋 正 泰 高
Tatsuhiko Ishigami
上 達 彦 石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2011289618A priority Critical patent/JP5812417B2/ja
Publication of JP2013140684A publication Critical patent/JP2013140684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5812417B2 publication Critical patent/JP5812417B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】短時間でアニール処理をさせることができるアニール方法を提供する。
【解決手段】基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱してアニール処理を実施するアニール方法は、アニール室41の内部の気体を外部に排出する排気工程と、アニール室41の内部において透明導電膜16を所定のアニール温度で加熱する加熱工程と、を備えている。さらに、アニール室41の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整する水蒸気調整工程が実行される。
【選択図】図4

Description

本発明は、基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール方法およびアニール装置に関する。また本発明は、基材フィルム上に透明導電膜を形成する膜製造方法および膜製造装置に関する。
導電性を有しながら透光性を示す透明導電膜、例えばインジウム錫酸化物(以下、ITO)からなる透明導電膜は、液晶表示装置や有機EL表示装置における透明電極や、タッチパネルセンサにおける検出用の透明導電パターンなどとして利用されている。透明導電膜は、不純物の少ない高品質の膜を得るため、一般に、真空環境下で成膜される。
透明電極や透明導電パターンの特性を高めるため、透明導電膜の電気抵抗率を低くすることや、透明導電膜の耐薬品性を高めることが期待されている。ここで耐薬品性とは、透明導電膜を溶解させることを意図していない薬品に対して透明導電膜が曝される場合の、透明導電膜の溶解のし難さのことである。透明導電膜の電気抵抗率や耐薬品性を決定する要因の1つとして、透明導電膜の結晶状態が挙げられる。例えば、多結晶状態の場合の方が、アモルファス状態の場合に比べて、インジウム錫酸化物などの透明導電膜の電気抵抗率が低くなるとともに耐薬品性が高くなることが知られている。このような特性を考慮して、特許文献1においては、基材上に成膜されたITO膜に対して180℃以上かつ1時間以上のアニール処理を施し、これによって、多結晶状態のITO膜を得ることが提案されている。
特開2003−16858号公報
透明導電膜を支持するための基材の種類は、表示装置やタッチパネルセンサ全体として求められる特性や、取り扱いの容易さなどを考慮して適宜選択される。ところで、様々な特性を検討した結果、耐熱性の低い基材が選択されることがある。この場合、成膜処理やアニール処理の際の温度が基材の耐熱温度によって制限されることになる。一般にアニール処理において、多結晶状態を得るために要する時間、すなわち結晶化に要する時間は、温度が低くなるほど長くなる。このため、耐熱性の低い基材が用いられる場合、アニール処理に要する時間が長くなり、この結果、生産効率が低くなってしまう。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るアニール方法およびアニール装置を提供することを目的とする。また本発明は、当該アニール方法を備えた膜製造方法、および当該アニール装置を備えた膜製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール方法において、アニール室の内部の気体を外部に排出する排気工程と、前記アニール室の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整する水蒸気調整工程と、前記アニール室の内部において前記透明導電膜を所定のアニール温度で加熱する加熱工程と、を備えたことを特徴とするアニール方法である。
本発明によるアニール方法の前記水蒸気調整工程において、前記アニール室の内部の水蒸気分圧が1〜40×10−4Paの範囲内に調整されてもよい。
本発明によるアニール方法において、好ましくは、前記アニール温度が、80〜120度の範囲内となっている。
本発明によるアニール方法において、前記水蒸気調整工程は、前記アニール室の内部の水蒸気分圧を測定する測定工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記アニール室の内部の水蒸気の捕捉量を調整する水蒸気捕捉工程と、を含んでいてもよい。
本発明によるアニール方法において、前記水蒸気調整工程は、前記アニール室の内部の水蒸気分圧を測定する測定工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記アニール室の内部に水蒸気を供給する水蒸気供給工程と、を含んでいてもよい。
本発明は、基材フィルム上に透明導電膜を形成する膜製造方法において、前記基材フィルム上に透明導電膜を設ける成膜工程と、前記基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール工程と、を備え、前記アニール工程は、上記記載のアニール方法からなることを特徴とする膜製造方法である。
本発明による膜製造方法において、前記成膜工程は、成膜処理が実施される成膜室と、前記成膜室の内部の気体を外部に排出する成膜用排気機構と、を有する成膜装置によって実行され、前記アニール工程は、アニール処理が実施されるアニール室を有するアニール装置によって実行されてもよい。この場合、好ましくは、前記基材フィルムが前記成膜装置の前記成膜室から前記アニール装置の前記アニール室に至るまでの間、前記基材フィルムの周囲の雰囲気が真空状態に保たれている
本発明による膜製造方法において、前記アニール装置は、前記成膜装置の前記成膜室の内部でアニール処理を実施するよう構成されていてもよい。
本発明は、基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール装置において、アニール処理が実施されるアニール室と、前記アニール室の内部の気体を外部に排出するアニール用排気機構と、
前記アニール室の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整する水蒸気調整機構と、前記アニール室の内部に設けられ、所定のアニール温度で前記透明導電膜を加熱する加熱機構と、を備えたことを特徴とするアニール装置である。
本発明は、基材フィルム上に透明導電膜を形成する膜製造装置において、前記基材フィルム上に透明導電膜を設ける成膜処理を実施する成膜装置と、前記基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール装置と、を備え、前記アニール装置は、上記記載のアニール装置からなることを特徴とする膜製造装置である。
本発明によれば、アニール処理の際、真空状態に保たれたアニール室において、水蒸気分圧が1×10−4Pa以上に維持されている。これによって、基材フィルム上に設けられた透明導電膜の結晶化を促進することができ、このため、アニール処理の温度が低い場合であっても、多結晶状態の透明導電膜を短時間で得ることができる。このことにより、耐熱性の低い基材フィルムが用いられる場合であっても、効率良く透明導電膜を製造することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態における膜製造装置を示す図。 図2は、図1に示す膜製造装置の巻出装置を示す図。 図3は、図1に示す膜製造装置の成膜装置を示す図。 図4は、図1に示す膜製造装置のアニール装置を示す図。 図5は、図1に示す膜製造装置の巻取装置を示す図。 図6は、図3に示す成膜装置の水蒸気供給部を示す図。 図7は、図4に示すアニール装置の加熱機構を示す断面図。 図8は、膜製造装置により製造された透明導電膜を含む積層体を示す断面図。 図9は、図8に示す積層体をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサを示す平面図。 図10は、図8に示す積層体をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサを示す断面図。 図11は、比較の形態における膜製造装置を示す図。 図12は、アニール装置の加熱機構の変形例を示す図。 図13Aは、図12に示すシート加熱手段の一例を示す断面図。 図13Bは、図12に示すシート加熱手段のその他の例を示す断面図。 図14は、積層体の変形例を示す断面図。 図15は、タッチパネルセンサの変形例を示す断面図。 図16は、本発明の第2の実施の形態における膜製造装置を示す図。 図17は、図16に示す膜製造装置の成膜装置およびアニール装置を示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図10を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図8を参照して、本実施の形態において製造される、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を含む積層体18について説明する。
積層体
図8は、積層体18を示す断面図である。図8に示すように、積層体18は、基材フィルム11と、基材フィルム11上に形成された高屈折率膜14と、高屈折率膜14上に形成された低屈折率膜15と、低屈折率膜15上に形成された透明導電膜16と、を含んでいる。以下、基材フィルム11、高屈折率膜14、低屈折率膜15および透明導電膜16についてそれぞれ説明する。
(基材フィルム)
本実施の形態においては、基材フィルム11として、高い透光性を有する一方で、耐熱性が低く、このため高い熱負荷をかけることができないフィルムが用いられる。例えば、線膨張係数が大きく、このため高温環境下、例えば150℃以上の環境下に置くことができない非晶質ポリマーからなる合成樹脂層12を含むフィルムが用いられる。このような非晶質ポリマーとしては、例えばシクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。特にシクロオレフィンポリマーは、高い透光性とともに低い吸湿性が実現されているため、好ましく用いられる。非晶質ポリマーからなる合成樹脂層12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
なお図8に示すように、基材フィルム11は、合成樹脂層12上に設けられたハードコート層13をさらに含んでいてもよい。ハードコート層13は、擦り傷を防止するという目的や、層間の界面に低分子重合体(オリゴマー)が析出して白く濁ってみえることを防ぐという目的のために設けられる層である。ハードコート層13としては、例えばアクリル樹脂などが用いられる。このようなハードコート層13は、基材フィルム11の片側にのみ形成されていてもよく、若しくは図8に示すように、基材フィルム11の両側に形成されていてもよい。ハードコート層13の厚みは、例えば0.1〜10μmの範囲内となっている。
(高屈折率膜および低屈折率膜)
高屈折率膜14は、透明導電膜16を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料から構成される膜であり、一方、低屈折率膜15は、透明導電膜16を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料から構成される膜である。このような高屈折率膜14および低屈折率膜15を基材フィルム11と透明導電膜16との間に設けることにより、積層体18における光の透過率や反射率を調整することができる。例えば、高屈折率膜14および低屈折率膜15は、後述するように積層体18の透明導電膜16がパターニングされてタッチパネルセンサの透明導電パターンとなる場合に、透明導電パターンが設けられている領域と設けられていない領域との間の光の透過率および反射率の差を小さくするためのインデックスマッチング層として機能することができる。
高屈折率膜14を構成する材料としては、透明導電膜16を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料であれば特に限定はされないが、例えば酸化ニオブが用いられる。低屈折率膜15を構成する材料としては、透明導電膜16を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料であれば特に限定はされないが、例えば酸化珪素が用いられる。高屈折率膜14および低屈折率膜15の厚みは、所望の透過率や反射率が達成されるよう、用いられる材料に応じて適宜設定される。
なお本実施の形態においては、上述の高屈折率膜14および低屈折率膜15が積層体18に含まれている例について説明するが、しかしながら、高屈折率膜14および低屈折率膜15は必ずしも設けられていなくてもよい。この場合、基材フィルム11上に透明導電膜16が設けられる。
(透明導電膜)
透明導電膜16を構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す材料が用いられ、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物が用いられる。本実施の形態および後述する実施例においては、透明導電膜16を構成する材料としてITOが用いられる場合について説明する。透明導電膜16の厚みは、透明電極または透明導電パターンにおける電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば18〜50nmの範囲内となっている。
次に図1乃至図7を参照して、真空雰囲気の下で基材フィルム11上に透明導電膜16を形成するための膜製造装置10について説明する。はじめに図1を参照して、膜製造装置10全体について説明する。
膜製造装置
図1に示すように、膜製造装置10は、基材フィルム11を巻き出す巻出装置20と、基材フィルム11上に透明導電膜16などの膜を設ける成膜装置30と、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱してアニール処理を実施するアニール装置40と、基材フィルム11および基材フィルム11上に形成された透明導電膜16などの膜を含む積層体18を巻き取る巻取装置50と、を備えている。以下、基材フィルム11および各装置20,30,40,50について、図2乃至図7を参照してそれぞれ説明する。
(巻出装置)
図2は、巻出装置20を示す図である。図2に示すように、巻出装置20は、回転自在に設けられ、基材フィルム11が巻き付けられたシャフト21と、シャフト21から巻き出された基材フィルム11を成膜装置30に向けて案内するガイドローラー29と、基材フィルム11に沿って設けられ、基材フィルム11を加熱する加熱機構22と、を備えている。巻出装置20においては、シャフト21から巻き出された基材フィルム11を加熱機構22によって加熱することにより、基材フィルム11に付着している水分や油分などの不純物を蒸発または昇華させ、これによって不純物を基材フィルム11から取り除くことができる。すなわち、いわゆる脱ガス処理を実施することができる。
脱ガス処理の際の加熱温度は、基材フィルム11を構成する材料の特性が大きく変化しないような温度である限り特に限定されないが、例えば50〜120℃の範囲内となっている。脱ガス処理を実施するための加熱機構22の具体的な構成は特に限定されないが、例えば図2に示すように、搬送されている基材フィルム11に沿って基材フィルム11の両側に設けられた一対のヒーター23によって加熱機構22が構成されている。
図2に示すように、巻出装置20は、巻出装置20内の気体を外部に排出する排気手段24をさらに備えている。これによって、基材フィルム11から発生した気体を迅速に外部に排出することができ、このことにより、脱ガス処理を効率良く実施することができる。また図2に示すように、成膜装置30の内部雰囲気を巻出装置20の内部雰囲気に対して遮蔽するためのゲートバルブロードロックバルブ25が設けられていてもよい。これによって、基材フィルム11の巻回体を巻出装置20内に搬入するために巻出装置20を大気に対して開放する際に、成膜装置30内の真空度を維持することができる。
(成膜装置)
次に、巻出装置20の下流側に設けられた成膜装置30について説明する。成膜装置30による成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDやイオンプレーティングなど様々な方法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について図3を参照して説明する。
図3に示すように、成膜装置30は、成膜処理が実施される成膜室36と、基材フィルム11が巻き付けられて搬送される成膜用搬送ドラム38と、搬送される基材フィルム11を案内するガイドローラー39と、成膜室36の内部の気体を外部に排出する成膜用真空排気機構37と、搬送されている基材フィルム11に対向するよう設けられ、基材フィルム11上に設けられる膜の原料となるターゲットと、を備えている。図3に示す例においては、ターゲットとして、高屈折率膜14の原料となる酸化ニオブからなる第1ターゲット31a、低屈折率膜15の原料となる珪素からなる第2ターゲット32aおよび第3ターゲット33a、および、透明導電膜16の原料となるITOからなる第4ターゲット34aが設けられている。なお低屈折率膜15は高屈折率膜14や透明導電膜16に比べて概して厚い膜となっており、このため、2つのターゲット32a,33aが用いられている。このような成膜装置30においては、はじめに成膜用真空排気機構37によって成膜室36の内部の気体を外部に排出し、これによって、成膜室36内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって成膜室36内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、放電装置によってターゲットに放電電力を印加する。これによって、各ターゲットの材料からなる膜を基材フィルム11上に設けることができる。
図3に示すように、成膜装置30の成膜室36は、隔壁36aによって、第1ターゲット31aを含む第1領域31と、第2ターゲット32aを含む第2領域32と、第3ターゲット33aを含む第3領域33と、第4ターゲット34aを含む第4領域34と、その他の第5領域35と、に区画されていてもよい。また図3に示すように、成膜用真空排気機構37は、各領域31〜35にそれぞれ接続され、各領域31〜35の内部の気体を外部に排出する排気手段31b〜35bを含んでいてもよい。これによって、ターゲットごとにターゲットの周囲の雰囲気(真空度など)を調整することができ、このことにより、ターゲットごとに最適化された条件の下でスパッタリングを実施することができる。
なお図3に示す例において、成膜用搬送ドラム38は、その表面が所定の成膜温度に調整されたものであってもよい。これによって、最適な温度条件下で基材フィルム11上に各種の膜14,15,16を成膜することができる。成膜用搬送ドラム38の表面を所定の成膜温度に調整するための具体的な構成が特に限られることはなく、例えば図示はしないが、成膜用搬送ドラム38の内部に設けられ、オイルなどの所定の温度媒体を循環させる媒体循環路と、温度媒体を成膜温度に調整する媒体調整手段とが用いられる。成膜温度は、基材フィルム11の耐熱性や、基材フィルム11上に設けられる各膜14,15,16の特性に応じて適宜設定されるが、例えば−20〜50℃の範囲内に設定される。
なお上述のように、高屈折率膜14および低屈折率膜15は必ずしも積層体18に含まれていなくてもよい。従って、高屈折率膜14および低屈折率膜15が基材フィルム11上に形成されない場合もある。この場合、成膜装置30の成膜室36には、高屈折率膜14および低屈折率膜15に関連する領域やターゲットなどが設けられていなくてもよい。すなわち、成膜装置30の成膜室36には、ITOのスパッタリングを実施するための領域およびそれに関連するターゲットや様々な手段が少なくとも設けられていればよい。この場合、ITOのスパッタリングを実施するための領域およびそれに関連するターゲットは、成膜装置30の任意の場所に設けられ得る。
次に、ITOのスパッタリングを実施するための第4領域34の構成について特に説明する。図3に示すように、第4領域34内には、第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の周囲の雰囲気に水蒸気を供給する水蒸気供給部34eと、第4領域34の水蒸気分圧を測定する測定部34cと、が設けられている。この場合、水蒸気供給部34eは、測定部34cによる水蒸気分圧の測定結果に基づいて、制御部34dにより制御されてもよい。
従来、ITOの成膜処理において、雰囲気の水蒸気分圧を制御することによって、成膜されるITOの結晶状態を制御できることが知られている。例えば、成膜処理時の水蒸気分圧が非常に小さい場合、微細な結晶粒からなる多結晶状態のITO膜が得られ、また、水蒸気分圧を大きくするにつれて、得られる結晶粒が大きくなることが知られている。また、成膜処理時の水蒸気分圧をさらに大きくすると、アモルファス状態のITO膜が得られることが知られている。ここで本実施の形態によれば、上述の測定部34c、制御部34dおよび水蒸気供給部34eを用いることにより、成膜処理時の第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の周囲の水蒸気分圧を所望の値に調整することができる。このことにより、基材フィルム11に設けられる、ITOからなる透明導電膜16の結晶状態を制御することができる。
水蒸気供給部34eの具体的な構成は特に限られないが、例えば図6に示すように、水蒸気供給部34eは、所定の蒸気圧で水蒸気が充填された供給タンク34hと、バルブ34iを介して供給タンク34hに接続され、第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の近傍まで延びる水蒸気供給管34fと、を有していてもよい。水蒸気供給管34fには、図6に示すように、水蒸気供給管34f内の水蒸気を吐出する複数の開口部34gが形成されており、これによって、第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の周囲の雰囲気に、圧力が調整された水蒸気を供給することができる。なお図6において一点鎖線で示すように、アルゴンなどの不活性ガスが所定の圧力で充填されたガスタンク34jがバルブ34kを介して水蒸気供給管34fにさらに接続されていてもよい。これによって、水蒸気とともに不活性ガスを第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の周囲の雰囲気に供給することができる。
また図示はしないが、成膜室36の各領域31〜34において成膜される膜14〜16の原料となり得る成分を含むガス、例えば酸素ガスを各領域31〜34のターゲット31a〜34aおよび基材フィルム11の周囲に供給するガス供給機構がさらに設けられていてもよい。これによって、成膜条件のさらなる調整を行うことができ、このことにより、より効率的に高品質の膜14〜16を得ることができる。各領域31〜34にガスを供給する方法は特には限られないが、例えば第4領域34に酸素ガスを供給する場合、酸素ガスを供給するタンクを上述の水蒸気供給管34fにさらに接続することによって、酸素ガスを第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の周囲に供給してもよい。
(アニール装置)
次に図4を参照して、成膜装置30の下流側に設けられたアニール装置40について説明する。図4に示すように、アニール装置40は、アニール処理が実施されるアニール室41と、搬送される基材フィルム11を案内するガイドローラー49と、アニール室41の内部の気体を外部に排出するアニール用排気機構42と、アニール室41の内部の水蒸気分圧を所定範囲内に調整する水蒸気調整機構44と、アニール室41の内部に設けられ、所定のアニール温度で透明導電膜16を加熱する加熱機構45と、を備えている。図示はしないが、アニール処理中にアルゴンなどの不活性ガスをアニール室41内に導入する不活性ガス供給装置がアニール装置40に設けられていてもよい。なおアニール装置40および上述の成膜装置30は、基材フィルム11が成膜装置30の成膜室31からアニール装置40のアニール室41に至るまでの間、基材フィルム11の周囲の雰囲気が真空状態に保たれるよう構成されている。このため、真空状態の中で上述の成膜処理および後述するアニール処理を連続して実施することができる。
本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、一例として後述する実施例での実験結果で支持されているように、アニール処理の際にアニール室41の内部に存在する水蒸気が、アニール後の透明導電膜16の特性に大きな影響を及ぼすことを見出した。具体的には、アニール処理の際にアニール室41の内部の水蒸気分圧を所定範囲内に調整することにより、80〜120℃の範囲内の低いアニール温度であっても、低い電気抵抗率および高い耐薬品性を有する多結晶状態の透明導電膜16を短時間で得ることができる、ということを見出した。このような効果は、従来の技術水準からは予測され得ない効果であると考える。
以下、アニール装置40の各構成要素について説明する。
アニール用真空排気機構42としては、アニール処理の前にアニール室41の内部の気体をいったん外部に排出してアニール室41の内部雰囲気を真空状態にするための真空ポンプなどが用いられる。アニール用真空排気機構42としては、アニール処理の際に不純物が透明導電膜16に不適切に添加されないような真空度を達成することができるアニール用真空排気機構42が用いられるが、例えば、アニール室41の内部の全圧を1×10−3Pa以下にすることができるアニール用真空排気機構42が用いられる。以下の記述において、アニール室41内において水蒸気以外の気体による圧力が1×10−3Pa以下となっている状態を、アニール装置40における「真空状態」と称する。なお、所望の真空度を達成するために用いられる真空ポンプの台数や種類が限られることはなく、複数の真空ポンプが組み合わせて用いられ得る。
水蒸気調整手段44は、図4に示すように、アニール室41の内部の水蒸気を凝縮または吸着させて捕捉する水蒸気捕捉部44cと、アニール室41の内部の水蒸気分圧を測定する測定部44aと、を含んでいる。水蒸気捕捉部44cは、アニール室41の内部の水蒸気分圧が例えば1×10−4Pa以上となるよう、より好ましくは3×10−4Pa以上となるよう、測定部44aによる水蒸気分圧の測定結果に基づいて、制御部44bにより制御される。なお本実施の形態において、アニール処理の際の適切な水蒸気分圧に関して、下限の値だけでなく上限の値が定められていてもよい。例えば、水蒸気捕捉部44cは、アニール室41の内部の水蒸気分圧が40×10−4Pa以下となるよう、より好ましくは10×10−4Pa以下となるよう、制御部44bにより制御されてもよい。
水蒸気捕捉部44cの具体的な構成が特に限られることはないが、例えば水蒸気捕捉部44cは、水蒸気を凝縮させ得る程度の温度に調整された低温面を有するクライオパネルからなっている。クライオパネルは、図示はしないが、冷凍機によって所定の温度に冷却された低温パネルを含んでおり、この低温パネルによってアニール室41の内部に存在する気体を凝縮させることにより、気体が捕捉される。なお水蒸気は、酸素、窒素やアルゴンなどの気体に比べて比較的高温で凝縮する。このため、クライオパネルの低温パネルの温度を、酸素、窒素やアルゴンなどの気体は凝縮しないが水蒸気は凝縮する温度に調整することによって、アニール室41の内部に存在する気体のうち水蒸気のみを選択的に捕捉することができる。従って、クライオパネルの低温パネルの温度を適宜調整することにより、アニール室41の内部に存在する水蒸気のうち低温パネルに捕捉される水蒸気の量(捕捉量)を調整することができ、これによって、アニール室41の内部の水蒸気分圧を所望の値に調整することができる。
水蒸気分圧を測定する測定部44aの具体的な構成が特に限られることはないが、例えば測定部44aは、真空中に存在する気体の種類および各気体の圧力を計測する四重極ガス分析装置からなっている。
加熱機構45の具体的な構成は、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を均一に加熱することができる限りにおいて特に限定されるものではない。例えば加熱機構45は、成膜装置30の場合と同様に、基材フィルム11が巻き付けられるアニール用搬送ドラム46であって、その表面が所定のアニール温度に加熱されたアニール用搬送ドラム46を有している。アニール用搬送ドラム46の表面を加熱するための具体的な構成が特に限られることはない。例えば図7に示すように、アニール用搬送ドラム46が表面部分46aと中空部分46bとからなる場合、アニール用搬送ドラム46の表面部分46aを内側から加熱するドラム加熱手段47が設けられていてもよい。ドラム加熱手段47は、例えば、表面部分46aに隣接して設けられ、熱媒47bを循環させる熱媒循環路47aと、熱媒47bをアニール温度に加熱する熱媒加熱手段(図示せず)と、を含んでいる。その他、ドラム加熱手段47として、アニール用搬送ドラム46の内部に設けられた電熱線ヒーターなどが用いられてもよい。
(巻取装置)
次に図5を参照して、巻取装置50について説明する。巻取装置50は、回転自在に設けられ、基材フィルム11および透明導電膜16などの膜を含む積層体18を巻き取るシャフト51と、シャフト51に向けて搬送される基材フィルム11を案内するガイドローラー59と、を備えている。また図5に示すように、巻取装置50の内部を真空状態に保つための排気手段52が設けられていてもよい。
また、シャフト51近傍に、図5に示すニアローラー53が設けられていてもよい。ニアローラー53は、シャフト51に巻き取られている積層体18の最外面と、ニアローラー53のうちシャフト51に対向する面との間の距離が、積層体18の厚みよりもわずかに大きくなるよう構成されている。なお、シャフト51に巻き取られている積層体18の最外面の位置は、積層体18の巻き数が増えるにつれて変化する。この変化に対応するよう、ニアローラー53は移動可能に構成されている。このため、積層体18の巻き数に依らず、シャフト51に巻き取られている積層体18の最外面とニアローラー53との間の距離を常に一定に保つことができる。このようなニアローラー53を設けることにより、シャフト51に巻き取られる際の基材フィルム11にしわなどの凹凸が生じることを防ぐことができ、これによって、シャフト51に巻き取られている基材フィルム11同士が密着してしまう、いわゆるブロッキングが生じることを防ぐことができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、はじめに、基材フィルム11上に形成された透明導電膜16を含む積層体18の製造方法について説明する。次に、積層体18をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサについて説明する。
積層体の製造方法
(脱ガス工程)
はじめに、巻出装置20において、基材フィルム11が巻回されたシャフト21を準備し、次に、成膜装置30に向けて基材フィルム11を巻き出す。このとき、加熱機構22によって基材フィルム11を80〜120℃で加熱するとともに、排気手段24によって巻出装置20内の気体を外部に排出する。これによって、基材フィルム11に付着している水分や油分などの不純物が取り除かれる。
(成膜工程)
次に、成膜装置30によって、基材フィルム11上に所望の膜を設ける成膜処理を実施する。成膜処理においては、はじめに、第1領域31において、スパッタリングによって、第1ターゲット31aを構成する原子を基材フィルム11上に付着させる。これによって、第1ターゲット31aを構成する酸化ニオブからなる高屈折率膜14が基材フィルム11上に設けられる。次に、第2領域32および第3領域33において、スパッタリングによって、第2ターゲット32aおよび第3ターゲット33aを構成する原子を基材フィルム11上に付着させる。これによって、第2ターゲット32aおよび第3ターゲット33aを構成する珪素からなる低屈折率膜15が高屈折率膜14上に設けられる。なお、スパッタリングの際の放電電力や放電時間、不活性ガスの分圧などの条件は、所望の膜厚や成膜用搬送ドラム38の回転速度などに応じて適宜設定される。
その後、第4領域34において、スパッタリングによって、第4ターゲット34aを構成する原子を低屈折率膜15上に付着させる。この場合、はじめに排気手段34bによって第4領域34の内部の気体を外部に排出し、これによって、第4領域34内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって第4領域34内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、放電装置(図示せず)によって第4ターゲット34aに放電電力を印加する。これによって、ITOなどの透明導電性材料からなる透明導電膜16を低屈折率膜15上に設けることができる。
好ましくは、透明導電膜16の成膜工程の際、成膜用搬送ドラム38によって基材フィルム11が所定の成膜温度、例えば−20〜50℃に調整される。
また好ましくは、透明導電膜16の成膜工程の際、水蒸気供給部34eによって第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の近傍に水蒸気を例えば数sccmで供給する。また、第4ターゲット34aおよび基材フィルム11の近傍に、透明導電膜16の原料となり得る成分を含むガス、例えば酸素ガスをさらに供給してもよい。これによって、成膜条件の最適化を行うことができ、このことにより、より効率的に高品質の透明導電膜16を得ることができる。この際の水蒸気分圧の値は、例えば3〜10×10−4Paの範囲内となっている。
(アニール工程)
次に、アニール装置40によって、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱してアニール処理を実施する。アニール処理においては、はじめに、アニール用真空排気機構42によってアニール室41の内部の気体を外部に排出する(排気工程)。例えば、アニール室41の内部に存在する気体のうち水蒸気以外の気体による圧力が1×10−3Pa以下となるよう、アニール用真空排気機構42を駆動させる。その後、水蒸気調整機構44によって、アニール室41の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa〜40×10−4Paの範囲内に調整する(水蒸気調整工程)。水蒸気調整工程において、測定部44aは、アニール室41の内部の水蒸気分圧を測定する(測定工程)。また水蒸気捕捉部44cは、測定部44aによる測定結果(測定工程における測定結果)に基づいて、アニール室41の内部の水蒸気の捕捉量を調整する(水蒸気捕捉工程)。次に、アルゴンガスなどの不活性ガスを、全圧が1Pa以下となる範囲内でアニール室41に導入する。
その後、アニール室41の内部において透明導電膜16を所定のアニール温度で加熱する(加熱工程)。アニール温度は、80〜120℃の範囲内の所定温度、例えば100℃に設定されている。透明導電膜16をアニール温度で加熱することにより、透明導電膜16の結晶化が進行する。これによって、得られる透明導電膜16の電気抵抗率を低くするとともに、耐薬品性を高くすることができる。
好ましくは、アニール処理の間、アニール用搬送ドラム46は連続的に回転されている。このため、アニール用搬送ドラム46の回転を停止させた上でアニール処理を実施する場合に比べて、アニール処理済みの透明導電膜16をより効率的に製造することができる。この場合、透明導電膜16が加熱される時間は、アニール用搬送ドラム46の回転周期に応じて決定される。例えば、図4に示すように透明導電膜16がアニール用搬送ドラム46のほぼ1周にわたって巻きつけられている場合、透明導電膜16は、アニール用搬送ドラム46が1周するのに要する時間の間だけアニール用搬送ドラム46によって加熱されることになる。例えばアニール用搬送ドラム46の回転周期が約10分/回転の場合、透明導電膜16は約10分間にわたって加熱される。
なお、図1に示すように成膜装置30とアニール装置40とが直列に接続されており、また、アニール用搬送ドラム46の直径が予め定められている場合、アニール用搬送ドラム46の回転周期は、成膜装置30における基材フィルム11の搬送速度と一対一で対応している。例えばアニール用搬送ドラム46の円周長が約3mであり、回転速度が約10分/回転である場合、成膜装置30における基材フィルム11の搬送速度は約0.3m/分となっている。
(巻取工程)
その後、巻取装置50において、基材フィルム11と、基材フィルム11上に形成された透明導電膜16などの複数の膜と、を含む積層体18が、シャフト51によって巻き取られる。これによって、積層体18の巻回体が得られる。
タッチパネルセンサの製造方法
次に、積層体18の用途の一例として、積層体18をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサについて説明する。タッチパネルセンサ60は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示パネルの観察者側に設けられ、人体などの被検出体の接触位置を検出するための透明導電パターンなどを含むセンサである。タッチパネルセンサ60としては、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のタッチパネルセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサなど様々なタイプのものが知られているが、ここでは、積層体18をパターニングすることによって静電容量方式のタッチパネルセンサ60を形成する例について、図9および図10を参照して説明する。図9は、タッチパネルセンサ60を示す平面図であり、図10は、図9に示すタッチパネルセンサ60の線X−Xに沿った断面図である。なお図9および図10においては、2つの積層体18をそれぞれ別個にパターニングすることにより、第1方向に延びる透明導電パターンを含むタッチパネルセンサと、第1方向に直交する第2方向に延びる透明導電パターンを含むタッチパネルセンサとをそれぞれ形成し、その後、2つのタッチパネルセンサを貼り合わせることにより、第1方向および第2方向に延びる透明導電パターンを含むタッチパネルセンサが得られる例について説明する。
図10に示すように、タッチパネルセンサ60は、上側に位置する第1タッチパネルセンサ60Aと、下側に位置する第2タッチパネルセンサ60と、を含んでいる。第1タッチパネルセンサ60Aと第2タッチパネルセンサ60Bとは、例えば接着層19によって貼り合わされている。各タッチパネルセンサ60A,60Bは、基材フィルム11、高屈折率膜14および低屈折率膜15上に所定のパターンで設けられた複数の透明導電パターン62を有している。図9に示す例において、透明導電パターン62は、第1タッチパネルセンサ60Aに包含される横方向(第1方向)に延びるパターンと、第2タッチパネルセンサ60に包含される縦方向(第2方向)に延びるパターンとからなっている。なお図9において、下側に設けられた透明導電パターン62が点線で表されている。図10に示すように、各透明導電パターン62は、積層体18の透明導電膜16をパターニングすることにより得られるものである。透明導電膜16をパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が用いられる。
また図9に示すように、各タッチパネルセンサ60A,60Bは、各透明導電パターン62に接続された取出パターン64と、各取出パターン64に接続され、各透明導電パターン62からの信号を外部へ取り出すための端子部65と、をさらに有していてもよい。これら取出パターン64および端子部65は、タッチパネルセンサ60のうち表示パネルからの映像光が通過しない領域、いわゆる額縁領域に配置されている。このため、取出パターン64および端子部65を構成する材料が透明性を有する必要はない。従って、取出パターン64および端子部65は一般に、透明導電パターン62を構成する透明導電性材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
このような取出パターン64および端子部65を形成する方法が特に限られることはなく、フォトリソグラフィー法や印刷法が適宜用いられる。例えば、はじめに積層体18の透明導電膜16上に金属材料層(図示せず)を形成し、次に、フォトリソグラフィー法を用いて金属材料層および透明導電膜16を順次または同時にエッチングすることにより、取出パターン64および端子部65と透明導電パターン62とが形成されてもよい。この場合、図10に示すように、取出パターン64と低屈折率膜15との間に透明導電パターン62が介在されていてもよい。これによって、透明導電パターン62からの信号を取り出す際の電気抵抗をより小さくすることができる。なお、表示パネルからの映像光が通過する領域にある透明導電パターン62上に残っている金属材料層を取り除くためのエッチングにおいては、エッチング液として、金属材料層のみを選択的に溶解させるエッチング液が用いられる。この場合、透明導電膜16には、当該エッチング液に対する高い耐薬品性を有していることが求められる。
本実施の形態によれば、上述のように、アニール処理の際、真空状態に保たれたアニール室41において、水蒸気分圧が1×10−4Pa以上に調整されている。これによって、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16の結晶化を促進することができ、このため、アニール温度が低い場合であっても、低い電気抵抗率および高い耐薬品性を有する多結晶状態の透明導電膜16を短時間で得ることができる。このことにより、耐熱性の低い基材フィルム11が用いられる場合であっても、効率良く透明導電膜16を製造することができる。このため本実施の形態によれば、線膨張係数が大きい非晶質ポリマーなど、高温にすることによって特性が劣化する材料からなる合成樹脂層12を含む基材フィルム11を用いることが可能となっている。このことにより、シクロオレフィンポリマーなどの、耐熱性は低いが高い透光性とともに低い吸湿性を有する材料を用いることができる。
比較の形態
次に、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。図11は、比較の形態における膜製造装置110を示す図である。
図11に示す膜製造装置は、アニール装置におけるアニール処理の際の水蒸気分圧が1×10−4Pa以上に調整されていない点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図10に示す第1の実施の形態と略同一である。図11に示す比較の形態において、図1乃至図10に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示す比較の形態による膜製造装置110において、アニール装置140は、水蒸気を含む全ての気体を外部に排出した状態でアニール処理を実施するよう構成されている。すなわち、アニール装置140は、アニール処理中の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整するようには構成されていない。例えば比較の形態においては、アニール処理中の水蒸気分圧が1×10−4Paよりも小さくなっており、また、水蒸気以外の気体による圧力が1×10−3Pa以下となっている。従って、比較の形態においては、アニール処理によって透明導電膜16を結晶化させるために要する時間が長くなっており、例えば1時間となっている。このため、図11に示すように成膜装置30とアニール装置140とが直列に接続されている場合、アニール装置140によるアニール処理を長時間にわたって透明導電膜16に対して施すため、アニール用搬送ドラム46の回転を一時的に停止させた上でアニール処理を実施することになる。若しくは、成膜装置30における基材フィルム11の搬送速度とアニール装置140における基材フィルム11の搬送速度とを一致させながら、アニール装置140における透明導電膜16の滞在時間を長くするため、図11に示すようにアニール装置140のアニール用搬送ドラム46の直径を大きくすることになる。前者のようにアニール用搬送ドラム46の回転を一時的に停止させる場合、透明導電膜16の生産効率が低下してしまう。一方、後者のようにアニール装置140のアニール用搬送ドラム46の直径を大きくする場合、アニール装置140の寸法が大きくなり、装置のレイアウトが困難になるとともに装置のコストが上昇してしまう。
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、アニール処理中の水蒸気分圧が1×10−4Pa以上に調整されるようアニール装置40が構成されている。このため、アニール温度が低い場合であっても、多結晶状態の透明導電膜16を短時間で得ることができる。すなわち、アニール装置40に透明導電膜16を長時間にわたって滞在させる必要がない。このため、アニール装置40のアニール用搬送ドラム46の直径を比較の形態の場合ほど大きくすることなく、成膜装置30における基材フィルム11の搬送速度とアニール装置40における基材フィルム11の搬送速度とを一致させることができる。このことにより、アニール装置40のレイアウトを容易にし、また、アニール装置40のコストを抑制することができる。
なお本実施の形態において、アニール室41の内部の水蒸気分圧を所定範囲内に調整する水蒸気調整機構44が、アニール室41の内部の水蒸気を凝縮または吸着させて捕捉する水蒸気捕捉部44cを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、水蒸気調整手段44は、図4において一点鎖線で示すように、水蒸気捕捉部44cに加えて、アニール室41に水蒸気を供給する水蒸気供給部44dを有していてもよい。この場合、はじめに水蒸気捕獲部44cが、アニール室41の内部の水蒸気を可能な限り捕捉し、これによってアニール室41の水蒸気分圧を可能な限りゼロに近づける。次に、水蒸気供給部44dが、アニール室41の内部に水蒸気を供給する(水蒸気供給工程)。この際、測定部44aによる水蒸気分圧の測定結果(測定工程における測定結果)に基づいて制御部44bが水蒸気供給部44dを制御することにより、アニール処理の際にアニール室41の内部の水蒸気分圧を所定範囲内に調整することができる。水蒸気供給部44dの具体的な構成が特に限られることはないが、例えば、水蒸気供給部44dとして、図6に示す第1の実施の形態における水蒸気供給部34eと略同一のものが用いられ得る。また水蒸気供給部44dとして、図示はしないが、水蒸気供給源と、水蒸気供給源とアニール室41との間に配置され、水蒸気供給源からアニール室41へ供給される水蒸気の流量を調整するマスフローコントローラーと、の組合せが用いられてもよい。
また本実施の形態において、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱するための加熱機構45が、基材フィルム11が巻き付けられるアニール用搬送ドラム46からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図12に示すように、加熱機構45が、搬送される基材フィルム11に沿って設けられ、基材フィルム11の搬送方向に平行に延びるシート加熱手段48を有していてもよい。この場合、シート加熱手段48は、図12に示すように基材フィルム11に沿って複数設けられていてもよい。
シート加熱手段48の具体的な構成は特に限定されるものではない。例えば図13Aに示すように、シート加熱手段48は、金属からなるシーズ部48aと、シーズ部48a内に配置され、ニクロム線などの抵抗体からなる発熱部48bと、を有するシーズヒーターであってもよい。なお図13Aにおいて一点鎖線で示すように、基材フィルム11の一側(透明導電膜16が設けられている側)だけでなく基材フィルム11の他側にもシート加熱手段48が配置されていてもよい。
また図13Bに示すように、シート加熱手段48は、基材フィルム11を加熱するための赤外線を放出する複数のランプ48cを有するものであってもよい。この場合、基材フィルム11とランプ48cとの間に、ランプ48cからの熱を均一化した上で基材フィルム11に伝導させるための中間板48eが介在されていてもよい。またランプ48cの近傍であって基材フィルム11とは反対の側に、ランプ48cからの赤外線を反射する反射板48dが設けられていてもよい。さらに、基材フィルム11の近傍であってランプ48cが設けられている側とは反対の側に、熱を基材フィルム11近傍の空間に閉じ込めるための遮蔽板48fが設けられていてもよい。
また本実施の形態において、膜製造装置10によって製造される積層体18の一例として、基材フィルム11の一方の側にのみ高屈折率膜14,低屈折率膜15および透明導電膜16が形成された積層体18を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図14に示すように、膜製造装置10が、基材フィルム11の一方の側および他方の側の両方にそれぞれ高屈折率膜14,低屈折率膜15および透明導電膜16が形成された積層体18を製造してもよい。図14に示す積層体18を製造する方法が特に限られることはない。例えば、はじめに、基材フィルム11を巻出装置20から成膜装置30およびアニール装置40を介して巻取装置50に搬送する間に、基材フィルム11の一方の側に成膜処理およびアニール処理を施し、これによって、基材フィルム11の一方の側に高屈折率膜14,低屈折率膜15および透明導電膜16を形成する。次に、一方の側に高屈折率膜14,低屈折率膜15および透明導電膜16が形成された基材フィルム11を、巻出装置20に搬入する。その後、再び基材フィルム11を巻出装置20から成膜装置30およびアニール装置40を介して巻取装置50に搬送する間に、基材フィルム11の他方の側に成膜処理およびアニール処理を施し、これによって、基材フィルム11の他方の側に高屈折率膜14,低屈折率膜15および透明導電膜16を形成する。このようにして、図14に示す積層体18が得られる。
若しくは、後述する第2の実施の形態で説明するように、成膜装置30がアニール装置40としても使用され得るように構成されている場合、巻出装置20とアニール装置40との間で基材フィルム11を複数回往復させる間に、基材フィルム11の一方の側および他方の側のそれぞれに対して成膜処理およびアニール処理を施してもよい。このようにして、図14に示す積層体18が得られる。
図15は、図14に示す積層体18をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサ60の一例を示す図である。この場合、基材フィルム11の両側に透明導電膜16が形成されている。このため、例えば、基材フィルム11の一方の側の透明導電膜16をパターニングすることにより、横方向に延びる透明導電パターン62を形成し、基材フィルム11の他方の側の透明導電膜16をパターニングすることにより、縦方向に延びる透明導電パターン62を形成することができる。このように基材フィルム11の両側に透明導電膜16を設けることにより、様々なタイプのタッチパネルセンサ60を形成することが可能となる。
第2の実施の形態
次に図16および図17を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図16および図17に示す第2の実施の形態においては、成膜装置の成膜室、成膜用真空排気機構および成膜用搬送ドラムが、アニール装置のアニール室、アニール用真空排気機構およびアニール用搬送ドラムとしても利用される。すなわち成膜装置がアニール装置としても利用される。図16および図17に示す第2の実施の形態において、図1乃至図10に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図16に示すように、本実施の形態による膜製造装置10は、巻出装置20と、巻出装置20に接続された成膜装置30と、成膜装置30に接続された巻取装置50と、を備えている。このうち成膜装置30は、図3に示す上述の第1の実施の形態の場合の成膜装置30と同様に、成膜室36と、成膜用搬送ドラム38と、ガイドローラー39と、各ターゲット31a,32a,33a,34aと、を備えている。このうち成膜用搬送ドラム38は、その表面が所定の温度に加熱されるよう構成されている。また各領域31〜34のうち少なくとも第4領域34には、第4領域34に水蒸気を供給する水蒸気供給部34eと、第4領域34の水蒸気分圧を測定する測定部34cと、測定部34cによる水蒸気分圧の測定結果に基づいて水蒸気供給部34eを制御する制御部34dと、が設けられている。このため各領域31〜34のうち少なくとも第4領域34によれば、水蒸気供給部34eによって水蒸気を例えば数sccmで供給しながら成膜用搬送ドラム38によって透明導電膜16を加熱することにより、第1の実施の形態におけるアニール装置40によって実施されるアニール処理と同様の処理を透明導電膜16に対して実施することが可能となっている。
本実施の形態においては、このように成膜装置30の少なくとも一部を、第1の実施の形態におけるアニール装置40としても利用することを特徴とする。この場合、図17に示すように、成膜装置30の成膜室36、成膜用真空排気機構37および成膜用搬送ドラム38が、アニール装置40のアニール室41、アニール用真空排気機構42およびアニール用搬送ドラム46を兼ねている。また、成膜装置30の測定部34c,制御部34dおよび水蒸気供給部34eによって、アニール室41の内部の水蒸気分圧を所定範囲内に調整するための上述の水蒸気調整機構44が構成されている。
なお図17においては、測定部34c,制御部34dおよび水蒸気供給部34eの組み合わせが第4領域34にのみ設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、測定部34c,制御部34dおよび水蒸気供給部34eがさらにその他の領域31,32,33,35にも設けられていてもよい。これによって、第1の実施の形態におけるアニール装置40によって実施されるアニール処理を、成膜装置30の各領域31〜35において実施することが可能となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、基材フィルム11上に形成された透明導電膜16を含む積層体18の製造方法について説明する。
(脱ガス工程および成膜工程)
はじめに、巻出装置20において、基材フィルム11が巻回されたシャフト21を準備し、次に、第1方向(図16における右方向)へ基材フィルム11を搬送しながら、基材フィルム11に対する脱ガス処理を実施する。その後、成膜装置30において、第1方向へ基材フィルム11を搬送しながら、基材フィルム11上に膜14,15,16を設ける成膜処理を実施する。これらの脱ガス処理および成膜処理は、上述の第1の実施の形態における脱ガス処理および成膜処理と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
その後、成膜処理を経た基材フィルム11が、巻取装置50においてシャフト51によって一旦巻き取られる。その後、今度はシャフト51の回転方向を反転させ、これによって、基材フィルム11を上記第1方向とは逆の第2方向(図16における左方向)へ搬送する。
(アニール工程)
次に、第2方向へ基材フィルム11を搬送しながら、成膜装置30と兼用のアニール装置40によって、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱してアニール処理を実施する。アニール処理においては、はじめに、成膜用真空排気機構37の排気手段34bによって第4領域34の内部の気体を外部に排出する(排気工程)。例えば、第4領域34の内部に存在する気体のうち水蒸気以外の気体による圧力が1×10−3Pa以下となるよう、排気手段34bを駆動させる。その後、測定部34c,制御部34dおよび水蒸気供給部34eによって、アニール室41の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa〜40×10−4Paの範囲内に調整する(水蒸気調整工程)。次に、アルゴンガスなどの不活性ガスを、全圧が1Pa以下となる範囲内でアニール室41に導入する。
その後、第4領域34の内部において透明導電膜16を所定のアニール温度で加熱する。アニール温度は、80〜120℃の範囲内の所定温度、例えば100℃に設定されている。透明導電膜16をアニール温度で加熱することにより、透明導電膜16の結晶化が進行する。これによって、得られる透明導電膜16の電気抵抗率を低くするとともに、耐薬品性を高くすることができる。
なお、その他の領域31,32,33,35にも測定部34c,制御部34dおよび水蒸気供給部34eが設けられている場合、各領域31,32,33,35においてさらに上述のアニール処理が実施されてもよい。
(巻取工程)
その後、巻出装置20において、基材フィルム11と、基材フィルム11上に形成された透明導電膜16などの複数の膜と、を含む積層体18が、シャフト21によって巻き取られる。これによって、積層体18の巻回体が得られる。
このように本実施の形態によれば、成膜装置30と兼用のアニール装置40によって、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16に対するアニール処理が実施される。例えば上述のように、はじめに、基材フィルム11が第1方向に搬送されている間、成膜装置30による成膜処理が実施され、その後、基材フィルム11が第2方向に搬送されている間、アニール装置40と兼用の成膜装置30によるアニール処理が実施される。このように実施の形態によれば、1つの装置を成膜装置およびアニール装置のいずれとしても利用することができる。これによって、設けられる装置の数を削減することができ、このことにより、膜製造装置10のレイアウトを容易にし、また、膜製造装置10のコストを抑制することができる。
また本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、アニール処理の際、真空状態に保たれたアニール室41において、水蒸気分圧が1×10−4Pa以上に調整されている。これによって、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16の結晶化を促進することができ、このため、アニール温度が低い場合であっても、低い電気抵抗率および高い耐薬品性を有する多結晶状態の透明導電膜16を短時間で得ることができる。このことにより、耐熱性の低い基材フィルム11が用いられる場合であっても、効率良く透明導電膜16を製造することができる。
また本実施の形態においては、アニール装置40と兼用の成膜装置30において、成膜処理またはアニール処理のいずれか一方のみが実施される。すなわち、膜製造装置10における積層体18の製造ラインにおいて、成膜処理およびアニール処理が同時に実施されることがない。このため、基材フィルム11の搬送速度を、成膜処理およびアニール処理に対してそれぞれ個別に最適に設定することができる。
なお本実施の形態において、アニール処理の際の水蒸気分圧を所定範囲内に調整するために、水蒸気を供給する水蒸気供給部44dが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図17において一点鎖線で示すように、水蒸気を凝縮または吸着させて捕捉する水蒸気捕捉部44cが用いられてもよい。
なお、上述した各実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(予備実験)
はじめに、成膜装置30を用いて基材フィルム11上に透明導電膜16を設ける際の適切な成膜条件を探索した。具体的には、まず、シクロオレフィンポリマーからなる合成樹脂層12を含む基材フィルム11を準備した。次に、100℃で3分間にわたって、基材フィルム11に対する脱ガス処理を実施した。その後、成膜装置30におけるスパッタリングによって、基材フィルム11上に、酸化ニオブからなる高屈折率膜14(膜厚9nm)と、酸化珪素からなる低屈折率膜15(膜厚48nm)と、ITOからなる透明導電膜16とを順に設けた。ITOのスパッタリングにおいては、水蒸気分圧が3.2,7.9,8,6,12.1,または19.3×10−4Paとなっている条件下においてそれぞれ、透明導電膜16の成膜を実施した。
なお、ITOの成膜処理においては、水蒸気分圧を導入する前に、第4領域34内の圧力が2.0×10−3Pa以下となるよう、排気手段34bによって第4領域34の内部の気体を外部に排出した。その後、アルゴンガスを第4領域34に流量250sccmで導入するとともに、酸素ガスを第4領域34に流量10sccmで導入した。この際の第4領域34内の圧力は0.3〜0.4Paの範囲内となっていた。また、スパッタリングの際の放電電力は3.8kWであった。
上記の水蒸気分圧の下で得られた透明導電膜16に対して、アニール装置40を用いてアニール処理を実施した。アニール処理は、温度および水蒸気分圧を様々に変えて実施した。結果、後述する実施例において示されているように、成膜装置30による透明導電膜16の成膜処理時の水蒸気分圧が3.2,7.9または8,6×10−4Paとなっていた場合、アニール処理の条件を適切に設定することによって、多結晶状態の透明導電膜16を短時間で得ることができた。一方、成膜装置30による透明導電膜16の成膜処理時の水蒸気分圧が12.1または19.3×10−4Paとなっていた場合、アニール処理の条件(アニール温度およびアニール処理時の水蒸気分圧)をどのように設定しても、多結晶状態の透明導電膜16を短時間で、例えば30分以内に得ることができなかった。このことから、アニール装置40による短時間のアニール処理によって多結晶状態の透明導電膜16を得るためには、成膜装置30による成膜処理によって得られる透明導電膜16の組織の状態が適切な範囲内に入っていることが必要になると言える。成膜装置30を用いた成膜処理によって得られる透明導電膜16の組織の状態の許容範囲は、許容されるアニール時間などによって異なるが、例えば上記予備実験からは、成膜装置30を用いたITOの成膜処理の際の水蒸気分圧を例えば3〜10×10−4Paの範囲内とすれば、許容範囲内の組織状態を有する透明導電膜16が得られると言える。なお、多結晶状態の透明導電膜16を得ることができたかどうかという点は、アニール処理後の透明導電膜16をエッチング液に曝した場合に透明導電膜16がエッチング液に溶解しないかどうかということに基づいて判定した。
以下、成膜装置30によるITOの成膜処理の際の水蒸気分圧を例えば3〜10×10−4Paの範囲内とした場合に、アニール装置40によるアニール処理の条件を様々に変えて透明導電膜16の製造を行った結果について、実施例1〜8として説明する。
(実施例1)
図16および図17に示す上述の第2の実施の形態による膜製造装置10を用いて、基材フィルム11上に形成された透明導電膜16を含む積層体18を製造した。基材フィルム11としては、シクロオレフィンポリマーからなる合成樹脂層12を含む基材フィルム11を用いた。はじめに透明導電膜16の製造方法および製造条件について説明する。次に、得られた透明導電膜16の評価方法および評価結果について説明する。
〔製造方法および製造条件〕
はじめに、脱ガス処理を基材フィルム11に対して実施した。次に、成膜装置30におけるスパッタリングによって、基材フィルム11上に、高屈折率膜14、低屈折率膜15およびITOからなる透明導電膜16を順に設けた。これらの具体的な手順は、上述の予備実験の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
透明導電膜16の成膜処理においては、成膜用搬送ドラム38を用いて基材フィルム11の温度を20〜25℃に調整しながら、スパッタリングによって、第4ターゲット34aを構成する原子を基材フィルム11上に付着させた。この際の放電電力は3.8kWであり、基材フィルム11の搬送速度は0.6m/minであった。また、スパッタリングを用いた成膜処理の間、測定部34cによって、第4領域34内の水蒸気分圧を測定した。結果、水蒸気分圧は8.6×10−4Paとなっていた。
次に、アニール装置40を用いて、基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16を加熱してアニール処理を実施した。この際、アニール用搬送ドラム46の表面の温度は120℃であり、アニール時間(アニール用搬送ドラム46によって基材フィルム11が加熱された期間)は6分間であった。
また、アニール処理の間、クライオパネルによって、アニール室41内の水蒸気分圧を調整した。また、アニール処理の間、測定部44aによって、アニール室41内の水蒸気分圧を測定した。結果、水蒸気分圧は1.6×10−4Paとなっていた。
〔評価方法および評価条件〕
アニール処理が施された後の透明導電膜16の面積抵抗率を測定した。測定方法としては、三菱化学(株)製ロレスタ−を用いた4端子法を採用した。4端子法による測定の結果、面積抵抗率が136Ω/□となっていた。
また、透明導電膜16の耐薬品性を評価するため、アニール処理後の透明導電膜16をエッチング液に曝し、その後、透明導電膜16の面積抵抗率を測定した。エッチング液としては、金属用のエッチング液であって、ITOなどからなる透明導電膜16を本来のエッチング対象とはしていないエッチング液を用いた。例えば、積層体18を用いてタッチパネルセンサを製造する際に、透明導電膜16の上に設けられた金属層をエッチングするための、りん酸、硝酸、酢酸および水を含むエッチング液を用いた。具体的には、銀合金用のエッチング液であって、各液の比率が体積比として燐酸:硝酸:酢酸:水=5:1:5:5となっているエッチング液を用いた。エッチング液の温度は25℃であった。また、面積抵抗率の測定方法としては、上述の4端子法を採用した。エッチング液に10分間曝した後の透明導電膜16の面積抵抗率は148Ω/□となっていた。
(実施例2)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.5×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を4.6×10−4Paとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は146Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は159Ω/□となっていた。
(実施例3)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.1×10−4Paとし、アニール温度を110℃とし、アニール処理時の水蒸気分圧を5.1×10−4Paとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は161Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は202Ω/□となっていた。
(実施例4)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.0×10−4Paとし、アニール時間を15分間とし、アニール処理時の水蒸気分圧を4.9×10−4Paとしたこと以外は、実施例3と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は159Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は166Ω/□となっていた。
(実施例5)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を3.2×10−4Paとし、アニール温度を100℃とし、アニール時間を15分間とし、アニール処理時の水蒸気分圧を5.0×10−4Paとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は173Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は181Ω/□となっていた。
(実施例6)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.0×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を2.8×10−4Paとしたこと以外は、実施例5と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は157Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は171Ω/□となっていた。
(実施例7)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.0×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を5.3×10−4Paとしたこと以外は、実施例5と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は154Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は165Ω/□となっていた。
(実施例8)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を7.9×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を11.5×10−4Paとしたこと以外は、実施例5と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は158Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は176Ω/□となっていた。
(比較例1)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.7×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を0.5×10−4Paとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は149Ω/□となっていた。なお、透明導電膜16をエッチング液に曝した場合、透明導電膜16がエッチング液に溶解してしまった。
(比較例2)
透明導電膜16の成膜処理の際の水蒸気分圧を8.0×10−4Paとし、アニール処理時の水蒸気分圧を54×10−4Paとしたこと以外は、実施例5と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして面積抵抗率の測定を実施した。結果、アニール処理後の透明導電膜16の面積抵抗率は156Ω/□となっていた。また、エッチング液に曝された後の透明導電膜16の面積抵抗率は236Ω/□となっていた。
(比較例3)
アニール処理を実施しなかったこと以外は、比較例1と同様にして、基材フィルム11上に透明導電膜16を形成した。
基材フィルム11上に設けられた透明導電膜16について、実施例1の場合と同様にして、エッチング液を用いた耐薬品性の評価を実施した。結果、透明導電膜16がエッチング液に溶解してしまった。
表1は、実施例1〜8および比較例1〜3における成膜処理およびアニール処理の主要条件をまとめて示す表である。
Figure 2013140684
また表2は、実施例1〜8および比較例1〜3における透明導電膜16の面積抵抗率の測定結果を示す表である。
Figure 2013140684
表1および表2に示されるように、実施例1〜8によれば、アニール処理時の水蒸気分圧を約1〜40×10−4Paの範囲内とすることにより、約200Ω/□または200Ω/□以下という低い面積抵抗率を有する透明導電膜16を得ることができた。また表2に示されるように、得られた透明導電膜16をエッチング液に10分間曝す前後での面積抵抗率の変化率は、30%以下となっていた。これらのことから、アニール処理時の水蒸気分圧を約1〜40×10−4Paの範囲内とすることにより、低いアニール温度であっても短時間で十分に透明導電膜16の結晶化を進行させることができ、これによって、低い電気抵抗率および高い耐薬品性を実現できたと言える。
一方、比較例1においては、アニール処理時の水蒸気分圧が1×10−4Paよりも低くなっており、この結果、得られた透明導電膜16がエッチング液に溶解してしまった。また比較例2においては、アニール処理時の水蒸気分圧が40×10−4Paよりも高くなっており、この結果、エッチング前後での面積抵抗率の著しい増大が見られた。比較例1および2においては、アニール処理における透明導電膜16の結晶化が不十分であり、このため、透明導電膜16がエッチング液に完全にまたは部分的に溶解してしまったと考えられる。また比較例3においては、アニール処理を実施しておらず、この結果、得られた透明導電膜16がエッチング液に溶解してしまった。本実施例および比較例による成膜条件においては、成膜処理後のアニール処理が必須であると言える。
好ましくは、実施例5〜7と実施例8との比較から分かるように、アニール処理時の水蒸気分圧が10×10−4Pa以下、より好ましくは6×10−4Pa以下に設定される。これによって、透明導電膜16の結晶化を短時間で十分に進行させることができ、このことにより、高い耐薬品性を有する透明導電膜16を得ることができる。
また好ましくは、実施例3と実施例4との比較から分かるように、アニール温度に応じてアニール時間が適切に設定される。例えば、アニール温度120℃においては、アニール時間が6分以上に設定され、アニール温度110℃においては、アニール時間が6分よりも長く、例えば15分以上に設定され、アニール温度100℃においては、アニール時間が15分以上に設定される。これによって、透明導電膜16の結晶化を十分に進行させることができ、このことにより、高い耐薬品性を有する透明導電膜16を得ることができる。
10 膜製造装置
11 基材フィルム
12 合成樹脂層
13 ハードコート層
14 高屈折率膜
15 低屈折率膜
16 透明導電膜
18 積層体
20 巻出装置
21 シャフト
22 加熱機構
23 ヒーター
24 排気手段
25 ロードロックバルブ
30 成膜装置
31〜35 第1領域〜第5領域
31a〜34a ターゲット
31b〜35b 排気手段
34c 測定部
34d 制御部
34e 水蒸気供給部
34f 水蒸気供給管
34g 開口部
34h 供給タンク
34i バルブ
34j ガスタンク
34k バルブ
36 成膜室
36a 隔壁
37 成膜用真空排気機構
38 成膜用搬送ドラム
40 アニール装置
41 アニール室
42 アニール用真空排気機構
44 水蒸気調整機構
44a 測定部
44b 制御部
44c 水蒸気捕捉部
45 加熱機構
46 アニール用搬送ドラム
47 ドラム加熱手段
47a 熱媒循環路
47b 熱媒
48 シート加熱手段
50 巻取装置
51 シャフト
52 排気手段
53 ニアローラー
60 タッチパネルセンサ
62 透明導電パターン
64 取出パターン
65 端子部

Claims (10)

  1. 基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール方法において、
    アニール室の内部の気体を外部に排出する排気工程と、
    前記アニール室の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整する水蒸気調整工程と、
    前記アニール室の内部において前記透明導電膜を所定のアニール温度で加熱する加熱工程と、を備えたことを特徴とするアニール方法。
  2. 前記水蒸気調整工程において、前記アニール室の内部の水蒸気分圧が1〜40×10−4Paの範囲内に調整されることを特徴とする請求項1に記載のアニール方法。
  3. 前記アニール温度が、80〜120度の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載のアニール方法。
  4. 前記水蒸気調整工程は、前記アニール室の内部の水蒸気分圧を測定する測定工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記アニール室の内部の水蒸気の捕捉量を調整する水蒸気捕捉工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアニール方法。
  5. 前記水蒸気調整工程は、前記アニール室の内部の水蒸気分圧を測定する測定工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記アニール室の内部に水蒸気を供給する水蒸気供給工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアニール方法。
  6. 基材フィルム上に透明導電膜を形成する膜製造方法において、
    前記基材フィルム上に透明導電膜を設ける成膜工程と、
    前記基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール工程と、を備え、
    前記アニール工程は、請求項1に記載のアニール方法からなることを特徴とする膜製造方法。
  7. 前記成膜工程は、成膜処理が実施される成膜室と、前記成膜室の内部の気体を外部に排出する成膜用排気機構と、を有する成膜装置によって実行され、
    前記アニール工程は、アニール処理が実施されるアニール室を有するアニール装置によって実行され、
    前記基材フィルムが前記成膜装置の前記成膜室から前記アニール装置の前記アニール室に至るまでの間、前記基材フィルムの周囲の雰囲気が真空状態に保たれていることを特徴とする請求項6に記載の膜製造方法。
  8. 前記アニール装置は、前記成膜装置の前記成膜室の内部でアニール処理を実施するよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載の膜製造方法。
  9. 基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール装置において、
    アニール処理が実施されるアニール室と、
    前記アニール室の内部の気体を外部に排出するアニール用排気機構と、
    前記アニール室の内部の水蒸気分圧を1×10−4Pa以上に調整する水蒸気調整機構と、
    前記アニール室の内部に設けられ、所定のアニール温度で前記透明導電膜を加熱する加熱機構と、を備えたことを特徴とするアニール装置。
  10. 基材フィルム上に透明導電膜を形成する膜製造装置において、
    前記基材フィルム上に透明導電膜を設ける成膜処理を実施する成膜装置と、
    前記基材フィルム上に設けられた透明導電膜を加熱してアニール処理を実施するアニール装置と、を備え、
    前記アニール装置は、請求項9に記載のアニール装置からなることを特徴とする膜製造装置。
JP2011289618A 2011-12-28 2011-12-28 アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置 Active JP5812417B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289618A JP5812417B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289618A JP5812417B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013140684A true JP2013140684A (ja) 2013-07-18
JP5812417B2 JP5812417B2 (ja) 2015-11-11

Family

ID=49037966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011289618A Active JP5812417B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5812417B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015132005A (ja) * 2014-01-15 2015-07-23 株式会社アルバック 成膜方法、および、スパッタ装置
JP2015193882A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 株式会社カネカ 透明導電フィルムの製造方法
JP2015206106A (ja) * 2014-04-23 2015-11-19 旭硝子株式会社 脱ガス装置
JP2019004006A (ja) * 2017-06-13 2019-01-10 日東電工株式会社 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品
CN111508640A (zh) * 2019-01-30 2020-08-07 日东电工株式会社 透明导电性薄膜
CN111508641A (zh) * 2019-01-30 2020-08-07 日东电工株式会社 透明导电性薄膜
JP2020527195A (ja) * 2017-07-21 2020-09-03 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 真空チャンバ用の熱処理装置、可撓性基板上に材料を堆積させる堆積装置、真空チャンバ内での可撓性基板の熱処理方法、および可撓性基板の処理方法
JP2020161583A (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 積水化学工業株式会社 λ/4型電波吸収体
JP2021089973A (ja) * 2019-12-04 2021-06-10 株式会社Screenホールディングス エッチング方法
WO2023042841A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法
WO2023042842A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法
JP7438274B2 (ja) 2022-06-30 2024-02-26 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102136549B1 (ko) * 2016-04-06 2020-07-22 주식회사 엘지화학 전도성 필름의 제조 방법

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03263712A (ja) * 1990-03-13 1991-11-25 Fujitsu Ltd 透明導電膜の形成方法
JPH0688973A (ja) * 1992-07-21 1994-03-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 透明導電膜およびそれを用いた半導体装置ならびにその作製方法
JP2000056321A (ja) * 1998-08-07 2000-02-25 Teijin Ltd 液晶表示用透明導電積層体の製造方法
JP2003016858A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Sanyo Electric Co Ltd インジウムスズ酸化膜の製造方法
JP2010198934A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Nitto Denko Corp 透明導電積層体の製造方法、透明導電積層体およびタッチパネル
JP2012052201A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Nitto Denko Corp 透明導電性薄膜の製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03263712A (ja) * 1990-03-13 1991-11-25 Fujitsu Ltd 透明導電膜の形成方法
JPH0688973A (ja) * 1992-07-21 1994-03-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 透明導電膜およびそれを用いた半導体装置ならびにその作製方法
JP2000056321A (ja) * 1998-08-07 2000-02-25 Teijin Ltd 液晶表示用透明導電積層体の製造方法
JP2003016858A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Sanyo Electric Co Ltd インジウムスズ酸化膜の製造方法
JP2010198934A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Nitto Denko Corp 透明導電積層体の製造方法、透明導電積層体およびタッチパネル
JP2012052201A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Nitto Denko Corp 透明導電性薄膜の製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015132005A (ja) * 2014-01-15 2015-07-23 株式会社アルバック 成膜方法、および、スパッタ装置
JP2015193882A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 株式会社カネカ 透明導電フィルムの製造方法
JP2015206106A (ja) * 2014-04-23 2015-11-19 旭硝子株式会社 脱ガス装置
JP7058475B2 (ja) 2017-06-13 2022-04-22 日東電工株式会社 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品
JP2019004006A (ja) * 2017-06-13 2019-01-10 日東電工株式会社 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品
JP2020527195A (ja) * 2017-07-21 2020-09-03 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 真空チャンバ用の熱処理装置、可撓性基板上に材料を堆積させる堆積装置、真空チャンバ内での可撓性基板の熱処理方法、および可撓性基板の処理方法
CN111508640A (zh) * 2019-01-30 2020-08-07 日东电工株式会社 透明导电性薄膜
CN111508641A (zh) * 2019-01-30 2020-08-07 日东电工株式会社 透明导电性薄膜
JP2020161583A (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 積水化学工業株式会社 λ/4型電波吸収体
JP7305392B2 (ja) 2019-03-26 2023-07-10 積水化学工業株式会社 λ/4型電波吸収体
JP2021089973A (ja) * 2019-12-04 2021-06-10 株式会社Screenホールディングス エッチング方法
JP7294999B2 (ja) 2019-12-04 2023-06-20 株式会社Screenホールディングス エッチング方法
WO2023042841A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法
WO2023042842A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法
JP7438274B2 (ja) 2022-06-30 2024-02-26 日東電工株式会社 透明導電性フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5812417B2 (ja) 2015-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5812417B2 (ja) アニール方法、膜製造方法、アニール装置および膜製造装置
TWI480898B (zh) Production method of conductive laminated film
JP4269261B2 (ja) 透明ガスバリアフィルムの製造方法
TWI488751B (zh) Method for manufacturing transparent conductive film
JP2014164882A (ja) 信頼性・加工性に優れた積層体およびフィルムセンサ並びに積層体製造方法
TW201346937A (zh) 附有透明電極之基板的製造方法
TW201422836A (zh) 附透明電極的基板的製造方法及附透明電極的基板
JP2022133292A (ja) 透明導電性フィルム、および透明導電性フィルムの製造方法
JP6454690B2 (ja) 透明導電フィルムの製造方法
JP4415584B2 (ja) フィルム用真空成膜装置及びそれを用いたプラスチックフィルム
KR101165770B1 (ko) 고투과율 및 저저항 특성을 갖는 인듐-틴 옥사이드 박막의 제조방법
TWI494951B (zh) Method for manufacturing transparent conductive film
JP6396059B2 (ja) 透明導電フィルムの製造方法
JP2013142034A (ja) 巻取装置、積層体製造装置および積層体製造方法
KR101913909B1 (ko) 전도성 투명 기판 및 그 제조방법
JP2011195850A (ja) 成膜方法およびガスバリアフィルム
JP6097117B2 (ja) 積層体およびフイルム
JP7320510B2 (ja) 透明電極付き基板およびその製造方法
JP6825826B2 (ja) 透明導電膜付き基板の製造方法
JP2022118004A (ja) 透明導電性フィルム
CN114127865A (zh) 透明导电性薄膜
JP6268568B2 (ja) 積層体の製造方法および積層体
JP6109775B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
JP5717968B2 (ja) ガラス条の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子
CN114628060A (zh) 透明导电性薄膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5812417

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02