JP2015206097A - 脱ガス装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムの脱ガス処理を行う真空チャンバの内部に、平行な10本以上のローラからなるローラ群を有することにより、この課題を解決する。
【選択図】図1
Description
また、これらの薄膜を効率よく成膜する方法として、フィルムをロール状に巻回してなるロールからフィルムを送り出し、長手方向に搬送しつつ成膜や表面処理等の所定の処理を行い、成膜済のフィルムをロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール法(Roll to Roll法 以下、RtoR法とも言う)が知られている。
従って、アモルファス半導体等の薄膜の成膜において、結晶性の高い高品質な薄膜を成膜するためには、成膜基材となるフィルムに、水分等の揮発性成分が含まれていないことが重要である。
例えば、特許文献1には、主に薄膜太陽電池の製造に利用されるRtoR法による脱ガス処理装置において、脱ガス処理を行う真空チャンバを、フィルムが通過するスリットで連通する第1槽および第2槽に分けて、第1槽に不活性ガスを導入することにより、上流側の第1槽の圧力を、下流側の第2槽の圧力よりも高くする装置が記載されている。
特許文献1に記載される装置は、このような構成を有することにより、排出されるガスが多い第1槽では、フィルム表面へのガスの再付着を防止すると共に、熱伝達性を向上させ、他方、排出されるガスが少なくなる第2槽では、圧力を低くして、フィルムからのガスの除去を好適に行うことができる。
真空チャンバと、
前記真空チャンバの内部を排気する真空ポンプと、
前記真空チャンバの内部に配置される、平行な10本以上のローラからなるローラ群とを有することを特徴とする脱ガス装置を提供する。
また、前記ローラ対を構成する2本のローラはそれぞれ50cm以上離間することが好ましい。
また、前記ローラ対の数をn(対)、n(対)の前記ローラ対のそれぞれを構成する2本のローラの離間距離の合計値をΣ(Wi)(i=1〜n)(cm)とするとき、関係式Σ(Wi)(i=1〜n)≧250を満足することが好ましい。
また、前記ローラ群に含まれる1本以上のローラは、駆動ローラであることが好ましい。
図1に示す脱ガス装置10は、RtoR法によって、フィルムFの脱ガス処理を行うものである。すなわち、脱ガス装置10は、例えば、アモルファス半導体やITO等の薄膜の成膜において、フィルムFの搬送方向の上流(以下、単に上流、逆側を下流とも言う)側の装置Xから供給されたフィルムFを、長手方向に搬送しつつ脱ガス処理を行い、脱ガス処理を行ったフィルムFを、下流側の装置Yに搬送する。
なお、脱ガス装置10には、図示した部材以外にも、フィルムFの加熱手段、フィルムFの搬送ガイド、温度測定手段、圧力測定手段、真空チャンバ12の内部の圧力を下げるための補助手段(クライオコイル等)、真空チャンバ12の内部への不活性ガスの導入手段、作業員が真空チャンバ12の内部に入るための扉、真空チャンバ12の内部監視手段等、公知のフィルムからの脱ガス装置が有する各種の部材を有してもよい。なお、フィルムFへの熱ダメージを防ぐためにも、脱ガス装置10には、フィルムFの加熱手段を有さなくてもよい。
所定の方向に搬送されたフィルムFは、ローラ16b〜16nによってさらに所定の経路で搬送されつつ、脱ガス処理を施され、スリット12bを通り、真空チャンバ12から排出されて、下流側の装置Yに搬送される。
従って、装置Xは、フィルムFを巻回してなるフィルムロールからフィルムFを送り出す巻出し装置(アンワインダ)でも、フィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、フィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。他方、装置Yも、脱ガス処理を施されたフィルムFを巻き取る巻取り装置(ワインダ)でも、脱ガス処理を施されたフィルムFに表面処理等を行う処理装置でも、フィルムFに成膜を行う成膜装置でもよい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート等の各種の樹脂材料からなるフィルムが好適に例示される。
図示例の脱ガス装置10においては、真空チャンバ12は、一例として、略四角柱状の形状を有する。
ローラ16a〜16nは、RtoR法を利用する装置に用いられる、フィルムFを案内(搬送経路を変更)するための公知の各種のローラである。
しかしながら、ローラ16a〜16nの内の少なくとも2本以上のローラは、自ら駆動してフィルムFを案内する方向に力を与える駆動ローラであることが好ましい。本実施形態においては、ローラ16aおよび16nは、駆動ローラである。
また、必要に応じて、ローラ16a〜16nの内の幾つかは、フィルムFの張力を検出するテンションピックアップ、フィルムFの張力を調整するテンションコントローラ、フィルムFの加熱手段等、フィルムFを所定の搬送経路に案内する以外の機能を有してもよい。ローラ加熱手段については詳しく後述する。
また、ローラ16aと16b、ローラ16cと16d、ローラ16eと16f、ローラ16gと16h、ローラ16iと16j、ローラ16kと16l、ローラ16mと16nは、それぞれ本発明におけるローラ対A〜Gを構成する。
そのため、脱ガス装置では、十分なフィルムの搬送長を得るために、多数のローラを配置して、狭い空間の中で、フィルムの搬送経路を何回も折り返すことが好ましい。そうでなければ、脱ガス装置は搬送長に応じた大きさでなければならず、産業上利用できない大きさになりうる。
十分な搬送時間は、フィルムFの種類や材質、厚さ、脱ガス処理を行う際のフィルムFの温度等にもよるが、本発明者らの検討によれば、搬送時間が1分以上であれば、フィルムFの種類によらず脱ガス処理を十分に行える場合があった。ここで、本発明の脱ガス装置10によれば、1分以上の搬送時間を確保することができる。また、搬送時間は、真空チャンバ12の内部に配置されるローラの本数や、ローラ間の離間距離W等を適宜決めることで、好適には1.5分以上、より好適には2.5分以上、さらに好適には3分以上、最も好適には5分以上確保することができる。
すなわち、図1に示されるローラ群Uを構成するローラ16a〜16nの配置にあっては、ローラ対A〜Gは、以上の条件を満たすローラ16a〜16nの構成に限定される。図示されるローラ対A〜Gの構成と配置は、その一例である。
脱ガス装置10の内部におけるフィルムFの搬送長は、より好ましくは1000cm以上であり、さらに好ましくは1500cm以上であり、最も好ましくは2000cm以上である。従って、Σ(Wi)(n=1〜i)は、より好ましくは下記の(式2)で表わされる関係式を満足し、さらに好ましくは下記の(式3)で表わされる関係式を満足し、最も好ましくは下記の(式4)で表わされる関係式を満足する。
また、ローラ群Uも、以上のようなローラ対の条件やローラの本数の条件を満たすように配置されてさえいれば、ローラの配置には特に限定は無い。
また、ローラ16a〜16nのいずれかにフィルムFを掛け回さない、あるいは、ローラ16a〜16nにおけるフィルムFを掛け回す順番を変更する等によって、真空チャンバ12の内部におけるフィルムFの搬送経路を変更できるようにしてもよい。これにより、ローラの配置を変えなくとも、フィルムFの種類や材質、厚さ、脱ガス処理を行う際のフィルムFの温度等に応じて、所望のフィルムFの搬送時間に適宜調整することができる。
本発明の脱ガス装置10を用いれば、前述のように、十分なフィルムFの搬送長を確保できるため、熱ダメージを極力起こさないまま十分に脱ガス処理を行うことができる性能を有し、且つ、フィルムの搬送速度を落とすことなく良好な生産効率を維持できる。しかしながら、生産効率の低下を無視すれば、フィルムFの温度を所定の温度以下に保つことのみで、その搬送長に拘わらず、フィルムFへの熱ダメージの影響を極力回避することができる。
具体的には、フィルム加熱手段、ローラ加熱手段、チャンバ壁加熱手段等が例示される。これらについては詳しく後述する。
フィルム加熱手段は、フィルムを目的とする温度まで加熱可能であれば、公知の各種のフィルム状物(シート状物)の加熱手段が利用可能である。
具体的には、加熱ローラ、温風による加熱手段、熱電ヒータを利用する加熱手段等が例示される。
ローラ加熱手段は、脱ガス装置等で利用されている公知のローラ加熱手段が、各種、利用可能である。
具体的には、電熱ヒータ、温媒循環手段等が例示される。なお、ローラ加熱手段は、ローラに内蔵されてもよい。
チャンバ壁加熱手段も、公知の板状物の加熱手段が、各種、利用可能である。
具体的には、シーズヒータ、リボンヒータ等が例示される。
12 真空チャンバ
12a、12b スリット
14 真空ポンプ
16a〜16n ローラ
16a、16n 駆動ローラ
Claims (8)
- フィルムを長手方向に搬送しつつ、前記フィルムの脱ガス処理を行う脱ガス装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバの内部を排気する真空ポンプと、
前記真空チャンバの内部に配置される、平行な10本以上のローラからなるローラ群とを有することを特徴とする脱ガス装置。 - 前記ローラ群は、平行な20本以上のローラからなることを特徴とする請求項1に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ群は、2本のローラからなるローラ対を独立に5対以上有することを特徴とする請求項1に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ群は、2本のローラからなるローラ対を独立に10対以上有することを特徴とする請求項2に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ対を構成する2本のローラが50cm以上離間することを特徴とする請求項3または4に記載の脱ガス装置。
- 前記ローラ対の数をn(対)、n(対)の前記ローラ対のそれぞれを構成する2本のローラの離間距離の合計値をΣ(Wi)(i=1〜n)(cm)とするとき、関係式Σ(Wi)(i=1〜n)≧250を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱ガス装置。
- 前記合計値Σ(Wi)(i=1〜n)が関係式Σ(Wi)(i=1〜n)≧1000を満足する請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱ガス装置。
- 前記脱ガス装置に含まれる2本以上のローラは、駆動ローラである請求項1〜7に記載の脱ガス装置。
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