JP2010116527A - 発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕メルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)が、0.1〜15g/10分である熱可塑性樹脂(但し、下記(共)重合体〔B〕を除く。)100質量部に対し、〔B〕重量平均分子量が800,000〜10,000,000である(共)重合体0.1〜8質量部、〔C〕物理発泡剤0.1〜5質量部、〔D〕化学発泡剤0.05〜0.8質量部、及び、〔E〕タルク0.1〜5質量部を含有する。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、(A)エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、アクリル系ゴム、水素添加ゴム及びシリコーンゴムの群から選ばれた少なくとも1種のゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合してなるゴム強化熱可塑性樹脂50〜99.9質量%、並びに(B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を共重合して得られ、極限粘度が1.5dl/g以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるMw/Mnが3.0を超える共重合体50〜0.1質量%を主成分とする熱可塑性樹脂と、化学発泡剤(アゾジカルボンアミド)とを含有する組成物が開示されている。
また、特許文献2には、全単量体単位の合計を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物よりなる単量体単位75〜95質量%、シアン化ビニル化合物よりなる単量体単位5〜25質量%及び他のビニル系化合物よりなる単量体単位0〜20質量%からなり、且つ、重量平均分子量が100,000〜300,000であるスチレン系樹脂を含む熱可塑性樹脂と、物理発泡剤とを含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、並びに、この組成物を用いて得られた発泡成形品が開示されている。
上記特許文献1に記載されている熱可塑性樹脂組成物によると、2.2倍を超える高い発泡倍率を有する発泡成形品が得られず、得られる発泡成形品の耐熱性が十分ではなかった。
また、上記特許文献2に記載されている熱可塑性樹脂組成物によると、2.2倍を超える高い発泡倍率を有する発泡成形品が得られるものの、耐熱性が十分ではなかった。
本発明の目的は、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性及び耐熱性に優れる発泡成形品の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.〔A〕メルトマスフローレートが、0.1〜15g/10分である熱可塑性樹脂(但し、下記(共)重合体〔B〕を除く。)、〔B〕重量平均分子量が800,000〜10,000,000である(共)重合体、〔C〕物理発泡剤、〔D〕化学発泡剤、及び、〔E〕タルクを含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記(共)重合体〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜8質量部であり、上記物理発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、上記化学発泡剤〔D〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.05〜0.8質量部であり、且つ、上記タルク〔E〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
2.上記熱可塑性樹脂〔A〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系樹脂を含み、このスチレン系樹脂の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量%に対して、50〜100質量%である上記1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
3.上記スチレン系樹脂が、芳香族ビニル系化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む上記2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
4.上記(共)重合体〔B〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系共重合体であり、このスチレン系共重合体の極限粘度(ジメチルホルムアミド中、30℃)が2〜10dl/gである上記1乃至3のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
5.上記物理発泡剤〔C〕が、沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む上記1乃至4のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
6.上記タルク〔E〕の平均粒子径が0.5〜50μmである上記1乃至5のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
7.上記物理発泡剤〔C〕及び上記化学発泡剤〔D〕の含有割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ、50〜90質量%及び10〜50質量%である上記1乃至6のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
8.上記1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Ax1)、及び、上記物理発泡剤〔C〕を含有し、該物理発泡剤〔C〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ax1)100質量部に対して2.5〜10質量部である、物理発泡剤含有マスターバッチと、上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Ay1)、上記(共)重合体〔B〕、及び、上記タルク〔E〕を含有し、該(共)重合体〔B〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部であり、該タルク〔E〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部であり、且つ、上記物理発泡剤〔C〕を含有しない共重合体含有マスターバッチ(超高分子量重合体含有マスターバッチ)と、上記化学発泡剤〔D〕と、上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Az1)と、が混合されてなり、上記熱可塑性樹脂〔A〕が、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、上記熱可塑性樹脂(Ay1)及び上記熱可塑性樹脂(Az1)からなることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
9.上記1乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
10.上記1乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
上記熱可塑性樹脂〔A〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系樹脂を含み、このスチレン系樹脂の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量%に対して、50〜100質量%である場合には、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
上記スチレン系樹脂が、芳香族ビニル系化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む場合には、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
上記(共)重合体〔B〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系共重合体であり、このスチレン系共重合体の極限粘度(ジメチルホルムアミド中、30℃)が2〜10dl/gである場合には、成形外観性を損なうことなく、成形加工性及び耐熱性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
上記タルク〔E〕の平均粒子径が0.5〜50μmである場合には、発泡セルの大きさを均一にすることで安定した発泡を進めることができ、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性及び耐熱性に優れる発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
また、上記物理発泡剤〔C〕及び上記化学発泡剤〔D〕の含有割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ、50〜90質量%及び10〜50質量%である場合には、発泡倍率が2.2倍以上と高く且つ均一なセル径を有し、成形外観性に優れる発泡成形品の安定製造に好適である。
本発明の積層品は、成形部(V)における成形外観性及び耐熱性に優れるので、外観性及び形状安定性に優れる。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕メルトマスフローレートが、0.1〜15g/10分である熱可塑性樹脂(但し、下記(共)重合体〔B〕を除く。以下、「成分〔A〕」ともいう。)、〔B〕重量平均分子量が800,000〜10,000,000である(共)重合体(以下、「超高分子量重合体〔B〕」又は「成分〔B〕」ともいう。)、〔C〕物理発泡剤(以下、「成分〔C〕」ともいう。)、〔D〕化学発泡剤(以下、「成分〔D〕」ともいう。)、及び、〔E〕タルク(以下、「成分〔E〕」ともいう。)を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記(共)重合体〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜8質量部であり、上記物理発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、上記化学発泡剤〔D〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.05〜0.8質量部であり、且つ、上記タルク〔E〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする。
尚、本発明において、上記メルトマスフローレートは、ISO1133に準拠し、温度220℃及び荷重98Nの条件で測定された値である。
この成分〔A〕は、メルトマスフローレートが、0.1〜15g/10分である熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の芳香族ビニル化合物を用いてなる(共)重合体、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等の、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニリデン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等において、上記物性を有する樹脂が用いられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記メルトマスフローレートが0.1〜15g/10分であることにより、得られる発泡成形品の成形外観性及び耐熱性に優れる。好ましいメルトマスフローレートは、0.1〜12g/10分であり、より好ましくは0.1〜10g/10分、更に好ましくは0.1〜8g/10分である。上記メルトマスフローレートが小さすぎると、発泡成形品の生産安定性が低下し、得られる発泡成形品の成形外観性が十分でない。また、上記メルトマスフローレートが大きすぎると、得られる発泡成形品の耐熱性が十分でない。
上記樹脂(A1)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b1)」という。)を(共)重合して得られたスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b2)」という。)を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成されることが好ましい。尚、このゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、通常、上記ビニル系単量体(b2)がゴム質重合体にグラフト重合しているグラフト化ゴム質重合体と、非グラフトである上記ビニル系単量体(b2)の(共)重合体とを含む樹脂である。上記のスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を用いると、成形外観性に優れ、発泡倍率が、例えば2.2倍以上と高い発泡成形品を効率よく製造することができる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、必要に応じて、後述するゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
尚、上記ビニル系単量体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)において、構成成分及びその割合等が互いに同じであってよいし、異なってもよい。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記樹脂(A1)に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を2種以上含有させる場合には、各ラテックスから樹脂を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
グラフト率(質量%)={(S−T)/T}×100
上記式において、Sは、1グラムのゴム強化スチレン系樹脂をアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリル)20ミリリットルに投入し、25℃で、振とう機により2時間振とうした後、5℃で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(グラム)であり、Tは、1グラムのゴム強化スチレン系樹脂に含まれるゴム質重合体の質量(グラム)である。
上記グラフト率を求める際に、遠心分離後に回収されたアセトン可溶分(含まれるゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリル可溶分)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管を用いて、30℃で各濃度の還元粘度を測定し、極限粘度[η]が求められる。
尚、上記ポリカーボネート樹脂及び(共)重合樹脂は、それぞれ、単独で上記成分〔A〕として用いることもできる。また、ポリカーボネート樹脂は、上記(共)重合樹脂や、更に他の樹脂等と併用することもできる。
上記ポリカーボネート樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分〔A〕が、ポリカーボネート樹脂と、上記(共)重合樹脂とからなる場合、これらの含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは70〜100質量%及び0〜30質量%、より好ましくは85〜95質量%及び5〜15質量%である。上記割合である発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いると、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性及び耐熱性に優れる発泡成形品を効率よく製造することができる。
上記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸等)、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等の炭素数8〜16程度の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体等、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸等の炭素数8〜12程度の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体等、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
これらジカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらジヒドロキシ成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらオキシカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらラクトン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記化合物以外に、必要に応じて、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等の多官能性単量体を併用してもよい。
また、ジカルボン酸及びジアミンを縮重合させる場合のジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
尚、ポリアミド系樹脂の末端は、カルボン酸、アミン等で封止されていてもよい。カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この成分〔B〕は、重量平均分子量(Mw)が800,000〜10,000,000である(共)重合体であれば、特に限定されない。上記成分〔B〕は、好ましくは熱可塑性重合体であり、例えば、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を含む(共)重合体(以下、「重合体(B1)」という。)、アルキル基の炭素数が1〜4である(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物から誘導された構造単位を含む(共)重合体(以下、「重合体(B2)」という。)、炭素数2〜6のα−オレフィンの(共)重合体(以下、「重合体(B3)」という。)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、上記重合体(B1)、(B2)及びポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
尚、上記Mwが800,000〜10,000,000であることにより、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は優れた成形加工性を有し、高い発泡倍率を有する発泡成形品の成形外観性及び耐熱性のバランスに優れる。好ましいMwは、1,000,000〜9,000,000であり、より好ましくは1,500,000〜8,000,000、更に好ましくは1,500,000〜7,000,000である。上記Mwが小さすぎると、得られる発泡成形品を、40℃〜80℃といった高い温度環境下において使用すると、変形等を生じる場合がある。また、上記Mwが大きすぎると、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物が不均一となる場合がある。
また、上記成分〔B〕において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の比で表される多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは5.0〜15.0である。この多分散度が上記範囲にある成分〔B〕を用いると、成分〔A〕との混練性に優れる。尚、上記多分散度が4.0未満では、成分〔A〕と混練する場合に、長時間を要する場合がある。ここで、上記Mw及びMnは、標準ポリスチレンを用い、ジメチルホルムアミドを溶媒とした、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸メチル及びアクリル酸n−ブチルが好ましい。
上記マレイミド系化合物としては、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸が好ましい。
上記ヒドロキシル基含有ビニル系化合物としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
上記エポキシ基含有ビニル系化合物としては、グリシジルメタクリレート好ましい。
また、上記アミド基含有ビニル系化合物としては、アクリルアミドが好ましい。
上記重合体(B1)が、下記構成を有すると、成形加工性を低下させることなく、高い発泡倍率を有し、成形外観性及び耐熱性のバランスに優れる発泡成形品を得ることができる。
上記重合体(B1)が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位、シアン化ビニル化合物から誘導された構造単位、及び、他の構造単位からなる場合、これらの構造単位の合計を100質量%に対して、それぞれ、好ましくは55〜85質量%、15〜45質量%及び0〜20質量%である。
上記成分〔B〕をジメチルホルムアミド100ミリリットルに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管を用いて、30℃で各濃度の還元粘度を測定し、極限粘度が求められる。
上記重合開始剤の使用量は、単量体成分100質量部に対し、通常、0.01〜2質量部、好ましくは0.03〜0.5質量部、より好ましくは0.05〜0.3質量部である。この使用量が少なすぎると、重合反応の開始が安定してなされない場合がある。一方、この使用量が多すぎると、重合反応が急激に開始され、重合熱による発熱が大きくなり、重合温度の制御が困難になり、得られる重合体が低分子量化する場合がある。
上記連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100質量部に対し、通常、0.02〜1質量部である。この使用量が少なすぎると、分子量を調整する効果が得られない場合がある。一方、この使用量が多すぎると、得られる重合体が低分子量化する場合がある。
また、上記乳化剤の使用量は、単量体成分100質量部に対し、通常、0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部である。この使用量が少なすぎると、重合中のラテックスの安定性が低下する傾向にある。一方、この使用量が多すぎると、得られる重合体に含まれる乳化剤の残留濃度が高くなり、熱安定性が悪化し、着色を生じる場合がある。
上記重合温度は、重合を行っている間において、一定にすることが好ましい。また、重合時間は、得られる重合体の分子量の観点から、通常、3時間以上である。
この成分〔C〕は、沸点(大気圧)が−10℃〜55℃である化合物を含むものであれば、特に限定されない。この化合物としては、炭素原子数3〜6の脂肪族炭化水素等が挙げられ、特に、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この化合物を用いると、発泡性、及び、発泡セルの微分散性に優れる。尚、沸点が−10℃〜55℃である化合物の含有量は、上記成分〔C〕100質量%に対し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95〜100質量%である。
尚、上記成分〔C〕が複数の成分を含む場合には、沸点(大気圧)の平均値が−10℃〜55℃であることが好ましい。
また、上記成分〔C〕は、酸素原子を含む化合物である石油エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を含んでもよい。他の成分の含有量は、上記成分〔C〕100質量%に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは0〜5質量%である。
この成分〔D〕は、加熱等により体積膨張させることができ、樹脂材料の発泡成形に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、加熱によって分解して窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス等のガスを発生させる熱分解型発泡剤;反応により、炭酸ガス、水素ガス等のガスを発生させる反応型発泡剤;中空粒子型発泡剤等が挙げられる。これらのうち、熱分解型発泡剤が好ましい。
上記熱分解型発泡剤としては、有機系発泡剤及び無機系発泡剤のいずれを用いてもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。
アゾ化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレート等が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
ニトロソ化合物としては、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミド、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン等が挙げられる。
アジド化合物としては、カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等が挙げられる。
上記炭酸塩化合物としては、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等が挙げられる。
上記水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。
上記アジ化物としては、アジ化ナトリウム等が挙げられる。
また、上記リン酸塩化合物としては、ポリリン酸アミド、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン等が挙げられる。
この成分〔E〕は、一般に、含水ケイ酸マグネシウム(4SiO2・3MgO・H2O)として知られており、約60質量%のSiO2と、約30質量%のMgOとを主成分とする鉱物である。本発明においては、微粒子として用いられる。尚、この成分〔E〕は、シランカップリング剤等を用いて表面処理されてなるものを用いてもよい。
上記成分〔E〕が、D50が0.5〜50μmであるタルクを、成分〔E〕全体に対して、好ましくは70質量%以上含むことにより、発泡性に優れ、発泡倍率が2.2倍以上と高く、成形外観性及び耐熱性に優れる発泡成形品を安定して製造することができる。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、他の樹脂、発泡助剤、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤等が挙げられる。
上記第1発泡助剤の含有量は、上記成分〔D〕100質量部に対して、通常、0.1〜2質量部である。
上記充填材の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部である。
上記熱安定剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.01〜2質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.01〜2質量部である。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.05〜2質量部である。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.01〜2質量部である。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部である。
上記可塑剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.5〜5質量部である。
上記滑剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.5〜5質量部である。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部である。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕、〔D〕及び〔E〕を含有するものであるが、その形態は、特に限定されない。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物の形態は、以下に例示される。
(1)成分〔A〕〜〔E〕のすべてを含むペレット
(2)成分〔A〕及び〔C〕を含むペレットと、成分〔B〕、〔D〕及び〔E〕を含むペレットとからなる混合物
(3)成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕を含むペレットと、成分〔D〕と、成分〔E〕とからなる混合物
(4)成分〔A〕の一部及び成分〔B〕を含むペレットと、成分〔A〕の残部及び成分〔C〕を含むペレットと、成分〔D〕と、成分〔E〕とからなる混合物
(5)上記成分〔A〕の一部及び成分〔C〕を含むペレットと、成分〔A〕の残部、成分〔B〕及び成分〔E〕を含むペレットと、成分〔D〕とからなる混合物
(6)上記成分〔A〕の一部及び成分〔C〕を含むペレットと、成分〔A〕の一部、成分〔B〕及び成分〔E〕を含むペレットと、成分〔A〕の残部を含むペレットと、成分〔D〕とからなる混合物
(7)成分〔A〕の一部及び成分〔B〕を含むペレットと、成分〔A〕の一部及び成分〔C〕を含むペレットと、成分〔A〕の残部及び成分〔E〕を含むペレットと、成分〔D〕とからなる混合物
(8)成分〔A〕の一部及び成分〔B〕を含むペレットと、成分〔A〕の一部及び成分〔C〕を含むペレットと、成分〔A〕の一部及び成分〔E〕を含むペレットと、成分〔A〕の残部を含むペレットと、成分〔D〕とからなる混合物
上記のうち、発泡倍率が2.2倍以上と高く且つ均一なセル径を有し、成形外観性及び耐熱性に優れる発泡成形品を高い生産性をもって製造することができることから、態様(5)〜(8)が好ましく、態様(6)〜(8)が特に好ましい。
以下、上記の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物〔I〕について説明する。
また、組成物〔Y1〕は、上記成分〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Ay1)、上記成分〔B〕、及び、上記成分〔E〕を含有し、成分〔B〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜40質量部であり、成分〔E〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部であり、且つ、上記成分〔C〕を含有しない、好ましくは、上記成分が溶融混練されてなる共重合体含有マスターバッチである。
そして、上記発泡成形用熱可塑性樹脂組成物〔I〕は、更に、上記成分〔D〕と、上記成分〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Az1)とを含有する。
上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)は、互いに同じ種類の樹脂であってよいし、いずれか2つが同じ種類の樹脂であってよいし、すべて異なる種類の樹脂であってもよい。上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)は、好ましくはスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系樹脂等である。尚、各樹脂については、上記説明が適用される。
上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)が互いに異なる樹脂であって、例えば、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)のうちの1つがスチレン系(共)重合体であり、他の2つが互いに異なるゴム強化スチレン系樹脂である場合、スチレン系(共)重合体と、ゴム強化スチレン系樹脂のアセトン可溶分(含まれるゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合は、アセトニトリル可溶分)との間で、構造単位の種類及びその割合等の構成が同じ又はほぼ同じであることが好ましい。
また、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)のうちの2つが同じ樹脂であって、例えば、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)のうちの2つが互いに同一のスチレン系(共)重合体であり、他の樹脂がゴム強化スチレン系樹脂である場合、各アセトン可溶分(含まれるゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合は、アセトニトリル可溶分)どうしの間で、構造単位の種類及びその割合等の構成が同じ又はほぼ同じであることが好ましい。
上記発泡成形用熱可塑性樹脂組成物〔I〕において、好ましくは、上記熱可塑性樹脂(Ax1)及び(Ay1)がスチレン系(共)重合体であり、より好ましくは、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、(Ay1)及び(Az1)がスチレン系(共)重合体である。このスチレン系(共)重合体は、全ての構造単位の合計を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位75〜95質量%と、シアン化ビニル化合物から誘導された構造単位5〜25質量%と、他のビニル系化合物から誘導された構造単位0〜20質量%とからなる共重合体であることが好ましい。この構成を有することで、組成物〔X1〕において、成分〔C〕の含有量が安定し、経時による組成物〔X1〕の組成変化が抑制されるだけでなく、組成物〔X1〕及び〔Y1〕の溶融混練を円滑に進めることができ、成形加工性に優れ、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、成形外観性、及び、耐熱性に優れた発泡成形品を得ることができる。尚、上記スチレン系(共)重合体の更に好ましい組成は、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位、シアン化ビニル化合物から誘導された構造単位、及び、他のビニル系化合物から誘導された構造単位の順に、それぞれ、75〜90質量%、10〜25質量%及び0〜15質量%である。
また、上記スチレン系(共)重合体のメルトマスフローレートは、好ましくは0.1〜15g/10分であり、より好ましくは0.1〜12g/10分、更に好ましくは0.1〜10g/10分、特に好ましくは0.1〜8g/10分である。上記範囲にあると、組成物〔X1〕及び〔Y1〕の溶融混練を円滑に進めることができ、成形加工性に優れ、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、成形外観性、及び、耐熱性に優れた発泡成形品を得ることができる。
そして、上記スチレン系(共)重合体のMwは、特に限定されないが、上記と同様の観点から、好ましくは100,000〜270,000、より好ましくは120,000〜250,000である。
上記組成物〔X1〕及び〔Y1〕並びに上記熱可塑性樹脂(Az1)の形状及び大きさは、特に限定されず、形状について、例えば、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
上記組成物〔X1〕及び〔Y1〕の製造方法は、後述する。
その後、上記混練工程においては、上記溶融工程において用いた押出機が、あるいは、別途準備した、上記例示した押出機が用いられ、溶融状態の上記熱可塑性樹脂(Ax1)中に、液化させた上記成分〔C〕、又は、液化させた上記成分〔C〕及び添加剤を供給し、通常、上記熱可塑性樹脂(Ax1)の溶融温度以上で溶融混練する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの発泡剤含有マスターバッチを製造することができる。
その後、上記冷却工程においては、上記混練工程により得られた混練物を、押出機の出口に配設された、例えば、直径1〜5mmの押出孔から押し出して、連続した線状体等を形成する。そして、押し出された線状体を水等の冷媒の中に導入し、冷却する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの共重合体含有マスターバッチを製造することができる。
本発明の発泡成形品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする。
本発明の発泡成形品は、発泡セルが均一である。また、本発明の発泡成形品の発泡倍率(実施例に示された算出方法による)は、好ましくは2.2〜25倍、より好ましくは2.5〜20倍である。更に、密度は、好ましくは40〜500kg/m3、より好ましくは50〜400kg/m3である。
また、本発明の発泡成形品は、40℃〜80℃といった高い温度環境下において使用されたときに、大きな変形を生じることがなく、耐熱性に優れる。
押出成形の場合、通常、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融状態とし、ダイから押し出すことにより、同時に発泡され、板状(シート状)、筒状、半筒状、線状等の発泡成形品が得られる。
上記押出成形において、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融する場合には、スクリューを備える押出機等が用いられる。その加熱条件は、通常、上記成分〔A〕の種類により選択されるが、好ましくは130℃〜260℃である。
上記発泡成形用熱可塑性樹脂組成物〔I〕の混練物を得た後、ダイから押し出すことにより、発泡成形品が製造される。この方法により、発泡倍率を2.2〜25倍という高倍率とすることができ、且つ、表面に、ほとんど破裂せず、緻密なスキン層を備える発泡成形品が得られる。他の成形方法を適用しても同様の発泡成形品を得ることができる。
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)(以下、「発泡成形部(V)」ともいう。)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする。発泡成形部(V)が表側に配された積層品であってよいし(図1参照)、部材(W)が表側に配された積層品であってもよい(図2参照)。
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形品と同じ用途に好適である。その形状も上記本発明の発泡成形品と同様とすることができる。
樹脂(組成物)は、熱可塑性樹脂(組成物)であってよいし、硬化樹脂(組成物)であってもよい。この熱可塑性樹脂(組成物)に含まれる熱可塑性樹脂としては、本発明の積層品の用途等により選択されるが、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分〔A〕と同じであってよいし、異なってもよい。また、この熱可塑性樹脂(組成物)は、発泡剤を含有してよいし、含有しなくてもよい。
無機材料は、金属、合金、酸化物、炭化物、窒化物、金属塩等が挙げられる。
尚、本発明の積層品において、上記の発泡成形部(V)及び部材(W)の層数は、いずれも、1層でも、2層でも、3層以上でもよい。また、上記発泡成形部(V)は、上記部材(W)の両面に備えてもよい(図3参照)。好ましい他の材料は、熱可塑性樹脂(組成物)である。
上記積層品1aの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形部(V)11を形成した後、別途、作製した部材(W)12を配設する方法;上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法;予め形成した部材(W)12の表面に、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた発泡成形部(V)11を配設する方法等が挙げられる。
上記積層品1bの製造方法についても、上記積層品1aの製造方法と同様とすることができる。
上記の積層品1cの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法等が挙げられる。
下記の実施例及び比較例において用いる成分を示す。
1−1−1.熱可塑性樹脂(A−1)
アクリロニトリル単位量が21%、及び、スチレン単位量が79%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた。Mwは16万であり、メルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、27g/10分である。
アクリロニトリル単位量が16%、及び、スチレン単位量が84%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた。Mwは15万であり、メルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、30g/10分である。
アクリロニトリル単位量が30%、及び、スチレン単位量が70%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた。Mwは20万であり、メルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、12g/10分である。
以下に示す、ゴム強化スチレン系樹脂40部と、アクリロニトリル・スチレン共重合体10部と、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体50部とをヘンシェルミキサーで混合した後、日本製鋼所社製二軸押出機「TEX44」(型式名)を用いて240℃で溶融混練して得られたペレットを、熱可塑性樹脂(A−4)として用いた。この熱可塑性樹脂(A−4)のメルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、2g/10分である。
・ゴム強化スチレン系樹脂
ジエン系ゴム質重合体として、重量平均分子量280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子を含むラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた樹脂を用いた。このゴム強化スチレン系樹脂において、ポリブタジエンゴムの含有量は41.5%、スチレン単位量は43.5%、及び、アクリロニトリル単位量は15%である。また、このゴム強化スチレン系樹脂のグラフト率は55%であり、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.45dl/gである。
・アクリロニトリル・スチレン共重合体
アクリロニトリル単位量が33%、及び、スチレン単位量が67%である共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.54dl/gである。
・アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体
アクリロニトリル単位量が9%、スチレン単位量が51%、及び、N−フェニルマレイミド単位量が40%である共重合体(商品名「ポリイミレックスPAS−1460」、日本触媒社製)を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.52dl/gである。
上記ゴム強化スチレン系樹脂35部と、アクリロニトリル・スチレン共重合体15部と、以下に示すポリカーボネート樹脂50部とをヘンシェルミキサーで混合した後、日本製鋼所社製二軸押出機「TEX44」(型式名)を用いて240℃で溶融混練して得られたペレットを、熱可塑性樹脂(A−5)として用いた。この熱可塑性樹脂(A−5)のメルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、3g/10分である。
・ポリカーボネート樹脂
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「NOVAREX 7022PJ」(商品名)を用いた。GPCによる粘度平均分子量は22,000である。
テクノポリマー社製「テクノABS 130」(商品名)を用いた。この熱可塑性樹脂(A−6)のメルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)は、18g/10分である。
General Electric Specialty Chemicals社製「ブレンデックス B869」(商品名)を用いた。GPCによるMwは240万である。
ブタン(大気圧における沸点−0.5℃)を用いた。
主成分をアゾジカルボンアミドとする、熱分解型発泡剤である「ビニホールAC#3」(商品名、永和化成工業社製)を用いた。
1−5−1.タルク(E−1)
日本タルク社製の微粉タルク「MICRO ACE K−1」(商品名)を用いた。レーザー回折法によるD50は8.0μmである。
日本タルク社製の微粉タルク「MICRO ACE SG−200」(商品名)を用いた。レーザー回折法によるD50は3μmである。
日本タルク社製の汎用タルク「MS」(商品名)を用いた。レーザー回折法によるD50は14μmである。
花王社製ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル「エマルゲン MS−110」(商品名)を用いた。
製造例1(物理発泡剤含有マスターバッチX−1の製造)
シリンダー温度を170℃〜250℃に設定した、スクリュー径40mm単軸押出機に、上記熱可塑性樹脂(A−1)100部を供給してこれを溶融した。その後、物理発泡剤Cの4.5部を上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の物理発泡剤含有マスターバッチ(X−1)を得た。
[ブタン含有量測定方法]
物理発泡剤含有マスターバッチ約10gを、200℃のホットプレート上に載置し、5分間加熱し、加熱前後の質量を精秤し、その差をブタン含有量とした。
[発泡倍率]
物理発泡剤含有マスターバッチの外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
尚、樹脂の比重は、ISO1183に準じて測定されたものであり、熱可塑性樹脂(A−1)、(A−2)及び(A−3)は、いずれも1.08g/cm3である。
○;表面が滑らかであった。
×;表面がスポンジのようになっていた。
熱可塑性樹脂(A−2)又は(A−3)と、物理発泡剤Cとを、それぞれ、表1に示す割合で用いた以外は、上記と同様にして物理発泡剤含有マスターバッチ(X−2)及び(X−3)を製造し、各種評価を行った。その結果を表1に示した。
また、物理発泡剤Cを含有しない、熱可塑性樹脂(A−1)のみからなるマスターバッチペレット(X−4)も同様にして製造した(表1参照)。
製造例4(超高分子量重合体含有マスターバッチY−1の製造)
シリンダー温度を220℃〜280℃に設定した、スクリュー径40mm単軸押出機に、上記熱可塑性樹脂(A−1)65部、超高分子量重合体Bの25部、及び、タルク(E−1)の10部を供給してこれを溶融した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の超高分子量重合体含有マスターバッチ(Y−1)を得た(表2参照)。
上記タルク(E−1)に代えて、タルク(E−2)を用いた以外は、製造例4と同様にして、超高分子量重合体含有マスターバッチ(Y−2)を得た(表2参照)。
上記タルク(E−1)に代えて、タルク(E−3)を用いた以外は、製造例4と同様にして、超高分子量重合体含有マスターバッチ(Y−3)を得た(表2参照)。
上記熱可塑性樹脂(A−1)75部及び超高分子量重合体Bの25部を用いた以外は、製造例4と同様にして、超高分子量重合体含有マスターバッチ(Y−4)を得た(表2参照)。
実施例1
物理発泡剤含有マスターバッチ(X−1)20部と、超高分子量重合体含有マスターバッチ(Y−1)15部と、熱可塑性樹脂(A−4)からなるペレット65部と、化学発泡剤Dの0.5部と、展着剤0.1部とを、ヘンシェルミキサーで混合し、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を得た。その後、スクリューを備える押出機(「FS50−22型」、池貝社製)に投入し、200℃で溶融混練した。次いで、8mmφの丸ダイスに、30mmφ又は23mmφのサイジングダイを配設した出口から排出させ、下記計算方法による発泡倍率を有する発泡成形品を得た(表3参照)。
尚、表3には、本発明に係る成分〔A〕全体としてのメルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)、Tg及び比重(ISO1133に準拠)と、成分〔A〕及び〔B〕の構成におけるメルトマスフローレート(ISO1133に準拠、温度220℃、荷重98N)とを併記した。
試験片の外形寸法から求めた嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
(1)成形外観性
発泡成形品の外観を目視観察し、下記基準により判定した。
◎;歪みのない発泡成形品が得られ、その表面が滑らかであった。
○;歪みのない発泡成形品が得られたが、その表面の一部が毛羽立っていた。
△;わずかに歪みのある発泡成形品が得られ、その表面の一部が毛羽立っていた。
×;歪みのある発泡成形品が得られ、その表面のほぼ全面が毛羽立っていた。
(2)生産安定性
発泡成形品の製造時において、押出機のトルク、線速等の振れ幅をモニターし、下記基準により判定した。
◎;トルク、線速等が安定し、得られた発泡成形品の形状が一定であった。
○;トルク、線速等に若干の振れが発生し、得られた発泡成形品の形状もほぼ一定であった。
△;トルク、線速等に振れが発生し、得られた発泡成形品の形状にばらつきが発生した。
×;トルク、線速等が大きく振れ、得られた発泡成形品の形状のばらつきが激しかった。
(3)耐熱性
上記と同様にして、35mm×8mm×800mmの長尺状発泡成形品を作製して、これを耐熱性評価用の試験片とした。この試験片2を、その両端から170mmの位置で支持されるように、横方向に配置し、長さ方向の中心位置から下方に荷重70gをかけながら、温度70℃の条件下で放置した(図4参照)。24時間経過後、試験片の中心位置におけるたわみ量を測定した。
表3〜表5に従って、物理発泡剤含有マスターバッチ、超高分子量重合体含有マスターバッチ等を用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表3〜表5に示した。
熱可塑性樹脂(A−4)と、共重合体(超高分子量重合体)Bと、物理発泡剤Cと、化学発泡剤Dと、タルクEと、添着剤とを表5に記載の割合で、ヘンシェルミキサーにて混合し、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を得た。その後、上記押出機「FS50−22型」に投入し、200℃で溶融混練し、原料成分含有熱可塑性樹脂体を得た。この原料成分含有熱可塑性樹脂体を用いて、実施例1と同様にして、発泡成形品の製造及び評価を行った。その結果を表5に示した。
表6〜表8に従って、物理発泡剤含有マスターバッチ、超高分子量重合体含有マスターバッチ等を用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表6〜表8に示した。尚、成形外観性又は生産安定性の判定が「×」であった場合には、耐熱性(たわみ量)の評価は行わなかった。
一方、比較例1は、成分〔D〕を含有しない組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の成形外観性及び耐熱性に劣っていた。比較例2は、成分〔B〕を含有しない組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の発泡倍率が十分でなく、成形外観性、耐熱性及び生産安定性に劣っていた。比較例3は、成分〔B〕を過剰に含有する組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の成形外観性、耐熱性及び生産安定性に劣っていた。比較例4は、メルトマスフローレートが高すぎる成分〔A〕を含有する組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の耐熱性が劣っていた。比較例5は、成分〔B〕を過剰に含有する組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の耐熱性及び生産安定性に劣っていた。比較例6は、成分〔C〕を含有しない組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の発泡倍率が十分でなく、成形外観性、耐熱性及び生産安定性に劣っていた。比較例7は、成分〔D〕を過剰に含有する組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の成形外観性、耐熱性及び生産安定性に劣っていた。また、比較例8は、成分〔E〕を含有しない組成物を用いた例であり、得られた発泡成形品の成形外観性及び耐熱性に劣っていた。
実施例10
[1]実施例1により得られた発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、[2]熱可塑性樹脂(A−8)とを、それぞれ、表材用及び基材用として用い、下記の共押出条件で、1.5mm及び3.5mmの厚さを有する積層品(表材は発泡成形部)を得た。
<押出条件>
[1]表材層;20mm押出機、160℃(押出温度)、40rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
[2]基材層;40mm押出機、190℃(押出温度)、20rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
11,11a及び11b;成形部(V)
12;部材(W)
2;発泡成形品(試験片)
3;おもり
Claims (10)
- 〔A〕メルトマスフローレートが、0.1〜15g/10分である熱可塑性樹脂(但し、下記(共)重合体〔B〕を除く。)、
〔B〕重量平均分子量が800,000〜10,000,000である(共)重合体、
〔C〕物理発泡剤、
〔D〕化学発泡剤、及び、
〔E〕タルク
を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、
上記(共)重合体〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜8質量部であり、
上記物理発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、
上記化学発泡剤〔D〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.05〜0.8質量部であり、且つ、
上記タルク〔E〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 上記熱可塑性樹脂〔A〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系樹脂を含み、該スチレン系樹脂の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量%に対して、50〜100質量%である請求項1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記スチレン系樹脂が、芳香族ビニル系化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む請求項2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(共)重合体〔B〕が、芳香族ビニル化合物から誘導された構造単位を有するスチレン系共重合体であり、該スチレン系共重合体の極限粘度(ジメチルホルムアミド中、30℃)が2〜10dl/gである請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記物理発泡剤〔C〕が、沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記タルク〔E〕の平均粒子径が0.5〜50μmである請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記物理発泡剤〔C〕及び上記化学発泡剤〔D〕の含有割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ、50〜90質量%及び10〜50質量%である請求項1乃至6のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、
上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Ax1)、及び、上記物理発泡剤〔C〕を含有し、該物理発泡剤〔C〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ax1)100質量部に対して2.5〜10質量部である、物理発泡剤含有マスターバッチと、
上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Ay1)、上記(共)重合体〔B〕、及び、上記タルク〔E〕を含有し、該(共)重合体〔B〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部であり、該タルク〔E〕の含有割合が、上記熱可塑性樹脂(Ay1)100質量部に対して2.5〜40質量部であり、且つ、上記物理発泡剤〔C〕を含有しない共重合体含有マスターバッチと、
上記化学発泡剤〔D〕と、
上記熱可塑性樹脂〔A〕の一部である熱可塑性樹脂(Az1)と、
が混合されてなり、上記熱可塑性樹脂〔A〕が、上記熱可塑性樹脂(Ax1)、上記熱可塑性樹脂(Ay1)及び上記熱可塑性樹脂(Az1)からなることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
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