JP2009091554A - 発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品 - Google Patents

発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品 Download PDF

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裕一 金山
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Abstract

【課題】着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕赤外線反射特性を有する無機顔料(Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた元素を含む化合物等)と、〔C〕無機顔料(無機顔料〔B〕を除く。)と、〔D〕沸点が−10℃〜55℃の化合物を含む発泡剤と、を含有し、無機顔料〔B〕及び〔C〕並びに発泡剤〔D〕の含有量は、熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、それぞれ、0.1〜15質量部及び0.01〜10質量部並びに0.1〜5質量部であり、その成形品(発泡成形品)のL値は40以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂と、赤外線反射特性を有する無機顔料と、他の無機顔料と、発泡剤とを含有し、低蓄熱性の発泡体の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、該組成物を用いてなる発泡成形品及び積層品に関し、更に詳しくは、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品に関する。
近年、建材用材料として、軽量化、耐久性等に優れた樹脂を主成分とする樹脂組成物が用いられるようになっている。製品の軽量化をはかるために、特に、樹脂及び発泡剤を含有する樹脂組成物が広く適用されている(例えば、特許文献1等)。
発泡成形品を建材として用いる場合、通常、着色された発泡成形品が用いられる。例えば、黒色系発泡成形品とするために、カーボンブラック等を配合すると、太陽光を受光した際の熱の吸収が大きいため、変形、収縮等が発生するといった問題がある。また、カーボンブラックに代えて、有機顔料、染料等を組み合わせて黒色系の色を呈するようにすると、着色鮮映性及び耐候性が十分でない場合がある。
特開平5−194776号
本発明の目的は、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕赤外線反射特性を有する無機顔料と、〔C〕無機顔料(但し、上記無機顔料〔B〕を除く。)と、〔D〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤と、を含有し、低蓄熱性の発泡体を形成するための発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記無機顔料〔B〕は、該無機顔料〔B〕0.5質量部及びブロックタイプポリプロピレン100質量部からなる成形品のL値が40未満である条件を満たす顔料であり、上記無機顔料〔C〕は、該無機顔料〔C〕0.5質量部及びブロックタイプポリプロピレン100質量部からなる成形品のL値が40以上である条件を満たす顔料であり、上記無機顔料〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、上記無機顔料〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、上記発泡剤〔D〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、本組成物からなる発泡成形品は、L値が40以下であり、且つ、下記試験条件で得られる発泡成形品の温度上昇が50℃以下であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[試験条件]
本組成物からなる発泡成形品(大きさ;80mm×55mm×5.0mm)を、温度25±2℃、及び、湿度50±5%RHに調節された室に載置し、高さ200mmから、その表面に赤外線ランプ(出力100W)を60分間照射し、発泡成形品の表面温度を測定し、赤外線ランプ照射前の初期温度との差を上昇温度とする。
2.上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物である上記1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
3.上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも2種の元素を含む化合物である上記2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
4.上記無機顔料〔B〕が、Co元素及びNi元素を含む酸化物である上記1乃至3のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
5.上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である上記1乃至4のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
6.上記組成物〔X〕が溶融混練物である上記5に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
7.上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたスチレン系共重合体、並びに/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂であり、且つ、上記スチレン系樹脂(A1)の構成材料のうち、上記ゴム質重合体を除く重合体成分が、該重合体成分を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位(芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位)が75〜95質量%であり、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位(シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位)が5〜25質量%であり、他の単量体単位が0〜20質量%である上記5又は6に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
8.上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである上記5乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
9.上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔D〕を含有しない溶融混練物である上記5乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
10.上記スチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む上記1乃至9のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
11.上記熱可塑性樹脂〔A〕が、上記スチレン系樹脂(A1)と、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーから選ばれた少なくとも1種の樹脂とからなる上記1乃至10のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
12.上記1乃至11のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
13.発泡倍率が2〜25倍である上記12に記載の発泡成形品。
14.上記1乃至11のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物によれば、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物である場合には、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に一段と優れる発泡成形品を得ることができ、上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも2種の元素を含む化合物である場合には、熱の吸収が安定して少なく、上記各特性が更に優れた性能を備える発泡成形品を得ることができる。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物が、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である場合には、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである場合には、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔D〕を含有しない溶融混練物である場合には、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
上記熱可塑性樹脂〔A〕が、上記スチレン系樹脂(A1)と、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーから選ばれた少なくとも1種の樹脂とからなる場合には、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
本発明の発泡成形品は、発泡セルが均一であり、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れる。
本発明の積層品は、形状安定性に優れ、成形部(V)における着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れる。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.発泡成形用熱可塑性樹脂組成物
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕赤外線反射特性を有する無機顔料(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、〔C〕無機顔料(但し、上記無機顔料〔B〕を除く。以下、「成分〔C〕」ともいう。)と、〔D〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤(以下、「成分〔D〕」ともいう。)と、を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記成分〔B〕は、該成分〔B〕0.5質量部及びブロックタイプポリプロピレン100質量部からなる成形品のL値が40未満である条件を満たす顔料であり、上記成分〔B〕の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、上記成分〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、上記成分〔D〕の含有量は、上記成分〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、本組成物からなる発泡成形品は、L値が40以下であり、且つ、下記試験条件で得られる発泡成形品の温度上昇が50℃以下であることを特徴とする。
[試験条件]
本組成物からなる発泡成形品(大きさ;80mm×55mm×5.0mm)を、温度25±2℃、及び、湿度50±5%RHに調節された室に載置し、高さ200mmから、その表面に赤外線ランプ(出力100W)を60分間照射し、発泡成形品の表面温度を測定し、赤外線ランプ照射前の初期温度との差を上昇温度とする。
1−1.熱可塑性樹脂〔A〕
この成分〔A〕は、その全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む。従って、上記成分〔A〕は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上、又は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上と、他の熱可塑性樹脂とからなる。
1−1−1.スチレン系樹脂(A1)
このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含む重合体である。即ち、このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b1)」という。)を(共)重合して得られたスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b2)」という。)を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成される。尚、このゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、通常、上記ビニル系単量体(b2)がゴム質重合体にグラフト重合しているグラフト化ゴム質重合体と、非グラフトである上記ビニル系単量体(b2)の(共)重合体とを含む樹脂である。上記のスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を用いると、成形外観性に優れ、発泡倍率が、例えば2倍以上と高い発泡成形品を効率よく製造することができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記スチレン系樹脂(A1)としてのスチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位以外の他の単量体単位としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物、更には、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等に由来する単量体単位が挙げられる。この他の単量体単位は、1種単独であるいは2種以上の組合せで含まれたものとすることができる。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記のヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、好ましい共重合体は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体であり、より詳細には、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位と、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位と、必要に応じて含まれる他の単量体単位とからなる共重合体である。これらの単量体単位の含有割合は、全単量体単位の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜97質量%、3〜50質量%及び0〜47質量%、より好ましくは55〜95質量%、5〜45質量%及び0〜15質量%である。上記含有割合であれば、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物により、耐薬品性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形品を得ることができる。また、上記スチレン系樹脂(A1)が上記スチレン系共重合体である場合には、このスチレン系共重合体に含まれる、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位及びシアン化ビニル化合物に由来する単量体単位の含有割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ、好ましくは75〜95質量%及び5〜25質量%、より好ましくは80〜87質量%及び13〜20質量%であると、発泡倍率の高い発泡成形品を、高い安定性をもって製造することができる。
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体等が挙げられる。
上記スチレン系(共)重合体(A11)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは100,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜270,000、更に好ましくは120,000〜250,000である。上記Mwがこの範囲にあれば、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物中の発泡剤〔C〕の含有量が安定し、経時による該含有量の変化を小さくすることができる。また、成形加工性、機械的強度に優れた発泡成形品を得ることができる。
上記スチレン系(共)重合体(A11)は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合には、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。また、重合開始剤を用いない場合は、熱重合とすることができる。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。
尚、必要に応じて、後述するゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
上記スチレン系(共)重合体(A11)の製造の際には、ビニル系単量体の全量を反応系に収容した状態で重合を開始してよいし、任意に選択した単量体成分を分割添加又は連続添加して重合を行ってもよい。更に、上記重合開始剤を用いる場合には、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。
1−1−2.ゴム強化スチレン系樹脂(A12)
このゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、ゴム質重合体(以下、「ゴム質重合体(a)」という。)の存在下、ビニル系単量体(b2)を重合して得られた樹脂である。
上記ゴム質重合体(a)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよいが、ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)及び非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)が好ましい。更に、上記ゴム質重合体(a)は、架橋重合体であってもよいし、非架橋重合体であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する単位を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系複合ゴム;共役ジエン系化合物に由来する単量体単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体(但し、水素添加率は、通常、50%以上。)等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。上記非ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム質重合体(a)としては、ジエン系重合体が好ましい。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の形成に用いる上記ゴム質重合体(a)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その重量平均粒子径は、好ましくは100〜2,000nm、より好ましくは200〜1,000nmである。重量平均粒子径が上記範囲にあれば、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる発泡成形品の成形加工性及び耐衝撃性に優れる。尚、上記重量平均粒子径は、電子顕微鏡写真を用いた画像解析法、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ゴム質重合体(a)が粒子状である場合、重量平均粒子径が上記範囲内にある限り、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
上記ゴム質重合体(a)を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択することにより調整することができる。また、上記平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有する上記ゴム質重合体(a)の2種以上をブレンドする方法でもよい。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の形成に用いる上記ビニル系単量体(b2)は、芳香族ビニル化合物のみであってよいし、この芳香族ビニル化合物と、例えば、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等の芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物との組合せであってもよい。
上記芳香族ビニル化合物としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる芳香族ビニル化合物として例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられるシアン化ビニル化合物として例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
また、上記の(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等についても、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上、及び、この芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上を組み合わせて用いることが好ましく、この場合の芳香族ビニル化合物と、それ以外の化合物との質量割合は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、45〜97質量%及び3〜55質量%、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%である。上記芳香族ビニル化合物の割合が少なすぎると、成形加工性が劣る傾向にあり、多すぎると、得られる発泡成形品の耐薬品性、耐熱性等が十分でない場合がある。
上記ビニル系単量体(b2)としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組合せ、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物((メタ)アクリル酸エステル化合物等)の組合せである。シアン化ビニル化合物を用いることにより、耐薬品性及び耐熱性等の物性バランスが向上する。
尚、上記ビニル系単量体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)において、構成成分及びその割合等が互いに同じであってよいし、異なってもよい。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、上記ゴム質重合体(a)の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を重合することにより製造することができる。重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が好ましい。
尚、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及び上記ビニル系単量体(b2)は、反応系において、上記ゴム質重合体(a)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、上記ゴム質重合体(a)の一部存在下、又は、非存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記ゴム質重合体(a)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を100質量部製造する場合、上記ゴム質重合体(a)の使用量は、通常、5〜80質量部である。また、上記ビニル系単量体(b2)の使用量は、上記ゴム質重合体(a)100質量部に対し、通常、25〜1,900質量部である。
乳化重合によりゴム強化スチレン系樹脂(A12)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上記重合開始剤としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の製造方法の説明にて例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.05〜2.0質量%である。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合は、ビニル系単量体(b2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、上記スチレン系樹脂(A1)に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を2種以上含有させる場合には、各ラテックスから樹脂を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
溶液重合、塊状重合及び塊状−懸濁重合による上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)のグラフト率は、通常、10〜200質量%、好ましくは15〜150質量%である。上記範囲にあれば、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物の加工性に優れ、得られる発泡成形品の表面外観及び耐衝撃性に優れる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)1グラム中の上記ゴム質重合体(a)をxグラム、該ゴム強化スチレン系樹脂(A12)1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、下記式により求められる値である。但し、該ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトンの代わりにアセトニトリルを用いる。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
また、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)のアセトン(但し、上記ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。)に可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.2〜0.9dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性に優れ、得られる発泡成形品の耐衝撃性にも優れる。
上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
上記スチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を用いてなるゴム強化スチレン系樹脂(A12)を含む場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位及びシアン化ビニル化合物に由来する単量体単位の含有割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ、好ましくは75〜95質量%及び5〜25質量%、より好ましくは80〜87質量%及び13〜20質量%であると、発泡倍率の高い発泡成形品を、高い安定性をもって製造することができる。尚、上記割合は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の中のゴム質重合体(a)を除く重合体成分を対象とする。
上記スチレン系樹脂(A1)は、好ましくは、スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上、並びに、スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上と、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上との組合せである。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物において、上記成分〔A〕中のスチレン系樹脂(A1)の含有量は、上記成分〔A〕を100質量%とした場合、5〜100質量%であり、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。上記スチレン系樹脂(A1)の含有量が上記範囲にあれば、発泡性及び微分散性に優れ、特に、発泡倍率が高く、発泡セルが均一であり且つ成形外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
1−1−3.他の熱可塑性樹脂
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、更に、他の熱可塑性樹脂を含有することができる。
他の熱可塑性樹脂の使用量は、上記成分〔A〕を100質量%とした場合、通常、0〜95質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜40質量%、更に好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
他の熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;オレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリアセタール樹脂(POM);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;液晶ポリマー;イミド系樹脂;ケトン系樹脂;スルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;バイオベースポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂が更に好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体(ポリ塩化ビニル);ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。かかる他の単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテン、1−ペンテン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、シアン化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、アリールエーテル、ジアルキルマレイン酸、フマル酸エステル、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルシラン等が挙げられる。
その平均重合度は、通常、500〜8,000である。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物において、上記成分〔A〕が、上記スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂からなる場合、上記成分〔A〕中の塩化ビニル系樹脂の含有量は、上記成分〔A〕を100質量%とした場合、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記範囲にあれば、発泡倍率が高く、発泡セルが均一であり且つ成形外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
1−2.赤外線反射特性を有する無機顔料〔B〕
この成分〔B〕は、その0.5質量部と、ブロックタイプポリプロピレン100質量部とからなる成形品のL値が40未満、好ましくは5〜39、より好ましくは5〜35である条件を満たす顔料であれば、特に限定されない。このL値が高いと、本発明の目的の暗色系の色を呈した発泡成形品が得られない。尚、L値を測定する方法は、実施例に示される。
上記成分〔B〕は、好ましくは、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれる元素を含む化合物であり、より好ましくは、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物であり、更に好ましくは、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物である。上記化合物としては、FeO、FeO(OH)、Fe、CrO、Cr、Cr・2HO、MnO、Mn、MnO、CuO、CuO、CoO、CoO・Al、Fe(Fe,Cr)、(Co,Fe)(Fe,Cr)、Cu(Cr,Mn)、(Cu,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)、(Fe,Zn)(Fe,Cr)、(Fe,Zn)Fe、Co(Al,Cr)、Cr:Fe、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記成分〔B〕としては、酸化物(複合酸化物を含む)等が特に好ましい。
本発明において、上記成分〔B〕は、低蓄熱性及び着色性に優れることから、Co元素及びNi元素を含む酸化物が特に好ましい。この酸化物としては、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)等が挙げられる。
また、上記酸化物及び上記複合酸化物は、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物に含有される上記成分〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕の量を100質量部とした場合に、0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部である。上記成分〔B〕の含有量が上記範囲にあると、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れる発泡成形品を得ることができる。
1−3.無機顔料〔C〕
この成分〔C〕は、上記成分〔B〕を除く無機顔料であり、その0.5質量部と、ブロックタイプポリプロピレン100質量部とからなる成形品のL値が40以上である条件を満たす顔料であれば、特に限定されない。このL値を測定する方法は、実施例に示される。上記成分〔C〕の構成元素は、特に限定されず、上記無機顔料〔B〕に含まれるようなFe、Cr、Mn、Co及びNiから選ばれる元素から構成されていてもよい。
上記無機顔料〔C〕としては、白色系無機顔料、赤色系無機顔料、緑色系無機顔料、黄色系無機顔料、茶色系無機顔料、青色系無機顔料、紫色系無機顔料、銀色系無機顔料、パール色系無機顔料等が挙げられ、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記白色系無機顔料としては、ZnO、TiO、Al・nHO、〔ZnS+BaSO〕、CaSO・2HO、BaSO、CaCO、2PbCO・Pb(OH)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記赤色系無機顔料としては、CdS・nCdSe、PbCrO・mPbMoO・nPbSO等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記緑色系無機顔料としては、Cu(C、Cu(AsO、CoO・nZnO、BaMnO、Cu(OH)(CO)、Ti−Co−Ni−Zn系複合酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記黄色系無機顔料としては、TiO・BaO・NiO、TiO・NiO・Sb、Fe・HO、PbCrO、Pb(SbO、Pb(SbO、Ti−Sb−Ni系複合酸化物、Ti−Sb−Cr系複合酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記茶色系無機顔料としては、TiO・Sb・NiO、Zn−Fe系複合酸化物(ZnO・Fe等)、Zn−Fe−Cr系複合酸化物(ZnO・Fe・Cr等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記青色系無機顔料としては、CoO・nAl、CoO・nSnO・mMgO、NaAl(SiO・2NaSO等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫色系無機顔料としては、Co(PO、(NHMnO(P等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記銀色系無機顔料としては、Al粉末、亜鉛粉末等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記パール色系無機顔料としては、マイカ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記白色系、銀色系、パール色系無機顔料を用いた場合、所望の色を維持しつつ、メタリック調の外観を得ることができる。
本発明の組成物に含有される上記成分〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕の量を100質量部とした場合に、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.01〜8質量部、より好ましくは0.01〜6質量部である。上記成分〔C〕の含有量が上記範囲にあると、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れる発泡成形品を得ることができる。
尚、本発明の組成物において、上記の成分〔B〕及び〔C〕の量的関係は、好ましくは成分〔B〕≧成分〔C〕である。
1−4.発泡剤〔D〕
この成分〔D〕は、沸点(大気圧)が−10℃〜55℃である化合物を含むものであれば、特に限定されない。この化合物としては、炭素原子数3〜6の脂肪族炭化水素等が挙げられ、特に、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この化合物を用いると、発泡性、及び、発泡セルの微分散性に優れる。尚、沸点が−10℃〜55℃である化合物の含有量は、上記成分〔D〕100質量%に対し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95〜100質量%である。
尚、上記成分〔D〕が複数の成分を含む場合には、沸点(大気圧)の平均値が−10℃〜55℃であることが好ましい。
上記成分〔D〕が、他の成分を含む場合、エタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系化合物;塩化メチル、塩化エチル、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、フルオロクロロメタン、フルオロクロロエタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記成分〔D〕は、酸素原子を含む化合物である石油エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を含んでもよい。他の成分の含有量は、上記成分〔D〕100質量%に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは0〜5質量%である。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物において、上記成分〔D〕の含有割合は、上記熱可塑性樹脂〔A〕の量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部であり、好ましくは0.2〜4質量部、より好ましくは0.3〜3質量部である。上記範囲にあることにより、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物により、発泡倍率が高く、均一なセル径を有する発泡成形品を得ることができる。
1−5.添加剤
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、発泡助剤、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤等が挙げられる。
上記発泡助剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレンジクロライド、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等の有機溶剤が挙げられる。この発泡助剤は、上記成分〔D〕として、n−プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン等を用いる場合に併用することにより、上記の成分〔A〕及び〔D〕の相溶性を向上させることができる。
上記発泡助剤の含有量は、上記成分〔D〕100質量部に対して、通常、0.1〜2質量部である。
上記充填材としては、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、各種ウィスカー、パルプ、木粉、もみがら、ペーパースラッジ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填材の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱安定剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ヒンダードアミン類と併用すると好ましい場合がある。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.05〜2質量部である。
上記老化防止剤としては、例えば、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記帯電防止剤としては、帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
上記滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記滑剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜30質量部である。
尚、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
1−6.発泡成形用熱可塑性樹脂組成物
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕を含有するものであるが、その形態は、特に限定されない。例えば、上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕のすべてを含有するペレット等の形態であってよいし、上記の成分〔A〕及び〔D〕を含有するペレット等と、上記成分〔B〕と、上記成分〔C〕との混合物、上記成分〔A〕の一部、及び、上記成分〔B〕及び/又は上記成分〔C〕を含有するペレット等と、上記成分〔A〕の残部、及び、上記成分〔D〕とを含有するペレット等との混合物、等の形態であってもよい。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AX)」という。)と、上記無機顔料〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料(以下、「無機顔料(BX)」という。)と、上記無機顔料〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料(以下、「無機顔料(CX)」という。)と、上記発泡剤〔D〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(DX)」という。)と、を含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AY)」という。)と、上記無機顔料〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料(以下、「無機顔料(BY)」という。)と、上記無機顔料〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料(以下、「無機顔料(CY)」という。)と、上記発泡剤〔D〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(DY)」という。)とを含有する組成物〔Y〕の混合物であることが好ましい。尚、樹脂(AX)及び樹脂(AY)によって、上記熱可塑性樹脂〔A〕が構成され、無機顔料(BX)及び無機顔料(BY)によって、上記無機顔料〔B〕が構成され、無機顔料(CX)及び無機顔料(CY)によって、上記無機顔料〔C〕が構成され、且つ、発泡剤(DX)及び発泡剤(DY)によって、上記発泡剤〔D〕が構成されるものとする。また、組成物〔X〕及び組成物〔Y〕は、いずれも、1種以上からなるものとすることができる。
上記組成物〔X〕に含有される樹脂(AX)は、<1>好ましくは、スチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)からなるスチレン系樹脂であり、このスチレン系樹脂は、より好ましくはスチレン系(共)重合体(A11)、並びに、スチレン系(共)重合体(A11)及びゴム強化スチレン系樹脂(A12)の混合物、更に好ましくはスチレン系(共)重合体(A11)である。上記樹脂(AX)が、上記成分から構成されていると、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、及び、成形外観性が優れる発泡成形品を得ることができる。
また、<2>上記樹脂(AX)が、スチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成される場合、上記ゴム質重合体を除く重合体成分における構成が、この重合体成分を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位が75〜95質量%であり、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位が5〜25質量%であり、他の単量体単位が0〜20質量%であることが好ましい。更に好ましい割合は、それぞれ、80〜87質量%、13〜20質量%及び0〜12質量%である。各単量体単位の含有量が、上記範囲にあると、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、及び、成形外観性が優れる発泡成形品を得ることができる。尚、上記ゴム質重合体を除く重合体成分は、上記樹脂(AX)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分とすることができる。
更に、<3>上記樹脂(AX)に含有されるスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)からなるスチレン系樹脂の含有量は、上記樹脂(AX)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、特に好ましくは98〜100質量%である。この範囲にあると、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、及び、成形外観性が優れる発泡成形品を得ることができる。
上記組成物[X]が、上記<1>、<2>及び<3>の条件を満たすと、上記の効果が一段と優れる。
上記樹脂(AX)に含有されるスチレン系樹脂(A1)を構成する単量体単位の含有量は、単量体単位の種類及びその含有割合が既知であるスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を用い、その使用量を適宜、調整することにより、上記の単量体単位の含有量にすることができる。
また、上記組成物〔X〕のために用いられるスチレン系樹脂(A1)がスチレン系(共)重合体(A11)のみである場合には、この組成物〔X〕をアセトンに浸漬させて得られたアセトン可溶分を、既知の方法により分析し、その結果によりスチレン系(共)重合体(A11)の単量体単位量を検証することができる。
また、上記組成物〔Y〕に含有される樹脂(AY)は、好ましくはスチレン系樹脂(A1)、又は、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂からなる。スチレン系樹脂(A1)は、好ましくは、上記スチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)であり、更に好ましくはゴム強化スチレン系樹脂(A12)、又は、スチレン系(共)重合体(A11)、及び、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の混合物である。
上記他の熱可塑性樹脂として、特に好ましくは塩化ビニル系樹脂であり、塩化ビニル系樹脂を用いる場合、その使用効果を得るために、上記スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは0〜80質量%及び20〜100質量%、更に好ましくは0〜50質量%及び50〜100質量%である。尚、上記塩化ビニル系樹脂の使用量は、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物中に含有される他の熱可塑性樹脂の規定量の範囲内で選択される。
尚、上記スチレン系(共)重合体(A11)を構成する、ビニル系単量体に由来する単量体単位の種類は、上記説明がそのまま適用される。また、このビニル系単量体単位の各含有量は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位及び必要に応じて含まれる他の単量体単位の含有割合として、全単量体単位の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜97質量%、3〜50質量%及び0〜47質量%、より好ましくは55〜95質量%、5〜45質量%及び0〜15質量%である。更に、上記スチレン系(共)重合体(A11)の好ましいMwは、100,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜270,000、更に好ましくは120,000〜250,000である。
また、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を構成するゴム質重合体(a)は、ジエン系重合体及び/又は非ジエン系重合体であり、その含有量は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)100質量%に対して、通常、5〜80質量%である。更に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)において、ゴム質重合体(a)を除く重合体成分を構成するビニル系単量体に由来する単量体単位の種類は、上記ビニル系単量体(b2)の説明がそのまま適用される。そして、これらのビニル系単量体単位の含有量は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位及びそれ以外の化合物に由来する単量体単位が、その合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、45〜97質量%及び3〜55質量%、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%である。
また、発泡倍率が高く、着色鮮映性及び外観性に優れた発泡成形品を得るための好ましい構成は、以下に示される。
上記組成物〔X〕に含有される樹脂(AX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される樹脂(AY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、より好ましくは7〜45質量%及び55〜93質量%、更に好ましくは10〜40質量%及び60〜90質量%である。
上記組成物〔X〕に含有される無機顔料(BX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される無機顔料(BY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、0〜50質量%及び50〜100質量%であり、より好ましくは0〜20質量%及び80〜100質量%、更に好ましくは0〜10質量%及び90〜100質量%である。
上記組成物〔X〕に含有される無機顔料(CX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される無機顔料(CY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、0〜50質量%及び50〜100質量%であり、より好ましくは0〜20質量%及び80〜100質量%、更に好ましくは0〜10質量%及び90〜100質量%である。
また、上記組成物〔X〕に含有される発泡剤(DX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される発泡剤(DY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、50〜100質量%及び0〜50質量%であり、より好ましくは70〜100質量%及び0〜30質量%、更に好ましくは90〜100質量%及び0〜10質量%である。
上記範囲で組成物〔X〕及び〔Y〕を調製し、これらの組成物を混合してなる発泡成形用熱可塑性樹脂組成物とすることにより、発泡倍率が2倍以上と高く、且つ、着色鮮映性、低蓄熱性、耐候性及び成形外観性に優れる発泡成形品を容易に得ることができる。
上記の組成物〔X〕及び〔Y〕の特に好ましい組合せは、上記組成物〔X〕が、樹脂(AX)において上記アセトン可溶成分の構成を備え、無機顔料(BX)及び(CX)の質量の合計量が無機顔料全体に対して0〜10質量%であり、発泡剤(DX)の質量割合が、発泡剤全体に対して100質量%である発泡剤含有組成物であり、且つ、上記組成物〔Y〕が、樹脂(AY)において、スチレン系樹脂(A1)、又は、スチレン系樹脂及び他の熱可塑性樹脂からなり、無機顔料(BY)及び(CY)の質量の合計量が無機顔料全体に対して90〜100質量%であり、発泡剤(DY)を含有しない発泡剤非含有組成物である態様である。上記組成物〔X〕は、加熱により溶融混練した粒状の発泡剤含有マスターバッチとすることが好ましく、発泡倍率は好ましくは1.15以下、より好ましくは1.10以下、更に好ましくは1.07以下の発泡剤含有マスターバッチである。一方、上記組成物〔Y〕は、好ましくは、上記発泡剤(DY)を含有しない溶融混練物である。
尚、上記の組成物〔X〕及び〔Y〕は、上記に例示した、発泡助剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤等の添加剤を含んでもよい。
上記発泡剤含有マスターバッチの形状及び大きさは、特に限定されず、形状について、例えば、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
上記組成物〔X〕としての発泡剤含有マスターバッチは、上記樹脂(AX)を溶融状態としながら、上記発泡剤〔D〕を配合し、混練することにより製造された溶融混練物であることが好ましい。例えば、上記樹脂(AX)を溶融混練する工程(以下、「溶融工程」という。)、溶融工程により得られた溶融状態の上記樹脂(AX)に、上記成分〔D〕、又は、上記成分〔D〕及び発泡助剤を供給し、この混合物を溶融混練する工程(以下、「混練工程」という。)、混練工程により得られた混練物を線状体等とし、直ぐに上記線状体を冷却する工程(以下、「冷却工程」という。)、並びに、冷却した線状体を切断する工程(以下、「切断工程」という。)を、順次、進める製造方法により製造することができる。
上記溶融工程においては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等の押出機を用い、上記樹脂(AX)を、その溶融温度以上で溶融混練する。
その後、上記混練工程においては、上記溶融工程において用いた押出機が、あるいは、別途準備した、上記例示した押出機が用いられ、溶融状態の上記樹脂(AX)中に、液化させた上記成分〔D〕、又は、液化させた上記成分〔D〕及び発泡助剤を供給し、通常、上記樹脂(AX)の溶融温度以上で溶融混練する。
次いで、上記冷却工程においては、上記混練工程により得られた混練物を、押出機の出口に配設された、例えば、直径1〜5mmの押出孔から押し出して、連続した線状体等を形成する。そして、押し出された線状体を水等の冷媒の中に導入し、冷却する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの発泡剤含有マスターバッチを製造することができる。
一方、上記組成物〔Y〕としての溶融混練物の形状及び大きさも、特に限定されず、形状について、例えば、粉末状、球状、略球状、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
上記組成物〔Y〕として、好ましい発泡剤非含有溶融混練物は、公知の熱可塑性樹脂組成物によるペレット等の製造方法を適用して製造されたものとすることができる。
上記組成物〔X〕及び〔Y〕の製造に際して用いる成分〔D〕の各仕込量の合計は、最終的に得られる発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜4質量部、より好ましくは0.3〜3質量部であり、各仕込量は、合計がこの範囲となるように選択される。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物からなる成形品(発泡成形品)は、L値が40以下、好ましくは5〜35である。このL値が小さいほど、濃い暗色系の色を呈する発泡成形品とすることができる。尚、L値が大きすぎると、十分な暗色系の色を呈する発泡成形品が得られない場合がある。また、下記試験条件で得られる発泡成形品の温度上昇が50℃以下、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。この温度上昇が50℃以下であれば、低蓄熱性が特に優れる。
[試験条件]
本組成物からなる発泡成形品(大きさ;80mm×55mm×5.0mm)を、温度25±2℃、及び、湿度50±5%RHに調節された室に載置し、高さ200mmから、その表面に赤外線ランプ(出力100W)を60分間照射し、発泡成形品の表面温度を測定し、赤外線ランプ照射前の初期温度との差を上昇温度とする。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用い、押出成形、射出成形、真空成形、圧空成形等に供することにより、各種形状の発泡成形品を製造することができる。いずれの場合も、発泡倍率を2〜25倍という高倍率とすることができ、得られる発泡成形品は、着色鮮映性、低蓄熱性及び成形外観性に優れる。
2.発泡成形品
本発明の発泡成形品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする。
本発明の発泡成形品は、通常、無機顔料〔B〕に由来する色及び無機顔料〔C〕に由来する色からなる混色を呈しており、発泡セルが均一である。また、本発明の発泡成形品の発泡倍率(実施例に示された算出方法による)は、好ましくは2〜25倍、より好ましくは2〜20倍である。更に、密度は、好ましくは40〜500kg/m、より好ましくは50〜400kg/mである。
本発明の発泡成形品は、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、圧空成形等により得られたものとすることができる。
押出成形の場合、通常、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融状態とし、ダイから押し出すことにより、同時に発泡され、板状(シート状)、筒状、半筒状、線状等の発泡成形品が得られる。
上記押出成形において、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融する場合には、スクリューを備える押出機等が用いられる。その加熱条件は、通常、上記成分〔A〕の種類により選択されるが、好ましくは130℃〜260℃である。尚、上記成分〔A〕が、スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂からなる場合、加熱温度は、好ましくは120℃〜200℃である。
本発明の発泡成形品を製造する方法は、好ましくは、上記の組成物〔X〕及び〔Y〕を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用い、押出成形する方法である。この製造方法によると、上記の組成物〔X〕及び〔Y〕の混練性が向上し、成形加工性が改良される。また、発泡性及び微分散性に優れ、特に、発泡倍率が高く、発泡セルが均一であり且つ成形外観性に優れる発泡成形品を得ることができる。
上記の組成物〔X〕及び〔Y〕の混練物を得た後、ダイから押し出すことにより、発泡成形品が製造される。この方法により、発泡倍率を2〜25倍という高倍率とすることができ、且つ、表面に、ほとんど破裂せず、緻密なスキン層を備える発泡成形品が得られる。他の成形方法を適用しても同様の発泡成形品を得ることができる。
本発明の発泡成形品は、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;容器、トレー等の日用雑貨用品;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート等の住宅・事務所用内外装材;玩具;遊戯機等の緩衝材、補強材、断熱材、芯材、代替合板等として用いることができる。
更に、本発明の発泡成形品は、用途によっては、他の成形品、部材等と一体化させ、複合化させてなる物品として、これを用いることができ、上記用途に適用可能である。
3.積層品
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)(以下、「発泡成形部(V)」ともいう。)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする。発泡成形部(V)が表側に配された積層品であってよいし(図1参照)、部材(W)が表側に配された積層品であってもよい(図2参照)。
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形品と同じ用途に好適である。その形状も上記本発明の発泡成形品と同様とすることができる。
上記発泡成形部(V)は、通常、無機顔料〔B〕に由来する色及び無機顔料〔C〕に由来する色からなる混色を呈しており、発泡セルが均一である。また、上記発泡成形部(V)の密度は、好ましくは40〜500kg/m、より好ましくは50〜400kg/mである。
上記部材(W)を構成する他の材料は、構成成分、発泡倍率等異なれば、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物でもよく、特に限定されないが、樹脂(組成物)からなるもの、他の有機材料からなるもの、無機材料からなるもの等が挙げられる。
樹脂(組成物)は、熱可塑性樹脂(組成物)であってよいし、硬化樹脂(組成物)であってもよい。この熱可塑性樹脂(組成物)に含まれる熱可塑性樹脂としては、本発明の積層品の用途等により選択されるが、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分〔A〕と同じであってよいし、異なってもよい。また、この熱可塑性樹脂(組成物)は、発泡剤を含有してよいし、含有しなくてもよい。
無機材料は、金属、合金、酸化物、炭化物、窒化物、金属塩等が挙げられる。
尚、本発明の積層品において、上記の発泡成形部(V)及び部材(W)の層数は、いずれも、1層でも、2層でも、3層以上でもよい。また、上記発泡成形部(V)は、上記部材(W)の両面に備えてもよい(図3参照)。好ましい他の材料は、熱可塑性樹脂(組成物)である。
図1の積層品1aは、部材(W)12の上方に、発泡成形部(V)11が積層されてなり、両者の厚さが同一であることを示す断面図である。発泡成形部(V)11及び部材(W)12の各厚さは、目的、用途等により、選択される。発泡成形部(V)11が部材(W)12より厚くてよいし、その逆でもよい。また、発泡成形部(V)11は、部材(W)12の全面にあってよいし、一部にのみあってもよい。発泡成形部(V)11及び部材(W)12の好ましい厚さは、それぞれ、1〜25mm、及び、0.1〜5mmである。
上記積層品1aの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形部(V)11を形成した後、別途、作製した部材(W)12を配設する方法;上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法;予め形成した部材(W)12の表面に、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた発泡成形部(V)11を配設する方法等が挙げられる。
また、図2の積層品1bは、発泡成形部(V)11の上方に、部材(W)12が積層されてなることを示す断面図である。部材(W)12は、発泡成形部(V)の全面にあってよいし、一部にのみあってもよい。発泡成形部(V)11及び部材(W)12の各厚さは、目的、用途等により、選択される。発泡成形部(V)11が部材(W)12より厚くてよいし、その逆でもよい。また、図1のように同じであってもよい。更に、積層品として、均一の厚さであってよいし、部分的に異なる厚さであってもよい。例えば、上記の発泡成形部(V)11及び部材(W)12の好ましい厚さは、それぞれ、1〜25mm、及び、0.1〜5mmである。
上記積層品1bの製造方法についても、上記積層品1aの製造方法と同様とすることができる。
また、本発明の積層品は、更に、図3のような断面構造を備える積層品1cとすることもできる。即ち、図3の積層品1cは、部材(W)12の両面に発泡成形部(V)11a及び11bを備える。各部材の厚さは、目的、用途等により選択されるが、発泡成形部(V)11a及び11b、部材(W)12の順に、好ましくは、1〜25mm、1〜25mm、及び、0.1〜5mmである。
上記の積層品1cの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.原料成分
下記の実施例及び比較例において用いる成分を示す。
1−1.熱可塑性樹脂A
(1)スチレン系樹脂(A−1)
スチレン単位量79%、アクリロニトリル単位量21%のアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、Mwは16万である。
(2)スチレン系樹脂(A−2)
スチレン単位量84%、アクリロニトリル単位量16%のアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、Mwは15万である。
(3)スチレン系樹脂(A−3)
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子を含む分散液中で、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂である。このゴム強化スチレン系樹脂のグラフト率は65%、ポリブタジエン量は7%である。また、スチレン単位量及びアクリロニトリル単位量の合計を100%としたとき、スチレン単位量は84%、アクリロニトリル単位量は16%であり、アセトン可溶成分のMwは15万である。
(4)スチレン系樹脂(A−4)
スチレン単位量70%、アクリロニトリル単位量30%のアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、Mwは20万である。
(5)スチレン系樹脂(A−5)
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子を含む分散液中で、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂である。このゴム強化スチレン系樹脂は、グラフト率が55%であり、ポリブタジエン量が40%であり、スチレン単位量が45%であり、アクリロニトリル単位量が15%である。以下において用いたスチレン系樹脂(A−5)は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて210℃で混練且つペレット化して得られた、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状ペレットである。
(6)スチレン系樹脂(A−6)
アクリル酸n−ブチル99%及びメタクリル酸アリル1%からなる共重合体であるアクリル系ゴムの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂である。このゴム強化スチレン系樹脂は、グラフト率が60%であり、アクリル系ゴム量が50%であり、スチレン単位量が37%であり、アクリロニトリル単位量が13%であり、アセトニトリル可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.55dl/gである。以下において用いたスチレン系樹脂(A−6)は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて210℃で混練且つペレット化して得られた、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状ペレットである。
(7)スチレン系樹脂(A−7)
エチレン−プロピレン系ゴム(商品名「EP84」、JSR社製)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを溶液重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂である。このゴム強化スチレン系樹脂は、グラフト率が55%であり、エチレン−プロピレン系ゴムの含有量が20%であり、スチレン単位量が56%であり、アクリロニトリル単位量が24%であり、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.5dl/gである。以下において用いたスチレン系樹脂(A−7)は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて210℃で混練且つペレット化して得られた、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状ペレットである。
(8)スチレン系樹脂(A−8)
スチレンとアクリロニトリルを溶液重合して得られた、スチレン単位量75%及びアクリロニトリル単位量25%のアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.5dl/gである。以下において用いたスチレン系樹脂(A−8)は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて210℃で混練且つペレット化して得られた、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状ペレットである。
1−2.無機顔料B
(1)Fe及びCrの複合酸化物(B−1)
Crが88〜91%及びFeが7〜10%の化学組成を有する黒色顔料(商品名「フェローカラー42−703A」、日本フェロー社製)を用いた。
この黒色顔料0.5部と、ブロックタイプポリプロピレン(商品名「BC6C」、日本ポリケム社製)100部とからなる成形品のL値は、多光源分光測定計(スガ試験機社製)により22であった。
(2)Fe及びMnの複合酸化物(B−2)
黄色顔料(商品名「フェローカラー42−350A」、日本フェロー社製)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は25であった。
(3)Cu、Cr及びMnの複合酸化物(B−3)
茶色顔料(商品名「フェローカラー42−303A」、日本フェロー社製)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は23であった。
(4)Ni、Co、Fe及びCrの複合酸化物(B−4)
黒色顔料(商品名「AE801ブラック」、川村化学工業社製)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は23であった。
1−3.無機顔料C
(1)酸化チタン(C−1)
石原産業社製「CR−60−2」(商品名)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は75であった。
(2)Ti、Co、Ni及びZnの複合酸化物(C−2)
川村化学社製「MD100」(商品名)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は48であった。
(3)群青(C−3)
東京新日本化成社製「NUB1FLOW」(商品名)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は66であった。
(4)Ti、Sb及びNiの複合酸化物(C−4)
川村化学社製「BR100」(商品名)を用いた。
上記複合酸化物(B−1)と同様にして得たL値は46であった。
1−4.有機顔料P
(1)有機顔料(P−1)
ペリレン系有機顔料(商品名「Paliogen Red 3911HD」、BASF社製)を用いた。
(2)有機顔料(P−2)
イソインドリン系有機顔料(商品名「DISCOALL 443」、大日精化社製)を用いた。
(3)有機顔料(P−3)
シアニン系有機顔料(商品名「Sumitone Cyanine Blue GH」、住友化学社製)を用いた。
(4)有機顔料(P−4)
カーボンブラックを用いた。
1−5.発泡剤D
ブタン(大気圧における沸点−0.5℃)を用いた。
1−6.化学発泡剤F
主成分が炭酸水素ナトリウムである吸熱分解型発泡剤(商品名「セルボンSC−P」、永和化成社製)を用いた。
2.組成物〔X〕(発泡剤含有マスターバッチ)の製造
製造例1
シリンダー温度を170℃〜250℃に設定したスクリュー径40mm単軸押出機に、スチレン系樹脂(A−1)100部を供給してこれを溶融した。その後、発泡剤Dの4.5部を上記押出機後部の中間注入口から供給し、溶融混練した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状の発泡剤含有マスターバッチ(X−1)を得た。
上記発泡剤含有マスターバッチ(X−1)における発泡剤含有量及び発泡倍率を以下の方法により測定したところ、発泡剤含有マスターバッチ(X−1)の構成は、表1に示されるような結果を得た。
[ブタン含有量測定方法]
発泡剤含有マスターバッチ約10gを、200℃のホットプレート上に載置し、5分間加熱し、加熱前後の質量を精秤し、その差をブタン含有量とした。
[発泡倍率]
発泡剤含有マスターバッチの外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の密度から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
尚、計算に用いた樹脂の密度は、アクリロニトリル・スチレン共重合体;1.08g/cm、ゴム強化スチレン系樹脂;1.06g/cmである。
また、上記発泡剤含有マスターバッチ(X−1)の成形外観性を目視観察し、下記基準で判定した。その結果を表1に併記した。
○;表面が滑らかであった。
×;表面がスポンジのようになっていた。
製造例2〜4
熱可塑性樹脂A(A−2〜A−4)及び発泡剤Dを、それぞれ、表1に示す割合で用いた以外は、製造例1と同様にして発泡剤含有マスターバッチ(X−2)〜(X−4)を製造し、各種評価を行った。その結果を表1に示した。
Figure 2009091554
3.組成物〔Y〕(溶融混練ペレット)の製造
製造例5
スチレン系樹脂(A−5)50部と、スチレン系樹脂(A−8)50部と、無機顔料(B−4)5.3部と、無機顔料(C−1)0.3部と、無機顔料(C−2)0.5部と、無機顔料(C−3)0.4部と、下記の加工助剤U1部と、加工助剤V1部とを、ヘンシェルミキサーに投入して混合し、シリンダー温度を170℃〜250℃に設定したスクリュー径40mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。その後、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、およそ外径2mm及び長さ3mmの円柱状の溶融混練ペレット(Y−1)を得た。
(1)加工助剤U(酸化防止剤)
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名「イルガノックス1076」、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)を用いた。
(2)加工助剤V(滑剤)
大日化学工業社製「ダイワックスM」(商品名)を用いた。
製造例6〜19
熱可塑性樹脂A(A−5〜A−8)、無機顔料B、無機顔料C等を、それぞれ、表2及び表3に示す割合で用いた以外は、製造例5と同様にして溶融混練ペレット(Y−2)〜(Y−15)を得た。
Figure 2009091554
Figure 2009091554
4.発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び発泡成形品の製造並びに評価
実施例1
発泡剤含有マスターバッチ(X−1)25部と、溶融混練ペレット(Y−1)75部とを、ヘンシェルミキサーで2分間混合し、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を得た。その後、スクリューを備える押出機(「FS50−22型」、池貝社製)に投入し、200℃で溶融混練した。次いで、Tダイに、サイジングダイを配設した出口から、幅55mm及び厚さ5.0mmの発泡成形品を排出させた。該発泡成形品の下記計算方法による発泡倍率は3.5倍であり、該発泡成形品から長さ80mm、幅55mm及び厚さ5.0mmの発泡成形品(以下、「試験片」という。)を得た。
[発泡倍率計算方法]
試験片の外形寸法から求めた、嵩体積、並びに、樹脂及び無機顔料の密度から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
また、得られた試験片について、各種評価を行った。その結果を表4に示した。
(1)成形外観性
試験片の外観を目視観察し、下記基準により判定した。
◎;歪みがなく、その表面が滑らかであった。
○;歪みはなかったが、その表面の一部に微小な凹凸が見られた。
△;わずかに歪みが見られ、その表面の一部に微小な凹凸が見られた。
×;歪みがあり、その表面のほぼ全面に微小な凹凸が見られた。
(2)着色鮮映性
試験片の外観を目視観察し、下記基準により判定した。
○;優れている。
△;○印に比べてやや劣る。
(3)試験片のL値
多光源分光測定計(スガ試験機社製)により求めた。
(4)低蓄熱性
温度25±2℃、湿度50±5%RHに調節された室において、上記試験片の表面に、高さ200mmから赤外線ランプ(出力100W)を照射して、60分後の試験片の表面温度を、表面温度計を用いて測定した。表4には、測定5回平均の上昇温度(単位;℃)を示した。
また、低蓄熱性の安定性を見るために、上記測定を5回行った際に得られた温度の最大値と最小値との差ΔTを求め、以下の基準に従って評価した。
○;ΔTが3℃以下である。
△;ΔTが3℃を超えて5℃未満である。
×;ΔTが5℃以上である。
(5)耐候性
上記試験片を、サンシャインウェザーオメーター(スガ試験機社製)を用いて、降雨サイクル18分/120分、ブラックパネル温度63℃として1,000時間暴露し、暴露前後の色調変化値ΔEを算出した。
ΔEは、多光源分光測定計(スガ試験機社製)を用いて変色度Lab(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)を測定し、次式により算出した。
ΔE=√〔(L−L+(a−a+(b−b
(式中、L、a、bは、暴露前の値を、L、a、bは暴露後の値を示す。)
ΔEの値は、小さい方が色の変化が小さく、耐候性が優れていることを示す。評価基準は以下の通りである。
◎;ΔEが3未満である。
○;ΔEが3〜5である。
△;ΔEが5を超えて10未満である。
×;ΔEが10以上である。
実施例2〜13及び比較例1〜7
表4〜表7に従って、発泡剤含有マスターバッチ及び溶融混練ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表4〜表7に示した。
実施例14
スチレン系樹脂(A−1)25部と、スチレン系樹脂(A−5)50部と、スチレン系樹脂(A−8)25部と、無機顔料(B−4)4部と、無機顔料(C−1)0.23部と、無機顔料(C−2)0.38部と、無機顔料(C−3)0.3部と、加工助剤Uの0.75部と、加工助剤Vの0.75部とを、ヘンシェルミキサーで混合し、スクリューを備える押出機(「FS50−22型」、池貝社製)に投入し、200℃で溶融混練した。その後、発泡剤Bの1.2部を、上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練した。次いで、この溶融混練物(発泡剤含有熱可塑性樹脂体)を用い、実施例1と同様にして、発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表5に示した。
比較例8
表7に従って、スチレン系樹脂(A−1)のみからなるマスターバッチ25部、組成物(Y−14)75部、及び、化学発泡剤Fの2部を用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表7に示した。
Figure 2009091554
Figure 2009091554
Figure 2009091554
Figure 2009091554
実施例1〜13は、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いた例であり、本発明の目的とする発泡成形品が得られた。実施例14は、原料成分のすべてを含む発泡剤含有熱可塑性樹脂体を用いた例であり、着色鮮映性、低蓄熱性及び耐候性が優れていたが、発泡成形品の表面外観性が十分なものとはいえなかった。
比較例1は、無機顔料〔C〕に代えて、赤外線反射特性を有さないカーボンブラックを含有する組成物を用いた例であり、蓄熱特性の評価実験における上昇温度が本発明の範囲を超えて高かった。
比較例2は、無機顔料〔B〕に代えて、赤外線反射特性を有さないカーボンブラックを含有する組成物を用いた例であり、蓄熱特性の評価実験における上昇温度が本発明の範囲を超えて高かった。
比較例3は、無機顔料〔B〕及び〔C〕の含有量が、いずれも、本発明の範囲未満である組成物を用いた例であり、着色鮮映性及び耐候性が劣っていた。
比較例4は、無機顔料〔B〕の含有量が本発明の範囲未満の組成物を用いた例であり、蓄熱安定性及び耐候性が劣り、L値が本発明の範囲を超えて高かった。
比較例5は、無機顔料〔C〕の含有量が本発明の範囲を超えた組成物を用いた例であり、蓄熱安定性が劣り、L値が本発明の範囲を超えて高かった。
比較例6は、無機顔料〔C〕の含有量が本発明の範囲未満の組成物を用いた例であり、蓄熱安定性が劣っていた。
比較例7は、無機顔料〔C〕に代えて、カーボンブラックを含有する組成物を用いた例であり、蓄熱特性の評価実験における上昇温度が本発明の範囲を超えて高く、蓄熱安定性が劣っていた。
比較例8は、本発明に係る発泡剤〔C〕に代えて、化学発泡剤を含有する組成物を用いた例であり、2倍以上の発泡倍率が得られなかった。
5.積層品の製造
実施例15
[1]実施例5により得られた発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、[2]スチレン系樹脂(A−5)とを、それぞれ、表材用及び基材用として用い、下記の共押出条件で、1.5mm及び3.5mmの厚さを有する積層品(表材は発泡成形部)を得た。
<押出条件>
[1]表材層;20mm押出機、160℃(押出温度)、40rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
[2]基材層;40mm押出機、190℃(押出温度)、20rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、押出成形等により、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;容器、トレー等の日用雑貨用品;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート等の住宅・事務所用内外装材;玩具;遊戯機等の緩衝材、補強材、断熱材、芯材、代替合板等に好適な発泡成形品の形成に好適である。
本発明の積層品の断面構造の一例を示す概略図である。 本発明の積層品の断面構造の他の例を示す概略図である。 本発明の積層品の断面構造の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1a,1b及び1c;積層品
11,11a及び11b;成形部(V)
12;部材(W)

Claims (14)

  1. 〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕赤外線反射特性を有する無機顔料と、〔C〕無機顔料(但し、上記無機顔料〔B〕を除く。)と、〔D〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤と、を含有し、低蓄熱性の発泡体を形成するための発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、
    上記無機顔料〔B〕は、該無機顔料〔B〕0.5質量部及びブロックタイプポリプロピレン100質量部からなる成形品のL値が40未満である条件を満たす顔料であり、
    上記無機顔料〔C〕は、該無機顔料〔C〕0.5質量部及びブロックタイプポリプロピレン100質量部からなる成形品のL値が40以上である条件を満たす顔料であり、
    上記無機顔料〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、
    上記無機顔料〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、
    上記発泡剤〔D〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、
    本組成物からなる発泡成形品は、L値が40以下であり、且つ、下記試験条件で得られる発泡成形品の温度上昇が50℃以下であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
    [試験条件]
    本組成物からなる発泡成形品(大きさ;80mm×55mm×5.0mm)を、温度25±2℃、及び、湿度50±5%RHに調節された室に載置し、高さ200mmから、その表面に赤外線ランプ(出力100W)を60分間照射し、発泡成形品の表面温度を測定し、赤外線ランプ照射前の初期温度との差を上昇温度とする。
  2. 上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物である請求項1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記無機顔料〔B〕が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも2種の元素を含む化合物である請求項2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記無機顔料〔B〕が、Co元素及びNi元素を含む酸化物である請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記無機顔料〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記無機顔料〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する無機顔料と、上記発泡剤〔D〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 上記組成物〔X〕が溶融混練物である請求項5に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたスチレン系共重合体、並びに/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂であり、且つ、上記スチレン系樹脂(A1)の構成材料のうち、上記ゴム質重合体を除く重合体成分が、該重合体成分を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位が75〜95質量%であり、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位が5〜25質量%であり、他の単量体単位が0〜20質量%である請求項5又は6に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである請求項5乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  9. 上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔D〕を含有しない溶融混練物である請求項5乃至8のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  10. 上記スチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む請求項1乃至9のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  11. 上記熱可塑性樹脂〔A〕が、上記スチレン系樹脂(A1)と、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーから選ばれた少なくとも1種の樹脂とからなる請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
  13. 発泡倍率が2〜25倍である請求項12に記載の発泡成形品。
  14. 請求項1乃至11のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
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JP2011037925A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Techno Polymer Co Ltd 発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた発泡成形体
CN112143087A (zh) * 2020-09-14 2020-12-29 成都金发科技新材料有限公司 一种抗菌防霉汽车隔音材料及其制备方法

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