JP2010116093A - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させ、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化が抑制された重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在させたカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト5と、該カーカス4の内側に配置されたインナーライナー6とを具える重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤショルダー部Sに位置するインナーライナー6に、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いる。
【選択図】図1
【解決手段】一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在させたカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト5と、該カーカス4の内側に配置されたインナーライナー6とを具える重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤショルダー部Sに位置するインナーライナー6に、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、特に建設車両、トラック及びバス等の重車両用のタイヤとして好適で、経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させ、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化が抑制された重荷重用空気入りラジアルタイヤに関するものである。
近年、建設車両、トラック及びバス等の重車両に使用する重荷重用空気入りラジアルタイヤは、タイヤ特性として、重荷重や高速度に対する耐久性の向上が要求され、トレッドゴムの量を増加させる手法や、トレッドゴムの耐摩耗性を向上させる手法等が採用されている。そして、このような耐久性の改良に伴い、製造されたタイヤが廃品になるまでの製品寿命も改善されている。しかしながら、タイヤの製品寿命が延びることで、カーカスの被覆ゴムが酸素劣化を起こし、その寿命末期においてカーカス内にセパレーションが発生するという新たな問題も生じている。
これに対し、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化に対する耐久性を向上させるには、カーカスの内側に配置されるインナーライナーに用いるゴム組成物を耐空気透過性の高いものに変更する手法や、酸素劣化による被害が大きい部分に位置するインナーライナーのゲージを厚くする手法等が挙げられる。例えば、国際公開WO01/062846号(特許文献1)及び特開2006−96152号公報(特許文献2)には、耐空気透過性を向上させるため、特定のアスペクト比を有する層状又は板状鉱物が配合されたインナーライナー用ゴム組成物が開示されている。
しかしながら、上記手法によって酸素劣化に対する耐久性を向上させた場合、タイヤの製造コストが増加することになる。従って、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化に対する耐久性を改善し、併せてタイヤ製造の低コスト化を実現したタイヤが強く求められている。
このような状況下、本発明者がカーカスの被覆ゴムの酸素劣化に起因するセパレーションの発生について検討したところ、インナーライナーからの酸素が透過し、これに併せて走行中の繰り返し撓みによる熱劣化が起きることによって、カーカスの被覆ゴムが酸素劣化を起こすことが分かった。そして、カーカスの被覆ゴムが劣化した際に、大きな屈曲や高歪みがその劣化した部分に入力されることで、被覆ゴムのセパレーションが発生することになる。従って、屈曲や歪みの入力が大きいタイヤショルダー部においては、酸素劣化に起因するセパレーションの発生が多く見られることが分かった。
一方、タイヤの製品寿命の初期から中期におけるカット等が原因で廃棄されたタイヤにおいては、カーカス用被覆ゴムの酸素劣化に起因するセパレーションの発生が観察されないことから、カーカス内のセパレーション対策として、少なくともタイヤショルダー部に位置するカーカス用被覆ゴムの酸素劣化を抑制すればよいことが分かった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、建設車両、トラック及びバス等の重車両用のタイヤとして好適で、経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させ、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化が抑制された重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、タイヤショルダー部に、特定のアスペクト比を有する層状又は板状鉱物が配合されたゴム組成物を適用することで、経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させつつ、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化を十分に改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルトと、該カーカスの内側に配置されたインナーライナーとを具える重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤショルダー部に位置するインナーライナーに、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
タイヤショルダー部に位置するインナーライナーに、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいては、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側へ最大接地幅の25%の距離離れた位置からタイヤ幅方向外側で且つタイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側の領域に位置するインナーライナーに、前記ゴム組成物を用いることが好ましい。
なお、「最大接地幅」とは、TRA、ETRTO、JATMA等の規格に適用される標準リムに装着され、同規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重に対応する空気圧を内圧充填し、同規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重を付加した条件で接地させた状態において測定した最大接地幅である。また、「タイヤ最大幅位置」とは、TRA、ETRTO、JATMA等の規格に適用される標準リムに装着され、同規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重に対応する空気圧を内圧充填した無負荷状態において測定したタイヤ最大幅位置である。
本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤの好適例においては、前記タイヤショルダー部の中央部に位置するインナーライナーの空気透過率εA[cm2/(s・cmHg)]と、タイヤ赤道面に位置するインナーライナーの空気透過率εB[cm2/(s・cmHg)]とが、下記式(I):
120 ≦ εB/εA × 100 ≦ 200 ・・・ (I)
の関係を満たす。
120 ≦ εB/εA × 100 ≦ 200 ・・・ (I)
の関係を満たす。
本発明によれば、タイヤショルダー部に、特定のアスペクト比を有する層状又は板状鉱物が配合されたゴム組成物を適用することによって、建設車両、トラック及びバス等の重車両用のタイヤとして好適で、経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させ、カーカスの被覆ゴムの酸素劣化が抑制された重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤの一実施態様の部分断面図である。また、図2は、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのショルダー部に位置するインナーライナーの部分断面図である。
図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在させたカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト5と、該カーカス4の内側に配置されたインナーライナー6とを具える。
図示例のタイヤにおいて、カーカス4は、複数のスチールコードを被覆ゴムで被覆してなるカーカスプライ1枚から構成され、また、ビード部1内に夫々埋設されたリング状のビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア7の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とを有する。なお、カーカス4の構造及びプライ数は、これに限られるものではない。上記カーカス4において、上記カーカスプライを構成する被覆ゴムとしては、特に制限されるものではなく、通常の被覆ゴム用ゴム組成物を用いることができる。
また、図示例のタイヤにおいて、ベルト5は、三枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルトを構成するベルト層の枚数は、これに限られるものではない。なお、ベルト層は、複数のコードを被覆ゴムで被覆してなり、該ベルト層を構成するコードには、スチールコードを用いることが好ましく、該ベルト層を構成する被覆ゴムとしては、特に制限されるものではなく、通常の被覆ゴム用ゴム組成物を用いることができる。
なお、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、公知のタイヤ部材を必要に応じて更に備えることができる。
本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、タイヤショルダー部Sに位置するインナーライナー6に、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いる。図2に示すように、インナーライナー6中に分散した層状又は板状鉱物の粒子21は、その面がインナーライナー6の厚さ方向と交差する向き(即ち、インナーライナー6の面と平行若しくは平行に近い向き)に配向している。なお、図2中、矢印は、タイヤ内部からカーカス4への空気の流れ(エア漏れ)である。ここで、インナーライナー6を通過する空気は、層状又は板状鉱物粒子21の存在によって迂回を強いられインナーライナー6を通過するまでの距離が長くなる。そのため、層状又は板状鉱物を用いた場合、該層状又は板状鉱物が配合された部分のインナーライナー6においては、タイヤ内部からの空気の通過が妨げられ、空気透過性が低減されることになる。そして、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいては、上記のようにカーカス用被覆ゴムの酸素劣化に起因するセパレーションの発生が観察されるタイヤショルダー部にのみ層状又は板状鉱物を用いることで、経済的にインナーライナーの耐空気透過性を向上させることができる。
しかしながら、従来インナーライナーに使用されてきたクレイ等の高アスペクト比の充填剤を用いた場合、該充填剤をゴム組成物の混練時に均一に分散させることが難しく、凝集塊が生じてしまい、該凝集塊が加硫ゴム組成物中で破壊核となって、インナーライナー6の耐屈曲性や低温耐久性の低下を招き、タイヤ全体の耐久性を低下させるという問題がある。そのため、本発明においては、3以上30未満という特定のアスペクト比を有する板状又は層状鉱物を用いることにより、耐屈曲性や低温耐久性を損なうことなく、タイヤショルダー部に位置するインナーライナー6の空気透過性を低減する。
以上のように、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、空気透過性が十分に低減されているため、インナーライナー6のゲージを厚くすることなく、タイヤショルダー部Sに位置するカーカスに到達する酸素量を低減し、該カーカスの被覆ゴム中の酸素濃度を低減して、該被覆ゴムの酸素劣化を抑制することができる。その結果、製造コストの増加を最小限に抑えつつ、タイヤショルダー部の耐久性が向上し、タイヤの長寿命化を達成することができる。
なお、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤショルダー部Sとは、トレッド接地面の端部領域からタイヤの最大幅位置近傍までの領域であり、具体的には、図1に示すように、タイヤ赤道面Eからタイヤ幅方向外側へ最大接地幅Wの25%の距離離れた位置P1からタイヤ幅方向外側で且つタイヤ最大幅位置P2からタイヤ半径方向外側の領域である。
また、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいては、タイヤショルダー部の中央部に位置するインナーライナーの空気透過率εA[cm2/(s・cmHg)]と、タイヤ赤道面に位置するインナーライナーの空気透過率εB[cm2/(s・cmHg)]とが、上記式(I)の関係を満たすのが好ましい。ここで、εB/εA×100の値が120未満では、(1)タイヤショルダー部に位置するインナーライナーの耐空気透過性が十分に得られず、セパレーションが発生する場合や、(2)インナーライナー全体に耐空気透過性の優れるゴム組成物を使用し、製造コストが増大するおそれがある。一方、εB/εA×100の値が200を超えると、ゴム組成物の加工性が低下するおそれがある。なお、「空気透過率」は、JIS K7126−1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧式)に準拠して測定した値である。また、「タイヤショルダー部の中央部」とは、図1に示すように、タイヤショルダー部内表面の輪郭線における長さ中心位置P3での法線上の領域である。
上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物のゴム成分としては、ブチル系ゴム及びジエン系ゴムを用いることができる。なお、ブチル系ゴムを用いる場合は、ハロゲン化ブチルゴムを含むものが好ましい。該ハロゲン化ブチルゴムには、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム及びその変性ゴム等が含まれる。ここで、塩素化ブチルゴムとしては、エンジェイケミカル社製の商標「Enjay Butyl HT10-66」等が挙げられ、臭素化ブチルゴムとしては、エクソン社製の商標「ブロモブチル2255」等が挙げられる。また、変性ゴムとしては、イソモノオレフィンとパラメチルスチレンとの共重合体の塩素化又は臭素化変性共重合体を用いることができ、具体的には、エクソン社製の商標「Expro50」等が挙げられる。また、上記ハロゲン化ブチルゴムとブレンドされるジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、シス-1,4-ポリブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエンゴム(1,2BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられ、これらジエン系ゴムは、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。上記ゴム成分は、耐酸素(空気)透過性の観点から、ブチル系ゴム40〜100質量%とジエン系ゴム60質量%以下とからなるのが好ましい。但し、航空機用タイヤや極低温条件で使用されるトラック・バス用タイヤの場合は、ゴム成分がジエン系ゴムを60〜100質量%以上含むのが好ましく、特に天然ゴム主体のゴム成分が好ましい。
上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物に用いる層状又は板状鉱物は、天然品、合成品のいずれでよく、アスペクト比が3以上30未満である限り特に制限はなく、例えば、カオリン質クレイ及びセリサイト質クレイ等のクレイ、マイカ、長石、シリカ及びアルミナの含水複合体等が挙げられる。これらの中でも、カオリン質クレイ、セリサイト質クレイ及びマイカが好ましく、特にカオリン質クレイが好ましい。これら層状又は板状鉱物は、粒径が0.2〜2μmであるのが好ましく、また、アスペクト比が5以上30未満であるのが好ましく、8〜20であるのが更に好ましい。アスペクト比を3以上とすることにより、耐酸素(空気)透過性の改質効果が充分に得られ、30未満とすることにより、ゴム組成物の加工性の悪化を抑制することができる。ここで、アスペクト比は、層状又は板状鉱物を電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について長径と短径とを測定し、その平均長径aと平均短径bとからa/bとして求められる。なお、上記層状又は板状鉱物の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して20〜160質量部の範囲が好ましい。
上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物には、充填剤としてカーボンブラックを用いることができる。該カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して60質量部以下の範囲が好ましい。また、上記層状又は板状鉱物とカーボンブラックとの総配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して50質量部以上が好ましく、耐空気透過性、耐屈曲疲労性及び加工性の観点から、60〜220質量部の範囲が更に好ましい。上記カーボンブラックの種類は、特に限定されず、従来ゴム組成物の補強用充填剤として慣用されているものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのカーボンブラックを用いることができる。これらカーボンブラックの中でも、窒素吸着比面積(N2SA)が26〜170m2/gのものが好ましい。なお、N2SAは、ASTM D3037-88に準拠して測定される。また、上記カーボンブラックは、ヨウ素吸着量(IA)が40mg/g以下であるのが好ましく、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が100mL/100g以下であるのが好ましい。なお、ヨウ素吸着量は、ASTM D1510-95、ジブチルフタレート吸油量はASTM D2414-97に準拠して測定される。
また、上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物には、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマオイル、ブローンアスファルト等の軟化剤を配合してもよい。該軟化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、上記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上の範囲が好ましく、3〜20質量部の範囲が更に好ましい。ここで、ナフテン系オイルは、環分析(m-d-M添)による%CNが30以上のものであり、パラフィン系オイルは、%CPが60以上のものである。
上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物には、上記ゴム成分、層状又は板状鉱物、カーボンブラック、軟化剤の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分に、層状又は板状鉱物と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。なお、タイヤショルダー部以外の領域に位置するインナーライナー用ゴム組成物には、層状又は板状鉱物を除いて、上記タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物に用い得るゴム成分及び配合剤を目的に応じて適宜配合することができる。
本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのインナーライナーは、例えば、タイヤショルダー部インナーライナー用ゴム組成物と、タイヤショルダー部以外の領域に位置するインナーライナー用ゴム組成物とからシートを成形し、これらのシートを継ぎ合わせることにより製造することができる。また、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、このように製造されたインナーライナーを用いて通常の方法によって製造される。なお、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(層状又は板状鉱物含有ゴム組成物A)
塩素化ブチルゴム[エンジェイケミカル社製,商標「Enjay Butyl HT10−66」]100質量部に対して、カーボンブラック[GPF,N2SA=35m2/g,ヨウ素吸着量=36mg/g,DBP吸油量=90mL/100g]30質量部、偏平クレイ[J.M.Huber社製,商標「POLYFIL DL」,アスペクト比(L/D)=10]40質量部、ステアリン酸3質量部、硫黄1質量部、加硫促進剤[DM,ジベンゾチアジルジスルフィド]2質量部、及びオイル15質量部を配合してゴム組成物Aを調製した。
塩素化ブチルゴム[エンジェイケミカル社製,商標「Enjay Butyl HT10−66」]100質量部に対して、カーボンブラック[GPF,N2SA=35m2/g,ヨウ素吸着量=36mg/g,DBP吸油量=90mL/100g]30質量部、偏平クレイ[J.M.Huber社製,商標「POLYFIL DL」,アスペクト比(L/D)=10]40質量部、ステアリン酸3質量部、硫黄1質量部、加硫促進剤[DM,ジベンゾチアジルジスルフィド]2質量部、及びオイル15質量部を配合してゴム組成物Aを調製した。
(ゴム組成物B)
塩素化ブチルゴム[エンジェイケミカル社製,商標「Enjay Butyl HT10−66」]100質量部に対して、カーボンブラック[GPF,N2SA=35m2/g,ヨウ素吸着量=36mg/g,DBP吸油量=90mL/100g]70質量部、ステアリン酸3質量部、硫黄1質量部、加硫促進剤[DM,ジベンゾチアジルジスルフィド]2質量部、及びオイル15質量部を配合してゴム組成物Bを調製した。
塩素化ブチルゴム[エンジェイケミカル社製,商標「Enjay Butyl HT10−66」]100質量部に対して、カーボンブラック[GPF,N2SA=35m2/g,ヨウ素吸着量=36mg/g,DBP吸油量=90mL/100g]70質量部、ステアリン酸3質量部、硫黄1質量部、加硫促進剤[DM,ジベンゾチアジルジスルフィド]2質量部、及びオイル15質量部を配合してゴム組成物Bを調製した。
次に、ゴム組成物A及びBから表1に示すインナーライナーを作製し、該インナーライナーに対して、コスト及び空気透過率を評価した。結果を表1に示す。なお、インナーライナーのゲージは、従来例のタイヤショルダー部以外の領域に位置するインナーライナーのゲージを100として指数表示した。
(1)コスト
従来例のタイヤに用いたインナーライナーの費用を100とし、各タイヤに用いたインナーライナーの費用を指数表示した。
従来例のタイヤに用いたインナーライナーの費用を100とし、各タイヤに用いたインナーライナーの費用を指数表示した。
(2)空気透過率
JIS K7126−1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧式)に準拠して各インナーライナーの空気透過率εA及びεBを測定した。
JIS K7126−1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧式)に準拠して各インナーライナーの空気透過率εA及びεBを測定した。
次に、上記インナーライナーを用いて、図1に示す構造を有し、サイズが4000R57の建設車両用タイヤを製造し、該タイヤに対して、下記の方法で、ショルダー部カーカス用被覆ゴムの劣化度及びショルダー部の耐久性を評価した。結果を表1に示す。
(3)ショルダー部カーカス用被覆ゴムの劣化度
供試タイヤを実車に装着し、約7000時間走行させてトレッド部が完全に摩耗したタイヤのショルダー部カーカスからコード間ゴムを採取し、JIS K6251に準拠して引張試験を行い、各タイヤショルダー部の切断時伸びを測定した。各タイヤについて、新品時のショルダー部カーカス用被覆ゴムの切断時伸びを100として指数表示した。なお、ゴムが劣化すると、切断時伸びが小さくなる。
供試タイヤを実車に装着し、約7000時間走行させてトレッド部が完全に摩耗したタイヤのショルダー部カーカスからコード間ゴムを採取し、JIS K6251に準拠して引張試験を行い、各タイヤショルダー部の切断時伸びを測定した。各タイヤについて、新品時のショルダー部カーカス用被覆ゴムの切断時伸びを100として指数表示した。なお、ゴムが劣化すると、切断時伸びが小さくなる。
(4)ショルダー部の耐久性
供試タイヤを実車に装着し、約7000時間走行させてトレッド部が完全に摩耗したタイヤのショルダー部カーカスを目視観察して、セパレーションの発生の有無を評価した。
供試タイヤを実車に装着し、約7000時間走行させてトレッド部が完全に摩耗したタイヤのショルダー部カーカスを目視観察して、セパレーションの発生の有無を評価した。
従来例及び実施例の比較から、ショルダー部インナーライナー用ゴム組成物にアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合することで、インナーライナーのゲージを厚くすることなく、被覆ゴムの酸素劣化を抑制し、ショルダー部の耐久性が向上できることが分かる。
また、比較例1のタイヤは、従来例のタイヤに比べて、ショルダー部インナーライナーのゲージを厚くすることで、εB/εA×100の値を120%に調整し、ショルダー部の耐久性を向上できるが、ショルダー部インナーライナーのゲージを厚くしたため、インナーライナーの製造コストが従来例のインナーライナーの製造コストに比べて15%も増加している。
更に、比較例2のタイヤは、インナーライナー全体にアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合することで、εB/εA×100の値は従来例のタイヤと同等であるものの、ショルダー部の耐久性を向上できるが、インナーライナー全体に層状又は板状鉱物を配合しているため、インナーライナーの製造コストが従来例のインナーライナーの製造コストに比べて10%も増加している。
これに対し、実施例のタイヤは、ショルダー部インナーライナー用ゴム組成物のみにアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合しているため、インナーライナーの製造コストの増加を2%に抑えていることが分かる。従って、実施例のタイヤは、比較例1〜2のタイヤに比べて製造コストの増加を大幅に抑えながら、カーカス用被覆ゴムの酸素劣化に対する耐久性を改善できることが分かる。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 ベルト
6 インナーライナー
7 ビードコア
21 層状又は板状鉱物の粒子
E タイヤ赤道面
P1 タイヤ赤道面Eからタイヤ幅方向外側へ最大接地幅Wの25%の距離離れた位置
P2 タイヤ最大幅位置
P3 タイヤショルダー部内表面の輪郭線における長さ中心位置
S タイヤショルダー部
W 最大接地幅
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 ベルト
6 インナーライナー
7 ビードコア
21 層状又は板状鉱物の粒子
E タイヤ赤道面
P1 タイヤ赤道面Eからタイヤ幅方向外側へ最大接地幅Wの25%の距離離れた位置
P2 タイヤ最大幅位置
P3 タイヤショルダー部内表面の輪郭線における長さ中心位置
S タイヤショルダー部
W 最大接地幅
Claims (3)
- 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルトと、該カーカスの内側に配置されたインナーライナーとを具える重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤショルダー部に位置するインナーライナーに、ゴム成分に対してアスペクト比が3以上30未満の層状又は板状鉱物を配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 - タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側へ最大接地幅の25%の距離離れた位置からタイヤ幅方向外側で且つタイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側の領域に位置するインナーライナーに、前記ゴム組成物を用いたことを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記タイヤショルダー部の中央部に位置するインナーライナーの空気透過率εA[cm2/(s・cmHg)]と、タイヤ赤道面に位置するインナーライナーの空気透過率εB[cm2/(s・cmHg)]とが、下記式(I):
120 ≦ εB/εA × 100 ≦ 200 ・・・ (I)
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008291910A JP2010116093A (ja) | 2008-11-14 | 2008-11-14 | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001260609A (ja) * | 2000-03-15 | 2001-09-26 | Bridgestone Corp | 空気入りラジアルタイヤ |
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JP2004204099A (ja) * | 2002-12-26 | 2004-07-22 | Bridgestone Corp | 白色又は明色インナーライナー用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ |
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-
2008
- 2008-11-14 JP JP2008291910A patent/JP2010116093A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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