JP2001260609A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP2001260609A
JP2001260609A JP2000071630A JP2000071630A JP2001260609A JP 2001260609 A JP2001260609 A JP 2001260609A JP 2000071630 A JP2000071630 A JP 2000071630A JP 2000071630 A JP2000071630 A JP 2000071630A JP 2001260609 A JP2001260609 A JP 2001260609A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 悪路走行タイヤのショルダ部における耐クラ
ック性と耐セパレーション性との耐久性を大幅に向上さ
せた空気入りラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 ショルダ部領域のカーカスプライコード
からタイヤ内周面までのゴムゲージGA を、ショルダ部
領域を除くトレッド部領域のプライコードからタイヤ内
周面までのゴムゲージGB 以上とし、カーカスプライコ
ード被覆ゴムのtanδTP とミディアムライナゴムt
anδTM とインナーライナゴムのtanδTI とをT
I >TM >TP とし、カーカスプライコード被覆ゴムの
全硫黄量S P とミディアムライナゴムの全硫黄量SM
インナーライナゴムの全硫黄量SIとをSP ≧SM >SI
≧0.5mass%、かつミディアムライナゴムの全硫黄
量S M を1.0〜3.0mass%の範囲内とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りラジア
ルタイヤ、特に重荷重の負荷の下で荒れ地などの非舗装
悪路を走行する、例えば建設車両用又はトラック用など
の大型、超大型サイズの空気入りラジアルタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種の大型、超大型サイズの空気入り
ラジアルタイヤは、未加硫タイヤを金型と高内圧充てん
ブラダとにより加硫成型する際に、特にトレッド部の両
端部、すなわちショルダ部に、主にスチールコード層に
よるベルトの端部が位置するため、ショルダ部のカーカ
スプライコードがタイヤ内部に張出す結果、コード間ゴ
ムがタイヤ外側に向かって入り込む、現象が生じ易い。
【0003】この現象を回避するため、特にショルダ部
およびその近傍において、最内側カーカスプライとイン
ナーライナゴムとの間にシート状のミディアムライナゴ
ムを適用することが良く知られている。このミディアム
ライナゴムは上記の現象を回避するのに有効であり、特
にカーカスプライコードにスチールコードを使用する場
合は、特にスチールコードの被覆ゴムからの硫黄の移行
を防止し、カーカスプライのスチールコードとその被覆
ゴムとの接着を十分に確保するため、硫黄の含有率の高
い配合としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、重荷重の負
荷の下で悪路を走行する空気入りラジアルタイヤは、突
起状異物を乗り越したり、激しい凹凸路面を走行するた
め、過大なひずみ入力を受ける。ここで、タイヤが突起
状異物を乗り越すときの周方向に沿うカーカスプライの
歪みを測定したところ、タイヤへの内圧充てんによりベ
ルトのスチールコード層がもたらす「たが効果」(周方
向剛性)が低下するか、又は殆ど「たが効果」が作用し
ていないショルダ部位置で引張ひずみが最大となり、ト
レッドゴムの摩耗が進むにつれて、このショルダ部の引
張歪みはさらに増大することが判明した。
【0005】また、空気入りラジアルタイヤといえども
サイズが大型、超大型となると、走行に伴い最も肉厚の
ショルダ部の発熱が激しくなり、その結果、空気不透過
性のインナーライナゴムを使用しているチューブレスタ
イヤであっても、タイヤ内部の高圧充てん空気が僅かな
がらも透過する結果、高硫黄配合のミディアムライナゴ
ムは、少なくともショルダ部において高温度下での熱酸
化劣化を生じる。なぜなら、ショルダ部位置では製造上
の制約からインナーライナゴムゲージが他の部位に比し
より薄くなるからである。そして、この熱酸化劣化はカ
ーカスプライコードの被覆ゴムにも及ぶ。
【0006】ミディアムライナゴムもカーカスプライコ
ードの被覆ゴムも共に高硬度であるから、高熱を受けな
い状態でも元来大きな周方向引張ひずみに対し追随し難
い性質を有している上に、上記の熱酸化劣化によりさら
に一層伸び特性が低下する。その結果、タイヤの荷重負
荷転動中に突起による入力が作用すると、ショルダ部の
カーカスプライコード近傍のミディアムライナゴムに該
コードに沿う亀裂が生じ、この亀裂が漸次インナーライ
ナゴムへと進展し、ときにカーカスプライコードとその
被覆ゴムとの問のセパレーション故障をまねき、タイヤ
バースト故障を引き起こす。
【0007】従って、この発明は、ミディアムライナゴ
ムの使用を前提とした上で、ショルダ部におけるミディ
アムライナゴムの亀裂発生を抑制し、カーカスプライコ
ードとその被覆ゴムとの間のセパレーション故障の発生
を回避してタイヤバースト故障を狙止し得る、空気入り
ラジアルタイヤについて提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
一対のビ−ドコア間にてラジアル方向に延びるゴム被覆
コードによるプライの少なくとも1枚からなるカ−カ
ス、このカーカスのクラウン部の径方向外側に配した3
層以上のベルト、およびこのベルトの径方向外側に配し
たトレッド部を備え、最内側カーカスプライのタイヤ内
側の面に隣接して、ミディアムライナゴムおよびインナ
ーライナゴムをタイヤの内側へ順に積層配置した空気入
りラジアルタイヤにおいて、ベルトのカーカス側で隣接
する少なくとも2層は、互いに幅が異なる、タイヤ赤道
面に対して傾斜配列したスチールコード層からなり、タ
イヤの幅方向断面において、最内側カーカスプライの外
表面上の法線のうち、上記スチールコード層の最小幅端
を通る法線を第1の法線、同様にスチールコード層の最
大幅端を通る法線を第2の法線および、最内側カーカス
プライの外表面上にて、第1の法線と第2の法線との間
隔と同じ間隔を第2の法線からタイヤ半径方向内方に隔
てる点における法線を第3の法線としたとき、第1の法
線から少なくとも第3の法線までにわたる領域Aにおけ
る、カーカスプライコードの最内側位置からタイヤ内周
面までの距離で定義されるゴムゲージGA と、第1の法
線からタイヤ赤道面までにわたる間の領域Bの上記と同
じ定義のゴムゲージGBとが、GA ≧GB の関係を満足
し、カーカスプライのコード被覆ゴムの25℃における
tanδをTP 、ミディアムライナゴムの同tanδを
M 、インナーライナゴムの同tanδをTI としたと
き、TI >TM >TP の関係を満足し、さらに、カーカ
スプライのコード被覆ゴムの硫黄濃度をSP 、ミディア
ムライナゴムの硫黄濃度をSM および、インナーライナ
ゴムの硫黄濃度SI としたとき、SP ≧SM >SI
0.5mass%の関係を満足し、かつミディアムライナゴ
ムの硫黄濃度SM が1.0〜3.0mass%の範囲内にあ
ることを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0009】ここに、上記tanδは、25℃、周波数
50Hz、歪み2%の条件にて、東洋精機(株)製の測
定機による測定値を用いて、またゴムの硫黄濃度(mass
%)は、JIS K 6350(1976)の「ゴム製
品分析方法」のうち第6,7項の全硫黄量の定量に記載
された方法に従って、それぞれ求めるものである。。
【0010】また、実施に当り、最内側カーカスプライ
外表面上のタイヤの最大幅位置に対応する点における法
線を第4の法線としたとき、第1の法線から第4の法線
までの領域を領域Aとすることが有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の一
例を図1及び図2に基づき説明する。図1は、建設車両
用空気入りラジアルタイヤの回転軸心を含む平面におけ
るタイヤ赤道面を境としたタイヤ半部の断面図であり、
図2は、図1のII−II線に沿う断面図であり、図3は図
1のIII −III 線に治う断面図である。
【0012】図1において、建投車両用空気入りラジア
ルタイヤ1(以下タイヤという)は、一対のビード部2
(片側のみ示す)、一対のサイドウォール部3(片側の
み示す)及びトレッド部4からなり、これら各部2〜4
をビード部2内に埋設したビードコア5相互問に張り渡
したカーカス6により補強し、カーカス6の外周に配置
したベルト7によりトレッド部4を強化する。
【0013】カーカス6は、ラジアル配列コードのゴム
被覆プライの少なくとも1枚、図示列で1枚のプライか
らなり、この場合はラジアル配列スチールコードのゴム
被覆プライが好適である。このカーカス6は、ビードコ
ア5の周りをタイヤ内側から外側に向け巻上げた折返し
部を有し、この折返し部はその巻上げ終端をカーカス6
の最大幅近傍に位置させるハイターンアップである。
【0014】ベルト7は、3層以上、図示例はカーカス
6側の3層7−1〜7−3が、タイヤの赤道面Oに対し
て傾斜配列したスチールコード層を隣接層間でスチール
コードが交差する配置として成り、さらに最外側の1層
の保護スチールコード層7−4との合計4層のスチール
コード層を有する。ここに、スチールコード層7−1〜
7−3の各層のスチールコードは非伸長性の特性を有
し、一方最外側の保護層7−4には伸びの大きな、いわ
ゆるハイエロンゲーションスチールコードを適用するこ
とが好ましい。さらに、図示例では、ベルト7の端部と
カーカス6との間に断面がほぼ三角形状をなすクッショ
ンゴム8を配置する。
【0015】また、図2および3に示すように、カーカ
ス6のタイヤの内側の面に隣接してミディアムライナゴ
ム9を加硫接合し、さらにこのミディアムライナゴム9
の内面に隣接してインナーライナゴム10を加硫接合し
て、タイヤ内面複合ゴム層を形成する。なお、カーカス
6のプライのスチールコード6c(以下コード6cと示
す)は、図2および3において斜線を付して示してあ
る。
【0016】図1には、JATMA YEAR BOO
K(1997年版)に記載されたサイズであれば、この
YEAR BOOKに、記載されていないサイズであれ
ばTTA YEAR BOOK(1997年版)に従う
適用リムRに組付け、これに最大負荷能力に対応する空
気圧を充てんした状態のタイヤを示し、図1から明らか
なように、チューブレスタイプであるから、インナーラ
イナゴム10には、ゴム成分が空気不透過性に優れるイ
ソプレン−イソブチレン共重合体ゴム(ブチルゴム)又
はブチルゴムをハロゲン化した臭素化ブチルゴムや塩素
化ブチルゴムの単独になるもの、またはこれらのゴムと
天然ゴムなどのジエン系ポリマとのブレンドになるもの
を適用する。一方、ミディアムライナゴム9には、ゴム
成分がジエン系ポリマーとブチル系ゴムとのブレンドに
なるものを適用可能であり、中でもジエン系ポリマーの
単独になるものが好適である。従って、ミディアムライ
ナゴム9とインナーライナゴム10とは配合組成が大き
く異なる。
【0017】また、カーカス6のプライコード6cの被
覆ゴム6gにはゴム成分がジエン系ポリマーになるもの
を適用する。ここで、カーカス6のプライコード6cの
被覆ゴム6g、ミディアムライナゴム9及びインナーラ
イナゴム10の三者間で以下に述べる関係を満たすこと
が肝要である。
【0018】まず、上記したtanδに関し、カーカス
6のプライコード6cの被覆ゴム6gのtanδをT
P 、ミディアムライナゴム9のtanδをTM 、そして
インナーライナゴム10のtanδをTI としたとき、
I >TM >TP の関係を満足する必要がある。
【0019】また、JIS K 6350(1978)
に従い測定した硫黄濃度(全硫黄量、mass%)に関し、
カーカス6のプライコード6cの被覆ゴム6gの硫黄濃
度S P 、ミディアムライナゴム9の硫黄濃度SM 、イン
ナーライナゴム10の硫黄濃度SI の間にて、SP ≧S
M >SI ≧0.5mass%の関係を満たし、かつSM
1.0〜3.0mass%、望ましくは2.0〜2.6mass
%とする。
【0020】さて、ベルト7のカーカス6側のスチール
コード層7−1〜7−3はそれぞれ異なる幅を有し、図
示例ではコード層7−1〜7−3のうち、最もカーカス
6側のスチールコード層7−1が最小幅を有し、その外
側のスチールコード層7−2が最大幅を有し、残るスチ
ールコード層7−3は最小幅と最大幅との間の幅を有す
る。
【0021】ここに、タイヤの幅方向断面において、カ
ーカス6のプライ外表面上の法線のうち、最小幅を有す
るスチールコード層7−1の幅端を通る法線を第1の法
線N 1 、同様に最大幅を有するスチールコード層7−2
の幅端を通る法線を第2の法線N2 および、カーカス6
のプライ外表面上にて、第1の法線N1 と第2の法線N
2 との間隔dと同じ間隔dを第2の法線N2 からタイヤ
半径方向内方に隔てる点における法線を第3の法線N3
としたとき、第1の法線N1 から少なくとも第3の法線
3 までにわたる領域を領域A、そして第1の法線N1
からタイヤ赤道面Oまでにわたる間の領域を領域Bと定
める。望ましくは、第1の法線N1 から、カーカス6の
最内側プライ(ここでは1プライ)のタイヤ最大幅に対
応する位置Pにおけるプライ外表面上の第4の法線N4
までにわたる領域を領域A{図1では(A)として区別
して示す}とする。
【0022】そして、先に述べたカーカス6のプライコ
ード6cの被覆ゴム6g、ミディアムライナゴム9及び
インナーライナゴム10の相互関係と、ミディアムライ
ナゴム9の硫黄濃度SM 範囲との下で、図2に示す、領
域Aにおける、カーカス6のプライコード6cの最内側
位置からミディアムライナゴム9を経てインナーライナ
ゴム10のタイヤ内周面Isまでの距離で定義されるゴ
ムゲージGA (mm)と、図3に示す、領域Bにおけ
る、カーカス6のプライコード6cの最内側位置からイ
ンナーライナゴム10のタイヤ内面Isまで距離で同様
に定義されるゴムゲージGB (mm)とが、GA ≧GB
の関係を満足することが肝要である。ただし、GA =G
B の関係は領域Aと領域Bとの境、図1では第1の法線
1 上においてのみ成立するものとし、法線N1 から法
線N2 に向かいゴムゲージGA (mm)は漸増する。
【0023】上記の両領域の境におけるゴムゲージを除
き、領域AにおけるゴムゲージGAを領域Bにおけるゴ
ムゲージGB に比し、より厚くすることにより、空気圧
を充てんしたタイヤのカーカス6のプライコ−ド6c近
傍のミディアムライナゴム9まで到達する、タイヤ内部
の高圧空気中の酸素分子の透過量をより一層少なくする
ことができる。その結果、プライコード6c近傍の熱酸
化劣化の度合いは大幅に低減し、かつ凹凸路面を荷重負
荷の下で転動するタイヤのスタビリティ性能が向上する
ため、タイヤ変形の度合いが低減される結果、ショルダ
部の周方向引張ひずみを減少させることができる。
【0024】なお、ゴムゲージGA 内に含まれるカーカ
ス6のプライコ−ド6cの被覆ゴム6g、ミディアムラ
イナゴム9、インナーライナゴム10それぞれのゲージ
に対する規定は特に必要なく、製造上の経済性と製品タ
イヤの耐久性とを考慮して各ゴム材のゲージを設定すれ
ばよい。例えば、ゴムゲージGA におけるインナーライ
ナゴム10のゲージ配分比率を高めれば、酸素分子の透
過量をより一層抑制し得る反面、製造コストが上昇する
不利を有し、一方ゴムゲージGA におけるミディアムラ
イナゴム9のゲージ配分比率を高めることは、スタビリ
ティ性能の向上並びにショルダ部の周方向引張ひずみ低
減に有効であるが、製造上の制約によりインナーライナ
ゴム10のゲージがより一層薄くなり、酸素分子の透過
量抑制効果が低下する不利を有する。
【0025】また、カーカス6のプライコード8cの被
覆ゴム6gの硫黄濃度SP とミディアムライナゴム9の
硫黄濃度SM との間で、SP ≧SM の関係を満たすこと
により、かつミディアムライナゴム9の硫黄濃度SM
1.0〜3.0mass%、望ましくは2.0〜2.6mass
%とすることにより、プライコード6cの被覆ゴム6g
の硫黄のミディアムライナゴム9への移行を最小限度に
抑え、十分な被覆ゴム6gの硫黄量によりプライコード
6cと被覆ゴム6gとの間の優れた接着性を確保するこ
とができ、しかもメディナムライナゴム9の弾性率を高
め、上記したスタビリティ性能の向上によるショルダ部
の周方向引張ひずみ低減を保証することができる。
【0026】ここに、SM <1.0mass%では、プライ
コード6cの被覆ゴム6gの硫黄がミディアムライナゴ
ム9に多量に移行し、プライコード6cと被覆ゴム6g
との間に十分な接着が確保できず、必要な接着力を得る
ことができず、一方、SM >3.0mass%では、上記接
着力の確保は十分であるが、多少なりとも透過してくる
酸素分子による熱酸化劣化の度合いが高まる結果、引張
ひずみに十分対応するのに必要な伸びが得られず、耐亀
裂性が低下して、タイヤの転動中や突起乗り越し時、あ
るいは激しい凹凸路面走行時の入力に伴う引張ひずみに
追随できず、クラックが発生し易くなる。
【0027】さらに、ミディアムライナゴム9の硫黄濃
度SM を1.0〜3.0mass%とした上で、この硫黄濃
度SM とインナーライナゴム10の硫黄濃度SI との間
で、SM >SI ≧0.5mass%とすることにより、未加
硫タイヤの加硫成型時に、ミディアムライナゴム9とイ
ンナーライナゴム10との加硫速度バランスを確保する
ことができ、さらにインナーライナゴム10の十分な網
目形成を可能とする。
【0028】すなわち、SM ≦SI では、未加硫タイヤ
の加硫成型時に、両ゴム部材の境界面を経てインナーラ
イナゴム10からミディアムライナゴム9へ向かって硫
黄が移行し、加硫成型時におけるインナーライナゴム1
0に十分な網目形成ができないため、必要なゴム物性を
得ることができない上、それぞれのゴム9、10の加硫
速度バランスが崩れて製品タイヤとなったときに両ゴム
9、10相互間の耐剥離性が低下する。
【0029】また、SP <SM では、プライコード6c
と被覆ゴム6gとの間の接着を良好に保持するために比
較的多量の硫黄配合が必要な被覆ゴム6gよりミディア
ムライナゴム9の硫黄配合量を多くすることになり、プ
ライコ−ド6cと直接接触しないミディアムライナゴム
9に過度に多量の硫黄を配合する必要は一切なく、却っ
てこのゴム9の熱酸化劣化を促進することになり、耐ク
ラック性及び経済性の点で不可である。
【0030】さらに、被覆ゴム6g、ミディアムライナ
ゴム9及びインナーライナゴム10それぞれのtanδ
P 、TM 及びTI につき、TI >TM >Tp とするこ
とにより、プライコード6c周りの被覆ゴム6g中に生
じたクラックがミディアムライナゴム9に進展し難く
し、仮にミディアムライナゴム9にクラックが生じても
インナーライナゴム10にクラックが進展し難くするこ
とが可能となる。なぜなら、tanδの値が大きいほど
ヒステリシスロスの値が大きくなるため、クラック先端
の応力集中の緩和能力が高く、故にクラック進展阻止能
力が高いからである。
【0031】従って、TM ≦TP では、プライコード6
c周りの被覆ゴム6g中に生じたクラックがミディアム
ライナゴム9に進展し易く、TI ≦TM でも同様にクラ
ックがインナーライナゴム10に進展し易くなる上、ミ
ディアムライナゴム9のタイヤ走行中における発熱量が
増大して、該ゴム9の熱酸化劣化度合いが高まり、クラ
ック発生を早めるため、いずれも避ける必要がある。
【0032】以上述べたところは要するに、(i)領域
AにおけるゴムゲージGA を領域Bにおけるゴムゲージ
B に比しより厚くすることにより、ショルダ部のカー
カス6のプライの周方向に沿う引張ひずみを減少させる
と共にプライコード6c近傍の熱酸化劣化の度合いを大
幅に低減し、(ii)硫黄濃度SM を1.0〜3.0mass
%、望ましくは2.0〜2.6mass%とした上で、硫黄
濃度SP と硫黄濃度SM との間で、SP ≧SM の関係を
満たすことにより、プライコード6cの被覆ゴム6gに
対する優れた接着性を確保し、しかもミディアムライナ
ゴム9の弾性率を高め、ショルダ部の周方向引張ひずみ
低減に寄与させ、(iii )硫黄濃度SM を1.0〜3.
0mass%、望ましくは2.0〜2.6mass%とした上
で、硫黄濃度SM と硫黄濃度SI との間で、SM >SI
≧0. 5を満たすことにより、ミディアムライナゴム9
とインナーライナゴム10との適正な加硫速度バランス
を確保し、インナーライナゴム10の十分な網目形成を
可能として必要なゴム物性を付与させ、(iv)tanδ
P 、TM 、TI につき、TI >TM >Tp とすること
により、プライコ−ド6c周りの被覆ゴム6g中に生じ
たクラックの進展を抑制させ、(i)〜(iv)を総合し
て、タイヤ1のショルダ部におけるカーカス6とその近
傍ゴムの耐クラック性が顕著に向上し、これによりセパ
レーションからタイヤバーストに至る故障発生を阻止す
る効果を発揮させることができる。
【0033】
【実施例】荒れ地を走行する建設車両用1種の空気入り
ラジアルタイヤで、サイズが18.00T33 ☆☆
(ツースター)であり、構成は図1〜図3に従い、カー
カス6はラジアル配列の非伸長性スチールコードのゴム
6g被覆プライの1枚になり、ベルト7はカーカス6側
に3層のゴム被覆スチールコードの交差層と、最外側1
層のゴム被覆ハイエロンゲーションスチールコード層と
を有する。
【0034】カーカス6のプライと製品タイヤでのイン
ナーライナゴム10のゲージは、少なくとも一対のサイ
ドウォール部相互間の領域で約2mmとし、(i)カー
カス6のプライコード6cの被覆ゴム6gは、硫黄濃度
P が3.0mass%、tanδTP が指数で100(基
準)であり、(ii)インナーライナゴム10は、硫黄濃
度SI が0.6mass%、TI が指数で上記被覆ゴム6g
の指数100に対し238である。
【0035】上記の構成を共通として、発明例1〜3お
よび比較例1〜5の8種類のタイヤを製造した。各タイ
ヤのゴムゲージGA (mm)、GB (mm)と、ミディ
アムライナゴム9の硫黄濃度SM (mass%)と、tan
δTM (指数)とを表1に示す。
【0036】上記8種のタイヤを供試タイヤとして、外
径5mのドラムによるショルダ部のクラックからセパレ
ーション故障発生までの耐久性比較試験を下記の条件に
て実施した。 (a)充てん空気圧:686.5kPa(JATMA
YEAT BOOKの最大負荷能力に対応する空気圧) (b)負荷荷重:106892.5N(JATMA Y
EAT BOOKの最大負荷能力に相当する荷重) (c)ドラム表面周速度:20km/h なお、評価はセパレーション故障が発生するまでの走行
時間の長短によった。この走行時間は比較例2のタイヤ
を100とする指数表示にて表1の下欄に示す。この値
は大きいほど良い結果を示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示す結果から実施例1〜3のタイヤ
は比較例1〜5のいずれよりもショルダ部の耐セパレー
ション性が大幅に向上していることがわかる。
【0039】
【発明の効果】この発明によれば、タイヤのショルダ部
における耐クラック性と耐セパレーション性との耐久性
を大幅に向上させることができる空気入りラジアルタイ
ヤ、特に荒れ地などの悪路を走行するトラック用又は大
型、超大型サイズの建設車両用の空気入りラジアルタイ
ヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従うタイヤの断面図である。
【図2】 図1に示すII−II線に沿う断面図である。
【図3】 図1に示すIII −III 線に沿う断面図であ
る。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ 2 ビード部 3 サイドウォール部 4 トレッド部 5 ビードコア 6 カーカス 6c プライコード 6g プライコード被覆ゴム 7 ベルト 7−1、7−2、7−3 非伸長性スチールコード層 7−4 保護スチールコード層 8 クッションゴム 9 ミディアムライナゴム 10 インナーライナゴム 11 トレッドゴム N1 、N2 、N3 、N4 法線 A、B 領域 d 法線N1 、N2 の相互間隔 GA 領域Aのプライコードからタイヤ内周面までのゲ
ージ GB 領域Bのプライコードからタイヤ内周面までのゲ
ージ P 最内側プライの最大幅位置 IS タイヤ内面 O タイヤ赤道面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60C 9/08 B60C 9/08 M

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビ−ドコア間にてラジアル方向に
    延びるゴム被覆コードによるプライの少なくとも1枚か
    らなるカ−カス、このカーカスのクラウン部の径方向外
    側に配した3層以上のベルト、およびこのベルトの径方
    向外側に配したトレッド部を備え、最内側カーカスプラ
    イのタイヤ内側の面に隣接して、ミディアムライナゴム
    およびインナーライナゴムをタイヤの内側へ順に積層配
    置した空気入りラジアルタイヤにおいて、 ベルトのカーカス側で隣接する少なくとも2層は、互い
    に幅が異なる、タイヤ赤道面に対して傾斜配列したスチ
    ールコード層からなり、 タイヤの幅方向断面において、最内側カーカスプライの
    外表面上の法線のうち、上記スチールコード層の最小幅
    端を通る法線を第1の法線、同様にスチールコード層の
    最大幅端を通る法線を第2の法線および、最内側カーカ
    スプライの外表面上にて、第1の法線と第2の法線との
    間隔と同じ間隔を第2の法線からタイヤ半径方向内方に
    隔てる点における法線を第3の法線としたとき、第1の
    法線から少なくとも第3の法線までにわたる領域Aにお
    ける、カーカスプライコードの最内側位置からタイヤ内
    周面までの距離で定義されるゴムゲージGA と、第1の
    法線からタイヤ赤道面までにわたる間の領域Bの上記と
    同じ定義のゴムゲージGBとが、GA ≧GB の関係を満
    足し、 カーカスプライのコード被覆ゴムの25℃におけるta
    nδをTP 、ミディアムライナゴムの同tanδをT
    M 、インナーライナゴムの同tanδをTI としたと
    き、TI >TM >TP の関係を満足し、 さらに、カーカスプライのコード被覆ゴムの硫黄濃度を
    P 、ミディアムライナゴムの硫黄濃度をSM および、
    インナーライナゴムの硫黄濃度SI としたとき、SP
    M >SI ≧0.5mass%の関係を満足し、かつミディ
    アムライナゴムの硫黄濃度SM が1.0〜3.0mass%
    の範囲内にあることを特徴とする空気入りラジアルタイ
    ヤ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、最内側カーカスプラ
    イ外表面上のタイヤの最大幅位置に対応する点における
    法線を第4の法線としたとき、第1の法線から第4の法
    線までの領域を領域Aとすることを特徴とする空気入り
    ラジアルタイヤ。
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