JP2010114189A - 配線基板、プリント配線板の製造方法 - Google Patents

配線基板、プリント配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配置設計に係る制約や基板作製でのプロセス工数を抑え、電磁気的な伝送特性を犠牲にすることなく信号を伝送することが可能な配線基板を提供する。
【解決手段】複数の信号線11と、信号線11間の伝送方向に形成された導電体からなるガードトレース12と、一方の面14a上に、複数の信号線11とガードトレース12とを積層する誘電体14と、誘電体14を挟んで、複数の信号線11と対向する位置に配置されたグラウンド層13と、膜厚が下記式を満たすように、複数の信号線11とガードトレース12とを被覆する絶縁性のカバーレイ15とを備える。
(ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2
t1はカバーレイの膜厚であり、t2は誘電体の膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2は誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えばプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)やFFC(Flexible Flat Cable)等の柔軟性ケーブルとして適用される配線基板、及び、プリント配線板の製造方法に関する。
近年の電子機器に実装される各モジュール間を接続するには、平型柔軟ケーブルであるFPCなどが使用されている。このような柔軟ケーブルとして適用される配線基板は、伝送信号の高速化が進むにつれて特性インピーダンスの整合、高速高周波特性の向上や不要輻射の低減などの機能が要求されてきている。また、配線基板は、ストリップライン、マイクロストリップラインの構成をとることとなり、信号線の増大と相まって、多層基板化が進展している。
例えば、高速高周波特性の向上や不要輻射の低減を実現するため、特許文献1には、複数の高速伝送路を配列するベースの共用平面上に各高速伝送路を挟むガードトレースを形成し、更に、スルーホールを介してガードトレースと接続される第1及び第2グラウンド層が複数の高速伝送路で覆うことによって、各高速伝送路を立体的にシールドしたプリント基板が記載されている。
特開2007―234500号公報
ガードトレースを設けたマイクロストリップライン構造の配線基板では、ガードトレースとグラウンド層の電位差によって、各信号線の伝送モードが干渉されるのを避けるため、通常、スルーホールに形成したメッキ金属、導電性ペースト等で両者を接続する。このスルーホールは、伝送される信号の波長に対し十分小さい間隔で設けることになるが、例えばGHz帯で信号伝送を行う場合、信号線の伝送方向に沿ってガードトレースに多くのスルーホールを形成する必要があり、配線の配置設計が制約され、基板作製でのプロセス工数が増えてしまった。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、配置設計に係る制約や基板作製でのプロセス工数を抑え、電磁気的な伝送特性を犠牲にすることなく信号を伝送することが可能な配線基板、及び、プリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段として、本発明に係る配線基板は、信号を伝送する複数の信号線と、信号線間の上記伝送方向に形成された導電体からなり、信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースと、一方の面上に、複数の信号線とガードトレースとを積層する誘電体と、誘電体を挟んで、複数の信号線と対向する位置に配置され、複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層と、膜厚が下記式を満たすように、誘電体の面上に積層された上記複数の信号線とガードトレースとを被覆する絶縁性のカバーレイとを備える。
(ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2
t1はカバーレイの膜厚であり、t2は誘電体の膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2は誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
また、本発明に係る配線基板は、一対の伝送路により信号を差動伝送する複数の信号線と、信号線間の伝送方向に形成された導電体からなり、信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースと、一方の面上に、複数の信号線とガードトレースとを積層する誘電体と、誘電体を挟んで、複数の信号線と対向する位置に配置され、複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層と、膜厚が下記式を満たすように、誘電体の面上に積層された上記複数の信号線とガードトレースとを被覆する絶縁性のカバーレイとを備える。
(ε2/ε1)×t2<t1<(ε2/ε1)×t2×3
t1はカバーレイの膜厚であり、t2は誘電体の膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2は誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、ベースフィルムの一方の面上に、信号を伝送する複数の信号線を形成するとともに、信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースを、信号線間の伝送方向に形成するステップと、ベースフィルムの他方の面上に、複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層を形成するステップと、膜厚が下記式を満たす絶縁性のカバーレイにより、ベースフィルムの面上に形成された複数の信号線とガードトレースとを被覆するステップとを有する。
(ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2
t1はカバーレイの膜厚であり、t2はベースフィルムの膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2はベースフィルムの誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、ベースフィルムの一方の面上に、一対の伝送路により信号を差動伝送する複数の信号線を形成するとともに、信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースを、信号線間の伝送方向に形成するステップと、ベースフィルムの他方の面上に、複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層を形成するステップと、膜厚が下記式を満たす絶縁性のカバーレイにより、ベースフィルムの面上に形成された複数の信号線とガードトレースとを被覆するステップとを有する。
(ε2/ε1)×t2<t1<(ε2/ε1)×t2×3
t1はカバーレイの膜厚であり、t2はベースフィルムの膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2はベースフィルムの誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
本発明は、信号線周囲の誘電率が均一化するように、カバーレイの膜厚と、誘電体の膜厚と、これらの誘電率を調整することによって、ガードトレースとグラウンド層と接続をするスルーホールを設けることがないので配置設計に係る制約や基板作製でのプロセス工数を抑え、電磁気的な伝送特性を犠牲にすることなく信号を伝送することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明は、例えばプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)やFFC(Flexible Flat Cable)等の柔軟性ケーブルとして適用される配線基板に関する。
まず、本発明が適用された配線基板に係る構成の説明に先立ち、従来から用いられているガードトレースを設けたマイクロストリップライン構造の配線基板について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、従来から用いられているマイクロストリップライン構造の配線基板100の断面図である。この配線基板100では誘電体104を挟んで信号線101とグラウンド層103が対向し、主にこの間で電磁波の伝送が行われる。通常、信号線101を保護するためにカバーレイ105がオーバーコートされている。
図2は、マイクロストリップライン構造の配線基板110の信号線111の両側にガードトレース112を併設した構造の伝送線路断面図である。配線基板110では、ガードトレース112を設けることで配線基板100に比べて、隣接する信号線111、111間のクロストークの軽減や放射電磁界抑制等の効果があり高速伝送路用途で多用されている。
配線基板110では、ガードトレース112とグラウンド層113の電位差によって、各信号線111の伝送モードが干渉されるのを避けるため、通常、スルーホール116に形成したメッキ金属、導電性ペースト等で両者を接続する。このスルーホール116は、伝送される信号の波長に対し十分小さい間隔で設けている。
図3は、配線基板110と等価な3次元電磁界シミュレーターの解析モデル120を用いて、信号線121とガードトレース122とグラウンド層123とからなる伝送路断面での電界分布を解析した解析結果である。図3に示すように、信号線121の近傍の領域A1ほど電界強度が高く、領域A2、A3、A4、A5、A6に従って、信号線121から遠くになるのに伴って電界強度が小さくなる。
図3に示した解析結果から明らかなように、解析モデル120と等価な、図2に示す配線基板110では、電界が信号線111とグラウンド層113との間の誘電体114内に強く分布しているが、カバーレイ115やその上の空間にも広く分布している。このような電界の分布により、信号線111に対してリターンパスとなる金属がグラウンド層113、ガードトレース112と2系統あり、信号線111とそれぞれのリターンパス間での伝送が加え合わされることになる。この時、上記2系統での実効誘電率が異なっていると、実効的な伝送速度が異なり各信号線111の伝送モード間で干渉が起こり、信号線111とグラウンド層113との間を透過する電界強度の周波数特性に周期的な乱れが生じる。この周期的な乱れは、電磁放射を増加させる原因になる。このような各信号線111の伝送モード間の干渉を抑制するため、配線基板110は、一定間隔でスルーホール116を介してグラウンド層113とガードトレース112間を電気的に接続して、グラウンド層113とガードトレース112間の電位を等しくしている。
これに対して、本発明が適用された配線基板は、スルーホールを介して電気的な接合を行うことなく、上記した2系統での実効誘電率を略同一にして、各信号線の伝送モード間での干渉を抑えるため、具体的には次のような構成からなる。
<第1の実施形態>
図4は、本発明が適用された第1の実施形態に係る配線基板1を示す図である。すなわち、配線基板1は、図4に示すように、信号を伝送する複数の信号線11と、信号線11間の伝送方向に形成された導電体からなるガードトレース12とを備える。また、配線基板1は、一方の面14a上に、信号線11とガードトレース12とを積層する誘電体14と、誘電体14を挟んで、信号線11と対向する位置に配置されたグラウンド層13と、誘電体14の面14a上に積層された信号線11とガードトレース12とを被覆する絶縁性のカバーレイ15とを備える。
また、配線基板1では、スルーホールを設けることなく信号線11周囲の誘電率を均一化するため、下記の(1)式を満たすように、カバーレイ15と、誘電体14が調整されて形成されている。
(ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2 ・・・(1)
ここで、t1はカバーレイ15の膜厚であり、t2は誘電体14の膜厚であり、ε1はカバーレイ15の誘電率であり、ε2は誘電体14の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
誘電体14は、伝送特性の面から誘電率、誘電正接の小さいものが好ましく、例えばフィルム形状のポリイミド、液晶ポリマーなどが用いられる。
これに対して、カバーレイ15は、信号線11等を保護するために用いられる絶縁性の物質で伝送特性の面からは誘電正接の小さなものが好ましく、フィルム状、硬化性のインク、ソルダレジスタ、感光性ソルダレジスタが用いられる。また、一般にカバーレイに使われる材料は誘電損失が大きいため、伝送線路の損失を抑えるためにはできるだけ薄いものを用いた方が良い。また柔軟性を阻害しないという観点からも薄いほうが良い。上記(1)式に従って調整されるカバーレイの膜厚の上限はこれらの影響も考慮して設定される。
上記(1)式を満たすように誘電体14とカバーレイ15とを調整すればよいが、配線基板1では、ε2−ε1≦0.3の条件に従って、通常誘電体14の誘電率に対してカバーレイ15の誘電率が高いものとする。この場合、配線基板1では、上記(1)式に従って形成されることで、カバーレイ15の膜厚が、誘電体14の膜厚に比べて薄くなるように調整される。
以上のような構成からなる配線基板1は、例えば次のような工程に従って形成される。まず、誘電体14として用いるベースフィルムの両面に銅箔などの良導体が被覆された基板の一方の銅箔面をエッチング処理して、信号線11、及び、ガードトレース12を形成する。続いて、上記(1)式に従った所定の膜厚のカバーレイ15を信号線11の形成された側のベースフィルム(誘電体14)に貼り付け熱圧着する。
なお、上述したエッチング処理に限定されず、銅などの良導体を用いたパターンニング処理により、ベースフィルムの一方の面上に信号線11とガードトレース12とを形成し、他方の面にグラウンド層13を形成するようにしても良い。
このようにして、配線基板1は、その層構造が上述した図2に示す配線基板110とほぼ同じであるが、ガードトレース12とグラウンド層13間を電気的に接続するスルーホールを設けていないので、配線設計の自由度の向上と、プロセス工程の省略を図ることができる。
次に、3次元電磁界シミュレーターを用いて配線基板1の伝送特性について解析する。本シミュレーションにおいては、信号線11の幅と膜厚をそれぞれ42μm、10μm、信号線11、11のピッチ間隔を500μmとしている。また、ガードトレース12は信号線11の間に60μmの間隔をとって併設されるものとしている。また、誘電体24の誘電率と膜厚はそれぞれ3.2、25μmとしている。また、解析モデルにおいて、配線基板1の長さは20mmとしている。
図5はカバーレイ15の誘電率を5として、カバーレイ15の膜厚を15μm、25μm、37μmと変えた場合の透過特性S21を示す図である。ここで、「S21」とは、多開口回路の特性の表現に用いられるSマトリックスを用いて表した透過係数で入力に対する出力の割合を意味するものであり、対数表示している。
カバーレイ15の膜厚を15μmにしたときは、上記(1)式を満たさないが、カバーレイ15の膜厚を25μm、37μmにしたときは、上記(1)式の条件を満たしている。ここで、図5においては、各透過特性の比較を容易にするために特性曲線を縦方向に1dBずらして図示している。図5に示すように、カバーレイ15の厚みが15μmでは特定の周波数で透過特性に乱れが生じているが、カバーレイ15の厚みが25μmではこのような透過特性の乱れが生じなく、(1)式の上限に近い37μmでも乱れが少なくなっている。特にカバーレイ15の膜厚が25μmの場合、伝送線路の実効誘電率は3.3となるから、誘電体14の誘電率3.2とほぼ同じ大きさになっており、信号線11周囲の誘電率の均一化が図られ、スルーホールを設けることなく通信特性を維持することができる。
また、上述した配線基板1は、誘電体14の誘電率に対してカバーレイ15の誘電率が高いものとしたが、誘電体の誘電率に対してカバーレイの誘電率が低い場合、上記(1)式に従って誘電率の均一化を図ることが、上記のε2−ε1≦0.3の条件から困難となる。
図6は、配線基板1の変形例として、誘電体の誘電率に対してカバーレイの誘電率が低い条件下で形成された配線基板2の構成を示す図である。配線基板2は、配線基板1と同様に、複数の信号線21と、ガードトレース22と、誘電体24と、グラウンド層23と、カバーレイ25とを備える。配線基板2は、誘電体24の誘電率に対してカバーレイ25の誘電率が低いため、上記(1)式に従って形成されることで、カバーレイ25の膜厚が、誘電体24の膜厚に比べて厚くなるように調整される。
次に、3次元電磁界シミュレーターを用いて配線基板2の伝送特性について解析する。本シミュレーションにおいては、信号線21の幅と膜厚をそれぞれ42μm、10μm、信号線21、21のピッチ間隔を500μmとしている。また、ガードトレース22は信号線21の間に60μmの間隔をとって併設されるものとしている。また、誘電体24の誘電率と膜厚はそれぞれ3.2、25μmとしている。また、解析モデルの配線基板1の長さは20mmとしている。
図7は、ε2−ε1≦0.3の条件を満たさないカバーレイ25の誘電率を2.5として、カバーレイ25の膜厚を25μm、50μm、150μmと変えた場合の透過特性S21を示す図である。図7においては、各透過特性の比較を容易にするために特性曲線を縦方向に1dBずらして図示している。図7に示すように、カバーレイ25の厚みを厚くしていくと、特定の周波数で透過特性に乱れが減少して改善の傾向がみられる。ここで、カバーレイ25の誘電率が誘電体24の誘電率よりも小さすぎると、カバーレイ25を厚くしても実効誘電率を誘電体24の誘電率近くすることはできないので、仮に(1)式を満たしていても透過特性の乱れを十分に抑制することができない。この解析結果からも明らかなように、カバーレイ25の誘電率は誘電体24の誘電率に対して0.3以上下回らないように、すなわち、ε2−ε1≦0.3を満たすように選択する必要がある。
以上のように、第1の実施形態に係る配線基板1では、信号線周囲の誘電率が均一化するように、上記(1)式に従って、カバーレイの膜厚と、誘電体の膜厚と、これらの誘電率を調整することによって、ガードトレースとグラウンド層とを接続するスルーホールを設けることがないので配置設計に係る制約や基板作製でのプロセス工数を抑え、電磁気的な伝送特性を犠牲にすることなく信号を伝送することができる。
また、図8は、電磁界放射への影響を調べるために、3m遠方での電界強度を解析して比較したものである。比較したモデルは「2.5mmピッチ接続」が、カバーレイとグラウンド層の接続を端子部のみ1.5mm離れたところで行い他の部分を2.5mmピッチでスルーホールで接続した配線基板であり、もう一方の「無接続」が、(1)式に従ってカバーレイと誘電体とを調整して、カバーレイとグラウンド層の接続を端子部のみ1.5mm離れたところで行い他の部分は接続していない配線基板である。通常、信号の干渉により図5、図7に示されるような透過特性S21の周期的なリップルが生じると、その周波数での電界強度が強くなるが、図8に示すように、「無接続」の配線基板では、3m遠方での放射電界強度に差が無く、特定の周波数での等価特性の乱れに起因して増大する電磁妨害雑音を、スルーホールを設けた「2.5mmピッチ接続」の配線基板と同程度に低減できる。
なお、カバーレイとグラウンド層の接続を端子部のみ1.5mm離れたところで行うのは、複数のグラウンドトレース間の電気的接続を完全に省くこともできるが、上述したように端子部付近は電気的接続を行い、長いオープンスタブができないような使い方が望ましいからである。
図8の結果からも明らかなように、第1の実施形態に係る配線基板1では、スルーホールが設けられたマイクロストリップライン構造の配線基板と同様に、特定の周波数での等価特性の乱れに起因して増大する電磁界の放射を抑えることができる。
<第2の実施形態>
図9は、本発明が適用された第2の実施形態に係る配線基板3を示す図である。すなわち、配線基板3は、図9に示すように、一対の伝送路により信号を差動伝送する複数の信号線31と、信号線31間の伝送方向に形成された導電体からなるガードトレース32とを備える。また、配線基板3は、一方の面34a上に、信号線31とガードトレース32とを積層する誘電体34と、誘電体34を挟んで、信号線31と対向する位置に配置されたグラウンド層33と、誘電体34の面34a上に積層された信号線31とガードトレース32とを被覆する絶縁性のカバーレイ35とを備える。
また、配線基板3では、隣接する信号線31、31の電磁気的結合が、上述した第1の実施形態に係る配線基板1に比べて強い。よって、配線基板3では、このような電磁気的結合を考慮して、スルーホールを設けることなく信号線31周囲の誘電率を均一化するため、下記の(2)式を満たすように、カバーレイ35と、誘電体34が調整されている。
(ε2/ε1)×t2<t1<(ε2/ε1)×t2×3 ・・・(2)
ここで、t1はカバーレイの膜厚であり、t2は誘電体の膜厚であり、ε1はカバーレイの誘電率であり、ε2は誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
なお、一般にカバーレイに使われる材料は誘電損失が大きいため、伝送線路の損失を抑えるためにはできるだけ薄いものを用いた方が良い。また柔軟性を阻害しないという観点からも薄いほうが良い。
誘電体34は、伝送特性の面から誘電率、誘電正接の小さいものが好ましく、例えばポリイミド、液晶ポリマーが用いられる。
これに対して、カバーレイ35は、信号線31等を保護するために用いられる絶縁性の物質で伝送特性の面からは誘電正接の小さなものが好ましく、フィルム状、硬化性のインク、ソルダレジスタ、感光性ソルダレジスタが用いられる。また、一般にカバーレイに使われる材料は誘電損失が大きいため、伝送線路の損失を抑えるためにはできるだけ薄いものを用いた方が良い。また柔軟性を阻害しないという観点からも薄いほうが良い。上記(2)式に従って調整されるカバーレイの膜厚の上限は、これらの影響も考慮して設定することができる。
上記(2)式を満たすように誘電体34とカバーレイ35とを調整すればよいが、配線基板3では、ε2−ε1≦0.3の条件に従って、誘電体34の誘電率に対してカバーレイ35の誘電率が高いものとする。この場合、配線基板3では、上記(2)式に従って形成されることで、カバーレイ35の膜厚が、誘電体34の膜厚に比べて薄くなるように調整される。
以上のような構成からなる配線基板3は、配線基板1と同様に、銅などの良導体を用いて、ベースフィルムの一方の面上にパターンニング処理により信号線31とガードトレース32とが形成され、他方の面にグラウンド層33が形成される。
このようにして、配線基板3は、上述した配線基板1と同様にガードトレースとグラウンド層間を電気的に接続するスルーホールを設けていないので、配線設計の自由度の向上と、プロセス工程の省略を図ることができる。
次に、3次元電磁界シミュレーターを用いて配線基板3の伝送特性について解析する。本シミュレーションにおいては、信号線31の各伝送路の幅と厚みはそれぞれ42μm、10μmとし、ガードトレース32の幅と厚みはそれぞれ440μm、10μmとしている。また、信号線31を構成する伝送路間の間隔と、信号線31とガードトレース32と間の間隔は、それぞれ80μm、60μmとしている。誘電体34の誘電率と厚みはそれぞれ3.2、25μmとし、解析モデルの配線基板3の長さは20mmとしている。
図10は、カバーレイ35の誘電率を3.3として、その厚みを12μm、37μm、100μmと変えた場合の差動透過特性S21を示す図である。カバーレイ35の膜厚を12μm、100μmにしたときは、上記(2)式を満たさないが、カバーレイ35の膜厚を37μmにしたときは、上記(2)式の条件を満たしている。図10においては、比較を容易にするために特性曲線を縦方向に1dBずらして図示している。図10に示すように、カバーレイ35の厚みが12μm、100μmでは、特定の周波数で透過特性に乱れが生じており電磁界放射の影響が懸念される。一方、カバーレイの厚みを上記の(2)式に従って適切に調整した37μmの場合には、そのような現象はみられない。
以上のように、第2の実施形態に係る配線基板3は、信号線周囲の誘電率が均一化するように、上記(2)式に従って、カバーレイの膜厚と、誘電体の膜厚と、これらの誘電率を調整することによって、信号線31周囲の誘電率の均一化が図られ、スルーホールを設けることなく通信特性を維持することができる。したがって、配線基板3は、ガードトレースとグラウンド層とを接続するスルーホールを設けることがないので配置設計に係る制約や基板作製でのプロセス工数を抑え、電磁気的な伝送特性を犠牲にすることなく信号を伝送することができる。
従来から用いられているマイクロストリップライン構造の配線基板の断面図である。 マイクロストリップライン構造の配線基板の信号線の両側にガードトレースを併設した構造の伝送線路断面図である。 図2の伝送路断面での電界分布を3次元電磁界シミュレーターにて解析した解析結果である。 本発明が適用された第1の実施形態に係る配線基板を示す図である。 カバーレイの膜厚の変化に応じた透過特性S21を示す図である。 第1の実施形態の変形例として、誘電体の誘電率に対してカバーレイの誘電率が低い条件下で形成された配線基板の構成を示す図である。 カバーレイの膜厚の変化に応じた透過特性S21を示す図である。 「2.5mmピッチ接続」と「無接続」での3m遠方での電界強度の比較を示す図である。 本発明が適用された第2の実施形態に係る配線基板を示す図である。 カバーレイの膜厚の変化に応じた差動透過特性S21を示す図である。
符号の説明
1、2、3、100、110 配線基板、11、21、31、101、111、121 信号線、12、22、32、112、122 ガードトレース、13、23、33、103、113、123 グラウンド層、14、24、34、104、114 誘電体、14a、24a、34a 面、15、25、35、105、115 カバーレイ、116 スルーホール

Claims (4)

  1. 信号を伝送する複数の信号線と、
    上記信号線間の上記伝送方向に形成された導電体からなり、上記信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースと、
    一方の面上に、上記複数の信号線と上記ガードトレースとを積層する誘電体と、
    上記誘電体を挟んで、上記複数の信号線と対向する位置に配置され、上記複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層と、
    膜厚が下記式を満たすように、上記誘電体の面上に積層された上記複数の信号線と上記ガードトレースとを被覆する絶縁性のカバーレイとを備える配線基板。
    (ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2
    t1は上記カバーレイの膜厚であり、t2は上記誘電体の膜厚であり、ε1は上記カバーレイの誘電率であり、ε2は上記誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
  2. 一対の伝送路により信号を差動伝送する複数の信号線と、
    上記信号線間の上記伝送方向に形成された導電体からなり、上記信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースと、
    一方の面上に、上記複数の信号線と上記ガードトレースとを積層する誘電体と、
    上記誘電体を挟んで、上記複数の信号線と対向する位置に配置され、上記複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層と、
    膜厚が下記式を満たすように、上記誘電体の面上に積層された上記複数の信号線と上記ガードトレースとを被覆する絶縁性のカバーレイとを備える配線基板。
    (ε2/ε1)×t2<t1<(ε2/ε1)×t2×3
    t1は上記カバーレイの膜厚であり、t2は上記誘電体の膜厚であり、ε1は上記カバーレイの誘電率であり、ε2は上記誘電体の誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
  3. ベースフィルムの一方の面上に、信号を伝送する複数の信号線を形成するとともに、上記信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースを、上記信号線間の上記伝送方向に形成するステップと、
    上記ベースフィルムの他方の面上に、上記複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層を形成するステップと、
    膜厚が下記式を満たす絶縁性のカバーレイにより、上記ベースフィルムの面上に形成された上記複数の信号線と上記ガードトレースとを被覆するステップとを有するプリント配線板の製造方法。
    (ε2/(ε1−1))×t2<t1<(ε2/(ε1−1))×t2×2
    t1は上記カバーレイの膜厚であり、t2は上記ベースフィルムの膜厚であり、ε1は上記カバーレイの誘電率であり、ε2は上記ベースフィルムの誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
  4. ベースフィルムの一方の面上に、一対の伝送路により信号を差動伝送する複数の信号線を形成するとともに、上記信号線により伝送される各信号の干渉を抑えるガードトレースを、上記信号線間の上記伝送方向に形成するステップと、
    上記ベースフィルムの他方の面上に、上記複数の信号線により伝送される信号に対するグラウンド層を形成するステップと、
    膜厚が下記式を満たす絶縁性のカバーレイにより、上記ベースフィルムの面上に形成された上記複数の信号線と上記ガードトレースとを被覆するステップとを有するプリント配線板の製造方法。
    (ε2/ε1)×t2<t1<(ε2/ε1)×t2×3
    t1は上記カバーレイの膜厚であり、t2は上記ベースフィルムの膜厚であり、ε1は上記カバーレイの誘電率であり、ε2は上記ベースフィルムの誘電率であり、ε2−ε1≦0.3を満たす。
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