JP2020136158A - フレキシブルフラットケーブル、回路装置、及び画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速信号伝送を行うフラットケーブルにおいては、伝送線路となる複数の導体線の導体幅やピッチが増大しても、所望の差動インピーダンスを実現し、高いシールド効果を有することが求められる。同時に、厚さが増大して、柔軟性(フレキシビリティ)が損なわれてしまわないことも求められる。【解決手段】導体線とシールドシートの間の絶縁部の厚みを部分的に変えることにより、柔軟性を保持しつつ、差動信号のインピーダンスマッチングを行い、シールド効果が得られる、高速信号伝送可能なフラットケーブルを提供することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、特に、複写機、プリンター、複合機などの画像処理装置に用いられる電気信号伝送用の回路基板間を接続するフレキシブルフラットケーブルに関する。
従来、複写機、プリンター、複合機などの画像形成装置の内部には、回路基板間を接続する内部インターフェースとしてのケーブルハーネス部材が用いられている。このような回路基板間を接続する内部インターフェースでは、信号伝送の高速化が進んでいる。電子機器を構成する複数の回路基板間または電子機器間同士でデジタル信号を高速に伝送するためには、所定の伝送路特性を満たす必要がある。また、回路基板及びケーブルのインピーダンスマッチングや、EMC(Electro Magnetic Compatibility)対策のために、シールドも必要となってくる。
一般に、高速信号伝送する方式としては、例えば、LVDSやUSB、HDMI(登録商標)、DVIなどが知られている。ここで、LVDSは、Low Voltage Differential Signalingの略称である。USBは、Universal Serial Busの略称である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略称である。DVIは、Digital Visual Interfaceは、略称である。
このような高速信号伝送方式においては、伝送路として、差動信号線路(差動信号線路対)が使用される。差動信号線路対は、回路基板上で2本の信号線路対とグランドパターンとにより、特定の伝送路インピーダンスとなるように構成されている。また、回路基板間又は電子機器間の伝送においては、2本の信号線路対に接続したリード線をツイスト構造のケーブルハーネス部材としたり、信号線路対の1対毎にシールド構造としたりすることにより、信号伝送を行っている。
これらのケーブルハーネス部材は、高周波伝送用に特化したものであり、反射や減衰の少ない高周波伝送が可能であるが、部材の材料や構造及び製造上の理由で高コストとなってしまう。
上記のようなツイスト構造やシールド構造のケーブルハーネス部材以外にも、廉価な部材として、例えば、絶縁材料で複数の導電線を支持した構造のFFCやFPCケーブルなどのフラットケーブルが知られている。ここで、FFCはFlexible Flat Cableの略称であり、FPCはFlexible printed circuitsの略称である。
しかし、これらのFFCやFPCケーブルは、高周波伝送には必ずしも適しているとは言えない。これらのフラットケーブルは、複数の導体線路からなり各導体線路が近接しているため、伝送信号が高周波になるほど、反射や減衰やクロストークにより信号波形品質が低下してしまうためである。さらに、放射ノイズ(Radiation noise)や伝導ノイズ(Conduction noise)などの電磁干渉(EMI:Electro Magnetic Interference)の問題も顕著となる。
また、汎用のFFCやFPCでは、導体線路の幅や導体線路間の距離は固定されており自由に調整できるものではないため、精度の良い伝送特性の調整が難しい。また、導体線路の幅や導体線路間の距離を調整する場合は、カスタム仕様となるため、コストアップの要因となってしまう。したがって、FFCやFPCは、高速差動信号伝送ケーブルとしては使用されることは少ない。
また、上述の差動信号線路対による信号通信においては、実使用においては本来の差動信号成分(ディファレンシャルモード成分)以外に、同相信号成分(コモンモード成分)が生じてしまう。これは、共通グランド電位に対する差動信号D+及びD−の電圧振幅差、位相差(ジッターなどによる180度の位相差に加わる位相誤差)、パルスの立ち上がり立下りの時間差、パルスのON/OFF時間差などがあるためである。
コモンモード成分が発生する場合、フラットケーブルから外界にノイズとして放射したり、電源線路やグランド線路に結合して、接続される回路基板に伝搬してノイズを放射したりする原因となることがある。
このような現象により放射される放射ノイズを低減するために、導体線路を含むフラットケーブル全体をグランド電位の導体で被覆することによりシールドする方法がある。シールドすることにより、外来ノイズやイミュニティーに対する耐性EMS(Electro Magnetic Susceptibility)を高めることもできる。
しかしながら、高速データ伝送線路では、使用される基本周波数が数100MHz以上であり、また、各差動信号D+及びD−の振幅も500mV程度以下と小さい。このため、差動信号線路対を覆うようにグランド電位の導体で被覆した場合、差動信号線路対のグランド電位に対する特性インピーダンスが低下する。そして、これにより、各信号の振幅が減衰し、差動信号D+及びD−の振幅も小さくなる。また、シールド層を介してクロストークが増加する場合もある。そのため、フラットケーブルをシールドすると、信号のS/N比が低下し、伝送するデータのエラーレートが増加してしまう。
また、汎用のFFCやFPCでは、導体パターンとグランド電位での被覆との距離も固定されており自由に調整できるものではないため、精度の良い伝送特性の調整が難しい。したがって、シールド付のフラットケーブルを高速データ伝送に使用するためには、導体線路の静電容量を低下させて、特性インピーダンスを決められた値に合わせる必要がある。
また、フラットケーブルに被覆する構造は、ケーブルを構成する各信号線路とグランド電位の導体との絶縁を確保するために距離をとる必要がある。このため、ケーブルが厚く硬直した構造体となり、フラットケーブルの本来の特長である柔軟性(フレキシビリティー)が損なわれ、基板間接続を行なう上での自由度が失われる。
これらの数々の課題を解決するために、特性インピーダンスの制御を試みた技術として、例えば、以下の特許文献1及び特許文献2の先行技術文献に示さるように、いくつかの提案がなされている。
特許文献1には、複数の導体が平行に配列された導体列と、導体列を両側から挟んだ後にラミネート加工された接着層付き発泡絶縁体と、発泡絶縁体をさらに両側から挟んだ導電性接着層付き金属層と、を備えたフレキシブルフラットケーブルが開示されている。
このように、特許文献1のフレキシブルフラットケーブルは、導体列を発泡絶縁体によって両側から挟んだ後にラミネート加工する。これにより、発泡絶縁体の誘電率を空気の誘電率と複合させ、複合誘電率を発泡していない従来の絶縁体の誘電率よりも低くすることができる。そのため、特性インピーダンスのファクタである静電容量を制御し、特性インピーダンスを50Ωとすることができるとされている。
しかしながら、特許文献1のフレキシブルフラットケーブルは、発泡絶縁体の厚みが150μm乃至250μmと比較的大きく、また、導電性接着層付き金属層として、アルミニウム箔と基材フィルムとを積層したものを用いている。そのため、フレキシブルフラットケーブルは、全体として厚くなり、柔軟性が損なわれてしまう。
特許文献2には、グラウンド線や信号線を含む複数の導体と、複数の導体を挟装する絶縁材と、グラウンド線と接着されたシールド材と、複数の導体と反対側の面に貼着された補強板と、を備えるフレキシブルフラットケーブルが開示されている。
特許文献2のフレキシブルフラットケーブルでは、複数の導体は、それぞれ、0.3±0.03mmの導体幅で、0.5±0.05mmのピッチで平行に配列される。絶縁材は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚みが34μmである空孔含有層、及び絶縁性接着層が積層した空孔含有ポリエチレンテレフタレートで構成される。また、シールド材は、導電性接着剤からなる導電性接着層、空気を含んだ状態に形成された所定の樹脂に導電性粒子が均一に分散された厚みが20μm以下であるポリマ系導電層からなるシールド層、及び基材フィルムが積層されたものである。
そして、絶縁材は、絶縁材と空孔含有層に含まれる空気とが複合されることにより、空孔含有層を含まない絶縁材に比べて誘電率が低くなる。誘電率が低くなることにより、差動インピーダンスを決定する静電容量を制御することが可能となるとされる。
また、シールド材も、同様に、空気を含んだ状態に形成された所定の樹脂に導電性粒子が均一に分散された厚みが20μm以下であるポリマ系導電層を有するものが用いられている。これにより、導体とシールド層との間に生じる静電容量を制御することができ、差動インピーダンスを制御することができるとされる。
しかしながら、このフレキシブルフラットケーブルにおいては、伝送線路となる複数の導体は、それぞれ、0.3±0.03mmの導体幅、0.5±0.05mmのピッチで平行に配列されており、これより太い導体幅やピッチに適用できるものではない。例えば、0.5mmの導体幅からなり、1.0mmのピッチで平行に配列されたフレキシブルフラットケーブルに適用することできない。
特開2003−31033公報 特開2005−339833公報
上述のように、複数の回路基板間などを接続して高速信号伝送を行うフラットケーブルにおいては、伝送線路となる複数の導体線の導体幅やピッチが増大しても、所望の差動インピーダンスを実現し、高いシールド効果を有することが求められる。同時に、厚さが増大して、柔軟性(フレキシビリティ)が損なわれてしまわないことも求められる。
本発明は、第1の方向に延伸する複数の導体線からなり、各導体線が前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って離れて配置される導体線群と、前記導体線群を両側から挟み込む絶縁シートと、前記絶縁シートの表面に貼着される導電性のシールドシートと、前記絶縁シートと前記シールドシートとの間に挿入されるスペーサと、を有するフラットケーブルであって、前記スペーサは、前記第1の方向に延伸し、それぞれが前記第2の方向に沿って離れて配置される複数の絶縁テープからなることを特徴とする。
本発明によれば、導体線とシールドシートの間の絶縁部の厚みを部分的に変えることにより、柔軟性を保持しつつ、差動信号のインピーダンスマッチングを行い、シールド効果が得られる、高速信号伝送可能なフラットケーブルを提供することができる。
実施例1のフレキシブルフラットケーブル(FFC)の断面図である。 フレキシブルフラットケーブル(FFC)と回路基板とを接続した回路装置を説明する図である。 特性インピーダンスを説明するためのフレキシブルフラットケーブル(FFC)の断面図である。 特性インピーダンスを説明するためのフレキシブルフラットケーブル(FFC)の断面図である。 フレキシブルフラットケーブル(FFC)が内蔵される画像処理装置の電気的構成を表すブロック図である。 実施例2のフレキシブルフラットケーブル(FFC)の断面図である。 実施例3のフレキシブルフラットケーブル(FFC)の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
<実施例1>
図1は、本実施例のシールド付きフレキシブルフラットケーブル(FFC)の構造を説明する断面図である。
図1(a)は、本実施例のFFCの基本的構造である。図1(a)において、複数本の導体線111〜116は、延伸する方向に垂直な方向に沿って、ほぼ平行に並列して配置される。各導体線111〜116(以下、これらをまとめて「導体線群11」ともいう)は、それぞれ、平角導体から構成される。
導体線群11は、両側から、複数の絶縁シート121,122,123(以下、これらをまとめて「絶縁シート12」ともいう)により挟み込まれ、ラミネートされている。ラミネートされた各導体線111〜116の両端部には、絶縁シート12を剥離して各平角導体を露出させた端子部(図2の導体露出部208,209を参照)が形成されている。
絶縁シート123の表面には、金属箔のシートからなるシールドシート14が貼着されている。また、絶縁シート122とシールドシート14の間には、絶縁シート12とは異なる絶縁部材からなるテープ状の複数の絶縁テープ131,132,133(以下、これらをまとめて「絶縁テープ13」ともいう)がスペーサとして挿入されている。
各絶縁テープ131,132,133は、各導体線111〜116と平行に並列して配置され、両面から絶縁シート122とシールドシート14により挟み込まれ、ラミネートされている。絶縁テープ13は、絶縁シート12とシールドシート14との間の距離を任意の距離に調整するためにスペーサとして挿入されるものである。シールドシート14の外側は、さらに絶縁シート123でラミネートされている。
図1(b)は、図1(a)のシールド付きフレキシブルフラットケーブル(FFC)に対して、シールドシート14の一部を導体線111及び116と接続した例である。図1(b)では、両端に配置された導体線111及び116上の絶縁シート122を部分的に除去し、導電性接着剤を用いてシールドシート14と導体線111,116を電気的に接続している。
図1(b)の構造のFFCの動作原理について、図1(c)及び図1(d)を用いて説明する。ここでは、実際の使用例として、2ペアの差動信号線路対を、グランド電位に接続される2本の導体線で挟んだ例を示す。
図1(c)において、導体線111及び116は、FFCに接続される2つの基板のグランド電位に接続される(図2を参照)。
導体線112には差動信号D0+が入力され、導体線113には差動信号D0−が入力される。D0+とD0−とは、1ペアの差動信号対を構成する。
また、導体線114には差動信号D1+が入力され、導体線115には差動信号D1−が入力される。D1+とD1−とは、他の1ペアの差動信号対を構成する。
ここで、例えば、導体線112の差動信号D0+の信号電流が図の手前から奥方向に流れている瞬間においては、導体線113の差動信号D0−の信号電流は図の奥から手前方向に流れている。この瞬間において、導体線112には右回りの磁界が発生し、導体線113には左回りの磁界が発生して、相互に磁界を打ち消し合う。
同様に、差動信号D1+により導体線114に発生する磁界と、差動信号D1−により導体線115に発生する磁界も、相互に打ち消し合う。
この動作原理のため、差動信号対を構成するD0+とD0−は、密結合する必要がある。同様に、差動信号対を構成するD1+とD1−も、密結合する必要がある。
一方、差動信号対D0(+,−)と差動信号対D1(+,−)とは、電磁界結合しないようにする必要がある。これは、D0(+,−)とD1(+,−)の結合度が高いと、クロストークが増加してしまうためである。
しかし、導体線112と導体線113との間隔と、導体線113と導体線114との間隔は同じであるため、そのままでは各導体線間の電磁界結合度もそれぞれ同じになってしまう。そこで、各導体線112〜115とシールドシート14との距離を幅方向の位置に応じて異ならしめることによって、各導体線の電磁界結合度を制御する。
図1(d)を用いて、図1(b)のFFCの内部構造について説明する。
図1(d)に示すように、導体線112の幅方向において左側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ131が挿入される。同様に、導体線113の幅方向において右側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ132が挿入される。また、導体線114及び導体線115についても同様である。
絶縁テープ131が挿入されることにより、導体線112は、幅方向の左側においてシールドシート14との間隔が拡がる。これにより、導体線112の幅方向の左側において、導体線112とシールドシート14との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。
一方、導体線112は、幅方向に右側においてはシールドシート14との間隔は拡がらない。このため、導体線112の幅方向の右側において、導体線112とシールドシート14との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
同様に、絶縁テープ132が挿入されることにより、導体線113は、幅方向の右側において、シールドシート14との間隔が拡がり、導体線113とシールドシート14との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。一方、導体線113は、幅方向の左側においては、シールドシート14との間隔は拡がらず、導体線113とシールドシート14との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
また、導体線114については導体線112と同様であり、導体線115については導体線113と同様である。
上述した効果の結果として、導体線112と導体線113とは、差動信号対として結合度が増し、導体線114と導体線115とは、差動信号対として結合度が増す。そして、導体線113と導体線114の結合度を、相対的に低くすることができる。
これにより、導体線112と導体線113とを流れる差動信号対D0と、導体線114と導体線115とを流れる差動信号対D1とによって発生するクロストークを、低減させることができる。
また、各導体線112〜115の静電容量を低下させることにより、各差動信号対D0及びD1の差動インピーダンスを一般的に要求される例えば100Ωに調整することが可能となる。
仮に、絶縁テープ13を挿入することなく、後述の図3(a)で示すように、全面にシールドシート44を挿入してしまうと、静電容量が大きくなり過ぎて、特性インピーダンスが低くなり過ぎてしまう。また、導体線112と導体線113とを流れる差動信号対D0と、導体線114と導体線115とを流れる差動信号対D1により発生するクロストークが大きくなってしまう。
また、仮に、絶縁テープ13を一部分ではなく全面に挿入してしまうと、フラットケーブルの厚さが増してしまい、フレキシブル性能が低下してしまう。また、導体線112と導体線113とを流れる差動信号対D0と、導体線114と導体線115とを流れる差動信号対D1により発生するクロストークを低減する効果が期待ほど得られずない。このため、差動信号の並行度が低下して、RFI(Radio Frequency Interference)が増加する可能性が高まってしまう。
図2は、本実施例のシールド付きフレキシブルフラットケーブル(FFC)を、差動信号送信回路基板と差動信号受信回路基板とに接続して、回路装置を構成した例を説明する図である。なお、図2(a)及び(b)においては、説明を簡略化するために、差動信号対は1ペアのみを示している。ただし、図1(及び、後述の図6、図7)のようなFFCを用いる場合は、差動信号対は2ペアとなる。
図2(a)において、差動信号送信回路基板21と、差動信号受信回路基板22とは、フレキシブルフラットケーブル(FFC)20を介して接続されている。FFC20は、幅S1の導体露出部208を接点として差動信号送信回路基板21に接続され、また、幅S2の導体露出部209を接点として差動信号送信回路基板22に接続される。
補強板206及び207は、それぞれ、差動信号送信回路基板21及び差動信号受信回路基板22の接続部に、FFC20を挿入する際の強度を保つための部材である。
図2に示すFFC20では、導体線は7つの平角導体(ピン)から構成される。導体線の第3ピン203及び第4ピン204には、それぞれ、差動信号送信回路基板21の差動信号線路212及び213に接続され、差動信号のD0+及びD0−が入力される。また、導体線の第2ピン202及び第5ピン205は、それぞれ、差動信号線路212及び213から構成される差動信号線路対を挟む、GNDガード線路214及び215に接続される。各ピン201〜207の間は、絶縁部材によって絶縁されている。
差動信号送信回路基板21は、一般的なプリント基板であり、4層で構成されている。第1層及び第4層の表層には差動信号出力デバイス211などの信号回路が配置され、第2層にはGNDプレーンが配置され、第3層には電源配線が配置されている。差動信号送信回路基板21の第1層に配置された差動信号出力デバイス211から出力された差動信号は、第1層に設けられた差動信号線路212,213に入力される。そして、抵抗216,217及び抵抗218によりFFC20のインピーダンスと整合するように調整されて、FFC20に入力される。
差動信号線路212及び213は、並行して配置され、差動信号線路対を形成する。差動信号線路212及び213は、図2では示されないGND配線で挟まれたコプレーナ線路、又は、隣接内層の第2層をGNDプレーンとしたマイクロストリップ線路になっている。
差動信号線路212及び213は、ディファレンシャルモードのインピーダンスZd1が100Ωになるように、パターン幅、パターン間距離、信号回路層である第1層と隣接するGND層である第2層間の距離が設計されている。また、差動信号線路212及び213は、コモンモードのインピーダンスZc1が50Ωになるように、パターン幅、パターン間距離、信号回路層である第1層と隣接するGND層である第2層間の距離が設計されている。
差動信号線路212及び213からなる差動信号線路対を挟み込み、FFC20の第2ピン202と第5ピン205に接続されるGNDガード線路214及び215は、それぞれ、GNDに接続される。
差動信号受信回路基板20も、差動信号送信回路基板10と同様に、一般的なプリント基板により構成される回路基板である。差動信号受信回路基板22において、差動信号送信回路基板21の差動信号出力デバイス211から出力された差動信号D0+とD0−は、FFC20の第3ピン203及び第4ピン204を介して、それぞれ、差動信号線路222及び223に入力される。そして、差動信号線路222及び223は、差動信号入力デバイス221の差動入力端子に接続される。
差動信号入力デバイス221の内部では、差動入力端子間は100Ωで終端されている。差動信号線路222及び223から構成される差動信号線路対は、図2では示されないGND配線で挟まれたコプレーナ線路、又は、隣接内層の第2層をGNDプレーンとしたでマイクロストリップ線路になっている。
差動信号線路222及び223は、ディファレンシャルモードのインピーダンスZd1が100Ωになるように、パターン幅、パターン間距離、信号回路層と隣接するGND層間の距離が設計されている。また、差動信号線路222及び223は、コモンモードのインピーダンスZc1は50Ωになるように、パターン幅、パターン間距離、信号回路層と隣接するGND層間の距離が設計されている。
FFC20の第3ピン203と第4ピン204の両側に隣接する、第2ピン202及び第5ピン205に接続されるGNDガード線路224及び225は、GNDに接続される。
FFC20の第3ピン203に流れる差動信号D0+の電流の方向と、第4ピン204に流れる差動信号D0−の電流の方向は逆であり、電磁界が相殺されるためには、第3ピン203と第4ピンの電磁界結合は密である必要がある。
一方、GNDガード線路224に接続される、FFC20の第2ピン202には、第3ピン203に流れる差動信号D0+の電流とは逆方向に誘導電流が発生する。また、GNDガード線路225に接続される、FFC20の第5ピン205には、第4ピン204に流れる差動信号D−の電流とは逆方向に誘導電流が発生する。
FFC20の第2ピン202と第5ピン205に流れる誘導電流の方向は逆であるが、第2ピン202と第5ピン205とは距離が離れているため、電磁結合度が低く電磁界が相殺され難い。
FFC20の第2ピン202のGNDガード線及び第5ピン205のGNDガード線は、シールドとしての効果はある。しかし、FFC20の第2ピン202からGNDガード線214及び224を介して差動信号送信回路基板21又は差動信号受信回路基板22のGNDへ流れる電流は、各基板にコモンモードノイズを伝搬することになり、電磁干渉の発生源となる場合がある。また、FFC20の第5ピン205からGNDガード線215及び225を介して差動信号送信回路基板21又は差動信号受信回路基板22のGNDへ流れる電流についても、同様である。
GNDガード線路214に接続される、FFC20の第2ピン202に発生する誘導電流を少なくするためには、第2ピン202と、差動信号D0+が流れる第3ピン203との距離を離して、電磁結合度を低くすればよい。同様に、第5ピン205に発生する誘導電流を少なくするためには、第5ピン205と、差動信号D0−が流れる第4ピン204との距離を離して、電磁結合度を低くすればよい。
しかし、FFC20の配線間ピッチは、一律で固定されているため、距離を離すことはできない。
そこで、図2(b)に示すように、差動電流D0+が流れる第3ピン233と、差動電流D0−が流れる第4ピン234の両側に隣接する、第2ピン232と第5ピン235には何も接続しないようにすることが考えられる。そして、第1ピン231及びと第6ピン236に、それぞれ、GNDガード線路214及び215を接続すれば、第1ピン231と第6ピン236に発生する誘導電流を低減させることができる。
しかし、GNDガード線路214に接続される第2ピン202と、差動信号線路212に接続される第3ピン203との距離を離すと、第2ピン202のシールドとしての効果も下がることになるため、トレードオフの関係にある。
また、第3ピン203に流れる差動電流D0+と第4ピン204に流れる差動電流D0−が完全に対称でない場合は、その差分がコモンモード電流となり、電磁干渉を発生させてしまう。このため、本来であれば、GNDガード線路214に接続される第2ピン202とGNDガード線路215に接続される第5ピン205に流れる電流によって、電磁界が相殺されるが、実際には、対称性が保たれないために、完全には相殺されない場合がある。
そこで、本実施例においては、シールドシート14にコモンモード電流のリターン電流が流れることにより、電磁界を相殺させて、電磁干渉が発生することを防止する。
FFC20のインピーダンスは、導体線の材質と幅、導体線間の距離、絶縁体の材質と厚さや幅で決まる。そのため、本実施例のようなスペーサ13を挿入することにより、FFC20を流れる差動信号に対する特性インピーダンスを調整することができる。
次に、図3に示すフレキシブルフラットケーブル(FFC)のモデルを用いて、特性インピーダンスについて説明する。
図3(a)は、シールド導体面のあるタイプのFFCであり、シールド導体面をGNDに接続した場合はマイクロストリップ線路に相当する。図中、32〜35は導体線に対応する信号線、43は絶縁体、44はシールドシートに対応するシールドである。
図3(b)は、シールド導体面のないタイプのFFCであり、両端の信号線32及び35をGNDに接続した場合はコプレーナ線路に相当する。
図3(a)に示される、シールド導体面のあるタイプのFFCについて、シールド導体面をGNDに接続した場合、差動インピーダンスは100Ω程度である。反射や挿入損失や
クロストークは少なく、近端クロストークは、1GHzで−10dB程度、遠端クロストークは、1GHzで−35dB程度である。
また、シールドシート14によりリターンパスが確保でき、コモンモードノイズの発生を抑制することができる。放射ノイズは、伝送信号1GHz近傍ではCISPR−ClassBを満たせるポテンシャルがあることが確認されている。
信号波形に関しては、一般的に、実際の伝送波形に与える影響は、挿入損失が最も大きく、次いで、クロストーク、反射損失である。しかし、反射損失が−10dB以上になると、挿入損失も急激に劣化するので考慮する必要がある。
図3(a)に示されるFFCの特性インピーダンス(Z)は、式(1)のとおり、インダクタンス(L)と静電容量(C)から求められる。また、静電容量(C)は、式(2)のとおり、FFCの導体線幅(w),絶縁層厚(d),絶縁層の誘電率(ε)に依存する。
したがって、特性インピーダンス(Z)は、式(3)のとおり、導体幅(w)と絶縁層の誘電率(ε)の平方根に反比例し、絶縁層厚(d)の平方根に比例することになる。
= √(L/C) ・・・(1)
L(H/m):単位長さあたりのインダクタンス
C(F/m):単位長さあたりの静電容量
C 〜 ε(w/d) ・・・(2)
∝ √(d/εw) ・・・(3)
特性インピーダンスの制御がしやすい材料としては、低誘電率で、絶縁層厚が均一であることが要求される。導体線幅(w)の設計自由度を大きくするためには、式(3)から、厚さ(d)が厚く、誘電率(ε)が低い絶縁材料が求められる。なお、一般的なPIフィルムの誘電率は、1MHzで約3.5である。
なお、上記の式を本実施例のFFCに適用する場合には、導体線幅(w)と絶縁層厚(d)が複数の値を持つことになるため、簡易的にそれらの複数の値を1つの値に近似して特性インピーダンスを算出する。
図4は、特性インピーダンスの説明のために簡略化したフレキシブルフラットケーブル(FFC)のモデルの断面図である。図4に示したFFCのモデルを用いて、隣接する線路が特性インピーダンスに与える影響について説明する。
図4(a)は、単一の導体線を有するFFC30の断面図であり、その特性インピーダンスZの計算式を式(A)として示している。
図4(b)は、隣接する複数の導体線を有するFFC30の断面図であり、その特性インピーダンスZの計算式を式(B)として示している。
式(A)及び式(B)において、各記号は以下のとおりである。
:特性インピーダンス
Zdiff:差動インピーダンス
w:導体線幅
t:導体線の厚さ
h:絶縁層の厚さ
ε:絶縁層の誘電率
s:FFCの導体線間幅
式(A)及び式(B)に示されるように、導体線幅(w)及び導体線間隔(s)は、隣接する導体線の各インピーダンスに影響を与える。そして、隣接する導体線で一方の導体線のインピーダンスが他方の導体線のインピーダンスに影響することが理解される。そして、隣接する導体線で一方の導体線が例えば100Ωで終端されているかGNDに短絡されているかによって、他方の導体線のインピーダンスが影響されることになる。したがって、信号線路に隣接するガード線路に接続する抵抗の値を調整することにより、信号線路のインピーダンスを調整することができる。
次に、図5を用いて、フレキシブルフラットケーブル(FFC)が内蔵される画像処理装置300について説明する。本実施例において、画像処理装置300は、プリント機能やスキャン機能などを有する画像形成装置(複合機)である。
図5は、実施例において用いられる画像処理装置300の電気的構成を表すブロック図である。
図5において、コントローラ基板310は、画像処理装置300を制御するシステムコントローラであり、1つのPCB基板で構成されている。
制御部311は、システムコントローラ310の動作全体を制御するCPUである。ROM312は、制御部311が実行するプログラムや各種のデータ等を格納している。RAM313は、制御部311が実行するプログラムを制御部311の制御の下に展開する。さらに、RAM313は、制御部311のワークエリア、及び、複写機能で使用する画像用メモリ領域としても利用される。画像処理部314は、画像読取部323で読み取られた画像データや画像形成部へ出力する画像データの変換処理を行う。
USB通信部315は、画像形成部324へ画像データを出力するために、コンピュータ(PC)3001からローカルエリアネットワーク(LAN)3004を介して画像データを受信する。また、USB通信部315は、画像読取部323で読み取られた画像データをPC3001に転送する。
ネットワーク通信部316は、画像形成部324へ画像データを出力するためにPC3001からLAN3004を介して画像データを受信する。また、ネットワーク通信部316は、画像読取り部で読み取られた画像データをPC3001に転送する。
ネットワーク通信部316とLAN3004とのインターフェースは、LANケーブル3003を用いて差動伝送が行われる。USB通信部315とPC3001とのインターフェースは、USBケーブル3002を用いて差動伝送が行われる。
操作部322は、画像処理装置300をユーザーが操作するための各種キーからなる。表示部321は、画像処理装置を操作するための各種情報を表示する。
画像読取部323は、原稿を読み取る原稿読取手段である。
画像形成部324は、画像データを記録紙に出力する画像形成手段である。画像形成部324は、複写動作の場合、画像読み取り部323で読み取られた画像データを出力する。また、プリント動作の場合、PC3001から転送された画像データを出力する。
画像処理装置300において、コントローラ基板310のインターフェース部317と表示部321との間は、FFCを用いて、LVDSやTMDS伝送が行われる。なお、TMDSはTransition Minimized Differential Signalingの略称である。
また、インターフェース部317と操作部322との間、インターフェース部317と画像読取部323との間、インターフェース部317と画像形成部324との間も、それぞれ、FFCを用いた差動伝送が行われる。
以上のように、実施例1のFFCによれば、柔軟性を確保しつつ、回路基板とのインピーダンス整合とクロストークの低減により伝送特性を高め、シールド効果によりEMIやEMSを向上させた、基板間の高速信号伝送が可能となる。
また、実施例1のFFCを製造するにあたっては、FFCの標準的な製造工程をそのまま使用できるため、大きなコストアップを伴うこともない。
<実施例2>
図6は、実施例2のシールド付きフレキシブルフラットケーブル(FFC)の構造を説明する断面図である。実施例1との相違は、図6に示すように、両端の2本の導体線611及び617に加えて、中央の導体線614をGNDガード線に接続し、2ペアの差動信号対D0(+,−)及びD1(+,−)を、3本の導体線611,614,617で挟んでいることである。
このように、D0(+,−)とD1(+,−)の間に導体線614を配置することにより、D0(+,−)とD1(+,−)が電磁界結合しなくなり、クロストークが低減される。これにより、差動信号の対称性が向上し、実施例1よりも更に伝送特性を向上させることができる。
図6において、実施例1と同様に、複数本の導体線611〜617は、延伸する方向に垂直な方向に沿って、ほぼ平行に並列して配置される。各導体線611〜617(以下、これらをまとめて「導体線群61」ともいう)は、それぞれ、平角導体から構成される。
導体線群61は、両側から、複数の絶縁シート621,622,623(以下、これらをまとめて「絶縁シート62」ともいう)により挟み込まれ、ラミネートされている。ラミネートされた各導体線611〜617の両端部には、絶縁シート62を剥離して各平角導体を露出させた端子部が形成されている。
絶縁シート623の表面には、金属箔のシートからなるシールドシート64が貼着されている。また、絶縁シート622とシールドシート64の間には、絶縁シート62とは異なる絶縁部材からなるテープ状の複数の絶縁テープ631,632,633,624(以下、これらをまとめて「絶縁テープ63」ともいう)がスペーサとして挿入されている。
各絶縁テープ631,632,633,634は、各導体線611〜617と平行に並列して配置され、両面から絶縁シート622とシールドシート64により挟み込まれ、ラミネートされている。シールドシート64の外側は、さらに絶縁シート623でラミネートされている。
両端に配置された導体線611及び617上の絶縁シート622は部分的に除去され、導電性接着剤を用いてシールドシート64と導体線611,617が電気的に接続されている。
両端に配置された導体線611及び617と、中央に配置された導体線614は、FFCに接続される2つの基板のグランド電位に接続される(図2を参照)。
導体線612には差動信号D0+が入力され、導体613には差動信号D0−が入力される。D0+とD0−とは、1ペアの差動信号対を構成する。また、導体615には差動信号D1+が入力され、導体線616には差動信号D1−が入力される。D1+とD1−とは、他の1ペアの差動信号対を構成する。
ここで、例えば、導体線612の差動信号D0+の信号電流が図の手前から奥方向に流れている瞬間においては、導体線613の差動信号D0−の信号電流は図の奥から手前方向に流れている。この瞬間において、導体線612には右回りの磁界が発生し、導体線613には左回りの磁界が発生して、相互に磁界を打ち消し合う。
同様に、差動信号D1+により導体線615に発生する磁界と、差動信号D1−により導体線616に発生する磁界も、相互に打ち消し合う。
この動作原理のため、差動信号対を構成するD0+とD0−は、密結合する必要がある。同様に、差動信号対を構成するD1+とD1−も、密結合する必要がある。一方、差動信号対D0(+,−)と差動信号対D1(+,−)とは、電磁界結合しないようにする必要がある。
そこで、実施例2では、導体線613と導体線615との間隔を離すために、導体線613と導体線615との間にグランド電位に接続する導体線614を配置する。
また、実施例1と同様に、導体線612の幅方向において左側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ631が挿入される。同様に、導体線613の幅方向において右側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ632が挿入される。また、導体線615及び導体線616についても同様である。
絶縁テープ631が挿入されることにより、導体線612は、幅方向の左側においてシールドシート64との間隔が拡がる。これにより、導体線612の幅方向の左側において、導体線612とシールドシート64との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。
一方、導体線612は、幅方向に右側においてはシールドシート64との間隔は拡がらない。このため、導体線612の幅方向の右側においては、導体線612とシールドシート64との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
同様に、絶縁テープ632が挿入されることにより、導体線613は、幅方向の右側において、シールドシート64との間隔が拡がり、導体線613とシールドシート64との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。一方、導体線613は、幅方向の左側においては、シールドシート64との間隔は拡がらず、導体線613とシールドシート64との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
また、導体線615については導体線612と同様であり、導体線616については導体線613と同様である。
上述した効果の結果として、導体線612と導体線613とは、差動信号対として結合度が増し、導体線615と導体線616とは、差動信号対として結合度が増す。そして、導体線613と導体線615の間にグランド電位に接続する導体線614を設けたため、導体線613と導体線614の結合度を低減することができる。
これにより、導体線612と導体線613とを流れる差動信号対D0と、導体線615と導体線616とを流れる差動信号対D1とによって発生するクロストークを、低減させることができる。
また、各導体線612,613,615,616の静電容量を低下させることにより、各差動信号対D0及びD1の差動インピーダンスを一般的に要求される例えば100Ωに調整することが可能となる。
仮に、絶縁テープ63を挿入することなく、図3(a)で示すように、全面にシールドシート44を挿入してしまうと、静電容量が大きくなり過ぎて、特性インピーダンスが低くなり過ぎてしまう。また、仮に、絶縁テープ63を一部分ではなく全面に挿入してしまうと、フラットケーブルの厚さが増してしまい、フレキシブル性能が低下してしまう。
以上のように、実施例2のFFCによれば、柔軟性を確保しつつ、回路基板とのインピーダンス整合とクロストークの低減により伝送特性を高め、シールド効果によりEMIやEMSを向上させた、基板間の高速信号伝送が可能となる。
また、実施例2のFFCを製造するにあたっては、FFCの標準的な製造工程をそのまま使用できるため、大きなコストアップを伴うこともない。
<実施例3>
図7は、実施例3のシールド付きフレキシブルフラットケーブル(FFC)の構造を説明する断面図である。実施例2との相違は、図7に示すように、GNDガード線に接続していた中央の導体線(図6の614)が削除されていることである。
このように、差動信号対D0(+,−)とD1(+,−)の間の導体線を削除して、D0(+,−)とD1(+,−)の間の距離を拡げることにより、D0(+,−)とD1(+,−)が電磁界結合しなくなり、クロストークが低減される。それにより、差動信号の対称性が向上し、実施例1よりも更に伝送特性を向上させることができる。
また、実施例2のように差動信号対D0(+,−)とD1(+,−)の間に導体線があると、D0−に接続される導体線613から、導体線614に対して生じるクロストークが、基板21や22にコモンモードノイズを発生させる場合がある。また、D1+に接続される導体線615から、導体線614に対して生じるクロストークが、基板21や22にコモンモードノイズを発生させる場合がある。
特に、基板21や22のGNDが弱い場合や、基板21,22内の導体線が差動信号に対するGNDへのリターンパスとして不十分な場合に、このような状態になると考えられる。このような場合は、実施例2の構造よりも、実施例3の構造の方が電気的特性が良くなる場合がある。
図7において、中央部(図中の714)を除いて、実施例2と同様に、複数本の導体線711〜713.715〜717は、延伸する方向に垂直な方向に沿って、ほぼ平行に並列して配置される。各導体線711〜713.715〜717(以下、これらをまとめて「導体線群71」ともいう)は、それぞれ、平角導体から構成される。
導体線群71は、両側から、複数の絶縁シート721,722,723(以下、これらをまとめて「絶縁シート72」ともいう)により挟み込まれ、ラミネートされている。ラミネートされた各導体線711〜713.715〜717の両端部には、絶縁シート72を剥離して各平角導体を露出させた端子部が形成されている。
絶縁シート723の表面には、金属箔のシートからなるシールドシート74が貼着されている。また、絶縁シート722とシールドシート74の間には、絶縁シート72とは異なる絶縁部材からなるテープ状の複数の絶縁テープ731,732,733(以下、これらをまとめて「絶縁テープ73」ともいう)がスペーサとして挿入されている。
各絶縁テープ731,732,733は、各導体線711〜713.715〜717と平行に並列して配置され、両面から絶縁シート722とシールドシート74により挟み込まれ、ラミネートされている。シールドシート74の外側は、さらに絶縁シート723でラミネートされている。
両端に配置された導体線711及び717上の絶縁シート722は部分的に除去され、導電性接着剤を用いてシールドシート74と導体線711,717が電気的に接続されている。
両端に配置された導体線711及び717は、FFCに接続される2つの基板のグランド電位に接続される(図2を参照)。
導体線712には差動信号D0+が入力され、導体713には差動信号D0−が入力される。D0+とD0−とは、1ペアの差動信号対を構成する。また、導体715には差動信号D1+が入力され、導体線716には差動信号D1−が入力される。D1+とD1−とは、他の1ペアの差動信号対を構成する。
ここで、例えば、導体線712の差動信号D0+の信号電流が図の手前から奥方向に流れている瞬間においては、導体線713の差動信号D0−の信号電流は図の奥から手前方向に流れている。この瞬間において、導体線712には右回りの磁界が発生し、導体線713には左回りの磁界が発生して、相互に磁界を打ち消し合う。
同様に、差動信号D1+により導体線715に発生する磁界と、差動信号D1−により導体線716に発生する磁界も、相互に打ち消し合う。
この動作原理のため、差動信号対を構成するD0+とD0−は、密結合する必要がある。同様に、差動信号対を構成するD1+とD1−も、密結合する必要がある。一方、差動信号ついD0(+,−)と差動信号対D1(+,−)とは、電磁界結合しないようにする必要がある。
そこで、実施例3では、導体線713と導体線715との間隔を離すために、導体線713と導体線715との間の導体線(図6の導体線614)を削除する。
また、実施例1や実施例2と同様に、導体線712の幅方向において左側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ731が挿入される。同様に、導体線713の幅方向において右側の一部(例えば、約半分)が重なる位置に、絶縁テープ732が挿入される。また、導体線715及び導体線716についても同様である。
絶縁テープ731が挿入されることにより、導体線712は、幅方向の左側においてシールドシート74との間隔が拡がる。これにより、導体線712の幅方向の左側において、導体線712とシールドシート74との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。
一方、導体線712は、幅方向に右側においてはシールドシート74との間隔は拡がらない。このため、導体線712の幅方向の右側においては、導体線712とシールドシート74との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
同様に、絶縁テープ732が挿入されることにより、導体線713は、幅方向の右側において、シールドシート74との間隔が拡がり、導体線713とシールドシート74との電磁界結合度が低下し、静電容量も低下する。一方、導体線713は、幅方向の左側においては、シールドシート74との間隔は拡がらず、導体線713とシールドシート74との電磁界結合度は低下せず、静電容量も低下しない。
また、導体線715については導体線712と同様であり、導体線716については導体線713と同様である。
上述した効果の結果として、導体線712と導体線713とは、差動信号対として結合度が増し、導体線715と導体線716とは、差動信号対として結合度が増す。そして、導体線713と導体線715の間の間隔を拡げたため、導体線713と導体線715の結合度を低減することができる。
これにより、導体線712と導体線713とを流れる差動信号対D0と、導体線715と導体線716とを流れる差動信号対D1とによって発生するクロストークを、低減させることができる。
また、各導体線712,713,715,716の静電容量を低下させることにより、各差動信号対D0及びD1の差動インピーダンスを一般的に要求される例えば100Ωに調整することが可能となる。
仮に、絶縁テープ73を挿入することなく、図3(a)で示すように、全面にシールドシート44を挿入してしまうと、静電容量が大きくなり過ぎて、特性インピーダンスが低くなり過ぎてしまう。また、仮に、絶縁テープ73を一部分ではなく全面に挿入してしまうと、フラットケーブルの厚さが増してしまい、フレキシブル性能が低下してしまう。
以上のように、実施例3のFFCによれば、柔軟性を確保しつつ、回路基板とのインピーダンス整合とクロストークの低減により伝送特性を高め、シールド効果によりEMIやEMSを向上させた、基板間の高速信号伝送が可能となる。
また、実施例3のFFCを製造するにあたっては、FFCの標準的な製造工程をそのまま使用できるため、大きなコストアップを伴うこともない。
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。すなわち、上述の実施例及びその変形例を組み合わせた構成もすべて本発明に含まれるものである。
11,61,71 導体線群
12,62,72 絶縁シート
13,63,73 絶縁テープ
14,64,74 シールドシート
20 フレキシブルフラットケーブル(FFC)
21,22 プリント基板

Claims (15)

  1. 第1の方向に延伸する複数の導体線からなり、各導体線が前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って離れて配置される導体線群と、
    前記導体線群を両側から挟み込む絶縁シートと、
    前記絶縁シートの表面に貼着される導電性のシールドシートと、
    前記絶縁シートと前記シールドシートとの間に挿入されるスペーサと、
    を有するフラットケーブルであって、
    前記スペーサは、前記第1の方向に延伸し、それぞれが前記第2の方向に沿って離れて配置される複数のテープ状の絶縁部材からなる
    ことを特徴とするフラットケーブル。
  2. 前記各導体線は、平角導体からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル、
  3. 前記絶縁部材は、前記導体線と前記第2の方向において重なる位置に挿入される
    ことを特徴とする請求項2に記載のフラットケーブル。
  4. 前記絶縁部材は、前記導体線と前記第2の方向において一部が重なる位置に挿入される
    ことを特徴とする請求項3に記載のフラットケーブル。
  5. 前記絶縁部材は、前記導体線の一部と前記第2の方向において一部が重なる位置に挿入される
    ことを特徴とする請求項4に記載のフラットケーブル。
  6. 前記絶縁部材は、それぞれ、前記導体線の一部と前記第2の方向において一部が重なる位置に挿入される
    ことを特徴とする請求項5に記載のフラットケーブル。
  7. 前記シールドシートは、少なくとも1つの前記導体線と導電性接着剤を介して電気的に接続される
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
  8. 前記シールドシートの外側に第3の絶縁シートが貼着される
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
  9. 前記絶縁シートは、複数の前記導体線を挟んで第1の絶縁シートと第2の絶縁シートとからなる
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の前記フラットケーブルと、
    前記フラットケーブルに接続され、差動信号を入力又は出力するデバイスと、グランド電位と、が備えられたプリント基板と、を有する
    ことを特徴とする回路装置。
  11. 前記デバイスに、前記複数の導体線のうち、少なくとも、対をなす2つの導体線が接続され、
    前記グランド電位に、前記複数の導体線のうち、前記対の両側に隣接する他の2つの導体線が接続される
    ことを特徴とする請求項10に記載の回路装置。
  12. 前記対をなす2つの導体線は2ペアあり、
    前記グランド電位に、前記複数の導体線のうち、前記2ペアの導体線の両側に隣接する他の2つの導体線が接続される
    ことを特徴とする請求項11に記載の回路装置。
  13. 前記対をなす2つの導体線は2ペアあり、
    前記グランド電位に、前記複数の導体線のうち、前記2ペアの導体線の両側に隣接する他の2つの導体線と、前記2ペアの対に挟まれる他の1つの導体線と、が接続される
    ことを特徴とする請求項11に記載の回路装置。
  14. 前記対をなす2つの導体線は2ペアあり、
    前記グランド電位に、前記複数の導体線のうち、前記2ペアの導体線の両側に隣接する他の2との導体線が接続され、
    前記2ペアの対の間の間隔は、前記対をなす2つの導体線の間隔より広い
    ことを特徴とする請求項11に記載の回路装置。
  15. 請求項10乃至14のいずれか1項に記載の前記回路装置を内蔵した
    ことを特徴とする画像処理装置。
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