JP5194722B2 - 配線基板及び半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、配線基板及び半導体装置に関する。
携帯機器等の内部では、複数の異なるプリント基板間を電気的に接続する必要が生じる。従来はリジッドなプリント基板上にコネクタを半田実装し、そこにケーブルを接続することによって基板間を接続していた。しかし、コネクタによる実装方式は基板上にコネクタの面積を必要とし、機器の小型化の要求に対応することが難しい。さらに、並列に配置された複数本の配線をコネクタに接続する場合、図20に示されるようにプリント配線板の配線ピッチよりもコネクタのピンピッチの方が大きいため、コネクタを使用することによって配線に要する幅が広がり、基板の大型化が引き起こされる。
この問題を解決する手段の一つとして、近年リジッドフレキ配線基板が提案されている。例えば特許文献1では、同文献の図1に示されるようにフレキシブル基板の一部の領域にリジッド基板を形成する構造が示されており、これにより、コネクタを使用せずにリジッド基板同士をフレキシブルケーブルで接続することができる。
また、特許文献2では、フレキシブル基板が開示されており、差動伝送を行う場合、+線と−線を異なる層に段違いに平行に配置することで、終端抵抗とインピーダンスの整合が容易にとれ、高品質の信号が送れ、反射ノイズを下げることができるとされている。このような構造をとることによって特性インピーダンスの調整幅が大きくなり、終端抵抗とインピーダンスの整合が容易にとれ、高品質の信号が送れ、反射ノイズを下げることができるとされている。同文献の図2には信号配線を段違いの平行線として配置した構造、同文献の図10には差動信号線の間にガードパターンであるグランド線を配置する構造が示されている。特許文献4においても類似の差動平衡信号伝送基板が開示されている。
特許文献3には、高周波用配線基板の信号品質を向上するための配線基板が示されている。同文献の高周波用配線基板はリジッド基板を前提にしている。同文献の図1の伝送線路は誘電体基板の上面に二つの信号線路が差動対を成すように形成されており、その信号線路の両側と誘電体基板の下面に導体層を形成し、伝送線路を構成している。また、同文献の図3の伝送線路は、上面側信号線路及び下面側信号配線を略平行かつ対向するように設けてなる上下差動信号線路と、上面側信号線路の両側及び下面側信号線路の両側にそれぞれ形成された上面側同一面導体層及び下面側同一面導体層と、上面側同一面導体層及び下面側同一面導体層を電気的に接続するとともに上下差動信号線路の線路方向に並ぶように形成された複数の貫通導体とを具備し、線路方向における貫通導体7間の間隔及び誘電体基板の厚さが上下差動信号線路で伝送される高周波信号の波長の4分の1以下である構成である。こうした構成を採用することにより、第1の信号線路と第2の信号線路の電解のカップリングが強くなり、上下差動信号線路同士の間のアイソレーションが低下して上下差動信号線路同士の間のクロストークノイズが低減される。
特公平7−109942号公報(図1参照) 特開平10−30352号公報(第0016段落、第0029段落、図2、及び図10参照) 特開2003−224408号公報(第0012段落、第0019段落〜第0021段落、図1、及び図3参照) 特開2001−7458号公報(図10参照)
しかしながら、これらの関連技術に示される伝送線路構造は、リジッド部とフレキシブル部とを併せて総合的に良好な伝送特性を確保する点に課題を残すものとなっている。
特許文献1に示されるリジッドフレキ配線基板のリジッド部は、低・中間周波数信号線の配線に用いられるものであって高周波向けに設計された配線とはなっていない。高周波信号用の伝送線路は、特性インピーダンスを適正に制御したり、クロストークや電磁放射を抑える構造にする必要があるが、特許文献1ではフレキシブル部の伝送線路はそのような検討がなされておらず、低・中間周波数信号に限定したものとなっている。
特許文献2に示される配線基板には以下のようなさらなる課題がある。同文献の図2に示される配線基板は、隣接する配線の間にガードパターンとなるグラウンド線が存在しないため直接電磁結合してしまいクロストークが発生しやすい。また基板外からの電磁ノイズの影響を受けやすい。一方、同文献の図10に示される配線基板は、ガードパターンが存在するためクロストークを抑制する効果が高いが、配線に要する基板の幅が広くなってしまい、高密度に多数の配線を収容することが難しい。
特許文献3に示される配線基板には、次のような課題がある。具体的には、同文献の図1に示される配線基板は、近年の薄膜誘電体基板を使用した場合に、差動特性インピーダンスが下がりすぎて100Ωに合わせることができない、という課題がある。
また、同文献の図1に示される配線基板は、2本の信号配線を横に並べる構造のため、配線に要する基板の幅が広くなってしまい、高密度に多数の配線を収容することが難しい。
さらに、同文献の図3に示される配線基板も同様に、薄い基板を使用した場合、現在加工可能な最も細い配線パターンを用いても100Ωよりも低い差動特性インピーダンスになってしまい、所望の差動特性インピーダンスを達成することができない、という課題がある。
以上のように、関連技術に関する配線基板は、隣接配線のクロストークが大きい又は配線に要する面積が大きいという課題、薄膜基板では差動特性インピーダンスを100Ωまで上げることができないという課題がある。加えて、リジッド基板同士をフレキシブル基板(ベース基板)で接続するリジッドフレキ配線基板の配線基板において、リターン電流が、リジッド基板がフレキシブル基板(ベース基板)を挟むリジッド部とリジッド基板が存在しないフレキシブル部とで分断されてしまい、リジッド部とフレキシブル部との接続部で伝送特性が劣化するという課題もある。
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものである。第一義的には、ベースフィルムの両面に信号配線を形成したベース基板を有し、このベース基板の一部を挟むようにリジッド基板が設けられた配線基板において、所望の差動特性インピーダンスに合わせ込むことが可能な配線基板を提供することにある。そして、第二義的には、高密度に配置することができ、低クロストークを実現でき、リジッド部とフレキシブル部との接続部でもリターン電流が分断されにくい配線基板を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の配線基板は、ベースフィルム、該ベースフィルムの一方の面及び他方の面にそれぞれ設けられた第1配線層及び第2配線層、及び該第1配線層と該第2配線層との上にそれぞれ設けられたカバーレイから構成されたベース基板と、該ベース基板の一部を挟むようにして設けられた2つのリジッド基板と、を少なくとも有する配線基板であって、第1信号配線群と第2信号配線群とがそれぞれ前記第1配線層と前記第2配線層に同方向にストライプ状に設けられ、前記第1信号配線群の各信号配線は前記第2信号配線群の各信号配線と差動ペアを形成し、前記第1信号配線群及び前記第2信号配線群が前記ベースフィルムの水平方向にずらして配置されるとともに、前記差動ペアが、前記2つのリジッド基板に挟まれていない前記ベース基板の領域から前記2つのリジッド基板に挟まれている前記ベース基板の領域まで連続的に形成される構造を有し、前記リジッド基板における、前記ベース基板と接する面とは反対側の面にのみグラウンドプレーンが形成され、前記第1信号配線群の隣り合う信号配線同士の間に第1グラウンド線が設けられ、前記第2信号配線群の隣り合う信号配線同士の間に第2グラウンド線が設けられることを特徴とする。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記ベースフィルムを介して最も近くに位置する第1グラウンド線と第2グラウンド線とが、それぞれ前記第1信号配線群及び前記第2信号配線群と同方向にずらして配置されている。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記リジッド基板において、前記ベース基板と接する面とは反対側の面にグラウンドプレーンが形成される。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記グラウンドプレーンと前記第1信号配線群及び/又は前記第2信号配線群との距離が、前記ベースフィルムの厚さの2倍以上である。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記グラウンドプレーンと前記第1グラウンド線及び/又は前記第2グラウンド線とが、層間接続ビアによって接続されている。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記グラウンドプレーンと前記第1信号配線群及び/又は前記第2信号配線群との距離が、前記ベースフィルムの厚さの2倍以下である。
本発明の配線基板の好ましい態様においては、前記ベース基板がフレキシブル基板である。
上記課題を解決するための本発明の半導体装置は、上記の配線基板のリジッド基板に半導体装置又は半導体パッケージを搭載する、ことを特徴とする。
本発明の配線基板によれば、第1信号配線群と第2信号配線群とがそれぞれ第1配線層と第2配線層に同方向にストライプ状に設けられ、第1信号配線群の各信号配線は第2信号配線群の各信号配線と差動ペアを形成し、第1信号配線群及び第2信号配線群がベースフィルムの水平方向にずらして配置されるとともに、前記動ペアが、前記2つのリジッド基板に挟まれていない前記ベース基板の領域から前記2つのリジッド基板に挟まれている前記ベース基板の領域まで連続的に形成される構造を有するので、その結果、所望の特性インピーダンスに合わせ込むことが可能となる配線基板を提供することができる。
さらに、本発明の配線基板の好ましい態様を用いることにより、高密度に配置することができ、低クロストークを実現でき、リジッド部とフレキシブル部との接続部でもリターン電流が分断されにくい配線基板を提供することができる。
より具体的には、本発明の配線基板は、薄いベースフィルムを使用した場合でも所望の差動特性インピーダンスを実現することができ、また低クロストークの信号配線を高密度に形成することができる。また、リジッド部でリジッド基板の上下の面のうちベース基板と接する面とは反対側の面にグラウンドプレーンが形成されている場合でも、ずらし量を変化させることによりリジッド部とフレキシブル部とで差動特性インピーダンスを一定に保つことができ、優れた高速信号伝送特性を実現することができる。
本発明の半導体装置によれば、上記の配線基板のリジッド基板に半導体装置又は半導体パッケージを搭載するので、その結果、所望の特性インピーダンスを達成し高速信号伝送特性に優れる配線基板を有する半導体装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例につき説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
(参考例1:ベース基板)
図1は、参考例1のベース基板の模式的な断面図である。同図に示されるベース基板30はフレキシブル基板の一例である。
ベース基板30は、ベースフィルム3、ベースフィルム3の一方の面31及び他方の面32にそれぞれ設けられた第1配線層1及び第2配線層2、及び第1配線層1と第2配線層2との上にそれぞれ設けられたカバーレイ4から構成されている。そして、第1配線層1及び第2配線層2がそれぞれ同方向に設けられたストライプ状の第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bで構成され、第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bがベースフィルム3の水平方向にずらして配置されている。さらに、第1信号配線群5a,5a,5aの各信号配線(以下、第1信号配線群の信号配線を第1信号配線という場合がある。)は第2信号配線群5b,5b,5bの各信号配線(以下、第2信号配線群の信号配線を第2信号配線という場合がある。)と差動ペアを形成している。差動ペアを形成する各信号配線は特に制限されないが、ベース基板30においては、ベースフィルム3を介して位置する、第1信号配線5aと第2信号配線5bと、第1信号配線5aと第2信号配線5bと、第1信号配線5aと第2信号配線5bと、がそれぞれ動ペアを形成する。
ベース基板30は、より具体的には、ベースフィルム3の一方の面31(上面)に第1配線層1が、他方の面32(下面)に第2配線層2が形成され、その上下にカバーレイ4が形成される。カバーレイ4はカバー層として機能する。そして、第1配線層1として第1信号配線群5a,5a,5aが、第2配線層2として第2信号配線群5b,5b,5bが形成されている。
第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bは、それぞれ信号配線として機能し、直線状に形成されるとともに互いに略平行に配置されストライプ状となっている。より詳しくは、第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bは、図1において紙面を突き抜けるように形成されており、互いに同方向に形成されている。そして、第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bのうち、ベースフィルム3を介して反対側に位置する第1信号配線5aと第2信号配線5bとが動ペアを構成している。同様に、第1信号配線5a及び第2信号配線5bも他の動ペアを構成し、第1信号配線5a及び第2信号配線5bもさらに他の動ペアを構成している。
第1信号配線群5a,5a,5aの隣り合う信号配線同士の間、及び第2信号配線群5b,5b,5bの隣り合う信号配線同士の間には、それぞれ第1グラウンド線6a,6a,6a及び第2グラウンド線6b,6b,6bが設けられる。より詳しくは、隣り合う第1信号配線5a,5a同士の間に第1グラウンド線6aが、隣り合う第1信号配線5a,5a同士の間に第1グラウンド線6aが、それぞれ設けられ、隣り合う第2信号配線5b,5b同士の間に第2グラウンド線6bが、隣り合う第2信号配線5b,5b同士の間に第2グラウンド線6bが設けられる。
第1グラウンド線6a,6a,6a及び第2グラウンド線6b,6b,6bのうち、ベースフィルム3を介して最も近くに位置する、第1グラウンド線6aと第2グラウンド線6bと、第1グラウンド線6aと第2グラウンド線6bと、第1グラウンド線6aと第2グラウンド線6bとが、それぞれ第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bと同方向にずらして配置されている。このように、第1グラウンド線6a,6a,6a及び第2グラウンド線6b,6b,6bを、それぞれ第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bと同方向にずらして配置することにより、高密度化を達成しやすくなる。
ベース基板30における配線幅、配線間隔、及びずらし量を以下のように設定する。すなわち、第1信号配線群5a,5a,5aの配線幅、第2信号配線群5b,5b,5bの配線幅、第1グラウンド線6a,6a,6aの配線幅、及び第2グラウンド線6b,6b,6bの配線幅は、それぞれLとする。各信号配線たる第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bと、第1グラウンド線6a,6a,6a及び第2グラウンド線6b,6b,6bとの配線間隔はそれぞれSである。そして、差動ペアを構成する、第1信号配線5a及び第2信号配線5b、第1信号配線5a及び第2信号配線5b、及び第1信号配線5a及び第2信号配線5bは、それぞれベースフィルム3の水平方向にずらし量Dの距離だけずらして配置されている。これに伴い、第1グラウンド線6a及び第2グラウンド線6b、第1グラウンド線6a及び第2グラウンド線6b、第1グラウンド線6a及び第2グラウンド線6bも、それぞれベースフィルム3の水平方向にずらし量Dだけずらして配置されることになる。このように、各信号配線たる第1信号配線群5a,5a,5a及び第2信号配線群5b,5b,5bの間に第1グラウンド線6a,6a,6a及び第2グラウンド線6b,6b,6bをそれぞれ配置することにより、隣接する信号配線との電磁結合を抑制しクロストークを低減することができる。また、差動ペアを構成する、第1信号配線5a及び第2信号配線5b、第1信号配線5a及び第2信号配線5b、及び第1信号配線5a及び第2信号配線5bを、それぞれ水平方向にずらして配置することにより、特性インピーダンスを所望の値に設計することができる。こうした具体例について以下さらに説明する。
ベース基板30において、ベースフィルム3の厚さを50μm、カバーレイ4の厚さを37μm、第1信号配線群5a,5a,5a、第2信号配線群5b,5b,5b、第1グラウンド線6a,6a,6a、及び第2グラウンド線6b,6b,6bの配線幅Lをそれぞれ100μm、配線間隔Sを100μmとした。基板材料であるベースフィルム3及びカバーレイ4の材料にはポリイミドを用い、ベースフィルム3の比誘電率を3.66、カバーレイ4の比誘電率を3.2とした。そして、図1に示すずらし量Dを変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した。
図2は、参考例1のベース基板における差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。具体的には、同図は、横軸にずらし量D(μm)が示され、縦軸に差動特性インピーダンスZdiff(Ω)が示されている。同図の結果から、ずらし量Dが増加するに従って差動特性インピーダンスが増加し、ずらし量が180μm程度の時に約100Ωになることがわかる。このように、薄いベースフィルム3を使用した場合でも、ずらし量Dを適切に調整することによって差動特性インピーダンスを100Ωに合わせることができる。
(参考例2:ベース基板の説明)
図3は、参考例2のベース基板の模式的な断面図である。同図に示されるベース基板40はフレキシブル基板の一例である。
ベース基板40は、図1に示すベース基板30において、第1グラウンド線7a、第2グラウンド線7bの配線幅Lgを変化させたこと以外は、ベース基板30と同様の構成を採用している。より具体的には、ベースフィルム3とカバーレイ4の厚さ、材質、誘電率は実施例1と同様とした。また、配線幅Lと配線間隔Sはそれぞれ100μmとするが、グラウンド線の幅Lgは200μmとし、第1信号配線及び第2信号配線の配線幅Lよりも太くしている。
ベース基板40のようにグラウンド線7a,7bの幅を太くした場合でも、信号配線の差動特性インピーダンスは、各信号配線の配線幅L、配線間隔S、及びずらし量Dによって決まり、Lgには依存しないので、ずらし量Dに対する差動特性インピーダンスは図2に示した特性と同じになる。
(参考例3:ベース基板の説明)
参考例3においては、図1に示すベース基板30のベースフィルム3の基板材料にリジッドなFR4基板を用いたこと以外は、参考例1と同様のベース基板を用いた。具体的には、図1のベース基板30において、ベースフィルム3として厚さ100μm、誘電率4.9のFR4を用い、カバーレイ4として厚さ25μm、誘電率3.2のソルダーレジストを用いる。そして、第1信号配線群5a,5a,5a、第2信号配線群5b,5b,5b、第1グラウンド線6a,6a,6a、及び第2グラウンド線6b,6b,6bの配線幅Lをそれぞれ100μm、配線間隔Sを100μmとして、ずらし量Dを変化させた時の差動特性インピーダンスZdiffを計算した。
図4は、参考例3のベース基板における差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。同図は、横軸にずらし量D(μm)が示され、縦軸に差動特性インピーダンスZdiff(Ω)が示されている。同図の結果から、ずらし量Dが0、すなわち差動ペアを構成する第1信号配線群及び第2信号配線群が重なっている時は、差動特性インピーダンスは100Ωよりも小さい値になっているが、ずらし量Dが増加するに従って差動特性インピーダンスが増加し、ずらし量が100μm程度の時に約100Ωになる。このように、リジッドな配線基板を使用した場合でも、ずらし量を適切に調整することによって差動特性インピーダンスを100Ωに合わせることができる。
(実施例1)
図5は、実施例1の配線基板の一例の模式的な断面図である。図6は、図5のC−C’面での模式的な断面図である。図7は、図5のE−E’面での模式的な断面図である。図6は、ベース基板がリジッド基板で挟まれた領域(リジッド部)における模式的な断面を示すものである。図7は、ベース基板がリジッド基板で挟まれていない領域(フレキシブル部)における模式的な断面を示すものである。
配線基板35は、ベースフィルム14、ベースフィルム14の一方の面及び他方の面にそれぞれ設けられた第1配線層9及び第2配線層10、及び第1配線層9及び第2配線層10の上にそれぞれ設けられたカバーレイ13から構成されたベース基板50と、ベース基板50の一部を挟むようにして設けられた2つのリジッド基板12と、を少なくとも有する。具体的には、配線基板35においては、リジッド基板12a,12bと、リジッド基板12c,12dとを、ベース基板50で接続する構造となっている。ベース基板50は、図1で説明したベース基板30と同様のものを用いることができる。
配線基板35においては、図6,7に示すように、第1配線層9及び第2配線層10がそれぞれ同方向に設けられたストライプ状の第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bで構成され、第1信号配線群16a,16a,16a及び該第2信号配線群16b,16b,16bがベースフィルム14の水平方向にずらして配置されるとともに、第1信号配線群16a,16a,16aの各信号配線は前記第2信号配線群16b,16b,16bの各信号配線と差動ペアを形成している。具体的には、ベースフィルム14の反対側の配線層に位置する、第1信号配線16aと第2信号配線16bと、第1信号配線16aと第2信号配線16bと、第1信号配線16aと第2信号配線16bとが、それぞれ動ペアを形成し、これら動ペアが、2つのリジッド基板12a,12b又は2つのリジッド基板12c,12dに挟まれていないベース基板50の領域から2つのリジッド基板12a,12b又は2つのリジッド基板12c,12dに挟まれているベース基板50の領域まで連続的に形成されている。
配線基板35は、より詳しくは、ベースフィルム14の両面に第1配線層9と第2配線層10が形成され、さらにそれらの配線層の外側にカバーレイ13が形成されて、これらがベース基板50を構成している。配線基板35では、ベース基板50はフレキシブル基板を構成している。このフレキシブル基板の一部の上下にリジッド基板12a,12bと、リジッド基板12c,12dと、が接着されている。リジッド基板12a,12b及びリジッド基板12c,12dは、図5に示すように、それぞれベース基板50の両端に接着されている。また、リジッド基板12a,12cの上部には第3配線層8が、リジッド基板12b,12dの下部には第4配線層11がそれぞれ形成されている。リジッド基板12cの上部には半導体装置15が搭載されている。半導体装置15は、実際にはリジッド基板12cの上面に半田によって実装されている。半導体装置15の代わりに半導体パッケージを用いてもよい。さらに、第2配線層10に形成された第2信号配線16b,16b,16bと、層間接続用貫通スルーホール33と、によって高速信号が入出力されている。このように配線基板35のリジッド基板12cに半導体装置15又は半導体パッケージを搭載することにより半導体装置が形成される。
配線基板35のリジッド部においては、図6に示すように、第1配線層9には第1信号配線群16a,16a,16aが形成され、それに対応して第2配線層10には第2信号配線群16b、16b、16b、が形成されている。第1信号配線16aと第2信号配線16bと、第1信号配線16aと第2信号配線16bと、第1信号配線16aと第2信号配線16bと、がそれぞれ差動ペアを構成している。また、第1信号配線群16a,16a,16aの隣り合う信号配線同士の間、及び第2信号配線群16b、16b、16bの隣り合う信号配線同士の間にはグラウンド線17が配置されている。また、第3配線層8及び第4配線層11には、第1信号配線群16a,16a,16a、第2信号配線群16b、16b、16b、及びグラウンド線17を挟み込むようにグラウンドプレーン18が形成されている。すなわち、図5を参照して説明すれば、リジッド基板12a,12b,12c,12dにおける、ベース基板50と接する面とは反対側の面にグラウンドプレーン18がそれぞれ形成されている。
配線基板35のリジッド部においては、図6に示すように、第1信号配線群16a,16a,16a、第2信号配線群16b,16b,16b、及びグラウンド線17の配線幅はそれぞれLである。また、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bと、これら信号配線に隣接するグラウンド線17と、の配線間隔はSである。また、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16bとは、互いに距離(ずらし量)Dだけ水平方向にずらして配置される。同様に、第1信号配線16a及び第2信号配線16bの右隣又は左隣に隣接するそれぞれのグラウンド線17も互いに距離(ずらし量)Dだけ水平方向にずらして配置される。ずらし量Dだけ水平方向にずらして配置される点については、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16b、及びこれら信号配線に隣接するグラウンド線17、さらには、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16b、及びこれら信号配線に隣接するグラウンド線17においても同様である。
配線基板35のフレキシブル部においては、図7に示すように、第1信号配線群16a,16a,16a、第2信号配線群16b,16b,16b、及びグラウンド線17の配線幅はそれぞれLである。また、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bと、これら信号配線に隣接するグラウンド線17と、の配線間隔はSである。また、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16bとは、互いに距離(ずらし量)Dだけ水平方向にずらして配置される。同様に、第1信号配線16a及び第2信号配線16bの右隣又は左隣に隣接するそれぞれのグラウンド線17も互いに距離(ずらし量)Dだけ水平方向にずらして配置される。ずらし量Dだけ水平方向にずらして配置される点については、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16b、及びこれら信号配線に隣接するグラウンド線17、さらには、差動ペアを構成する第1信号配線16aと第2信号配線16b、及びこれら信号配線に隣接するグラウンド線17においても同様である。
配線基板35のリジッド部及びフレキシブル部において、図6,7に示すように、隣接する第1配線層9及び第2配線層10に、差動ペアを構成する、第1信号配線16a及び第2信号配線16b、第1信号配線16a及び第2信号配線16b、及び第1信号配線16a及び第2信号配線16bをそれぞれ配置し、かつ、第1信号配線群16a,16a,16aに対して第2信号配線群16b,16b,16bをベースフィルムの水平方向にずらすことによって、差動特性インピーダンスを調整することができる。また、隣接する第1信号配線群16a,16a,16a同士の間、及び隣接する第2信号配線群16b,16b,16b同士の間にグラウンド線17を配置することにより、グラウンド線17に流れるリターン電流がフレキシブル部とリジッド部で連続して流れて、信号の不要な反射・放射を抑制することができる。また、グラウンド線17によってクロストークを低減することもできる。さらに、グラウンド線17を第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bと同方向にずらすことにより、グラウンド線17を重ねて配置した場合よりも高密度に配線を収容することができる。
配線基板35において、グラウンド線17に流れるリターン電流についてより詳細に説明する。本発明の配線基板における伝送線路は、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bの2本の配線(差動ペア)からなる差動線路構造であるが、差動線路においては、2本の配線(第1信号配線及び第2信号配線)に位相が逆で振幅の等しい信号を伝送する。すなわち、一本の線路には中間電位に対して正の信号が、もう一本の線路には負の信号が伝送される。そして、中間電位に当たるのがグラウンドである。差動線路を構成する2本の伝送線路(第1、第2信号配線)が近い位置にありグラウンド線17が遠くにある場合には、信号が伝搬する時に発生する電磁界は2本の伝送線路(第1、第2信号配線)の間に集中し、グラウンド線17にはリターン電流はほとんど発生しない。しかし、伝送線路(第1、第2信号配線)と、グラウンド線17とが相対的に近くにある場合には、伝送線路(第1、第2信号配線)はグラウンド線17との間にも電磁界的に結合して、グラウンド線17にリターン電流が発生する。リターン電流とは、グラウンド線17上に伝送線路(第1、第2信号配線)と逆向きに同振幅で発生する電流である。そして、リターン電流が発生する場合、信号の伝搬経路全域に渡ってリターン電流が連続していれば信号の伝送品質は良好に保たれるが、リターン電流の経路が不連続になるとリターン電流は大きく迂回しなければならず、電磁放射や共振が発生して高周波における信号品質が劣化する。従って、本発明のようにリジッド部とフレキシブル部とで伝送線路構造が異なる場合は、その両者においてリターン電流を連続するようにすることが、信号品質を良好に保つために重要である。
配線基板35のように、差動ペアを形成する2本の、第1信号配線16aと第2信号配線16bとの距離、第1信号配線16aと第2信号配線16bとの距離、及び第1信号配線16aと第2信号配線16bとの距離、に比べてグラウンド線17が相対的に近くに位置する場合、グラウンド線17にリターン電流が流れる。その場合、図7に示す配線基板35のフレキシブル部では、リターン電流は、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bに隣接したグラウンド線17に流れるが、図6に示す配線基板35のリジッド部では、ベース基板50のグラウンド線17と、リジッド基板12cの上面及びリジッド基板12dの下面それぞれのグラウンドプレーン18のどちらか、あるいは両方に流れる。
配線基板35において、図6に示すリジッド部でグラウンドプレーン18にリターン電流が多く流れると、リジッド部と図7に示すフレキシブル部とでリターン電流の経路が異なるため、信号品質が劣化する傾向となる。しかし、図5,6に示すように、リジッド基板12a,12cのグラウンドプレーン18が、ベース基板50の第1信号配線群16a,16a,16aから遠くに位置し、またリジッド基板12b,12dのグラウンドプレーン18が、ベース基板50の第2信号配線群16b,16b,16bから遠くに位置すれば、リターン電流はグラウンドプレーン18にはほとんど流れなくなる。このため、リターン電流は隣接したグラウンド線17に流れるか、あるいは差動線路内に電磁界結合が集中してリターン電流が発生しないため、フレキシブル部とリジッド部でリターン電流の経路が分断されること無く、伝送特性が良好に保たれる。種々の電磁界解析の結果、伝送線路とグラウンドプレーンとの距離は差動伝送線路の2本の配線の厚み方向の距離の2倍以上離れていれば、信号線路とグラウンドプレーンとの結合は弱まって信号品質が良好に保たれることを見出した。具体的には、伝送線路たる第1信号配線群16a,16a,16a及び/又は第2信号配線群16b,16b,16bとグラウンドプレーン18との距離は、差動ペアを構成する、第1信号配線16aと第2信号配線16bとの間の厚さ方向の距離、第1信号配線16aと第2信号配線16bとの間の厚さ方向の距離、及び第1信号配線16aと第2信号配線16bと間の厚さ方向の距離の2倍以上離れていれば、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bと、グラウンドプレーン18との結合は弱まって信号品質が良好に保たれる。こうした配線基板35の具体例をいくつか以下説明する。
図8は、信号配線(伝送線路)からグラウンドプレーンまでの距離と、電磁界結合の強さとの関係を表すグラフである。図5〜7に示す配線基板35において、ベースフィルム14の厚さを50μmとし、カバーレイ13の厚みを37μmとし、第1信号配線群16a,16a,16a、第2信号配線群16b,16b,16b、及びグラウンド線17それぞれの配線幅L=Lを100μmとし、ずらし量D=Dを150μmとした。また、ベース基板(フレキシブル基板)50の材料はポリイミドを仮定して、ベースフィルム14の比誘電率を3.66、カバーレイ13の比誘電率を3.2とし、リジッド基板12a,12b,12c,12dの材料はFR4を仮定して比誘電率を4.7とした。
配線基板35において、S=Sを100μmとした場合、200μmとした場合、300μmとした場合、及び隣接するグラウンド線を設けない場合、の4つの場合について、リジッド基板12a,12b,12c,12dの厚みt、すなわち、グラウンドプレーン18と、第1信号配線群16a,16a,16a及び/又は第2信号配線群16b,16b,16b(伝送線路)との距離を変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した。図8では、横軸はリジッド基板12a,12b,12c,12dの厚みtをベース基板50のベールフィルム14の厚さtで規格化しており、縦軸は電磁界解析した差動特性インピーダンスをt/t=10、すなわちt=500μmの時の差動特性インピーダンスで規格化してある。差動特性インピーダンスの規格化に用いたt=500μmは、グラウンドプレーンと伝送線路とが十分に離れており、電磁界結合が無いとみなすことができる。
図8に示す解析結果から、リジッド基板12a,12b,12c,12dの厚みtがベースフィルムの厚みtの2倍以上であれば、差動特性インピーダンスの変動は8〜5%以下となる。配線基板の一般的な仕様においては、差動特性インピーダンスは製造ばらつきで10%程度はばらつくため、8〜5%程度の差動特性インピーダンスの低下は許容範囲で、電磁界結合は弱いものとみなすことができる。すなわち、t/t≧2であれば、グラウンドプレーン18にはリターン電流は発生しないといえる。また、tの厚さはリジッド基板の製造容易性・信頼性等の観点から200μm≦t≦500μmの範囲の厚さであることが好ましく、t/tの上限としてはt/t≦10とすることが望ましい。
図9は、信号配線(伝送線路)からグラウンドプレーンまでの距離と、電磁界結合の強さとの関係を表す他のグラフである。同図に示すグラフにおいては、配線幅L=Lを100μm、ずらし量D=Dを200μmとし、その他の条件は図8と同一にして計算した特性インピーダンスの解析結果である。この場合においても、リジッド基板12a,12b,12c,12dの厚さがベースフィルム14の厚さの2倍以上であれば、特性インピーダンスの変化はt/t=10の場合から10%以内に収まっており、電磁界結合がほとんど無いといえる。
図8,9に示した結果から、グラウンドプレーンと第1信号配線及び/又は第2信号配線との距離が、ベースフィルムの厚さの2倍以上であることが好ましいことがわかる。より具体的には、第1信号配線や第2信号配線の伝送線路とグラウンドプレーンの距離は、ベースフィルムの厚さ、すなわち第1信号配線と第2信号線路との間の厚さ方向の距離の2倍以上離れていれば、グラウンドプレーンとの電磁界結合は弱く、リターン電流はグラウンドプレーン上にほとんど発生しないため、リジッド部とフレキシブル部でリターン電流の経路が変化せず、信号品質を良好に保つことができる。
なお、ベース基板50及びリジッド基板12に用いる材料としては、特に制限はないが例えば以下のものを挙げることができる。具体的には、フレキシブル基板たるベース基板50のベースフィルム14とカバーレイ13には、エポキシ、ポリイミド、ポリエステル等の樹脂を用いることができる。ベースフィルム14とカバーレイ13はアクリル系接着剤等の接着剤によって接着される。リジッド基板12にはガラスなどの基材にエポキシ、ポリイミド、フェノールなどの樹脂を含浸させたものを用いることができる。また、フレキシブル基板たるベース基板50を構成するカバーレイ13とベースフィルム14には、樹脂にガラス等の基材を含浸させたリジッド基板を用いることもできる。
(実施例2)
図10は、ずらし量Dを変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した結果を示すグラフである。同図に示した計算結果は、実施例1の図5〜7の配線基板35と同様の構造を有しつつもパラメータを変化させることにより得られたものである。具体的には、ベース基板には実施例1と同様の構造のフレキシブル基板を用い、リジッド基板には比誘電率4.7、厚さ250μmのFR4基板を用いて、配線幅L,Lを100μm、配線間隔S,Sを100μm又は200μmとした場合に、ずらし量D(D,D)を変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算したものである。なお、図10中において「フレキシブル部:(L,S)=(100,200)」とある場合、リジッド基板に挟まれないベース基板部分(フレキシブル部)におけて、配線幅L=100μm、配線間隔S=200μmとしたという意味である。同様に、「リジッド部:(L,S)=(100,200)」とある場合、リジッド基板に挟まれたベース基板部分(リジッド部)において、配線幅L=100μm、配線間隔S=200μmとしたという意味である。他のプロット例についても同様である。
リジッド部とフレキシブル部それぞれの配線幅、配線間幅、ずらし量の組み合わせは複数通り考えられる。例えば、配線幅L=L=100μm、配線間幅S=S=100μmとし、リジッド部におけるずらし量D=250μm、フレキシブル部におけるずらし量D=250μmとすることによって、リジッド部とフレキシブル部において配線幅と配線間幅を保ちつつずらし量だけ変化させて、差動インピーダンスを100Ωに保つことができる。または、配線幅L=L=100μm、配線間幅S=S=200μm、ずらし量D=D=120μmとすることにより、配線幅・配線間幅・ずらし量を一定に保ちつつ、リジッド部とフレキシブル部それぞれにおいて差動特性インピーダンスを100Ω±5Ωに保つこともできる。このように、差動ペアを構成する第1信号配線及び第2信号配線のずらし量を調整することにより、リジッド部とフレキシブル部における差動特性インピーダンスを適切に保つことができる。
(実施例3)
実施例3においては、リジッド部(リジッド基板)の断面構造を異なるものとした以外は、基本的には実施例1の配線基板と同様のものを用いた。具体的には、配線基板は、実施例1と同様にして図5に示す配線基板35と同様のものを用いた。また、フレキシブル部における断面構造も実施例1と同じく図7の構造を有するものを用いた。
リジッド基板については断面構造を変化させた。図11は、実施例3の配線基板のリジッド部の模式的な断面図である。実施例2と異なる点は、第3配線層8と第4配線層11の全面がグラウンドプレーン18で占められているのではなく、それらの配線層に制御信号線19、22や電源プレーン20,21,23,24が配置されている点である。このように、リジッド部において、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16bの上下に別の配線や電源/グラウンドプレーンが配置されていてもよい。これは、第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16b等の信号配線においては、差動ペアを構成するもう一方の信号配線やグラウンド線と主に電磁結合し、信号のリターン電流が信号配線の隣に配置されたグラウンド線に流れるため、リジッド基板の第3配線層8や第4配線層11の電極の形態の如何に関わらず高周波信号特性を維持することができるからである。すなわち、リジッド部において隣接配線層にどのような電極が形成されてもその影響を受けにくく、高周波信号特性を維持することができるからである。
(実施例4)
実施例4の配線基板は、基本的には実施例1の図5に示す配線基板35を同様のものであるが、リジッド部とフレキシブル部の断面構造を変化させている。図12は、実施例4の配線基板のリジッド部の模式的な断面図である。また、図13は、実施例4の配線基板のフレキシブル部の模式的な断面図である。
配線基板45は、図12に示すように、リジッド部においては、ベースフィルム14の反対の面に形成された第1信号配線群16a,16a,16aと第2信号配線群16b,16b,16bとで構成される差動ペア(差動配線)により第1配線層9及び第2配線層10が形成され、第1信号配線群16a,16a,16aの各信号配線同士の間に第1グラウンド線17aが、第2信号配線群16b,16b,16bの各信号配線同士の間に第2グラウンド線17bが形成されている。また、第1信号配線群16a,16a,16aと、第2信号配線群16b,16b,16bとは、互いに対して水平方向にずらして配置されているが、第1グラウンド線17a及び第2グラウンド線17bは、ベースフィルム14を介して重なり合うように配置されている。そして、第1グラウンド線17a、第2グラウンド線17bは、上下の配線層である第3配線層8(グラウンドプレーン18)及び第3配線層11(グラウンドプレーン18)と層間接続用ビア25で接続されている。
配線基板45においては、図13に示すように、フレキシブル部の断面構造は、ベースフィルム14の反対の面に形成された第1信号配線群16a,16a,16aと第2信号配線群16b,16b,16bとで構成される差動ペア(差動配線)が第二配線層9と第三配線層10とを構成し、第1信号配線群16a,16a,16aの各信号配線同士の間に第1グラウンド線17aが、第2信号配線群16b,16b,16bの各信号配線同士の間に第2グラウンド線17bが形成されている。また、第1信号配線群16a,16a,16aと、第2信号配線群16b,16b,16bとは、互いに対して水平方向にずらして配置されているが、第1グラウンド線17a及び第2グラウンド線17bは、ベースフィルム14を介して重なり合うように配置されている。
配線基板45においては、隣接する配線層に配置された第1グラウンド線17aと第2グラウンド線17bとが互いに対して重なり合うように配置されていること、そしてリジッド部において、第1グラウンド線17aと第2グラウンド線17bとが上下の配線層(第3配線層8、第4配線層11)に配置されたグラウンドプレーン18と接続されていることが、実施例1の配線基板と相違する。
図8,9で説明したように、リジッド基板の厚みがベースフィルムの厚みの2倍よりも薄く、相対的に上下のグラウンドプレーン18が第1信号配線及び/又は第2信号配線に近くなると、グラウンドプレーンと第1信号配線及び/又は第2信号配線との電磁界結合が強くなり、グラウンドプレーンに流れるリターン電流が無視できなくなる。フレキシブル部においては上下にグラウンドプレーンが無いため、リジッド部のグラウンドプレーン上のリターン電流はいずれかの経路を通ってフレキシブル部のリターン電流とつながる必要がある。こうした直接接続する経路が無い場合、周囲のプレーンとの容量結合や遠く迂回する経路によって接続することになり、リターン電流の経路が信号の経路ほど直接的でないために共振等が発生してしまい、伝送品質が低下する傾向となる。
配線基板45においては、リジッド部とフレキシブル部を通じて第1信号配線群16a,16a,16a及び第2信号配線群16b,16b,16b等の信号配線に隣接して第1グラウンド線17a、第2グラウンド線17bが形成されることにより、リジッド部とフレキシブル部とで信号のリターン電流が途切れることなく流れ、不要な信号の反射や放射を抑制して良好な信号伝送特性を保つことができる。このように、リジッド部とフレキシブル部とで伝送線路構造が異なる場合にも、接続部での信号品質の劣化を抑制することができる。
配線基板45においては、さらにリジッド部においては図12に示すように上下のグラウンドプレーン18と第1グラウンド線17a、第2グラウンド線17bを接続することにより、両者を同電位に保ちグラウンドの揺れを抑えることができる。この層間接続用ビア25はできるだけ多く配置する方がその効果が高くなり、同じグラウンド線17a,17bに配置する層間接続用ビア25同士の間隔は、伝送する信号の半波長よりも短くすることが望ましい。また、リジッド基板とベース基板(フレキシブル基板)の境界にできるだけ近い領域に配置することにより、リターン電流の連続性を高めて高周波特性を良好に保つことができる。
配線基板45のリジッド部においては、上述のとおり、上下のグラウンドプレーン18と第1グラウンド線17a、第2グラウンド線17bを接続することにより、両者を同電位に保っている。このため、グラウンドプレーン18と第1信号配線群16a,16a,16a及び/又は第2信号配線群16b,16b,16bとの距離を近づけて、配線基板の薄型化を実現しやすい。具体的には、グラウンドプレーン18と第1信号配線群16a,16a,16a及び/又は前記第2信号配線群16b,16b,16bとの距離を、ベースフィルム14の厚さの2倍以下とすることができる。
配線基板45においては、第1グラウンド線17a、第2グラウンド線17bによって信号配線間のクロストークを抑制することもできる。第1グラウンド線17a及び第2グラウンド線17bは、実施例1の配線基板のようにずらして配置する必要はなく、本実施例のように重なっていてもよい。
(比較例1)
図14(a)は、比較例1に用いたベース基板(フレキシブル基板)の模式的な断面図である。同図のベース基板1hは、特開2003−224408号公報(特許文献3)の図1に示される高周波用配線基板の断面図と同様の構造を用いている。
図14(a)に示されるベース基板(フレキシブル基板)1hでは、近年の薄膜誘電体基板を使用した場合、差動特性インピーダンスが下がりすぎて100Ωに合わせることができなくなる。具体的には、機器の小型化・高密度化に対応するため、リジッドフレキ配線基板には高密度配線・微細配線の要求が高まっている。そして、ベース基板においてリジッド基板に挟まれない領域であるフレキシブル部に高密度で微細な配線を形成するためには、ベースフィルムを薄くすることが有効であるので、近年はベースフィルムの薄膜化が進んでいる。しかし、ベースフィルムが薄くなると図14(a)におけるグラウンドプレーン6hと信号配線3h,4hとの距離が近づき、特性インピーダンスが低くなる。
この点を定性的に説明する。差動ペアを構成する二本の信号配線に同振幅・逆位相の信号を入力した時の差動特性インピーダンスZdiffは、信号配線の単位長あたりの自己インダクタンスL、対地容量C、線間容量Cを用いると、下記式(1)で表される。
Figure 0005194722
式(1)において、Cは主にベースフィルムの厚さ、ベースフィルムの誘電率、配線幅によって決定し、ベースフィルムが薄くなるほど大きくなり、また配線幅が細くなると小さくなる。一方、Lは主に信号配線の配線幅によって決定し、配線が細くなると大きくなる。従って、差動特性インピーダンスZdiffはベースフィルムが薄くなると小さくなり、配線幅が細くなると大きくなる。上述したように、一般に差動特性インピーダンスZdiffは100Ωで設計されるが、現在入手できる最も薄いベースフィルムを使用した場合、加工可能な最も細い配線パターンを用いても100Ωよりも低い差動特性インピーダンスになってしまい、所望の差動特性インピーダンスZdiffを達成することができない。
以下に、図14(a)のベース基板1hの差動特性インピーダンスZdiffを電磁界シミュレーションで計算した結果を示す。電磁界シミュレーションを行う前提として、現在の一般的なベースフィルム2hは、材料はポリイミドが広く使用されており、その厚さは200μm〜25μm、信号配線3h,4hの最小の配線幅/配線間隔は100μm程度である。そこで、シミュレーションモデルのベースフィルム2hの厚さは最も薄い膜厚よりも少し厚くした50μm、配線間隔を最小の100μmとし、ベースフィルム2hの比誘電率を3.66、カバーレイ(図14(a)では図示していない。)の比誘電率を3.2として、配線幅wを変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した。なお、カバーレイの厚みは37μmとした。また、ここでは差動特性インピーダンスZdiffが最も高くなる場合を示すために、シミュレーションモデルには左右のグラウンド線5hを含めていない。
図15は、比較例1のベース基板の差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。同図のグラフは、横軸に信号配線3h,4hの配線幅w(μm)が示され、縦軸に差動特性インピーダンスZdiffが示されている。同図からわかるように、信号配線3h,4hの配線幅wが細くなるほど差動特性インピーダンスZdiffは高くなるが、最小の配線幅である100μmの場合でも差動特性インピーダンスZdiffが100Ωを下回る結果となっている。また、式(1)で説明したとおり、ベースフィルムの厚さがこのモデルよりも薄くなるとさらに差動特性インピーダンスZdiffは小さくなる。このように、図14(a)に示すベース基板では、現在加工可能な最も細い配線パターンを用いても100Ωよりも低い差動特性インピーダンスZdiffとなる。そして、差動特性インピーダンスZdiffを大きくするために厚いベースフィルムを用いると、微細な信号配線の加工が困難になって信号配線の最小の配線幅が太くなり、差動特性インピーダンスZdiffの減少やベース基板における配線に要する幅の増加を招くことになる。
(比較例2)
図14(b)は、比較例2に用いたベース基板(フレキシブル基板)の模式的な断面図である。同図のベース基板1ahは、特開2003−224408号公報(特許文献3)の図3に示される高周波用配線基板の断面図と同様の構造を用いている。
図14(b)に示されるベース基板(フレキシブル基板)1ahでは、近年の薄膜誘電体基板を使用した場合、現在加工可能な最も細い配線パターンを用いても100Ωよりも低い差動特性インピーダンスになってしまい、所望の差動特性インピーダンスを達成することができない、という課題がある。
以下に、図14(b)のベース基板1ahの差動特性インピーダンスZdiffを電磁界シミュレーションで計算した結果を示す。ベース基板1ahのパラメータ値は、比較例1のシミュレーションモデルと同様にした。具体的には、ベースフィルム2hの厚みは50μm、配線間隔は最小の100μmとし、ベースフィルム2hの比誘電率を3.66、カバーレイ(図14(b)には図示していない。)の比誘電率を3.2として、信号配線3ah,4ahの配線幅wを変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した。なお、カバーレイ(図14(b)には図示していない。)の厚みは37μmとした。また、左右のグラウンド線5ah、6ah、7hはシミュレーションモデルから除き、差動特性インピーダンスZdiffが最も高くなる構造とした。
図16は、比較例2のベース基板の差動特性インピーダンスZdiffの計算結果を示すグラフである。同図のグラフは、横軸に信号配線3ah,4ahの配線幅w(μm)が示され、縦軸に差動特性インピーダンスZdiffが示されており、図14(b)における信号配線3ah、4ahの配線幅wを変化させた時の差動特性インピーダンスZdiffの計算結果を示している。同図からわかるように、配線幅wが細くなるほど差動特性インピーダンスZdiffは高くなるが、配線幅wが100μmの時にはZdiff=70Ω程度であり、一般に用いられるZdiff=100Ωとするためには配線幅wを50μm程度まで細くしなければならない。現在の最小の配線幅wは100μm程度であり、50μmまで細くすることは、製造管理上非常に困難である。このように、図14(b)に示されるベース基板1ahでは、近年の薄膜誘電体基板を使用した場合、差動特性インピーダンスZdiffが低くなりすぎて100Ωに合わせ込むことができなくなる。
(比較例3)
図17は、比較例3の配線基板(リジッドフレキ基板)の模式的な断面図である。図18は、図17のA−A’面での模式的な断面図である。図19は、図17のB−B’面での模式的な断面図である。比較例3の配線基板では、信号配線層R3に各信号配線を配置し、図19に示す点線で囲まれる2つの信号配線が差動ペアを構成する。
比較例3の配線基板(リジッドフレキ基板)には以下のような課題がある。
まず、比較例1,2と同様に、ベース基板を薄くした場合(具体的にはベースフィルムを薄くした場合)に差動特性インピーダンスZdiffが低くなって、現在のフレキシブル基板の配線加工の能力では、Zdiff=100Ωを達成できない。
また、図19からわかるように、ガードパターンとなるグラウンド線が信号配線同士の間に存在しないために、隣接配線同士が電磁結合してクロストークが発生しやすい、という課題もある。
さらに、図18に示すベース基板がリジッド基板に挟まれる領域であるリジッド部では、信号配線層R3の信号配線の下の配線層R4にグラウンドプレーンが存在するが、図19のフレキシブル部ではそのグラウンドプレーンが存在しないため、信号配線の配線幅が一定の場合リジッド部とフレキシブル部で差動特性インピーダンスZdiffが変化し、フレキシブル部とリジッド部とで差動特性インピーダンスZdiffを一定にできなくなる。このことは、リジッド部とフレキシブル部とでリターン電流の経路が変化する、ということを意味する。すなわちリターン電流は、図19のフレキシブル部では信号配線の信号配線層R2のグラウンドプレーンだけに流れるのに対し、図18のリジッド部では信号配線層R2とR4のグラウンドプレーンに流れる。このため、フレキシブル部とリジッド部との接続部において信号の反射が発生し、信号特性が劣化する。
これに対して、本発明においては、リターン電流は第1信号配線に隣り合う第1グラウンド線、及び第2信号配線に隣り合う第2グラウンド線に主に流れるため、リジッド部とフレキシブル部でリターン電流の経路が変化するのを防ぐことができる。
また、本発明においては、ベースフィルムの一方の面及び他方の面にそれぞれ第1信号配線群及び第2信号配線群を設け、これら第1信号配線群及び第2信号配線群のうち一本ずつの信号配線で差動ペアを構成し、かつ、差動ペアを構成する第1信号配線と第2信号配線とを水平方向に一定距離ずらして配置する。これにより、差動特性インピーダンスZdiffは、配線幅L、ベースフィルムの厚さ、ずらし量D、配線間隔S、ベースフィルム及びカバーレイの誘電率εによって一意に決まる。そして、上記説明した、式(1)との関係は、Cは、主に誘電率εと配線間隔Sによって決定し、Cは、配線幅L、ベースフィルムの厚さ、ずらし量Dによって決定する。ベースフィルム及びカバーレイの厚さを固定した場合、図18の構造ではCは一定となってある値以下にすることができないが、本発明の配線基板では、配線間隔Sとずらし量Dとを大きくすればC、Cを任意の値まで下げることができる。従って、薄いベースフィルムを用いた場合でも容量が大きくなりすぎることがなく、差動特性インピーダンスZdiffを所望の値に合わせることができる。
また、差動ペアにおいてはずらし量Dを変化させることによって差動特性インピーダンスZdiffを調整することができる。上下にグラウンドプレーンが存在しないベース基板のみで構成されるフレキシブル部に対して、ベース基板をリジッド基板で挟むことによって上下にグラウンドプレーンが存在するリジッド部では、対地容量Cが増加してしまうが、リジッド部ではフレキシブル部よりもずらし量Dを大きくすることにより、リジッド部とフレキシブル部とで特性インピーダンスを一定に保つことができる。さらに、第1グラウンド線及び第2グラウンド線を、それぞれ第1信号配線及び第2信号配線と同じ方向にずらすことにより、グラウンド線たるガードパターンがあっても高密度に信号を配置することができる。そして、リターン電流は第1信号配線に隣り合う第1グラウンド線、及び第2信号配線に隣り合う第2グラウンド線に主に流れるため、リジッド部とフレキシブル部でリターン電流の経路が変化するのを防ぐことができる。さらに、差動ペアにおいて、隣接する第1信号配線の間には第1グランド線、隣接する第2信号配線の間には第2グランド線を設ければ、異なる差動信号配線同士が直接電磁結合するのを防ぐことができ、クロストークを低減することができる。
参考例1のベース基板の模式的な断面図である。 参考例1のベース基板における差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。 参考例2のベース基板の模式的な断面図である。 参考例3のベース基板における差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。 実施例1の配線基板の一例の模式的な断面図である。 図5のC−C’面での模式的な断面図である。 図5のE−E’面での模式的な断面図である。 信号配線(伝送線路)からグラウンドプレーンまでの距離と、電磁界結合の強さとの関係を表すグラフである。 信号配線(伝送線路)からグラウンドプレーンまでの距離と、電磁界結合の強さとの関係を表す他のグラフである。 ずらし量Dを変化させて差動特性インピーダンスZdiffを計算した結果を示すグラフである。 実施例3の配線基板のリジッド部の模式的な断面図である。 実施例4の配線基板のリジッド部の模式的な断面図である。 実施例4の配線基板のフレキシブル部の模式的な断面図である。 比較例1,2に用いたベース基板(フレキシブル基板)の模式的な断面図である。 比較例1のベース基板の差動特性インピーダンスの計算結果を示すグラフである。 比較例2のベース基板の差動特性インピーダンスZdiffの計算結果を示すグラフである。 比較例3の配線基板(リジッドフレキ基板)の模式的な断面図である。 図17のA−A’面での模式的な断面図である。 図17のB−B’面での模式的な断面図である。 プリント配線基板とコネクタとの接続構造を示す模式的な平面図である。
符号の説明
1,9 第1配線層
2,10 第2配線層
3,14,2h,R7 ベースフィルム
4,13,R6 カバーレイ
5,16,3h,4h,3ah,4ah 信号配線(第1信号配線群、第2信号配線群)
6,7,17,5h,5ah,6ah,7h グラウンド線(第1グラウンド線、第2グラウンド線)
8 第3配線層
11 第4配線層
12,R5 リジッド基板
15 半導体装置
18,6h グランドプレーン
19,22 制御信号線
20,21,23,24 電源プレーン
25 層間接続用ビア
31 一方の面
32 他方の面
33 層間接続用貫通スルーホール
30,40,50,1h,1ah ベース基板
35,45 配線基板
R1,R4 配線層
R2,R3 信号配線層

Claims (7)

  1. ベースフィルム、該ベースフィルムの一方の面及び他方の面にそれぞれ設けられた第1配線層及び第2配線層、及び該第1配線層と該第2配線層との上にそれぞれ設けられたカバーレイから構成されたベース基板と、該ベース基板の一部を挟むようにして設けられた2つのリジッド基板と、を少なくとも有する配線基板であって、
    第1信号配線群と第2信号配線群とがそれぞれ前記第1配線層と前記第2配線層に同方向にストライプ状に設けられ、前記第1信号配線群の各信号配線は前記第2信号配線群の各信号配線と差動ペアを形成し、前記第1信号配線群及び前記第2信号配線群が前記ベースフィルムの水平方向にずらして配置されるとともに、前記差動ペアが、前記2つのリジッド基板に挟まれていない前記ベース基板の領域から前記2つのリジッド基板に挟まれている前記ベース基板の領域まで連続的に形成される構造を有し、
    前記リジッド基板における、前記ベース基板と接する面とは反対側の面にのみグラウンドプレーンが形成され
    前記第1信号配線群の隣り合う信号配線同士の間に第1グラウンド線が設けられ、前記第2信号配線群の隣り合う信号配線同士の間に第2グラウンド線が設けられることを特徴とする配線基板。
  2. 前記ベースフィルムを介して最も近くに位置する前記第1グラウンド線と前記第2グラウンド線とが、それぞれ前記第1信号配線群及び前記第2信号配線群と同方向にずらして配置されている、請求項に記載の配線基板。
  3. 前記グラウンドプレーンと前記第1信号配線群及び/又は前記第2信号配線群との距離が、前記ベースフィルムの厚さの2倍以上である、請求項1又は2に記載の配線基板。
  4. 前記グラウンドプレーンと前記第1グラウンド線及び/又は前記第2グラウンド線とが、層間接続ビアによって接続されている、請求項1又は2に記載の配線基板。
  5. 前記グラウンドプレーンと前記第1信号配線群及び/又は前記第2信号配線群との距離が、前記ベースフィルムの厚さの2倍以下である、請求項に記載の配線基板。
  6. 前記ベース基板がフレキシブル基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載の配線基板。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の配線基板のリジッド基板に半導体装置又は半導体パッケージを搭載する、ことを特徴とする半導体装置。
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