JP2010113782A - 出力をバランス化した差動型再生磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

出力をバランス化した差動型再生磁気ヘッド及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工時劣化を抑制するとともに,二素子出力をバランス化した差動型再生磁気ヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】磁気抵抗効果膜を加工するイオンミリング工程において,トラック幅側面形状が変曲点を持ち基板下部方向へ拡幅するハーフテーパーを形成する。そのために,トラック幅Tw,高さhのマスクパターンを用い,磁気抵抗効果膜の全膜厚をt,基板側から最初の磁気検知膜中心までの膜厚をt1,最初の磁気検知膜中心から次の磁気検知膜中心までの膜厚をGLとしたときに,イオン入射角θが,tanθ≦0.3×Tw×(GL+t1)/(GL×(t+h))を満たし,加工量が2×(t−t1−GL)以上であるイオンミリングを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は,磁気記録再生装置に搭載する磁気ヘッド用再生センサとしての差動型磁気抵抗効果素子とその製造方法に関わる。
ハードディスクドライブ(HDD)の記録密度増加を目的として,磁気ヘッドの寸法は年々微細化が進んでいる。古くは記録ヘッドと再生ヘッドを兼用する誘導型ヘッドが主流であったが,現在の主流は性能向上のため記録ヘッドと再生ヘッドを分離した録再分離ヘッドである。記録ヘッドはコイルによる誘導磁界で情報を書き込む誘導ヘッドであるが,再生ヘッドは,磁気センサーとしてスピンバルブを利用したGMR(Giant Magneto- Resistance)ヘッドもしくはTMR(Tunnel Magneto-resistance)ヘッドが用いられる。図2に,記録ヘッド部1と再生ヘッド部2を有する録再分離型ヘッドの模式図を示す。また,図3に再生ヘッド部分の拡大図を示す。図3は磁気ディスク媒体に対向する面(ABS面,図2のAから見た面)から見ている。磁気ヘッドはAl23−TiC(アルミナ−チタンカーバイド,以下AlTiC)基板上に微細加工技術を使って形成する。なお後の図面も含め,基板部分の図示は省略している。パーマロイからなる下部磁気シールド層3及び上部磁気シールド層4は電極を兼ねており,その間に形成した多層膜のスピンバルブ型磁気抵抗効果膜5に通電して磁気を検知する。磁気を検知する磁気抵抗効果膜5を絶縁分離する部分にはアルミナ絶縁膜11を用い,さらに隣接してバイアス磁界を加える永久磁石膜6が配置される。
情報の面記録密度を増大するために,再生ヘッドの観点から重要な設計寸法はトラック幅Twとギャップ長Gsである。各々,磁気ディスク上の記録ビットの半径方向寸法(トラック幅)の分解能と円周方向寸法(ビット長)の分解能に対応し,これらを微細化して年率40%にも達する急激な面記録密度の増加を達成してきた。しかしながら,トラック幅Twと異なりギャップ長Gsには技術的な微細化限界が迫っている。その理由は,トラック幅Twは磁気抵抗効果膜の加工幅でありリソグラフィー技術による微細パターニングの改良で今後も微細化が可能なことに対し,ギャップ長Gsは少なくとも磁気センサが収まるだけの膜厚が下限となるためである。現在量産されている製品ではトラック幅Twとギャップ長Gsの代表的な寸法は各々Tw=60〜90nm,Gs=30〜40nmとなっている。GMRもTMRも,スピンバルブとして機能を果たすためには最低25nmの膜厚が必要と見られており,ギャップ長Gsが25nm以下に相当するヘッドの実現には技術革新が必要となっている。
超狭Gsヘッドを実現可能な技術として,差動型ヘッド技術が知られている。その構造と等価回路を図4に示す。再生センサとしてスピンバルブ15,16を2つ積層してセンス電流17を流し,二素子の差分出力を得ることで外部磁界の変化を検出できる。記録ビット方向に相当するGs方向の分解能は,従来の単素子型ではシールド間距離Gsに依存したが,差動型ヘッドの場合には二素子の磁気検知膜としての自由層同士の距離GLに依存する。このためGLをGs下限以下に縮小し分解能を向上できる可能性がある。差動型再生ヘッドの技術は例えば特許文献1に開示されている。
特許第3760095号
HDD向けの差動型再生ヘッド構造がビット方向の分解能を向上できる可能性は以前から知られていたものの,その製造プロセスの難しさ故にこれまで実証されてこなかった。また,これまでは単層スピンバルブの薄膜化によって従来の単一素子構造ヘッドでも技術要求に応えられていた。しかしながらロードマップに沿った性能向上トレンドから,発明者らは近い将来に前述した技術限界に達することは明らかと考え,差動型再生ヘッドの研究開発を行い,その過程で製造プロセス上に次の課題があることを見出した。
まず,1点目は2つの素子の連続成膜に起因し,後から成膜した上側素子の膜特性が劣化しやすい課題がある。推定原因として先に成膜した下側素子の結晶成長により,上側素子の下地となる面のラフネス増大が考えられる。2点目の課題として,成膜した二素子を含むセンサ膜を所望のトラック幅に加工するイオンミリング工程で,素子特性を劣化させやすいことがある。差動型構造では二素子分で従来の倍の膜厚を加工するため,加工時に露出する素子端面ダメージや,イオンミリングの再付着物により特性が劣化する可能性が高い。
上記の説明を補足するため,以下に差動型再生ヘッドの製造プロセスフローを追って課題を明らかにする。
図5から図11は,AlTiC基板上の再生ヘッド部分を拡大したプロセスフロー模式図である。図の右側(b)はABS面から見た断面図で,左側(a)はこれに垂直にウエハ状態で上面に相当する側から見た図を示す。図5はパーマロイからなる下部磁気シールド層3を形成し,その上に差動構造のスピンバルブ型磁気抵抗効果膜14を成膜した段階である。磁気抵抗効果膜14は複雑な多層膜構成をしており詳細は省略するが,機能別の構造を図6に示した。下側素子15は通常のスピンバルブ同様に下地層20,固定層21,絶縁層22,自由層23を順に積層した構造をとる。その上に,タンタルやルテニウム等の非磁性中間層24を介して,上側素子16の自由層25,絶縁層26,固定層27を下側と逆転した配置で積層する。ここではスピンバルブとしてTMR膜を選択した。CPP−GMRの場合には絶縁層が中間層に置き換わる。成膜順が後の上側自由層25は,下側と異なり非磁性中間層24の上に形成される。ところが非磁性中間層24は下地層20に比べ一般に厚く,成膜途上の結晶成長でラフネスが増加しやすい。これに下側素子形成過程で蓄積された表面凹凸も加わって上側素子成膜時の下地品質は劣化し,上下素子の特性が膜段階で既に揃わないことが多い。差動動作にとって二素子からの出力差は後に述べるベースラインシフトにつながるため,成膜段階での特性差を後工程で如何に補償するかが1つめの課題となる。
成膜後,まず素子高さパターンの加工を先に行う。図7に示すように,ホトレジスト30を塗布し,ホトリソグラフィーによって素子高さパターン31を形成する。素子高さパターンは,磁気ヘッドのABS面の法線方向奥行きのどこまで磁気抵抗効果膜が存在するかを決める。ホトレジスト30は後のリフトオフ工程での剥離性を考慮して下層が剥離層の機能を有する2層マスク構成を用いる。続いて,イオンミリングを用いて磁気抵抗効果膜を除去する。この段階で,従来素子より長い加工時間のために,露出した磁気抵抗効果膜の側面32(図8参照)がイオンミリングの入射イオンでダメージを受けたり, ミリング時の導電性再付着物が壁面でのショートを引き起こす。特に,先に端面が露出する上側素子の劣化量が多くなる。これが2つ目の課題となる。
この後,絶縁膜として例えばアルミナ9を堆積した段階が図8である。リフトオフにより磁気抵抗効果膜上部のレジストと絶縁膜を除去すると図9の状態となる。次に,トラック幅パターン33を形成する。図10に示すようにホトリソグラフィーを用いて,先の素子高さの場合と同様に,ホトレジスト30でトラック幅パターンを形成する。これをイオンミリングにより素子に転写する。ここでもイオンミリングによって露出した磁気抵抗効果膜の端面が劣化し,特に上側素子の劣化が多くなる。このトラック幅の加工の方が素子高さに比べ最終形状のヘッドでの周長が長いため影響が大きく,加工精度要求も高いため,2つ目の課題の内でもより重要といえる。
続いて不要な磁気抵抗効果膜と絶縁膜を除去した後,磁気抵抗効果膜側壁の絶縁膜としての薄いアルミナ膜11と,永久磁石膜6(ハードバイアス膜)を堆積すると,図11の状態となる。ハードバイアス膜6は磁気抵抗効果素子5にバイアス磁界を加える永久磁石の役割を果たし,例えばコバルト・クロム・白金などの合金膜を用いる。リフトオフにより磁気抵抗効果膜上部のホトレジストと絶縁膜及びハードバイアス膜を除去すると図12の状態となり,再生センサの基本構造が完成する。この後の図面は省略するが,上部磁気シールド層としてパーマロイを堆積した後,そのまま再生ヘッドの上部に記録ヘッドを形成する工程が続く。なお,この例では素子高さパターンを先に加工し,続けてトラック幅パターンを加工したが,逆にトラック幅,素子高さ,の順で加工する方法もある。
次に,差動型再生ヘッドの二素子出力の不整合によって発生するベースラインシフトの課題について述べる。図13に差動型ヘッドの出力波形の模式図を示した。理解を容易にするため差動型ヘッドを構成する素子1の出力を40に,素子2の出力を41に記載した。これらを直列接続した抵抗の和が差動素子の出力42として得られる。素子1と素子2は外部磁界に対して逆極性に反応するように固定層の交換結合層数の偶奇を変えている。このため素子1と素子2は理想的な均一磁界の下ではお互いの出力が相殺し合って差動素子の出力はフラットになる。各素子の磁気検知膜,すなわち自由層の位置をGLだけ離間させているため媒体(HDD円盤)の磁化遷移を感じる瞬間は両素子でズレがあり,この差が差動出力信号となって現れる。従って差動出力信号は外部磁界が変化する磁化遷移点でのみ得られ,差動型再生ヘッドは微分センサであることがわかる。同じ構成で二素子の出力に差がある場合の出力波形の模式図を図14に示す。素子2の出力が素子1より低い。出力の和42を見ると,信号の平坦部が磁界極性に応じてシフトするベースラインシフト43を示す。ベースラインシフトの度合いは図14中のB/A(%)で定義する。ベースラインシフトが発生すると差動型再生ヘッドの最終的な性能指標としてのエラーレートが低下することが問題になる。
本発明はかかる課題に鑑み,差動型再生ヘッドの二素子出力のバランス化が可能な製造方法と,これを実現した差動型再生ヘッドを提供するものである。
上記課題を解決する手段として,磁気抵抗効果膜を加工するイオンミリング工程において,磁気抵抗効果膜の側面形状が膜厚方向中間位置に変曲点を持ち,変曲点から基板上部方向はほぼ垂直に形成され,変曲点から基板下部方向へはトラック幅が拡幅する形状,すなわちハーフテーパーを形成する。図15に示すようなハーフテーパー形状を形成するためには,トラック幅Tw,側壁形状がほぼ垂直な高さhのマスクパターンを用い,二素子15,16を含む磁気抵抗効果膜の積層膜の全膜厚をt,基板側から最初の磁気検知膜中心までの膜厚をt1,最初の磁気検知膜中心から次の磁気検知膜中心までの膜厚をGL,と表記したときに,イオンミリングの基板法線方向に対して定義するイオン入射角θが,
tanθ≦0.3×Tw×(GL+t1)/(GL×(t+h))
を満たすイオンミリング工程のステップを少なくとも1つ含み,全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1−GL)以上かつ2×t以下であれば良い。このとき,差動型再生磁気ヘッドの2つの磁気検知膜中心のトラック幅を各々Tw1,Tw2と表記するとこれらの比Tw1/Tw2が1以上1.59以下の範囲となる。
特に二素子の磁気抵抗効果特性が等しいときには,二素子を含む磁気抵抗効果膜の全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1)以上かつ2×t以下であるイオンミリングを行うことで,ミリング入射角に拠らず二素子のトラック幅Tw1,Tw2が等しいハーフテーパー形状を形成することができる。
また,通常よりも厚膜の差動型磁気抵抗効果膜のイオンミリングは長時間の加工となる。この時に露出する素子端面,特に先に露出する上側端面へのイオンミリング再付着導電物によるシャント(短絡)を防ぐために,イオンミリング加工後に加工側面をオゾンなどで強制的に酸化する工程を設けてもよい。これにより差動型磁気抵抗効果膜の加工に特有の課題を解決できる。
本発明のハーフテーパー形状による第1の効果は,積層された二素子端面へのイオンミリング再付着を防止できることにある。通常よりも厚膜となる差動型の積層された磁気抵抗効果膜は,イオンミリング加工時に先に露出する上側素子の端面に再付着物がつきやすい。この様子を図16に示す。再付着物44は主にイオンミリングで除去された金属導電体のため,磁気抵抗効果膜端面に付着すると望ましくない導電パスとなる。これは等価回路的には磁気抵抗効果のない並列抵抗となり,実効的な磁気抵抗効果が低減する。イオンミリング入射角を調整してハーフテーパーを形成すると,磁気抵抗効果膜端面が露出するイオンミリング工程の後半で再付着がつきにくいために,差動型の磁気抵抗効果膜であっても二素子の特性劣化の少ない加工が行える。なお,単純に再付着を最小限にするためには素子の膜厚方向最上部から傾斜をもたせるフルテーパーにするのが良い。しかしながらフルテーパーでは差動型構造の場合,二素子のトラック幅に差がつきすぎること,また差動型を実用化する世代のトラック幅100nm以下の微細寸法ではマスク幅がリソグラフィーで安定形成可能な寸法を下回ることになり幾何学的に難しい。ハーフテーパーによって初めて微細なトラック加工と再付着防止を両立する効果が得られる。
ハーフテーパー形状による第2の効果は,二素子の出力補正をトラック幅又は素子高さの調整で行える点にある。差動型構造で二素子分の磁気抵抗効果膜を積層すると,素子成膜時の結晶成長等により膜表面のラフネスが増大していくため,上側素子は荒れた下側素子表面上に成膜することになり特性が劣化しやすい。その結果,上側素子の出力が相対的に低くなり二素子のバランスが崩れる。これを補償するために,ハーフテーパー形状では上下の素子面積に差を設けることができる。センス電流は素子の膜面垂直方向に流れるので,素子抵抗は素子面積に反比例する。出力の高い下側素子のトラック幅又は素子高さを拡幅して面積を広げると素子抵抗が減って出力を下げられる。二素子の出力がバランスするよう適切に素子面積に差を設けたハーフテーパー形状を形成することで,例え膜特性に差があっても,素子としての出力バランスに優れた差動型ヘッドを実現できる。この結果,差動型素子としての波形歪みを改善しエラーレートを向上できる。
また,本発明の差動型磁気抵抗効果膜の加工後素子端面を強制酸化する方法は,先にも述べたイオンミリング時に露出する端面,特に上側素子部への再付着導電物によるシャント(短絡)を防ぐ効果がある。イオンミリングでは,加工形状を重視して垂直に近いイオン入射角を用いた場合など,ある程度の再付着が避けられない場合がある。これに対して磁気抵抗効果膜にTMR型のスピンバルブなど絶縁性の中間層を用いると微量の再付着導電物によるシャントでも,これが主な電流経路となってしまい特性劣化の度合いが大きい。これを防止するためにイオンミリング加工後に加工端面をオゾンなどで強制的に酸化する工程を設けることで,微量の再付着金属等を酸化して絶縁体に変化し,シャントを防止する効果が得られる。
以下,本発明を実施するための最良の形態について記述する。
まず,第1の実施例について説明する。再生磁気ヘッドのウエハ製造工程の内,AlTiC基板上に配線兼下部磁気シールドとしてパーマロイ3を成膜してパターニングした段階までは図5に等しい。これより前の工程は一般的な磁気抵抗効果素子を用いる再生磁気ヘッドの製造工程に等しいため記述を省略している。なお,ここで示しているウエハ断面は磁気ヘッド完成後のABS面(エアベアリングサーフェス面,媒体対向面)に相当する。下部磁気シールド成膜時の表面凹凸をCMPで平坦化した後,多層膜の磁気抵抗効果膜14を堆積した段階が図17である。ここで磁気抵抗効果膜14は差動型構成のため,スピンバルブを2つ積層した構造とする。スピンバルブ間には非磁性中間層を挟み,スピンバルブ/非磁性中間層/スピンバルブの積層構造をとる。スピンバルブは各々,自由層,中間層,固定層から構成される。上下のスピンバルブはそれぞれの自由層が中間層を挟んで対称な配置をとる。スピンバルブの構成まで含めて機能別に差動型磁気抵抗効果膜の全体を上から順に記述すると,キャップ層/固定層/中間層/自由層/非磁性中間層/自由層/中間層/固定層/下地層,となる。この様子は図6に示した通りである。固定層は詳細には,反強磁性体に交換結合する強磁性層/Ru/強磁性層の積層構造を利用した積層固定層構造をとる。
この非磁性中間層を介した差動構造の特徴は,非磁性中間層の膜厚を自由に設定できることで,適用する技術世代で求められる磁化遷移のピッチに最適化したギャップ長を実現できることである。ここで,差動動作させるためには上側素子の磁化固定方向と下側素子の磁化固定方向を逆転させる必要があり,各々の固定層の交換結合層数は互いに偶数奇数で異なる構成とする。ここでは下側素子を3層,上側素子を2層の交換結合層数とした。スピンバルブにはトラック幅が狭くても抵抗の低いオールメタル型のCPP−GMR素子を用いた。
図18に膜構成の詳細を記す。下地層20の上に下側素子15を形成し,その上に非磁性中間層24を介して上側素子16を形成し,その上にキャップ層28を形成した。下側素子15は,固定層21,中間層45,自由層23からなる。また,上側素子16は,非磁性中間層24の上に積層された,自由層25,中間層45,固定層27からなる。磁気抵抗効果膜トータルでの膜厚は78nmあり,通常の膜厚30〜40nmの約2倍である。成膜後に測定した上下素子の磁気抵抗比(MR比)は各々,上側素子が4.2%,下側素子が5.6%であり,下側素子が大きい。
次に,素子高さパターンの形成を行う。図19に示すように,ホトレジスト30を塗布し,ホトリソグラフィーによって素子高さパターンを形成する。ホトレジスト30は,詳細にはホトレジスト/ポリイミド/DLC(ダイヤモンドライクカーボン膜)の3層構成マスクとして用いる。ポリイミドは後のイオンミリング工程にてホトレジストのみでは不足するマスク耐性を補う役割があり,DLCはさらに後のCMPリフトオフ工程で磁気抵抗効果膜表面を保護する役割がある。またポリイミドはリフトオフ工程での剥離層の機能も有する。リソグラフィーでパターン形成したホトレジストをマスクにRIE(反応性イオンエッチング)によりポリイミド/DLCにまでパターン転写する。続いて,イオンミリングを用いてホトレジストをマスクとして磁気抵抗効果膜を除去し,絶縁膜としてアルミナ9を堆積した段階が図20である。一般的な超音波+剥離液によるリフトオフ及びCMPリフトオフにより磁気抵抗効果膜上部のレジストと絶縁膜を除去すると図21の状態となり,素子高さパターンの形成工程が終了する。
続いてトラック幅パターンを形成する。トラック幅パターン形成のための3層構成マスク30を塗布し,リソグラフィー装置によりトラック幅Tw=60nmのパターンを露光・現像し,RIEを用いてマスクパターンを形成した段階を図22に示す。差動型構造の長所は,従来型の単層スピンバルブでは不可能な狭いギャップ長に相当する高分解能特性を自由層間距離GLを縮小することで実現できることにある。具体的にはギャップ長相当の自由層間距離GLとして25nm以下が必要な世代において特に効果が大きく,このとき媒体記録磁化のアスペクト比(記録ビットのトラック方向の距離:トラック幅方向の幅)を考慮するとトラック幅Twは少なくとも100nm以下が必要となる。
マスク30は,素子高さパターンの形成工程と同様に,詳しくは上層からホトレジスト/ポリイミド/DLC(ダイヤモンドライクカーボン膜)の3層構造からなる。パターニングも素子高さパターンの際と同様に,ホトレジストをマスクにRIEにより下層のポリイミド/DLCにパターンを転写している。続けて,この状態のマスク30を用いてイオンミリングにより磁気抵抗効果膜14にトラックパターンを転写する。イオンミリング中の断面は既に図16にて示したが,ウエハ法線に対して角度θで入射させるアルゴンイオンにより物理的に磁気抵抗効果膜を除去していく。マスク30に覆われた箇所と,入射するイオンに対してマスクの陰になる部分が削れない。なお,ミリング中のウエハは360度ローテーションさせるのでマスクに対して陰と日向が入れ替わり,平均されて陰部分も日向の大まかに半分程度は削れて行く。こうしたメカニズムで,一般にイオンミリング後の形状はマスク箇所を中心にテーパーが形成される。
ここでは,高さ60nmのマスクを用いて角度10度でミリングを行った。また,初期から40度以下の鋭角でミリングを行うと露出した膜端面に再付着物がつきやすいため,一定量のミリング毎に再付着を除去する目的で真横に近い入射角70度のミリングステップを前ステップの30〜100%の時間追加した。差動型の磁気抵抗効果膜は厚膜のため,10度ミリング+70度ミリングを1セットとして3セット,計6ステップの多段ミリングを行った。トータルのミリング量は平坦部換算で,磁気抵抗効果膜の総膜厚78nmにオーバーミリング2nmを加えた80nmとした。
ミリング後の断面を図23に示す。トラック形状は変曲点46をもち,下側素子のトラック幅Tw1が80nm,上側素子のトラック幅Tw2が60nmで両者の比Tw1/Tw2≒1.33のハーフテーパー形状が形成できた。特に変曲点46の位置は,上下素子の実効的なトラック幅を決めている各自由層の間に配置すると良い。このとき,上下素子のトラック幅に所望の差を設けつつ,狭トラック素子の形成に際しても上部マスク幅をある程度確保して加工が容易となる。
トラック幅の比を80:60と差をつけて形成したことで,両者の抵抗比はこの逆数比の3:4となる。膜としての特性では上下素子のMR比はバランスしておらず5.6:4.2の比であったが,抵抗比を掛けた両者の抵抗変化ΔR=MR比×抵抗Rを比較すると,両者の比は5.6×3:4.2×4=1:1となり出力ΔRがバランス化された。
より一般の場合については,下記の指針に従いハーフテーパーを形成する。各寸法を図1に定義する。マスク高さh(多層単層に依存せず磁気抵抗効果膜上のマスクのトータル高さ),マスクのトラック幅Tw,磁気抵抗効果膜の全膜厚t,基板側から最初の磁気検知膜中心までの膜厚t1,最初の磁気検知膜中心から次の磁気検知膜中心までの膜厚をGL,と表記する。磁気抵抗効果膜を成膜した段階で測定した二素子のMR比の比がMR1/MR2=a(添え字の1が基板側,2が1より上面側を示す)であったとする。発明者らの実験結果によれば,二素子で同じ膜を成膜してもこの比aは,4/3≧a≧1の範囲にある。膜としての特性のアンバランスを素子抵抗で補正するために必要なトラック幅の比はTw1/Tw2=aである。出力ΔRはΔR=MR×R∝MR/Tw(素子高さや比抵抗は同一のため)の関係があり,このとき両者の出力比ΔR1/ΔR2=(MR1/Tw1)/(MR2/Tw2)=a/a=1となるからである。トラック幅の比Tw1/Tw2=aも,4/3≧a≧1の範囲にあり,下側素子のトラック幅が広くなるように加工する。
この寸法のハーフテーパー形状を形成するために必要なイオンミリング条件は,第1次近似として図1に示す入射角θでイオンを入射すればよい。イオンミリング後の形状は近似的にはテーパーの裾がマスクのシャドウ端からイオン入射角θで伸ばした直線と膜表面との交点付近に形成されるためである。より詳細には,基板ローテーションや膜表面の傾斜角,ミリングによるマスクの膜厚減少を考慮した数値シミュレーションを行って求める。ただし両者を比較した結果,ここに示す簡易な近似計算によっても問題となるほどの差異は生じなかった。入射角θを求める式は,
tanθ=0.5×(a−1)×Tw×(GL+t1)/(GL×(t+h)) …(1)
(θは基板法線方向に対して定義するイオン入射角,Twは上側素子トラック幅)
で表せる。これは図1に示した幾何的関係から単純に求められる。ハーフテーパーの裾引き部三角形の底辺をzとして,相似形から
z/(GL+t1)=0.5×(Tw1−Tw2)/GL
であり,これをtanθ=z/(t+h)に代入してzを消去すると式(1)となる。なお,Tw2=Tw1/a≒Twと近似した。
通常は入射角θが40度以下となり,ある程度の再付着が避けられない。このため前述したように入射角70度程度の再付着除去ステップを組み合わせる。この条件でトータルのミリング量を平坦部換算膜厚で,2×(t−t1−GL)だけ加工すると所望のトラック幅比Tw1/Tw2=aのハーフテーパー形状が形成できる。トータルミリング量とハーフテーパー形状との間には一定の関係があり,磁気抵抗効果膜上面から変曲点までの距離が近似的にトータルミリング量の1/2となる。理由を直観的に説明すると,ウエハが360度ローテーションする間にマスクに対して日向と日陰が1/2の割合で入れ替わるため,日向のときのみ削られるマスク直下の変曲点までの距離は平坦部のトータルミリング量の1/2となるためである。より詳細にはミリング量の入射角度依存性を考慮した数値シミュレーションを行って求めるが,両者を比較した結果,上記の近似によっても問題となるほどの差異は生じなかった。
次に,許容範囲まで含めたより一般の指針を示す。差動型磁気ヘッドの二素子の出力ΔRのミスマッチは,前述したように出力波形のベースラインシフトを生じる。ベースラインシフトは最終的にはヘッドのエラーレートを低下させることが問題となる。差動型磁気ヘッドは通常ヘッドに比べ分解能を高められる効果でエラーレートが向上する。これを相殺してもトータルで十分プラスとなるレベルまでをベースラインシフトによるエラーレート低下の許容範囲と考える。発明者らの検討結果から,許容できるエラーレート低下はBER(ビットエラーレート,対数表記)で0.6桁以内の悪化までで,このときのベースラインシフトは20%であった。ベースラインシフトと二素子の出力差の関係は図24に示すように線形で,ベースラインシフトを20%以下とするためには二素子の出力差は16%以内が必要となる。この値に対応する,二素子の許容されるトラック幅比Tw1/Tw2を求める。
素子の出力ΔRは
ΔR=MR×R∝MR×1/(素子高さSH×トラック幅Tw) …(2)
で表される。二素子のMR比が等しい場合,二素子の出力差(ΔR2−ΔR1)/ΔR2(ΔR2>ΔR1)は式(2)を用いて
(ΔR2−ΔR1)/ΔR2=(1−ΔR1/ΔR2)=(1−Tw2/Tw1)
と表される。これが16%=0.16以内となるとき,許容されるトラック幅の比Tw1/Tw2は1.19以内となる。なお,各々の素子高さSHは等しいとしている。この関係を図25に示した。二素子のMR比が等しい場合,ハーフテーパーを形成して下側素子のトラック幅Tw1を拡幅するとベースラインシフトが増大し,Tw1/Tw2=1.19の点Bでベースラインシフトが許容値の20%となる。
図25からは,二素子のMR比が異なる場合へ拡張した場合の指針も得られる。下側素子のMR比が大きい場合を考える。このとき下側素子のトラック幅を拡幅すると出力差が減少しベースラインシフトが一旦改善方向に向かう。最終的に,ベースラインシフトが許容値20%に達するまでのトラック幅比の最大値は,MR比が等しい場合よりも大きい。上下素子のMR比は,前述したように発明者らの実験結果によれば4:3程度で下側素子が大きくなり,これを最大として成膜条件等の改善によりMR比の差は縮小する傾向にある。従って,許容すべきトラック幅比の最大値としてはこのMR比=4:3の場合を考えればよい。一般化して二素子のMR比の比をMR1/MR2=aとおくと,二素子の出力差は(ΔR2−ΔR1)/max(ΔR1,ΔR2)と表されるので,ΔR1≧ΔR2のとき1/a×R2/R1−1,ΔR1<ΔR2のとき1−a×R1/R2となる。トラック幅の比Tw1/Tw2=rとおいて整理すると,
ΔR1≧ΔR2のとき,二素子の出力差=r/a−1
ΔR1<ΔR2のとき,二素子の出力差=1−a/r
となる。図25には,これをベースラインシフトに変換して,a=4/3の場合にプロットしてある(曲線CD)。この曲線CDとベースラインシフト=20%の線が交わる点Dが示す最大トラック幅比Tw1/Tw2は=1.59である。従ってハーフテーパー形状のトラック幅比Tw1/Tw2≦1.59以下とすることが,二素子のMR比とトラック幅が異なる現実的な条件下において,ベースラインシフトを許容値に収める指針となる。
先に示した式(1)の場合と同様に,このハーフテーパーを実現するイオンミリングのイオン入射角条件を一般化する。図1の幾何的関係から
tanθ=(Tw1/Tw2−1)/2×Tw2×(GL+t1)/(GL×(t+h))
トラック幅比Tw1/Tw2≦1.59以下のとき
tanθ≦0.3×Tw×(GL+t1)/(GL×(t+h)) …(3)
となる。ここでTw2は,近似的にマスクのトラック幅Twと等しいと見なせるためTw2≒Twと置き換えた。イオンミリング条件によっては側壁への再付着があり,Tw2が若干Twより広くなり易いが,結論に影響は与えない。また,もう一つの条件として
トータルのミリング量(平坦部換算膜厚)≧2×(t−t1−GL) …(4)
トータルのミリング量(平坦部換算膜厚)≦2×t …(5)
が必要である。式(4)を満たすとき,トラック側壁の変曲点が上側の自由層以下に配置する。式(5)を満たすとき,変曲点が差動型磁気抵抗効果膜の積層構造の下端以上に配置する。所望のハーフテーパーを形成するためには,少なくとも,この式(3)(4)(5)の条件に従うイオンミリングステップを含まなければならない。
この後は,一般的な磁気ヘッドと同様の製造工程が続く。イオンミリングされて露出した磁気抵抗効果膜側壁の絶縁膜としての薄いアルミナ膜9と,ハードバイアス膜6を堆積すると図26の状態になる。ハードバイアス膜にはコバルト・クロム・白金の合金膜を用いた。CMPリフトオフにより磁気抵抗効果膜上部の積層レジストと絶縁膜及びハードバイアス膜を除去すると図27の状態となり,再生センサの基本構造が完成する。この後の図面と説明は省略するが,電極兼上部磁気シールド層としてパーマロイを堆積した後,そのまま再生ヘッドの上部に記録ヘッドを形成する工程が続き,磁気ヘッドが完成する。完成した状態を図36に示す。
次に,第2の実施例について説明する。本実施例では,素子高さSHの加工においてハーフテーパーを形成する方法について述べる。図19に示した素子高さパターンのマスク形成までは第1の実施例と同様である。ホトレジスト30は,詳細にはホトレジスト/ポリイミド/DLC(ダイヤモンドライクカーボン膜)の3層構成マスクを用いている。リソグラフィーでパターン形成したホトレジストをマスクにRIEによりポリイミド/DLCにまでパターン転写した後,マスク30を用いてイオンミリングにより磁気抵抗効果膜14に素子高さパターンを転写する。本実施例ではこの段階で第1の実施例のトラック幅形成時と同様の方法を用いてハーフテーパーを形成するイオンミリングを行う。ここでは,高さ60nmのマスクを用いて角度20度でミリングを行った。また,一定量のミリング毎に,再付着を除去する目的で真横に近い入射角70度のミリングステップを前ステップの30〜100%の時間追加した。差動型の磁気抵抗効果膜は厚膜のため,20度ミリング+70度ミリングを1セットとして3セット,計6ステップの多段ミリングを行った。トータルのミリング量は平坦部換算で,磁気抵抗効果膜の総膜厚78nmにオーバーミリング2nmを加えた80nmとした。
ミリング後の素子高さ断面を図28に示す。なおこの断面はABS面51(加工予定面)に垂直な面であり,他の図とは90度異なる面を示す。素子高さ側壁形状は変曲点46をもち,下側素子の素子高さSH1は上側素子の素子高さSH2に対して+20nm突き出すハーフテーパーを形成した。この後,最終的に磁気ヘッドのスライダー加工工程でABS面のラッピング加工を行い,素子高さSH2が60nmになるまで削りだす。最終形状を図29に示す。素子高さの上下比が,SH1:SH2=4:3となるハーフテーパー形状が形成できた。
素子高さの比を4:3と差をつけて形成したことで,両者の抵抗比はこの逆数比の3:4となる。第1の実施例と同じ磁気抵抗効果膜を用いているので,膜としての特性では上下素子のMR比はバランスしておらず5.6:4.2の比であるが,抵抗比を掛けた両者の抵抗変化ΔR=MR比×抵抗Rを比較すると,両者の比は1:1となり出力ΔRがバランス化される。変曲点46の位置は,上下素子の特性を支配する各自由層の間に配置すると良い。このとき,上下素子の素子高さに所望の差を設けつつ,上部マスク幅をある程度確保して加工が容易となる。
素子高さの加工においてハーフテーパーを形成する方法について,より一般の場合は下記の指針に従う。各部の寸法を図30に定義する。第1の実施例にて一般式を導いた議論を再び用い,トラック幅を素子高さと読み替える。図30の幾何的関係からハーフテーパーを実現するイオンミリングのイオン入射角条件は次のようになる。
tanθ=(SH1/SH2−1)×SH2×(GL+t1)/(GL×(t+h))
トラック幅の場合と異なり,素子高さは最終的なABS面側が垂直面のため上記は因子が2だけ異なる。第1の実施例と同じ議論から,二素子のMR比と素子高さの2つのパラメータが異なる条件下において,ベースラインシフトを許容値に収める指針として素子高さの比SH1/SH2≦1.59以下が得られ
tanθ≦0.6×SH×(GL+t1)/(GL×(t+h)) …(6)
となる。ここでSH2は,近似的にマスクの素子高さSHと等しいと見なせるためSH2≒SHと置き換えた。イオンミリング条件によっては側壁への再付着があり,SH2が若干SHより広くなり易いが,結論に影響は与えない。また,もう一つの条件としてトラック幅のときと同様の理由で
トータルのミリング量(平坦部換算膜厚)≧2×(t−t1−GL) …(7)
トータルのミリング量(平坦部換算膜厚)≦2×t …(8)
が必要である。所望のハーフテーパーを形成するためには,少なくとも,この式(6)(7)(8)の条件に従うイオンミリングステップを含まなければならない。
素子高さ側の加工においてハーフテーパーを実現する本実施例の方法は,より高記録密度に対応した極めて狭いトラック幅上限に対応できる。例えば下側の広い方のトラック幅がTw1=30nm以下となるような寸法領域では,上側トラック幅寸法が狭くなりすぎるためハーフテーパー加工が困難である。一方,本実施例の方法では素子高さ側でハーフテーパー加工を行うため,トラック幅は上下ほぼ同寸法のTw1≒Tw2として形成できる。
次に,第3の実施例について説明する。本実施例は,上下の磁気抵抗効果膜の特性がほぼ等しい場合に,上下のトラック幅はほぼ等しくTw1≒Tw2としつつ,Tw1以下の部分にハーフテーパーを形成して加工劣化を防ぐ方法について述べる。図10に示したトラック幅パターンのマスク形成前までは,第1の実施例と同様である。ただし磁気抵抗効果膜には第1の実施例と別の膜を用いており,成膜後に測定した上下素子の磁気抵抗比(MR比)はいずれも5%であった。基本的なスピンバルブ構造は変えていないが,上下素子間の非磁性中間層の構造によって結晶性が異なり,磁気抵抗比をほぼ等しくする条件が存在するためである。この場合には,ハーフテーパーによって上下素子の断面積を変化させて抵抗を調整する必要はないが,イオンミリング加工による特性劣化を防止する目的でハーフテーパーを形成する。
図10の状態ではトラック幅Tw=60nmのマスクパターンを形成しており,マスク積層膜30は,上層からホトレジスト/ポリイミド/DLC(ダイヤモンドライクカーボン膜)の3層構造からなる。3層マスクは,詳しくはホトレジストのみを露光してパターニングする段階と,これをマスクにRIEを用いて下層のポリイミド/DLCにパターンを転写する段階を経ている。このとき,3層マスクパターンの側壁が垂直になるような露光・現像・RIE条件を用いる。続けて,この状態のマスク積層膜30をマスクに,イオンミリングにより磁気抵抗効果膜14にトラックパターンを転写した。
図31にイオンミリング後の断面を示す。本実施例では,上下素子のトラック幅がほぼ等しいTw1≒Tw2となるハーフテーパー形状で加工した。これは,下側素子のトラック幅Tw1以下の部分にテーパーが形成されるように適切なイオンミリング条件を選定することで可能になる。具体的には,全膜厚78nmの磁気抵抗効果膜のイオンミリング工程を,(1)50度入射で下側素子Tw1の深さまで55nm(平坦部換算,以下同じ)加工,(2)40度入射で追加して45nm加工,(3)30度入射で15nmのオーバーエッチ,の3ステップで計115nm加工した。イオンミリングを50度〜30度といった段階的な斜め入射で行うことで,導電性の再付着物によるスピンバルブ中間層部へのシャント形成に起因する特性劣化を防止している。なおかつ,垂直な側壁のマスクと適切なイオンミリング加工量の選定によって,上下素子のトラック幅をほぼ等しく形成している。
上記をより一般化した指針として述べると,上下素子のトラック幅がほぼ等しいTw1≒Tw2となるハーフテーパー形状で加工するためには,垂直側壁のマスクを用いて,かつ,差動型磁気抵抗効果膜の全膜厚をt,基板側から下側素子の磁気検知膜中心までの膜厚をt1,と記したときに,全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1)以上であるイオンミリングを行えば良い。このとき,イオンミリングの入射角に拠らずに上下素子のトラック幅がほぼ等しいハーフテーパー形状が形成できる。なお,上下素子のトラック幅は厳密にはイオンミリング入射角によって,再付着による増加や,水平に近い方向からのミリングによる減少で変動するが,近似的には上記の条件でほぼ決定される。本実施例の場合,t=78nm,t1=23nmのため,2×(t−t1)=110nm以上イオンミリングを行えば良く,計115nmの加工を行っている。また,全イオンミリング量の上限は2×t以下であれば十分である。このとき,変曲点が差動型磁気抵抗効果膜の下端より上に位置する。
本実施例で示したように,イオンミリングの入射角は,再付着が付きにくいように40度より大きな角度として例えば50度〜40度の角度を中心に用いることで,上下素子共に特性劣化とトラック幅の変動を抑制することが望ましい。なお本実施例ではステップ毎に角度を立てて,特に後半ステップでは30度と上記指針よりやや鋭角な入射角を用いているが,これは加工の進捗に伴いトラック近傍にテーパーが形成されて膜面への実質的な入射角が変わることに対応して角度を最適化している。後半に角度を立てることで再付着を抑制したまま,横からの入射イオンによるトラック幅減少の防止や,テーパー裾引き部の縮小を行うことができる。
第4の実施例について説明する。本実施例は第3の実施例の変形例であり,素子高さ側のイオンミリング加工で上下の素子高さがほぼ等しいSH1≒SH2としつつ,ハーフテーパー形成を行う方法について述べる。以下,相違点のみ説明する。図19に示した素子高さパターンのイオンミリング工程前までは,第1や第2の実施例と同様である。この後,第3の実施例と同様に,ホトレジスト/ポリイミド/DLCをの3層積層マスクを用いてイオンミリングにより磁気抵抗効果膜14に素子高さパターンを転写する。
図32にイオンミリング後の断面を示す。上下素子の素子高さがほぼ等しいSH1≒SH2となるハーフテーパー形状で加工した。具体的には全膜厚78nmの磁気抵抗効果膜のイオンミリング工程を,(1)25度入射で25nm(平坦部換算,以下同じ)加工,(2)70度入射で15nm加工,の(1)(2)を1セットとして計3セット,6ステップでトータル120nm加工した。25度入射のやや鋭角寄りのイオンミリングにはテーパーをあまり拡大させない効果があり,その後の絶縁膜埋め込み後の段差拡大を防止できる。一方で再付着がつきやすいため,70度入射の再付着除去ステップを付加して特性劣化を防止している。
本実施例も,一般化した指針としては第3の実施例と同様であり,全膜厚をt,基板側から下側素子の磁気検知膜中心までの膜厚をt1,と記したときに全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1)以上であるイオンミリングを行えば良い。このとき,イオンミリングの入射角に拠らずに上下素子の素子高さがほぼ等しいハーフテーパー形状が形成できる。また,全イオンミリング量の上限は2×t以下であれば十分である。本実施例の方法によれば,上下素子の素子高さを揃えることで差動動作時の特性差を解消しつつ,イオンミリング時の特性劣化を抑制することが可能になる。
第5の実施例について説明する。本実施例は第1の実施例の変形例で,差動型の磁気抵抗効果膜の構成が異なる。磁気抵抗効果膜の構成を図33に示す。スピンバルブを2つ積層している構造は第1の実施例と変わらないが,片側のスピンバルブの積層順を反転させないスピンバルブ/スピンバルブの直接積層構造をとる。スピンバルブの詳細構成まで含めて機能別に磁気抵抗効果膜の全体を上から順に記述すると,キャップ層28/自由層25/絶縁層26/固定層27/下地層20/自由層23/絶縁層22/固定層21/下地層20,となる。このスピンバルブ直接積層型の差動構造の利点は,非磁性中間層を省略したことで全体膜厚を薄膜化できることと,上側スピンバルブの積層順を逆転させることなく従来の単層スピンバルブを適用できるため上下素子の特性を揃えやすく技術開発が容易な点にある。差動構造のギャップ長は固定層厚さにより決定されるが,18〜24nmと適度な範囲に設定できる。なお,差動動作させるためには上側素子の磁化固定方向と下側素子の磁化固定方向を逆転させる必要がある点は実施例1の場合と変わらず,上下素子の固定層の交換結合層数は互いに偶数奇数で異なる構成とする。ここでは上側素子を3層,下側素子を2層の交換結合層数とした。また,スピンバルブには磁気抵抗比(MR比)が大きいTMR素子を用いた。絶縁層22,26に代えて非磁性導電層を用いてもよい。
図34に膜構成の詳細を記す。下地層20の上に下側素子15を形成し,その上に下地層20を介して上側素子16を形成し,その上にキャップ層28を形成した。下側素子15は,固定層21,絶縁層22,自由層23からなる。また,上側素子16は,下地層20の上に積層された,固定層27,絶縁層26,自由層25からなる。磁気抵抗効果膜トータルでの膜厚は60nmであり,第1の実施例に比べ2割薄膜化した。これによりイオンミリング工程の短時間化と特性劣化のリスク低減,リフトオフ性の向上が望める。また,成膜後に測定した上下素子の磁気抵抗比はともに70%であり,特性を揃えられた。TMR素子には出力が大きいことの他に,絶縁層のMgO膜厚を調整することでMR比を大きく変化させることが容易なため,成膜時に上下素子のMR比を揃えやすい利点がある。
一方で,TMR素子は絶縁膜を挟む構造であるためにイオンミリング時の導電性再付着物が並列抵抗となりやすく,シャント不良に非常に弱い。この対策として,イオンミリング後に露出した側面をオゾン処理による強制酸化で絶縁体に転換する。トラック幅のイオンミリング工程が終了した段階までは実施例3の図31と同様である。上下素子の特性が等しくなるようにトラック幅を揃えてあり,シャントを極力防ぐために下側素子のトラック幅Tw1以下の部分からハーフテーパーを形成している。ハーフテーパーの形成によって再付着を抑制してはいるものの,差動型の場合は加工時に先に露出する上側素子の端面は,特に長時間のイオンミリングにさらされるために再付着がつきやすい。このためシャントに弱いTMR素子を用いた場合にはイオンミリング後,オゾン酸化により端部を強制酸化する必要が生じる。
図35にオゾン酸化後の状態を示した。側面に酸化物52を形成してシャントを防止している。酸化量は少なくとも,再付着の厚くなる上側素子の絶縁層部が完全に酸化される量を行う。典型的な酸化量は0.5〜5nm程度である。この後は第1の実施例と同様の工程を経る。なおここでは説明しなかったが,素子高さの形成工程でも同様にオゾン処理による強制酸化を行って,シャント不良を防止している。他の工程は第1の実施例と同様のため省略する。また,本実施例のように側壁の強制酸化を行う場合には,酸化可能なだけの少量の再付着は許容できる。このため,側壁形状をハーフテーパーでなく,側壁全体を垂直にイオンミリング加工することも可能である。
ここまでの実施例では,素子高さパターンとトラック幅パターンの形成工程の順序は,素子高さパターンを先に形成する場合についてのみ述べてきたが,両者は交換可能である。トラック幅パターンを先に形成する場合についても本発明はそのまま適用可能で,その効果にも変わりはない。
以上,本発明の最良の実施の形態を記載したが,本発明は上記の場合に限定されるものではなく,一対のスピンバルブを組み合わせて差動動作させる磁気ヘッドとその製造工程に関する類似の製造方法にも適用可能である。
本発明は,磁気抵抗効果素子を用いた高分解能磁気センサ,とりわけ,磁気ディスク用再生磁気ヘッドの製造に適用できる。
第1の実施例における差動型再生磁気ヘッドの構造を模式的に示す説明図である。 録再分離型ヘッドを模式的に示す説明図である。 再生磁気ヘッド部分の拡大断面を示す説明図である。 差動型再生磁気ヘッドの構造と等価回路を示す説明図である。 差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 差動型再生磁気ヘッドの磁気抵抗効果膜の機能別構造の説明図である。 図5に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図7に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図8に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図9に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図10に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図11に続く差動型再生磁気ヘッドの製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 差動型ヘッドの出力波形の模式図である。 二素子出力に差がある場合の差動型ヘッドの出力波形の模式図である。 ハーフテーパー形状を示す説明図である。 イオンミリング加工中の再付着の様子を模式的に示す説明図である。 第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 第1の実施例における磁気抵抗効果膜の詳細を示す説明図である。 図17に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図19に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図20に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図21に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図22に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 ベースラインシフトと二素子の出力差の関係を示す説明図である。 トラック幅比とベースラインシフトの関係を示す説明図である。 図23に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 図26に続く第1の実施例の製造プロセスフローを模式的に示す説明図である。 第2の実施例における製造プロセスフローのイオンミリング後の素子高さ断面を示す説明図である。 第2の実施例におけるイオンミリング後の素子高さ断面の最終形状を示す説明図である。 第2の実施例における各部の寸法を模式的に示す説明図である。 第3の実施例におけるイオンミリング後のトラック幅断面を模式的に示す説明図である。 第4の実施例におけるイオンミリング後の素子高さ断面を模式的に示す説明図である。 第5の実施例における磁気抵抗効果膜の構成を示す説明図である。 第5の実施例における磁気抵抗効果膜の詳細を示す説明図である。 第5の実施例における強制酸化後の断面を模式的に示す説明図である。 第1の実施例における磁気ヘッドの完成状態の模式図である。
符号の説明
1.記録ヘッド部,2.再生ヘッド部,3.下部磁気シールド層,4.上部磁気シールド層,5.磁気抵抗効果素子,6.永久磁石膜,8.素子高さパターン,9.アルミナ絶縁膜,10.トラック幅パターン,11.アルミナ膜,14.磁気抵抗効果膜,15.下側素子,16.上側素子,17.センス電流,20.下地層,21.固定層,22.絶縁層,23.自由層,24.非磁性中間層,25.自由層,26.絶縁層,27.固定層,28.キャップ層,30.ホトレジスト,31.素子高さパターン,32.磁気抵抗効果膜の露出した側面,33.トラック幅パターン,40.素子1の出力,41.素子2の出力,42.差動素子の出力,43.ベースラインシフト,44.再付着物,45.中間層,46.変曲点,50.自由層幅の許容範囲,51.ABS面(加工予定面),52.酸化物

Claims (15)

  1. 基板上に形成された差動型磁気抵抗効果膜と,前記差動型磁気抵抗効果膜の膜面垂直方向に通電する一対の電極とを有し,
    前記差動型磁気抵抗効果膜は,第1の固定層と第1の中間層と第1の自由層を有する第1の積層膜と,第2の固定層と第2の中間層と第2の自由層を有し前記第1の積層膜の上に形成された第2の積層膜とを備え,
    前記差動型磁気抵抗効果膜のトラック幅方向の側面形状が当該差動型磁気抵抗効果膜の膜厚方向中間位置に変曲点を持ち,前記変曲点から基板上部方向は基板にほぼ垂直な側面形状を有し,前記変曲点から基板下部方向は基板に近づくに従ってトラック幅が拡幅する形状を有することを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  2. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記変曲点は,前記第1の自由層と第2の自由層の間に位置することを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  3. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記第1の自由層のトラック幅をTw1,前記第2の自由層のトラック幅をTw2とするとき,Tw1/Tw2が1以上1.59以下の範囲にあることを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  4. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記第1の自由層のトラック幅は100nm以下であることを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  5. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記第1の積層膜の積層順は基板側から第1の固定層,第1の中間層,第1の自由層の順であり,前記第2の積層膜の積層順は基板側から第2の自由層,第2の中間層,第2の固定層の順であり,前記第1の自由層と第2の自由層の間に非磁性中間層が形成されていることを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  6. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記第1の積層膜における第1の固定層,第1の中間層,第1の自由層の積層順と前記第2の積層膜における第2の固定層,第1の中間層,第2の自由層の積層順が同じであることを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  7. 請求項1記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記第1の中間層及び第2の中間層は絶縁層である差動型再生磁気ヘッド。
  8. 基板上に形成された差動型磁気抵抗効果膜と,前記差動型磁気抵抗効果膜の膜面垂直方向に通電する一対の電極とを有し,
    前記差動型磁気抵抗効果膜は,第1の固定層と第1の中間層と第1の自由層を有する第1の積層膜と,第2の固定層と第2の中間層と第2の自由層を有し前記第1の積層膜の上に形成された第2の積層膜とを備え,
    前記差動型磁気抵抗効果膜の素子高さを規定する側面形状が当該差動型磁気抵抗効果膜の膜厚方向中間位置に変曲点を持ち,前記変曲点から基板上部方向は基板にほぼ垂直な側面形状を有し,前記変曲点から基板下部方向は基板に近づくに従って素子高さが拡大する形状を有することを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  9. 請求項8記載の差動型再生磁気ヘッドにおいて,前記変曲点は,前記第1の自由層と第2の自由層の間に位置することを特徴とする差動型再生磁気ヘッド。
  10. 基板上に形成された差動型磁気抵抗効果膜と,前記差動型磁気抵抗効果膜の膜面垂直方向に通電する一対の電極とを有し,前記差動型磁気抵抗効果膜は,第1の固定層と第1の中間層と第1の自由層を有する第1の積層膜と,第2の固定層と第2の中間層と第2の自由層を有し前記第1の積層膜の上に形成された第2の積層膜とを備え,前記差動型磁気抵抗効果膜のトラック幅方向の側面形状が当該差動型磁気抵抗効果膜の膜厚方向中間位置に変曲点を持ち,前記変曲点から基板上部方向は基板にほぼ垂直な側面形状を有し,前記変曲点から基板下部方向は基板に近づくに従ってトラック幅が拡幅する形状を有する差動型再生磁気ヘッドの製造方法であって,
    下部磁気シールドを形成する工程と,
    前記下部磁気シールド上に前記差動型磁気抵抗効果膜を形成する工程と,
    前記差動型磁気抵抗効果膜の上にトラック幅がTwで側壁形状がほぼ垂直な高さhのマスクパターンを形成する工程と,
    前記マスクパターンを用いて前記差動型磁気抵抗効果膜をイオンミリングする工程とを有し,
    前記イオンミリング工程は,前記差動型磁気抵抗効果膜の全膜厚をt,当該差動型磁気抵抗効果膜の基板側から前記第1の自由層の中心までの膜厚をt1,前記第1の自由層の中心から前記第2の自由層の中心までの膜厚をGLとするとき,基板法線方向に対して定義するイオン入射角θが,
    tanθ≦0.3×Tw×(GL+t1)/(GL×(t+h))
    を満たすイオンによるミリング工程を少なくとも一回含み,
    前記差動型磁気抵抗効果膜の全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1−GL)以上かつ2×t以下であることを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
  11. 膜面垂直方向に通電する積層膜が,磁気抵抗効果を示す積層膜構造の要素としての磁気検知膜を2つ有し,前記磁気検知膜を要素とする磁気抵抗効果を示す積層膜構造からの信号を差動利用する差動型再生磁気ヘッドの製造方法において,
    下部磁気シールドを形成する工程と,
    前記下部磁気シールド上に前記積層膜を形成する工程と,
    前記積層膜の上にマスクパターンを形成する工程と,
    前記マスクパターンを用いて前記積層膜のトラック幅を規定する側面を形成するイオンミリング工程とを有し,
    前記イオンミリング工程では,前記積層膜の全膜厚をt,前記積層膜の基板側から最初の磁気検知膜中心までの膜厚をt1とするとき,前記積層膜加工時の全イオンミリング量が平坦部を基準としたミリング膜厚で2×(t−t1)以上かつ2×t以下であるイオンミリングを行うことを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
  12. 請求項11記載の差動型再生磁気ヘッドの製造方法において,前記イオンミリング工程のマスクとして,側壁がほぼ垂直なマスクを用いることを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
  13. 請求項11記載の差動型再生磁気ヘッドの製造方法において,前記磁気検知膜中心のトラック幅は100nm以下であることを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
  14. 膜面垂直方向に通電する積層膜が,磁気抵抗効果を示す積層膜構造の要素としての磁気検知膜を少なくとも2つ有し,前記磁気検知膜を要素とする磁気抵抗効果を示す積層膜構造からの信号を差動利用する差動型再生磁気ヘッドの製造方法において,
    下部磁気シールドを形成する工程と,
    前記下部磁気シールド上に前記積層膜を形成する工程と,
    前記積層膜の上にマスクパターンを形成する工程と,
    前記マスクパターンを用いて前記積層膜のトラック幅又は素子高さを規定する側面を形成するイオンミリング工程と,
    前記イオンミリング工程の後に,加工した側面を酸化する工程と
    を含むことを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
  15. 請求項14記載の差動型再生磁気ヘッドの製造方法において,前記磁気抵抗効果を示す積層膜構造は固定層と絶縁膜と自由層から構成されるTMR磁気抵抗効果型の磁気検知膜であることを特徴とする差動型再生磁気ヘッドの製造方法。
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