JP2010111889A - 成膜方法および成膜装置、ならびに記憶媒体 - Google Patents

成膜方法および成膜装置、ならびに記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】装置構成を複雑にせずに、成膜初期の核形成が短時間でなされ、表面平滑性およびステップカバレッジが良好な膜を得ることができる成膜方法および成膜装置を提供すること。
【解決手段】成膜方法は、基板を処理容器内に搬入する工程と、処理容器内の基板温度が処理容器内に導入される際の原料ガスの温度よりも低い段階で処理容器内に原料ガスを導入し、基板表面に原料ガスを集積させる工程と、原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行う工程と、原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度に保持して基板上に所定の膜を成膜する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱CVDにより基板上に所定の膜を成膜する成膜方法および成膜装置、ならびに記憶媒体に関する。
半導体デバイスの製造においては、配線パターンや、バッファ膜等を形成するために、有機金属化合物ガスを用いて熱CVDにより金属膜を成膜させる技術が知られている。酸化物などの不活性表面に、このような有機金属化合物ガスを用いた熱CVD法により金属膜を成膜する場合、従来は、成膜装置のチャンバ内の載置台上に被処理基板である半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)を載置し、チャンバ内圧力をほぼ成膜時の圧力にしつつ載置台に設けられたヒーターによりウエハを昇温し、その温度が定常状態になった後、成膜のための原料ガスを流していた。
しかしながら、この方法によると、成膜初期の核形成に時間がかかり、インキュベーションタイムが長期化し、結果的に成膜速度が遅くなってしまう。また、核形成がまばらに生じるため、結晶粒が粗大化しやすく表面平滑性が劣化し、十分なステップカバレッジが得られない可能性がある。
これに対して、特許文献1には、基板の表面を−50〜−150℃に冷却した状態で化合物材料であるWFを付着させ、その後、エネルギービームであるレーザービームを照射することにより、基板表面にW膜を高成膜速度で形成する方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1に開示された技術では、被処理基板であるウエハを低温に冷却する機構およびレーザービーム等のエネルギービームを照射する機構を設ける必要があり、既存の成膜装置に比べて極めて大がかりで複雑な装置が必要となってしまう。
特開平9−148248号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、装置構成を複雑にせずに、成膜初期の核形成が短時間でなされ、表面平滑性およびステップカバレッジが良好な膜を得ることができる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする。
また、このような方法を実行させるプログラムが記憶された記憶媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を用いて、基板上に所定の膜を形成する成膜方法であって、 基板を処理容器内に搬入する工程と、前記処理容器内の基板温度が前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い段階で前記処理容器内に前記原料ガスを導入し、基板表面に原料ガスを集積させる工程と、前記原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行う工程と、前記原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度に保持して基板上に所定の膜を成膜する工程とを有することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第2の観点では、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を用いて、基板上に所定の膜を形成する成膜方法であって、前記加熱機構により前記載置台の温度を成膜時の温度に加熱し、基板温度が前記処理容器に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低くなるように処理容器内を圧力調整した状態で基板を前記処理容器内に搬入する工程と、前記処理容器内の基板温度を前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い温度に維持したまま前記処理容器内に前記原料ガスを導入し、基板表面に原料ガスを集積させる工程と、原料ガスの導入を継続しつつ前記処理容器内に圧力調整ガスを導入して前記処理容器内の圧力を上昇させることにより基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行う工程と、 前記原料ガスおよび圧力調整ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度に保持して基板上に所定の膜を成膜する工程とを有することを特徴とする成膜方法を提供する。
上記第2の観点において、前記基板表面に原料ガスを集積させる工程は、その際の前記処理容器内の前記原料ガスの分圧の値が、その際の基板の温度における原料ガスの蒸気圧よりも大きい状態で行われることが好ましい。
上記第1および第2の観点において、基板表面に原料ガスを集積させる工程は、基板を前記載置台の上方に位置させた状態で行われることが好ましい。また、前記原料ガスが加熱されて分解されることにより、前記所定の膜が形成されるようにすることができる。また、前記ガス供給機構を、前記原料ガスと反応する反応ガスを供給するものとし、前記原料ガスと前記反応ガスとが反応することにより、前記所定の膜が形成されるようにすることもできる。この場合に、前記反応ガスは、前記核付工程および前記成膜工程の際に導入されるようにすることができる。
本発明の第3の観点では、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構と、成膜処理を制御する制御機構とを具備し、基板上に所定の膜を形成する成膜装置であって、前記制御機構は、基板を処理容器内に搬入させ、前記処理容器内の基板温度が前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い段階で前記処理容器内に前記原料ガスを導入させて、基板表面に原料ガスを集積させ、前記原料ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で基板上に膜形成のための核付を行わせ、前記原料ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度に保持させて基板上に所定の膜が成膜されるように制御することを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明の第4の観点では、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構と成膜処理を制御する制御機構とを具備し、基板上に所定の膜を形成する成膜装置であって、前記制御機構は、前記加熱機構により前記載置台の温度を成膜時の温度に加熱させ、基板温度が前記処理容器に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低くなるように処理容器内を圧力調整させた状態で基板を前記処理容器内に搬入させ、前記処理容器内の基板温度を前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い温度に維持させたまま前記処理容器内に前記原料ガスを導入させて、基板表面に原料ガスを集積させ、原料ガスの導入を継続させつつ前記処理容器内に圧力調整ガスを導入させて前記処理容器内の圧力を上昇させることにより基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行わせ、前記原料ガスおよび圧力調整ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度に保持させて基板上に所定の膜が成膜されるように制御することを特徴とする成膜装置を提供する。
上記第3の観点において、前記制御機構は、前記基板表面に原料ガスを集積させる際の前記処理容器内の前記原料ガスの分圧の値が、その際の基板の温度における原料ガスの蒸気圧よりも大きい状態になるように制御することが好ましい。
上記第3の観点および第4の観点において、前記載置台に対して突没可能に設けられ、基板を昇降させる昇降ピンをさらに具備し、前記制御機構は、基板表面に原料ガスを集積させる際に、前記昇降ピンを上昇させて基板を前記載置台の上方に位置させた状態とさせることが好ましい。また、前記制御機構は、前記原料ガスが加熱されて分解されることにより、前記所定の膜が形成されるように制御することができる。また、前記ガス供給機構は、前記原料ガスと反応する反応ガスを供給し、前記制御機構は、前記原料ガスと前記反応ガスとが反応することにより、前記所定の膜が形成されるように制御することもできる。この場合に、前記制御機構は、前記反応ガスを、前記核付および前記成膜の際に導入させるようにすることができる。
本発明の第5の観点では、コンピュータ上で動作し、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記第1の観点または第2の観点の成膜方法が実施されるようにコンピュータに成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
本発明によれば、基板の温度が成膜温度に達する前の低温にある段階で原料ガスを処理容器内に供給し、基板表面で原料ガスを過飽和状態とし、基板の表面に原料ガスが集積した状態、理想的には原料ガスがウエハ表面に吸着した状態を形成することができるので、その後、基板の温度を上昇させる過程で、核付が迅速になされ、核形成を短時間で行うことができる。このため、その後の成膜工程で速やかに成膜が進行するため、結果的に成膜速度を速くすることができる。しかも、核形成が基板表面全面で均一に生じるので、その後の成膜の際に粒成長が均一に生じ、表面の平滑な膜を形成することができる。また、予め基板表面の全面に原料ガスを集積させておいてから成膜するため、ステップカバレッジが極めて良好なものとなる。また、成膜装置として従来とほぼ同じ構成のものを用いることができ、上記特許文献1のような複雑な装置を用いる必要がない。
また、基板表面に原料ガスを集積させる際の前記処理容器内の前記原料ガスの分圧の値が、その際の基板の温度における原料ガスの蒸気圧よりも大きい状態とすることにより、原料ガスを基板表面に吸着させることができ、核形成を一層促進させることができるとともに、表面平滑性およびステップカバレッジを一層良好なものとすることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、成膜ガスとして原料ガスを供給し、熱により原料ガスを分解させる一分子反応により金属膜を得る成膜方法を示す。
(第1の実施形態に用いる成膜装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜方法を実施するための成膜装置を示す断面図である。
この成膜装置100は、気密に構成された略円筒状のチャンバ1を有している。チャンバ1の底壁1bの中央部には円形の開口部7が形成されており、底壁1bにはこの開口部7と連通し、下方に向けて突出する排気室8が設けられている。チャンバ1内には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのAlN等のセラミックスからなるサセプタ(載置台)2が設けられている。このサセプタ2は、排気室8の底部中央から上方に延びる円筒状の支持部材3により支持されている。サセプタ2の外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング4が設けられている。また、サセプタ2には抵抗加熱型のヒーター5が埋め込まれており、このヒーター5はヒーター電源6から給電されることによりサセプタ2を加熱して、その熱で被処理体であるウエハWを加熱する。この熱によりチャンバ1内に導入された原料ガスが熱分解される。この際に、サセプタ2は成膜に都合の良い所定の温度に加熱される。チャンバ1の壁にもヒーター(図示せず)が埋め込まれており、チャンバ1の壁を所定温度に加熱することができるようになっている。
サセプタ2には、ウエハWを支持して昇降させるための3本(2本のみ図示)の昇降ピン26がサセプタ2の表面に対して突没可能に設けられ、これら昇降ピン26は支持板27に固定されている。そして、昇降ピン26は、エアシリンダ等の駆動機構28により支持板27を介して昇降される。
チャンバ1の天壁1aには、シャワーヘッド10が設けられ、このシャワーヘッド10の下部には、サセプタ2に向けてガスを吐出するための多数のガス吐出孔10bが形成されたシャワープレート10aが配置されている。シャワーヘッド10の上壁にはシャワーヘッド10内にガスを導入する2つのガス導入口10c,10dが設けられている。ガス導入口10cには成膜に用いる原料ガスSを供給する原料ガス配管11が接続されており、ガス導入口10dには圧力調整ガスNpを供給する圧力調整ガス配管12が接続されている。また、シャワーヘッド10の内部には拡散室10eが形成されている。
原料ガス配管11の他端は、液体状または固体状の成膜原料F、例えば固体状のヘキサカルボニルタングステンW(CO)が収容された成膜原料容器13に挿入されている。成膜原料容器13の周囲には加熱手段としてヒーター13aが設けられている。成膜原料容器13には、キャリアガス配管14が挿入され、キャリアガス供給源15からキャリアガス配管14を介してキャリアガスとして例えばArガスを成膜原料容器13に吹き込むことにより、成膜原料容器13内の成膜原料Fが蒸発または昇華して原料ガスSとなり、キャリアガスNcにキャリアされて原料ガス配管11を介してシャワーヘッド10へ供給され、シャワープレート10aのガス吐出孔10bからチャンバ1内へ供給される。キャリアガスNcとしてはHガスを用いてもよい。なお、キャリアガス配管14にはマスフローコントローラ16とその前後のバルブ17a,17bが設けられている。また、原料ガス配管11にはキャリアガスNcによりキャリアされた原料ガスの流量を把握するための流量計18とその前後バルブ19a,19bが設けられている。なお、チャンバ1へ導入される原料ガスの流量は、流量計18が検出した流量の値に基づいてキャリアガスNcの流量をマスフローコントローラ16により制御することにより制御される。キャリアガス配管14と原料ガス配管11との間にはバイパス配管31が設けられ、そのバイパス配管31にはバルブ32が設けられている。バルブ32は、キャリアガスNcのみをチャンバ1内に供給するとき以外は閉じられている。
なお、原料ガスが液体の場合には、このように成膜原料容器13内で原料ガスを蒸発させ、キャリアガスNcでキャリアさせる代わりに、気化器を用いてもよい。
原料ガス配管11の流量計18の下流側には、プリフローライン23が接続され、このプリフローライン23は後述する排気管24に接続されており、原料ガスをチャンバ1内に安定に供給するため、所定時間排気するようになっている。さらに、プリフローライン23には、原料ガス配管11との分岐部の直下流にバルブ23aが設けられている。また、原料ガス配管11の分岐部の下流側にはバルブ11aが設けられている。配管11,14,23の周囲にはヒーター(図示せず)が設けられており、原料ガスが液化または固化しない温度に調節されるようになっている。
また、圧力調整ガス配管12の他端は、圧力調整ガス供給源20に接続されている。圧力調整ガス供給源20は、圧力調整ガスNpとして、例えばArガス、Heガス、Nガス等の不活性ガスやHガス等を供給するようになっている。この圧力調整ガスNpによりチャンバ1内の圧力調整を行う。圧力調整ガス配管12にはマスフローコントローラ21およびその前後のバルブ22a,22bが設けられている。なお、この圧力調整ガスNpは原料ガス配管11内の残留成膜ガスの排気やチャンバ1内のパージを行うパージガスとしても機能する。
上記排気室8の側面には排気管24が接続されており、この排気管24にはオートプレッシャーコントロールバルブ(APC)25および高速真空ポンプを含む排気装置9が接続されている。そしてこの排気装置9を作動させることによりチャンバ1内のガスが、排気室8の空間8a内へ均一に排出され、チャンバ1内を所定の真空度まで高速に減圧することが可能となっている。
チャンバ1の側壁には、成膜装置100に隣接する搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口29と、この搬入出口29を開閉するゲートバルブ30とが設けられている。チャンバ1は、ゲートバルブ30を介して図示しないトランスファチャンバに接続されており、ウエハWの搬入出の際には、トランスファチャンバおよびチャンバ1内が高真空状態とされる。
成膜装置100を構成する各構成部、例えば各バルブ、ヒーター電源6、排気装置9、駆動機構28等は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたコントローラ40に接続されて制御されるようになっている。また、コントローラ40には、オペレータが成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース41が接続されている。さらに、コントローラ40には、成膜装置100で実行される各種処理をコントローラ40の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて成膜装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわち処理レシピが格納された記憶部42が接続されている。処理レシピは記憶部42の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクのような固定的なものであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース41からの指示等にて任意のレシピを記憶部42から呼び出してコントローラ40に実行させることで、コントローラ40の制御下で、成膜装置100での所望の処理が行われる。
(第1の実施形態に係る成膜方法)
次に、このように構成された成膜装置100にて実施される本実施形態の成膜方法について説明する。図2は、この方法のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャートである。
まず、ヒーター5によりサセプタ2を所定温度に加熱した状態にして、排気装置9の真空ポンプによりチャンバ1内を排気して、チャンバ1内の圧力を50mTorr(6.7Pa)以下の低圧に真空排気した状態とし、ゲートバルブ30を開にして搬入出口29を介して隣接するトランスファチャンバ(図示せず)からウエハWをチャンバ1内に搬入し、サセプタ2上に載置する(工程1)。
次いで、成膜原料容器13内の成膜原料Fを蒸発または昇華させ、所定量の原料ガスSをチャンバ1内に供給し、チャンバ1内の圧力は100〜500mTorr(13.3〜66.7Pa)程度の低圧に維持したままとし、ウエハWの表面に原料ガスSを集積させる(工程2)。この工程においては、チャンバ1内の圧力が低いため、サセプタ2からウエハWへの伝熱が少なく、ウエハWの初期温度TWfiniが、サセプタ2の温度Tsusよりも低く維持されるが、チャンバ1内の圧力を調整して、ウエハWの初期温度TWfiniをチャンバ1内に導入された原料ガスSの温度、つまりチャンバ1の壁の温度Twallよりも低く維持することにより、原料ガスSがウエハW上で冷やされる。このときの温度関係は、Tsus>Twall>TWfiniを満たしている。このように原料ガスSがウエハW上で冷やされることにより、原料ガスSの飽和蒸気圧が低下し、原料ガスSがウエハW表面で過飽和となる。その結果、ウエハW表面において原料ガスSの濃度が高くなり、原料ガスSがウエハ表面に集積した状態、理想的には原料ガスSがウエハW表面に吸着した状態となる。チャンバ1内の圧力を調整しただけでは上記温度関係を維持することが困難な場合には、図3に示すように、昇降ピン26を突出させてウエハWをサセプタ2の上方に保持させ、サセプタ2の温度の影響を少なくすることが好ましい。
この工程2は、具体的には、以下のような手順で行われる。まず、チャンバ1内を低圧に維持したまま、バルブ17a,17bを開にして液体状または固体状の成膜原料Fが収容された成膜原料容器13にキャリアガス供給源15からキャリアガスNc、例えばArガスを吹き込み、成膜原料Fをヒーター13aにより加熱して蒸発または昇華させ、次いでバルブ19a,19bを開にして、生成した原料ガスSをキャリアガスNcによりキャリアさせる。そして、バルブ11aを閉じバルブ23aを開けて所定の時間のプリフローを行って原料ガスSの流量を安定させた後、バルブ23aを閉じると同時にバルブ11aを開けて、原料ガスSを原料ガス配管11、シャワーヘッド10内の拡散室10eを介して、チャンバ1内に供給し、低温に保持されたウエハWの表面に集積(吸着)させる。
次に、原料ガスSの供給量を維持したまま、圧力調整ガス供給源20から圧力調整ガス配管12およびシャワーヘッド10を介してチャンバ1内に圧力調整ガスNpを供給してチャンバ1内の圧力を上昇させ、これにより、ウエハWの温度を上昇させて、ウエハW表面において原料ガスSの分解反応を生じさせて核付プロセスを進行させる(工程3)。このとき、工程2によりウエハW表面には原料ガスSが高濃度で集積しているので、圧力上昇によるウエハWの温度上昇によって、核付けが促進される。また、ウエハW表面の全面に原料ガスSが存在するため、核の形成がウエハW表面で均一に生じる。
工程3の核付プロセスにおいて、ウエハWの温度が成膜温度に達した時点で、圧力調整ガスNpの供給量を調整してチャンバ1内の圧力を一定に保ち、ウエハWの温度を成膜温度に維持してCVD成膜を行う(工程4)。このときの成膜反応は、一分子反応であり、原料ガスをS、得られた膜をP、副生成物をBとすると、S→P+Bで表すことができる。工程3の核付プロセスも同様の反応にて核を形成する。この際の成膜は、工程3により核付が十分進行しているので、迅速に進行する。また、工程3により核付けがウエハW表面で均一に生じているため、均一に粒成長して膜の表面が平滑となり、ステップカバレッジも極めて良好なものとなる。
所定時間経過後、バルブ32を開けてバイパス配管31を介してキャリアガスNcを迂回させて原料ガスSの供給を停止するとともに、キャリアガスNcをそのままチャンバ1に流し、さらに圧力調整ガスNpをパージガスとしてチャンバ1内に供給し、チャンバ1内の原料ガスSをパージする(工程5)。
チャンバ1の圧力を低下させ、チャンバ1内の圧力がウエハW搬入の際と同様の低圧状態となり、ウエハWの温度が搬送アームの耐熱温度以下に下がった時点で、ゲートバルブ30を開き、ウエハWを隣接するトランスファチャンバ(図示せず)へ搬送する(工程6)。このときウエハWの温度の低下が十分でない場合には、ウエハWの搬出動作前にウエハWを昇降ピン26により上昇させてウエハWの温度を低下させることが好ましい。
従来の一分子反応によるCVD成膜の場合は、図4に示すように、ウエハWをチャンバ1内に搬入した後、圧力調整ガスNpをチャンバ1内に導入して圧力調整を行い、さらにウエハWの温度を成膜温度に調整(ウエハ温度調整)してから、初めて原料ガスSをチャンバ1内に導入して成膜を開始する。このため、ウエハWの表面に到達する原料ガスSの量は少なく、核がまばらにしか発生し得ない。このため、成膜初期の核形成に時間がかかり、インキュベーションタイムの長時間化を招き、結果的に成膜速度が遅いものとなる。また、核がまばらに発生するため、結晶粒が粗大化しやすく膜表面の平滑性が劣化してしまうとともに、ステップカバレッジも不十分なものとなりやすい。
これに対して、本実施形態によれば、従来とは異なり、ウエハWの温度が成膜温度に達する前の低温にある段階で原料ガスSをチャンバ1内に供給し、ウエハW表面で原料ガスSを過飽和状態とし、ウエハWの表面に原料ガスSが集積した状態、理想的には原料ガスSがウエハ表面に吸着した状態を形成することができるので、その後、ウエハWの温度を上昇させる過程で、核付が迅速になされ、核形成を短時間で行うことができる。そのため、その後のCVD成膜で速やかに成膜が進行するため、結果的に成膜速度を速くすることができる。しかも、核形成がウエハW表面全面で均一に生じるので、その後の成膜の際に粒成長が均一に生じ、表面の平滑な膜を形成することができる。また、予めウエハWの表面の全面に原料ガスSを集積(吸着)させておいてから成膜するため、ステップカバレッジが極めて良好なものとなる。また、成膜装置として従来とほぼ同じ構成のものを用いることができ、上記特許文献1のような複雑な装置を用いる必要がない。
ここで、工程2において原料ガスをウエハWの表面に吸着させることにより、核形成を一層促進させることができるとともに、表面平滑性およびステップカバレッジを一層良好なものとすることができるが、原料ガスを吸着させるためには、チャンバ1内での原料ガスSの分圧をPschとし、ウエハWの初期温度TWfiniにおける原料ガスSの蒸気圧をP s(TWfini)とすると、PschがP s(TWfini)よりも大きいこと、すなわちΔP=Psch−P s(TWfini)で表されるΔPが0より大きいことが必要である。
また、その際の原料ガスSの吸着量Qが多いほど核付けが促進され、成膜速度を速くすることができるが、このときの吸着量QはΔPに比例する。このため、原料ガスSの蒸気圧P s(TWfini)が低いか、原料ガスSの分圧Pschが高いほど吸着量Qを多くすることができる。しかし、原料ガスSの分圧Pschを高くすると、サセプタ2からウエハWへの伝熱が高まり、ウエハWの温度を低く維持し難くなる。このような観点から、原料ガスSの分圧Pschの上限は1Torr(133.3Pa)程度となる。
比較的蒸気圧が低く、本実施形態の一分子反応に適した原料ガスとしては、例えばW(CO)、Co(CO)などのカルボニル系化合物、Cu(hfac)(TMVS)などの不均化反応にて成膜する化合物等を挙げることができる。
原料ガスSとしてW(CO)を用いた場合を例にとって説明する。図5にはW(CO)の蒸気圧曲線を示している。ここでは、チャンバ1の壁の温度Twallが60℃であり、チャンバ1内のW(CO)の分圧は2×10−1Torrであり、ウエハWの初期温度TWfiniが30℃である。チャンバ1内の温度である60℃のW(CO)の蒸気圧は約8×10−1Torrであり、チャンバ1内のW(CO)の分圧は蒸気圧よりも低い。しかし、ウエハWの初期温度TWfiniは30℃であるため、その際のW(CO)の蒸気圧は約5×10−2Torrであり、チャンバ1内のW(CO)の分圧である2×10−1Torrよりも低くなり、ΔP=Psch−P s(TWfini)=1.5×10−1Torrに対応した量のW(CO)がウエハWの表面に吸着することとなる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、成膜ガスとして原料ガスおよび原料ガスと反応する反応ガスを供給し、熱により原料ガスと反応ガスとの二分子反応により金属膜を得る成膜方法を示す。
(第2の実施形態に用いる成膜装置の構成)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る成膜方法を実施するための成膜装置を示す断面図である。
この成膜装置100′は、反応ガス供給系が付加されている他は、図1の成膜装置100と全く同じ構成を有しており、図1と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
成膜装置100′においては、シャワーヘッド10の上壁に、ガス導入口10c,10dのほか、さらにガス導入口10fが設けられており、ガス導入口10fには反応ガス配管51が接続されている。反応ガス配管51の他端は、原料ガスSと反応する反応ガスRを供給する反応ガス供給源52に接続されている。
(第2の実施形態に係る成膜方法)
次に、このように構成された成膜装置100′にて実施される本実施形態の成膜方法について説明する。図7は、この方法のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャートである。
ここでは、基本的に第1の実施形態と同様、工程1〜6により成膜を行うが、工程3の核付プロセスおよび工程4のCVD成膜の際に、反応ガスRの供給が付加されている点のみが第1の実施形態の方法と相違している。
すなわち、第1の実施形態と同じ手順で工程2の原料ガス集積(吸着)まで行った後、工程3の核付プロセスでは、原料ガスSの供給量を維持したまま、圧力調整ガス供給源20から圧力調整ガス配管12およびシャワーヘッド10を介してチャンバ1内に圧力調整ガスNpを供給してチャンバ1内の圧力を上昇させ、これにより、ウエハWの温度を上昇させるとともに、反応ガス供給源52から反応ガス配管51およびシャワーヘッド10を介してチャンバ1内に反応ガスRを供給して原料ガスSと反応ガスRとの反応を生じさせて、ウエハW表面において核付プロセスを進行させる。
工程4のCVD成膜においては、工程3の核付プロセスにおいて、ウエハWの温度が成膜温度に達した時点で、圧力調整ガスNpの供給量を減じてチャンバ1内の圧力を一定に保ち、ウエハWの温度を成膜温度に維持してCVD成膜を行う。このときの成膜反応は、二分子反応であり、原料ガスをS、反応ガスをR、得られた膜をP、副生成物をBとすると、S+R→P+Bで表すことができる。工程3の核付プロセスも同様の反応にて核を形成する。この際の成膜は、第1の実施形態と同様、工程3により核付が十分進行しているので、迅速に進行する。また、工程3により核付けがウエハW表面で均一に生じているため、均一に粒成長して膜の表面が平滑となり、ステップカバレッジも極めて良好なものとなる。
その後の工程5のチャンバ内ガスパージは原料ガスSおよび反応ガスRを停止した後、第1の実施形態と同様にして原料ガスSおよび反応ガスRをパージし、工程6のウエハ搬出も第1の実施形態と同様にして行われる。
従来の二分子反応によるCVD成膜の場合は、図8に示すように、ウエハWをチャンバ1内に搬入した後、圧力調整ガスNpをチャンバ1内に導入して圧力調整を行い、さらにウエハWの温度を成膜温度に調整(ウエハ温度調整)してから、初めて原料ガスSおよび反応ガスRをチャンバ1内に導入して成膜を開始する。このため、ウエハWの表面に到達する原料ガスSおよび反応ガスRの量は少なく、第1の実施形態と同様、核がまばらにしか発生し得ない。このため、やはり、成膜初期の核形成に時間がかかり、インキュベーションタイムの長時間化を招き、結果的に成膜速度が遅いものとなる。また、核がまばらに発生するため、結晶粒が粗大化しやすく膜表面の平滑性が劣化してしまうとともに、ステップカバレッジも不十分なものとなりやすい。
これに対して、本実施形態においても、ウエハWの温度が成膜温度に達する前の低温にある段階で原料ガスSをチャンバ1内に供給し、ウエハW表面で原料ガスSを過飽和状態とし、ウエハWの表面に原料ガスSが集積した状態、理想的には原料ガスSがウエハ表面に吸着した状態を形成することができるので、その後、ウエハWの温度を上昇させる過程で、反応ガスRを流すことにより核付が迅速になされ、核形成を短時間で行うことができる。そのため、その後のCVD成膜で原料ガスSと反応ガスRとの反応による成膜が速やかに進行するため、結果的に成膜速度を速くすることができる。しかも、核形成がウエハW表面全面で均一に生じるので、その後の成膜の際に粒成長が均一に生じ、表面の平滑な膜を形成することができる。また、予めウエハWの表面の全面に原料ガスSを集積(吸着)させておいてから成膜するため、ステップカバレッジが極めて良好なものとなる。
本実施形態においても、ΔP=Psch−P s(TWfini)で表されるΔPを大きくして吸着量Qを多くする観点から、比較的蒸気圧の低い原料ガスを用いることが有利であり、そのような原料ガスとしては、アリルシクロペンタジエニルニッケルNi(Allyl)(Cp)や2,4,ジメチルペンタジエニルエチルシクロペンタジエニルルテニウム(DER)のようなシクロペンタジニエル(CP)系化合物、ターシャリアミルイミドトリスジメチルアミノタンタルのようなアミド系化合物、bis(N,N‘−di−tert−butylacetamidinato)ruthenium(II)dicarbonyl(Ru(tBu−Me−amd)(CO))のようなNやOなどでキレート結合された化合物、Sr(C1119のようなβジケトン系化合物を挙げることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなくさらに種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、載置台を加熱しつつチャンバ内の圧力を低圧に保つことにより、基板を所望の低温状態に保ち、チャンバ内の圧力を上昇させることにより基板の温度を上昇させて核付および成膜を行うようにしたが、これに限らず、加熱機構を調節することにより、基板の温度を変動させるようにすることもできる。
また、上記実施形態では基板として半導体ウエハを用いた場合について示したが、フラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板等、他の基板であっても適用可能である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
ここでは、上記第1の実施形態に対応する一分子熱分解反応(S→P+B)の例について説明する。
原料ガスS:ヘキサカルボニルタングステンW(CO)
キャリアガスNc:Ar
圧力調整ガスNp:Ar
サセプタ温度:300℃
の条件で、以下の手順で成膜を行った。
1.工程1:ウエハ搬入(10sec)
サセプタを300℃に加熱した状態で、トランスファチャンバとチャンバの圧力を10mTorr(1.33Pa)以下まで減圧した。次にゲートバルブを開けてトランスファチャンバからアームによってウエハをチャンバ内で突出した位置にある昇降ピン上に搬送し、アームをトランスファチャンバへ戻し、ゲートバルブを閉めた。
2.工程2:原料ガス吸着(30sec)
昇降ピンを突出したままの状態(アンロード位置)に保持し、キャリアガスNcを200sccm(mL/min)の流量で成膜原料容器へ導入して、チャンバへ原料ガスSを5sccmの流量で輸送し、チャンバ圧力を50mTorr(6.7Pa)に調整した。
3.工程3: 核付プロセス(60sec)
昇降ピンを下降させ、ウエハをサセプタ上に載置した。キャリアガスNcと原料ガスSの流量は工程2と同等に保持し、圧力調整ガスNpを200sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバ内の圧力を1000mTorr
に調整した。
4.工程4:CVD成膜(120sec)
キャリアガスNc、原料ガスS、圧力調整ガスNpの流量を工程3と同じに保持し、チャンバ内の圧力も工程と同じに保持し、ウエハ温度を280℃にして成膜を行った。
5.工程5:チャンバ内ガスパージ(10sec)
キャリアガスNcを成膜原料容器を迂回するように流して原料ガスSの輸送を停止させ、キャリアガスNcはそのままチャンバへ導入し、圧力調整ガスNpはそのままの流量でチャンバへ供給してパージガスとして機能させた。圧力調整弁の開度を徐々に大きくして、引ききりとした。
6.工程6:ウエハ搬出(10sec)
キャリアガスNc、圧力調整ガスNpの導入を停止し、圧力調整を停止してチャンバ内の圧力を10mTorr以下とした。ウエハを昇降ピンでアンロード位置に持ち上げ、ゲートバルブを開け、アームによってチャンバからトランスファチャンバへ搬出した。
搬出されたウエハには、以上のプロセスによりステップカバレッジが良好なタングステン膜が5nmの厚さで得られていることが確認された。
(実施例2)
ここでは、上記第2の実施形態に対応する二分子還元反応(S+R→P+B)の例について説明する。
原料ガスS:アリルシクロペンタジエニルニッケルNi(Allyl)(Cp)
キャリアガスNc:Ar
圧力調整ガスNp:Ar
還元反応ガスR:H
サセプタ温度:160℃
の条件で、以下の手順で成膜を行った。
1.工程1:ウエハ搬入(10sec)
サセプタを160℃に加熱した状態で、トランスファチャンバとチャンバの圧力を10mTorr(1.33Pa)以下まで減圧した。次にゲートバルブを開けてトランスファチャンバからアームによってウエハをチャンバ内で突出した位置にある昇降ピン上に搬送し、アームをトランスファチャンバへ戻し、ゲートバルブを閉めた。
2.工程2:原料ガス吸着(30sec)
昇降ピンを突出したままの状態(アンロード位置)に保持し、キャリアガスNcを200sccm(mL/min)の流量で成膜原料容器へ導入して、チャンバへ原料ガスSを20sccmの流量で輸送し、チャンバ圧力を50mTorr(6.7Pa)に調整した。
3.工程3: 核付プロセス(60sec)
昇降ピンを下降させ、ウエハをサセプタ上に載置した。キャリアガスNcと原料ガスSの流量は工程2と同等に保持し、圧力調整ガスNpを100sccm、還元反応ガスRを100sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバ内の圧力を1000mTorr
に調整した。
4.工程4:CVD成膜(120sec)
キャリアガスNc、原料ガスS、圧力調整ガスNp、還元反応ガスRの流量を工程3と同じに保持し、チャンバ内の圧力も工程と同じに保持し、ウエハ温度を140℃にして成膜を行った。
5.工程5:チャンバ内ガスパージ(10sec)
キャリアガスNcを成膜原料容器を迂回するように流して原料ガスSの輸送を停止させ、キャリアガスNcはそのままチャンバへ導入し、還元反応ガスRの供給を停止し、圧力調整ガスNpはそのままの流量でチャンバへ供給してパージガスとして機能させた。圧力調整弁の開度を徐々に大きくして、引ききりとした。
6.工程6:ウエハ搬出(10sec)
キャリアガスNc、圧力調整ガスNpの導入を停止し、圧力調整を停止してチャンバ内の圧力を10mTorr以下とした。ウエハを昇降ピンで取り出し位置に持ち上げ、ゲートバルブを開け、アームによってチャンバからトランスファチャンバへ搬出した。
搬出されたウエハには、以上のプロセスによりステップカバレッジが良好なニッケル膜が10nmの厚さで得られていることが確認された。
(実施例3)
ここでは、上記第2の実施形態に対応する二分子分解反応(S+R→P+B)の例について説明する。
原料ガスS:2,4,ジメチルペンタジエニルエチルシクロペンタジエニルルテニウム(DER)
キャリアガスNc:Ar
圧力調整ガスNp:Ar
分解用反応ガスR:O
サセプタ温度:300℃
の条件で、以下の手順で成膜を行った。
1.工程1:ウエハ搬入(10sec)
サセプタを300℃に加熱した状態で、トランスファチャンバとチャンバの圧力を10mTorr(1.33Pa)以下まで減圧した。次にゲートバルブを開けてトランスファチャンバからアームによってウエハをチャンバ内で突出させた昇降ピン上に搬送し、アームをトランスファチャンバへ戻し、ゲートバルブを閉めた。
2.工程2:原料ガス吸着(30sec)
昇降ピンを突出したままの状態に保持し、原料0.5g/minとキャリアガスNc100sccmとを120℃に加熱した気化器へ導入して、チャンバへ原料をガス化して輸送し、チャンバ圧力を200mTorr(26.7Pa)に調整した。
3.工程3: 核付プロセス(60sec)
昇降ピンを成膜位置に下降させ、ウエハをサセプタ上に載置した。キャリアガスNcと原料ガスSの流量は工程2と同等に保持し、圧力調整ガスNpを200sccm、分解用反応ガスRを200sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバ内の圧力を1000mTorr
(133.3Pa)に調整した。
4.工程4:CVD成膜(300sec)
原料流量:0.1g/min
キャリアガスNc流量:100sccm
圧力調整ガスNp流量:200sccm
分解用反応ガスR流量:200sccm
チャンバ内圧力:500mTorr(66.7Pa)
の条件で300sec保持した。ウエハ温度は290℃であった。
5.工程5:チャンバ内ガスパージ(10sec)
キャリアガスNcと原料の気化器への導入を停止し、分解用還元ガスRのチャンバへの供給を停止し、圧力調整ガスNpはそのままの流量でチャンバへ供給してパージガスとして機能させた。圧力調整弁の開度を徐々に大きくして、引ききりとした。
6.工程6:ウエハ搬出(10sec)
圧力調整ガスNpの導入を停止し、圧力調整弁を全開にしてチャンバ内の圧力を10mTorr以下とした。ウエハを昇降ピンでアンロード位置に持ち上げ、ゲートバルブを開け、アームによってチャンバからトランスファチャンバへ搬出した。
搬出されたウエハには、以上のプロセスによりアスペクト比20のホールでのステップカバレッジが70%以上のRu膜が、7nmの厚さで得られていることが確認された。
(実施例4)
ここでは、上記第2の実施形態に対応する二分子窒化物形成反応(S+R→P+B)の例について説明する。
原料ガスS:ターシャリアミルイミドトリスジメチルアミノタンタル(Taimata)
キャリアガスNc:Ar
圧力調整ガスNp:Ar
反応ガスR:NH
サセプタ温度:300℃
の条件で、以下の手順で成膜を行った。
1.工程1:ウエハ搬入(10sec)
サセプタを300℃に加熱した状態で、トランスファチャンバとチャンバの圧力を10mTorr(1.33Pa)以下まで減圧した。次にゲートバルブを開けてトランスファチャンバからアームによってウエハをチャンバ内で突出した位置にある昇降ピン上に搬送し、アームをトランスファチャンバへ戻し、ゲートバルブを閉めた。
2.工程2:原料ガス吸着(30sec)
昇降ピンを突出したままの状態(アンロード位置)に保持し、キャリアガスNcを60℃に加熱した成膜原料容器に供給し、バブリング法によりその中の原料を蒸発させ原料ガスS(原料蒸気)をチャンバへ輸送し、チャンバ圧力を70mTorr(9.3Pa)に調整した。
3.工程3: 核付プロセス(60sec)
昇降ピンを成膜位置に下降させ、ウエハをサセプタ上に載置した。キャリアガスNcと原料ガスSの流量は工程2と同等に保持し、圧力調整ガスNpを200sccm、反応ガスRを500sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバ内の圧力を1000mTorr
(133.3Pa)に調整した。
4.工程4:CVD成膜(120sec)
キャリアガスNc流量:100sccm
圧力調整ガスNp流量:200sccm
反応ガスR流量:500sccm
チャンバ内圧力:500mTorr(66.7Pa)
の条件で120sec保持した。ウエハ温度は290℃であった。
5.工程5:チャンバ内ガスパージ(10sec)
キャリアガスNcを成膜原料容器を迂回するように流して原料ガスSの輸送を停止させ、キャリアガスNcはそのままチャンバへ導入し、反応ガスRの供給を停止し、圧力調整ガスNpはそのままの流量でチャンバへ供給してパージガスとして機能させた。圧力調整弁の開度を徐々に大きくして、引ききりとした。
6.工程6:ウエハ搬出(10sec)
圧力調整ガスNpの導入を停止し、圧力調整弁を全開にしてチャンバ内の圧力を10mTorr以下とした。ウエハを昇降ピンでアンロード位置に持ち上げ、ゲートバルブを開け、アームによってチャンバからトランスファチャンバへ搬出した。
搬出されたウエハには、以上のプロセスによりアスペクト比30のホールでのステップカバレッジが80%以上のTaN膜が、5nmの厚さで得られていることが確認された。
本発明は、有機化合物を原料として、良好な表面平滑性およびステップカバレッジの膜が得られるため、微細パターンへの成膜や複雑形状に対する成膜に適している。
本発明の第1の実施形態に係る成膜方法に適用される成膜装置を示す断面図。 図1の成膜装置にて実施される本発明の第1の実施形態に係る成膜方法のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャート。 図1の成膜装置にて核付工程を実施している際のより好ましい状態を示す模式図。 従来の一分子反応によるCVD成膜のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャート。 原料ガスとして用いるW(CO)の蒸気圧曲線を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る成膜方法に適用される成膜装置を示す断面図。 図6の成膜装置にて実施される本発明の第2の実施形態に係る成膜方法のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャート。 従来の二分子反応によるCVD成膜のシーケンスと各工程でのガス流量、圧力、温度を示すチャート。
符号の説明
1;チャンバ
2;サセプタ
5;ヒーター
9;排気装置
10;シャワーヘッド
11;原料ガス配管
12;圧力調整ガス配管
13;成膜原料容器
14;キャリアガス配管
15;キャリアガス供給源
20;圧力調整ガス供給源
29;搬入出口
30;ゲートバルブ
40;コントローラ
41;ユーザーインターフェース
42;記憶部
51;反応ガス配管
52;反応ガス供給源
100,100′;成膜装置
F;成膜原料
Nc;キャリアガス
Np;圧力調整ガス
R;反応ガス
S;原料ガス
W;半導体ウエハ(基板)

Claims (15)

  1. 基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を用いて、基板上に所定の膜を形成する成膜方法であって、
    基板を処理容器内に搬入する工程と、
    前記処理容器内の基板温度が前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い段階で前記処理容器内に前記原料ガスを導入し、基板表面に原料ガスを集積させる工程と、
    前記原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行う工程と、
    前記原料ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度に保持して基板上に所定の膜を成膜する工程と
    を有することを特徴とする成膜方法。
  2. 基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を用いて、基板上に所定の膜を形成する成膜方法であって、
    前記加熱機構により前記載置台の温度を成膜時の温度に加熱し、基板温度が前記処理容器に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低くなるように処理容器内を圧力調整した状態で基板を前記処理容器内に搬入する工程と、
    前記処理容器内の基板温度を前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い温度に維持したまま前記処理容器内に前記原料ガスを導入し、基板表面に原料ガスを集積させる工程と、
    原料ガスの導入を継続しつつ前記処理容器内に圧力調整ガスを導入して前記処理容器内の圧力を上昇させることにより基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行う工程と、
    前記原料ガスおよび圧力調整ガスの導入を継続しつつ基板温度を成膜温度に保持して基板上に所定の膜を成膜する工程と
    を有することを特徴とする成膜方法。
  3. 前記基板表面に原料ガスを集積させる工程は、その際の前記処理容器内の前記原料ガスの分圧の値が、その際の基板の温度における原料ガスの蒸気圧よりも大きい状態で行われることを特徴とする請求項2に記載の成膜方法。
  4. 基板表面に原料ガスを集積させる工程は、基板を前記載置台の上方に位置させた状態で行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成膜方法。
  5. 前記原料ガスが加熱されて分解されることにより、前記所定の膜が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の成膜方法。
  6. 前記ガス供給機構は、前記原料ガスと反応する反応ガスを供給し、前記原料ガスと前記反応ガスとが反応することにより、前記所定の膜が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の成膜方法。
  7. 前記反応ガスは、前記核付工程および前記成膜工程の際に導入されることを特徴とする請求項6に記載の成膜方法。
  8. 基板を収容する処理容器と、
    前記処理容器内で基板を載置する載置台と、
    前記載置台に設けられた加熱機構と、
    前記処理容器内を真空排気する排気機構と、
    前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構と、
    成膜処理を制御する制御機構と
    を具備し、基板上に所定の膜を形成する成膜装置であって、
    前記制御機構は、
    基板を処理容器内に搬入させ、
    前記処理容器内の基板温度が前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い段階で前記処理容器内に前記原料ガスを導入させて、基板表面に原料ガスを集積させ、
    前記原料ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で基板上に膜形成のための核付を行わせ、
    前記原料ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度に保持させて基板上に所定の膜が成膜されるように制御することを特徴とする成膜装置。
  9. 基板を収容する処理容器と、
    前記処理容器内で基板を載置する載置台と、
    前記載置台に設けられた加熱機構と、
    前記処理容器内を真空排気する排気機構と、
    前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構と
    成膜処理を制御する制御機構と
    を具備し、基板上に所定の膜を形成する成膜装置であって、
    前記制御機構は、
    前記加熱機構により前記載置台の温度を成膜時の温度に加熱させ、基板温度が前記処理容器に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低くなるように処理容器内を圧力調整させた状態で基板を前記処理容器内に搬入させ、
    前記処理容器内の基板温度を前記処理容器内に導入される際の前記原料ガスの温度よりも低い温度に維持させたまま前記処理容器内に前記原料ガスを導入させて、基板表面に原料ガスを集積させ、
    原料ガスの導入を継続させつつ前記処理容器内に圧力調整ガスを導入させて前記処理容器内の圧力を上昇させることにより基板温度を成膜温度まで上昇させる過程で、基板上に膜形成のための核付を行わせ、
    前記原料ガスおよび圧力調整ガスの導入を継続させつつ基板温度を成膜温度に保持させて基板上に所定の膜が成膜されるように制御することを特徴とする成膜装置。
  10. 前記制御機構は、前記基板表面に原料ガスを集積させる際の前記処理容器内の前記原料ガスの分圧の値が、その際の基板の温度における原料ガスの蒸気圧よりも大きい状態になるように制御することを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
  11. 前記載置台に対して突没可能に設けられ、基板を昇降させる昇降ピンをさらに具備し、前記制御機構は、基板表面に原料ガスを集積させる際に、前記昇降ピンを上昇させて基板を前記載置台の上方に位置させた状態とさせることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の成膜装置。
  12. 前記制御機構は、前記原料ガスが加熱されて分解されることにより、前記所定の膜が形成されるように制御することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の成膜装置。
  13. 前記ガス供給機構は、前記原料ガスと反応する反応ガスを供給し、前記制御機構は、前記原料ガスと前記反応ガスとが反応することにより、前記所定の膜が形成されるように制御することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の成膜装置。
  14. 前記制御機構は、前記反応ガスを、前記核付および前記成膜の際に導入させることを特徴とする請求項13に記載の成膜装置。
  15. コンピュータ上で動作し、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記載置台に設けられた加熱機構と、前記処理容器内を真空排気する排気機構と、前記処理容器内に成膜しようとする膜の成分を含有する原料ガスを供給するガス供給機構とを具備する成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項7のいずれかの成膜方法が実施されるようにコンピュータに成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。
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