JP4979965B2 - 基板処理装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウェーハ、ガラス基板等の基板に薄膜の生成、不純物の拡散、アニール処理、エッチング等の基板処理を行う基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
半導体装置を製造する工程の1工程として、基板処理工程があり、基板処理を行う装置として基板処理装置がある。又、基板処理装置には所定数の基板を一度に処理するバッチ式の基板処理装置と、1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置とがある。
又、基板処理工程には処理ガスとプラズマにより活性化されたガスとを用いて成膜処理を行う成膜工程がある。更に、成膜工程に使用される原料ガスには、成膜する膜質に応じて、常温で気体のもの、常温で液体のもの(液体原料)があり、液体原料は気化され、気体として反応室に供給される。
例えば、金属元素を含む膜を基板に成膜する場合、金属原子に炭素、水素、窒素等を化学的に付加し、融点を下げ、液化した有機金属材料を原料として用いる場合がある。
気化の方法としては、液体原料を窒素ガスや希ガス等のキャリアガスでバブリングして担体させて供給する方法、或は気化器で加熱等気化エネルギを加えて強制的に気化し、キャリアガスにより供給する方法が採用される。前者の気化方法は、比較的蒸気圧の高い液体原料で採用され、後者の気化方法は比較的蒸気圧の低い液体原料を使う場合や、大量の原料を安定に気化したい場合に採用される方法である。
一方原料は、融点を下げ、蒸気圧を高くする為に様々な有機金属錯体が合成されているが、化学結合力が弱い為に気化時に分解してしまうものもある。特に、強固な化学結合を持たないアダクト(付加物)を含有することで融点を下げ、蒸気圧を上げている有機金属原料の場合、バブリングで気化する場合は問題ないが、気化器で気化エネルギを強制的に加えて気化する場合は、気化時のエネルギで蒸気圧の高いアダクト部分が優先的に脱離、蒸発してしまい、蒸気圧の低い金属錯体が残渣として気化器内や、配管に残留してしまうという問題があった。例えば、液体原料がSr(C11H19O2 )2 ・tetraen(ビスジピバロイルメタナトストロンチウム・テトラエン付加物)である場合は、融点は約86℃、100℃〜150℃で徐々に分解すると考えられている。
又、バブリングでの供給では、原料の蒸気圧が低い場合、多量の原料を一度に気化させることは難しく量産技術への適用の妨げとなっていた。
特開2002−208564号公報
本発明は斯かる実情に鑑み、結合力の弱いアダクトを構造中に有する液体原料を気化する場合に於いて、気化過程でのアダクトの脱離を抑制し、安定に気化させて基板処理を行う、基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供するものである。
本発明は、基板を処理する処理室と、アダクトを含有する液体原料を気化する気化器と、該気化器で前記液体原料を気化して得られた原料ガスを前記処理室に供給する原料ガス供給ラインと、前記気化器にアダクト蒸気を供給するアダクト蒸気供給ラインとを具備し、前記気化器はアダクト蒸気雰囲気下で前記液体原料を気化する様構成された基板処理装置に係るものであり、又アダクトを含有する液体原料を気化する工程と、前記液体原料を気化して得られた原料ガスを基板に供給して基板を処理する工程とを具備し、前記液体原料はアダクト蒸気雰囲気下で気化される半導体装置の製造方法に係るものである。
本発明によれば、基板を処理する処理室と、アダクトを含有する液体原料を気化する気化器と、該気化器で前記液体原料を気化して得られた原料ガスを前記処理室に供給する原料ガス供給ラインと、前記気化器にアダクト蒸気を供給するアダクト蒸気供給ラインとを具備し、前記気化器はアダクト蒸気雰囲気下で前記液体原料を気化する様構成されたので、前記気化器中のアダクト蒸気が液体原料中のアダクトの分解を抑制し、前記液体原料は安定に気化される。
又本発明によれば、アダクトを含有する液体原料を気化する工程と、前記液体原料を気化して得られた原料ガスを基板に供給して基板を処理する工程とを具備し、前記液体原料はアダクト蒸気雰囲気下で気化されるので、アダクト蒸気が液体原料中のアダクトの分解を抑制し、前記液体原料は安定に気化されるという優れた効果を発揮する。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
先ず、本発明に係る基板処理方法が実施される基板処理装置の一例について図1を参照して説明する。
図1に示す基板処理装置は、リモートプラズマユニットを具備する枚葉式の基板処理装置の一例を示している。
図1に示す様に、処理容器1により形成される処理室2内には、支持台3が設けられる。該支持台3の上部には基板4を支持する支持板としてのサセプタ5が設けられる。前記支持台3の内部には加熱機構(加熱手段)としてのヒータ6が設けられ、該ヒータ6によって前記サセプタ5上に載置される基板4を加熱する様になっている。前記ヒータ6は基板4の温度が所定の温度となる様に温度制御部(温度制御手段)としての温度コントローラ7により制御される。基板4は、例えば半導体シリコンウェーハ、ガラス基板等である。
前記処理室2の外部には、回転機構(回転手段)8が設けられ、該回転機構8によって前記支持台3を回転して、前記サセプタ5上の基板4を回転できる様になっている。又、前記処理室2の外部には昇降機構(昇降手段)9が設けられ、前記支持台3は前記昇降機構9によって昇降可能となっている。
前記処理室2の上部には前記サセプタ5と対向する様にシャワーヘッド11が設けられ、該シャワーヘッド11は多数のガス噴出口としての孔12を有する。前記シャワーヘッド11は、2つの室、即ち原料ガス供給部13と活性化ガス供給部14とに分割され、分割された前記原料ガス供給部13、前記活性化ガス供給部14のそれぞれから、後述する原料ガスと活性化ガスを、それぞれ別々に前記基板4に対してシャワー状に噴出できる様になっている。更に前記原料ガス供給部13と前記活性化ガス供給部14とで原料ガスと活性化ガスをそれぞれ供給する別々の供給口が構成される。尚、原料ガスと活性化ガスは前記シャワーヘッド11内で混ざることはない。
前記処理室2の外部には、後述するアダクトを含有する液体原料である第1原料を供給する第1原料供給源15が設けられ、該第1原料供給源15には液体原料供給管16が接続されている。該液体原料供給管16は、第1原料の液体供給流量を制御する流量制御装置(流量制御手段)としての液体流量コントローラ17を介して、第1原料を気化する気化装置18に接続されている。該気化装置18には原料ガス供給管19が接続されており、該原料ガス供給管19はバルブ21を介して前記原料ガス供給部13に接続されている。第1原料としては、例えば、常温で液体の有機金属材料、即ち有機金属液体原料を用いる。
又、前記処理室2の外部には、非反応性ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給源22が設けられ、該不活性ガス供給源22には不活性ガス供給管23が接続されている。該不活性ガス供給管23は、不活性ガスの供給流量を制御する流量制御装置(流量制御手段)としてのガス流量コントローラ24、バルブ25を介して前記原料ガス供給管19に接続されている。不活性ガスとしては、例えば、Ar、He、N2 等が用いられる。
前記原料ガス供給管19は、前記気化装置18にて気化した第1原料、即ち原料ガスと、前記不活性ガス供給管23からの不活性ガスとを前記原料ガス供給部13に供給する様になっている。又、前記原料ガス供給管19、前記不活性ガス供給管23にそれぞれ設けられた前記バルブ21,25を開閉することにより、それぞれのガスの供給を制御することが可能となっている。尚、STO膜等の多元素系の薄膜を形成する場合は、この第1原料供給系と同等の供給系を複数系統設ける様にするのがよい。例えば、STO膜を形成する場合はSr原料用の供給系と、Ti原料用の供給系との2系統設けるのがよい。
又、前記処理室2の外部には、ガスをプラズマにより活性化させる活性化機構(活性化手段)としてのリモートプラズマユニット26が設けられる。該リモートプラズマユニット26の上流側には、ガス供給管27が設けられる。該ガス供給管27には、第2原料を供給する第2原料供給源28、プラズマを発生させる為のガスを供給するプラズマ着火用ガス供給源29、クリーニングガスを供給するクリーニングガス供給源30がそれぞれ供給管32,33,34を介して接続され、それぞれのガスを前記リモートプラズマユニット26に供給する様になっている。前記供給管32,33,34には、それぞれのガスの供給流量を制御するガス流量コントローラ35,36,37と、バルブ38,39,40がそれぞれ設けられている。
前記バルブ38,39,40を開閉することにより、それぞれガスの供給を制御することが可能となっている。第2原料としては、例えば、酸素原子(O)を含むガス、水素原子(H)を含むガス、窒素原子(N)を含むガスを用いる。プラズマ着火用ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガスを用いる。クリーニングガスとしては、例えば、フッ素原子(F)を含むガス、塩素原子(Cl)を含むガスを用いる。
前記リモートプラズマユニット26の下流側には、活性化ガス供給管42が設けられる。該活性化ガス供給管42はバルブ43を介して前記活性化ガス供給部14に接続され、該活性化ガス供給部14に前記リモートプラズマユニット26にて活性化した第2原料、即ち活性化ガスを供給する様になっている。又、前記バルブ43を開閉することにより、活性化ガスの供給を制御することが可能となっている。
前記処理容器1の下部側壁には排気口44が設けられ、該排気口44には排気装置(排気手段)としての真空ポンプ45、除害装置(図示せず)に連通する排気管46が接続されている。該排気管46には、前記処理室2内の圧力を制御する圧力制御部(圧力制御手段)としての圧力コントローラ47と、原料を回収する為の原料回収トラップ48が設けられる。前記排気口44及び前記排気管46で排気系が構成される。
前記処理室2内の前記支持台3上には、前記シャワーヘッド11から供給されたガスの流れを調整する整流板としてのプレート51が設けられる。該プレート51は円環(リング)形状であり、基板4の周囲に設けられる。前記シャワーヘッド11から前記処理室2に供給されたガスは基板4の径方向外方に向かって流れ、前記プレート51上を通り、該プレート51と前記処理容器1の側壁(内壁)との間を通り、前記排気口44より排気される。尚、基板外周部等、基板4に膜を形成したくない箇所がある場合は、前記プレート51の内径を基板4の外形より小さくして、基板4の外周部を覆う様にしてもよい。この場合、基板搬送を可能とする為に、前記プレート51を前記処理室2内の基板処理位置に固定したり、前記プレート51を昇降させる機構を設ける様にしてもよい。
前記原料ガス供給管19と前記原料回収トラップ48とはバイパス管52によって接続され、前記活性化ガス供給管42と前記原料回収トラップ48とはバイパス管53によって接続され、前記バイパス管52、前記バイパス管53にはそれぞれバルブ54,55が設けられる。
前記処理容器1の前記排気口44と反対側の側壁には、仕切弁としてのゲートバルブ57によって開閉される基板搬入搬出口58が設けられ、基板4を前記処理室2内に搬入搬出し得る様に構成されている。
前記バルブ21,25,38,39,40,43,54,55、前記流量コントローラ17,24,35,36,37、前記温度コントローラ7、前記圧力コントローラ47、前記気化装置18、前記リモートプラズマユニット26、前記回転機構8、前記昇降機構9等の基板処理装置を構成する各部の動作の制御は、主制御部(主制御手段)としてのメインコントローラ56により行う。
次に、上記基板処理装置に於いて、半導体デバイスの製造工程の1工程として基板上に薄膜を堆積する方法について説明する。本実施の形態では、常温で液体である有機金属液体原料を用いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、特にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、又はALD(Atomic Layer Deposition)法により基板上に金属膜や金属酸化膜等の薄膜を形成する場合について説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置を構成する各部の動作は前記メインコントローラ56により制御される。
前記支持台3が基板搬送位置迄下降した状態で、前記ゲートバルブ57が開かれ、前記基板搬入搬出口58が開放されると、図示しない基板移載機により基板4が前記処理室2内に搬入される(基板搬入工程)。基板4が前記処理室2内に搬入され、図示しない突上げピン上に載置された後、前記ゲートバルブ57が閉じられる。前記支持台3が基板搬送位置からそれよりも上方の基板処理位置迄上昇する。その間に基板4は突上げピン(図示せず)上から前記サセプタ5上に載置される(基板載置工程)。
前記支持台3が基板処理位置に到達すると、基板4は前記回転機構8により回転される。又、前記ヒータ6に電力が供給され基板4は所定の処理温度となる様に均一に加熱される(基板昇温工程)。同時に、前記処理室2内は前記真空ポンプ45により真空排気され、所定の処理圧力となる様に制御される(圧力調整工程)。尚、基板搬送時や基板昇温時や圧力調整時に於いては、前記不活性ガス供給管23に設けられた前記バルブ25は常時開いた状態とされ、前記不活性ガス供給源22より前記処理室2内に不活性ガスが常に流される。これにより、パーティクルや金属汚染物の基板4への付着を防ぐことができる。
基板4の温度、前記処理室2内の圧力が、それぞれ所定の処理温度、所定の処理圧力に到達して安定すると、前記処理室2内に原料ガスが供給される。即ち、前記第1原料供給源15から供給された第1原料としての有機金属液体原料が、前記液体流量コントローラ17で流量制御され、前記気化装置18へ供給されて気化される。
前記バルブ54が閉じられると共に前記バルブ21が開かれ、気化された第1原料、即ち原料ガスが、前記原料ガス供給管19を通り、前記原料ガス供給部13を介して基板4上へ供給される。この時も、前記バルブ25は開いたままの状態とされ、前記処理室2内には不活性ガスが常に流される。原料ガスと不活性ガスとは前記原料供給管19内で混合されて前記原料ガス供給部13に導かれ、前記サセプタ5上の基板4上へシャワー状に供給される(原料ガス供給工程)。尚、原料ガスは不活性ガスで希釈されることにより攪拌され易くなる。
尚、STO膜等の多元素系の薄膜を形成する場合は、複数系統の供給系から異なる原料をそれぞれ供給するのがよい。例えば、STO膜を形成する場合は、Sr原料用の供給系からSr原料ガスを、Ti原料用の供給系からTi原料ガスを供給するのがよい。
原料ガスの供給が所定時間行われた後、前記バルブ21が閉じられ、原料ガスの供給が停止される。この時も、前記バルブ25は開いたままの状態なので、前記処理室2内への不活性ガスの供給は維持される。これにより、前記処理室2内が不活性ガスによりパージされ、該処理室2内の残留ガスが除去される(パージ工程)。
尚、この際、前記バルブ54を開き、原料ガスを前記バイパス管52より排気して、前記気化装置18からの原料ガスの供給を停止しない様にするのが好ましい。液体原料を気化して、気化した原料ガスを安定供給する迄には時間が掛るので、前記気化装置18からの原料ガスの供給を停止することなく、前記処理室2をバイパスする様に流しておくと、次の原料ガス供給工程では、流れを切換えるだけで、直ちに原料ガスを前記処理室2に供給できる。
該処理室2内のパージが所定時間行われた後、該処理室2内に活性化ガスが供給される。即ち、前記バルブ39が開かれ、前記プラズマ着火用ガス供給源29から供給されたプラズマ着火用ガスとしてのArガスが、前記供給管33を通り、前記ガス流量コントローラ36で流量制御されて、前記リモートプラズマユニット26へ供給され、Arプラズマが生成される。Arプラズマが生成された後、前記バルブ38が開かれ、前記第2原料供給源28から供給された第2原料が前記供給管32を通り、前記ガス流量コントローラ35で流量制御され、Arプラズマが生成されている前記リモートプラズマユニット26へ供給され、第2原料がプラズマにより活性化される。これによりラジカル(活性種)等の反応種が生成される。前記バルブ55が閉じられると共に前記バルブ43が開かれ、前記リモートプラズマユニット26から第2原料をプラズマにより活性化したガス、即ち活性化ガスが、前記活性化ガス供給管42を通り、前記活性化ガス供給部14を介して基板4上へシャワー状に供給される(活性化ガス供給工程)。尚、この時も、前記バルブ25は開いたままの状態とされ、前記処理室2内には不活性ガスが常に供給される。
活性化ガスの供給が所定時間行われた後、前記バルブ43が閉じられ、活性化ガスの基板4への供給が停止される。この時も、前記バルブ25は開いたままの状態なので、前記処理室2内への不活性ガスの供給は維持される。これにより、前記処理室2内が不活性ガスによりパージされ、該処理室2内の残留ガスが除去される(パージ工程)。
尚、この際、前記バルブ55を開き、活性化ガスを前記バイパス管53より排気して、前記リモートプラズマユニット26からの活性化ガスの供給を停止しない様にするのが好ましい。活性化ガスを安定供給する迄には時間が掛かるので、前記リモートプラズマユニット26からの活性化ガスの供給を停止することなく、前記処理室2をバイパスする様に流しておくと、次の活性化ガス供給工程では、流れを切換えるだけで、直ちに活性化ガスを前記処理室2へ供給できる。
該処理室2内のパージが所定時間行われた後、再び、前記バルブ54が閉じられると共に前記バルブ21が開かれ、気化した第1原料、即ち原料ガスが、不活性ガスと共に前記シャワーヘッド11の前記原料ガス供給部13を介して基板4上へ供給され、原料ガス供給工程が行われる。
以上の様な、原料ガス供給工程、パージ工程、活性化ガス供給工程、パージ工程を、1サイクルとして、このサイクルを複数回繰返すサイクル処理を行うことにより、基板4上に所定膜厚の薄膜を形成することができる(薄膜形成工程)。
基板4への薄膜形成処理終了後、前記回転機構8による基板4の回転が停止され、処理済基板4は基板搬入工程と逆の手順で前記処理室2外へ搬出される(基板搬出工程)。
尚、薄膜形成工程をCVD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解する程度の温度帯となる様に制御する。この場合、原料ガス供給工程に於いては、原料ガスが熱分解し、基板4上に数〜数十原子層程度の薄膜が形成される。この間、基板4は回転しながら所定温度に保たれているので、基板面内に亘り均一な膜を形成できる。活性化ガス供給工程に於いては、活性化ガスにより基板4上に形成された数〜数十原子層程度の薄膜よりC、H等の不純物が除去される。この間も、基板4は回転しながら所定温度に保たれているので、薄膜より不純物を素早く均一に除去できる。
又、薄膜形成工程をALD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解しない程度の温度帯となる様に制御する。この場合、原料ガス供給工程に於いては、原料ガスは熱分解することなく基板4上に吸着する。この間、基板4は回転しながら所定温度に保たれているので、基板面内に亘り均一に原料を吸着させることができる。活性化ガス供給工程に於いては、基板4上に吸着した原料と活性化ガスとが反応することにより基板4上に1〜数原子層程度の薄膜が形成される。この間も、基板4は回転しながら所定温度に保たれているので、基板面内に亘り均一な膜を形成できる。尚、この時、活性化ガスに含まれるラジカル成分により薄膜中に混入するC、H等の不純物を脱離させることができる。
尚、本実施の形態の処理炉にて、ALD法又はCVD法により、基板を処理する際の処理条件としては、例えば多元素系の薄膜であるSTO膜(SrTiO3 膜)を成膜する場合、処理温度200〜700℃、処理圧力50〜1000Pa、第1原料であるSr原料がSr(C11H19O2 )2 ・tetraenの場合、供給流量:0.01〜0.1g/min、アダクト材料:NH(C2 H4 NHC2 H4 NH)2 、キャリアガス(N2 )供給流量100〜2000sccmが例示される。
又第1原料であるTi原料がTi(OC3 H7 )4 の場合、供給流量0.01〜0.1g/min、アダクト材料:不使用、キャリアガス(N2 )供給流量100〜2000sccm、第2原料(酸化剤):O2 、O3 又はH2 O、供給流量100〜2000sccmが例示される。
尚、アダクト材料については後述する。
次に、図2に於いて、本発明に係る基板処理装置に用いられる気化装置18の一例を説明する。
該気化装置18は、気化器61、アダクト蒸気発生器(バブラ)62を具備し、前記気化器61の上流側に前記液体原料供給管16が接続され、下流側には前記原料ガス供給管19が接続されている。前記アダクト蒸気発生器62にはキャリアガス供給管63が接続され、前記アダクト蒸気発生器62と前記気化器61とはアダクト蒸気供給管64によって接続されている。
前記気化器61内部は所要の手段で加熱され、例えば壁に設けられた図示しないヒータによって加熱され、前記液体原料供給管16から供給される液体原料はノズル65を介して前記気化器61内に噴霧される。
前記アダクト蒸気発生器62内には液体原料に含有されている物質、例えばアダクト(付加物)の液体(以下液体アダクト66)が上部に空間67を残置し貯溜されており、前記キャリアガス供給管63の先端は前記液体アダクト66中に液没されている。又、前記キャリアガス供給管63からはキャリアガス68、例えば窒素ガス等の不活性ガスが供給される様になっている。又、前記アダクト蒸気供給管64の上流端は前記空間67に開口し、下流端は前記ノズル65に合流している。
以下、前記気化装置18の作用について説明する。
前記キャリアガス供給管63からキャリアガスを前記液体アダクト66内に噴出することで、バブリングにより前記液体アダクト66が蒸発し、アダクト蒸気として前記アダクト蒸気供給管64から前記ノズル65に供給される。
前記液体流量コントローラ17で流量調節された液体原料は、アダクト蒸気(又はアダクトミスト)と共に前記気化器61内に噴霧され、該気化器61内部でエネルギを加えられ、アダクト蒸気雰囲気下で蒸発し、原料ガスとなる。原料ガスは前記原料ガス供給管19を経て前記処理室2に供給される。
液体原料に含まれるアダクトは結合力が弱い為、前記気化器61中に噴霧される際、或は該気化器61で加熱される際のエネルギで脱離分解し易いが、アダクト蒸気と共に噴霧され、又前記気化器61内は供給されるアダクト蒸気により、アダクト濃度が非常に高い雰囲気となっているので、化学平衡の原理からアダクトが液体原料から優先的に脱離分解することが抑制される。
従って、気化時にアダクトが脱離分解し、蒸気圧の低い金属錯体が残渣として前記気化器61、前記原料ガス供給管19に残留することが抑制される。
本発明では、結合力の弱いアダクトを構造中に持つ液体原料を気化する際のキャリアガスとして液体アダクト66をバブリングしたキャリアガスを使用することで、気化時のアダクトの脱離を抑制し、安定に気化させることができる。
尚、液体原料が気化する際の雰囲気を、アダクト雰囲気(アダクト蒸気濃度(アダクト分圧)を高くした雰囲気)とすればよいので、前記気化器61にアダクト蒸気を供給する手段としては上記したアダクト蒸気発生器62に限らない。従って、前記気化器61に直接アダクトを供給してアダクト雰囲気としてもよく、或は事前に所定の混合比でアダクトの蒸気を混合したキャリアガスを前記気化器61に供給してもよい。
尚、例示した様にSTO膜を形成する場合、第1原料の1つであるSr液体原料がSr(C11H19O2 )2 ・tetraen(ビスジピバロイルメタナトストロンチウム・テトラエン付加物)である場合、アダクトとしてはNH(C2 H4 NHC2 H4 NH)2 (テトラエチレンペンタミン(テトラエン))が使用され、前記アダクト蒸気発生器62にはテトラエンの液体が貯溜される。又、もう1つの第1原料であるTi液体原料がTi(OC3 H7 )4 である場合、アダクト材料は使用しなくてよく、Ti原料用の供給系については前記アダクト蒸気発生器62は省略し、前記キャリアガス68を直接前記ノズル65に供給する様にすればよい。
尚、液体原料はSr(C11H19O2 )2 等の金属のβ−ジケトン化合物のアダクト付加物からなる群から選択されればよく、又アダクトはトリグリム、テトラグリム、トリエン、テトラエン、フェナントロリンからなる群から選択されればよい。
(付記)
尚、本発明は、以下の実施の態様を含む。
(付記1)基板を処理する処理室と、液体原料を気化する気化器と、該気化器で前記液体原料を気化して得られた原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給ラインと、前記気化器に前記液体原料を供給する液体原料供給ラインと、前記液体原料に含まれる物質からなる液体を前記キャリアガスでバブリングするバブラとを有し、前記気化器は、前記バブリングにより得たガス雰囲気下で前記液体原料を気化する様構成されることを特徴とする基板処理装置。
(付記2)液体原料を気化器により気化する工程と、前記気化器により前記液体原料を気化して得られた原料ガスを基板に供給して基板を処理する工程とを有し、前記液体原料を気化する工程では、前記液体原料に含まれる物質からなる液体を不活性ガスでバブリングして得たガス雰囲気下で前記液体原料を気化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記3)付記1、付記2に於いて、前記液体原料に含まれる物質は、前記液体原料のアダクト部分と同じ物質である。
(付記4)付記1、付記2に於いて、前記液体原料は、前記気化器によりキャリアガス単独雰囲気下で気化する場合に気化時のエネルギでアダクト部分が脱離する原料であり、前記液体原料に含まれる物質とは、前記アダクトと同じ物質である。
(付記5)付記3、付記4に於いて、前記液体原料はSr(C11H19O2 )2 等の金属のβ−ジケトン化合物のアダクト付加物からなる群から選択される少なくとも1つの原料であり、前記アダクトは、トリグリム、テトラグリム、トリエン、テトラエン、フェナントロリンからなる群から選択される少なくとも1つの物質である。
(付記6)付記1〜付記5に於ける液体原料供給システム。
本発明の実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る基板処理装置に用いられる気化装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 処理容器
2 処理室
4 基板
15 第1原料供給源
16 液体原料供給管
17 液体流量コントローラ
18 気化装置
19 原料ガス供給管
22 不活性ガス供給源
24 ガス流量コントローラ
26 リモートプラズマユニット
61 気化器
62 アダクト蒸気発生器
63 キャリアガス供給管
64 アダクト蒸気供給管
65 ノズル

Claims (2)

  1. 基板を処理する処理室と、アダクトを含有する液体原料を気化する気化器と、該気化器で前記液体原料を気化して得られた原料ガスを前記処理室に供給する原料ガス供給と、前記気化器にアダクト蒸気を供給するアダクト蒸気供給系と、前記気化器、前記原料ガス供給系、前記アダクト蒸気供給系を制御する制御部とを具備し、
    該制御部は、前記アダクト蒸気をキャリアガスとして用いて共に前記液体原料を前記気化器へ噴霧し、アダクト蒸気雰囲気下で前記液体原料を気化し、前記原料ガスを前記処理室に供給する様に前記気化器、前記原料ガス供給系、前記アダクト蒸気供給系を制御することを特徴とする基板処理装置。
  2. アダクトを含有する液体原料を気化する第1の工程と、前記液体原料を気化して得られた原料ガスを基板に供給して基板を処理する第2の工程とを具備し、
    前記第1の工程では、アダクト蒸気をキャリアガスとして用いて共に前記液体原料を前記気化器へ噴霧し、アダクト蒸気雰囲気下で前記液体原料を気化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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