JP2010111783A - ポリイミド、その製造方法及びポリアミド酸 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリイミド、その製造方法及び前記ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に関する。
従来から、芳香族ポリイミドは、耐熱性、力学強度、及び絶縁性等の特性に優れていることから、航空宇宙材料、耐熱材料、電子材料等に多用されている。
また、かかる特性の改良を図るために、分子内に芳香族エステル結合や芳香族アミド結合を導入したポリイミドについても、種々研究がなされている。
例えば、下記非特許文献1には、芳香族ジヒドロキシ化合物の無水トリメリット酸エステルをテトラカルボン酸二無水物として用いたポリエステルイミドが開示されており、優れた力学特性及び耐熱性を有していることが記載されている。
また、かかる特性の改良を図るために、分子内に芳香族エステル結合や芳香族アミド結合を導入したポリイミドについても、種々研究がなされている。
例えば、下記非特許文献1には、芳香族ジヒドロキシ化合物の無水トリメリット酸エステルをテトラカルボン酸二無水物として用いたポリエステルイミドが開示されており、優れた力学特性及び耐熱性を有していることが記載されている。
また、例えば、下記非特許文献2には、ヒドロキノンの無水トリメリット酸ジエステル体(TAHQと称する)が、種々のジアミンとの組み合わせにおいて吸水率の低いポリイミドを与えることが示されている。
また、下記特許文献1及び2においては、N−N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン−ビス(トリメリットアミド)二無水物を用いて分子内にN−フェニルアミド結合を導入したポリイミド及び前駆体であるポリアミド酸の溶解性が良好で、高温下での酸化耐性に優れているポリアミドイミドが開示されている。
Journal of Polymer Science:PartA−1,vol.4,1531−1541,1966
High Performance Polymers,vol.18,697−717,2006
米国特許第3410875号
米国特許第3440215号
本発明においては、ポリイミドの一層の特性向上を図り、耐熱性に優れ、実用上十分な靭性を有し、低線膨張率化が可能な、新規なポリイミド、その製造方法、さらにはその前駆体であるポリアミド酸を提供することを目的とする。
請求項1の発明においては、下記式(I)で示される構成単位を含むポリイミドを提供する。
前記式(I)中、Xは2価の芳香族基又は脂肪族基を示す。
請求項2の発明においては、請求項1に記載のポリイミドの製造方法であって、下記式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとを反応させてポリアミド酸を得る工程と、前記ポリアミド酸をイミド化する工程と、を含むポリイミドの製造方法を提供する。
請求項3の発明においては、下記式(III)で示される構成単位を含むポリアミド酸を提供する。
前記式(III)中のXは、2価の芳香族基又は脂肪族基を示す。
本発明によれば、耐熱性に優れ、実用上十分な靭性を有し、かつ低線膨張率化が可能な新規なポリイミド、その製造方法及びポリイミド前駆体であるポリアミド酸が提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔ポリイミド〕
本実施形態におけるポリイミドは、下記式(I)で示される構成単位を含むポリイミドである。
本実施形態におけるポリイミドは、下記式(I)で示される構成単位を含むポリイミドである。
前記式(I)中、Xは2価の芳香族基又は脂肪族基を示す。
前記式(I)で示される構造単位を含む本実施形態におけるポリイミドは、耐熱性に優れ、実用上十分な靭性を有し、低線膨張率化が可能な新規なポリイミドである。
〔ポリイミドの製造方法〕
本実施形態におけるポリイミドの製造方法について説明する。
所定の有機溶媒中で、下記の式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとを反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る。
その後、前記ポリアミド酸を、熱的又は化学的処理を施すことによりイミド化することにより目的のポリイミドを得る。
本実施形態におけるポリイミドの製造方法について説明する。
所定の有機溶媒中で、下記の式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとを反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る。
その後、前記ポリアミド酸を、熱的又は化学的処理を施すことによりイミド化することにより目的のポリイミドを得る。
また、前記式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物に加え、必要に応じて、式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物を反応させて、上述した本実施形態のポリイミドを製造してもよい。
<式(II)のテトラカルボン酸二無水物>
前記式(II)のテトラカルボン酸二無水物は、4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物(以下、DCBO−NP−DCBAと略記することがある)である。
式(II)のテトラカルボン酸二無水物は、公知の合成方法によって製造でき、特に限定されるものではないが、例えば、無水トリメリット酸ハライドと4−ヒドロキシジフェニルアミンとの縮合反応により合成できる。
前記式(II)のテトラカルボン酸二無水物は、4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物(以下、DCBO−NP−DCBAと略記することがある)である。
式(II)のテトラカルボン酸二無水物は、公知の合成方法によって製造でき、特に限定されるものではないが、例えば、無水トリメリット酸ハライドと4−ヒドロキシジフェニルアミンとの縮合反応により合成できる。
前記無水トリメリット酸ハライドとしては、種々のものが利用可能であるが、入手の容易さから無水トリメリット酸クロライドが好ましい。
無水トリメリット酸ハライドの使用量は、4−ヒドロキシジフェニルアミン1モルに対して2.0〜2.5モルが好ましく、2.05〜2.3モルがより好ましい。
無水トリメリット酸ハライドの使用量は、4−ヒドロキシジフェニルアミン1モルに対して2.0〜2.5モルが好ましく、2.05〜2.3モルがより好ましい。
無水トリメリット酸ハライドと4−ヒドロキシジフェニルアミンとの縮合反応においては、触媒を用いることが好ましい。
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記触媒の中でも、トリエチルアミン又はピリジン等の有機アミンがアルカリ金属の残存の心配が無いことから好ましい。
触媒の使用量は、4−ヒドロキシジフェニルアミン1モルに対して2.0〜3.0モルが好ましく、さらには2.1〜2.5モルがより好ましい。また、触媒の使用量は、無水トリメリット酸ハライドよりも過剰であることが好ましい。
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記触媒の中でも、トリエチルアミン又はピリジン等の有機アミンがアルカリ金属の残存の心配が無いことから好ましい。
触媒の使用量は、4−ヒドロキシジフェニルアミン1モルに対して2.0〜3.0モルが好ましく、さらには2.1〜2.5モルがより好ましい。また、触媒の使用量は、無水トリメリット酸ハライドよりも過剰であることが好ましい。
反応溶媒としては、上述した縮合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではない。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル 、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N−N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの溶媒の中でも、特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル 、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類が原料の溶解性が良好であり好ましい。
反応溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、原料である無水トリメリット酸ハライド及び4−ヒドロキシジフェニルアミンを溶解させるために十分な量であればよく、通常、原料の合計100質量部に対して、50〜2000質量部程度である。
これらの溶媒の中でも、特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル 、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類が原料の溶解性が良好であり好ましい。
反応溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、原料である無水トリメリット酸ハライド及び4−ヒドロキシジフェニルアミンを溶解させるために十分な量であればよく、通常、原料の合計100質量部に対して、50〜2000質量部程度である。
縮合反応温度は、通常0〜200℃程度とし、0〜160℃程度が好ましいが、特に限定されない。
この縮合反応においては、エステル結合の生成は速やかに起こるが、アミド結合の生成は比較的遅い。これは、4−ヒドロキシジフェニルアミンのアミノ基が二級であることに起因している。そのため反応初期においては、0℃〜室温程度の温度で行い、後に昇温して反応を継続することが好ましい。
反応時間は、1〜48時間程度である。
なお、上述した縮合反応により粗生成物が得られるため、さらに無水酢酸等の適当な溶媒を用いて再結晶等により精製することが好ましい。
この縮合反応においては、エステル結合の生成は速やかに起こるが、アミド結合の生成は比較的遅い。これは、4−ヒドロキシジフェニルアミンのアミノ基が二級であることに起因している。そのため反応初期においては、0℃〜室温程度の温度で行い、後に昇温して反応を継続することが好ましい。
反応時間は、1〜48時間程度である。
なお、上述した縮合反応により粗生成物が得られるため、さらに無水酢酸等の適当な溶媒を用いて再結晶等により精製することが好ましい。
また、本実施形態においては、本発明の目的を逸脱しない範囲で、上述したDCBO−NP−DCBA以外の他のテトラカルボン酸二無水物を使用してもよい。
上記DCBO−NP−DCBA以外の他のテトラカルボン酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;ならびに、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、及び1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記DCBO−NP−DCBA以外の他のテトラカルボン酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;ならびに、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、及び1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
<芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン>
本実施形態におけるポリイミドの合成に用いるジアミン化合物としては、芳香族ジアミン及び脂肪族ジアミン等の種々のジアミンを使用できる。
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、N−N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。
また、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
さらに、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、及び2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環構造を含む脂肪族ジアミン(脂環式ジアミン化合物)が挙げられる。
本実施形態において使用するジアミン化合物は、上記例に限定されるものではない。
また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態におけるポリイミドの合成に用いるジアミン化合物としては、芳香族ジアミン及び脂肪族ジアミン等の種々のジアミンを使用できる。
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、N−N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。
また、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
さらに、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、及び2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環構造を含む脂肪族ジアミン(脂環式ジアミン化合物)が挙げられる。
本実施形態において使用するジアミン化合物は、上記例に限定されるものではない。
また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態におけるポリイミドとして、線膨張率の低いポリイミドを得る場合には、上述したジアミン化合物の中でも、直線状の構造を有する芳香族ジアミン化合物を主成分として用いることが好ましい。
具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、N−N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン、4,4’−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ビフェニル等が挙げられる。
具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、N−N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン、4,4’−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ビフェニル等が挙げられる。
本実施形態におけるポリイミドは、極性有機溶媒中で、上記式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物(DCBO−NP−DCBA)、あるいはDCBO−NP−DCBAを主成分とするテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとを反応させて前駆体であるポリアミド酸の溶液を得た後、このポリアミド酸を熱的又は化学的にイミド化することにより得られる。
<ポリアミド酸の合成方法>
本実施形態におけるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、所定の極性有機溶媒中で、上述した式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとの反応により得る。具体的には、以下の方法が好適なものとして挙げられる。
(第1の方法)
不活性ガス雰囲気下で、十分に脱水した溶媒中に、上述したジアミン化合物をあらかじめ溶解させる。次に、ジアミン化合物と略等モルの、上記テトラカルボン酸二無水物(DCBO−NP−DCBA)及びその他のテトラカルボン酸二無水物を添加して、0℃〜70℃程度の温度で1〜48時間程度反応させることによりポリアミド酸を合成する。
(第2の方法)
ジアミン化合物、DCBO−NP−DCBA、及びその他のテトラカルボン酸二無水物を反応させながら溶解させることによりポリアミド酸を合成する。
(第3の方法)
DCBO−NP−DCBA及びその他のテトラカルボン酸二無水物を予め溶媒中に溶解させ、次にジアミン化合物を添加して、上記(第1の方法)と同様の条件によりポリアミド酸を合成する。
本実施形態におけるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、所定の極性有機溶媒中で、上述した式(II)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとの反応により得る。具体的には、以下の方法が好適なものとして挙げられる。
(第1の方法)
不活性ガス雰囲気下で、十分に脱水した溶媒中に、上述したジアミン化合物をあらかじめ溶解させる。次に、ジアミン化合物と略等モルの、上記テトラカルボン酸二無水物(DCBO−NP−DCBA)及びその他のテトラカルボン酸二無水物を添加して、0℃〜70℃程度の温度で1〜48時間程度反応させることによりポリアミド酸を合成する。
(第2の方法)
ジアミン化合物、DCBO−NP−DCBA、及びその他のテトラカルボン酸二無水物を反応させながら溶解させることによりポリアミド酸を合成する。
(第3の方法)
DCBO−NP−DCBA及びその他のテトラカルボン酸二無水物を予め溶媒中に溶解させ、次にジアミン化合物を添加して、上記(第1の方法)と同様の条件によりポリアミド酸を合成する。
溶媒としては、ポリイミド合成において従来公知の極性有機溶媒を用いることができる。
例えば、N−N’−ジメチルホルムアミド、N−N’−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びδ−バレロラクトン等のラクトン類;エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネート等のカーボネート類;モノグライム、ジグライム、トリグライム、及びテトラグライム等のグライム類;ならびにジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。
これらの極性有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、これらの極性有機溶媒に、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系溶媒;THF、及びジオキサン等のエーテル系溶媒等を添加した混合溶媒としてもよい。
上記溶媒は、反応により得られるポリアミド酸溶液の濃度が、好ましくは5%〜50%質量%、より好ましくは10〜30質量%程度となるように用いることが好適である。
例えば、N−N’−ジメチルホルムアミド、N−N’−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びδ−バレロラクトン等のラクトン類;エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネート等のカーボネート類;モノグライム、ジグライム、トリグライム、及びテトラグライム等のグライム類;ならびにジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。
これらの極性有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、これらの極性有機溶媒に、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系溶媒;THF、及びジオキサン等のエーテル系溶媒等を添加した混合溶媒としてもよい。
上記溶媒は、反応により得られるポリアミド酸溶液の濃度が、好ましくは5%〜50%質量%、より好ましくは10〜30質量%程度となるように用いることが好適である。
<イミド化方法>
上記のようにして得られたポリアミド酸溶液から、上記式(I)で示される構成単位を含むポリイミドを得るイミド化方法としては、熱的に脱水閉環する熱イミド化法、脱水剤を用いる化学イミド化法のいずれの方法も適用できる。
上記のようにして得られたポリアミド酸溶液から、上記式(I)で示される構成単位を含むポリイミドを得るイミド化方法としては、熱的に脱水閉環する熱イミド化法、脱水剤を用いる化学イミド化法のいずれの方法も適用できる。
(熱イミド化法)
例えば、ポリアミド酸溶液をPETフィルムやガラス板、金属支持体等の基板上に塗布して膜状とした後、40〜150℃程度で10分〜2時間程度乾燥し、これを剥離してポリアミド酸フィルムを得、このポリアミド酸フィルムを、好ましくは不活性ガス雰囲気下、端部を支持体に固定した状態で加熱し、最終的に250〜400℃程度で10分〜3時間程度熱処理することにより、上記式(I)で示される構成単位を有する本実施形態におけるポリイミドのフィルムが得られる。
(化学イミド化方法)
例えば、ポリアミド酸溶液に、無水酢酸等の脱水剤と、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、及びキノリン等の触媒を添加した後、上述した熱イミド化法と同様の操作を行うことによりポリイミドのフィルムを得ることができる。
例えば、ポリアミド酸溶液をPETフィルムやガラス板、金属支持体等の基板上に塗布して膜状とした後、40〜150℃程度で10分〜2時間程度乾燥し、これを剥離してポリアミド酸フィルムを得、このポリアミド酸フィルムを、好ましくは不活性ガス雰囲気下、端部を支持体に固定した状態で加熱し、最終的に250〜400℃程度で10分〜3時間程度熱処理することにより、上記式(I)で示される構成単位を有する本実施形態におけるポリイミドのフィルムが得られる。
(化学イミド化方法)
例えば、ポリアミド酸溶液に、無水酢酸等の脱水剤と、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、及びキノリン等の触媒を添加した後、上述した熱イミド化法と同様の操作を行うことによりポリイミドのフィルムを得ることができる。
本実施形態におけるポリイミドは、本発明の目的を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、光安定化剤、及び末端封止剤等の各種の添加剤を配合してもよく、また、無機フィラー等により複合化してもよい。例えば、上記のようにして得られるポリアミド酸溶液に上記添加剤や無機フィラー等を配合し、ポリアミド酸のフィルムとした後に、上述したイミド化処理を行うことにより、所定の添加剤等を含有するポリイミドフィルムを得ることができる。
本実施形態におけるポリイミドをフィルムとして用いる場合には、用途に応じて膜厚を選択できるが、5μm〜200μm程度が好ましく、さらには10μm〜100μm程度がより好ましい。
〔ポリアミド酸〕
本実施形態におけるポリアミド酸は、下記式(III)で示される構成単位を含む。
本実施形態におけるポリアミド酸は、下記式(III)で示される構成単位を含む。
前記式(III)中、Xは、2価の芳香族基又は脂肪族基を示す。
本実施形態におけるポリアミド酸は、上述したポリイミドの製造方法において説明した、式(II)のテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン及び/又は脂肪族ジアミンとを用いて、上記<ポリアミド酸の合成方法>に従って製造できる。すなわち、本実施形態におけるポリアミド酸は、本実施形態におけるポリイミドの前駆体である。
そして、このポリアミド酸を含有する溶液を、上述した熱イミド化法又は化学イミド法等により閉環させることにより、本実施形態におけるポリイミドが得られる。
以下に具体的な実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
後述する実施例において適用した測定方法及び評価方法を示す。
(融点測定)
島津製作所製「DSC−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度2℃/分で測定した。
(FT−IR測定)
スペクトロメータとして、ThermoElectron製「NICOLET380」を用い、KBr法又はATR法にて測定した。
(1H−NMR測定)
JEOL製NMR測定装置「ECX−400」を用い、DMSO−d6中、23℃で測定した。
(線膨張率の測定)
SIIナノテクノロジー社製「TMA/SS6100」を用い、窒素雰囲気下で、荷重100mN、昇温速度5℃/分で測定し、100℃から200℃の線膨張率の平均値(CTE)を求めた。また、線膨張率の曲線の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
(融点測定)
島津製作所製「DSC−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度2℃/分で測定した。
(FT−IR測定)
スペクトロメータとして、ThermoElectron製「NICOLET380」を用い、KBr法又はATR法にて測定した。
(1H−NMR測定)
JEOL製NMR測定装置「ECX−400」を用い、DMSO−d6中、23℃で測定した。
(線膨張率の測定)
SIIナノテクノロジー社製「TMA/SS6100」を用い、窒素雰囲気下で、荷重100mN、昇温速度5℃/分で測定し、100℃から200℃の線膨張率の平均値(CTE)を求めた。また、線膨張率の曲線の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
(熱分解特性評価)
SIIナノテクノロジー社製「TG/DTA6200」を用い、ヘリウム雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定し、5%重量減少温度(Td5)を評価した。
熱分解特性は、耐熱性樹脂として400℃以上あれば、実用上良好であると判断した。
SIIナノテクノロジー社製「TG/DTA6200」を用い、ヘリウム雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定し、5%重量減少温度(Td5)を評価した。
熱分解特性は、耐熱性樹脂として400℃以上あれば、実用上良好であると判断した。
(靭性の評価)
フィルムを180度完全に折り曲げて、割れが生じるかを指標として靭性の評価を行った。
フィルムを180度完全に折り曲げて、割れが生じるかを指標として靭性の評価を行った。
〔合成例1〕
窒素置換したガラス容器中で、テトラヒドロフラン(和光純薬製、脱水品)40mLに無水トリメリット酸クロリド(東京化成工業製)11.94g(56.7mmol)を溶解させた。
この溶液を氷冷し、これにテトラヒドロフラン(和光純薬製、脱水品)20mLに4−ヒドロキシジフェニルアミン(精工化学製)5.00g(27.0mmol)、及びトリエチルアミン(和光純薬製)6.01g(59.4mmol)を溶解させた溶液を、撹拌条件下で滴下した。反応液はすばやく濃赤色に着色し、沈殿が析出した。
滴下終了後、氷浴を外して室温に戻した。
続いて、室温条件下で14時間撹拌を行ったところ、沈殿を含む赤橙色の溶液が得られた。
その後、溶液(上記沈殿を含む赤橙色の溶液)を加熱し、還流下でさらに10時間反応を続けたところ、黄色の沈殿を多量に含む溶液が得られた。
上記のようにして得られた反応後の沈殿を含む溶液(上記黄色の沈殿を多量に含む溶液)を、メンブレンフィルターでろ過することにより、淡黄色の沈殿が得られた。
この淡黄色の沈殿を蒸留水中で撹拌洗浄した後、ろ過し、トリエチルアミン塩酸塩を除去した。
さらに同様の操作、すなわち淡黄色の沈殿を蒸留水中で攪拌洗浄し、その後、ろ過する操作を繰り返した後、減圧下で乾燥することにより淡黄色の粗製物を8.84g得た(収率61.4%)。
窒素置換したガラス容器中で、テトラヒドロフラン(和光純薬製、脱水品)40mLに無水トリメリット酸クロリド(東京化成工業製)11.94g(56.7mmol)を溶解させた。
この溶液を氷冷し、これにテトラヒドロフラン(和光純薬製、脱水品)20mLに4−ヒドロキシジフェニルアミン(精工化学製)5.00g(27.0mmol)、及びトリエチルアミン(和光純薬製)6.01g(59.4mmol)を溶解させた溶液を、撹拌条件下で滴下した。反応液はすばやく濃赤色に着色し、沈殿が析出した。
滴下終了後、氷浴を外して室温に戻した。
続いて、室温条件下で14時間撹拌を行ったところ、沈殿を含む赤橙色の溶液が得られた。
その後、溶液(上記沈殿を含む赤橙色の溶液)を加熱し、還流下でさらに10時間反応を続けたところ、黄色の沈殿を多量に含む溶液が得られた。
上記のようにして得られた反応後の沈殿を含む溶液(上記黄色の沈殿を多量に含む溶液)を、メンブレンフィルターでろ過することにより、淡黄色の沈殿が得られた。
この淡黄色の沈殿を蒸留水中で撹拌洗浄した後、ろ過し、トリエチルアミン塩酸塩を除去した。
さらに同様の操作、すなわち淡黄色の沈殿を蒸留水中で攪拌洗浄し、その後、ろ過する操作を繰り返した後、減圧下で乾燥することにより淡黄色の粗製物を8.84g得た(収率61.4%)。
この粗製物を、無水酢酸から再結晶し、120℃で一晩減圧乾燥することにより、後述する重合反応に使用可能な精製物を5.26g得た(収率36.5%)。
この化合物(精製物)について、DSC測定により融点を測定したところ、233.5℃に鋭いピークが確認された。
また、FT−IR測定及び1H−NMR測定により、目的とする上記式(II)で示される化合物である4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物が得られたことを確認した。
図1に、DSCチャートを、図2にFT−IRスペクトルを示す。
また、FT−IR測定により、1855cm-1及び1780cm-1に酸無水物基のC=O伸縮振動に基づく吸収、1742cm-1にエステル結合のC=O伸縮振動に基づく吸収、1662cm-1にアミド結合のC=O伸縮振動に基づく吸収が確認された。
さらに、1H−NMR測定により、δ7.13〜7.68ppm(m、9H)付近に4−ヒドロキシジフェニルアミン由来のベンゼン環に結合した全てのプロトンに基づく吸収、δ8.02ppm(d、1H)、δ8.07ppm(d、2H)及びδ8.17ppm(s、1H)にアミド結合で連結した無水トリメリット酸のベンゼン環のプロトンに基づく吸収、δ8.27ppm(d、1H)及びδ8.61ppm(m、2H)にエステル結合で連結した無水トリメリット酸のベンゼン環のプロトンに基づく吸収が観察された。
上述したことから、目的とする式(II)で示される化合物である4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物が得られたことを確認した。
この化合物(精製物)について、DSC測定により融点を測定したところ、233.5℃に鋭いピークが確認された。
また、FT−IR測定及び1H−NMR測定により、目的とする上記式(II)で示される化合物である4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物が得られたことを確認した。
図1に、DSCチャートを、図2にFT−IRスペクトルを示す。
また、FT−IR測定により、1855cm-1及び1780cm-1に酸無水物基のC=O伸縮振動に基づく吸収、1742cm-1にエステル結合のC=O伸縮振動に基づく吸収、1662cm-1にアミド結合のC=O伸縮振動に基づく吸収が確認された。
さらに、1H−NMR測定により、δ7.13〜7.68ppm(m、9H)付近に4−ヒドロキシジフェニルアミン由来のベンゼン環に結合した全てのプロトンに基づく吸収、δ8.02ppm(d、1H)、δ8.07ppm(d、2H)及びδ8.17ppm(s、1H)にアミド結合で連結した無水トリメリット酸のベンゼン環のプロトンに基づく吸収、δ8.27ppm(d、1H)及びδ8.61ppm(m、2H)にエステル結合で連結した無水トリメリット酸のベンゼン環のプロトンに基づく吸収が観察された。
上述したことから、目的とする式(II)で示される化合物である4’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−N−フェニル−3,4−ジカルボキシベンズアニリド二無水物が得られたことを確認した。
〔実施例1〕
窒素置換したガラス容器中で、上記(合成例1)で得た上記式(II)で示される化合物0.500g(0.94mmol)を、N−メチル−2−ピロリドン3mLに溶解させた。
これに、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート(日本純良薬品製)0.327g(0.94mmol)を添加し、反応させながら溶解させた。
室温で数分撹拌すると、非常に粘度が上昇したため、N−メチル−2−ピロリドン3mLをさらに添加し、室温で1時間撹拌すると、薄茶色の粘調透明液が得られた。
この溶液(薄茶色の粘調透明液)を、ガラス上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
前記ポリイミドフィルムは、厚み19μmの淡黄色透明のものであり、完全に折り曲げても割れない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、11.8ppm/℃と低い値を示した。
また線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は、320℃と高い耐熱性を示した。
また、このポリイミドフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は498℃であり、十分な耐熱性を有することが解った。
実施例1で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1780cm-1、1714cm-1、1387cm-1及び716cm-1にイミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図3に実施例1のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
窒素置換したガラス容器中で、上記(合成例1)で得た上記式(II)で示される化合物0.500g(0.94mmol)を、N−メチル−2−ピロリドン3mLに溶解させた。
これに、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート(日本純良薬品製)0.327g(0.94mmol)を添加し、反応させながら溶解させた。
室温で数分撹拌すると、非常に粘度が上昇したため、N−メチル−2−ピロリドン3mLをさらに添加し、室温で1時間撹拌すると、薄茶色の粘調透明液が得られた。
この溶液(薄茶色の粘調透明液)を、ガラス上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
前記ポリイミドフィルムは、厚み19μmの淡黄色透明のものであり、完全に折り曲げても割れない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、11.8ppm/℃と低い値を示した。
また線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は、320℃と高い耐熱性を示した。
また、このポリイミドフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は498℃であり、十分な耐熱性を有することが解った。
実施例1で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1780cm-1、1714cm-1、1387cm-1及び716cm-1にイミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図3に実施例1のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
〔実施例2〕
窒素置換したガラス容器中で、上記(合成例1)で得た上記式(II)で示される化合物0.350g(0.66mmol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学製)0.079g(0.27mmol)、ピロメリット酸二無水物(三菱ガス化学製)0.059g(0.27mmol)、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(三國製薬工業製)0.416g(1.19mmol)、N−メチル−2−ピロリドン3mLを混合した。
この混合物を室温で1時間撹拌した。その後、少し加熱して均一な溶液とし、さらに室温で1時間撹拌することで淡黄色の透明粘調液を得た。
この淡黄色の透明粘調液を、さらにN−メチル−2−ピロリドン3mLで希釈した。
この希釈した溶液をガラス上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
前記ポリイミドフィルムは、厚み15μmの淡黄色透明なもので、完全に折り曲げても破断しない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、17.9ppm/℃と低い値を示した。
また、線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は316℃と高い耐熱性を示した。
また、このフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は516℃と、実用上十分な耐熱性を有していることがわかった。
実施例2で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1778cm-1、1715cm-1、1373cm-1及び721cm-1に、イミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図4に、実施例2のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
窒素置換したガラス容器中で、上記(合成例1)で得た上記式(II)で示される化合物0.350g(0.66mmol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学製)0.079g(0.27mmol)、ピロメリット酸二無水物(三菱ガス化学製)0.059g(0.27mmol)、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(三國製薬工業製)0.416g(1.19mmol)、N−メチル−2−ピロリドン3mLを混合した。
この混合物を室温で1時間撹拌した。その後、少し加熱して均一な溶液とし、さらに室温で1時間撹拌することで淡黄色の透明粘調液を得た。
この淡黄色の透明粘調液を、さらにN−メチル−2−ピロリドン3mLで希釈した。
この希釈した溶液をガラス上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
前記ポリイミドフィルムは、厚み15μmの淡黄色透明なもので、完全に折り曲げても破断しない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、17.9ppm/℃と低い値を示した。
また、線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は316℃と高い耐熱性を示した。
また、このフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は516℃と、実用上十分な耐熱性を有していることがわかった。
実施例2で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1778cm-1、1715cm-1、1373cm-1及び721cm-1に、イミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図4に、実施例2のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
〔実施例3〕
窒素置換したガラス容器中で、N−N’−ジメチルアセトアミド3mlに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.188g(0.94mol)を溶解させ、これに上記(合成例1)で得られた上記式(II)で示される化合物0.500g(0.94mmol)を反応させながら溶解させた。
室温で数分間攪拌すると、かなり粘度が上昇したため、N−N’−ジメチルアセトアミド1mLをさらに添加し、室温で1時間撹拌することで、薄茶色の粘調透明液を得た。
この薄茶色の粘調透明液を、ガラス上にアプリケータを用いて塗工し、60℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムは、厚み25μmの淡黄色透明なものであり、完全に折り曲げても破断しない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、65.1ppm/℃と大きい値であったが、線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は246℃と比較的高い耐熱性を示した。
また、このフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は478℃と良好な値を示した。
実施例3で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1778cm-1、1714cm-1、1360cm-1及び719cm-1にイミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図5に実施例3のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
窒素置換したガラス容器中で、N−N’−ジメチルアセトアミド3mlに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.188g(0.94mol)を溶解させ、これに上記(合成例1)で得られた上記式(II)で示される化合物0.500g(0.94mmol)を反応させながら溶解させた。
室温で数分間攪拌すると、かなり粘度が上昇したため、N−N’−ジメチルアセトアミド1mLをさらに添加し、室温で1時間撹拌することで、薄茶色の粘調透明液を得た。
この薄茶色の粘調透明液を、ガラス上にアプリケータを用いて塗工し、60℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。
このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行い、ポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムは、厚み25μmの淡黄色透明なものであり、完全に折り曲げても破断しない、優れた靭性を有するものであった。
このポリイミドフィルムについて線膨張率を測定したところ、65.1ppm/℃と大きい値であったが、線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は246℃と比較的高い耐熱性を示した。
また、このフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は478℃と良好な値を示した。
実施例3で得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、1778cm-1、1714cm-1、1360cm-1及び719cm-1にイミド基の生成に基づく吸収が確認された。
以上のことから、式(I)で示されるポリイミドが得られていることを確認した。
図5に実施例3のポリイミドのFT−IRスペクトルを示す。
本発明のポリイミドは、耐熱性に優れ、十分な靭性を有し、低線膨張率化が可能なため、電子材料分野における保護膜、絶縁膜、及びフレキシブルプリント回路基板等において、産業上の利用可能性がある。
Claims (3)
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CN109913241A (zh) * | 2014-09-09 | 2019-06-21 | Jsr株式会社 | 液晶取向剂、液晶取向膜以及液晶显示元件 |
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2008
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CN109913241A (zh) * | 2014-09-09 | 2019-06-21 | Jsr株式会社 | 液晶取向剂、液晶取向膜以及液晶显示元件 |
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