JP4829930B2 - ポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドおよびその製造方法に関する。また、本発明は、ポリアミド酸に関する。
芳香族ポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、力学強度、および絶縁性等において優れた特性を有するため、航空宇宙材料、耐熱材料、および電子材料等として多用されている。
また、芳香族ポリイミドの芳香族構造の一部または全部を、脂肪族構造または脂環式炭化水素構造に置換した半芳香族ポリイミドが知られている。
上記の半芳香族ポリイミドとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAと略記することがある)と、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミンとから得られる半芳香族ポリイミド等が挙げられる。
例えば、特許文献1には、置換および無置換シクロブタンテトラカルボン酸と直線状またはトランス配置の種々のジアミン化合物とのポリイミド前駆体およびポリイミドが、低い誘電率、低い線熱膨張係数(以下、線膨張率と略記することがある)、高い透明性、および高いガラス転移温度を有することが開示されている。
非特許文献1には、CBDAと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと略記することがある)とのポリイミドが、低い線膨張率、高いガラス転移温度、および低誘電率を有することが開示されている。
特許文献2には、特定のエステル型のジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とから得られるポリイミドが、非常に低い線膨張率を有することが開示されている。
特許文献3には、特許文献2と同様の組み合わせのポリイミドが熱可塑性や接着性に優れる可能性を有することが示唆されている。
特許文献4には、式(II)で示されるポリイミドが、耐熱性、透明性に優れることが開示されている。
特開2005−336244号公報 特開平8−48773号公報 特開平7−3019号公報 特公平2−11615号公報 High Performance Polymer, 13, S93-S106, 2001
非特許文献1に開示されたポリイミドは優れた特性を有しているが、トリフルオロメチル基を有するTMFBは、非常に高価であり、工業的製造の点で著しく不利である。また、特許文献1および非特許文献1に開示されているように、比較的直線性を保持できるCBDAと直線状のジアミンとからポリイミドを合成する場合、上記TFMB以外の直線状ジアミンでは、加熱によるイミド化後に非常に脆くなってしまうという問題が指摘されている。
特許文献3に開示されたポリイミドについて、本発明者らが検討したところ、イミド化反応において使用する溶媒またはイミド化時の熱処理条件等により脆いものになりやすいため、安定してフレキシブルなフィルムが得られにくいという課題があることが分かった。
上記事情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、無色透明で、優れた耐熱性と低線膨張率を有し、しかも靭性に優れる新規なポリイミドおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、下記手段にて、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記式(I)および(II)で示される構成単位を含むポリイミド。
式(I):

[式(I)中、RはHまたはCHを示す。]
式(II):
[式(II)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
[2]
前記Xが、−C(CH−または−SO−より選択される少なくとも一つの基である、前記[1]に記載のポリイミド。
[3]
前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が、モル比で40:60〜95:5である、前記[1]又は[2]に記載のポリイミド。
[4]
前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が、モル比で50:50〜90:10である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリイミド。
[5]
前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法であって、
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンおよび/または2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエンと、下記式(III)で示される化合物とを反応させてポリアミド酸を得る工程、
前記ポリアミド酸をイミド化する工程を含む、ポリイミドの製造方法。
式(III):

[式(III)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
[6]
下記式(IV)および(V)で示される構成単位を含むポリアミド酸。
式(IV):

[式(IV)中、RはHまたはCHを示す。]
式(V):
[式(V)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
本発明によれば、無色透明で、優れた耐熱性と低線膨張率を有し、しかも靭性に優れる新規なポリイミドおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明のポリイミドは、下記式(I)および(II)で示される構成単位を含むポリイミドである。
式(I):

[式(I)中、RはHまたはCHを示す。]
式(II):

[式(II)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
本発明のポリイミドは、無色透明で、優れた耐熱性と低線膨張率を有し、しかも靭性に優れる新規なポリイミドである。
本発明において、前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が、モル比で40:60〜95:5であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましい。
前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が上記範囲内にあることにより、低い線膨張率および強い靭性を特性として有するポリイミドとすることができる。
本発明のポリイミドは、以下の製造方法により製造されるポリイミドであることが好ましい。本発明におけるポリイミドの製造方法として、極性有機溶媒中で1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(以下、BABBと略記することがある)および/または2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン(以下、BABTと略記することがある)ならびに式(III)で示される化合物と、を反応させてポリアミド酸の溶液を得た後、上記ポリアミド酸を熱的にまたは化学的にイミド化する方法を好適に用いることができる。
式(III):

[式(III)中のXは、式(II)中のXと同義である。]
また、CBDAと、BABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物と、に加え、必要に応じて、CBDA以外の従来公知の他のテトラカルボン酸二無水物やBABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物以外の従来公知の他のジアミン化合物を反応させる方法により本発明のポリイミドを製造することができる。
本発明で使用される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)として、耐熱性、低線膨張特性の観点で、cis,trans,cis−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物を好適に用いることができる。CBDAの合成方法として、当業者公知の合成方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸の光環化(二量化)反応により一段階で合成する方法が挙げられる。
CBDAの合成方法として、例えば、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.38, 108-116, 2001、特開昭59−212495号公報、特開2003−192685号公報、および特開2006−328027号公報等に開示されている方法が知られている。これらの合成方法で得られるCBDAはいずれもcis,trans,cis体である。以下、本発明においては、CBDAとはこのcis,trans,cis体を指すものとする。
CBDA合成のための原料を安価で容易に入手することができ、しかも合成が容易であることから、CBDAを原料として用いることは有用性が大きい。また、CBDAを出発原料として得られるポリイミドは耐熱性、寸法安定性、透明性に優れる。
本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、CBDA以外の従来公知の他のテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。例えば、上記テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、および3,3’4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、ならびに1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物、および1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
本発明で使用される1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(BABB)および2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン(BABT)の合成方法として、当業者公知の合成方法であれば特に限定されるものではない。
BABBまたはBABTは、例えば、p−ニトロベンゾイルハライドとヒドロキノンまたは2−メチルヒドロキノンとの縮合反応によりエステル基を有するジニトロ化合物を合成した後、ニトロ基を還元することにより得ることができる。
本発明で使用される前記式(III)で示される化合物の合成方法として、当業者公知の合成方法であれば特に限定されるものではない。
前記式(III)で示される化合物は、例えば、p−ハロゲン化ニトロベンゼンと、対応する二官能フェノール、すなわち、Xが−C(CH−である場合にはビスフェノールA、Xが−SO−である場合にはビスフェノールS、Xが−C(CF−である場合にはビスフェノールAF、Xが−CO−である場合には4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンと、の縮合反応によるエーテル結合を有するジニトロ化合物を合成した後、ニトロ基を還元することにより得ることができる。
Xが−SO−またはは−CO−である前記式(III)で示される化合物は、p−アミノフェノールと、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホンまたは4,4’−ジハロゲノベンゾフェノンと、の縮合反応により合成して得ることができる。
本発明において、前記式(III)で示される化合物として、市販されている化合物を用いることができる。例えば、Xが−C(CH−である2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンは、製品名「BAPP」(和歌山精化工業製)または製品名「PDBA」(日本純良薬品製)として、Xが−SO−であるビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンは、製品名「BAPS」(和歌山精化工業製)または製品名「4BAPS」(小西化学工業製)として、Xが−C(CF−である2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンは、製品名「HFBAPP」(和歌山精化工業製)または製品名「BIS−AF−A」(セントラル硝子製)として、Xが−CO−であるビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトンは、製品名「BAPK」(和歌山精化工業製)として販売されている。これらの中でも入手の容易さの点で、Xが−C(CH−である2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、あるいはXが−SO−であるビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましい。
使用するBABBおよび/またはBABTと前記式(III)で示される化合物の割合について、低い線膨張率および強靭性の観点から、モル比がBABBおよび/またはBABT:式(III)で示される化合物=40:60〜95:5であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましい。BABBおよび/またはBABTの割合が上記範囲内にあることにより、目的とする低い線膨張率(例えば、50ppm/℃、好ましくは、40ppm/℃)を有するポリイミドを得ることができる。また、前記式(III)で示される化合物の割合が上記範囲内にあることにより、安定して十分な靭性を有するポリイミドを得ることができる。
本発明において、BABBおよびBABTは、いずれかを単独で用いてもよく、併用してもよい。前記式(III)で示される化合物についても同様に、いずれかを単独で用いてもよく、併用してもよい。
本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、BABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物以外の従来公知の他のジアミン化合物を使用することができる。例えば、上記他のジアミン化合物として、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン等の芳香族ジアミン化合物、ならびに1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3‘−ジメチルジシクロヘキシルメタン、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、および2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。
本発明におけるポリイミドの合成方法として、極性有機溶媒中でCBDAとBABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物を反応させてポリアミド酸の溶液を得た後、上記ポリアミド酸を熱的にまたは化学的にイミド化する方法を好適に用いることができる。
ポリアミド酸の合成方法として、以下の方法を好適に用いることができる。好ましくは不活性ガス雰囲気下で、十分に脱水した極性有機溶媒中に、
1)BABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物をあらかじめ溶解させ、次いで、BABBおよび/またはBABTならびに前記式(III)で示される化合物の合計とほぼ等モルのCBDAを添加して、0〜70℃程度の温度で1〜48時間程度反応させる方法、
2)BABBおよび/またはBABTならびにCBDAを反応させながら溶解させ、次いで、前記式(III)で示される化合物を添加して、1)と同様の条件で反応させる方法、
3)前記式(III)で示される化合物およびCBDAを反応させながら溶解させ、次いで、BABBおよび/またはBABTを添加して、1)と同様の条件で反応させる方法、が挙げられる。
上記極性有機溶媒としては、ポリイミド合成において従来公知の溶媒を用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、およびδ−バレロラクトン等のラクトン類、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネート等のカーボネート類、モノグライム、ジグライム、トリグライム、およびテトラグライム等のグライム類、ならびにジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、混合溶媒として用いてもよい。また、これらの溶媒に、トルエン、およびキシレン等の炭化水素系溶媒、THF、およびジオキサン等のエーテル系溶媒等を添加して混合溶媒を使用することができる。得られるポリアミド酸溶液の濃度が、好ましくは5%〜50%質量%、より好しくは10〜30質量%程度となるように上記溶媒を用いることが好適である。
上記のようにして得られたポリアミド酸溶液から、前記式(I)および(II)で示される構成単位を含むポリイミドを得るためには、熱的に脱水閉環する熱イミド化法、脱水剤を用いる化学イミド化法のいずれの方法を用いることができる。
熱イミド化法としては、例えば、ポリアミド酸溶液をPETフィルムやガラス板、金属支持体等の基板上に塗布して膜状とした後、40〜150℃程度で10分〜2時間程度乾燥した後、これを剥離してポリアミド酸フィルムを得る方法が挙げられる。このフィルムを、好ましくは、不活性ガス雰囲気下、端部を支持体に固定した状態で加熱し、最終的に250〜400℃程度で10分〜3時間程度熱処理することで、本発明の前記式(I)および(II)で示される構成単位を含むポリイミドのフィルムを得ることができる。
化学イミド化法としては、ポリアミド酸溶液に、例えば、無水酢酸等の脱水剤とトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、およびキノリン等の触媒を添加した後、熱イミド化法と同様の操作を行うことによりポリイミドのフィルムを得ることができる。
本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、酸化防止剤、光安定化剤、および末端封止剤等の各種の添加剤を配合する、あるいは無機フィラー等により複合化することが可能である。
例えば、ポリアミド酸溶液に上記添加剤や無機フィラー等を配合し、ポリアミド酸のフィルムとした後にイミド化させることにより、添加剤等を含有するフィルムを得ることができる。
本発明のポリイミドをフィルムとして用いる場合、用途にもよるが、フィルムの厚みとしては5μm〜200μm程度が好ましく、さらには10μm〜100μm程度が好ましい。
本発明のポリアミド酸は、下記式(IV)および(V)で示される構成単位を含むポリアミド酸である。
式(IV)

[式(III)中、RはHまたはCHを示す。]
式(V)

[式(V)中のXは、式(II)中のXと同義である。]
本発明のポリアミド酸は、上記ポリイミドの製造方法において製造されるポリアミド酸であることが好ましい。
本発明において、これらポリアミド酸を含有する溶液を熱イミド化法、化学イミド法などにより閉環させて本発明のポリイミドを得ることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。実施例における測定方法は以下のとおりである。
[FT−IR測定]
スペクトロメータとして、ThermoElectron製「NICOLET380」を用い、ATR法にて測定した。
[線膨張率の測定]
SIIナノテクノロジー社製「TMA/SS6100」を用い、窒素雰囲気下で、残留歪みを除去するために一旦330℃程度まで昇温した後に0℃付近まで降温し、荷重10mN、昇温速度5℃/分で測定し、100℃から200℃の線膨張率の平均値(CTE)を求めた。また、線膨張率の曲線の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
[熱分解特性評価]
SIIナノテクノロジー社製「TG/DTA6200」を用い、ヘリウム雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定し、5%重量減少温度(Td5)を評価した。
[透明性の評価]
島津製作所製紫外可視分光光度計「UVmini1240」を用い、1100nm〜200nmの波長範囲の光線の透過率を測定し、780nm〜380nmの可視光線に相当する波長範囲の透過率の平均値(T)を求めた。また、波長400nmでの透過率(T400)、および透過率が0.5%以下となる吸収端の波長(Cut Off)を求めた。
[靭性の評価]
フィルムを180度完全に折り曲げて、割れが生じるかを指標として靭性の評価を行った。
[実施例1]
窒素置換したガラス容器中で、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンの50:50の混合溶媒8ml、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(BABB)0.799g(2.30mmol)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)0.500g(2.55mmol)を混合し、70℃のホットスターラー上で30分間撹拌して、均一透明な溶液を得た。該溶液を室温まで冷却後、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(「BAPP」、和歌山精化工業製)0.105g(0.26mmol)を添加して撹拌したところ、著しく増粘したため、上記混合溶媒2mlで希釈し、さらに数時間撹拌して淡黄色の粘調液を得た。
この溶液をガラス上にアプリケータを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥させてポリアミド酸のフィルムを得た。このポリアミド酸のフィルムをガラスから剥離し、金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理し、イミド化を行った。得られたポリイミドフィルムは厚み15μmで、優れた靭性を有するものであった。
このフィルムについて線膨張率を測定したところ、27.5ppm/℃と低い値を示した。線膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度は330℃と高い耐熱性を示した。また、このフィルムについて熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は475℃と良好な値を示した。透明性を評価したところ、380nm〜780nmの可視光線の透過率の平均値(T)は84.7%、400nmでの透過率(T400)は72.7%、吸収端波長(Cut Off)は324nmであり、高い透明性を示した。評価結果を表1に示す。
[実施例2、3]
実施例1において、BABBとBAPPの比率を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムは、いずれも高い透明性を示し、優れた靭性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
実施例2のポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを図1に示す。
[実施例4]
実施例2において、BAPPをビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(和光純薬製、表1ではBAPSと略記する)0.331g(0.77mmol)に変更した以外は、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムは、高い透明性と優れた靭性を有し、低い線膨張率を示した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2において、BAPPを2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(「BIS−AF−A」、セントラル硝子製)0.397g(0.77mmol)に変更した以外は、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムは、高い透明性と優れた靭性を有し、低い線膨張率を示した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、BABBを2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエン(BABT)0.739g(2.04mmol)に変更し、BAPPを0.209g(0.51mmol)用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムは、高い透明性と優れた靭性を有し、低い線膨張率を示した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、BABBを使用せず、BAPPを1.047g(2.55mmol)用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。得られたポリイミドフィルムは無色透明で優れた靭性を有するものであったが、線膨張率が50ppm/℃を超える大きいものであった。評価結果を表1に示す。
実施例および比較例の評価結果
本発明のポリイミドは、透明性、耐熱性に優れ、低線膨張率を有するため、光学材料分野におけるフィルムおよび基材、ならびに電子材料分野における保護膜、絶縁膜、およびフレキシブルプリント回路基板等に好適に使用することができる。
実施例2のポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを示す。

Claims (6)

  1. 下記式(I)および(II)で示される構成単位を含むポリイミド。
    式(I):

    [式(I)中、RはHまたはCHを示す。]
    式(II):
    [式(II)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
  2. 前記Xが、−C(CH−および−SO−より選択される少なくとも一つの基である、請求項1に記載のポリイミド。
  3. 前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が、モル比で40:60〜95:5である、請求項1又は2に記載のポリイミド。
  4. 前記式(I)および(II)で示される構成単位の割合が、モル比で50:50〜90:10である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法であって、
    1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンおよび/または2,5−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)トルエンと、下記式(III)で示される化合物とを反応させてポリアミド酸を得る工程、
    式(III):

    [式(III)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
    前記ポリアミド酸をイミド化する工程を含む、ポリイミドの製造方法。
  6. 下記式(IV)および(V)で示される構成単位を含むポリアミド酸。
    式(IV):

    [式(IV)中、RはHまたはCHを示す。]
    式(V):
    [式(V)中、Xは−C(CH−、−SO−、−C(CF−および−CO−より選択される少なくとも一つの基である。]
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