JP2010111554A - 光ファイバ用母材の製造方法、及び、光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ用母材の製造方法、及び、光ファイバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光ファイバが製造される際、断線等の不良を抑制できる光ファイバ用母材の製造方法、及び、光ファイバの製造方法を提供する。
【解決手段】 光ファイバを線引により得る為の光ファイバ用母材の製造方法であって、石英管12を水平に配置する石英管配置工程と、円筒状または円柱状の石英部材10を石英管12の一端面12Eに形成された開口から他端面12Fまで、一端面12Eにおいて水平となる様に挿入する挿入工程とを備え、挿入工程において、一端面12Eにおける石英部材10の外周面と、石英管12の開口を形成する開口縁とが接しない様に、且つ、一端面12Eにおける石英部材10の外周面の最下部10Lと、開口縁の最下部12Lとの距離が、石英部材12を他端面12Fまで挿入したときの石英部材10の撓み量Xよりも大きくなる様に、一端面12Eにおける石英部材10の中心軸10Cを石英管12の中心軸12Cよりも上側にずらして挿入する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、光ファイバ用母材の製造方法、及び、光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバ用母材の製造方法として、VAD(Vapor Phase
Axial Deposition)法やOVD(Outside Vapor Deposition)法等のスート法で作成された石英多孔質母材を焼結ガラス化する方法が用いられている。しかし、近年、光ファイバ用母材の大型化に伴い、生産性の高い光ファイバ用母材の製造方法が用いられる場合がある。このように生産性の高い光ファイバ用母材の製造方法の一つとして、ロッドインチューブ法を用いる製造方法が知られている。
ロッドインチューブ法とは、光ファイバのクラッド部となる円筒状の石英管の中に光ファイバのコア部となる石英ロッドを挿入する工程を有する方法である。石英管の中に石英ロッドが挿入された後においては、石英管と石英ロッドとが加熱炉で一体化されて、光ファイバ用母材とされ、この光ファイバ用母材が線引されて、光ファイバが製造される場合がある。或いは、石英管の中に石英ロッドが挿入された状態で、そのまま光ファイバ用母材とされ、この光ファイバ用母材を線引して、石英管と石英ロッドとが一体化されながら光ファイバが製造される場合とがある。
ところで、ロッドインチューブ法において、石英ロッドを石英管の中に挿入する際、石英管内へのゴミ等の異物の落下を避ける為、石英管を水平に保ち、石英ロッドを水平に挿入する場合がある。このように石英ロッドを水平に挿入すると、石英管内への異物の落下を防止できるという利点があるものの、石英管内で石英ロッドが自重により撓むため、石英ロッドの挿入中に石英ロッドと石英管とが接触しやすい。
この様に石英ロッドを石英管の中に挿入する間に石英ロッドと石英管とが接触すると、石英管の内面に擦り傷ができてしまう場合がある。このような擦り傷ができた石英管を用いた光ファイバ用母材を線引して、光ファイバが製造されると、当該擦り傷部分が原因となり光ファイバの断線等の不良が発生する場合がある。
そこで、ロッドインチューブ法における、このような石英管の擦り傷を防止するため、石英管内に合成樹脂チューブを挿入して、石英管と石英ロッドとの間に合成樹脂チューブが介在させながら、石英管の中に石英ロッドを挿入し、石英ロッドの挿入後に合成樹脂チューブを抜き取る光ファイバ用母材の製造方法が知られている(特許文献1)。
特開2001−247324号公報
上記特許文献1に記載の光ファイバ用母材の製造方法によれば、石英ロッドを石英管の中に挿入する間に石英管と石英ロッドとの接触を避けることができる。しかし、合成樹脂チューブを石英管内に挿入するため、合成樹脂チューブの静電気により合成樹脂チューブに付着した異物が、石英管内に合成樹脂チューブと共に挿入されて、合成樹脂チューブを抜き取った後において、そのまま残留する場合がある。また、石英管に合成樹脂チューブを挿入する際、或いは、石英ロッドを挿入する際に、石英管或いは石英ロッドと合成樹脂チューブとが擦れるため、合成樹脂チューブが石英管内で削れて、合成樹脂チューブの削りカスが、合成樹脂チューブを抜き取った後おいて、異物として石英管内に残留する場合がある。
このように石英管内に異物が残留した石英管を光ファイバ用母材として用い、線引きをして、光ファイバが製造されると、この異物が原因となり光ファイバに断線等の不良が生じる場合がある。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光ファイバ用母材が線引されて光ファイバが製造される際、断線等の不良を抑制することができる光ファイバ用母材の製造方法、及び、光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、光ファイバを線引により得る為の光ファイバ用母材の製造方法であって、石英管を水平に配置する石英管配置工程と、円筒状または円柱状の石英部材を前記石英管の一端面に形成された開口から他端面まで、前記一端面において水平となる様に挿入する挿入工程と、を備え、前記挿入工程において、前記一端面における前記石英部材の外周面と、前記石英管の前記開口を形成する開口縁とが接しない様に、且つ、前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記開口縁の最下部との距離が、前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英部材の撓み量よりも大きくなる様に、前記一端面における前記石英部材の中心軸を前記石英管の中心軸よりも上側にずらして挿入することを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法である。
このような光ファイバ用母材の製造方法によれば、石英管を水平に配置して、石英管の開口から石英部材を水平に挿入するため、石英管内への異物の落下が防止でき、異物の混入のない光ファイバ用母材を得ることができる。また、石英部材は、石英管の一端面において、石英部材の外周面と、石英管の開口縁とが接しない様に石英管に挿入される。さらに、石英部材の外周面の最下部と、石英管の開口縁の最下部との距離が、石英部材を石英管の他端面まで挿入したときに、石英部材が撓む量よりも大きくなる様に、石英管の一端面における石英部材の中心軸を石英管の中心軸から上側にずらしている。従って、石英部材を挿入する最中に石英部材が自重により撓んでも、石英部材は、石英管の内周面に接触しない。よって、石英管に擦り傷をつけることを防止でき、擦り傷のない光ファイバ用母材を得ることができる。このため、このような製造方法で製造された光ファイバ用母材を線引して、光ファイバを製造すれば、断線等の不良を抑制することができる。
また、上記の光ファイバ用母材の製造方法において、補助石英管を、前記一端面に接続する補助石英管接続工程と、前記石英部材が配置される台座を前記補助石英管内に配置する台座配置工程と、を前記挿入工程の前に更に備え、前記補助石英管は、前記台座上に配置された前記石英部材を前記石英管内に挿入可能に接続され、前記台座は、前記補助石英管内において、前記台座に配置される前記石英部材が水平な状態で、前記石英部材の中心軸を前記石英管の前記中心軸に対して上側にずらす様に構成されていれば好適である。補助石英管を石英管の端面に接続し、補助石英管内で台座に配置される石英部材は、中心軸が石英管の中心軸に対して上側にずれた状態で、水平になされている。従って、石英部材を挿入する際、石英管の一端面において、容易に石英部材の中心軸を石英管の中心軸の上側にずらして、石英部材を水平に石英管内に挿入することができる。
更に、上記光ファイバ用母材の製造方法において、前記補助石英管の中心軸は、前記石英管の中心軸と一致していれば、さらに好適である。補助石英管の中心軸と前記石英管の中心軸とが一致していれば、補助石英管の重心が石英管の中心軸上に位置する。このため、石英部材が挿入され、光ファイバ用母材が製造された後、この光ファイバ用母材を垂直に立てて、光ファイバを線引により製造する際、石英管に補助石英管が接続されていても、光ファイバ用母材の径方向での重量バランスが取り易くなる。
また、上記光ファイバ用母材の製造方法において、前記石英部材は円筒状であり、前記挿入工程の後、前記石英部材を前記石英管内において水平に配置する石英部材配置工程と、円柱状の第2石英部材を前記石英部材の一端面に形成された開口から前記石英部材の他端面まで、前記石英部材の前記一端面において水平となる様に挿入する第2挿入工程と、を更に備え、前記第2挿入工程において、前記石英部材の前記一端面における前記第2石英部材の外周面と、前記石英部材の開口を形成する開口縁とが接しなく、且つ、前記石英部材の前記一端面における前記第2石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英部材の前記開口縁の最下部との距離が、前記第2石英部材を前記石英部材の前記他端面まで挿入したときの前記第2石英部材の撓み量よりも大きくなる様に、前記石英部材の一端面における前記第2石英部材の中心軸を前記石英部材の中心軸よりも上側にずらすこととすれば、好適である。
石英管の中に円筒状の石英部材が挿入された後、石英部材を水平に配置し、石英部材の開口から、円柱状の第2石英部材を水平に挿入するため、石英部材内への異物の落下が防止でき、異物の混入のない光ファイバ用母材を得ることができる。また、第2石英部材は、石英部材の一端面において、第2石英部材の外周面と、石英部材の開口縁とが接しない様に石英部材に挿入される。さらに、第2石英部材の外周面の最下部と、石英部材の開口縁の最下部との距離が、第2石英部材を石英部材の他端面まで挿入したときに、第2石英部材が撓む量よりも大きくなる様に、第2石英部材の中心軸を石英部材の中心軸から上側にずらしている。従って、第2石英部材を挿入する最中に第2石英部材が自重により撓んでも、第2石英部材は、石英部材に接触しない。このように石英管に円筒状の石英部材を挿入し、その石英部材に円柱状の石英部材を挿入した場合においても、擦り傷のない光ファイバ用母材を得ることができる。
また、上記光ファイバ用母材の製造方法において、前記石英部材は、円柱状であり、前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英管の前記開口縁の前記最下部との距離をA(cm)とした場合に、
A>(Pl/EI)/8、
I=πd /64
ただし、
l:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の長さ(cm)
P:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の重さ(gf)
E:前記石英部材のヤング率(714000kgf/cm
I:断面2次モーメント
:前記石英部材の直径(cm)
という関係式を満たすこととすれば好適である。
或いは、上記光ファイバ用母材の製造方法において、前記石英部材は、円筒状であり、前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英管の前記開口縁の前記最下部との距離をB(cm)とした場合に、
B>(Pl/EI)/8、
I=π(d −d )/64
ただし、
l:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の長さ(cm)
P:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の重さ(gf)
E:前記石英部材のヤング率(714000kgf/cm
I:断面2次モーメント
:前記石英部材の内径(cm)
:前記石英部材の外径(cm)
という関係式を満たすこととすれば好適である。
また、本発明は、上記の光ファイバ用母材の製造方法により製造された光ファイバ用母材を線引して、光ファイバを製造することを特徴とする光ファイバの製造方法である。
このような光ファイバの製造方法によれば、擦り傷が防止された光ファイバ用母材の製造方法により製造された光ファイバ用母材を線引する。このため、断線等の不良が抑制された光ファイバを製造することができる。
本発明の光ファイバ用母材の製造方法及び光ファイバの製造方法によれば、光ファイバが製造される際、断線等の不良を抑制することができる。
以下、本発明に係る光ファイバ用母材の製造方法及び光ファイバの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態は、例えば、コアの周りを1層のクラッドが被覆している光ファイバを製造するのに好適な光ファイバ用母材の製造方法及び光ファイバの製造方法である。
(光ファイバ用母材の製造方法)
先ず、光ファイバ用母材の製造方法について説明する。
(補助石英管接続工程)
始めに、図1に示す様に、円筒状の石英管12を準備し、石英管12の一端面12Eに円筒状の補助石英管17を例えば火炎溶接により接続する。このとき、石英管12をその一端面12E側から長手方向に沿って見たときに、石英管12の開口と補助石英管17の開口とが重なる様にする。本実施形態においては、補助石英管17の中心軸は、石英管12の中心軸と一致させて、石英管12の一端面12Eに補助石英管を接続している。2つの中心軸が一致する様に接続すると、補助石英管17の重心が、石英管12の中心軸上に位置するため、後に光ファイバ用母材を立てた状態で線引して、光ファイバを製造する際、石英管12に補助石英管17が接続されていても、光ファイバ用母材の径方向での重量バランスが取りやすい。
また、本実施形態では、補助石英管17の内径と石英管12の内径とが等しく、補助石英管17の外径は、石英管12の外径よりも小さくなされている。このようにすることで、補助石英管17の肉厚が薄くなり、補助石英管17のガラス使用量を減らすことができ、軽量化を図ることができる。
また、補助石英管接続工程の前あるいは後に、石英管12の他端面12Fに石英から成る閉塞部材16を火炎溶接等により接続して、石英管12の他端面の開口を塞ぐ。
次に、補助石英管17及び閉塞部材16が接続された石英管12を洗浄する。洗浄は、例えば、フッ酸により石英管12の内壁面等に付着した不純物等を取り除き、その後、純水でリンスを行い乾燥させる。
(石英管配置工程)
次に、石英管12を図示しない台上に水平に配置する。
(台座配置工程)
次に、図2に示す様に、補助石英管17内に円筒状の台座14を挿入する。台座14は、台座14の外周面と補助石英管17の内周面との間に殆ど隙間を空けずに挿入される。また、台座14の長さは、補助石英管17の長さより長くされている。台座14には、台座14の中心軸と平行にずれた円柱状の貫通孔14Hが設けられている。この貫通孔14Hの径は、後に石英部材が台座14の貫通孔14H内に挿入されるとき、石英部材の外周面と台座14の内周面との間に殆ど隙間を空けないような径とされている。
台座14は、台座14の一方の端面が石英管12の端面12Eに達するまで、補助石英管17内に挿入されて配置される。この際、台座14は、台座14の下部14Lの厚さが大きく、上部14Uの厚さが小さくなる様にする。本実施形態では、補助石英管17の中心軸と石英管12の中心軸12Cとが一致しているため、台座14に形成された貫通孔14Hは、中心軸14Cが石英管12の中心軸12Cと平行に上側にずれ、水平な状態となる。
なお、台座14は、後に台座14に配置される石英部材との摩擦を軽減し、石英部材に傷をつけない材料であることが好ましい。このような材料の一例として、フッ素系樹脂がある。また、台座14は、静電気によるゴミの付着を避けるため、イオナイザ等による静電気除去処理がなされていることが好ましい。
(石英部材挿入準備工程)
次に、図3に示す様に、石英部材として円柱状の石英ロッド10を台座14の貫通孔14H内に挿入することで台座14に配置して、石英管12に挿入する準備をする。本実施形態において、石英ロッド10は石英管12と同じ長さである。
石英ロッド10は、石英ロッド10の外周面と台座14の内周面との間に隙間を殆ど空けない状態で挿入される。したがって、貫通孔14Hの中心軸14Cが石英管12の中心軸12Cの上側にずれているため、石英ロッド10の中心軸10Cは、補助石英管17内において、石英管12の中心軸12Cの上側にずれる。また、貫通孔14Hは、水平な状態であるため、石英ロッド10は、水平に配置される。
(挿入工程)
次に、図4に示す様に、石英ロッド10を台座14から押し出す様にして、石英管12内に挿入する。石英ロッド10は、補助石英管17内において水平に配置されているため、石英管12の一端面12Eにおいて水平に挿入される。また、石英ロッド10の中心軸10Cは、補助石英管17内において、石英管12の中心軸12Cの上側に平行にずれている。このため、石英ロッド10が石英管12に挿入される際、石英ロッド10の中心軸10Cは、石英管12の一端面12Eにおいて、石英管12の中心軸12Cの上側にずれた状態となる。また、石英ロッド10は、台座14の貫通孔14Hに挿入されている。このため、台座14の肉厚により、石英ロッド10の外周面は、石英管12の開口縁と接しない。
石英ロッド10は、石英管12内に挿入されると、石英ロッド10の他端面10F側の端部が自由端となり、石英管12の一端面12Eにおいて石英ロッド10の一端面10E側が、台座14により片持ちされた片持ち梁の状態となる。そのため、石英ロッド10は、石英管12内で、自重により撓む。
ここで、図5を用いて、石英ロッド10が石英管12の他端面12Fまで挿入された際の撓み量について説明する。図5の(A)は、石英ロッド10が石英管12の他端面12Fまで挿入される時点の様子を示す断面図であり、図5の(B)は、石英管12の図5の(A)と同じ時点での一端面12Eにおける断面図である。
図5において、石英管12及び石英ロッド10の長さをlcmとして、石英ロッド10の直径をdcmとする。このとき、石英ロッド10が石英管12の他端面12Fまで挿入される時点において、石英ロッド10は、長さlcmの片持ち梁として考えることができ、石英ロッド10の撓み量Xcmは、
X=(Pl/EI)/8
I=πd /64
となる。ただし、Iは、断面2次モーメントであり、Eは、石英ロッドのヤング率(714000kgf/cm)である。
従って、石英管12の一端面12Eにおいて、石英管12の開口縁の底部12Lと、石英ロッド10の底部10Lとの距離Aが撓み量Xよりも大きい場合、石英ロッド10を石英管12に挿入する間、石英ロッド10が石英管12の内周面に触れない。
このような石英管12の開口縁の底部12Lと、石英ロッド10の底部10Lとの距離Aを確保するために、台座14の底部14Lの厚さを撓み量Xよりも大きくして、石英ロッド10の中心軸10Cを石英管12の中心軸12Cよりも上側にずらしている。そのため、石英ロッド10を石英管12の他端面12Fまで挿入している間、石英ロッド10は、石英管12と触れなく、石英管12との擦れを防止できる。
石英ロッド10が石英管12の他端面12Fまで到達して、石英ロッド10は、完全に石英管12に挿入される。
(封止工程)
次に、図6に示す様に台座14を補助石英管17から抜き取り、押さえ石英管18を補助石英管17内に挿入して、石英ロッド10の一端面10Eに押さえ石英管18を押し当てて、石英ロッド10が閉塞部材16と押さえ石英管18とで挟まれるようにする。このとき、石英管18の中心軸と石英ロッド10の中心軸とを揃えることが好ましい。さらに、補助石英管17及び押さえ石英管18にキャップ19を接続して、石英管12及び補助石英管17を封止する。
こうして、光ファイバ用母材100が製造される。
このような光ファイバ用母材100の製造方法によれば、石英管12を水平に配置して、石英管12の一端面12Eに形成された開口から石英ロッド10を挿入するため、石英管12内への異物の落下が防止でき、異物の混入のない光ファイバ用母材100を得ることができる。
また、石英管12の一端面12Eにおいて、石英ロッド10の外周面と、石英管12の内周面とが接しなく、さらに、補助石英管17と台座14とを用いて、石英ロッド10の外周面の最下部10Lと、石英管12の開口縁の最下部12Lとの距離が、石英ロッド10が撓み量Xよりも大きくなる様に、石英ロッド10の中心軸10Cを石英管12の中心軸12Cから上側にずらしている。従って、石英ロッド10を石英管12に挿入する最中に石英ロッド10が石英管12の内周面に接触して石英管12に擦り傷がつくことが防止できる。
さらに、補助石英管17を石英管12の一端面12Eに接続し、補助石英管17内に台座14を配置する。この台座14に配置される石英ロッド10は、中心軸10Cが石英管12の中心軸12Cに対して上側にずれた状態で、水平になされている。従って、石英ロッド10を石英管12に挿入する際、石英管12の一端面12Eにおいて、容易に石英ロッド10の中心軸10Cを石英管12の上側にずらして、石英ロッド10を水平とすることができる。
(光ファイバの製造方法)
次に、光ファイバの製造方法について説明する。
図7は、光ファイバの製造方法を実施するための製造装置を示す図である。図7に示す様に、上記で説明した光ファイバ用母材の製造方法により製造された、光ファイバ用母材100を垂直に立てた状態で、電気炉等の加熱炉51内に設置する。
そして、加熱炉51で光ファイバ用母材100を加熱溶融する。光ファイバ用母材100は、石英ロッド10と石英管12とが溶融状態で一体となりながら、下方へ線引きされる。光ファイバ用母材100から線引されたガラスは、冷却装置52で固化されて光ファイバ1となる。こうして光ファイバ1が製造される。
なお、光ファイバ1を樹脂クラッド層や保護樹脂層等の樹脂層で被覆する場合、光ファイバ1は、樹脂層となる紫外線硬化型樹脂が入ったコーティングダイス54を通過し、更に紫外線照射装置55により紫外線が照射されることで、樹脂層が形成される。その後、樹脂層が形成された光ファイバ1は、プーリー57を介して、ボビン58に巻取られる。
本実施形態の光ファイバ1の製造方法によれば、擦り傷が防止された光ファイバ用母材の製造方法により製造された光ファイバ用母材100を線引する。このため、線引きされた光ファイバ1は、断線等の不良が抑制される。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法について説明する。本実施形態は、コアの周りを2層のクラッドが被覆している光ファイバを製造するのに好適な光ファイバ用母材の製造方法及び光ファイバの製造方法である。なお、本実施形態の説明に当たり、第1の実施形態と同一または同等の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(石英部材挿入準備工程)
本実施形態では、石英部材として、石英管12と同じ長さの第2石英管が用いられる。図8は、図2おいて説明した台座配置工程の後に、第2石英管20が台座14に配置された状態を示す図である。第2石英管20は、台座14に設けられた貫通孔14H内に挿入されることで、台座14に配置される。第2石英管20は、第2石英管20の外周面と台座14の内周面との間に隙間を殆ど空けない状態で挿入される。したがって、台座14の貫通孔14Hは、石英管12の中心軸12Cの上側にずれているため、第2石英管20の中心軸20Cは、補助石英管17内において、石英管12の中心軸12Cの上側に平行にずれた状態となる。また、貫通孔14Hは、水平な状態であるため、第2石英管20は、水平に配置される。
(挿入工程)
次に、第2石英管20を石英管12内に押し込む様に挿入する。第2石英管20は、補助石英管17内において、中心軸20Cが石英管12の中心軸12Cの上側に平行にずれて、水平に配置されている。このため、第2石英管20は、石英管12の一端面12Eにおいて、第2石英管20の中心軸20Cが石英管12の中心軸12Cの上側にずれた状態で水平に石英管12に挿入される。また、第2石英管20は、台座14の貫通孔14Hに挿入されている。このため、台座14の肉厚により、第2石英管20の外周面は、石英管12の開口縁と接しない。
第2石英管20は、石英管12内に挿入されると、第2石英管20の他端面20F側の端部が自由端となり、石英管12の一端面12Eにおいて、一端面20E側が台座14により片持ちされた片持ち梁の状態となる。そのため、第2石英管20は、石英管12内で、自重により撓む。このように、第2石英管20は、石英管12内で撓んだ状態で、石英管12の他端部12Fまで挿入される。
ここで、図9を用いて、第2石英管20が石英管12の他端面12Fまで挿入される時点の撓み量について説明する。図9の(A)は、第2石英管20が石英管12の他端面12Fまで挿入される時点の様子を示す断面図であり、図9の(B)は、石英管12の図9の(A)と同じ時点での石英管12の一端面12Eにおける断面図である。
図9において、石英管12及び第2石英管20の長さをlcmとして、第2石英管20の外径をdcmとし、内径をdcmとする。この場合、第2石英管20が石英管12の他端面12Fまで挿入される時点において、第2石英管20は、長さlcmの片持ち梁として考えることができる。このため、第2石英管20の撓み量Ycmは、
Y=(Pl/EI)/8
I=π(d −d )/64
となる。ただし、Iは、断面2次モーメントであり、Eは、石英ロッドのヤング率(714000kgf/cm)である。
従って、石英管12の一端面12Eにおいて、石英管12の開口縁の底部12Lと、第2石英管20の外周面の底部20Lとの距離Bが撓み量Yよりも大きい場合、第2石英管20を石英管12に挿入する間、第2石英管20は、石英管12の内周面に触れない。
このような石英管12の開口の縁の底部12Lと、第2石英管20の外周面の底部20Lとの距離Bを確保するために、台座14の底部14Lの厚さを撓み量Yよりも大きくして、第2石英管20の中心軸20Cを石英管12の中心軸12Cよりも上側にずらしている。そのため、第2石英管20を石英管12の他端面12Fまで挿入している間、第2石英管20が石英管12と触れなく、第2石英管20と石英管12とが擦れることを防止することができる。
(石英部材配置工程)
図10に示す様に、第2石英管20が石英管12の他端面12Fまで挿入された後、第2石英管20は、石英管12の内周面下部に配置される。石英管12が水平に配置されているため、第2石英管20は、水平に配置される。この際、第2石英管20は、石英管12への挿入を終えているので、石英管12の内周面と第2石英管20とが、接触しても擦れることはなく、石英管12に擦り傷はつかない。
その後、台座14は、補助石英管17から取り除かれる。
(第2台座配置工程)
次に、図11に示す様に、補助石英管17に円筒状の第2台座24を挿入して配置する。第2台座24は、第2台座24の外周面と補助石英管17の内周面との間に殆ど隙間を空けずに挿入される。また、第2台座24の長さは、補助石英管17の長さより長くされている。また、台座24には、長手方向に貫通孔24Hが設けられている。貫通孔24Hの径は、後に第2石英部材が貫通孔24H内に挿入されるとき、第2石英部材の外周面と台座24をの間に殆ど隙間を空けないような径とされている。
第2台座24は、第2台座24の一方の端面が第2石英管20の一端面20Eと接するまで、補助石英管17内に挿入されて配置される。こうすることで第2石英管20は、閉塞部材16と第2台座24とで挟まれて固定される。このとき、図11の(B)に示した様に、第2石英管20Eの一端面側から長手方向に沿ってみた場合に、第2台座24の貫通孔24Hは、第2石英管20の孔と完全に重なる様にする。また、第2台座24に形成された貫通孔24Hの中心軸24Cが第2石英管20の中心軸20Cの上側にずれる様にし、貫通孔24Hを水平にする。
なお、第2台座24は、後に第2台座24に配置される第2石英部材との摩擦を軽減し、第2石英部材に傷をつけない材料であることが好ましい。このような材料の一例として、フッ素系樹脂がある。また、第2台座24は、静電気によるゴミの付着を避けるため、イオナイザ等による静電気除去処理がなされていることが好ましい。
(第2石英部材挿入準備工程)
次に、図12に示す様に、第2石英部材として、第2石英管20と同じ長さの円柱状の石英ロッド30を第2台座24の貫通孔24H内に配置する。具体的には、第2台座24の貫通孔24H内に石英ロッド30を挿入する。石英ロッド30は、石英ロッド30の外周面と第2台座24の内周面との間に隙間を殆ど空けない状態で挿入される。したがって、貫通孔24Hは、中心軸24Cが第2石英管20の中心軸20Cの上側にずれて、水平になされているため、石英ロッド30は、補助石英管17内において、石英ロッド30の中心軸30Cが第2石英管20の中心軸20Cの上側にずれた状態で水平に配置される。
(第2挿入工程)
次に、石英ロッド10を石英管12内に押し込む様に挿入する。石英ロッド30の中心軸30Cは、補助石英管17内において、第2石英管20の中心軸20Cの上側に平行にずれて、水平に配置されている。このため、石英ロッド30は、第2石英管20の一端面20Eにおいて、石英ロッド30の中心軸30Cが第2石英管20の中心軸20Cの上側にずれた状態で、第2石英管20に水平に挿入される。また、第2台座24の貫通孔24Hが第2石英管20の孔と長手方向で完全に重なっているため、石英ロッド30の外周面は、第2石英管20の開口縁と接しない。
石英ロッド30は、第2石英管20内に挿入されると、石英ロッド30の他端面30F側の端部が自由端となり、第2石英管20の一端面20Eにおいて、石英ロッド30の一端面30E側が第2台座24により片持ちされた片持ち梁の状態となる。そのため、石英ロッド30は、第2石英管20内で、自重により撓む。
次に、石英ロッド30が第2石英管20の他端面20Fまで挿入された際の撓み量について説明する。図13の(A)は、石英ロッド30が第2石英管20の先端面20Fまで挿入される時点の様子を示す断面図であり、図13の(B)は、石英管12の図13の(A)と同じ時点での一端面12Eにおける断面図である。
図13において、第2石英管20及び石英ロッド30の長さをlcmとして、石英ロッド30の直径をdcmとする。この場合、石英ロッド30が第2石英管20の先端面20Fまで挿入される時点において、石英ロッド30は、長さlcmの片持ち梁として考えることが出来るため、石英ロッド10の撓み量Zcmは、
Z=(Pl/EI)/8
I=πd /64
となる。ただし、Iは、断面2次モーメントであり、Eは、石英ロッドのヤング率(714000kgf/cm)である。
従って、第2石英管の一端面20Eにおいて、第2石英管20の開口縁の底部20Lと、石英ロッド30の底部30Lとの距離Cが撓み量Zよりも大きい場合、第2石英管20内で、石英ロッド30が第2石英管20の内周面に触れない。
本実施形態では、距離Cが撓み量Zより大きくなる様にするため、台座24の下部の厚さを撓み量Zと第2石英管20の肉厚との合計よりも大きくして、石英ロッド30の中心軸30Cを第2石英管20の中心軸20Cよりも上側にずらしている。そのため、石英ロッド30を第2石英管20の先端面20Fまで挿入している間、石英ロッド30が第2石英管20の内周面に触れることがなく、石英ロッド30と第2石英管20とが擦れることを防止することができる。
石英ロッド30が第2石英管20の他端面20Fまで到達して、石英ロッド10は、完全に石英管12に挿入される。
(封止工程)
次に、図14に示す様に第2台座24を補助石英管17から抜き取り、押さえ石英管28を補助石英管17内に挿入して、第2石英管20の一端面20E及び石英ロッド30の一端面30Eに押さえ石英管18を接続する。このとき、石英管18の中心軸と石英ロッド10の中心軸とを揃えることが好ましい。また、補助石英管17及び押さえ石英管28にキャップ29を接続して、石英管12及び補助石英管17を封止する。
こうして、光ファイバ用母材200が製造される。
このような光ファイバ用母材200の製造方法によれば、石英管12を水平に配置して、石英管12の一端面12Eに形成された開口から第2石英管20を水平に挿入し、かつ、第2石英管20を石英管12内で水平に配置し、第2石英管20の一端面20Eに形成された開口から石英ロッド30を水平に挿入する。このため、石英管12及び第2石英管20内への異物の落下が防止でき、異物の混入のない光ファイバ用母材200を得ることができる。
また、石英管12の一端面12Eにおいて、第2石英管20の外周面と、石英管12の開口縁とが接しなく、さらに、補助石英管17と台座14とを用いて、第2石英管20の外周面の最下部20Lと、石英管12の開口縁の最下部12Lとの距離が、第2石英管20の撓み量Yよりも大きくなる様に、第2石英管20の中心軸20Cを石英管12の中心軸12Cから上側にずらしている。従って、第2石英管20を石英管12に挿入する最中に第2石英管20が石英管12の内周面に接触して、石英管12に擦り傷がつくことを防止できる。さらに、第2石英管20の一端面20Eにおいて、石英ロッド30の外周面と、第2石英管20の内周面とが接しなく、さらに、補助石英管17と第2台座24とを用いて、石英ロッド30の外周面の最下部30Lと、第2石英管20の開口縁の最下部20Lとの距離が、石英ロッド30の撓み量Zよりも大きくなる様に、関英ロッド30の中心軸30Cを第2石英管20の中心軸20Cから上側にずらしている。従って、石英ロッド30を第2石英管20に挿入する最中に石英ロッド30が第2石英管20の内周面に接触して、第2石英管20に擦り傷がつくことを防止できる。
(光ファイバの製造方法)
次に、光ファイバの製造方法について説明する。
図15は、光ファイバの製造方法を実施するための製造装置を示す図である。図15に示す様に、上記で説明した光ファイバ用母材の製造方法により製造された、光ファイバ用母材200を垂直に立てた状態で、電気炉等の加熱炉51内に設置する。
そして、光ファイバ用母材200を加熱炉51で加熱溶融する。この際、光ファイバ用母材200は、石英ロッド30と第2石英管20と石英管12とが溶融状態で一体となりながら下方へ線引きされる。線引されたガラスは、冷却装置52で固化されて光ファイバ2となる。こうして、コアの周りを2層のクラッドが被覆している光ファイバ2が製造される。
本実施形態の光ファイバ2の製造方法によれば、擦り傷がつくことが防止できる光ファイバ用母材の製造方法により製造された光ファイバ用母材200を線引する。このため、線引きされた光ファイバ2は、断線等の不良が抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態では、台座14を補助石英管17に配置した後、石英ロッド10を台座14に配置したが、最初に石英ロッド17を台座14に配置し、次に石英ロッド17が配置された台座14を補助石英管17に配置しても良い。同様に第2の実施形態においても、最初に第2石英管20を台座14に配置し、次に第2石英管20が配置された台座14を補助石英管17に配置しても良く、石英ロッド30を第2台座24に配置した後、石英ロッド30が配置された第2台座24を補助石英管17に配置しても良い。
また、第1、第2の実施形態では、台座14及び第2台座24の形状は、円筒状であったが、これに限らない。例えば、図16に示す様に、四角形の孔があいている台座42や、断面の形状が略U字状の台座44を用いても、石英部材が片持ち梁の状態となった場合に台座から脱落しなければ良い。なお、波線は、石英部材を示す。
また、第1、第2の実施形態において、補助石英管17の内径と石英管12の内径とが同じと場合について説明したが、補助石英管17の内径は、石英管12の内径より大きくても良い。このように石英管12の内径よりも大きな内径を有する補助石英管を石英管12と中心軸を合わせて接続した場合、補助石英管内に台座を挿入した際、台座14は、石英管12の一端面12Eにて、石英管12と接触して止まる。従って、台座14を石英管12内に誤挿入することを防止できる。
さらに、第1の実施形態において、光ファイバ用母材100は、石英管12及び石英ロッド10が溶融状態で一体とされながら線引されたが、石英ロッド10が石英管12に完全に挿入されたのち、石英管12を加熱縮径して、石英ロッド10と一体としても良い。同様に第2の実施形態において、光ファイバ用母材200は、石英管12と第2石英管20と石英ロッド10とが溶融状態で一体とされながら線引されたが、石英ロッド30が第2石英管20に完全に挿入されたのち、石英管12、第2石英管20を加熱縮径して、石英ロッド30と第2石英管20と石英管12とを一体としても良い。
次に、本発明の内容を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2)
表1に示す石英管の一端面に表1に示す補助石英管を火炎溶接により接続した。また、各石英管の他端面には、石英から成る閉塞部材を火炎溶接により接続した。その後、各石英管および補助石英管をフッ酸で洗浄し、純水でリンスして乾燥させた。その後、各石英管にハロゲンランプ光を当てて目視による確認を行ったところ、どれも傷や不純物付着はなかった。その後、各石英管を水平に配置した。
次に、表1に示す形状の石英部材を準備した。この石英部材は、VAD法で作成されたものである。準備した各石英部材を片持ち梁とした場合の撓み量は、表1に示す値であった。
次に、断面が略U字形であり、長さ90cmのフッ素樹脂製の台座を、イオナイザにより静電気除去処理を施した。その後、この台座を石英管の一端面まで各補助石英管内に挿入した。なお、この台座は、各石英部材を配置した際、石英管の補助石英管との接続面において、石英部材の中心軸が石英管の中心軸の0.1cm上側となる様にした。
次に、各石英部材を各台座に配置した後、各石英部材を石英管の他端面まで挿入し、各台座を補助石英管から取り出した。
なお、表1において、該当項目がない場合は、「−」で示した。
(実施例3、4)
表1に示す石英管の一端面に表1に示す補助石英管を火炎溶接した。各石英管を水平に配置した。
次に、表1に示す形状の石英部材を準備した。作成した各石英部材を片持ち梁とした場合の撓み量は、表1に示す値であった。
次に、実施例1と同様に台座を配置し、実施例1と同様に石英部材を石英管に挿入して、その後、台座を取り出した。
次に、石英部材を石英管内に水平に配置した
次に、表1に示す第2石英部材を準備した。この第2石英部材は、VAD法で作成されたものである。準備した各第2石英部材を片持ち梁とした場合の撓み量は、表1に示す値であった。
次に、長さ90cmのフッ素樹脂製の第2台座を、イオナイザにより静電気除去処理を施した。その後、この第2台座を各補助石英管内にせ径部材と接するまで挿入した。なお、この第2台座は、各石英部材を配置した際、石英管の補助石英管との接続面において、第2石英部材の中心軸が石英部材の中心軸の0.1cm上側となる様にした。
次に、各第2石英部材を各第2台座に配置した後、各第2石英部材を石英部材の他端面まで挿入し、各第2台座を補助石英管から取り出した。
(比較例1)
表1に示す石英管、補助石英管、石英部材を用いた。石英部材を配置した際、石英管の補助石英管との接続面において、石英部材の中心軸と石英管の中心軸とが一致する台座を用いたこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
表1に示す石英管、補助石英管、石英部材を用いた。台座を用いず、石英管の内周面に接触する様に厚さ1mmのフッ素性樹脂を挿入した。その後、石英部材と石英管の中心軸を一致させ、石英管と石英部材との間にフッ素性樹脂を介在させながら石英部材を挿入し、その後、フッ素性樹脂を取りだした。それ以外は、実施例1と同様にした。
Figure 2010111554
(石英母材の傷、異物の観察)
実施例1、2、比較例1、2において、石英部材が、挿入された後、及び、実施例3、4において、第2石英部材が挿入された後、各石英管にハロゲンランプを当てて、傷や異物の付着を観察した。観察により、傷や異物の付着がない石英管は「○」とし、傷や異物の付着がある石英管は「×」とした。その結果を表1に示す。表1に示す様に実施例1〜4の石英管は、傷が付いていない結果が得られた。これに対し、比較例1は、石英管の内周面に傷がついており、比較例2は、石英管の内周面に異物の付着があるという結果が得られた。
(光ファイバの断線頻度測定)
次に各石英管に接続された補助石英管内に押さえ石英管を挿入して、押さえ石英管と閉塞部材とで石英部材を挟み込んだ。そして補助石英管の石英管との接続部とは逆側にキャップを設置して押さえ石英管を固定することで、石英部材を石英管内に固定し、光ファイバ用母材を作成した。
次に各光ファイバ用母材を光ファイバ製造装置の加熱炉で加熱して、線引を行った。また、加熱の際、光ファイバ用母材の内部の空隙部を真空ポンプで減圧した。このときの圧力は、ブルトン管圧力計で−0.1MPa(ゲージ圧)であった。
次に得られた各光ファイバに対して、プルーフテストを行い断線頻度の測定を行った。その結果を表1に示す。表1に示す様に、実施例1〜4は、断線頻度が1以下であり、比較例1、2は断線頻度が1より大きい結果となった。一般に断線頻度は、600km当たり1回以下であれば良好とされる。これより、実施例1〜4の光ファイバは、断線が抑制され良好であり、比較例1、2の光ファイバは断線が多く不良であることが分かった。
本発明の光ファイバ用母材の製造方法及び光ファイバの製造方法によれば、光ファイバが製造される際、断線等の不良を抑制されることが分かった。
本発明の第1の実施形態に係る石英管配置工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る台座配置工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る石英部材配置工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る石英部材挿入工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る石英部材挿入工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る封止工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る光ファイバの製造方法を実施するための製造装置を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る石英部材配置工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る石英部材配置工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2石英部材配置工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2台座配置工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2石英部材配置工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2石英部材挿入工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る封止工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る光ファイバの製造方法を実施するための製造装置を示す図である。 本発明に用いる台座の他の形態を示す図である。
符号の説明
1、2・・・光ファイバ
10、20、30・・・石英部材
12・・・石英管
14・・・台座
16・・・閉塞部材
17・・・補助石英管
18、28・・・押さえ部材
19、29・・・キャップ
24・・・第2台座

Claims (7)

  1. 光ファイバを線引により得る為の光ファイバ用母材の製造方法であって、
    石英管を水平に配置する石英管配置工程と、
    円筒状または円柱状の石英部材を前記石英管の一端面に形成された開口から他端面まで、前記一端面において水平となる様に挿入する挿入工程と、
    を備え、
    前記挿入工程において、前記一端面における前記石英部材の外周面と、前記石英管の前記開口を形成する開口縁とが接しない様に、且つ、前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記開口縁の最下部との距離が、前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英部材の撓み量よりも大きくなる様に、前記一端面における前記石英部材の中心軸を前記石英管の中心軸よりも上側にずらして挿入する
    ことを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法。
  2. 補助石英管を、前記一端面に接続する補助石英管接続工程と、
    前記石英部材が配置される台座を前記補助石英管内に配置する台座配置工程と、
    を前記挿入工程の前に更に備え、
    前記補助石英管は、前記台座に配置された前記石英部材を前記石英管内に挿入可能に接続され、
    前記台座は、前記補助石英管内において、前記台座に配置される前記石英部材が水平な状態で、前記石英部材の中心軸を前記石英管の前記中心軸に対して上側にずらす様に構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  3. 前記補助石英管の中心軸は、前記石英管の中心軸と一致していることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  4. 前記石英部材は円筒状であり、
    前記挿入工程の後、
    前記石英部材を前記石英管内において水平に配置する石英部材配置工程と、
    円柱状の第2石英部材を前記石英部材の一端面に形成された開口から前記石英部材の他端面まで、前記石英部材の前記一端面において水平となる様に挿入する第2挿入工程と、
    を更に備え、
    前記第2挿入工程において、前記石英部材の前記一端面における前記第2石英部材の外周面と、前記石英部材の開口を形成する開口縁とが接しなく、且つ、前記石英部材の前記一端面における前記第2石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英部材の前記開口縁の最下部との距離が、前記第2石英部材を前記石英部材の前記他端面まで挿入したときの前記第2石英部材の撓み量よりも大きくなる様に、前記石英部材の一端面における前記第2石英部材の中心軸を前記石英部材の中心軸よりも上側にずらす
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  5. 前記石英部材は、円柱状であり、
    前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英管の前記開口縁の前記最下部との距離をA(cm)とした場合に、
    A>(Pl/EI)/8、
    I=πd /64
    ただし、
    l:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の長さ(cm)
    P:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の重さ(gf)
    E:前記石英部材のヤング率(714000kgf/cm
    I:断面2次モーメント
    :前記石英部材の直径(cm)
    という関係式を満たす
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  6. 前記石英部材は、円筒状であり、
    前記一端面における前記石英部材の前記外周面の最下部と、前記石英管の前記開口縁の前記最下部との距離をB(cm)とした場合に、
    B>(Pl/EI)/8、
    I=π(d −d )/64
    ただし、
    l:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の長さ(cm)
    P:前記石英部材を前記他端面まで挿入したときの前記石英管内の前記石英部材の重さ(gf)
    E:前記石英部材のヤング率(714000kgf/cm
    I:断面2次モーメント
    :前記石英部材の内径(cm)
    :前記石英部材の外径(cm)
    という関係式を満たす
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法により製造された光ファイバ用母材を線引して、光ファイバを製造することを特徴とする光ファイバの製造方法。
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