JP2010109208A - トンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイス - Google Patents

トンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】トンネルバリア層の膜厚を薄くすることなくトンネルバリア層の低抵抗化を図ることができ、所要のMR比が得られるトンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイスを提供すること。
【解決手段】トンネルバリア層27と、該トンネルバリア層27を挟む配置に設けられた磁化固定層26と磁化自由層28とを備え、前記トンネルバリア層27が、MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上12.5at.%以下)からなり、該MgZnO層が岩塩型(001)方向に結晶配向して形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明はトンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイスに関し、より詳細にはトンネルバリア層の膜厚を薄くすることなくトンネルバリア層の低抵抗化を図ることができ、所要のMR比を得ることができるトンネル磁気抵抗効果素子及びこれを用いた磁気抵抗デバイスに関する。
トンネルバリア層に岩塩型MgOを使用した磁気抵抗効果素子は、非常に大きな磁気抵抗変化(MR比)を有することが知られている。このため、高記録密度が求められる磁気記録装置においては、トンネルバリア層にMgOを使用した磁気ヘッドが使用されている。
しかしながら、磁気記録媒体の記録密度が増大すると、これにともなって磁気抵抗効果素子のサイズを小さくしなければならなくなるため、トンネルバリア層の膜厚を変えることなく磁気抵抗効果素子を小さくしていくと、トンネルバリア層の抵抗が大きくなってしまう。トンネルバリア層の抵抗が大きくなると、磁気抵抗効果素子の高速応答特性が劣化するという問題が生じる。
したがって、磁気抵抗効果素子を小さくしても素子の特性が劣化しないようにするには、トンネルバリア層の膜厚を薄くして低抵抗化を図る必要がある。しかしながら、トンネルバリア層の膜厚を薄くすると、トンネルバリア層は低抵抗にはなるものの、トンネルバリア層にピンホールなどの欠陥が生じやすくなり、ブレイクダウン電圧が低下して素子破壊をひきおこしやすくなるという問題が生じる。このため、ブレイクダウン電圧の低下を招かない程度の厚さにトンネルバリア層の膜厚を維持し、かつ、所要のMR比特性が得られ、低抵抗化を図ることができるトンネル磁気抵抗効果素子が求められる。
特開2007−305610号公報 米国特許第7252852号 米国特許第7270896号 米国特許第7300711号
トンネルバリア層の面積抵抗RA(抵抗と素子面積との積)を低減させる方法として、MgOにZnなどの第三元素を添加してトンネルバリア層を形成する方法が提案されている。しかしながら、MgOにZnなどの第三元素を添加してトンネルバリア層を形成する方法において、RA値を低減させ、かつMR比特性を向上させるための的確な条件については、未だ見出されていない。
本発明は、トンネルバリア層の膜厚を薄くすることなくトンネルバリア層の低抵抗化を図ることができ、所要のMR比が得られるトンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイスを提供することを目的とする。
実施形態の一観点によれば、トンネルバリア層と、該トンネルバリア層を挟む配置に設けられた磁化固定層と磁化自由層とを備え、前記トンネルバリア層が、MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上12.5at.%以下)からなり、該MgZnO層が岩塩型(001)方向に結晶配向して形成されているトンネル磁気抵抗効果素子が提供される。
本発明に係るトンネル磁気抵抗効果素子によれば、トンネルバリア層の膜厚を薄くすることなく、低抵抗化を図ることができ、所要のMR比特性を備えることができる。これによって、トンネル磁気抵抗効果素子の素子破壊電圧が低下することを防止し、信頼性の高いトンネル磁気抵抗効果素子を提供することができる。
(トンネル磁気抵抗効果素子)
図1、2、3は、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果素子の膜構成例を示す。図1〜3において、同一の構成層については、同一の番号を付している。
図1に示すトンネル磁気抵抗効果素子10は、下部シールド層21、反強磁性下地層22、反強磁性層23、磁化固定層26、トンネルバリア層27、磁化自由層28、キャップ層29、上部シールド層30からなる。なお、下部シールド層21は下部電極を兼ね、上部シールド層30は上部電極を兼ねる。
下部シールド層21には軟磁性材料、たとえばNiFeが使用される。反強磁性下地層22には、たとえばTaとRuを積層して形成する。反強磁性層23にはIrMnが使用される。反強磁性下地層22は、反強磁性層23に使用するIrMnを(111)方向に結晶配向させるために設けている。反強磁性層23には、PtMn、PdPtMn等の反強磁性材も使用される。
磁化固定層26は、強磁性材たとえばCoFeB、もしくはCoFeB/CoFeの積層構造に形成される。磁化固定層26は反強磁性層23との交換結合によって磁化方向が固定される。
トンネルバリア層27は、(001)方向に結晶配向した岩塩型MgZnO(Zn濃度は1at.%以上12.5at.%以下)によって形成される。
このトンネルバリア層27は、MgZnOターゲットを用いて、RFスパッタリング法によって作製することができる。MgZnOターゲットに用いるZn組成を適宜選択することによって、トンネルバリア層27として形成するMgZnOのZn組成を調整することができる。
トンネルバリア層に用いられるMgOは、(001)方向に結晶配向させることによって大きなMR比が得られることが知られている。岩塩型MgZnO層からなるトンネルバリア層27についても、岩塩型(001)方向に結晶配向していることによって大きなMR比を得ることができる。トンネルバリア層27は、アモルファスの下地層上に成膜することによって岩塩型の(001)方向に結晶配向する。
前述した磁化固定層26に使用するCoFeBはアモルファスとして成膜されるから、磁化固定層26、もしくは磁化固定層26のトンネルバリア層27に接する層をCoFeBによって形成することにより、トンネルバリア層27のMgZnO層を(001)方向に結晶配向させることができる。
図1において、磁化自由層28は、CoFe、CoFeB、Ta、NiFeの4層構造とした。磁化自由層28はNiFeの単層構造とすることも可能である。磁化自由層28を4層構造としているのは、磁化自由層28の特性を向上させるためである。キャップ層29は、保護層として作用するものであり、TaとRuの2層構造とした。上部シールド層30は、下部シールド層21と同様にNiFeによって形成した。
図2に示すトンネル磁気抵抗効果素子11は、下層側から、下部シールド層21、反強磁性下地層22、反強磁性層23、第1の磁化固定層26a、反強磁性結合層25、第2の磁化固定層26b、トンネルバリア層27、磁化自由層28、キャップ層29、上部シールド層30からなる。
本実施形態のトンネル磁気抵抗効果素子11は、磁化固定層を、第1の磁化固定層26a、反強磁性結合層25、第2の磁化固定層26bによって形成した点が、上述したトンネル磁気抵抗効果素子10と相異する。
磁化固定層は、外部磁界が作用してもできるだけ磁化方向が固定されている必要がある。図2に示す磁化固定層は、反強磁性結合層25を介して磁化固定層を積層する構造とすることによって磁化固定層の磁化方向をより安定させた構造としている。
第1の磁化固定層26aとしては、IrMnからなる反強磁性層23と強い交換結合作用を有するCoFeを使用し、反強磁性結合層25にRu、第2の磁化固定層26bとしてCoFeBを使用することができる。
本実施形態においても、トンネルバリア層27は前述した実施形態と同様に、岩塩型MgZnO(Zn濃度は1at.%以上12.5at.%以下)によって形成する。
図3に示すトンネル磁気抵抗効果素子12は、下層側から、下部シールド層21、磁化自由層28、トンネルバリア層27、第2の磁化固定層26b、反強磁性結合層25、第1の磁化固定層26a、反強磁性層23、キャップ層29、上部シールド層30からなる。
本実施形態のトンネル磁気抵抗効果素子12は、下層側に磁化自由層28とトンネルバリア層27を配置し、トンネルバリア層27の上層に第2の磁化固定層26b等からなる磁化固定層を配置している。これら各層の配置は、図2に示すトンネル磁気抵抗効果素子11と逆の配置となっている。磁気抵抗効果素子の層構成としては、本実施形態のように、積層方向を逆にすることも可能である。
本実施形態のトンネル磁気抵抗効果素子12においても、トンネルバリア層27は前述した実施形態と同様に、岩塩型MgZnO(Zn濃度は1at.%以上12.5at.%以下)によって形成する。
なお、本実施形態においては磁化自由層28がトンネルバリア層27の下地層となるから、磁化自由層28のトンネルバリア層27に接する層(下地となる層)はアモルファスとして成膜される層とし、トンネルバリア層27のMgZnO層が(001)方向に結晶配向するようにするのがよい。
図1、2、3に示したトンネル磁気抵抗効果素子10、11、12は、トンネル磁気抵抗効果素子の層構成として典型的な例を示したものである。トンネル磁気抵抗効果素子は、上述した構成以外に種々の層構成とすることが可能である。本発明において特徴とするトンネルバリア層27についての構成は、層構成が上記例とは異なるトンネル磁気抵抗効果素子についても同様に適用することができる。
また、前述した実施の形態において示したトンネル磁気抵抗効果素子に用いる反強磁性材、強磁性材等は一例を示したもので、トンネル磁気抵抗効果素子を構成する材料は適宜選択可能である。なお、従来のトンネル磁気抵抗効果素子は、上述したトンネル磁気抵抗効果素子10、11、12において、トンネルバリア層27をMgO単層に置き換えたものとみればよい。
(トンネルバリア層)
上述したように、本実施形態のトンネル磁気抵抗効果素子は、(001)方向に結晶配向した岩塩型MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上12.5at.%以下)をトンネルバリア層として備えること基本の構造としている。
図4は、Fe(001)/MgZnO(001)/Fe(001)三層構造からなるトンネル磁気抵抗効果素子のMR比と面積抵抗RA(素子抵抗と素子面積との積)を計算によって求めた結果を示す。計算は、OpenMX ver3.31により行い、局所密度近似を用いて行った。磁性層としてのFe(001)は、bcc型の(001)結晶配向を仮定したもの、MgZnO(001)は岩塩型の(001)結晶配向を仮定したものである。
図5に、計算で用いたトンネル磁気抵抗効果素子のモデル図を示す。MgZnO層を厚さ方向に挟む磁性層として4原子層のFe層を仮定した。磁性層としてFe以外にCoを含む場合を仮定しても計算結果は同様である。
トンネルバリア層については、4原子層(8.4Å相当)とし、図のMサイトがすべてMgである場合、8個のMサイトのうち1個をZnに置換した場合、8個のMサイトのうち2個をZnによって置換した場合について計算した結果を示す。
MサイトをすべてMgとした場合が、図4中のMg100%(a)、すなわち、トンネルバリア層をMgOとした場合である。
8個のMサイトのうち1個をZnに置換した場合が、図中のZn13%(b)である。この場合は、正確にはZnが12.5%、すなわち、トンネルバリア層はMg43.75Zn6.25O50(at.%表記)からなる。8個のMサイトのうち1個をZnに置換する場合に、Znが磁性層との界面にある場合(下から1層目あるいは4層目)と、Znがバリア層の内層(下から2層目または3層目)にある場合とで得られる計算値が若干異なる。
8個のMサイトのうち2個をZnによって置換した場合が、図中のZn25%(c)、すなわちトンネルバリア層がMg37.5Zn12.5O50(at.%表記)の場合である。
8個のMサイトのうち2個をZnに置換する方法には、いくつかの組み合わせがある。すなわち、磁性層の界面にある2個のMサイトがZnに置換され、残りのMサイトがMgの場合、磁性層との界面にある一個のMサイトと内層の1個のMサイトがZnによって置換され、残りのMサイトがMgの場合、内層の2個のMサイトがZnによって置換され、残りのMサイトがMgの場合である。8個のMサイトのうち2個がZnによって置換される場合には、Znの置換位置によって計算値がばらついた値になる。
図4に示す計算結果は、Zn濃度が 0at.%、すなわちトンネルバリア層がMgOからなる場合は、RA値が約6Ωμm2、MR比が2200%程度となることを示す。
1個のMサイトをZnによって置換した場合(Zn濃度 6.25at.%)は、MR比は2200%程度であり、Mg100%のMR比と変わらないのに対して、RA値がMgOの場合の約半分の約3Ωμm2を示した。
2個のMサイトをZnによって置換した場合(Zn濃度 12.5at.%)は、MR比はばらつくものの、MR比は平均で1600%程度であり、最大で2200%程度を示した。このときRA値は2Ωμm2以下を示した。
解析の結果、2個のMサイトをZnによって置換した場合にMR比がばらつく原因は、Znが置換するMサイトの位置に依存し、磁性層との界面にZnが位置した場合には、バンドギャップが小さいために電流が流れやすくなりMR比が減少するためであることがわかった。すなわち、MgZnO層におけるZnの含有量を多くすると、磁性層との界面にZnが位置しやすくなり、抵抗は小さくなるもののMR比が減少するという傾向を示す。上記例の2個のMサイトをZnによって置換した場合(Zn濃度 12.5at.%)には、2000%を超えるMR比が得られるのに対して、Mサイトの3個あるいは4個をZnによって置換した場合は、Mサイトの2個をZnによって置換した場合よりもMR比が小さくなる。したがって、MgOと同程度のMR比が得られることを条件とすると、MgZnO層におけるZn濃度としては12.5at.%を上限と設定するのがよい。
図4に示す計算結果は、MgZnO層をトンネルバリア層に用いることによって、MgOをトンネルバリア層に用いる場合と比較して、MR比を下げることなくトンネルバリア層の低抵抗化を図ることが可能であることを示し、MgZnO層におけるZn濃度を12.5at.%以下とすることが好ましいことを示している。Zn濃度の下限値としては、Znを添加したことによる低抵抗化の作用を考慮して1at.%とする。
上述したように、MgZnO層におけるZnのサイトの位置によってトンネルバリア層のMR比がばらつくことから、MgOにZnを添加する場合に、MgZnO層におけるZnの原子配置位置を制御することができれば、MgOと同程度の高いMR比を維持しつつ、RA値を低くすることが可能である。
なお、MgZnOは、Znの組成が20at.%以下においては岩塩型構造となるが、Znの組成が20at.%以上になると、岩塩型構造とウルツ型構造が混在するものとなる。MgZnOをトンネルバリア層に使用する場合には、岩塩型(001)方向に結晶配向することがMR比を大きくする上で有効である。
上述した計算結果は、MgZnO層が岩塩型(001)方向に結晶配向することによってMR比を大きくすることができ、トンネルバリア層の低抵抗化を図ることができることを裏付けている。
さらに、上記計算モデルに示したように、トンネルバリア層を挟む配置に設けられる磁化固定層と磁化自由層については、トンネルバリア層と接する面側が体心立方構造を有し、基板面に対し(001)方向に結晶配向した強磁性体を用いることが有効である。
これは体心立方構造の強磁性体を用いることで、体心立方構造の(001)面でのΔ1バンド(完全対称性を持ったs電子的な性質を有する電子状態)の電子が岩塩構造を有した絶縁体の(001)面を優先的にトンネルでき、かつそのΔ1バンドがフェルミ準位EFで完全にスピン分極しているために、大きなトンネル磁気抵抗効果が生じるからである。
磁化固定層の強磁性体としては、CoFeBがアモルファスとして成膜され、その後、熱処理を施すことによってMgZnOの結晶構造に倣って結晶化し、(001)方向に結晶配向する体心立方構造をもつようになる。
図6は、Zn濃度が約4at.%のMgZnOをトンネルバリア層とした磁気抵抗効果素子を作成し、MR比と、面積抵抗RA(素子抵抗と素子面積との積)を測定した結果を示す。
測定に使用したサンプルは、シリコン基板上に、反強磁性下地層としてTa(3nm)/Ru(2nm)、反強磁性層としてIrMn(6nm)、第1の磁化固定層としてCoFe(1.8nm)、反強磁性結合層としてRu(0.9nm)、第2の磁化固定層としてCoFeB(1.8nm)/CoFe(0.5nm)、トンネルバリア層、自由磁化層としてCoFe(0.3nm)/CoFeB(1.5nm)/Ta(0.25nm)/NiFe(3.5nm)、キャップ層としてTa(5nm)/Cu(20nm)/Ru(7nm)をそれぞれスパッタリング法により成膜して形成したものである。
トンネルバリア層としてMgZnO(Zn濃度が約4at.%)を使用したものの測定データは、トンネルバリア層の厚さを0.9、1.0,1.1、1.2 nmとした4つのサンプルについて測定したものである。
図6には、比較のために、トンネルバリア層を岩塩型結晶であるMgOによって形成したサンプルと、ウルツ鉱型結晶であるZnOによって形成したサンプルについての測定結果をあわせて示した。図中において、破線によって示したグラフはトンネルバリア層をMg32Zn13O55(at.%表記)によって形成した従来例の結果を示す。
図6のグラフは、トンネルバリア層にMgZnO、MgO、ZnOを用いた場合も、従来例の場合も、RA値が増大するとともにMR比が増大することを示す。
トンネルバリア層にMgZnOを使用したものでは、最大で約80%のMR比が得られた。MR比の大きさを比較すると、トンネルバリア層としてMgOを使用したものの方が、トンネルバリア層にMgZnOを使用したものよりも大きくなる。一方、トンネルバリア層にMgZnOを使用したものは、トンネルバリア層にZnOを使用したものや、従来例のものと比較して、はるかに大きなMR比が得られている。図からは、トンネルバリア層におけるZn濃度が増大するとともに、MR比が低下する傾向がみられる。
図7は、トンネルバリア層の厚さが異なるサンプルについてRA値を測定した結果を示す。図では、トンネルバリア層がMgZnO(Zn濃度が約4at.%)からなるサンプルと、MgOからなるサンプルについての測定結果を対比して示している。
図7は、同一のトンネルバリア層の膜厚についてのRA値を比較すると、MgOからなるトンネルバリア層にくらべて、MgZnOからなるトンネルバリア層の方がRA値が小さくなることを示す。すなわち、同一のRA値を得るためのトンネルバリア層の膜厚についてみると、MgZnOによって形成するバリア層の方が、MgOによって形成するバリア層よりも膜厚を厚くすることができることを意味する。
したがって、トンネルバリア層としてMgZnOを使用する場合は、特定のRA値が得られるようにする条件下において、MgO層によってトンネルバリア層を形成する場合にくらべて膜厚を厚くすることができる。この結果、トンネルバリア層にピンホール等の欠陥が生じることを抑えることができ、ブレイクダウン電圧が低下することを防止し、素子破壊を抑えることが可能になる。更に、膜厚を厚くできることから層間結合磁界Hinを小さくできることが期待される。
図8は、Zn濃度が約4at.%のMgZnO層の結晶配向方向がどのようになるかをX線回折によって測定した結果を示す。
測定で使用したサンプルは、シリコン基板上に成膜した下地層上にMgZnO層を5nm積層したサンプルと、シリコン基板上に成膜した下地層上にMgO層を5nm積層したサンプルである。いずれも、各層はスパッタリング法によって成膜した。
下地層としては、Ta(2nm)とCoFeB(3nm)をこの順に積層したものを使用した。CoFeB層は、成膜直後はアモルファス構造でありMgO層を岩塩構造の(001)方向に結晶配向させる。その後、熱処理によってCoFeB層が(001)方向に結晶配向することがわかっている。
図8は、シリコン基板にMgZnO層を成膜したサンプルのX線回折データと、MgOを成膜したサンプルのX線回折データを重ねて示している。
図8の測定結果は、MgO層および、MgZnO層のサンプルは、いずれも (002)結晶面に起因するピークのみが観測されている。グラフの(002)ピークは、膜の結晶配向が岩塩型の(001)配向となっていることと等価であり、MgO層ならびにMgZnO層が(001)配向に成膜されていることを示す。
ただし、MgO層とMgZnO層は同一の膜厚に成膜したにもかかわらず、MgZnO層の回折線強度は、MgO層の回折線強度よりも小さく、ピークがブロードとなっている。このことは、成膜されたMgZnO層は、結晶粒が小さく結晶粒界が多いといった結晶性が悪いことを意味している。したがって、MgZnO層の結晶性を改善することができれば、更なるMR比の増大が期待できる。前述した理論計算によれば、MgZnOを用いた場合でも、岩塩型MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上12.5at.%以下)として形成し、(001)方向に結晶配向させることによって、MgOと同等のMR比を示すことが予想される。
(磁気抵抗デバイスへの適用例)
本発明に係るトンネル磁気抵抗効果素子は磁気抵抗デバイスとして、磁気ヘッドの再生ヘッド、不揮発性メモリ等に利用することができる。
図9は、上述したトンネル磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッドを、ABS面に対して垂直な面方向の断面図として示したものである。この磁気ヘッドの再生ヘッド40は、下部シールド層41及び上部シールド層42と、下部シールド層41及び上部シールド層42に挟まれて配置されている磁気抵抗効果膜43とを備える。下部シールド層41、上部シールド層42及び磁気抵抗効果膜43が上述したトンネル磁気抵抗効果素子10、11、12に相当する。
記録ヘッド50は、主磁極51、第1リターンヨーク53及び第2リターンヨーク52とを備える。主磁極51のABS面から離間する側の下面に磁極層54が設けられ、主磁極51と磁極層54にコイル55が巻回されている。
図10は上述した磁気ヘッドを備える情報記憶装置としての磁気記憶装置60を示す。磁気記憶装置60は、矩形の箱状に形成されたケーシング61内に、スピンドルモータによって回転駆動される磁気記録媒体62を備える。磁気記録媒体62の側方には、媒体面に平行に揺動可能に支持されたアクチュエータアーム63が配されている。アクチュエータアーム63の先端には、アクチュエータアーム63の延長方向にサスペンション64が取り付けられ、サスペンション64の先端に、磁気記録媒体62の媒体面に向けてヘッドスライダ65が取り付けられている。
ヘッドスライダ65には、前述したトンネルバリア層を備えたトンネル磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッドが形成されている。磁気ヘッドはサスペンション64に形成された配線、及びアクチュエータアーム63に付設されたフレキシブルケーブル66を介して、磁気記録媒体に情報を記録し、磁気記録媒体に記録された情報を再生する電気信号を制御する制御回路に電気的に接続される。
磁気ヘッドにより磁気記録媒体62に情報を記録し、情報を再生する処理は、アクチュエータ67により、アクチュエータアーム63を所定位置に揺動させる操作(シーク動作)とともになされる。
上記トンネル磁気抵抗効果素子を磁気抵抗デバイスの一例である不揮発メモリとして使用する場合は、トンネルバリア層を挟んで固定磁化層と自由磁化層を配置した磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction)を備えた構造とすればよい。
自由磁化層の磁化方向はビット線によって制御され、自由磁化層の磁化方向によってトンネル磁気抵抗が異なることを利用して記録信号を検出する。自由磁化層の磁化状態を利用することにより不揮発性となる。この不揮発メモリに前記岩塩型構造のMgZnOのトンネルバリア層を用いることにより、絶縁バリア層が厚膜化でき、層間磁気結合を弱め、トンネル磁気抵抗のばらつきを抑えてメモリの信頼性を向上させることができる。
トンネル磁気抵抗効果素子の層構成を示す説明図である。 トンネル磁気抵抗効果素子の層構成の他の例を示す説明図である。 トンネル磁気抵抗効果素子の層構成のさらに他の例を示す説明図である。 トンネル磁気抵抗効果素子のMR比と面積抵抗RAの計算結果を示すグラフである。 計算で用いたトンネル磁気抵抗効果素子のモデル図である。 厚さの異なるMgZnOをトンネルバリア層とした磁気抵抗効果素子のMR比とRA値の測定結果を示すグラフである。 トンネルバリア層の厚さが異なるサンプルについてのRA値の測定結果を示すグラフである。 MgZnO層の結晶配向方向を測定したX線回折グラフである。 トンネル磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッドの構造を示す断面図である。 磁気記憶装置の内部構成を示す平面図である。
符号の説明
10、11、12 トンネル磁気抵抗効果素子
21 下部シールド層
23 反強磁性層
26 磁化固定層
27 トンネルバリア層
28 磁化自由層
30 上部シールド層
40 再生ヘッド
50 記録ヘッド
60 磁気記憶装置
65 ヘッドスライダ

Claims (6)

  1. トンネルバリア層と、該トンネルバリア層を挟む配置に設けられた磁化固定層と磁化自由層とを備え、
    前記トンネルバリア層が、MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上12.5at.%以下)からなり、該MgZnO層が岩塩型(001)方向に結晶配向して形成されているトンネル磁気抵抗効果素子。
  2. 前記磁化固定層および磁化自由層の少なくとも一方が、体心立方構造を有する請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子。
  3. 前記体心立方構造を有する磁化固定層あるいは磁化自由層が、(001)方向に結晶配向している請求項2記載のトンネル磁気抵抗効果素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載のトンネル磁気抵抗効果素子を備える磁気抵抗デバイス。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項記載のトンネル磁気抵抗効果素子を備える磁気再生ヘッド。
  6. 磁気再生ヘッドとして、トンネル磁気抵抗効果素子を備えたヘッドスライダと、
    前記ヘッドスライダを支持するサスペンションと、
    前記サスペンションの端部を固定し、回動自在なアクチュエータアームと、
    前記サスペンション及び前記アクチュエータアーム上の絶縁された導電線を通じて、前記磁気抵抗効果素子に電気的に接続され、媒体に記録された情報を読み取るための電気信号を検出する回路と、を備える情報記憶装置であって、
    前記トンネル磁気抵抗効果素子は、
    トンネルバリア層と、該トンネルバリア層を挟む配置に設けられた磁化固定層と磁化自由層とを備え、
    前記トンネルバリア層が、MgZnO層(Zn濃度が1at.%以上、12.5at.%以下)からなり、該MgZnO層が岩塩型(001)方向に結晶配向して形成されている情報記憶装置。
JP2008280787A 2008-10-31 2008-10-31 トンネル磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗デバイス Withdrawn JP2010109208A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013045800A (ja) * 2011-08-22 2013-03-04 Hitachi Ltd トンネル磁気抵抗効果素子、非局所スピン注入素子、及びそれを用いた磁気ヘッド
US8803267B2 (en) 2012-03-21 2014-08-12 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetoresistive element and magnetoresistive memory
US8982614B2 (en) 2013-03-22 2015-03-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetoresistive effect element and manufacturing method thereof
US9070866B2 (en) 2013-03-22 2015-06-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetoresistive effect element and manufacturing method thereof
US9437810B2 (en) 2013-03-14 2016-09-06 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetoresistive element and magnetic memory
JP2018006723A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 中国科学院物理研究所 高い出力電力を有するスピントルク発振器及びその応用

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