JP2010108582A - 垂直磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性粒を分離する酸化物の膜を積層して膜厚を増加しても、酸化物の径の増大を抑制でき、磁性粒の粒径分散を改善すること。
【解決手段】基体10上に少なくとも磁性層の磁性結晶粒子の分離性の制御層として、グラニュラー構造を有する非磁性材料の分離制御層15、グラニュラー構造を有する磁性材料の結晶配向制御層16、磁性層17を順に備え、磁性層17は分離制御層15から柱状に連続して成長した磁性粒の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を有し、結晶配向制御層16の酸化物のモル分率が、分離制御層15及び磁性層17の酸化物のモル分率よりも少ない磁気記録媒体である。
【選択図】図2

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関する。
近年ネットワークの普及、情報量の増大に伴い、膨大な量の情報の記録が必要となってきている。情報の記録装置としてHDD(ハードディスクドライブ)は、パーソナルコンピュータ、家電製品、通信機器、携帯音楽機器、その他にもさまざまな分野において幅広く用いられており、記録密度の向上が必要とされている。HDDの中核部品である記録媒体の開発において、これまでLMR(面内磁気記録方式)媒体からPMR(垂直磁気記録方式)媒体へと大きな技術の変化があり、それに伴い記録密度の増加も大きく変化してきている。現在では、垂直磁気記録媒体での更なる高記録密度化が求められている。
垂直磁気記録方式において用いられる垂直磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、磁気記録層としてCoCrPt−SiOを用いる垂直磁気記録媒体や、CGC媒体が提案されている。これらの垂直磁気記録媒体において、記録密度を向上させるためには、磁気記録層の磁化遷移領域ノイズの低減(S/N比の向上)が必要になる。そのためには、磁気記録層の磁性結晶粒子の粒分離及び微細化の向上が必要となる。垂直磁気記録媒体の磁気記録層は、グラニュラー構造からなっており、磁性粒のため、磁気記録層に用いられる材料には酸化物が含まれている。この酸化物により磁性粒の分離をさせている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−024346号公報
ところが、磁性粒の分離をする酸化物は、同程度のモル分率の酸化物の膜を積層し、膜厚を増加していくと酸化物の径が大きくなり(磁性粒は小さくなる)、粒径の制御が難しく、粒径分散を悪化させてしまうという欠点があった。
図8(a),(b)は磁性粒の分離をするための酸化物膜を積層して膜厚を増加した結果、酸化物の径が大きくなり、粒径分散が悪化した状態を示す図である。図8(a)に示すように同程度のモル分率の酸化物の膜を積層すると、積層数が増加するのに従い酸化物の径が大きくなっている。その結果、図8(b)に示すように、磁性粒の粒径が不均一になっている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、磁性粒を分離する酸化物の膜を積層して膜厚を増加しても、酸化物の径の増大を抑制でき、磁性粒の粒径分散が改善された垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
磁性粒を分離する酸化物の膜を積層して膜厚を増加する際に、少ないモル分率の酸化物層を間に挟むことで、酸化物の径の広がりを抑えることができ、磁性粒の粒径を制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の垂直磁気記録媒体は、基板上に少なくともグラニュラー構造を有する非磁性材料の分離制御層、グラニュラー構造を有する磁性材料の結晶配向制御層、磁性層を順に備え、前記磁性層は前記分離制御層から柱状に連続して成長した磁性粒の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を有し、前記結晶配向制御層の酸化物のモル分率が、前記分離制御層及び前記磁性層の酸化物のモル分率よりも少ないことを特徴とする。前記分離制御層及び結晶配向制御層はグラニュラー構造を有する磁性層の磁性結晶粒子の分離性を制御するための層である。
本発明によれば、結晶配向制御層の酸化物のモル分率が分離制御層及び磁性層の酸化物のモル分率よりも少ないので、積層して膜厚を増加した際の酸化物の径の広がりを抑制することができる。
上記垂直磁気記録媒体において、前記分離制御層及び結晶配向制御層の膜厚を、磁性層に比べ薄くすることが望ましい。分離制御層が厚いと、軟磁性層と磁気ヘッドとの距離が遠くなることにより書き込みにくくなるため、トラック幅が狭くなってしまう。結晶配向制御層が厚いとノイズが増加してしまい、S/N比が悪化してしまう。
また上記垂直磁気記録媒体において、前記磁性層に対して、前記結晶配向制御層の酸化物の割合(%)を25.5%から85.2%にすることが望ましい。また、前記磁性層に対して、前記分離制御層の酸化物の割合(%)を29.7%から99.5%にすることが望ましい。酸化物の割合(%)をこの範囲に抑えることで、良好なS/N比を実現できる。
本発明によれば、磁性粒を分離する酸化物の膜を積層して膜厚を増加しても、酸化物の径の増大を抑制でき、磁性粒の粒径分散が改善された垂直磁気記録媒体を提供できる。
本実施の形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 酸化物が大きく広がる場合と酸化物の径の広がりが抑制される場合とを示す概念図である。 本実施の形態において磁性層の磁性粒が制御された粒径の分散状態を示す概念図である。 実施例1及び比較例1におけるトラック幅とS/N比の関係を示す図である。 結晶配向制御層/磁性層の酸化物の割合(%)と、S/N比との関係を示す図である。 結晶配向制御層/分離制御層の酸化物の割合(%)と、S/N比との関係を示す図である。 実施例1及び比較例4におけるトラック幅とS/N比の関係を示す図である。 酸化物の径が大きくなり、粒径分散が悪化した状態を示す図である。
以下、本発明にかかる垂直磁気記録媒体の製造方法の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。
図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体10、付着層11、軟磁性層12、シード層13、下地層14、分離制御層15、結晶配向制御層16、磁性層17、連続層18、媒体保護層19、潤滑層20で構成されている。
以下に説明するように、本実施の形態に示す垂直磁気記録媒体100は、結晶配向制御層16の酸化物のモル分率を、結晶配向制御層16の上下に形成される分離制御層15及び磁性層17の酸化物のモル分率よりも少なくして、磁性粒の周囲に偏析させる非磁性物質を抑制している。
最初に、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成した。そして、このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性ディスク基体10である基板を得る。
次に、基板上に、DCマグネトロンスパッタリングで順次、付着層11、軟磁性層12、シード層13、下地層14、分離制御層15、結晶配向制御層16、磁性層17、及び連続層18の成膜を行った。
付着層11は、10nmのTi合金層となるように、Ti合金ターゲットを用いて成膜した。付着層11を形成することにより、ディスク基体10と軟磁性層12との間の付着性を向上させることができるので、軟磁性層12の剥離を防止することができる。付着層11の材料としては、例えばCrTi合金を用いることができる。
軟磁性層12は、第1軟磁性層と第2軟磁性層の間に非磁性のスペーサ層を介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成した。これにより軟磁性層12の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層12から生じるノイズを低減することができる。
シード層13は、軟磁性層12を防護する作用と、下地層14の結晶粒の配向の整列を促進する作用を備えるシード層13の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nbから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Ta、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばNiW、CuW、CuCrを好適に選択することができる。
下地層14はhcp構造であって、磁性層17のhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させることができる。したがって、下地層14の結晶配向性が高いほど、磁性層17の配向性を向上させることができる。下地層の材質としては、Ruの他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、Coを主成分とする磁気記録層を良好に配向させることができる。
本実施の形態において下地層14は、Ruからなる2層構造となっている。上層側の下地層を形成する際に、下層側の下地層を形成するときよりもArのガス圧を高くしている。ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの自由移動距離が短くなるため、成膜速度が遅くなり、結晶配向性を改善することができる。また高圧にすることにより、結晶格子の大きさが小さくなる。Ruの結晶格子の大きさはCoの結晶格子よりも大きいため、Ruの結晶格子を小さくすればCoのそれに近づき、Coのグラニュラー層の結晶配向性をさらに向上させることができる。
分離制御層としては、磁性層と同様の結晶構造をもつ非磁性材料を用いることにより、磁性層のエピタキシャル成長を助けることができる。例えば、磁性層がCo系合金材料からなる場合は、非磁性のhcp結晶構造をもつ材料、例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系等を用いる。
分離制御層15は非磁性のグラニュラー構造を有する。下地層14のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に結晶配向制御層16のグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。分離制御層15の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラー構造とすることができる。特にCoCr−SiO、CoCrRu−TiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(CrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
結晶配向制御層16は磁性を持ったグラニュラー構造を有する。結晶配向制御層16の酸化物のモル分率は分離制御層15及び磁性層17の酸化物のモル分率に比べ少ない値に設定する。分離制御層15から成長させたグラニュラー構造の上に磁性層17のグラニュラー層を成長させる。なお、磁性層17に対しては、結晶配向制御層16の酸化物の割合を25.5%から85.2%にすることが好ましい。より好ましくは、32.1%から82.1%である。なおこの割合の値は、結晶配向制御層のモル分率/磁性層のモル分率(%)により計算される。また、分離制御層15に対しては、結晶配向制御層16の酸化物の割合を29.7%から99.5%にすることが好ましい。より好ましくは37.5%から95.8%である。なおこの割合の値は、結晶配向制御層のモル分率/分離制御層のモル分率(%)により計算される。
磁性層17は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラー構造を有している。この磁性粒は、分離制御層15および結晶配向制御層16を設けることにより、そのグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁性層17は単層でもよいが、組成および膜厚の異なる第1磁気記録層と第2磁気記録層とから構成されても良い。非磁性物質としてはSiO、Cr、TiO、B、Fe等の酸化物や、BN等の窒化物、B等の炭化物を好適に用いることができる。
ここで、分離制御層15、結晶配向制御層16、磁性層17からなる膜積層構造において、中間に挟まれる結晶配向制御層16の酸化物のモル分率を少なくとも磁性層17の酸化物のモル分率、好ましくは上下の分離制御層15及び磁性層17の酸化物のモル分率よりも小さくすることによる、膜積層構造内をエピタキシャル成長する磁性粒の粒径に与える作用について説明する。ここでは、結晶配向制御層16の酸化物のモル分率を、上下の分離制御層15及び磁性層17の酸化物のモル分率よりも小さくする場合について説明する。
図2に示すように、各層の酸化物は酸化物の部分に堆積していく。酸化物のモル分率に差がないと、酸化物は点線で示すように大きく広がってしまって磁性層17では酸化物の径がW1となる。一方、相対的に酸化物のモル分率の少ない層(結晶配向制御層16)を中間に挟むことによって、実線で示すように広がり、酸化物の径の広がり磁性層17では酸化物の径がW2となる。すなわち、酸化物のモル分率の少ない層を間に挟むことによって酸化物の径の広がりを抑制する作用がある。その結果、図3(a),(b)に示すように、磁性層17において磁性粒の制御がされ、粒径の分散も良くなる。
連続層18はグラニュラー構造を有する磁性層17の上に、磁気的に連続した層である。連続層18は必ずしも必要ではないが、これを設けることにより磁性層17の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、逆磁区核形成磁界Hnの向上、耐熱揺らぎ特性の改善、オーバーライト特性の改善を図ることができる。
なお、連続層18として、単一の層ではなく、高い垂直磁気異方性かつ高い飽和磁化MSを示す薄膜を形成するMulti Cap構造としてもよい。なおMulti Cap構造は、グラニュラー構造を有する磁気記録層と、PdやPtなどの非磁性物質からなる薄膜のカップリング制御層と、CoBとPdとの薄膜を積層した交互積層膜からなる交換エネルギー制御層とから構成することができる。
媒体保護層19は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層19は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録層を防護するための保護層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録層を防護することができる。
潤滑層20は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層19表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層20の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層19の損傷や欠損を防止することができる。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができる。以下に、実施例と比較例を用いて本発明の有効性について説明する。
(実施例1)
アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成した。そして、このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性ディスク基体である基板を得た。基板の直径は、65mm、内径は20mm、ディスク厚は0.635mmの2.5インチ型磁気ディスク用基板である。得られた基板の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、Rmaxが2.18nm、Raが0.18nmの平滑な表面であることを確認した。尚、Rmax及びRaは、日本工業規格(JIS)に従う。
次に、基板上に、DCマグネトロンスパッタリングで順次、付着層11、軟磁性層12、シード層13、下地層14、分離制御層15、結晶配向制御層16、磁性層17、及び連続層18の成膜を行った。
まず、付着層11として、10nmの55Cr−45Ti層を成膜した。次に、軟磁性層12として、非磁性層を挟んで反強磁性交換結合する2層の軟磁性材料の層の積層膜を成膜した。軟磁性層の成膜においては、最初に、1層目の軟磁性材料の層として、24nmのアモルファス92(40Fe−60Co)−3Ta−5Zr層を成膜した。次に、非磁性層として、2nmのRu層を成膜した。そして、2層目の軟磁性材料の層として、1層目の軟磁性材料の層と同様にして、22.5nmのアモルファス92(40Fe−60Co)−3Ta−5Zr層を成膜した。
続いて、軟磁性層12上に、シード層13として、6nmの95Ni−5W層を成膜した。
次に、下地層14として、2層のRu層を成膜した。それぞれのRu層の膜厚は、8nm,6nmとした。下層側のRu層の成膜時におけるスパッタリングガスのガス圧は、上層側のRu層の成膜時におけるスパッタリングガスのガス圧よりも小さくした。
次に、分離制御層15として、2nmの88(70Co−20Cr−10Ru)−12TiO層(酸化物のモル%=12%)を成膜した。また、結晶配向制御層16として、2.5nmの95(70Co−12Cr−18Pt)−5Cr層(酸化物のモル%=5%)を成膜した。
また、磁性層17として、87(69Co−13Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−3Cr層(酸化物のモル%=13%)からなる硬磁性体のターゲットを用いて、7.5nmのCoCrPt−SiO−TiO−Cr層を成膜した。次に非磁性層を挟んで連続層18として、7nmの95(67Co−18Cr−15Pt)−5B膜を成膜した。
そして、連続層18の成膜に続いて、CVD法により、炭化水素(水素化カーボン)からなる媒体保護層19を成膜した。媒体保護層19の膜厚は、5nmとした。そして、この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層20を、ディップコート法により形成した。潤滑層20の膜厚は1nmとした。以上のようにして、実施例1に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(実施例2)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに95.5(64Co−18Cr−18Pt)−2SiO−2TiO−0.5Cr層(酸化物のモル%=4.5%)を使用する以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(実施例3)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに94(64Co−18Cr−18Pt)−2.5SiO−2.5TiO−1Cr層(酸化物のモル%=6%)を使用する以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(実施例4)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに92(64Co−18Cr−18Pt)−3SiO−3TiO−2Cr層(酸化物のモル%=8%)を使用する以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(実施例5)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに91(64Co−18Cr−18Pt)−3.5SiO−3.5TiO−2Cr層(酸化物のモル%=9%)を使用する以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(実施例6)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに88.5(64Co−18Cr−18Pt)−4.5SiO−4.5TiO−2.5Cr層(酸化物のモル%=11.5%)を使用する以外は実施例1と同様にして、実施例6に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(比較例1)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに86(64Co−18Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)を使用する以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る垂直磁気記録媒体を作成した。すなわち、比較例1では中間に挟まれる結晶配向制御層の酸化物のモル分率を磁性層と同じ量にした。
(比較例2)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに96.5(64Co−18Cr−18Pt)−1.5SiO−1.5TiO−0.5Cr層(酸化物のモル%=3.5%)を使用する以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(比較例3)
磁性層の成膜時のターゲットに86(72Co−10Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−4Cr層(酸化物のモル%=14%)と、結晶配向制御層の成膜時のターゲットに88(64Co−18Cr−18Pt)−5SiO−5TiO−2Cr層(酸化物のモル%=12%)を使用する以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(比較例4)
分離制御層及び結晶配向制御層の成膜時の膜厚を、どちらも8nmにする以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る垂直磁気記録媒体を作成した。
(評価)
実施例及び比較例に係る垂直磁気記録媒体に対し、トラック幅を変えながら記録再生特性の評価を行うことにより、トラック幅とS/N比(Signal/Noise Ratio)との関係を測定した。尚、記録再生特性の評価は、R/Wアナライザーと、垂直磁気記録方式用磁気ヘッドとを用いて行った。この磁気ヘッドとしては、記録側にSPT素子、再生側にGMR素子を備える磁気ヘッドを用いた。また、磁気ヘッドの浮上量は10nmとした。
図4は、実施例1及び比較例1におけるトラック幅とS/N比の関係を示すグラフである。グラフにおいて、横軸(MWw−LFnm)はトラック幅を示す。また、縦軸(SNm MF/MFdB)はS/N比を示す。白三角マークが中間層の酸化物のモル分率を少なくした実施例1であり、黒三角マークが比較例1である。S/N比は、値が大きく、グラフの上方にあるほどノイズが少ないことが示す。比較例1(結晶配向制御層の酸化物のモル分率が多い)と比べて実施例1(結晶配向制御層の酸化物のモル分率が少ない)のS/N比が良好であることが確認できた。また、酸化物のモル分率の差によって、垂直磁気記録媒体の記録密度を向上させ得ることが確認できた。これは初期成長部分である結晶配向制御層16の酸化物のモル分率の差により、磁性層17の磁性粒の制御が向上し、粒径分散が改善されたためと考えられる。
図5は結晶配向制御層/磁性層の酸化物の割合(%)と、S/N比との関係を示している。比較例2では結晶配向制御層16の酸化物のモル分率は、磁性層17のモル分率の25%程度である。酸化物のモル分率の差があまり大きいと、下の層との繋がりが上手くいかず、磁性粒を分離出来なくなりS/N比が悪化することが考えられる。酸化物のモル分率の差がこれより小さくなると、60%程度にピークを持ち、S/N比が悪化することが分かる。S/N比との関係から結晶配向制御層/磁性層の酸化物の割合が25.5%から85.2%の範囲が望ましい範囲であると考えられる。
図6は結晶配向制御層/分離制御層の酸化物の割合(%)と、S/N比との関係を示している。比較例2では結晶配向制御層16の酸化物のモル分率は、分離制御層15のモル分率の29.2%である。酸化物のモル分率の差があまり大きいと、下の層との繋がりが上手くいかず、磁性粒を分離出来なくなりS/N比が悪化することが考えられる。酸化物のモル分率の差がこれより小さくなると、70%程度にピークを持ち、S/N比が悪化することが分かる。S/N比との関係から結晶配向制御層/磁性層の酸化物の割合が29.7%から99.5%の範囲が望ましい範囲であると考えられる。
図7は、実施例1及び比較例4におけるトラック幅とS/N比の関係を示すグラフである。グラフにおいて、横軸(MWw−LFnm)はトラック幅を示す。また、縦軸(SNm MF/MFdB)はS/N比を示す。白三角マークが分離制御層及び結晶配向制御層の膜厚が磁性層より薄くした実施例1であり、黒三角マークが比較例4である。S/N比は、値が大きく、グラフの上方にあるほどノイズが少ないことが示す。比較例4(分離制御層及び結晶配向制御層の膜厚が磁性層より厚い)と比べて実施例1(分離制御層及び結晶配向制御層の膜厚が磁性層より薄い)のS/N比が良好であることが確認できた。また、トラック幅は実施例1の方が広くなっている。これは分離制御層が厚いことにより、軟磁性層と磁気ヘッドとの距離が遠くなるため書き込みにくくなった。それにより、トラック幅が狭くなったと考えられる。また、結晶配向制御層が厚いことにより、ノイズが増加してしまい、S/N比が悪化してしまったためと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係
る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載され
た範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それら
についても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用可能である。
10 ディスク基体
11 付着層
12 軟磁性層
13 シード層
14 下地層
15 分離制御層
16 結晶配向制御層
17 磁性層
18 連続層
19 媒体保護層
20 潤滑層
100 垂直磁気記録媒体

Claims (5)

  1. 基板上に少なくとも磁性層の磁性結晶粒子の分離性の制御層として、グラニュラー構造を有する非磁性材料の分離制御層、グラニュラー構造を有する磁性材料の結晶配向制御層を有し、前記結晶配向制御層上に磁性層を順に備え、前記磁性層は前記分離制御層から柱状に連続して成長した磁性粒の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を有し、
    前記結晶配向制御層の酸化物のモル分率が、前記分離制御層及び前記磁性層の酸化物のモル分率よりも少ないことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記分離制御層及び結晶配向制御層は、グラニュラー構造を有する磁性層の磁性結晶粒子の分離性を制御するための層であり、前記磁性層に比べ膜厚が薄いことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記磁性層に対して、前記結晶配向制御層の酸化物の割合(%)が、25.5%から85.2%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記分離制御層に対して、前記結晶配向制御層の酸化物の割合(%)が、29.7%から99.5%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 基板上に少なくとも磁性層の磁性結晶粒子の分離性の制御層として、グラニュラー構造を有する非磁性材料の分離制御層、グラニュラー構造を有する磁性材料の結晶配向制御層、磁性層をこの順に積層して、前記磁性層に前記分離制御層から柱状に連続して成長した磁性粒の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を持たせる垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記結晶配向制御層の酸化物のモル分率が、前記分離制御層及び前記磁性層の酸化物のモル分率よりも少ないことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
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