JP2010108251A - 無線タグ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アディティブ法による製造に適した無線タグ及び無線タグの製造方法を提供する。
【解決手段】<1>絶縁ベースフィルムとアンテナとを有し、該絶縁ベースフィルムが以下の(BF1)又は(BF2)であることを特徴とする無線タグ。
(BF1)溶剤可溶性の液晶ポリエステルからなる液晶ポリエステルフィルム
(BF2)溶剤可溶性の液晶ポリエステルと、有機繊維及び/又は無機繊維からなるシートとから形成されたプレプリグ
<2>溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて絶縁ベースフィルムを形成する工程を有することを特徴とする無線タグの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、無線タグ及びその製造方法に関するものである。
非接触にて情報の授受、書き込み、書き換え、消去などが可能である受無線タグ(以下、場合により「無線タグ」という)は、絶縁性プラスチックからなる絶縁ベースフィルムにアンテナを形成して製造される。このような絶縁性プラスチックとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が使用されている(特許文献1参照)。
ところで、絶縁ベースフィルム上にアンテナを形成する方法としては、これまでサブトラクティブ方法が主として用いられてきたが、近年、コストの問題や環境的な見地から、サブトラクティブ方法に替わって、アディティブ法が注目されている。このアディティブ法とは、導電ペーストを用いて、絶縁ベースフィルム上にアンテナを印刷する方法であり、アンテナ形成に必要な分量だけ導電ペーストを絶縁ベースフィルムの上に印刷すれば良く、サブトラクティブ法に比して材料に無駄が少なく、また廃液も出ないという利点を有している。
特開2005−124025号公報
しかしながら、特許文献1の無線タグにおいて絶縁ベースフィルムとして使用されているポリエチレンテレフタレートフィルムは耐熱性が不十分であり、アディティブ法における高温下での熱処理で劣化し易く、絶縁性が低下するというおそれがあった。
そこで、本発明の目的は上記事情に鑑み、アディティブ法による無線タグ製造に対しても実用的に十分な耐熱性を備えた絶縁ベースフィルムを有する無線タグを提供することにある。
本発明は、以下の<1>に示す無線タグを提供する。
<1>絶縁ベースフィルムとアンテナとを有し、該絶縁ベースフィルムが以下の(BF1)又は(BF2)である無線タグ
(BF1)溶剤可溶性の液晶ポリエステルからなる液晶ポリエステルフィルム
(BF2)溶剤可溶性の液晶ポリエステルと、有機繊維及び/又は無機繊維からなるシートとから形成されたプレプリグ
さらに本発明は、前記<1>に係る好適な実施態様として、以下の<2>〜<4>を提供する。
<2>前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)で表される構造単位と、式(2)で表される構造単位と、式(3)で表される構造単位とを有し、全構造単位の合計に対して式(1)で表される構造単位が30.0〜45.0モル%、式(2)で表される構造単位が27.5〜35.0モル%、式(3)で表される構造単位が27.5〜35.0モル%からなる液晶ポリエステルである、<1>の無線タグ;
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
<3>前記式(3)のX及びYのうち、少なくとも一方がNHである、<2>の無線タグ;
<4>前記液晶ポリエステルが、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計が30.0〜45.0モル%、4−アミノフェノールに由来する構造単位が27.5〜35.0モル%、テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位及び2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位の合計が27.5〜35.0モル%からなる液晶ポリエステルである、<1>〜<3>の何れかの無線タグ;
<5>前記アンテナが導電ペーストを、前記絶縁ベースフィルムに印刷して形成されたものである、<1>〜<4>の何れかの無線タグ;
さらに本発明は前記何れかに記載の無線タグの製造方法として、以下の<6>を提供する。
<6>溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて絶縁ベースフィルムを形成する工程と、得られた絶縁ベースフィルムの上に導電ペーストを印刷してアンテナを形成する工程と、を有する、無線タグの製造方法
本発明によれば、アディティブ法製造によっても絶縁ベースフィルムの絶縁性が十分維持される無線タグが提供される。
本発明の無線タグは、絶縁ベースフィルムとアンテナを有する無線タグであって、該絶縁ベースフィルムが溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて形成された前記フィルム又は前記プリプレグからなることを特徴とする。
以下、本発明の無線タグに関し、好適な液晶ポリエステル、当該液晶ポリエステルを用いてなるフィルム又はプリプレグ、当該フィルム又は当該プリプレグを用いる無線タグの製造方法に関し、順次説明する。
<液晶ポリエステル>
本発明に用いる液晶ポリエステルとは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するという特性を有するポリエステルである。本発明に使用する液晶ポリエステルとしては、下記式(1)で表される構造単位(以下、「式(1)構造単位」という)と、下記式(2)で表される構造単位(以下、「式(2)構造単位」という)と、下記式(3)で表される構造単位(以下、「式(3)構造単位」という)とを有し、全構造単位の合計に対して、式(1)構造単位を30.0〜45.0モル%、式(2)構造単位を27.5〜35.0モル%、式(3)構造単位を27.5〜35.0モル%からなるものが好ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
式(1)構造単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位であり、該芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸等が挙げられる。
式(2)構造単位は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位であり、該芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。
式(3)構造単位は、芳香族ジオール、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族ジアミンに由来する構造単位である。該芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
また、該フェノール性水酸基を有する芳香族アミンとしては、p−アミノフェノール、3−アミノフェノール等が挙げられ、該芳香族ジアミンとしては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは溶剤可溶性であり、かかる溶剤可溶性とは、温度50℃において、1重量%以上の濃度で溶剤に溶解することを意味する。この場合の溶剤とは、後述する溶液組成物の調製に用いる好適な溶剤の何れか1種であり、詳細は後述する。
このような溶剤可溶性を有する液晶ポリエステルとしては、前記式(3)構造単位として、フェノール性水酸基を有する芳香族アミンに由来する構造単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する構造単位を含むものが好ましい。すなわち、式(3)構造単位として、X及びYの少なくとも一方がNHである構造単位(式(3’)で表される構造単位、以下、「式(3’)構造単位」という)を含むと、後述する好適な溶剤(非プロトン性極性溶剤)に対する溶剤可溶性が優れる傾向があるため好ましい。特に、実質的に全ての式(3)構造単位が式(3’)構造単位であることが好ましい。また、この式(3’)構造単位は液晶ポリエステルの溶剤溶解性を十分にすることに加え、液晶ポリエステルがより低吸水性となる点でも有利である。
(3’)−X−Ar3−NH−
(式中、Ar3及びXは前記式(3)と同義である。)
式(3)構造単位は全構造単位の合計に対して、30.0〜32.5モル%の範囲で含むとより好ましく、こうすることにより、溶剤可溶性は一層良好になる。このように式(3’)構造単位を、式(3)構造単位として有する液晶ポリエステルは、溶剤に対する溶解性がより良好になり、低吸水性に優れた液晶ポリエステルフィルムが得られるという利点もある。
式(1)構造単位は全構造単位の合計に対して、30.0〜45.0モル%の範囲で含むと好ましく、35.0〜40.0モル%の範囲で含むとより好ましい。このようなモル分率で式(1)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶剤に対する溶解性がより優れる傾向にある。さらに、式(1)構造単位を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸の入手性も合わせて考慮すると、該芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が好適である。
式(2)構造単位は全構造単位の合計に対して、27.5〜35.0モル%の範囲で含むと好ましく、30.0〜32.5モル%の範囲で含むとより好ましい。このようなモル分率で式(2)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶剤に対する溶解性がより優れる傾向にある。さらに、式(2)構造単位を誘導する芳香族ジカルボン酸の入手性も合わせて考慮すると、該芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくも1種であると好ましい。
また、得られる液晶エステルがより高度の液晶性を発現する点では、式(2)構造単位と式(3)構造単位とのモル分率は、[式(2)構造単位]/[式(3)構造単位]で表して、0.9/1.0〜1.0/0.9の範囲が好適である。
次に液晶ポリエステルの製造方法について簡単に説明する。
該液晶ポリエステルは、種々公知の方法により製造可能である。好適な液晶ポリエステルである、式(1)構造単位、式(2)構造単位及び式(3)構造単位からなる液晶ポリエステルを製造する場合、これら構造単位を誘導するモノマーを、エステル形成性・アミド形成性誘導体に転換した後、重合させて液晶ポリエステルを製造する方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記エステル形成性・アミド形成性誘導体について、例を挙げて説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジカルボン酸のような、カルボキシル基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、当該カルボキシル基が、ポリエステルやポリアミドを生成する反応を促進するように、酸塩化物、酸無水物等の反応活性の高い基になっているものや、当該カルボキシル基が、エステル交換・アミド交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するようにアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているもの等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジオール等のような、フェノール性水酸基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、エステル交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているもの等が挙げられる。
また、芳香族ジアミンのように、アミノ基を有するモノマーのアミド形成性誘導体としては、例えば、アミド交換反応によりポリアミドを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているもの等が挙げられる。
これらの中でも液晶ポリエステルをより簡便に製造するうえでは、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジオール、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンといったフェノール性水酸基及び/又はアミノ基を有するモノマーとを、脂肪酸無水物でアシル化してエステル形成性・アミド形成性誘導体(アシル化物)とした後、該アシル化物のアシル基と、カルボキシ基を有するモノマーのカルボキシ基とがエステル交換・アミド交換を生じるようにして重合させ、液晶ポリエステルを製造する方法が特に好ましい。
このような液晶ポリエステルの製造方法は、例えば、特開2002−220444号公報又は特開2002−146003号公報に記載されている。
アシル化においては、フェノール性水酸基とアミノ基との合計に対して、脂肪酸無水物の添加量が1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、1.05〜1.1倍当量であるとより好ましい。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、重合時にアシル化物や原料モノマーが昇華して反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化に使用される脂肪酸無水物は、価格と取扱性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸又はこれらから選ばれる2種以上の混合物が好ましく、特に好ましくは、無水酢酸である。
アシル化に続く重合は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい。
また、重合においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
アシル化及び/又は重合の際には、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸や未反応の脂肪酸無水物は蒸発させる等して系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化や重合においては触媒の存在下に行ってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾール等の有機化合物触媒を挙げることができる。
これらの触媒の中でも、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾール等の窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
該触媒は、通常モノマーの投入時に一緒に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合には、アシル化からそのまま重合に移行することができる。
このような重合で得られた液晶ポリエステルはそのまま、本発明に用いることができるが、耐熱性や液晶性という特性の更なる向上のためには、より高分子量化させることが好ましく、かかる高分子量化には固相重合を行うことが好ましい。この固相重合に係る一連の操作を説明する。前記の重合で得られた、比較的低分子量の液晶ポリエステルを取り出し、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にする。続いて、粉砕後の液晶ポリエステルを、例えば、窒素等の不活性ガスの雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で加熱処理するという操作により固相重合は実施できる。該固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお、後述する好適な流動開始温度の液晶ポリエステルを得るといった観点から、該固相重合の好適条件を詳述すると、反応温度として210℃を越えることが好ましく、より一層好ましくは220℃〜350℃の範囲である。反応時間は1〜10時間から選択されることが好ましい。
本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、流動開始温度が250℃以上であると、液晶ポリエステルフィルム上に印刷されるアンテナとの間に、より高度の密着性が得られるため好ましい。ここでいう流動開始温度とは、フローテスターによる溶融粘度の評価において、9.8MPaの圧力下で液晶ポリエステルの溶融粘度が4800Pa・s以下になる温度をいう。なお、この流動開始温度とは、液晶ポリエステルの分子量の目安として当業者には周知のものである(小出直之編,「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」,95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行)。
液晶ポリエステルの流動開始温度は、250℃以上330℃以下であることが更に好ましい。流動開始温度が330℃以下であれば、液晶ポリエステルの溶剤に対する溶解性がより良好になることに加え、後述する溶液組成物を得たとき、その粘度が著しく大にならないので、該溶液組成物の取扱性が良好となる傾向がある。かかる観点から、流動開始温度が260℃以上320℃以下の液晶ポリエステルがさらに好ましい。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度をこのような好適な範囲に制御するには、前記固相重合の重合条件を適宜最適化すればよい。
<溶液組成物>
本発明に使用する絶縁ベースフィルムを得るには、液晶ポリエステル及び溶剤を含む溶液組成物、特に溶剤に液晶ポリエステルを溶解せしめた溶液組成物を用いることが好ましい。
本発明に用いる液晶ポリエステルとして、上述の好適な液晶ポリエステル、特に前記式(3’)構造単位を含む液晶ポリエステルを用いた場合、該液晶ポリエステルはハロゲン原子を含まない非プロトン性溶剤に対して十分な溶解性を発現する。
ここでハロゲン原子を含まない非プロトン性溶剤とは、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤;γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系溶剤;アセトニトリル、サクシノニトリル等のニトリル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ系溶剤;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄系溶剤、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン系溶剤が挙げられる。なお、上述の液晶ポリエステルの溶剤可溶性とは、これらから選ばれる少なくとも1つの非プロトン性溶剤に可溶であることを指すものである。
液晶ポリエステルの溶剤可溶性をより一層良好にして、溶液組成物が得られやすい点では、例示した溶剤の中でも、双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性極性溶剤を用いることが好ましい。具体的にいえば、アミド系溶剤、ラクトン系溶剤が好ましく、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)を用いることがより好ましい。更には、前記溶剤が、1気圧における沸点が180℃以下の揮発性の高い溶剤であると、適当な支持基材を用いた溶液キャストにより前記(BF1)を製造したり、後述するシートと該溶液組成物を用いて前記(BF2)を製造したり、する際に、該溶液組成物に使用した溶剤を除去しやすくなるので好ましい。この観点からは、DMF、DMAcが特に好ましい。また、このようなアミド系溶剤の使用は、前記(BF1)又は前記(BF2)により絶縁ベースフィルムを製造した際、得られた絶縁ベースフィルムに厚みムラ等が生じ難くなるため、該絶縁ベースフィルム上にアンテナをより良好に形成し易いという利点もある。
前記溶液組成物に前記非プロトン性溶剤を溶剤として用いる場合、液晶ポリエステルの含有量は、前記(BF1)、前記(BF2)の各々に関し、最適なものを選択することができる。
すなわち、前記(BF1)を製造する場合には、該非プロトン性溶剤100重量部に対して、液晶ポリエステルを0.5〜50重量部、好ましくは5〜30重量部溶解させると好ましい。該溶液組成物に対する液晶ポリエステル含有量がこのような範囲であると、実用的なフィルム厚の(BF1)を製造可能であり、実用的な溶液粘度の溶液組成物となるので、該溶液組成物の取扱性が良好になる傾向がある。
一方、前記(BF2)を製造する場合には、該非プロトン性溶剤100重量部に対して、液晶ポリエステルを20〜50重量部、好ましくは22〜40重量部溶解させると好ましい。該溶液組成物に対する液晶ポリエステル含有量がこのような範囲であると、(BF2)を製造する際には、前記シートに該溶液組成物を含浸させる効率が良好になり、含浸後の溶剤を乾燥除去する際に、厚みムラ等が生じるといった不都合も起こり難い傾向がある。
また、前記溶液組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体に代表されるエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂等、液晶ポリエステル以外の樹脂を一種又は二種以上を添加してもよい。ただし、このような他の樹脂を用いる場合においても、これら他の樹脂も該溶液組成物に使用した溶剤に可溶であることが好ましい。
さらに、該溶液組成物には、寸法安定性、熱電導性、電気特性の改善等を目的として、本発明の効果を損なわない範囲であれば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機フィラー;硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマー等の有機フィラー;シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が、一種又は二種以上添加されていてもよい。
また、該溶液組成物は必要に応じて溶液中に含まれる微細な異物を、フィルター等を用いたろ過処理により除去してもよい。
さらに、該溶液組成物は必要に応じ、脱泡処理を行ってもよい。
<絶縁ベースフィルム>
本発明の無線タグに用いる絶縁ベースフィルムは、上述のとおり(BF1)又は(BF2)からなるものであり、以下(BF1)又は(BF2)の製造方法に関し説明する。
<液晶ポリエステルフィルム(BF1)>
(BF1)の液晶ポリエステルフィルム(以下、「フィルム」と略称することがある)は、前記溶液組成物を用いて溶液キャストでフィルムを製造するのが好ましい。該溶液キャストは、その操作が比較的簡便であるという利点を有する。
以下、溶液キャストによるフィルムの製造方法に関し説明する。まず、比較的平滑な表面を持った支持基材を準備する。該支持基材としては、ガラス板、SUS板、SUS箔等が好ましい。該支持基材に前記溶液組成物を塗工する。かかる塗工の方法としては、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等が適用できる。このようにして、支持基材上に溶液組成物を塗工することにより、該支持基材上に(BF1)の前駆体フィルムが形成される。
次に、前記支持基材上に形成した前駆体フィルムから、該前駆体フィルムに残存している非プロトン性溶剤等の揮発成分を除去する。かかる揮発成分の除去には、加熱、減圧、通風又はこれらを組み合わせた方法が採用できるが、中でも生産効率、取扱性の点から加熱して蒸発せしめることが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発せしめることがより好ましい。加熱により揮発成分を除去する場合、温度80〜200℃において10〜120分間保持すればよい。
揮発成分を除去して得られるフィルムは、液晶ポリエステルの特性をさらに向上させるために、さらに高温下で加熱処理することが好ましい。この場合の加熱処理としては、温度250〜350℃において30〜180分間保持すればよい。なお、かかる加熱処理は窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
このような加熱処理を行った後、支持基材を剥離等によって除去して、(BF1)フィルムは製造される。
<プリプレグ(BF2)>
次に前記溶液組成物と、有機繊維及び/又は無機繊維からなるシートとからプリプレグ(BF2)を製造する方法に関し説明する。
前記シートは、通気性のあるペーパー、織物、不織布シート等であって無機繊維及び/又は炭素繊維からなるものである。ここで、無機繊維としては、ガラスに代表されるセラミック繊維であり、ガラス繊維、アルミナ系繊維、ケイ素含有セラミック系繊維等が挙げられる。これらの中でも、入手性が良好であることから、主としてガラス繊維からなるシート、すなわちガラスクロスが好ましい。
前記ガラスクロスとしては、含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維、低誘電ガラス繊維からなるものが好ましい。また、ガラスクロスを構成する繊維として、その一部にガラス以外のセラミックからなるセラミック繊維又は炭素繊維を混入していてもよい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていてもよい。
これらの繊維からなるガラスクロスを製造する方法としては、ガラスクロスを形成する繊維を水中に分散し、必要に応じてアクリル樹脂等の糊剤を添加して、抄紙機にて抄造後、乾燥させることで不織布を得る方法や、公知の織成機を用いる方法を挙げることができる。
繊維の織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が利用できる。織り密度としては、10〜100本/25mmであり、ガラスクロスの単位面積当たりの質量としては10〜300g/m2のものが好ましく使用される。前記ガラスクロスの厚みとしては、通常、10〜200μm程度であり、10〜180μmのものがさらに好ましく使用される。
また、市場から容易に入手できるガラスクロスを用いることも可能である。このようなガラスクロスとしては、電子部品の絶縁含浸基材として種々のものが市販されており、旭シュエーベル(株)、日東紡績(株)、有沢製作所(株)等から入手することができる。なお、市販のガラスクロスにおいて、好適な厚みのものは、IPC呼称で1035、1078、2116、7628のものが挙げられる。
プリプレグ(BF2)は、前記溶液組成物と前記シート(好ましくはガラスクロス)とから形成された樹脂含浸基材を用いて製造されたものであると好ましく、該溶液組成物を該シートに含浸させ溶剤を乾燥除去させることで得られる樹脂含浸基材が特に好ましい。溶剤除去後の樹脂含浸基材に対する液晶ポリエステル付着量としては、得られた樹脂含浸基材の重量を基にして、25〜75重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがより好ましい。
ここでは、シートとして好適なガラスクロスを用いた場合の(BF2)の製造方法を説明する。
ガラスクロスに溶液組成物を含浸させるには、典型的には該溶液組成物を仕込んだ浸漬槽を準備し、この浸漬層に該ガラスクロスを浸漬することで実施することができる。ここで、用いた溶液組成物の液晶ポリエステル含有量、浸漬槽に浸漬する時間、溶液組成物が含浸されたガラスクロスを引き上げる速度を、適宜最適化すれば、上述の好適な液晶ポリエステル付着量は容易に制御することができる。
このようにして、溶液組成物を含浸させたガラスクロスは、溶剤を除去することで樹脂含浸基材を製造することができる。溶剤を除去する方法は特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶剤の蒸発により行うことが好ましく、加熱、減圧、通風又はこれらを組み合わせた方法が用いられる。また、樹脂含浸基材の製造には、溶剤を除去した後、さらに加熱処理を行ってもよい。このような加熱処理によると、溶剤除去後の樹脂含浸基材に含まれる液晶ポリエステルをさらに高分子量化することができる。この加熱処理に係る処理条件としては、例えば、窒素等の不活性ガスの雰囲気下、240〜330℃で、1〜30時間加熱処理するといった方法を挙げることができる。なお、より良好な絶縁ベースフィルムとするといった観点からは、該加熱処理の処理条件としては、その加熱温度が250℃を越えるようにすることが好ましく、より一層好ましくは加熱温度が260〜320℃の範囲である。該加熱処理の処理時間は1〜10時間から選択されることが、生産性の点で好ましい。
こうすることにより前記シートとしてガラスクロスを用いたプリプレグ(BF2)が製造される。
<絶縁ベースフィルム>
(BF1)又は(BF2)である絶縁ベースフィルムの厚みには特に制限はないが、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜250μm、更に好ましくは15〜50μmである。この厚みが5μm以上であれば、機械的強度が充分でにあり、500μm以下であれば、剛度が低く、得られる無線タグを物品へ貼着する際に扱いやすい傾向がある。
なお、かかる絶縁ベースフィルムは、当該フィルムに含有される液晶ポリエステルの特性を著しく損なわない範囲であれば、その表面にあらかじめ表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、スパッタリング処理、溶剤処理、紫外線処理、研磨処理、赤外線処理、オゾン処理などが挙げられる。
<無線タグ及びその製造方法>
かくして得られた絶縁ベースフィルム[(BF1)又は(BF2)]の上にアンテナ()を形成する方法としては、前記背景技術で記したようにアディティブ法を使用するものであり、導電ペーストを絶縁ベースフィルムに印刷してアンテナは形成される。
このような導電ペーストは、前記特許文献1で開示されているようなものを用いることができる。かかる公報に記載された導電ペーストに関し説明する。
前記導電ペーストは、平均粒径が1〜100nmの導電粒子を含むことが好ましい。この導電粒子としては、銀、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、亜鉛、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、スズ、ガリウム、インジウム等の酸化物またはそれらの混合物が挙げられるが、特に導電性と経済性の観点から、銀、銅、アルミニウムを主体とするものが好ましい。還元反応を速めるために、導電ペーストは適当な還元剤を含有していてもよい。
さらに、導電性を高める観点から、有機銀などの有機金属タイプのものも使用可能である。これは、有機銀が150℃以上の温度で分解し銀だけが残り、その銀同士が融着して導電性に優れた銀に近づくためである。
また、前記絶縁ベースフィルムへの密着力を高めるために、必要に応じて導電ペーストにバインダ樹脂を混合させることができる。
導電ペーストに含まれるバインダ樹脂としては公知のものが使用可能であり、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂などの架橋性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ4フッ化エチレン、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、一種または二種以上の組み合わせも可能である。架橋性樹脂を用いる場合は、公知の硬化剤、硬化触媒を用いることができる。
ただし、アンテナに、より優れた導電性を求めるためには、かかるバインダ樹脂の使用量は少ないほど好ましく、導電ペーストにバインダ樹脂を使用しないことがより好ましい。
導電ペーストには溶剤を加えてもよく、公知のものが使用可能である。但し、アンテナ形成後に、該アンテナに溶剤が残存するのを避けるため、導電ペーストに使用される溶剤は沸点250℃以下のものが好ましい。この溶剤は、一種または二種以上の組み合わせが使用可能である。
本発明に使用する導電ペーストの作製方法は、導電粒子、溶剤及び必要に応じて使用されるバインダ樹脂等の混合物を、ホモジナイザー等の攪拌機で均質に攪拌混合した後、三本ロールあるいはニーダーなどの混練機でさらに均質に分散する方法が挙げられる。このようにして得られる導電ペーストの粘度は、塗布性及び塗布後の印刷厚みを適当なものとするためには1000〜100万mPa・s(cpoise)が好ましく、より好ましくは1万〜50万mPa・sである。さらに、導電性及び絶縁ベースフィルムとの密着性、経済性の観点から、導電粒子の平均粒径は単分散性の1〜100nmが好ましく、単分散性の2〜10nmが特に好ましい。
以上、特許文献1に記載されている導電ペーストに関し説明したが、もちろん、当該導電ペーストとしては市販されている銀ペーストを使用することも可能である。このような市販品としては例えば、ソッキョンエイ・ティ(株)製SG−AG47PHT等が挙げられる。
導電ペーストを用いて絶縁ベースフィルム上にアンテナを形成する方法としては、例えばスクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法が好ましい。この場合、印刷厚みはスクリーンの材質(ポリエステル、ポリアミド、あるいはステンレスなど)、メッシュ及び張力、ペーストの粘度を調整することによって任意に制御できるが、好ましくは2〜100μmであり、さらに好ましい厚みは3〜50μmである。
以上のようにして無線タグのアンテナを形成した後、該アンテナの特性をより良好にするため、熱処理することが好ましい。この場合の熱処理温度としては100℃〜300℃程度が採用され、150〜250℃が好適である。このような熱処理によっても、絶縁ベースフィルムである(BF1)又は(BF2)は、その特性が著しく劣化しない。したがって、無線タグの絶縁ベースフィルムとしての絶縁性が十分維持される。
以上のようにしてアンテナを形成することで無線タグは形成される。次に、該無線タグには、ICチップを実装する。前記ICチップは無線タグに用いられる公知のものが使用可能である。ICチップの接続端子部には、必要に応じて、金属電解メッキ、スタッド、無電解金属メッキ、導電性樹脂の固定化などによるバンプを形成しておいてもよい。ICチップとアンテナの接続を確立し、固定化するための接着材料としては、公知の異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方導電性ペースト(ACP:AnisotropicConductive Paste)、絶縁性樹脂(NCP:Non−Conductive Paste)、両面接着テープなどを用いてよく、塗布法は、ディスペンス法、印刷法、スプレー法などが挙げられる。また、接着材料を介しての実装の際に、必要に応じて圧力、熱、光、高周波、超音波等のエネルギーを加えてもよい。また、実装自体を超音波によって行ってもよい。
以上のようにICチップ実装した後、ICチップ接続部を衝撃から守るために、実装部全体または一部を保護フィルムで保護してもよい。保護フィルムとしては、熱可塑性の樹脂が適しており、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリアミド又はポリイミドから得られる保護フィルムが望ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例によって、何ら限定されるものではない。
参考例1[プリプレグの製造]
(1)液晶ポリエステルの製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、同温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出ることでプレポリマーを得た。取り出したプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕してプレポリマー粉末とした。該プレポリマー粉末に関し、島津製作所フローテスターCFT−500により評価したところ、その流動開始温度は235℃であった。次に、このプレポリマー粉末を、窒素雰囲気において223℃で3時間加熱処理することにより固相重合させた。固相重合後の液晶ポリエステルをLCP1とする。このLCP1の流動開始温度を前記と同様にして測定した結果、270℃であった。
(2)溶液組成物の調製
前記(1)により得られたLCP1を2200g、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)7800gに加え、100℃で2時間加熱して溶液組成物1を得た。この溶液組成物1の溶液粘度は320cPであった。この溶融粘度は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ローターNo.21(回転数:5rpm))を用いて、測定温度23℃で測定した値である。
(3)プリプレグの製造
前記(2)により得られた溶液組成物1をガラスクロス(有沢製作所製;厚み45μ IPC名称1078)に含浸させ、さらに熱風式乾燥機(設定温度160℃)を用い、溶剤等の揮発成分を蒸発させてプリプレグ1を得た。
ガラスクロスに対する樹脂付着量は55%であり、厚みは55μm(基材の幅方向の厚み分布)、厚みバラツキは3%であった。
(4)絶縁ベースフィルム(BF2)の製造
前記(3)により得られたプリプレグを窒素雰囲気下を保持した熱風式乾燥機を用い、290℃で3時間熱処理を行うことで、絶縁ベースフィルム2Aを得た。
得られた絶縁ベースフィルム中に含有される液晶ポリエステルの融点を、DSC装置(島津製、昇温速度:10℃/min)求めたところ、335℃であった。
実施例1[無線タグの製造]
参考例1で得られた絶縁ベースフィルム2Aに対し、ソッキョンエイ・ティ(株)製SG−AG47PHTを用い、幅200μm、厚さ5μmになるようにアンテナをスクリーン印刷する。その後、80℃、20分の予備乾燥を行い、さらに190℃、30分の熱処理を行うことで絶縁ベースフィルム2A上にアンテナを形成せしめ、無線タグを製造する。このようにして製造された無線タグは、アンテナ形成に係る熱処理によっても、絶縁ベースフィルム2Aの絶縁性が低下することがないので、良好な特性を有するものとなる。

Claims (6)

  1. 絶縁ベースフィルムとアンテナとを有し、該絶縁ベースフィルムが以下の(BF1)又は(BF2)であることを特徴とする無線タグ。
    (BF1)溶剤可溶性の液晶ポリエステルからなる液晶ポリエステルフィルム
    (BF2)溶剤可溶性の液晶ポリエステルと、有機繊維及び/又は無機繊維からなるシートとから形成されたプレプリグ
  2. 前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)で表される構造単位と、式(2)で表される構造単位と、式(3)で表される構造単位とを有し、全構造単位の合計に対して式(1)で表される構造単位が30.0〜45.0モル%、式(2)で表される構造単位が27.5〜35.0モル%、式(3)で表される構造単位が27.5〜35.0モル%からなる液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の無線タグ。
    (1)−O−Ar1−CO−
    (2)−CO−Ar2−CO−
    (3)−X−Ar3−Y−
    (式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar11−Z−Ar12
    (式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
  3. 前記式(3)のX及びYのうち、少なくとも一方がNHであることを特徴とする請求項2記載の無線タグ。
  4. 前記液晶ポリエステルが、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計が30.0〜45.0モル%、4−アミノフェノールに由来する構造単位が27.5〜35.0モル%、テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位及び2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位の合計が27.5〜35.0モル%からなる液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の無線タグ。
  5. 前記アンテナが導電ペーストを、前記絶縁ベースフィルムに印刷して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の無線タグ。
  6. 溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて絶縁ベースフィルムを形成する工程と、得られた絶縁ベースフィルムの上に導電ペーストを印刷してアンテナを形成する工程と、を有することを特徴とする無線タグの製造方法。
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