JP2008195786A - 溶液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して得られる、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物であって、低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上、前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である。
【選択図】なし
Description
FPCは電気絶縁性のベースフィルムと金属箔とを積層一体化し、該金属箔に回路を作製したもので、ベースフィルムには、高い屈曲性を有することが求められていた。
さらに、該ベースフィルムとしては、寸法安定性ならびに低反り性等の特性が求められており、該寸法安定性を向上される手法としては、液晶ポリエステルからなるベースフィルムに、無機フィラー等のフィラーを入れることが、広範に用いられていた。
しかしながら、高度の寸法安定性や低反り性を求めて、前記ベースフィルムにフィラーを高充填すると、屈曲性が悪くなったり、フィルムが裂けやすくなったりする等の問題があることを本発明者らは見出した。
本発明の目的は、屈曲性を損なうようなフィラーを高充填する手段を用いなくとも、高度の、寸法安定性、低反り性に優れた液晶ポリエステルフィルムを与える溶液組成物を提供することにある。
[1]芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して得られる、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である、
前記の溶液組成物
を提供するものである。
[2]前記液晶ポリエステルAが、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位からなり、全構造単位の合計[(1)+(2)+(3)]に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%の液晶ポリエステルAである[1]の溶液組成物
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレンまたはビフェニレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレンおよび下記式(4)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Ar3はフェニレンおよび下記式(5)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Xは、OまたはNHを表わす。)
(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子または−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)
(式中、Ar7は、フェニレンまたはナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。)
[3]式(1)で示される構造単位が、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸からなる群から選ばれる芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される構造単位であり、
式(2)で示される構造単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選ばれる芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位であり、
式(3)で示される構造単位が4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる化合物から誘導される構造単位であることを特徴とする[2]の溶液組成物
[4]式(1)で示される構造単位が2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位であり、
式(2)で示される構造単位がイソフタル酸および/またはジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸に由来の構造単位であり、
式(3)で示される構造単位が4−アミノフェノール由来の構造単位であることを特徴とする[2]または[3]の溶液組成物
[5]前記低分子量化が、前記液晶ポリエステルAを加水分解することを包含する、[1]〜[4]のいずれかの溶液組成物
なお、固有粘度を測定する際に使用する有機溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)は試薬グレードで充分であり、このような試薬グレードのN−メチル−2−ピロリドンは通常30〜500ppm程度の水分を含有するものであるが、本発明においては、前記の範囲の水分を有する有機溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)を用いた固有粘度の誤差が許容される。
[6]前記有機溶媒が非プロトン性有機溶媒である[1]〜[5]のいずれかの溶液組成物。
[7]前記いずれかに記載の溶液組成物を基材に流延塗布し、溶媒を除去して得られる積層体。
[8]前記いずれかに記載の溶液組成物を金属箔に流延塗布し、溶媒を除去して得られるフレキシブルプリント配線板用基板。
[9]前記金属箔が銅箔である[8]のフレキシブルプリント配線板用基板。
更に、本発明は、下記[10]〜[12]を提供する。
[10]芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルのフィルムであって、
該液晶ポリエステルAの0.5g/dl有機溶媒溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0であり、
室温から250℃まで窒素気流下、5℃/分で昇温し、250℃〜50℃の冷却時の収縮率が0.2〜0.8%である、上記液晶ポリエステルのフィルム。
[11]芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物を形成し;そして
前記有機溶媒を除去する;
ことを包含する、液晶ポリエステルフィルムの製造方法であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0であり、しかも、
前記液晶ポリエステルフィルムを、室温から250℃まで窒素気流下、5℃/分で昇温し、250℃〜50℃の冷却時の収縮率が0.2〜0.8%である、
前記液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
[12]芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物を形成し;
前記溶液組成物を基材に流延塗布し;そして
前記溶媒を除去する;
ことを包含する、液晶ポリエステルフィルムを基材に被覆する方法であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である、
前記液晶ポリエステルフィルムを基材に被覆する方法。
本発明の溶液組成物に適用される液晶ポリエステルAは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成し得るポリエステルが好ましく、芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有するものであり、しかも、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として該液晶ポリエステルAを溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が1.2以上の液晶ポリエステルである。さらに、本発明の溶液組成物を有機溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレンまたはビフェニレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレンおよび下記式(4)で表される2価の基から選ばれる基であり、Ar3はフェニレンおよび下記式(5)で表される2価の基から選ばれる基であり、Xは、−O−または−NH−を表わす。)
(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子または−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)
(式中、Ar7は、フェニレンまたはナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。)
一方、式(3)構造単位は35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。
式(2)構造単位、式(3)構造単位が、前記の範囲であると得られる液晶ポリエステルの液晶性が充分であり、本発明の溶液組成物を得る際の、溶媒に対する溶解性が良好となることから好ましい。
(a):
構造単位(A1),(B2)および(D1)の組み合せ、
構造単位(A3),(B2)および(D1)の組み合せ、
構造単位(A1),(B1)および(D1)の組み合せ、
構造単位(A3),(B3)および(D1)の組み合せ、または
構造単位(A3),(B2),(B6)および(D1)の組み合せ、
構造単位(A1),(B2)もしくは(B3),および(D1)の組み合せ。
(b):上記(a)の組み合せのそれぞれにおいて、(D1)の一部または全部を(D2)に置換した組み合せ
(c):上記(a)の組み合せのそれぞれにおいて、(A1)の一部または全部を(A3)に置換した組み合せ
(d):上記(a)の組み合せのそれぞれにおいて、(D1)の一部または全部を(E1)もしくは(E5)に置換した組み合せ。
特に好ましい構造単位の組み合せとしては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する式(1)構造単位30〜80モル%、4−アミノフェノールに由来する式(3)構造単位10〜35モル%、イソフタル酸および/またはジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸に由来する式(2)構造単位10〜35モル%からなるものが挙げられる。
本発明で使用される液晶ポリエステルAの製造方法は、前記の固有粘度を満足できる製造方法であり、好適には、式(1)構造単位を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸、式(3)構造単位を誘導するヒドロキシ基を有する芳香族アミンおよび/または芳香族ジアミンのヒドロキシ基やアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、式(2)構造単位を誘導する芳香族ジカルボン酸とをエステル交換・アミド交換して溶融重合して予め高分子量の液晶ポリエステル、好ましくは、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が1.2以上の液晶ポリエステルAを得、かかる液晶ポリエステルAを低分子量化して、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として固有粘度を0.5〜1.0の液晶ポリエステル溶液を製造する方法が挙げられる。
前記アシル化の反応においては、脂肪酸無水物の添加量は、ヒドロキシ基とアミノ基の合計に対して、1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、エステル交換・アミド交換による溶融重合時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリマーの着色が著しくなる傾向がある。
なお、液晶ポリエステルAの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
前記低分子量化は通常、分解剤を使用して化学分解させることにより低分子量化させる手法が採用される。
前記のようにして得られた液晶ポリエステルAを、反応溶媒として、有機溶媒、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン等を用いて、液晶ポリエステルAの濃度が1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の液晶ポリエステルA溶液を得、かかる液晶ポリエステルA溶液に対して、液晶ポリエステルA重量に対して、0.02〜10重量%、好ましくは0.03〜3重量%の水を添加する。このようにして水が添加された液晶ポリエステルA溶液を、反応温度80から170℃、好ましくは100〜160℃で、反応時間2〜10時間反応させる方法が適用される。なお、反応温度は、反応途中の液晶ポリエステルA溶液をサンプリングして、前記の手法により固有粘度を求めることで反応追跡を行って決定することもできる。
次に、溶液組成物について説明する。
該溶液組成物を調製するのに使用される有機溶媒としては、液晶ポリマーを溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミド及びエチルセロソルブアセテート、並びにパラフルオロフェノール、パラクロロフェノール、ペルフルオロフェノールなどのハロゲン化フェノール類などが挙げられる。これらの溶媒は単独または混合して使用できる。
かかる溶媒の中でも、取り扱いの観点から、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミド及びエチルセロソルブアセテートから成る群から選択される非プロトン性有機溶媒が好適である。
また、本発明の溶液組成物には、例えばシランカップリング剤、酸化防止剤に代表される添加剤を含んでいてもよい。該添加剤としては、本発明の溶液組成物に使用した溶媒に可溶であると好ましい。
前記のようにして得られた溶液組成物を、例えば基材に流延塗布して溶液組成物のフィルムを形成し、基材上に得られた該溶液組成物のフィルムから溶媒を除去することで、液晶ポリエステルフィルムを備えた積層体を得ることができる。
該液晶ポリエステルフィルムの厚さは、製膜性や機械特性の観点から、0.5〜500μmであることが好ましく、取り扱い性の観点から1〜100μmであることがより好ましい。なお、液晶ポリエステルフィルムの厚さは当該層の形成時の塗布回数または使用した溶液組成物の粘度によって調整することができる。また、該液晶ポリエステルフィルムの250℃〜50℃の冷却時の収縮率は、好ましくは0.2〜0.8%、より好ましくは0.25〜0.7%である。
下記の実施例、比較例で得られた液晶ポリエステルのN−メチル−2−ピロリドン(BASF社製、スタンダードグレード、以下「NMP」と呼ぶ)溶液の一部を分取して、NMPで希釈して、濃度0.5g/dlに調整した測定溶液を調製した。該測定溶液を、測定温度25℃において、オストワルド粘度計を使用して固有粘度を測定した。このようにして得られた液晶ポリエステル溶液の固有粘度は、表1及び表2において、「溶液の固有粘度」として示した。
下記の実施例、比較例で得られたフレキシブルプリント配線板用基板の反りを以下のようにして測定した。即ち、フレキシブルプリント配線板用基板を15×15cm2に切り出し定盤の上に置き、フレキブルプリント配線板用基板の四隅で持ち上がり量の一番大きいところを反り量とし測定した。なお、測定は室温を23℃、50%RHに調節して行った。また、切り出した後、筒状になる場合は、その筒の直径(φ)をmm単位で測定し反り量とした。
下記の実施例、比較例で得られたフレキシブルプリント配線板用基板を塩化第二鉄水溶液(ボーメ度 40°、木田株式会社製)に浸漬することで、銅箔をエッチング除去し、液晶ポリマーフィルムを得た。次いで、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 熱機械的分析装置 TMA120Uを用いて、荷重2.5g、窒素気流下、5℃/分で昇温し、50〜100℃の液晶ポリエステルフィルムの線膨張係数を測定した。フィルムの塗工方向をMD、その直角方向をTDとしたときに、それぞれの線膨張係数を測定した。また、室温から250℃まで窒素気流下、5℃/分で昇温し、250℃〜50℃の冷却時の収縮率を測定した。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて140℃まで昇温し、温度を保持して4時間攪拌させた。
このようにして得られた液晶ポリエステル1の固有粘度を3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として0.2g/dl溶液を調整し、60℃で24時間掛けて完溶させ、ウベローデ粘度計を用いて40℃での固有粘度を測定した結果1.72であった。このようにして得られた液晶ポリエステルの固有粘度は、表1及び表2において、「樹脂の固有粘度」として示した。
その後、窒素雰囲気下の熱風オーブン中で昇温速度3.2℃/分で30℃から320℃まで昇温し、320℃にて3時間保持する熱処理を行った。室温に降温し、フレキシブルプリント配線板用基板を得た。前記液晶ポリステル溶液1の固有粘度、得られたフレキシブルプリント配線板用基板の反り量、線膨張係数および収縮率を表1に示す。
実施例1での純水の添加量をNMP重量に対して水重量が2重量%になるように、純水を調整した以外、すべて同様の操作を行って、液晶ポリエステル溶液2を得た。この液晶ポリエステル溶液2を使用し、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント配線板用基板を得、各種評価試験も同様に実施した。結果を表1に示す。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸847g(4.5モル)、4−アミノフェノール416g(2.75モル)、イソフタル酸125g(0.75モル)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸517g(2.0モル)及び無水酢酸817g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて140℃まで昇温し、温度を保持して4時間攪拌させた。
このようにして得られた液晶ポリエステル3の固有粘度は、の固有粘度を3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として0.2g/dl溶液を調整し、60℃で24時間掛けて完溶させ、ウベローデ粘度計を用いて40℃での固有粘度を測定した結果
1.43であった。
その後、窒素雰囲気下の熱風オーブン中で昇温速度3.2℃/分で30℃から320℃まで昇温し、320℃にて3時間保持する熱処理を行った。室温まで放冷後フレキシブルプリント配線板用基板を得た。前記液晶ポリステル溶液3の固有粘度、得られたフレキシブルプリント配線板用基板の反り量、線膨張係数および収縮率を表1に示す。
実施例3で純水の添加量をNMP重量に対して水重量が0.05重量%になるように、純水を調整した以外、すべて同様の操作を行って、液晶ポリエステル溶液4を得た。この液晶ポリエステル溶液4を使用し、実施例3と同様にしてフレキシブルプリント配線板用基板を得、各種評価試験も同様に実施した。結果を表1に示す。
実施例1での純水の添加量をNMP重量に対して水重量が0.05重量%になるように純水を調整した以外、すべて同様の操作を行って、液晶ポリエステル溶液5を得た。この液晶ポリエステル溶液5を使用し、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント配線板用基板を得、各種評価試験も同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして得られた液晶ポリエステル1の粉末20gをNMP80gに加え、さらに、NMP重量に対して水重量が0.05重量%になるように純水を調整した。この混合物を180℃で4時間加熱することで液晶ポリマーが完全に溶解し褐色透明な液晶ポリエステル溶液6が得られた。この液晶ポリエステル溶液6を使用し、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント配線板用基板を得、各種評価試験も同様に実施した。評価結果を表2に示した。
Claims (12)
- 芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して得られる、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である、
前記の溶液組成物。 - 前記液晶ポリエステルAが、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位からなり、全構造単位の合計[(1)+(2)+(3)]に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%の液晶ポリエステルAである請求項1記載の溶液組成物。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレンまたはビフェニレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレンおよび下記式(4)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Ar3はフェニレンおよび下記式(5)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Xは、OまたはNHを表わす。)
(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子または−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)
(式中、Ar7は、フェニレンまたはナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。) - 式(1)で示される構造単位が、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸からなる群から選ばれる芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される構造単位であり、
式(2)で示される構造単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選ばれる芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位であり、
式(3)で示される構造単位が4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる化合物から誘導される構造単位であることを特徴とする請求項2記載の溶液組成物。 - 式(1)で示される構造単位が2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位であり、
式(2)で示される構造単位がイソフタル酸および/またはジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸に由来の構造単位であり、
式(3)で示される構造単位が4−アミノフェノール由来の構造単位であることを特徴とする請求項2または3に記載の溶液組成物。 - 前記低分子量化が、前記液晶ポリエステルAを加水分解することを包含する、請求項1〜4に記載の溶液組成物。
- 前記有機溶媒が非プロトン性有機溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の溶液組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の溶液組成物を基材に流延塗布し、溶媒を除去して得られる積層体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の溶液組成物を金属箔に流延塗布し、溶媒を除去して得られるフレキシブルプリント配線板用基板。
- 前記金属箔が銅箔である請求項8記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
- 芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルのフィルムであって、
該液晶ポリエステルAの0.5g/dl有機溶媒溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0であり、
室温から250℃まで窒素気流下、5℃/分で昇温し、250℃〜50℃の冷却時の収縮率が0.2〜0.8%である、上記液晶ポリエステルのフィルム。 - 芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物を形成し;そして
前記有機溶媒を除去する;
ことを包含する、液晶ポリエステルフィルムの製造方法であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0であり、しかも、
前記液晶ポリエステルフィルムを、室温から250℃まで窒素気流下、5℃/分で昇温し、250℃〜50℃の冷却時の収縮率が0.2〜0.8%である、
前記液晶ポリエステルフィルムの製造方法。 - 芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位から成る群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を全構造単位の合計に対して10〜35モル%有する液晶ポリエステルAを、有機溶媒に溶解させて低分子量化して、該液晶ポリエステルAを0.1重量%以上含有する溶液組成物を形成し;
前記溶液組成物を基材に流延塗布し;そして
前記溶媒を除去する;
ことを包含する、液晶ポリエステルフィルムを基材に被覆する方法であって、
低分子量化前の該液晶ポリエステルAを、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールを溶媒として溶解させ該液晶ポリエステルAの0.2g/dl溶液としたときの40℃における固有粘度が、1.2以上であり、しかも、
前記液晶ポリエステルAの低分子量化で得られた前記溶液を前記有機溶媒で希釈して該液晶ポリエステルAの0.5g/dl溶液としたときの25℃における固有粘度が0.5〜1.0である、
前記液晶ポリエステルフィルムを基材に被覆する方法。
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