JP2010107466A - 欠陥検査装置及び欠陥検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板のパターン形成面の下地層の影響を低減した回路パターン形状の良否を判別することができる欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】欠陥検査装置20は、開口絞り4と対物レンズ9を介して基板10の繰り返しパターンに光源1からの光を照射する際に、開口絞り4の開口部4aが照明光学系21の光軸に直交する面内で光が繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で入射するように位置が変更可能な照明光学系21と、基板10の繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による対物レンズ9の瞳面の像を検出する検出光学系22と、得られた瞳像から基板10の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出部23を有している。
【選択図】図1
【解決手段】欠陥検査装置20は、開口絞り4と対物レンズ9を介して基板10の繰り返しパターンに光源1からの光を照射する際に、開口絞り4の開口部4aが照明光学系21の光軸に直交する面内で光が繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で入射するように位置が変更可能な照明光学系21と、基板10の繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による対物レンズ9の瞳面の像を検出する検出光学系22と、得られた瞳像から基板10の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出部23を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、欠陥検査装置及び欠陥検査方法に関する。
従来、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、半導体ウェハや液晶基板(以下「試料」という)の表面のレジスト層に形成されたパターンの欠陥の検査が行われており、このような欠陥検査の方法においては、光の反射を利用したものが知られている。これは、試料表面に照射した光が、試料のパターン形状の変化により得られる回折光の反射強度が異なるため、その表面で反射若しくは回折する光の強度変化を読み取り欠陥検査を行う方法である(例えば、特許文献1参照)。
WO 2005/064322
しかしながら、このような試料は、回路パターンの形成されたレジスト層である表面層と、下地層から構成されているため、試料表面に照射された光が、下地層を透過し、その透過した光が反射して、試料の表面層に到達し、表面層からの反射光若しくは回折光と下地層からの反射光若しくは回折光とが干渉を起し、表面層からの光の強度が変化してしまい、欠陥の有無を正確に判定することができないという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、試料の下地層の影響を排除して容易に欠陥検査を行うことができる欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本願発明に係る欠陥検査装置は、繰り返しパターンが形成された基板の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、対物レンズを含み、この対物レンズを介して基板に形成された繰り返しパターンに光源からの光を照射する照明光学系と、繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による、対物レンズの瞳面の像を検出する検出光学系と、得られた瞳像から基板の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出部と、を有し、照明光学系は、瞳面と共役な位置に配置された開口絞りと、開口絞りと対物レンズとの間に配置された偏光素子と、を含み、開口絞りの開口部は、照明光学系の光軸に直交する面内において、偏光素子を経た光が繰り返しパターンに対してこの繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で入射するように、その位置が変更可能に構成されることを特徴とする。
このような欠陥検査装置において、偏光子は、光軸回りに回転させることにより、直線偏光の偏光方向を変化可能に構成され、検出部は、第1の偏光方向の光による瞳面の像の輝度値と、第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向の光による瞳面の像の輝度値と、から補正された輝度値を算出し、当該補正された輝度値により基板の繰り返しパターンの欠陥を検出するように構成されることが好ましい。
このとき、第1の偏光方向はP偏光及びS偏光のいずれか一方であり、第2の偏光方向はP偏光及びS偏光の他方であって、検出部は、P偏光による瞳面の像の輝度値をEpとし、S偏光による瞳面の像の輝度値をEsとし、定数をα,β,γとし、瞳面の像の補正後の輝度値をE′としたとき、次式
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により補正後の輝度値を算出するように構成されることが好ましい。
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により補正後の輝度値を算出するように構成されることが好ましい。
また、このような欠陥検査装置において、照明光学系は、基板に形成された繰り返しパターンに照射される光源からの光の波長域を選択する波長選択部を有することが好ましい。
また、本発明に係る欠陥検査方法は繰り返しパターンが形成された基板の欠陥を検査する方法であって、対物レンズを含む照明光学系を介して基板に形成された繰り返しパターンに対して所定の直線偏光からなる光を、繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で照射する照明工程と、繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による、対物レンズの瞳面の像を検出する撮像工程と、得たれた瞳像から基板の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出工程と、を有することを特徴とする。
このような欠陥検査方法において、偏光子は、光軸回りに回転させることにより、直線偏光の偏光方向を変化可能に構成され、検出工程は、第1の偏光方向の光による瞳面の像の輝度値と、第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向の光による瞳面の像の輝度値と、から補正された輝度値を算出し、当該補正された輝度値により基板に形成された繰り返しパターンの欠陥を検出するように構成されることが好ましい。
このとき、第1の偏光方向はP偏光及びS偏光のいずれか一方であり、第2の偏光方向はP偏光及びS偏光の他方であって、検出工程は、P偏光による瞳面の像の輝度値をEpとし、S偏光による瞳面の像の輝度値をEsとし、定数をα,β,γとし、瞳面の像の補正後の輝度値をE′としたとき、次式
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により補正後の輝度値を算出するように構成されることが好ましい。
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により補正後の輝度値を算出するように構成されることが好ましい。
また、このような欠陥検査方法において、照明光学系は、基板に形成された繰り返しパターンに照射される光の波長域を選択する波長選択部を有し、照明工程においてこの光の波長域を選択して基板に形成された繰り返しパターンに照射することが好ましい。
本発明に係る欠陥検査装置及び欠陥検査方法によれば、被検査基板(試料)の下地層による影響を排除して、この被検査基板(試料)上に形成された回路パターン形状の良否判定を行うことができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態の一例である欠陥検査装置20の概要を示す図であり、光軸を通る面内での断面模式図として表している。
欠陥検査装置20は、光源1と、ステージ11上に載置された基板であるウェハ10に光源1から放射された照明光を、対物レンズ9を介して照射する照明光学系21と、ウェハ10で反射された光を集光する検出光学系22と、この検出光学系22で集光された像のうち、対物レンズ9の瞳像を検出する第1撮像素子17と、ウェハ10の像を検出する第2撮像素子18と、第1撮像素子17で撮像された瞳像からウェハ10の欠陥を検出する検出部23と、を有して構成される。この欠陥検査装置20は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面に形成された検査パターンの検査を自動で行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光、現像後、図示しない搬送系により、図示しないウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ11に吸着される。
照明光学系21は、光源1側から順に、コンデンサーレンズ2、干渉フィルタを含む照度均一化ユニット3、開口絞り4、第1視野絞り5、リレーレンズ6、偏光子7、ハーフミラー8、及び、対物レンズ9を有し、光軸上にこの順で並んで配置されている。ここで、この照明光学系21において、光源1から放射された照明光は、ハーフミラー8で反射された後、対物レンズ9を介してウェハ10に導かれるように構成されている。また、この照明光学系21の光軸は、検出光学系22の光軸と略一致するように配置され、ウェハ10を同軸落射照明するように構成されている。また、ステージ11は、この同軸落射照明の光軸をz軸として、z軸に垂直な面内においてこのz軸を通りそれぞれ直交する軸をx軸,y軸とすると、x軸、y軸、z軸方向に移動可能で、かつ、z軸の回りに回転可能に構成されている。また、光源1は、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、白色発光ダイオード(白色LED)などであり、特に、白色LEDは、水銀ランプ、メタルハライドランプと比較して、安価であり、発熱も少なく、長寿命であるため、扱いやすい光源であり、好ましい。
一方、検出光学系22は、ハーフミラー8及び対物レンズ9を照明光学系21と共用し、ウェハ10側から順に、対物レンズ9、ハーフミラー8、検光子12、第1結像レンズ13、ハーフプリズム14、第2結像レンズ15、及び、第2視野絞り16を有し、光軸上にこの順で並んで配置されている。ここで、ウェハ10で反射された光は、ハーフミラー8を透過し、さらに検光子12を透過して第1及び第2撮像素子17,18に導かれるように構成されている。また、第1撮像素子17は第1結像レンズ13で集光され、ハーフプリズム14を透過した光をさらに第2結像レンズ15で集光して検出する位置に配置されており、第2撮像素子18は第1結像レンズ13で集光され、ハーフプリズム14で反射された光を検出する位置に配置されている。この検出光学系22において、第1撮像素子17は、対物レンズ9の瞳面の像を検出する位置、すなわち、対物レンズ9の瞳面と共役な位置に配置されており、また、第2撮像素子18は、ウェハ10の像を検出する位置、すなわち、ウェハ10の表面と共役な位置に配置されている。また、第2視野絞り16は、ウェハ10の表面と共役な位置に配置されている。そして、第1撮像側に配置された着脱可能な照明部(不図示)によって、第2視野絞り16を照明することで、ウェハ10から反射してくる第2視野絞り16の像を、第2撮像素子18で撮像することで、第1撮像素子17で検出するウェハ上の領域を、第2撮像素子18の撮像位置に換算する。この第1及び第2撮像素子17,18で検出された対物レンズ9の瞳面の像およびウェハ10の像は、それぞれ検出部23を介して、モニター19で観察できる。従って、第2撮像素子18により検出した像をモニター19を介して観察すると、ウェハ10上のどの位置に照明光が照射されているかを確認することができる。
なお、照明光学系21に配置された偏光子7及び検出光学系22に配置された検光子12はそれぞれ、この欠陥検査装置20に着脱可能に構成されており、観察対象(ウェハ10)の状態に応じて光軸上に挿抜することができる。なお、この偏光子7は、図示しないアクチュエータが設けられており、検出部23からの制御により光軸回りに回転可能に構成されている。そのため、ウェハ7の欠陥検査を行う際に、検出部23から制御することで、光源1から放射された照明光をP偏光状態又はS偏光状態の光にしてウェハ10に照射することができる。
また、開口絞り4、及び第1視野絞り5の開口部については、それぞれ、その大きさ(特に、光軸とこの開口部とを結ぶ直線方向の径の大きさ)及び光軸に直交する面内での位置を変化させることができる構造となっている。そのため、開口絞り4の開口部の位置を変化させると、ウェハ10に照射される照明光の入射角が変化し、また、第1視野絞り5の開口部の大きさ及び位置を変化させると、ウェハ10の表面に照射される照明領域の大きさ(照明の範囲)と位置を変化させることができる。また、開口絞り4の開口部の大きさを変化させると、瞳面における回折像の大きさを変化させることができる。
このように、この欠陥検査装置20は、開口絞り4の開口部の位置を変化させることにより、照明光を偏斜して、ウェハ10の表面に照明光を照射する際の入射角を変えることができる。そこで、本実施の形態においては、後述するように、この開口絞り4の開口部の位置を変えることにより、ウェハ10の表面に照明光を照射する際の入射角を変え、偏光子7でP偏光成分に揃えた照明光のウェハ10表面からのエネルギー反射率が最小となる角度若しくはそれに近い角度を求めて、そのようなエネルギー反射率の得られる開口絞り4の開口部の位置を設定するようになっている。
このような構成の欠陥検査装置20において、光源1から放射された照明光は、コンデンサーレンズ2で集光され、照度均一化ユニット3で照度が均一化された後、開口絞り4に照射される。そして、開口絞り4の開口部を通過した照明光は、第1視野絞り5を通過してリレーレンズ6でコリメートされ、偏光子7で直線偏光状態の光に変換された後、ハーフミラー8で反射されて対物レンズ9に導かれる。ここで、開口絞り4及び対物レンズ9の瞳面は、第1リレーレンズ6を挟んで、それぞれこの第1リレーレンズ6の焦点距離の略2倍の位置に配置されている。そのため、開口絞り4の開口部の像が対物レンズ9の瞳面上若しくはその近傍に結像され、さらに、対物レンズ9で集光されてウェハ10に照射される。すなわち、開口絞り4と対物レンズ9の瞳面とは共役関係となっている。
そして、対物レンズ9によりウェハ10に照射された照明光は、このウェハ10の表面(試料面)で反射して再度対物レンズ9で集光される。このとき、ウェハ10で反射された開口絞り4の開口部の像は、対物レンズ9の瞳面(若しくはその近傍)に結像するが、ウェハ10に形成された繰り返しパターン(以降の方法により検査される検査パターン)による回折光も発生して同様に瞳面に結像する。そのため、例えば、開口絞り4に、図2(a)に示すような円形形状の開口部4aが、この開口絞り4の外周部近傍に形成されている場合、図3(a)に示すように、対物レンズ9の瞳面(図3(a)はこの瞳面の像PIを示す)において、開口部4aの回折像40が、回折次数に応じてこの次数の順で並んで結像される。なお、この回折像40が並ぶ方向は、光軸及び開口絞り4で偏斜された照明光の中心線を含む面と、瞳面とが交差する線上である。そして、回折次数が0次の回折像(反射像)は、対物レンズ9の瞳面上において、開口絞り4の開口部4aに対応する位置及び範囲に結像され、1次,2次・・n次の回折像は、上述のように並んで結像される(図3(a))。このとき、0次(反射光による像)〜n次のそれぞれの回折像が重ならないようにするために開口絞り4の開口部4aの径の大きさを調整する。例えば、上述のように、開口絞り4に円形の開口部4aが形成されている場合、この開口部4aの開口径(寸法)Raの大きさを変化させ、瞳面に形成された回折像が互いに重ならないように調整する。
なお、開口絞り4に形成する開口部の形状は円形に限定されることはなく、例えば、図2(b)に示す開口部4a′のように矩形形状にしても良い。この場合も上述の円形形状の開口部4aと同様に、図3(b)に示すように回折次数に応じた回折像40′が、この次数の順で対物レンズ9の瞳面(瞳像PI)上に並んで結像される。またこのとき、開口部4a′の、光軸とこの開口部4a′とを結ぶ直線方向に延びる辺の長さSbを調整することにより、瞳面上に並んで結像された回折像40′が重ならないように調整することができる。
また、このような矩形形状の開口部4a′を有する場合、上記寸法Sbで示す辺と直交する方向に延びる辺の寸法Lbは、寸法Sbより、大きく設定されるのが好ましい。これは、このような形状の開口部4a′の像の輝度は、中心から照明光が試料面に入射する方向と直交する方向に徐々に広がって低くなっていくので、回折像の中心部で得られる輝度の高い範囲を確保するためである。なお、以降では、円形の開口部4aを有する開口絞り4を用いた場合について説明する。
また、ウェハ10の表面(試料面)に対して照明光が照射される位置は、ステージ11をxy軸方向に移動させて調整し、照明光を照射する角度は、上述のように開口絞り4及び第1視野絞り5の開口部の位置及び大きさを調整し(例えば、図2に示すように、光軸からの位置Da,Dbを調整し、径Ra,Sbを調整する)、検査対象であるウェハ10に形成された繰り返し(検査)パターンの周期方向に対して照射する方向(繰り返しパターンに対する照明光の方位角)はステージ11を回転させて調整する。また、対物レンズ9の焦点上にウェハ10の試料面を移動させるときは、ステージ11をz軸方向に移動させて調整する。さらに、照明光の波長域は、照度均一化ユニット3の干渉フィルタにより調整する。
欠陥検査装置20を以上のような構成とすると、対物レンズ9の瞳面(若しくはその近傍)に形成される瞳像PIを第1撮像素子17で撮像することにより、ウェハ10の表面で反射して対物レンズ9の瞳面に結像する開口絞り4の開口部4aの複数次数の回折像を検出することができ、検出部23は、複数次数の回折像を用いて、検査対象であるウェハ10に形成された繰り返しパターン(検査パターン)の良否を判定することができる。具体的には、第1撮像素子17により撮像された良品パターンからなるウェハ10による瞳像を基準像として検出部23に接続された記憶部24に記憶しておき、検出部23によりこの基準像を読み出し、検査対象であるウェハ10による瞳像を検出像として検出し、検出像と基準像とを比較してその違いを検出することにより、検査対象のウェハ10の欠陥を検出する。なお、この検出部23による欠陥の検査方法としては、例えば、基準像と検出像との画素毎の階調値(瞳像における輝度値は、複数段の階調(デジタル量)として検出されるため、以降の説明では「階調値」と呼ぶ)の差を比較し、ある画素においてその差が所定の閾値を超えたときに欠陥があると判定するようにしても良い。このように、ウェハ10による対物レンズ9の瞳面の像の輝度値(階調値)を求め、予め計測され記憶された良品試料による対物レンズ9の瞳面の像の輝度値(階調値)と比較することにより欠陥検査が行われるので、より短時間で計測が可能となる。
ここで、ウェハ10の表面にはレジスト層が形成され、このレジスト層に図4(a)に示すような複数のショット領域100aが配列されており、このショット領域100aの中には検査すべき繰り返しパターン100b(図4(b)参照)が形成されている。なお、この繰り返しパターン100bは、図4(b)ではホールパターンである場合を示しているが、ラインアンドスペースパターン(L&Sパターン)であってもよい。ウェハ10のパターン100bは、一定の工程を経て形成されており、断面視によると、図5で示すような検査パターンとして表面層10aに形成されている。また、このウェハ10は、表面層(レジスト層)10a以外にその下に設けられた下地の層10bを有して構成されている。そして、このウェハ10の表面層(レジスト層)10aに照射された光は、下地の層10bを透過し、透過した光が、例えば、この下地の層10bの下方にある別の層10cとの境界で反射若しくは回折してウェハ10の表面層10aに到達する。このとき、ウェハ10の下地の層10bに膜厚ムラ(下地の層10bの厚み方向Dに設計値に対して一定のバラツキ)があると、この膜厚ムラを反映した干渉(表面層10aで反射若しくは回折した光と、下地の層10bを透過して反射若しくは回折した光との干渉)が生じ、ウェハ10の表面から出射する光(瞳面上の複数の回折次数に応じた回折像)の強度が変化する。この膜厚ムラのある下地の層10bからの反射光若しくは回折光の影響は無視できず、本来、下地の像10bを透過せず表面層10aで反射若しくは回折した光と、膜厚が設計値どおりの下地の層10bを透過して反射若しくは回折した光との干渉による瞳面上も複数の回折次数に応じた回折像の強度とは異なってしまう。なお、下地の層10bを経ずに表面層10aで反射若しくは回折した光と下地の層10bを透過した後、表面層10aで反射若しくは回折した光との間で干渉が生じるが、回折次数ごとに、複数の照明領域(ウエハ全面に相当)の回折像を繋ぎ合わせた合成画像を生成してみると、下地の層10bに膜厚ムラがあると、干渉縞が現れる。
このように、繰り返しパターン(パターン100b)の形状変化(欠陥)に伴う反射光若しくは回折光の強度に変化があったにもかかわらず、下地の層10bの膜厚ムラに起因して干渉状態に変化が生じてしまう。そうすると繰り返しパターンが不良品であるにも関わらず、瞳面上の複数の回折次数に応じた回折像の輝度値から良品と判断してしまい、欠陥の検出漏れ(見落とし)の原因となってしまう。そこで、本実施の形態の欠陥検査装置20では、検出部23において、第1撮像素子17で撮像した瞳面の画像からウェハ10の欠陥検査を行う際に、ウェハ10の下地の層10bの膜厚ムラの影響を除去して、欠陥検査を行うようになっている。以下、下地の層10bの膜厚ムラの影響を除去する方法について説明する。
本実施形態の欠陥検査装置20において、光源1から放出された光は、偏光子7により、S偏光又はP偏光成分からなる直線偏光に変換される。そして、そのS偏光又はP偏光成分の光に変換された照明光がウェハ10の表面に、ある入射角度で入射されると、その照明光は、ウェハ10の表面において反射若しくは回折された光となり、その反射若しくは回折された光は、上述したように、対物レンズ9の瞳面に結像され、検出光学径22を介して第1撮像素子17により当該瞳面の像として開口絞り4の開口部の像(回折像)が撮像される。このとき、第1撮像素子17で撮像された瞳像は、S偏光又はP偏光成分に揃えられた光を照明光として用いて撮像された像であり、ウェハ10の下地の層10bの膜厚ムラの影響を受けた干渉による強度変化を含んだ像となっている。そして、この干渉による強度変化は、P偏光又はS偏光の照明光のいずれにおいても、同一入射角、同一波長の条件においては、同一となる。そこで、このS偏光又はP偏光の照明光によってそれぞれ得られた瞳像に含まれる開口部の回折像の輝度値(階調値)を用いて、膜厚ムラの影響を受けた干渉による強度変化を低減することができる。
このようにして、下地の層10bの膜厚ムラの影響を除去するが、その前に、ウェハ10の表面に入射する照明光の入射角を決定する工程について説明する。ウェハ10の表面への入射角を決定するには、基準試料(良品試料)を用いて以下の工程におい決定する。ここで、入射角の変更は、上述したように開口絞り4の開口部の位置によって、容易に変更することができるようになっている。
図5で示すように、ウェハ10は、表面層10aにパターン100bが形成されている。この表面層(レジスト層)10aにS偏光又はP偏光成分からなる照明光ILが、ある角度(入射角θ1)で入射すると、その時のS偏光又はP偏光の光のエネルギー反射率は、それぞれ、次式(1)又は(2)で表される。ここで、RpはP偏光の光のエネルギー反射率であり、RsはS偏光の光のエネルギー反射率であり、θ2は、ウェハ10の最上層(表面層10a)の物質の屈折角である。そして、この屈折角θ2は、入射角θ1、物質の屈折率及びスネルの公式により決定される値である。
Rp=tan2(θ1−θ2)/tan2(θ1+θ2) (1)
Rs=sin2(θ1−θ2)/sin2(θ1+θ2) (2)
Rs=sin2(θ1−θ2)/sin2(θ1+θ2) (2)
式(1)において、θ1+θ2=π/2のとき、Rp=0である。Rpが0であるということは、ウェハ10の表面層10aで反射せずに全ての光が透過することを意味しており、この時の入射角θ1が、所謂ブリュスター角(θB)といわれているものである。図6は、入射角θ1に対しての式(1),(2)のエネルギー反射率Rp,Rsの値をプロットしてグラフ化したものである。ここで、ブリュスター角は、屈折率の異なる物質の界面で反射される光(反射光Re)が完全に偏光となる入射角度である。
ところで、式(1),(2)は、下地の層10bのない場合の理論式となっており、実際には、ウェハ10は、図5で示すように、下地の層10b等を有するものである。従って、ブリュスター角(θB)は、式(1),(2)で算出される値からずれた値となる。そこで、本実施の形態では、式(1),(2)において、開口絞り4の開口部の位置を変化させて、基準試料(良品試料)におけるP偏光のエネルギー反射率Rpが略最少となる入射角またはそれに近い入射角を求め、基準の入射角θ1とする。つまり、開口絞り4の開口部の位置を変化させて、その際のウェハ10の表面からのエネルギー反射率Rp(反射光量)を求め、エネルギー反射率Rp(反射光量)が略最小となる開口部の位置を特定して、入射角θ1として決定する。
このようにして求めた入射角θ1は、この入射角θ1において入射したP偏光の光のエネルギー反射率RpとS偏光の光のエネルギー反射率Rsとの差が最大となる入射条件となっており、これは、下地の層10bの膜厚ムラによるエネルギー反射率変化が最も反映された入射条件となっていると言える。つまり、P偏光の光のエネルギー反射率Rpが最小となる角度(入射角θ1)では、S偏光の光のエネルギー反射率RsはP偏光の光のエネルギー反射率Rpに比べて下地の層10bの膜厚ムラの影響を受けやすい条件となっている。これは、S偏光の光によるエネルギー反射率Rsが、P偏光の光のエネルギー反射率Rpに比べて高いため、S偏光の光によるエネルギー反射率Rsの方が、P偏光の光のエネルギー反射率Rpと比べて下地の層10bの膜厚ムラによる反射率変化が大きくなるからである。そして、S偏光、P偏光の光のいずれにおいても、同一の入射角、及び同一の波長の条件では、下地の層10bの膜厚ムラを反映した干渉による強度変化が略同一の状態となるので、本実施形態では、これらの事実を利用して、下地の層10bの膜厚ムラの影響を受けた干渉による強度変化の補正を行うようになっている。
つまり、まず、基準試料(良品試料)を用いて、上述のように開口絞り4の開口部の位置を変化させ、光源1からの光を偏光子7でP偏光成分に揃え、ウェハ10の表面に入射させて第1撮像素子17で撮像し、その像から検出部23においてウェハ10の面で回折若しくは反射した光のエネルギー反射率Rp(反射光量)を測定し、その値が最小となる入射角θ1を決定し、その入射角θ1となるように開口絞り4の開口部の位置を設定する。次に、検査対象のウェハ10をステージ11上に載置した後、このステージ11を移動させて、ウェハ10の面内において照明光が照射される位置を測定したい位置にする。そして、その位置において、検出部23により偏光子7を回転させ、P偏光及びS偏光のいずれか一方に揃った照明光をウェハ10の表面に入射角θ1で照射して、第1撮像素子17でウェハ10の表面で反射若しくは回折して対物レンズ9の瞳面に結像した開口絞り4の開口部の像(瞳像)を撮像し、さらに、検出部23により偏光子7を回転させて、P偏光及びS偏光の他方に揃った照明光をウェハ10の表面に入射角θ1で照射して、第1撮像素子17で開口絞り4の開口部の像(瞳像)を撮像する。
このとき、このP偏光成分に揃えた照明光での瞳像に形成された開口絞り4の開口部の像の輝度値をEp、S偏光成分に揃えた照明光での瞳像に形成された開口絞り4の開口部の像の輝度値をEsとし、以下の式(3)に基づいて、検出部23で、その輝度値Ep,Esを用いて補正された輝度値E′(以下、「補正後の輝度値E′」と呼ぶ)が求められる。ここで、α,β,γは定数であり、検査対象であるウェハ10により決定される値である。具体的には、この定数α,β,γは、基準試料(良品試料)の面内において、複数のポイントを指定し、そのポイント毎にP偏光又はS偏光成分に揃えられた照明光のそれぞれにおける輝度値Ep,Esを求め、定数α,β,γに適当な係数を設定して、式(3)にて補正後の輝度値E′を算出し、ウェハ10の下地の層10bの膜厚ムラにより変化している輝度値が最も均一となるところを定められたものである。すなわち、補正後の輝度値E′が、最も干渉による強度変化が低減された値となるように設定されている。また、補正にあたり、回折次数はパターン変化に対して感度のあること若しくは膜厚ムラによる輝度値変化が小さいという条件から選択してやればよい。それぞれ、P偏光、S偏光で最適な次数の組み合わせを選択すればよい。
E′ = α×(β×Ep−γ×Es) (3)
上述のように、S偏光またはP偏光成分に揃えられた照明光は、同一の入射角、及び同一の波長の条件とすることにより、下地の層10bの膜厚ムラを反映した干渉による強度変化は略同一の状態として得られる。このため、定数α,β,γに最適な値を選定することにより、ウェハ10の表面からの反射若しくは回折される光による第1の撮像素子17で検出される対物レンズ9の瞳像に含まれる開口部の像の輝度値が式(3)により補正され、この補正後の輝度値E′は、下地の層10bの膜厚ムラに起因する干渉による強度変化の影響が低減された値となる。そして、この補正後の輝度値E′が、基準試料(良品試料)の輝度値と比較されることにより、ウェハ10の検査パターンの欠陥検査が可能となる。
以上の欠陥検査装置20においては、S偏光及びP偏光成分のいずれかからなる直線偏光状態に揃えられた光は、同一の波長である場合において、S偏光成分の照明光による輝度値Esが下地の層10bの影響を受けやすいとの前提から、式(3)で補正された補正後の輝度値E′は、P偏光の光に揃えた照明光による瞳像の輝度値Epを、S偏光の光に揃えた照明光による瞳像の輝度値Esで補正することを意味しており、補正後の輝度値E′は、補正後のP偏光に揃えた照明光による輝度値Ep′となる場合で説明している。しかし、これに限らず、下地の層10bの膜厚ムラの影響を受けた干渉による強度変化の状態が、逆転する波長のS偏光又はP偏光成分からなる照明光であってもよい。つまり、補正後の輝度値E′は、下地の層10bの影響を受けやすい偏光成分の照明光による輝度値と、あまり受けない方の偏光成分の照明光による輝度値とで、式(3)により求めることも可能である。
なお、以上の説明においては、欠陥検査装置20の、光源1からの光をS偏光又はP偏光成分に揃える偏光子7は、検出部23により制御され、欠陥検査の間に自動で、切り替える(回転させる)ことができるようになっている場合について説明しているが、手動で行うように構成してもよい。
また、本実施の形態の欠陥検査装置20においては、照度均一化ユニット3は、光源1から放射されウェハ10に照射される照明光の波長を選択する干渉フィルタを含んだ波長選択部としての機能を有している場合を示しているが、この干渉フィルタを含まないものとして構成してもよい。その場合は、光源1からの光は、複数の波長域を含んだ照明光となるので、この照明光を使用する場合は、ウェハ10に照射して得られた反射若しくは回折した光による瞳像を受光する際に、例えば、第1撮像素子17と第2視野絞り16との間に光路分割素子やカラーフィルターなどを設置しておき、R,G,Bの波長域毎に分けて受光されるようにしておいてもよく、受光された波長域毎に、上述の式(3)により補正し、補正後の輝度値E′を求めることができる。そして、その補正後の輝度値E′により、同様に、ウェハ10の欠陥検査が行うことができる。この補正後の輝度値E′は、下地の層10bの膜厚ムラに起因する干渉の強度変化を低減した値であるので、検査パターンが正常な範囲(良品範囲)内であるにも関わらず、その膜厚ムラに起因した干渉により、欠陥品とみなされてしてしまうことを防止することができる。
1 光源 4 開口絞り 4a 開口部 9 対物レンズ
10 ウェハ(基板) 17 第1撮像素子 20 欠陥検査装置
21 照明光学系 22 検出光学系 23 検出部
10 ウェハ(基板) 17 第1撮像素子 20 欠陥検査装置
21 照明光学系 22 検出光学系 23 検出部
Claims (8)
- 繰り返しパターンが形成された基板の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
対物レンズを含み、前記対物レンズを介して前記基板に形成された繰り返しパターンに光源からの光を照射する照明光学系と、
前記繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による、前記対物レンズの瞳面の像を検出する検出光学系と、
得られた前記瞳像から前記基板の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出部と、
を有し、
前記照明光学系は、前記瞳面と共役な位置に配置された開口絞りと、前記開口絞りと前記対物レンズとの間に配置された偏光素子と、を含み、
前記開口絞りの開口部は、前記照明光学系の光軸に直交する面内において、前記偏光素子を経た前記光が前記繰り返しパターンに対して前記繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で入射するように、その位置が変更可能に構成されてなることを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記偏光子は、前記光軸回りに回転させることにより、直線偏光の偏光方向を変化可能に構成され、
前記検出部は、第1の偏光方向の前記光による前記瞳面の像の輝度値と、前記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向の前記光による前記瞳面の像の輝度値と、から補正された輝度値を算出し、当該補正された輝度値により前記基板の繰り返しパターンの欠陥を検出するように構成された請求項1に記載の欠陥検査装置。 - 前記第1の偏光方向はP偏光及びS偏光のいずれか一方であり、前記第2の偏光方向はP偏光及びS偏光の他方であって、
前記検出部は、前記P偏光による前記瞳面の像の前記輝度値をEpとし、前記S偏光による前記瞳面の像の前記輝度値をEsとし、定数をα,β,γとし、前記瞳面の像の補正後の輝度値をE′としたとき、次式
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により前記補正後の輝度値を算出するように構成された請求項2に記載の欠陥検査装置。 - 前記照明光学系は、前記基板に形成された繰り返しパターンに照射される前記光源からの光の波長域を選択する波長選択部を有する請求項1〜3いずれか一項に記載の欠陥検査装置。
- 繰り返しパターンが形成された基板の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
対物レンズを含む照明光学系を介して前記基板に形成された繰り返しパターンに対して所定の直線偏光からなる光を、前記繰り返しパターンからの正反射光の強度が最小となる角度で照射する照明工程と、
前記繰り返しパターンに起因して生じた複数次数の回折光による、前記対物レンズの瞳面の像を検出する撮像工程と、
得たれた前記瞳像から前記基板の繰り返しパターンの欠陥を検出する検出工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。 - 前記偏光子は、光軸回りに回転させることにより、直線偏光の偏光方向を変化可能に構成され、
前記検出工程は、第1の偏光方向の前記光による前記瞳面の像の輝度値と、前記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向の前記光による前記瞳面の像の輝度値と、から補正された輝度値を算出し、当該補正された輝度値により前記基板に形成された繰り返しパターンの欠陥を検出するように構成された請求項5に記載の欠陥検査方法。 - 前記第1の偏光方向はP偏光及びS偏光のいずれか一方であり、前記第2の偏光方向はP偏光及びS偏光の他方であって、
前記検出工程は、前記P偏光による前記瞳面の像の前記輝度値をEpとし、前記S偏光による前記瞳面の像の前記輝度値をEsとし、定数をα,β,γとし、前記瞳面の像の補正後の輝度値をE′としたとき、次式
E′ = α×(β×Ep−γ×Es)
により前記補正後の輝度値を算出するように構成された請求項6に記載の欠陥検査方法。 - 前記照明光学系は、前記基板に形成された繰り返しパターンに照射される前記光の波長域を選択する波長選択部を有し、前記照明工程において前記光の波長域を選択して前記基板に形成された繰り返しパターンに照射する請求項5〜7いずれか一項に記載の欠陥検査方法。
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JP2008282074A JP2010107466A (ja) | 2008-10-31 | 2008-10-31 | 欠陥検査装置及び欠陥検査方法 |
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JP2015511011A (ja) * | 2012-03-07 | 2015-04-13 | ケーエルエー−テンカー コーポレイション | ウェハおよびレチクル検査システムならびに照明瞳配置を選択するための方法 |
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JP2016020867A (ja) * | 2014-07-15 | 2016-02-04 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 欠陥観察方法及びその装置 |
JP2021516796A (ja) * | 2018-03-26 | 2021-07-08 | カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー | マスクを検査するための方法およびデバイス |
CN114062384A (zh) * | 2021-10-27 | 2022-02-18 | 复旦大学 | 一种检测掩模版缺陷的方法和装置 |
-
2008
- 2008-10-31 JP JP2008282074A patent/JP2010107466A/ja active Pending
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