JP2010103590A - 音響制御装置、及び、音響制御装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両10に搭載され、車両10の室内で出力される複数のチャンネルの音声信号を、音声信号の周波数特性を調整する複数のパラメトリックイコライザを用いて調整する音声出力装置1は、各々のパラメトリックイコライザをいずれかのチャンネルの音声信号に割り当てて、各チャンネルの音声信号を調整させ、各チャンネルの出力音量のバランスが設定された場合に、設定された各チャンネルの出力音量のバランスに基づいて、各チャンネルに割り当てるパラメトリックイコライザの数を変更する。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明の目的は、イコライザの数の増大を抑え、複数のチャンネルの音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できるようにすることにある。
この構成によれば、移動体において出力される複数のチャンネルの音声信号に対し、複数のイコライザを割り当てて、音声信号を調整して出力することができ、さらに、各チャンネルに割り当てるイコライザの数を、各チャンネルの音量バランスに基づいて変更する。このため、イコライザを全チャンネルに一律に割り当てるのではなく、個々のチャンネルの音量バランスに応じて分配するので、移動体に搭乗中の聴取者に対して影響の大きいチャンネルに多くのイコライザを割り当てる等、イコライザを効果的に配分できる。これにより、限られた数のイコライザを効果的に使って、複数のチャンネルの音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。
この場合、より音量が大きく、移動体に搭乗している聴取者にとって重要度が大きいチャンネルに多くのイコライザを割り当てて、音声信号の調整の自由度を増すことで、音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。また、音量が小さいチャンネルは聴感上の影響が小さいため、割り当てるイコライザの数が少なくても、聴取者が違和感を覚えることがない。これにより、限られた数のイコライザを効果的に使って、複数のチャンネルの音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。
この場合、各チャンネルの音声信号が移動体の室内におけるスピーカに対応しているため、設定される各チャンネルの音量バランスは、各チャンネルの位置関係を反映しており、この音量バランスは移動体に搭乗している聴取者にとっての重要度と強い相関を有する。このため、各チャンネルの音量バランスに基づいて、割り当てるイコライザの数を変更することで、より効果的に、限られた数のイコライザによる音声信号の調整を行える。
この場合、イコライザの数が減少するチャンネルの音声信号の周波数特性の変化を小さく抑えることにより、音声信号の急激な変化を起こさないように、割り当てるイコライザを減少させることができる。このため、イコライザの数が変化する際の音声信号の変化を抑え、聴取者に不自然な印象を与えることなく、イコライザの配分を最適化できる。
この場合、イコライザを増加させる前後で音声信号の周波数特性が変化しないので、聴取者に不自然な印象を与えることなく、イコライザの配分を最適化できる。
この場合、設定された音量バランスと、各チャンネルに割り当てられるイコライザの数とが対応づけて記憶され、音量バランスが設定された場合に、過去に変更されたイコライザの数が読み出されて設定が行われるので、音量のバランスに基づくイコライザの数の変更を速やかに行うことが可能となり、また、イコライザ数の割当状態に関して再現性を持たせることができる。
この方法によれば、移動体において出力される複数のチャンネルの音声信号に対し、複数のイコライザを割り当てて音声信号を調整して出力する場合に、各チャンネルに割り当てるイコライザの数を、各チャンネルの音量バランスに基づいて変更するので、移動体に搭乗中の聴取者に対して影響の大きいチャンネルに多くのイコライザを割り当てる等、イコライザを効果的に配分できる。これにより、限られた数のイコライザを効果的に使って、複数のチャンネルの音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。
図1は、本発明を適用した音声出力装置1の設置環境を説明する図である。
本実施の形態の音声出力装置1は、移動体の一例としての車両10において車室内に設置される複数のスピーカ2から音声を出力させる。
スピーカ2は、車両10の車室内の前部において左右1個ずつ、後部において左右1個ずつ、合計4個設置されており、乗員が着座する運転席11、座席12、13の位置に対応している。上記4個のスピーカ2の位置を、以後の説明では、フロント右側(FR)、フロント左側(FL)、リア右側(RR)、リア左側(RL)と呼ぶ。
車両10は、4チャンネルの音声信号を処理する機能を備え、各チャンネルの音声を4個のスピーカ2からそれぞれ出力する。
この図2に示すように、音声出力装置1は、4チャンネルの音声信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)5を備えている。DSP5は、内蔵するデジタルフィルタによって音声信号の周波数特性をチャンネル毎に調整し、調整後の音声信号を出力する。
また、音声出力装置1は、CDプレーヤ、MDプレーヤ、ラジオチューナ等の音楽ソース3と、いずれかの音楽ソース3を選択して、この音楽ソース3が出力したデジタル音声信号をDSP5へ出力する音声信号出力部4と、DSP5が出力したデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換してスピーカ2へ出力するD/A(Digital / Analogue)変換部6と、を備えている。
イコライザ部51は、複数のパラメトリックイコライザ(イコライザ)を有し、この複数のパラメトリックイコライザにより各チャンネルの音声信号の周波数特性を調整する。
イコライザ部51が有する複数のパラメトリックイコライザは、DSP5によってソフトウェアの機能により実現されるデジタルフィルタである。DSP5がソフトウェアを実行することにより、パラメトリックイコライザが設定されると、各々のパラメトリックイコライザに対してDSP5が備えるメモリ領域(図示略)が分割されて割り当てられる。
図3には、イコライザ部51が24個のパラメトリックイコライザPEQ1〜24を備えた場合を例示する。この例では、24個のパラメトリックイコライザPEQ1〜24が、4つのチャンネルに均等に割り当てられており、1チャンネルの音声信号を6個のパラメトリックイコライザPEQによって調整する。
例えば、フロント右(FR)のスピーカ2から出力されるチャンネルの音声信号FRは、パラメトリックイコライザPEQ1〜6によって周波数特性が調整され、調整後の音声信号FRがD/A変換部6に出力される。同様に、フロント左(FL)のスピーカ2から出力されるチャンネルの音声信号FLは、パラメトリックイコライザPEQ7〜12によって周波数特性が調整され、リア右(RR)のスピーカ2から出力されるチャンネルの音声信号RR、リア左(RL)のスピーカ2から出力されるチャンネルの音声信号RLも、それぞれ6個のパラメトリックイコライザPEQ13〜18、PEQ19〜24によって調整され、D/A変換部6に出力される。
各チャンネルに割り当てられたパラメトリックイコライザは直列に接続され、各チャンネルの音声信号は直列接続された6個のパラメトリックイコライザによって多重の調整が行われる。
図4(A)には、一例として、3つのパラメトリックイコライザを直列に接続して用いる場合を示し、各パラメトリックイコライザの周波数特性を3つのバンドB1,B2,B3の波形として示す。
この図4(A)に示すように、各バンドの波形すなわち周波数特性は、ゲイン(G)、中心周波数(F)、Qカーブ(先鋭度)の3つの係数(パラメータ)で決定される。
ゲインは、図中に示すように、各バンドの波形のピーク値のゲインを指す。図中の例では0デシベルから上のゲインの値を指しているが、ゲインを負の値に設定して、特定周波数のゲインを低下させることも可能である。この場合、バンドの波形は下向きのピークを持つ波形となる。中心周波数は、各バンドのピーク部分の中心の周波数を指す。このピーク部分とそれ以外とを区分するゲインのしきい値は、任意である。
Qカーブは、波形が頂部を有する曲線を描く場合に、この頂部の帯域幅(f)とゲイン(g)の比を示し、下記式(1)に従って求められる。
Q=g/f ・・・(1)
バンドB1は中心周波数(F)が低周波数域に位置し、バンドB2は中心周波数(F)が中周波数域に位置し、バンドB3は中心周波数(F)が高周波数域にある。このため、各バンドB1〜B3の波形を音声信号の低、中、高周波数の各帯域に合わせて設定することにより、音声信号の周波数特性を、低周波数帯域から高周波数帯域まできめ細かく調整できる。
このように、複数のパラメトリックイコライザを用いて一つの音声信号を調整する場合には、各バンドの中心周波数をずらして設定することで、可聴周波数帯域を分割した各帯域を個々のバンドにより調整できる。この方法では、一つの音声信号に対して使用するパラメトリックイコライザが多いほど、狭い周波数帯域を一つのバンドで調整することになるため、音声信号の周波数特性を、所望の特性により近づけることができる。
図2に示すように、DSP5には入力部7が接続されている。入力部7は、音声出力装置1を収容する本体(図示略)に設けられたスイッチ類やタッチパネル等により構成され、ユーザの操作を受け付ける。
また、音声出力装置1は、DSP5の制御に従って各種画面を表示する表示部8を備えている。
フィルタ係数入力部71には、イコライザ部51が有する個々のパラメトリックイコライザに対して係数が入力される。
また、フェダー・バランス入力部72には、フェダー(フロント−リア間の音量バランス)、及び、バランス(左右間の音量バランス)が入力される。
本実施の形態の入力部7では、フィルタ係数入力部71及びフェダー・バランス入力部72は、表示部8が有する表示画面に重畳配置されたタッチパネルにより実現される。入力部7は、表示部8の表示画面に接触する操作が行われた場合に、この操作位置に表示中の内容に基づいて操作内容を特定し、この操作内容を示す操作信号をDSP5に出力する。
フィルタ係数入力部71は、例えば、表示部8の表示画面に、設定対象のパラメトリックイコライザを選択する選択指示部と、選択したパラメトリックイコライザの計数を入力するテンキー等の数値入力部とを表示し、これらに対する接触操作を検出する構成が挙げられる。
この例では、フェダー・バランス入力部72の入力を行う場合、表示画面80に、フェダー及びバランスを指定するバランス入力部81及び方向指示部82が表示される。バランス入力部81は2次元の直交座標平面からなり、一方の軸はフェダーすなわちフロント(Front)−リア(Rear)間の音量バランスを示し、他方の軸はバランスすなわち右(Right)−左(Left)間の音量バランスを示す。
バランス入力部81の座標平面上に接触操作が行われると、この接触操作がタッチパネルにより検出され、その操作位置の座標が入力値となる。フェダー・バランス入力部72は、接触位置の座標と、バランス入力部81における表示画像とに基づいて、入力された値を特定する。バランス入力部81における操作位置には設定値シンボル85が表示される。このバランス入力部81を用いれば、1回の操作でフェダー及びバランスの両方を入力できる。
図5の例で表示画面80に表示された設定値シンボル85は、中心位置(原点)より上に3、右に2の座標にある。図5の例では上下の軸が前後の音量バランスを示し、左右の軸が左右の音量バランスを示しているから、この設定値シンボル85は、フロントのチャンネルがリアのチャンネルよりも音量が3段階大きく、右側のチャンネルが左側のチャンネルよりも音量が2段階大きくなるような設定状態に相当する。
また、表示画面80には、バランス入力部81又は方向指示部82の操作により入力されたバランスの値及びフェダーの値を示す設定値表示部86が表示される。バランスの値及びフェダーの値は、音量バランスが均等である状態を0(ゼロ)として、+又は−の値で表現される。バランスの設定値は、左右の音量バランスが均等の場合に0となり、右のチャンネルの音量が大きく設定された場合は+の数値となり、左のチャンネルの音量が大きく設定された場合は−の数値となる。フェダーの設定値は、前後の音量バランスが均等の場合に0となり、前のチャンネルの音量が大きく設定された場合は+の数値となり、後のチャンネルの音量が大きく設定された場合は−の数値となる。
図6は、各チャンネルの割当バンド数を算出する際に用いるテーブルの構成例を示す図であり、図6(A)はフェダー設定値と割当バンド数の増減との対応を定めたテーブルを示し、図6(B)はバランス設定値と割当バンド数の増減との対応を定めたテーブルを示す。この図6(A)及び(B)に例示するテーブルは、例えば、DSP5が備えるメモリに記憶されており、チャンネル別バンド数算出部54によって読み出される。
図6(A)の例では、フェダーの設定値が+4から−4まで9段階で設定可能な場合に、これら9段階の設定値に対応して、フロント側の2個のスピーカ2に対応する2チャンネルの割当バンド数の増減量と、リア側の2個のスピーカ2に対応するチャンネルの割当バンド数の増減量とが対応づけられている。具体的には、フェダー設定値が+4の場合、フロントの左右各チャンネルの割当バンド数が2ずつ増加し、リアの左右各チャンネルの割当バンド数が2ずつ減少するよう設定されている。また、例えばフェダー設定値が+1〜−1の場合、割当バンド数の増減は0(ゼロ)である。
このように、より音量が大きくなるチャンネルに、多くのパラメトリックイコライザを割り当てることにより、より高音質の音声を聴取できるようになるという利点がある。
また、車両10の車室内に配置された4個のスピーカ2のうち、音量が小さくなるよう設定されたスピーカ2の近くには、人が着座していない可能性が高い。このため、音量が小さくなるよう設定されたチャンネルの音声信号の重要度は低く、このチャンネルの割当バンド数が少なくても、違和感を惹起する可能性は低い。反対に、音量が大きくなるよう設定されたスピーカ2の近くには、人が着座している可能性が高く、このスピーカ2に対応するチャンネルの音声信号の重要度は高い。
従って、音量が大きくなるように設定されたチャンネルにより多くのパラメトリックイコライザを割り当てて、周波数特性を十分に調整できるようにすれば、限られた数のパラメトリックイコライザを有効に活用して、所望の特性に近い音声を出力させることができ、興趣性、快適性を高めることができる。
フィルタ係数設定部52は、フィルタ係数保持部55から入力されるパラメータを、各チャンネルに割り当てられたパラメトリックイコライザに設定する。
設定記憶部53は、DSP5が備えるメモリの一部領域を用いて構成され、フェダーとバランスの設定値の組合せに対応づけて、各チャンネルの割当バンド数、及び、各パラメトリックイコライザに設定したパラメータが、フィルタ係数設定部52によって読み出し可能な形態で記憶する。
チャンネル別バンド数算出部54は、図6(A)及び(B)に例示したテーブルに基づいて算出した割当バンド数とともに、フェダー・バランス入力部72により設定されたフェダー及びバランスの設定値を、フィルタ係数設定部52に出力し、フィルタ係数設定部52は、このフェダー及びバランスの設定値に対応づけて設定記憶部53に記憶された割当バンド数及びパラメータを読み出すことができる。
設定記憶部53は、フェダー及びバランスの設定値の組合せに対応づけて一通りの割当バンド数及びパラメータを記憶するものとしてもよいし、一つのフェダー及びバランスの設定値の組合せに対し、複数の割当バンド数及びパラメータを記憶してもよい。本実施の形態では、一つの設定値に対して一通りの割当数及びパラメータを記憶するものとする。
音声出力装置1のDSP5は、フェダー・バランス入力部72によってフェダー又はバランスの設定値が変更され、変更後の設定値がチャンネル別バンド数算出部54により取得されるまで待機する(ステップS11)。フェダーまたはバランスのいずれかの設定値が変更されると(ステップS11;Yes)、DSP5は、変更後の設定値に対応する割当バンド数及びパラメータを、設定記憶部53に記憶しているか否かを判別する(ステップS12)。ここで、対応する変更後の設定値に対応する割当バンド数及びパラメータを設定記憶部53に記憶していない場合(ステップS12;No)、DSP5は、チャンネル別バンド数算出部54の機能によって、各チャンネルの割当バンド数を算出する(ステップS13)。
割当バンド数が変更される場合(ステップS14;Yes)、DSP5は、フィルタ係数設定部52の機能によって表示部8を制御し、割当バンド数が変更される旨のメッセージを表示部8の表示画面上に表示させる(ステップS15)。
さらに、DSP5は、イコライザ部51が備えるパラメトリックイコライザPEQ1〜24の割当状態を変更する再構成処理を実行する(ステップS16)。
さらにまた、フィルタ係数設定部52の機能により算出した割当バンド数が現在の設定状態と変わらない場合(ステップS14;No)、DSP5は、本処理を終了する。
設定記憶部53に記憶している値を使用しない場合(ステップS20;No)、DSP5は、ステップS13に移行して上記処理を実行する。
ここで、割当バンド数及びパラメータが現在の設定状態と変わらない場合(ステップS22;No)、DSP5は本処理を終了する。
一方、割当バンド数及びパラメータが現在の設定状態とは異なる場合(ステップS22;Yes)、DSP5は、表示部8を制御して、設定状態が変更される旨のメッセージを表示部8の表示画面上に表示させ(ステップS23)、本処理を終了する。
この図8に示すように、DSP5のチャンネル別バンド数算出部54は、フェダー・バランス入力部72により入力されたバランスの設定値を取得し(ステップS31)、取得した設定値と、図6(A)及び(B)に例示したテーブルとに基づいて、各チャンネルの割当バンド数の増減値を算出する(ステップS32)。
続いて、チャンネル別バンド数算出部54は、フェダー・バランス入力部72により入力されたフェダーの設定値を取得し(ステップS33)、取得した設定値と、図6(A)及び(B)に例示したテーブルとに基づいて、各チャンネルの割当バンド数の増減値を算出する(ステップS34)。
これにより、フェダーの設定値と、バランスの設定値との両方を加味して、各チャンネルの割当バンド数を適切な値に変更できる。
なお、この図8に示す割当バンド数算出処理では、ステップS35で算出した全チャンネルの割当バンド数の増減値が0(ゼロ)であって、結果として割当バンド数が変化しないこともあり得る。
また、上記の例において、算出された割当バンド数の減少値と、現在の割当バンド数とを比較し、割当バンド数が0になってしまう場合には、割当バンド数の増減値を調整する処理を行ってもよい。この処理は、例えば、割当バンド数が0になってしまうチャンネルについて、割当バンド数の減少値を1減らし、その分、割当バンド数の増加値が大きいチャンネルの増加値を1減らすことで、実現される。
この再構成処理は、各チャンネルの割当バンド数を、チャンネル別バンド数算出部54による割当バンド数算出処理(図8)によって算出された割当バンド数に変更するため、各チャンネルに割り当てられたパラメトリックイコライザを別のチャンネルに割り当てる処理である。
イコライザ部51は、まず、割当バンド数が減少することとなったチャンネルの処理を行う。イコライザ部51は、チャンネル別バンド数算出部54により算出された割当バンド数に基づいて、割当バンド数が減少することになったチャンネルの中から一つのチャンネルを、処理対象として選択する(ステップS41)。
続いて、イコライザ部51は、処理対象のチャンネルについて割当バンド数の減少数を取得し、この減少数に相当するパラメトリックイコライザを、面積の小さいパラメトリックイコライザから順に選択し(ステップS44)、選択したパラメトリックイコライザを、処理対象のチャンネルに割り当てられた状態から外す(ステップS45)。これにより、処理対象のチャンネルについては、割当バンド数が減少する。
処理対象のチャンネルからパラメトリックイコライザの割り当てを解除すると、そのチャンネルの音声信号を調整していたパラメトリックイコライザが消滅することになるので、音声信号の周波数特性が変化する可能性がある。しかしながら、波形が作り出す領域の面積が小さいパラメトリックイコライザは、ピークが小さい、或いはゲインが小さいということができ、音声信号の周波数特性に与える影響が比較的小さいと考えることができる。従って、波形が作り出す領域の面積が小さいパラメトリックイコライザから順に、割り当て状態から外すことで、割当バンド数を減らす際の音声信号の周波数特性への影響を抑えることができる。
そして、ステップS45でチャンネルへの割り当てが解除されたパラメトリックイコライザは、どのチャンネルにも割り当てられていない、準備状態となる。
一方、割当バンド数が減少する全てのチャンネルについて処理が終了した場合、イコライザ部51は、割当バンド数が増加することとなったチャンネルの処理を行う。イコライザ部51は、チャンネル別バンド数算出部54により算出された割当バンド数に基づいて、割当バンド数が増加することになったチャンネルの中から一つのチャンネルを、処理対象として選択する(ステップS48)。
ここで、イコライザ部51は、割当バンド数が増加する全てのチャンネルについて処理が終了したか否かを判別し(ステップS52)、まだ処理されていないチャンネルがある場合は、ステップS48に戻って別のチャンネルを処理対象として選択する。また、割当バンド数が増加する全てのチャンネルについて処理が終了した場合、イコライザ部51は、本処理を終了する。
すなわち、音声出力装置1は、出力音量が大きいチャンネルに対しては割当バンド数を増加させ、出力音量が小さいチャンネルに対しては割当バンド数を減少させる。従って、より音量が大きく、車両10に搭乗している聴取者にとって重要度が大きいチャンネルには多くのパラメトリックイコライザを割り当てられ、音声信号の調整の自由度が増すので、音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。さらに、音量バランスが大きいチャンネルでは、音声信号の周波数特性の差異やずれが目立ちやすいが、このチャンネルに多くのパラメトリックイコライザを割り当てれば、自由な調整が可能になり、聴取者(ユーザ)に音声信号の特性のずれ等を感じさせない。
また、音量が小さいチャンネルは聴感上の影響が小さいため、割当バンド数が少なくても、聴取者が違和感を覚えることがない。
これにより、限られた数のパラメトリックイコライザを効果的に使って、複数のチャンネルの音声信号を、より所望の特性に近くなるよう調整できる。
特に、車両10の室内においては、聴取者が搭乗する運転席11、座席12、13の位置に応じてスピーカ2が設置され、各々のスピーカ2に対応する4チャンネルの音声信号について、音量バランスをフェダー・バランス入力部72によって入力でき、この入力された音量バランスに基づいて割当バンド数が変更される。このため、聴取者の着座位置と音量バランスとの相関が非常に強く、各チャンネルの音量バランスに基づいて割当バンド数を変更することによって、極めて効果的に音声信号の調整を行える。
さらに、音声出力装置1は、図6に示したテーブルに基づいて、フェダー及びバランスの設定値に対応する割当バンド数の増減値を求めるので、割当バンド数の増減値を、より速やかに求めることができる。
さらに、イコライザ部51は、割当バンド数を増加させる場合に、新たに割り当てる全てのパラメトリックイコライザの周波数特性をフラットな特性に設定するので、パラメトリックイコライザを増加させる前後で音声信号の周波数特性が変化しない。このため、聴取者に不自然な印象を与えることなく、パラメトリックイコライザの配分を最適化できる。
さらに、上記実施の形態では、移動体としての車両10に本発明に係る音声出力装置1を設置した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、船舶や電車等であってもよく、車両は小型車両であっても大型車両であってもよい。また、スピーカ2の数は移動体の室内のサイズに応じて任意に変更可能であり、スピーカ2の位置を均等に配置する必要はなく、移動体の室内の構成に応じて適宜設置すればよい。その他の細部構成についても、本発明の趣旨を損なうことのない範囲において、任意に変更可能である。
2 スピーカ
3 音楽ソース
4 音声信号出力部
5 DSP
6 D/A変換部
7 入力部
8 表示部
10 車両(移動体)
11 運転席
12 座席
51 イコライザ部(割当制御手段)
52 フィルタ係数設定部(イコライザ設定手段)
53 設定記憶部(記憶手段)
54 チャンネル別バンド数算出部
55 フィルタ係数保持部
71 フィルタ係数入力部
72 フェダー・バランス入力部(音量バランス設定手段)
Claims (7)
- 移動体に搭載され、前記移動体の室内で出力される複数のチャンネルの音声信号を制御する音響制御装置において、
音声信号の周波数特性を調整する複数のイコライザと、
各々の前記イコライザをいずれかのチャンネルの音声信号に割り当てる割当制御手段と、
前記割当制御手段によって割り当てられた前記イコライザの設定を行って、各チャンネルの音声信号を調整させるイコライザ設定手段と、
各チャンネルの出力音量のバランスを設定する音量バランス設定手段と、を備え、
前記割当制御手段は、前記音量バランス設定手段により設定された各チャンネルの出力音量のバランスに基づいて、各チャンネルに割り当てる前記イコライザの数を変更すること、
を特徴とする音響制御装置。 - 前記割当制御手段は、出力音量が大きいチャンネルに対しては割り当てる前記イコライザの数を増加させ、出力音量が小さいチャンネルに対しては割り当てる前記イコライザの数を減少させること、
を特徴とする請求項1記載の音響制御装置。 - 各々のチャンネルの音声信号は、前記移動体の室内に配置された複数のスピーカの各々に対応しており、
前記音量バランス設定手段は、前記移動体の室内に配置された複数のスピーカからの出力音量のバランスを設定すること、
を特徴とする請求項1または2記載の音響制御装置。 - 前記割当制御手段は、一つのチャンネルに割り当てる前記イコライザの数を減少させる場合には、当該チャンネルに割り当てられている全ての前記イコライザのうち、最も音声信号の周波数特性への影響が小さい前記イコライザから順に、割り当てを解除すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響制御装置。 - 前記割当制御手段は、一つのチャンネルに割り当てる前記イコライザの数を増加させる場合には、当該チャンネルに新たに割り当てる全ての前記イコライザの周波数特性をフラットな特性に設定してから、割り当てを行うこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音響制御装置。 - 前記音量バランス設定手段により設定された各チャンネルの出力音量のバランスと、このバランスに基づいて前記割当制御手段により変更された各チャンネルに割り当てる前記イコライザの数と、を対応づけて記憶する記憶手段を備え、
前記割当制御手段は、前記音量バランス設定手段により各チャンネルの出力音量のバランスが設定された場合に、このバランスに対応づけて前記記憶手段に記憶された数に従って、各チャンネルに割り当てる前記イコライザの数を変更すること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の音響制御装置。 - 移動体に搭載され、前記移動体の室内で出力される複数のチャンネルの音声信号を、音声信号の周波数特性を調整する複数のイコライザを用いて調整する音響制御装置を制御して、
各々の前記イコライザをいずれかのチャンネルの音声信号に割り当てて、各チャンネルの音声信号を調整させ、
各チャンネルの出力音量のバランスが設定された場合に、設定された各チャンネルの出力音量のバランスに基づいて、各チャンネルに割り当てる前記イコライザの数を変更すること、
を特徴とする音響制御装置の制御方法。
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