JP2010103106A - 導電性膜形成用組成物および導電性膜付き積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、使用時に変形が生じるタッチパネル、電子ペーパーなどが具備する導電性膜付き積層体に用いた場合、視認性、導電性、光学特性に優れ、かつ変形に対する耐性が高く、低コストの導電性膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合開始剤および溶剤を含有することを特徴とする導電性膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性膜形成用組成物、導電性膜付き積層体ならびに該基材の製造方法、該積層体を用いてなるタッチパネルおよび該タッチパネルを具備する表示装置に関する。さらに詳細には、本発明は、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、光重合開始剤および溶剤を含有することを特徴とする導電性膜形成用組成物、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面に該組成物を塗工して得られる導電性膜付き積層体ならびに該積層体の製造方法、該積層体を用いてなるタッチパネルおよび該タッチパネルを具備する表示装置に関する。
従来、タッチパネル等の電子部材に用いられる透明電極フィルムは、ITO等の無機透明導電材料を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム上に付着させて導電層を形成させているが、このような無機導電層は硬く、非常に脆いため、折り曲げ等の変形により容易に破壊され、導電性を消失してしまうという問題がある。
加えて、ITOをフィルム上に付着し導電層を形成する過程は、真空状態を必要とするため、高コストである。
また、液晶ディスプレイ等の平板型画像表示装置に装着されるタッチパネルや電子ペーパー等において、透明電極フィルムを用いる場合には透明性に優れ、複屈折が小さく、高強度で高耐熱性、低吸水性である必要があり、このような特性を満足した上に、変形に対し耐性のある導電層を有するフィルムが見出される必要が生じている。
特に、抵抗膜式タッチパネルは、透明導電フィルム2枚を上部電極と下部電極としてスペーサを介して対向配置した構成を有し(特許文献1)、その簡便な構造と安価である点から透明スイッチとして広く用いられており、特に、液晶表示素子と組み合わせて個人向けのモバイル用途やカーナビ用途に広く用いられている。
しかしながら、透明スイッチとして抵抗膜式タッチパネルを用いる場合には、その導電層側の表面形状により、視認性と導電性とが大きく左右されるという問題もある。
さらに、特許文献2には、高透明性を有する有機電極を製造するための有機電極コーティング用組成物が記載されている。該組成物は、ナノ粒子サイズのポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)系伝導性高分子水溶液、多価アルコール、界面活性剤を、溶媒である1価アルコールおよびアミド系、スルホキシド系溶媒またはこれらの混合溶媒と混合する際、伝導性高分子水溶液中の伝導性高分子粒子をナノスケールで微細相分離したものである。
しかしながら、導電性高分子単体での組成のため、機械的強度や耐熱性、耐候性などのような環境耐久性に劣るという問題がある。
特開2008−027463号公報 特表2007−531233号公報
本発明は、使用時に変形が生じるタッチパネル、電子ペーパーなどが具備する導電性膜付き積層体に用いた場合、視認性、導電性、光学特性および環境耐久性に優れ、かつ変形に対する耐性が高く、低コストの導電性膜形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、ノルボルネン系樹脂フィルム上に、ポリチオフェン系化合物などを含有する導電性膜形成用組成物からなる導電性膜を形成することにより、光学特性、環境耐久性および導電性に優れる透明導電性積層フィルムを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の導電性膜形成用組成物は、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤および溶剤を含有することを特徴とする。
上記有機系導電性化合物は、ポリチオフェン系化合物であることが好ましい。
上記の重合性基を有するアミン化合物は、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、メラミン化合物の誘導体およびシロキシド基を有するアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物であることが好ましい。
上記重合性基を有するアミン化合物は、下記式(1)で表される、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物であることが好ましい。
Figure 2010103106
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基を表す。)
上記重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
上記重合性基を有するアミン化合物の含有量は、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、1〜50重量%であってもよい。
本発明の導電性膜形成用組成物は、さらに、(メタ)アクリレート化合物(ただし、上記の重合性基を有するアミン化合物を除く。)を含有することができる。またさらに、環状エーテル含有化合物も含有することができる。
上記溶剤は、ジメチルスルホキシドを含有することが好ましい。
上記溶剤として、さらに、多価アルコール、ポリオール、1価アルコールおよびアミド系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含有することが好ましい。
本発明の導電性膜付き積層体の製造方法は、上記導電性膜形成用組成物を熱可塑性樹脂基材上に塗布する工程(A)、塗布された該組成物を加熱処理する工程(B)、および加熱処理した該組成物に放射線を照射して導電性膜を形成する工程(C)を含むことを特徴とする。
上記熱可塑性樹脂基材は、ノルボルネン系樹脂フィルムであることが好ましく、該ノルボルネン系樹脂フィルムは、下記式(2)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体から導かれる構造単位を有する樹脂からなることが好ましい。
Figure 2010103106
(式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;もしくは該炭化水素基以外の1価の有機基を表す。R5とR6またはR7とR8とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R5とR6、R7とR8またはR6とR7とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよい。ただし、該炭素環および該複素環は、単環構造または多環構造を形成していてもよく、芳香環であっても非芳香環であってもよい。mは、0または1〜3の整数を表し、nは、0または1を表す。)
また、本発明の導電性膜付き積層体は、上記製造方法により得られることを特徴とし、JIS B0601−1994に規定の表面粗さである算術平均粗さ〔Ra〕、最大高さ〔Ry〕および十点平均粗さ〔Rz〕が、それぞれ0.1〜0.2μm、0.5〜2.5および0.2〜2.0であることが好ましく、該表面粗さが、ロールエンボスの熱転写によって付与されることがより好ましい。
本発明のタッチパネルは、該導電性膜付き積層体を用いてなることを特徴とし、本発明の表示装置は、該タッチパネルを透明スイッチとして具備することを特徴とする。
さらに、本発明の導電性膜付き積層体は、熱可塑性樹脂基板と、該基板上に形成された、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤およびジメチルスルホキシドを含有する導電性膜形成用組成物から得られた導電性膜とを有することを特徴とする。
本発明は、使用時に変形が生じるタッチパネル、電子ペーパーなどが具備する導電性膜付き積層体に用いた場合、視認性、導電性、光学特性に優れ、かつ変形に対する耐性が高く、低コストの導電性膜形成用組成物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<導電性膜形成用組成物>
本発明の導電性膜形成用組成物は、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤および溶剤を含有することを特徴とするものである。また、該導電性膜形成用組成物は、(メタ)アクリレート化合物(ただし、該重合性基を有するアミン化合物を除く。)および/または環状エーテル含有化合物をさらに含有することが好ましい。
[有機系導電性化合物]
有機系導電性化合物としては、例えば、ポリチオフェン系化合物、ポリアニリン系化合物、ポリピロール系化合物、ポリアセチレン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリチオフェン系化合物が好ましく、さらに好ましくはポリエチレンジオキシチオフェンをπ共役系導電性高分子として用いることが、透明性、抵抗値および環境安定性の点から好ましい。
このようなポリエチレンジオキシチオフェンの重合度は、2〜100が好ましく、3〜30がより好ましい。
有機系導電性化合物の含有量は、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%である。また、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、有機系導電性化合物は50〜1,000重量部が好ましく、100〜500重量部がより好ましい。有機系導電性化合物の含有量が上記範囲内であると、導電性膜の透明性と抵抗値とのバランスが良好となるため好適である。
[ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体]
ポリスチレンスルホン酸の誘導体としては、ポリ−α−メチルスチレンスルホン酸、ポリ−p−メチルスチレンスルホン酸などを挙げることができる。ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体は、ポリエチレンジオキシチオフェンのドーパントとして用い、ポリエチレンジオキシチオフェンを溶媒に可溶化させる上でも好適である。
ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の重合度は、モノマー単位で10〜100,000個の範囲内が好ましく、溶解性および導電性の点から100〜10,000個の範囲内がより好ましい。
ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の含有量は、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは10〜40重量%である。また、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体は100〜2,000重量部が好ましく、150〜1,000重量部がより好ましい。ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の含有量が上記範囲内であると、導電性と、溶媒への溶解性とに優れるため好適である。また、ポリエチレンジオキシチオフェンのモノマー単位1モルに対して、好ましくは0.1〜10モルであり、より好ましくは1〜10モルである。ポリエチレンジオキシチオフェンに対するポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の含有量が、0.1モルより少なかったり、また10モルより多かったりする場合は、導電性膜が充分な導電性を得られない場合がある。
また、市販品として、例えば、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の水溶液中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合して得られるエイチ・シー・スタルク(株)製のBaytron(登録商標)シリーズ(PH510、P HC V4等)なども好適である。
[重合性基を有するアミン化合物]
重合性基を有するアミン化合物は、ポリチオフェン系化合物を溶解し易くすることにより該ポリチオフェン系化合物の再配列を促進することできる。この再配列により、抵抗値の増大を引き起こすドメイン形成を抑制し、膜の面内および膜厚方向において組成の偏りの少ない均一な導電性膜を形成することができる。さらに、該アミン化合物が有する電荷により静電的に該ポリチオフェン化合物のパッキングを密にし、より一層導電性を高めることができる。加えて、該重合性基を有するアミン化合物を硬化させることで、IPN構造を付与することができ、結果的に導電性膜の物理的強度を高めることができると考えられる。
このような重合性基を有するアミン化合物としては、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、メラミン化合物の誘導体およびシロキシド基を有するアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物であることが好ましい。
(ビニル基を有するアミン化合物)
ビニル基を有するアミン化合物として、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノブチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテルが好ましい。
((メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物)
(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010103106
(式中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基を表す。)
上記式中、R1は水素原子が好ましく、R2は好ましくは炭素原子数1〜5、より好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、好ましくは炭素原子数1のメチル基を表すことが望ましい。
このような(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物としては、例えば、
アミノエチル(メタ)アクリレート、
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
3−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、
2−(ジメチルアミノ)イソプロピル(メタ)アクリレート、
4−(ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、
3−(ジメチルアミノ)イソブチル(メタ)アクリレート、
2−(ジメチルアミノ)tert−ブチル(メタ)アクリレート、
メチルエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、
メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
3−(メチルエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、
2−(メチルエチルアミノ)イソプロピル(メタ)アクリレート、
4−(メチルエチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、
3−(メチルエチルアミノ)イソブチル(メタ)アクリレート、
2−(メチルエチルアミノ)tert−ブチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
3−(ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、
2−(ジエチルアミノ)イソプロピル(メタ)アクリレート、
4−(ジエチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、
3−(ジエチルアミノ)イソブチル(メタ)アクリレート、
2−(ジエチルアミノ)tert−ブチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、
3−(ジプロピルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、
2−(ジプロピルアミノ)イソプロピル(メタ)アクリレート、
4−(ジプロピルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、
3−(ジプロピルアミノ)イソブチル(メタ)アクリレート、
2−(ジプロピルアミノ)tert−ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのうち、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートおよびN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。また、市販品として、例えば、(株)興人製のDMAEA(N−Dimethylaminoethylacrylate)なども好適である。
(メラミン化合物の誘導体)
メラミン化合物の誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサメトキシプロピルメラミンなどが挙げられる。これらのうち、ヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
(シロキシド基を有するアミン化合物)
シラノール基を有するアミン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
これらは1種単独で用いても、また2種以上を併用してもよい。
重合性基有するアミン化合物の含有量は、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%である。重合性基を有するアミン化合物の含有量が上記範囲内であると、ポリチオフェン系化合物を溶解し易くすることによって導電性が均一な導電性膜を形成し易くし、さらに静電的に該化合物のパッキングを密にし、導電性を高められるという効果がより向上するため好適である。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、紫外線などのような放射線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤および加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(または「光ラジカル発生剤」ともいう。)は、紫外線の照射によって、上記の重合性基有するアミン化合物および下記(メタ)アクリレート化合物を硬化させるために用いられる。
このような光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
これらのうち、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい。
これらの光重合開始剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このような光重合開始剤は、市販品を用いることができる。例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンは、「イルガキュア907」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)として、また、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは、「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンは、「ダロキュア1173」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)として入手することができる。
導電性膜形成用組成物における光重合開始剤の含有量は、充分に硬化反応が進行する量であれば特に制限されないが、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であることが望ましい。光重合開始剤の含有量が0.1重量部未満になると、重合性基を有するアミン化合物の硬化反応が充分に進行せず、充分な硬度を有する導電性膜が得られないことがある。また、光重合開始剤の含有量が20重量部を超えると、導電性膜形成用組成物の保存安定性が低下することがある。
一方、熱重合開始剤(または「熱ラジカル発生剤」ともいう。)は、加熱よって、上記の重合性基有するアミン化合物を硬化させるために用いられる。
このような熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,2アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。これらの中でもベンゾイルパーオキサイドが好ましい。これらの熱重合開始剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電性膜形成用組成物における熱重合開始剤の含有量は、充分に硬化反応が進行する量であれば特に制限されないが、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であることが望ましい。熱重合開始剤の含有量が0.1重量部未満になると、重合性基を有するアミン化合物の硬化反応が充分に進行せず、充分な硬度を有する導電性膜が得られないことがある。また、熱重合開始剤の含有量が20重量部を超えると、導電性膜形成用組成物の保存安定性が低下することがある。
[溶剤]
溶剤として、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有することが好ましく、さらに、多価アルコール、ポリオール、1価アルコールおよびアミド系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤および水を含有することができる。
「ジメチルスルホキシド」(DMSO)は、ポリチオフェン系化合物を溶解し、均一な導電膜を形成するために用いられ、導電性膜形成用組成物の総重量に対して1〜50重量%の量で使用することが好ましい。また、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、ジメチルスルホキシドは100〜10,000重量部が好ましく、100〜1,000重量部がより好ましい。ジメチルスルホキシドの含有量が上記範囲内であると、ポリチオフェン系化合物の溶解性を高めることができ、導電性膜を形成した際の該導電性膜の平滑性および面内での連続性が良好であり、表面抵抗を小さくすることができるため好適である。
「水」は、ポリチオフェン系化合物およびポリスチレンスルホン酸またはその誘導体の分散媒として用いられ、導電性膜形成用組成物の総重量に対して5〜90重量%の量で使用することが好ましい。また、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、水は100〜10,000重量部が好ましく、100〜5,000重量部がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であると、組成物の粘度を比較的低くできるため好適である。
「多価アルコール」または「ポリオール」は、組成物の粘度調整のために用いられ、これらの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エチルヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトールおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
これらのうち、好ましくは分子量が300以下、より好ましくは分子量が150以下であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンが望ましい。これらの分子量が300を超えると組成物の粘度が比較的高めになるおそれがある。
多価アルコールまたはポリオールが3重量%未満の量で配合される場合、ポリチオフェン系化合物による導電性の向上および膜硬度の向上効果を期待することが難しく、20重量%超過の量で添加される場合、ポリチオフェン系化合物の含有量が相対的に減少するに従って、導電性が低くなるという問題点がある。したがって、多価アルコールまたはポリオールは、導電性膜形成用組成物の総重量に対して3〜20重量%の量で使用することが好ましい。
「1価アルコール」は、導電性膜形成用組成物をフィルム面に対して均一に塗布するために用いられ、溶液との親和性を考慮して、炭素原子数が1〜5の1価アルコール類を使用することができる。このような1価アルコールとしては、イソプロパノール、エタノール、メタノールなどが挙げられる。
1価アルコールは、5重量%未満の量で配合される場合、濡れ特性が悪く、10重量%超過の量で添加される場合、導電性が悪くなることができるので、導電性膜形成用組成物の総重量に対して5〜10重量%の量で使用することが好ましい。
「アミド系溶剤」は、ポリチオフェン系化合物のドーパントであるポリスチレンスルホン酸またはその誘導体との親和性に優れていることから、導電性膜の導電性を向上させることができる。このようなアミド系溶剤としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カプロラクタム、1,1,3,3−テトラメチルウレアなどが挙げられる。
アミド系溶剤が5重量%未満の量で配合される場合、配合される溶剤の効果が微弱であるので、全光線透過率90%であり、かつ表面抵抗が300〜900Ω/□である導電性膜を製造することができない。また、25重量%超過の量で配合される場合、導電性膜形成用組成物中にゲル化が進行したり、導電性膜が不均一に形成されるようになる。したがって、アミド系溶剤は、導電性膜形成用組成物の総重量に対して5〜25重量%の量で使用することが好ましい。
[(メタ)アクリレート化合物]
(メタ)アクリレート化合物(ただし、上記の重合性基を有するアミン化合物を除く。)は、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有しているものであれば特に制限されるものではない。単官能(メタ)アクリレート化合物、または多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられ、これらのうち、多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、導電性膜形成用組成物の反応性を向上させることができる。
「単官能(メタ)アクリレート化合物」の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
「多官能(メタ)アクリレート化合物」の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリヒドロキシエチルトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;
イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレートのポリ(メタ)アクリレート類;
トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート等のシクロアルカンのポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とから得られる(メタ)アクリレート等のビスフェノールAの(メタ)アクリレート誘導体類;
3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタンジ(メタ)アクリレート、3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−ジ(メタ)アクリロイルプロパン、N−n−プロピル−N−2,3−ジ(メタ)アクリロイルプロピルパーフルオロオクチルスルホンアミド等の含フッ素(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
これらのうち、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなど、1分子内に含まれるアクリロイル基の数が多く、架橋密度の向上が図れ、優れた硬度を与える多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。これら多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
アクリレート化合物を硬化させる際には、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)を用いることが好ましい。
導電性膜形成用組成物における(メタ)アクリレート化合物の含有量は、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは6〜25重量%である。また、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、(メタ)アクリレート化合物は10〜1,000重量部が好ましく、50〜500重量部がより好ましい。(メタ)アクリレート化合物の含有量が上記範囲内であると、架橋構造の制御が容易となり環境耐久性が良好となるため好適である。
[環状エーテル含有化合物]
環状エーテル含有化合物は、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有しているものであれば特に制限されるものではない。環状エーテル含有化合物として、オキシラニル基含有化合物またはオキセタニル基含有化合物が挙げられ、これらのうち、オキシラニル基含有化合物が好ましく、導電性膜形成用組成物の反応性、得られる硬化膜の熱履歴や応力による変形に対する耐性を向上させることができる。
「オキシラニル基含有化合物」の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、1,2:8,9ジエポキシリモネンなどを挙げることができる。これらオキシラニル基含有化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが反応性の点で好ましい。
「オキセタニル基含有化合物」の具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンなどを挙げることができる。これらオキセタニル基含有化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンが反応性の点で好ましい。
これら環状エーテル含有化合物は、重合性基を有するアミン化合物と架橋反応をすることにより、導電性膜としてIPN構造をとり、パッキングが密となることで導電性膜の機械的強度と導電性とが向上される。
導電性膜形成用組成物における環状エーテル含有化合物の含有量は、重合性基を有するアミン化合物100重量部に対して、環状エーテル含有化合物は10〜1000重量部が好ましく、50〜200重量部がより好ましい。環状エーテル含有化合物の含有量が上記範囲内であると、架橋密度とアミン化合物の相対濃度を適度にコントロールでき、結果的に導電性膜の特性が向上するため好適である。
[他の成分]
本発明の導電性膜形成用組成物には、他の成分として、界面活性剤、シランカップリング剤なども配合することができる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、導電性膜形成用組成物をフィルム面に対して均一に塗布するために用いられる。すなわち、導電性膜形成用組成物の表面張力を下げることにより、ハジキのない塗布面を形成し、抵抗値の面内均一性を高めることができると考えられる。
「界面活性剤」としては、塗料の表面張力を下げる効果があるものであれば特に制限されるものでないが、その効果からフッ素系界面活性剤および/またはアセチレン基を分子中に有するグリコール系界面活性剤が好適である。
「フッ素系界面活性剤」としては、具体的に、サーフロンS−111n、同S−113、同S−121、同S−131、同S−132、同S−141、同S−145、同S−381、同S−383、同S−393、同SC−101、同KH−40、同SA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)製)、メガファックF−114、同F−410、同F−493、同F−494、同F−443、同F−444、同F−445、同F−470、同F−471、同F−472SF、同F−474、同F−475、同R−30、同F−477、同F−478、同F−479、同F−480SF、同F−482、同F−483、同F−484、同F−486、同F−487,同F−172D、同F−178K、同F−178RM、同ESM−1、同MCF−350SF、同BL−20、同R−61、同R−90(以上、大日本インキ化学工業(株)製)といった市販のアニオン系、カチオン系、両性、非イオン系の材料を1種単独で、または2種類以上併用することが可能である。
「アセチレン基を分子中にもつグリコール系界面活性剤」としては、具体的に、サーフィノール104E、同104H、同104A、同104BC、同104DPM、同104PA、同104PG−50、同104S、同420、同440、同465、同485、同SE、同SE−F、同504、同61、同2502、同82、ダイノール604(以上、日信化学工業(株)製)といった市販品を1種単独で、または2種類以上併用することが可能である。
加えて、「フッ素系界面活性剤」と「アセチレン基を分子中にもつグリコール系界面活性剤」とを併用することも好ましい。
導電性膜形成用組成物における界面活性剤の添加量は、特に制限されるものではないが、導電性膜形成用組成物の固形分の合計を100重量部としたときに、通常、0.001〜10重量部が好ましい。界面活性剤の添加量が0.001重量部未満となると、添加効果の発現に乏しい傾向がある。一方、界面活性剤の添加量が10重量部を越えると、導電性の低下が引き起こされる傾向がある。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、導電性膜形成用組成物の基材への密着性向上のために用いられる。
導電性膜形成用組成物におけるシランカップリング剤の添加量は、特に制限されるものではないが、導電性膜形成用組成物の固形分の合計を100重量部としたときに、通常、0.001〜10重量部が好ましい。シランカップリング剤の添加量が上記範囲内であると導電性能の維持と上述の基材への密着性の両立が可能となるため好適である。
[導電性膜形成用組成物の製造方法]
導電性膜形成用組成物の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。以下にその製造方法を具体的に例示するが、本発明はこれに限定されない。
まず、溶媒中、ポリアニオン(例えば、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体)存在下で、π共役系導電性高分子を形成するモノマー(例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン)を酸化重合して、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの複合体を形成させる。この時点では、上記複合体は溶媒中で微粒子状に分散された状態となっている。
これにDMSO、ポリオール、多価アルコール、アルコール、アミノ系溶剤を適宜添加し、上述の分散状態から該複合体を混合溶媒中に溶解させる。
さらに、架橋成分であるアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート化合物、光重合開始剤、界面活性剤およびシランカップリング剤を添加し、導電性膜形成用組成物が得られる。
<導電性膜付き積層体の製造方法>
本発明の導電性膜付き積層体の製造方法は、上記導電性膜形成用組成物を熱可塑性樹脂基材上に塗布する工程(A)、塗布された該組成物を加熱処理する工程(B)、および加熱処理した該組成物に放射線を照射して導電性膜を形成する工程(C)を含むことを特徴とするものである。
[工程(A)]
工程(A)とは、上記導電性膜形成用組成物を熱可塑性樹脂基材上に塗布する工程である。
ノルボルネン系樹脂が光学特性に優れていることから、「熱可塑性樹脂基材」はノルボルネン系樹脂フィルムであることが好ましい。
(ノルボルネン系樹脂フィルム)
ノルボルネン系樹脂フィルムを構成するノルボルネン系樹脂は、下記式(2)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体から導かれる構造単位を有する樹脂、すなわちノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体組成物を重合した樹脂からなることが好ましく、また必要に応じて、さらに水素添加して得られたものがより好ましい。
「単量体組成物」に用いられるノルボルネン系化合物としては、例えば、下記式(2)で表されるノルボルネン系化合物が挙げられる。
Figure 2010103106
(式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;もしくは該炭化水素基以外の1価の有機基を表す。
5とR6またはR7とR8とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R5とR6、R7とR8またはR6とR7とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよい。ただし、該炭素環および該複素環は、単環構造または多環構造を形成していてもよく、芳香環であっても非芳香環であってもよい。
mは、0または1〜3の整数を表し、nは、0または1を表す。)
上記式(2)で表されるノルボルネン系化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルカルボニルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
8−フェニル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ブロモ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ジクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−トリクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ヒドロキシ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シアノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−アミノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4−エン、
ヘキサシクロ[8.4.0.12,9.14,7.111,14.03,8]ヘプタデカ−5−エン、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−(4−ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェニルカルボニルオキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8,8−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フルオロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−クロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ブロモ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8,8,9,9−テトラクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−アミノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン。
なお、これらノルボルネン系化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ノルボルネン系化合物の種類および量は、得られる樹脂に求められる特性により適宜選択される。
これらノルボルネン系化合物のうち、その分子内に酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を少なくとも1個含む構造(以下「極性構造」という。)を有するノルボルネン系化合物を用いると、他素材との接着性や密着性に優れるため好ましい。特に、上記式(2)中、R5およびR7が、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基、好ましくは水素原子またはメチル基を表し、R6またはR8のいずれかが、極性構造を有する基を表し、他方が、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基を表すノルボルネン系化合物は、樹脂の吸水(湿)性が低く好ましい。さらに、極性構造を有する基が下記式(3)で表される基であるノルボルネン系化合物は、得られる樹脂の耐熱性と吸水(湿)性とのバランスがとりやすく、好適である。
−(CH2zCOOR …(3)
(式中、Rは、置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基を表し、zは、0または1〜10の整数を表す。)
上記式(3)中、zが0または小さい整数を表すほど、得られる水素添加物のガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れるので、zは0または1〜3の整数であることが好ましく、さらにzが0である単量体はその合成が容易である点で好ましい。また、上記式(3)中、Rは、炭素原子数が多いほど得られる重合体の水素添加物の吸水(湿)性が低下する傾向にあるが、ガラス転移温度が低下する傾向もあるので、耐熱性を保持する観点から、炭素原子数1〜10の炭化水素基が好ましく、特に炭素原子数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。
なお、上記式(2)において、上記式(3)で表される基が結合した炭素原子に炭素原子数1〜3のアルキル基、特にメチル基が結合していると、耐熱性と吸水(湿)性とのバランスの点で好ましい。さらに、上記式(2)において、mが0または1であり、nが0である化合物は、反応性が高く、高収率で重合体が得られること、また、耐熱性が高い重合体水素添加物が得られること、さらに工業的に入手しやすいことから好適である。
ノルボルネン系樹脂を得るにあたっては、本発明の効果を損なわない範囲で上記ノルボルネン系化合物と共重合可能な単量体とを単量体組成物に含ませて重合することができる。
上記単量体組成物の「重合方法」については、単量体組成物の重合が可能である限り、特に制限されるものではないが、例えば、開環(共)重合反応または付加(共)重合反応によって重合することができる。
(a)開環(共)重合反応
開環重合による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の開環重合反応により行うことができ、上記単量体組成物を、重合触媒、重合反応用溶媒および必要に応じて分子量調節剤を用いて、開環重合させることによって製造することができる。
(b)付加(共)重合反応
付加(共)重合反応による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の付加重合反応により行うことができ、ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を、重合触媒、必要に応じて重合反応用溶媒、および必要に応じて分子量調節剤を用いて、付加重合させることによって製造することができる。
上記開環(共)重合反応により得られる重合体は、その分子中にオレフィン性不飽和結合を有している。また、上記付加(共)重合反応においても、重合体がその分子中にオレフィン性不飽和結合を有する場合がある。このように、重合体分子中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、係るオレフィン性不飽和結合が経時着色やゲル化等劣化の原因となる場合があるので、このオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する「水素添加反応」を行うことが好ましい。
水素添加反応は、通常の反応方法、すなわち、オレフィン性不飽和結合を有する重合体の溶液に公知の水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
水素添加重合体の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、成形体として使用した場合に長期にわたって安定した特性を得ることができるため好ましい。
本発明の目的を損なわない範囲において、ノルボルネン系樹脂にさらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
「酸化防止剤」としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
「紫外線吸収剤」としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。また、後述する溶液キャスティング法によりノルボルネン系樹脂フィルムを製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することにより、その製造を容易にすることができる。
(ノルボルネン系樹脂の物性)
ノルボルネン系樹脂は、濃度5g/Lのクロロベンゼン溶液の30℃における固有粘度〔η〕inhが、好ましくは0.2〜2.0dL/g、さらに好ましくは0.35〜1.0dL/g、特に好ましくは0.4〜0.85dL/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量〔Mn〕が、好ましくは5,000〜100万、さらに好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1.5万〜25万であり、重量平均分子量〔Mw〕が1万〜200万、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜50万のものが好適である。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量〔Mn〕および重量平均分子量〔Mw〕が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムは機械的強度が優れたものとなる。
ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕は、通常120℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上である。Tgが上記範囲内であると、抵抗膜式タッチパネル製造時に受ける熱履歴に対して、該樹脂フィルムの変形を極力小さくすることができるため好適である。
(ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法)
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を直接溶融成形することにより、または溶媒に溶解しキャスティング(キャスト成形)する方法により好適に成形することができる。
(a)溶融成形
本発明に用いるノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂またはノルボルネン系樹脂と上述した添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形することにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形等を挙げることができる。
(b)キャスティング
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解した液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラムまたはポリエステルフィルム等の基材の上に、該液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後基材から塗膜を剥離することにより、ノルボルネン系樹脂フィルムを得ることができる。
上記方法で得られたノルボルネン系樹脂フィルム中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が3重量%を超える場合、経時的にフィルムが変形したり特性が変化したりして所望の機能が発揮できなくなることがある。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、その厚さを特に限定するものではないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μm程度であるのが望ましい。フィルムの厚さが薄すぎると、強度が不足する場合があり、また、厚すぎると、複屈折性が高くなり、透明性、外観性が低下する場合がある。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、光透過性が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であるのが望ましい。
(ノルボルネン系樹脂フィルムの延伸処理方法)
ノルボルネン系樹脂フィルムは、延伸処理を施した位相差フィルムであってもよい。延伸処理の方法としては、該フィルムを一軸延伸処理または二軸延伸処理する方法が用いられる。
「二軸延伸処理」の場合、同時に二方向に延伸処理を行う方法、一軸延伸処理した後に一軸延伸処理における延伸方向と異なる方向に延伸処理する方法を利用することができる。
「延伸処理温度」は、特に限定されるものではないが、用いるノルボルネン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕を基準として、Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。延伸処理温度を上記範囲内に設定することにより、得られる延伸フィルムに位相差ムラが発生することを抑制することができ、また、屈折率楕円体の制御が容易となることから好ましい。
上記のようにして延伸処理が施されたフィルムは、延伸処理により分子が配向する結果、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度またはフィルムの厚さなどにより制御することができる。
位相差フィルムとして用いられるノルボルネン系樹脂フィルムの厚さは、特に限定するものではないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μm程度であるのが望ましい。
また、位相差フィルムにおいても、上述したような表面処理を施したものであってもよい。
このようなノルボルネン系樹脂フィルムは、市販のものであってもよく、例えば、アートン(ARTON(登録商標))フィルム G(JSR(株)製、膜厚188μm)、アートン(ARTON(登録商標))フィルム R50(JSR(株)製、膜厚150μm)などが好適である。
(ノルボルネン系樹脂フィルム表面への表面粗さ付与方法)
ノルボルネン系樹脂フィルム表面への表面粗さ付与方法として、エンボス処理、フィルム押出時の型転写、粒子含有ハードコートの塗布、エンボスロールとフィルム間に無溶剤の光硬化性樹脂を挟みこんで、フィルム側から活性エネルギー線を照射し、エンボス表面が転写された光硬化性樹脂をフィルム上に設ける方法などが挙げられる。なかでも、エンボス処理にて表面粗さを付与することが、比較的再現良く、安定的に表面粗さを付与することが可能である。JIS B0601−1994に規定されている算術平均粗さ〔Ra〕、最大高さ〔Ry〕および十点平均粗さ〔Rz〕が、それぞれ0.1〜0.2μm、0.5〜2.5および0.2〜2.0、好ましくはそれぞれ0.12〜0.18μm、0.7〜1.5および0.3〜1.5の表面粗さを有するクロムメッキ版型を、温度150〜280℃、好ましくは190〜240℃、圧力1〜100kgf/cm2、好ましくは2〜50kgf/cm2で、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面に押し付け、0.1〜10秒間、好ましくは0.5〜3秒間ホールドした後に、該クロムメッキ版型からノルボルネン系樹脂フィルムを剥がす方法が挙げられる。
このようなエンボス処理を施すことによって得られたノルボルネン樹脂フィルムの表面形状は、0.1≦Ra≦0.2μm、かつ0.2≦Rz≦2.0μmといった数値範囲内に制限されることにより、ノルボルネン樹脂フィルムの透明性を確保しつつ、ヘイズを適切な値に調節することができる。これにより、黒色の背景画像の表面に導電性膜付き積層体を配置した場合に、いわゆる白ぼけ、黒浮きなど、黒色の背景画像にぼやけた白っぽい部分が生じることを有効に防止することができ、背景画像を鮮明に映し出すことができる。
加えて、十点平均粗さ〔Rz〕を0.5≦Ry≦2.5μmとすることで、抵抗膜式タッチパネルにおいて、非接触時の誤動作を有効に防ぐことができる。
ノルボルネン樹脂フィルムの表面形状を、0.1≦Ra≦0.2μm、かつ0.5≦Ry≦2.5μm、かつ0.2≦Rz≦2.0μmといった数値範囲内に制限することで、ノルボルネン樹脂フィルムにおける透明性を確保することができると同時に、これらの数値を適宜最適化することでニュートンリングを有効に防止しながら、ギラツキを最小限に止めることができる。とりわけ、0.12≦Ra≦0.18μm、かつ0.7≦Ry≦2.0μm、0.3≦Rz≦1.5μmとすることが好ましい。このような表面形状を付与することで、タッチパネル等の表示装置に適用された場合に発生し易い、いわゆるニュートンリングをより効果的に防止しつつ、画像表示した際に、高い精細度を維持することができる。
(ノルボルネン系樹脂フィルムの表面処理方法)
ノルボルネン系樹脂フィルムは、導電性膜との接着性を高める目的で、表面処理を施したものであることが好ましい。このような表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられるが、これらのうち、プラズマ処理、コロナ処理およびコーティング処理が好ましい。
表面処理の条件は、使用するノルボルネン系樹脂フィルムの特性により異なるが、該フィルム表面の水の接触角が、70°以下、好ましくは60°以下、より好ましくは40°以下になるように親水化することが望ましい。
また、コロナ処理の条件にて、上記数値範囲を満たす接触角を得るためのコロナ放電電子の照射量としては、10〜1,000W/m2/minが好ましく、50〜500W/m2/minがより好ましい。10W/m2/minより照射量が低い場合には、充分な表面処理の効果が得られないことがある。また1,000W/m2/minより照射量が高い場合には、基材となるノルボルネン系樹脂フィルムに損傷を与えるおそれがある。加えて、コロナ処理を、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスまたは二酸化炭素等の雰囲気下で行うことで、さらなる親水化効果が得られる。
(導電性膜形成用組成物の塗布方法)
導電性膜形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート、ワイヤーコート、バーコート、ロールコート、ブレードコート、カーテンコート、スクリーン印刷などが挙げられる。
[工程(B)]
工程(B)とは、塗布された上記導電性膜形成用組成物を乾燥させる工程である。
導電性膜形成用組成物を乾燥させる際の加熱温度としては、特に限定されないが、例えば、60〜150℃である。導電性膜形成用組成物中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
[工程(C)]
工程(C)とは、乾燥させた上記導電性膜形成用組成物に活性エネルギー線を照射して導電性膜を形成する工程である。
乾燥させた導電性膜形成用組成物に活性エネルギー線を照射することによって導電性膜を硬化させる方法として、紫外線照射の場合、メタルハライドランプ等を用いて、好ましくは0.05〜3J/cm2、より好ましくは0.1〜1J/cm2の照射量の紫外線を大気下で照射することが望ましい。他に活性エネルギー線種としては、可視光、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線、および電子線が挙げられる。
導電性膜の厚さとしては、特に限定するものではないが、通常、0.01〜5μm、好ましくは0.02〜4μm、より好ましくは0.05〜3μm程度である。導電性膜の厚さが薄すぎると、所定の膜強度が得られない場合があり、また厚すぎると、導電性膜付き積層体の光透過性が損なわれる場合がある。
<導電性膜付き積層体>
本発明の導電性膜付き積層体は、熱可塑性樹脂基板と、該基板上に形成された、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤およびジメチルスルホキシドを含有する導電性膜形成用組成物から得られた導電性膜とを有することを特徴とするものであって、上記の導電性膜付き積層体の製造方法により得られることが好ましい。
このような導電性膜付き積層体としては、以下の特性を有することが望ましい。
(全光線透過率およびヘイズ)
導電性膜付き積層体の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を、(株)村上色材技術研究所製のヘイズメーター「HM−150型」を用いて、D65光源においてそれぞれ測定した場合、全光線透過率は、好ましくは80〜95%であり、ヘイズは0〜50%である。
全光線透過率およびヘイズについては、導電性膜付き積層体と組み合わされる表示装置の特性に合わせて適宜、上記範囲内で制御することが好ましく、その場合、具体的な制御処理としては、通常、反射防止処理および/またはアンチグレア処理が用いられる。
(表面抵抗率)
導電性膜付き積層体の表面抵抗率(Ω/□)を、三菱化学(株)製の低抵抗率計「ロレスタ−GP」を用いて測定した場合、好ましくは150〜4,000、より好ましくは200〜2,000、特に好ましくは300〜900である。
表面抵抗率が上記範囲内であると、導電性膜付き積層体をタッチパネル用電極として用いる場合、比較的安定的にタッチ位置を検出することが可能で、かつタッチ位置の読取に必要とされる電圧も比較的低く抑えられ、導電膜の劣化および消費電量の抑制に効果的であるため好適である。
(抵抗値の面内均一性)
導電性膜付き積層体およびタッチパネルの抵抗値の面内均一性(%)を以下に従って測定した場合、好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
まず、対角7インチサイズに調製した試験片の短辺の対向する2辺に導電性ペースト(太陽インキ製造(株)製ECM−100)を塗布し、120℃×30分間乾燥させることで平行な一対の電極を形成した。
この一対の電極に対して一定電圧を掛けた状態で、試験片表面上の縦横10×10点について格子状に電位を測定した。表面抵抗率が面内で均一であると仮定した際の電位の計算値と実測値とのズレを下式により求めた。
電位のズレ(%)=[(電位実測値)−(電位計算値)]/(電位計算値)×100 測定10×10点において上記電位のズレを求め、その絶対値の最大値を「抵抗値の面内均一性」とした。
抵抗値の面内均一性が上記範囲内であると、タッチ位置の検出が正確となり、タッチパネルとしての誤動作を防ぐことが可能となるため好適である。
(屈曲時の表面抵抗)
導電性膜付き積層体の屈曲時の表面抵抗(Ω)を以下に従って測定した場合、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.5〜3、特に好ましくは1〜2である。
長さ110mm×幅10mmに調製した試験片を、曲率半径3mmの円柱状の絶縁体に導電層を外側にして、該円柱に対し半周分巻きつけ、フィルム両端よりそれぞれ5mmの点に一定電圧を印加し、そのときの電流値を測定した。
屈曲時の表面抵抗は下式より求めた。
屈曲時の表面抵抗(Ω)=印加電圧(V)/測定された電流値(A)
屈曲時の表面抵抗が上記範囲内であると、タッチパネルへの繰り返し入力時における、導電性膜のクラック等を抑制することが可能なため好適である。
(環境耐久性)
導電性膜付き積層体およびタッチパネルの環境耐久性を以下に従って測定した場合、好ましくは0.8〜1.5、より好ましくは0.9〜1.3、特に好ましくは0.9〜1.2である。
試験片を温度85℃、相対湿度85%の環境下にて300時間保持する前後の表面抵抗率を、それぞれR0およびRとし、R/R0で算出される抵抗率変化を「環境耐久性」とした。
環境耐久性が上記範囲内であると、長期に渡り安定的な入力動作が可能となるため好適である。
(表面粗さ〔Ra〕、〔Ry〕および〔Rz〕)
導電性膜付き積層体の表面にアンチニュートンリング性を付与する場合、表面粗さ〔Ra〕、〔Ry〕および〔Rz〕を、触針式表面形状測定機(FORM TALYSURF SERIES2、Taylor Hobsons社製)を用いて、試験片表面の測定長5mmにて測定した場合、〔Ra〕は0.1〜0.2μm、〔Ry〕は0.5〜2.5μmおよび〔Rz〕は0.2〜2.0μmが好ましい。
表面粗さが上記範囲内であると、充分なアンチニュートンリング性能が得られるとともに、高精細な表示装置においてもギラツキを充分に抑制しえるため好適である。
<タッチパネル>
本発明のタッチパネルは、上記導電性膜付き積層体を用いてなることを特徴とするものである。タッチパネルとしては以下の特性を有することが望ましい。
(抵抗値の面内均一性)
タッチパネルの抵抗値の面内均一性(%)を以下に従って測定した場合、好ましくは4以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは0.1〜1である。
抵抗値の面内均一性の測定方法としては、上記導電性膜付き積層体からなる上部電極と、スパッタリングによりITO(錫ドープ酸化インジウム)をガラス基板上(厚さ1mm)に製膜した透明電極に導電性ペースト(太陽インキ製造社製ECM−100)を塗布し、120℃×30分間乾燥させてなる下部電極とから、一対の電極を形成し、対角7インチサイズの4線式抵抗膜方式のタッチパネルを作製し、これを試験片とする。
次に、対角7インチサイズに調製した試験片の短辺の対向する2辺に導電性ペースト(太陽インキ製造社製ECM−100)を塗布し、120℃×30分間乾燥させることで平行な一対の電極を形成する。
この一対の電極に対して一定電圧を掛けた状態で、試験片表面上の縦横10×10点について格子状に電位を測定した。表面抵抗率が面内で均一であると仮定した際の電位の計算値と実測値とのズレを下式により求める。
電位のズレ(%)=[(電位実測値)−(電位計算値)]/(電位計算値)×100 測定10×10点において上記電位のズレを求め、その絶対値の最大値を「抵抗値の面内均一性」とした。
抵抗値の面内均一性が上記範囲内であると、タッチ位置の検出が正確となり、タッチパネルとしての誤動作を防ぐことが可能となるであるため好適である。
(環境耐久性)
タッチパネルの環境耐久性を以下に従って測定した場合、好ましくは0.8〜1.6、より好ましくは0.9〜1.4、特に好ましくは0.9〜1.3である。
上述のように作製した試験片を温度85℃、相対湿度85%の環境下にて300時間保持する前後の回路抵抗率を、それぞれR0およびRとし、R/R0で算出される抵抗率変化を「環境耐久性」とした。
環境耐久性が上記範囲内であると、長期に渡り安定的な入力動作が可能となるため好適である。
<表示装置>
本発明の表示装置は、上記タッチパネルを透明スイッチとして具備することを特徴とするものである。
「透明スイッチ」とは、背景に表示装置を設置し、該表示装置上の表示内容を認識した上で、その手前に配置した該透明スイッチに、手指、スライタスペン等で触れることにより、その接触を位置に応じた座標位置を含めたスイッチ入力として感知するものである。
[表示装置の特性]
本発明の表示装置として、以下の特性を有することが望ましい。
(黒色表示の視認性評価)
表示装置の、黒色を表示した際の視認性を以下に従って評価した場合、わずかながら反射光による白ぼけも観察されるものの、黒一色の画面として観察されることが好ましく、明瞭な黒一色の画面として観察されることがより好ましい。
黒色表示の視認性評価としては、上述のように作製した試験片を、対角7インチサイズの液晶表示装置((株)クイックサン製)の前面に配置するように、感圧式接着剤を用いて貼り合わせ、液晶画面の電源をONにして、黒色を表示した際の表示状態をタッチパネル面に正対し、画面表示を目視にて観察し評価するものである。
(緑色表示の視認性評価)
表示装置の、緑色を表示した際の視認性を以下に従って評価した場合、わずかながらギラツキによるRGBも観察されるものの、緑一色の画面として観察されることが好ましく、明瞭な緑一色の画面として観察されることがより好ましい。
緑色表示の視認性評価としては、上記の黒色表示の視認性評価と同様にして製造した表示装置の液晶画面の電源をONにして、緑色を表示した際の表示状態をタッチパネル面に正対し、画面表示を目視にて観察し評価するものである。
(アンチニュートンリング性)
表示装置のアンチニュートンリング性として、3波長の蛍光灯の下、黒い台紙の上にガラス板を乗せ、コーティング面を指で押し当てたときのニュートンリング(干渉ムラ)を目視により観察し評価をした場合、ニュートンリングが見られないことが好ましい。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。
下記項目に従い、導電性膜付き積層体、タッチパネルおよび該タッチパネルを具備する表示装置の物性を測定または評価した。
(1)全光線透過率およびヘイズ
導電性膜付き積層体の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を、(株)村上色材技術研究所製のヘイズメーター「HM−150型」を用いて、D65光源において測定した。
(2)表面抵抗率
導電性膜付き積層体の表面抵抗率(Ω/□)を、三菱化学(株)製の低抵抗率計「ロレスタ−GP」を用いて測定した。
(3)抵抗値の面内均一性
導電性膜付き積層体およびタッチパネルの抵抗値の面内均一性(%)を以下に従って測定した。
まず、対角7インチサイズに調製した試験片の短辺の対向する2辺に導電性ペースト(太陽インキ製造社製ECM−100)を塗布し、120℃×30分間乾燥させることで平行な一対の電極を形成した。
この一対の電極に対して一定電圧を掛けた状態で、試験片表面上の縦横10×10点について格子状に電位を測定した。表面抵抗率が面内で均一であると仮定した際の電位の計算値と実測値とのズレを下式により求めた。
電位のズレ(%)=[(電位実測値)−(電位計算値)]/(電位計算値)×100 測定10×10点において上記電位のズレを求め、その絶対値の最大値を「抵抗値の面内均一性」とした。
(4)屈曲時の表面抵抗
導電性膜付き積層体の屈曲時の表面抵抗(Ω)を以下に従って測定した。
長さ110mm×幅10mmに調製した試験片を、曲率半径3mmの円柱状の絶縁体に導電層を外側にして、該円柱に対し半周分巻きつけ、フィルム両端よりそれぞれ5mmの点に一定電圧を印加し、そのときの電流値を測定した。
屈曲時の表面抵抗は下式より求めた。
屈曲時の表面抵抗(Ω)=印加電圧(V)/測定された電流値(A)
(5)環境耐久性
導電性膜付き積層体およびタッチパネルの環境耐久性を以下に従ってそれぞれ測定した。
試験片を温度85℃、相対湿度85%の環境下にて300時間保持する前後の表面抵抗率および回路抵抗をそれぞれR0およびRとし、R/R0で算出される抵抗率変化を「環境耐久性」とした。
(6)表面粗さ〔Ra〕、〔Ry〕および〔Rz〕
導電性膜付き積層体の表面粗さ〔Ra〕、〔Ry〕および〔Rz〕を、触針式表面形状測定機(FORM TALYSURF SERIES2、Taylor Hobsons社製)を用いて、試験片表面の測定長5mmにて測定した。なお、〔Ra〕、〔Ry〕および〔Rz〕は、それぞれJIS B0601−1994によって規定されている算術平均粗さ、最大高さおよび十点平均粗さを示す。
(7)黒色表示の視認性評価
タッチパネルを具備する表示装置の、黒色を表示した際の視認性を以下に従って評価した。
まず、導電性膜付き積層体を上部電極とし、スパッタリングによりITO(錫ドープ酸化インジウム)をガラス基板上(厚さ1mm)に製膜した透明電極を下部電極として、導電性ペーストを用いて電極を上下別々に形成し、対角7インチサイズの4線式抵抗膜方式のタッチパネルを作製した。
このタッチパネルを、対角7インチサイズの液晶表示装置((株)クイックサン製)の前面に配置するように、感圧式接着剤を用いて貼り合わせた。
このようなタッチパネルを具備する表示装置の液晶画面の電源をONにして、黒色を表示した際の表示状態をタッチパネル面に正対し、画面表示を目視にて観察し、下記の評価した。
◎:明瞭な黒一色の画面として観察された。
○:黒一色の画面として観察されたが、わずかながら反射光による白ぼけも観察された。
(8)緑色表示の視認性評価
タッチパネルを具備する表示装置の、緑色を表示した際の視認性を以下に従って評価した。
上記(7)と同様にして製造したタッチパネルを具備する表示装置の液晶画面の電源をONにして、緑色を表示した際の表示状態をタッチパネル面に正対し、画面表示を目視にて観察し、下記の評価した。
◎:明瞭な緑一色の画面として観察された。
○:緑一色の画面として観察されたが、わずかながらギラツキによるRGBも観察された。
(9)アンチニュートンリング性
導電性膜付き積層体およびタッチパネルを具備する表示装置のアンチニュートンリング性を以下に従って評価した。
導電性膜付き積層体の場合は、3波長の蛍光灯の下、黒い台紙の上にガラス板を乗せ、コーティング面を指で押し当てたときのニュートンリング(干渉ムラ)を目視により観察し、下記の評価をした。
一方、タッチパネルを具備する表示装置の場合は、タッチパネル面を指で押し当てたときのニュートンリング(干渉ムラ)を目視により観察し、下記の評価をした。
○:ニュートンリングが見られない。
×:ニュートンリングが見える。
[作製例1]
環状オレフィン系樹脂からなる透明フィルムであるアートン(ARTON(登録商標))フィルム(JSR(株)製、膜厚188μm)をテンター内で、Tg+10℃(177℃)に加熱し、延伸速度300%/分でフィルムの縦方向に1.2倍に延伸した後、Tg−20℃(147℃)の雰囲気下で約1分間この状態を保持しながら冷却し、さらに室温で冷却し、テンター内から取り出すことにより、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルム(以下「SF−1」とする。)の面内位相差を波長550nmにおいて測定したところ、140nmであった。
[作製例2]
アートン(ARTON(登録商標))フィルム(JSR(株)製、膜厚188μm;以下「F−1」とする。)および作製例1で得られた位相差フィルム(SF−1)のそれぞれの片面に対して、表面粗さが、〔Ra〕=0.11μm、〔Ry〕=0.44および〔Rz〕=0.21のクロムメッキ版型を温度230℃で100kgf/cm2で押し付け、1秒間ホールドした後、F−1およびSF−1をそれぞれ剥離した。片面に表面凹凸を有するエンボスフィルム、それぞれ「EF−1」および「ESF−1」を得た。
得られたエンボスフィルムの表面形状および位相差を測定したところ、(EF−1):〔Ra〕=0.11μm、〔Ry〕=0.46μm、〔Rz〕=0.20μm;波長550nmにおける位相差が8nmであり、(ESF−1):〔Ra〕=0.12μm、〔Ry〕=0.46μm、〔Rz〕=0.21μm;波長550nmにおける位相差が138nmであった。
[実施例1]
(導電性膜形成用組成物の調製)
ポリスチレンスルホン酸ドープのポリチオフェン分散液であるBaytron(登録商標)PH510(エイチ・シー・スタルク(株)製)100gに、溶剤としてジメチルスルホキシド20.1g、水34.1g、界面活性剤としてサーフロンS−111N(AGCセイミケミカル(株)製)の0.1%メタノール溶液2.6gを添加し、30分攪拌した。
攪拌の後、重合性基を有するアミン化合物としてDMAEA((株)興人製)0.51g、(メタ)アクリレート化合物としてペンタエリスリトールトリアクリレートの10%メタノール溶液3.8g、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)の1%メタノール溶液9.6gを添加し、30分攪拌し、導電性膜形成用組成物(1)を得た。
(導電性塗膜付き積層体の製造)
F−1の任意の片面に、大気下で放電量80W/m2/minにてコロナ処理を施した。F−1のコロナ処理を施した面に、導電性膜形成用組成物(1)をNo.5バーコーターを用いて塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて110℃で3分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し、導電性膜付き積層体(1)を得た。
(タッチパネルの製造)
導電性膜付き積層体(1)を上部電極として、スパッタリングによりITO(錫ドープ酸化インジウム)をガラス基板上(厚さ1mm)に製膜した透明電極を下部電極として用い、さらに導電性ペーストを塗布し、120℃で30分間乾燥させて、上下電極それぞれに一対ずつの電極を形成し、対角7インチサイズの4線式抵抗膜方式のタッチパネルを作製した。
(タッチパネルを具備する表示装置の製造)
上記タッチパネルの下部電極側にリリースフィルム付きの感圧性接着剤を貼り合わせて、対角7インチサイズの液晶ディスプレイ((株)クイックサン製)の画面に感圧性接着剤のリリースフィルムを剥離した後貼り合わせ、タッチパネルを具備する表示装置を作製した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[実施例2]
(導電性膜形成用組成物の調製)
実施例1において、水34.1gの代わりに、エチレングリコール20.1gと、イソプロピルアルコール10.8gと、N−メチルホルムアミド3.2gとを用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜形成用組成物(2)を調製した。
(導電性膜付き積層体の製造)
F−1、SF−1、EF−1およびESF−1に対して、エンボス処理フィルムについてはエンボス処理面に、エンボス処理を施していないフィルムについては任意の片面に、大気下で放電量80W・min/m2にてコロナ処理を施した。
その後、導電性膜形成用組成物(2)をNo.5バーコーターを用いてそれぞれに塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて110℃で3分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し、導電性膜付き積層体(A)〜(D)をそれぞれ得た。
(タッチパネルの製造)
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに、導電性膜付き積層体(A)〜(D)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にしてタッチパネルを製造した。
(タッチパネルを具備する表示装置の製造)
上記タッチパネルを、対角7インチサイズの液晶ディスプレイ((株)クイックサン製)に感圧接着剤を用いて貼り合わせ、タッチパネルを具備する表示装置を作製した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2において、DMAEAの代わりにN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(3)を調製した。
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに導電性膜付き積層体(3)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体およびタッチパネルを製造し、さらに該タッチパネルを用いて実施例1と同様にしてタッチパネルを具備する表示装置を製造した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、DMAEAの代わりに硬化成分としてN,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテルを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(4)を調製した。
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに導電性膜付き積層体(4)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体およびタッチパネルを製造し、さらに該タッチパネルを用いて実施例1と同様にしてタッチパネルを具備する表示装置を製造した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2において、DMAEAの代わりに硬化成分としてヘキサメトキシメチルメラミン0.51gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル0.26gとを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(5)を調製した。
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに導電性膜付き積層体(5)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体およびタッチパネルを製造し、さらに該タッチパネルを用いて実施例1と同様にしてタッチパネルを具備する表示装置を製造した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例2において、DMAEAの代わりに硬化成分として3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.51gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル0.26gとを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(6)を調製した。
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに導電性膜付き積層体(6)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体およびタッチパネルを製造し、さらに該タッチパネルを用いて実施例1と同様にしてタッチパネルを具備する表示装置を製造した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[比較例1]
(導電性膜形成用組成物の調製)
実施例1において、ジメチルスルホキシド20.1gを添加することなく、その代わりに実施例1と固形分濃度を同等とするために、水20.1gを添加した以外は実施例1と同様にして導電性膜形成用組成物(4)を調製した。
(導電性膜付き積層体の製造)
実施例1において、導電性膜形成用組成物(1)の代わりに導電性膜形成用組成物(4)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体(4)を得た。
(タッチパネルの製造)
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに、導電性膜付き積層体(4)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にしてタッチパネルを製造した。
(タッチパネルを具備する表示装置の製造)
上記タッチパネルを、対角7インチサイズの液晶ディスプレイ((株)クイックサン製)に感圧接着剤を用いて貼り合わせ、タッチパネルを具備する表示装置を作製した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[比較例2]
(導電性膜形成用組成物の調製)
実施例2において、重合性基を有するアミン化合物としてDMAEA0.6gの代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート0.6gを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(5)を調製した。
(導電性塗膜付き積層体の製造)
実施例1において、導電性膜形成用組成物(1)の代わりに導電性膜形成用組成物(5)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体(5)を得た。
(タッチパネルの製造)
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに、導電性膜付き積層体(5)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にしてタッチパネルを製造した。
(タッチパネルを具備する表示装置の製造)
上記タッチパネルを、対角7インチサイズの液晶ディスプレイ((株)クイックサン製)に感圧接着剤を用いて貼り合わせ、タッチパネルを具備する表示装置を作製した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
[比較例3]
(導電性膜形成用組成物の調製)
実施例2において、重合性基を有するアミン化合物としてDMAEA0.6gの代わりに、アクリルアミド化合物としてN,N−ジメチルアクリルアミド0.6gを用いた以外は実施例2と同様にして導電性膜形成用組成物(6)を調製した。
(導電性膜付き積層体の製造)
実施例1において、導電性膜形成用組成物(1)の代わりに導電性膜形成用組成物(6)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性膜付き積層体(6)を得た。
(タッチパネルの製造)
実施例1において、導電性膜付き積層体(1)の代わりに、導電性膜付き積層体(6)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にしてタッチパネルを製造した。
(タッチパネルを具備する表示装置の製造)
上記タッチパネルを、対角7インチサイズの液晶ディスプレイ((株)クイックサン製)に感圧接着剤を用いて貼り合わせ、タッチパネルを具備する表示装置を作製した。
導電性膜付き積層体、タッチパネルおよびタッチパネルを具備する表示装置について、各物性の測定および評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2010103106
表1から、実施例1〜6で得られた導電性膜付き積層体およびタッチパネルは、「(3)抵抗値の面内均一性」および「(5)環境耐久性」において、比較例1〜3と比較して良好な結果が得られた。さらに、比較例1で得られた導電性膜付きプラスチック基板の「(2)表面抵抗率」は、他と比較しても大幅に高いことがわかった。
また、実施例2で得られたタッチパネルを具備する表示装置のうち、ノルボルネン系樹脂フィルム表面にエンボス処理を施したEF−1およびESF−1を用いたものは、ニュートンリングの発生を効果的に抑制できることが確認できた。

Claims (19)

  1. 有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤および溶剤を含有することを特徴とする導電性膜形成用組成物。
  2. 上記有機系導電性化合物が、ポリチオフェン系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性膜形成用組成物。
  3. 上記の重合性基を有するアミン化合物が、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、メラミン化合物の誘導体およびシロキシド基を有するアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性膜形成用組成物。
  4. 上記の重合性基を有するアミン化合物が、下記式(1)で表される、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性膜形成用組成物。
    Figure 2010103106
    (式中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3の炭化水素基を表す。)
  5. 上記重合開始剤が、光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  6. 上記の重合性基を有するアミン化合物の含有量が、溶剤を除く不揮発分に占める割合として、1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  7. さらに、(メタ)アクリレート化合物(ただし、上記の重合性基を有するアミン化合物を除く。)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  8. さらに、環状エーテル含有化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  9. 上記溶剤が、ジメチルスルホキシドを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  10. 上記溶剤として、さらに、多価アルコール、ポリオール、1価アルコールおよびアミド系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の導電性膜形成用組成物を熱可塑性樹脂基材上に塗布する工程(A)、塗布された該組成物を加熱処理する工程(B)、および加熱処理した該組成物に放射線を照射して導電性膜を形成する工程(C)を含むことを特徴とする導電性膜付き積層体の製造方法。
  12. 上記熱可塑性樹脂基材が、ノルボルネン系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項11に記載の導電性膜付き積層体の製造方法。
  13. 上記ノルボルネン系樹脂フィルムが、下記式(2)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体から導かれる構造単位を有する樹脂からなることを特徴とする請求項11または12に記載の導電性膜付き積層体の製造方法。
    Figure 2010103106
    (式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基;もしくは該炭化水素基以外の1価の有機基を表す。
    5とR6またはR7とR8とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R5とR6、R7とR8またはR6とR7とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよい。ただし、該炭素環および該複素環は、単環構造または多環構造を形成していてもよく、芳香環であっても非芳香環であってもよい。
    mは、0または1〜3の整数を表し、nは、0または1を表す。)
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載の導電性膜付き積層体の製造方法により得られることを特徴とする導電性膜付き積層体。
  15. JIS B0601−1994に規定の表面粗さである算術平均粗さ〔Ra〕、最大高さ〔Ry〕および十点平均粗さ〔Rz〕が、それぞれ0.1〜0.2μm、0.5〜2.5および0.2〜2.0であることを特徴とする請求項14に記載の導電性膜付き積層体。
  16. 上記表面粗さが、ロールエンボスの熱転写によって付与されることを特徴とする請求項14または15に記載の導電性膜付き積層体。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の導電性膜付き積層体を用いてなることを特徴とするタッチパネル。
  18. 請求項17に記載のタッチパネルを、透明スイッチとして具備することを特徴とする表示装置。
  19. 熱可塑性樹脂基板と、
    該基板上に形成された、有機系導電性化合物、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体、重合性基を有するアミン化合物、重合開始剤およびジメチルスルホキシドを含有する導電性膜形成用組成物から得られた導電性膜と
    を有することを特徴とする導電性膜付き積層体。
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