JP2010103040A - 有機エレクトロニクス素子、その製造方法、及び製造装置 - Google Patents

有機エレクトロニクス素子、その製造方法、及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性基材に設けられた有機エレクトロニクス素子をその単位ごとに(素子様に)断裁する際の基材と封止材との間に発生する層間剥離を抑制し、所望の封止性能が得られる有機エレクトロニクス素子の製造方法、製造装置、及び当該製造方法等によって製造した有機エレクトロニクス素子を提供する。
【解決手段】少なくとも可撓性の基材、対向する一対の電極とそれらの間に挟持された有機層(以下「有機機能素子」という。)、及び封止材とで構成される有機エレクトロニクス素子の製造方法であって、前記基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上に封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程とを備えていることを特徴とする有機エレクトロニクス素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロニクス素子の製造方法と製造装置、それらにより製造した有機エレクトロニクス素子に関する。
詳しくは、面光源やディスプレイ、太陽電池等として利用される有機エレクトロニクス素子を製造するための製造方法と製造装置に関し、特に、プラスチックフィルム等の可撓性基材に設けられた有機エレクトロニクス素子を製造するための製造方法とその方法を実施するための製造装置、及び当該製造方法等によって製造した有機エレクトロニクス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という。)、有機光電変換素子、電子写真用有機感光体、有機トランジスタ等を始めとした、様々な有機エレクトロニクス素子の開発が検討されている。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
これらの有機エレクトロニクス素子は、有機物の非常に薄い膜を電極を介して電流を流すことで、発光したり、発電したり、帯電したり、電流や電圧を制御したりする素子である。
有機エレクトロニクス素子の一つである有機EL素子は、有機化合物の薄膜からなる発光層を電極で挟持した構成で、電極間に電流を供給すると発光する素子である。従って、薄膜の有機EL素子を光源として利用すると、小型化、軽量化が容易であるうえ、蛍光灯に比べ発光の応答速度が速く、点灯直後の光量も比較的安定した照明装置となる。
ここで、有機EL素子を液晶表示装置の光源や各種ディスプレイ用の照明装置として利用する場合、発光色は白色が好ましい。しかしながら有機EL素子は、発光層中で励起子を形成し発光に至るまでの電気化学的なプロセスを妨害する水分・酸素などに代表される、物質に対して非常に敏感である。これらの物質が不純物として存在したり、外界から拡散してくると、発光の効率や駆動寿命が著しく短くなり実用的な照明や表示のための性能を得ることができなくなる。
また、水・酸素などは、電極表面や内部の電気的、化学的な特性を変化させ、電子や正孔の移動を妨害する場合もあり、その結果、実用的な特性を大きく劣化させる。したがって、有機EL素子は、特許文献1に開示されるように、乾燥剤を封入して、ガラスや金属缶で密閉した構造の中に収めたり、特許文献2に示されるように、水分や酸素などのガス成分に対して、バリア性能を有する基材や封止材を用いて、性能を確保したりすることが検討されている。
ところで、有機EL素子の製造では、発光素子(有機EL構造体)への水分や酸素による影響を回避し、高品質と高信頼性を維持するために、封止と呼ばれる外気の影響を完全にシャットアウトするための保護膜を形成する操作が行われている。
有機EL素子の封止技術としては、例えば、窒化物や窒化酸化物等の薄膜を電子ビーム法やスパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法等により発光素子(有機EL構造体)上に被覆する方法、具体的には、対向ターゲット式のスパッタ装置を用いた封止技術(例えば特許文献3参照)や、シート状の封止材を、発光層を含む発光素子部分に貼り合わせて封止を行う技術(例えば特許文献4参照)等が挙げられる。
例えば、酸素及び水分による劣化を防止する技術として、有機EL素子の基板上に形成された発光層を封止材で封止する技術が一般的に用いられているが、従来の接着剤を使った封止では、接着剤部分から水分透過により、所望の封止性能が十分得られなかった。
一方、最近では、有機EL素子の用途の拡大等により、樹脂フィルム等の可撓性基材を用いた有機EL素子も登場しており、このような可撓性基材を用いることにより、ロール・ツー・ロール方式(「Roll to Roll方式」ともいう。)の有機EL素子の製造も行われるようになってきた(例えば特許文献5参照)。ここで、ロール・ツー・ロール方式の有機EL素子の製造方法とは、ロール状に巻かれた基材を繰り出して基材上に発光素子(有機EL構造体)を形成し、当該発光素子を形成した基材を再度ロールに巻き取って有機EL素子を作製する製造方法を称する。ロール・ツー・ロール方式による製造は、連続生産が可能なので生産効率を向上させることができるというメリットを有する。
ロール・ツー・ロールで封止を行うと、ライン長が長くなるため、一旦ロール・ツー・ロール上で仮接着を行い、所望サイズに断裁した後、まとめて硬化させる手段が有効である。しかしながら、仮接着状態で断裁を行うと、基材(基板)と封止材との間で層間剥離を引き起こし、剥離部分からの酸素及び水分透過が進行し、所望の封止性能が得られないという問題がある。
また、蒸着法等による発光素子の形成は、ほぼ真空に近い環境下でなされるので、ロール・ツー・ロール方式では、ほぼ真空に近い環境下で基材をロールから繰り出し、発光素子の形成を実施した後に再びロールに巻き取り、巻き取ったロールを水分や酸素による発光素子の劣化を防止するために不活性ガスを充填した容器に収容して、別ラインの封止工程に投入する方法が採られてきた。
しかしながら、巻き取ったロールを別ラインの封止工程に投入することは工程が煩雑となり、また、ロール搬送用の不活性ガスを充填した容器は、発光素子(有機EL構造体))を形成した環境を維持することが困難で、収容された基材の発光素子(有機EL構造体)が容器内に残存する水分や酸素による影響を受け、製品の品質低下や寿命に影響を与えることがあった。
一方、有機エレクトロニクス素子の一つである有機光電変換素子は、有機化合物の薄膜からなる発電層を電極で挟持した構成で、光を照射すると発電する素子である。従って、薄膜の有機光電変換素子を太陽電池として利用すると、小型化、軽量化が容易であるうえ、既存の無機半導体系の太陽電池に比べ、低照度環境や高温環境下でも比較的安定した出力を得られる太陽電池となる。
有機光電変換素子でも有機EL素子と同様に、水分・酸素などの影響で発電層中にキャリアトラップを形成し、電荷分離によって発生したキャリアの集電を阻害してしまう。結果として発電効率の低下をまねくだけでなく、素子寿命低下にも影響を及ぼすようになる。したがって、有機光電変換素子においても同様に、特許文献6で開示されるように、水分や酸素などのガス成分に対して、バリア性能を有する封止材を用いて性能を確保したりすることが検討されているが、上述した有機EL素子の場合と共通する問題がある。
特開2007−184397号公報 特開2007−83644号公報 特開2002−332567号公報 特開2005−4063号公報 国際公開第01/005194号パンフレット 特開2004−165512号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、状可撓性基材に設けられた有機エレクトロニクス素子をその単位ごとに(素子様に)断裁する際の基材と封止材との間に発生する層間剥離を抑制し、所望の封止性能が得られる有機エレクトロニクス素子の製造方法、製造装置、及び当該製造方法等によって製造した有機エレクトロニクス素子を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも可撓性の基材、対向する一対の電極とそれらの間に挟持された有機層(以下「有機機能素子」という。)、及び封止材とで構成される有機エレクトロニクス素子の製造方法であって、前記基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上に封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程とを備えていることを特徴とする有機エレクトロニクス素子の製造方法。
2.前記熱溶融断裁の手段として、熱刃を用いることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
3.前記熱刃は、ヒータと刃先温度を検出する検出手段とを備え、前記検出手段で検出された温度に対応して、前記ヒータに供給する熱エネルギーを制御することを特徴とする前記2に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
4.前記熱刃の刃先温度が、前記熱硬化型接着剤の熱硬化温度以上であることを特徴とする前記2又は3に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
5.前記有機エレクトロニクス素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする前記1から3のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
6.前記1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法を実施するための有機エレクトロニクス素子の製造装置であって、可撓性の基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止手段と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁手段とを備えていることを特徴とする有機エレクトロニクス素子の製造装置。
7.前記1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
本発明の上記手段により、可撓性基材に設けられた有機エレクトロニクス素子をその単位ごとに(素子様に)断裁する際の基材と封止材との間に発生する層間剥離を抑制し、所望の封止性能が得られる有機エレクトロニクス素子の製造方法、製造装置、及び当該製造方法等によって製造した有機エレクトロニクス素子を提供することができる。
すなわち、本発明の手段により、封止材の仮接着状態での断裁が可能となるため、有機エレクトロニクス素子の製造ラインを短縮することが可能である。接着剤を溶かしながら断裁することが可能なため、層間剥離を抑制することが可能であり、所望の封止性能を備えた有機エレクトロニクス素子を提供することが可能である。また、基材等から発生する断裁屑が溶融した接着剤に付着することで、断裁屑の飛散が抑制され、工程汚染及び製品への屑付着が低減される。さらに、断裁端部を本硬化前に硬化することが可能で、断裁後のハンドリング等が有利となる。
また、本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法により、ガスバリア性が向上し、発光素子の発光効率半減寿命等の性能において優れている有機エレクトロニクス素子を提供することができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法は、少なくとも可撓性の基材、対向する一対の電極とそれらの間に挟持された有機層(以下「有機機能素子」という。)、及び封止材とで構成される有機エレクトロニクス素子の製造方法であって、前記基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上に封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程とを備えていることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜7に係る発明に共通する技術的特徴である。なお、本願において、「有機機能素子」とは、少なくとも一対の電極及びそれらに挟持された有機層で構成される素子であって、発光、光電変換等の電子・電気的な機能を発現する基本部材的素子をいう。
本発明の実施態様としては、前記熱溶融断裁の手段として、熱刃を用いることが好ましい。この場合、当該熱刃は、ヒータと刃先温度を検出する検出手段とを備え、検出手段で検出された温度に対応して、ヒータに供給する熱エネルギーを制御することが好ましい。また、前記熱刃の刃先温度が、前記熱硬化型接着剤の熱硬化温度以上であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法は、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法として好適に用いることができる。
以上より、明らかなように、本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法を実施するための有機エレクトロニクス素子の製造装置としては、基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機(機能)素子を覆うように前記基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止手段と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁手段とを備えている態様の製造装置であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法により製造された有機エレクトロニクス素子は、ガスバリア性が向上し、発光素子の発光効率半減寿命等の性能において優れている。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
(有機エレクトロニクス素子の製造方法の概要)
本発明の有機エレクトロニクス素子の製造方法は、少なくとも可撓性の基材、対向する一対の電極間に挟持された有機層(以下「有機機能素子」という。)、及び封止材とで構成される有機エレクトロニクス素子の製造方法であって、前記基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、下記の工程を具備していることを要する。
(i)有機機能素子を覆うように前記基材上に封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程
(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う熱断裁を行う断裁工程
なお、本発明の製造方法においては、上記工程(i)及び(ii)の前に、基材の洗浄工程、基材上に有機機能素子を形成する工程等を備えている態様であることが好ましい。
以下、有機エレクトロニクス素子の製造方法の典型的例として、有機EL素子の製造方法における工程ついて、適宜、図を参照して、説明する。
〈洗浄工程〉:ロール状に巻かれた基材を繰り出して、超音波洗浄槽に浸漬させて洗浄する等の湿式洗浄とプラズマ洗浄等の乾式洗浄を組み合わせた工程により基材の洗浄を行う工程である。
〈有機機能素子を形成する工程〉:蒸着法、インクジェット法、印刷法、塗布法等の周知の技術により基材上に電極、各種有機機能層等からなる発光素子を形成する工程である。図1に、有機EL素子の基本的構成を示す。図1(a)は、有機EL素子の全体の構成を示す模式図である。図1(b)は、当該有機EL素子の発光素子部分の構成を示す模式図である。有機EL素子を構成する各要素の詳細については後述する。
〈基材供給工程〉:前記発光素子が設けられたロール状の基材を繰り出し供給する工程である。
〈封止工程〉:前記発光素子を覆うように前記基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程である。封止材及び熱硬化型接着剤の詳細については後述する。
〈断裁工程〉:前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程である。
本発明の実施態様としては、前記熱溶融断裁の手段として、熱刃を用いることが好ましい。この場合、当該熱刃は、ヒータと刃先温度を検出する検出手段とを備え、検出手段で検出された温度に対応して、ヒータに供給する熱エネルギーを制御することが好ましい。また、前記熱刃の刃先温度が、前記熱硬化型接着剤の熱硬化温度以上であることが好ましい。
図2は、熱刃の一例を示す模式図である。なお、図2における穴4の内部に筒状ヒーターを入れて熱刃を加熱し、ロール状可撓性基材に設けられた有機EL素子をその単位ごとに所定の位置(箇所)を加熱溶融し断裁し所定のサイズ有機EL素子を得る。
図3及び図4は、基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程の概念図である。
本発明においては、上記手段により、封止材の仮接着状態での断裁が可能となるため、有機EL素子の製造ラインを短縮することが可能である。また、接着剤を溶かしながら断裁することが可能なため、層間剥離を抑制することが可能であり、所望の封止性能を備えた提供することが可能である。また、基材等から発生する断裁屑が溶融した接着剤に付着することで、断裁屑の飛散が抑制され、工程汚染及び製品への屑付着が低減される。さらに、断裁端部を本硬化前に硬化することが可能で、断裁後のハンドリング等が有利となる。
図5に、有機EL素子と封止材の基本的構成形態を示す。図5(a)従来タイプの形態を示す模式図であり、図5(b)は、本発明に係る形態を示す模式図である。
従来タイプの構成では、封止材にアルミ缶を使っていたため、基板全体の厚さが厚くなってしまう。一般的に用いられているUV硬化型接着剤は、水分透過、酸素透過が不十分で、吸湿材が必要である。基板がガラスのため、シート単位での加工となり、生産性に劣る等の欠点がある。
本発明に係る構成形態では、例えば、基材として樹脂フィルム(PEN)を使い、水分透過、酸素透過に優れる。また、熱硬化型接着剤を用い、封止材をアルミ箔とすることで、ロール状での加工が可能となり、生産性に優れるばかりでなく基板全体の薄肉化が図れる等のメリットがある。
(有機EL素子の基本的構成)
有機EL素子の基本的層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)基板/陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
(基材:基板)
本発明に係る基材(以下、基板、基体、基盤、支持基板、支持体等ともいう。)としては、有機EL素子に可撓性(フレキシブル性)を与えることが可能な可撓性基材、例えば、樹脂フィルムを用いることを要する。但し、目的に応じて、部分的に、金属、ガラス、石英等を基材として用いることもできる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド皮膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.01g/m・day・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126−1992に準拠した方法で測定された酸素透過度(20℃、100%RH)が10−3g/m/day以下、水蒸気透過度が10−3g/m/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/m/day以下であることが更に好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に当該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
(電極)
本発明に係る有機素子においては、少なくとも第1電極と第2電極とを有する。通常は、一方が陽極、他方が陰極で構成される。以下に好ましい陽極、及び陰極の構成について述べる。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方は、光透過性となるよう構成される。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
本発明における発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、本発明でいうところの発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
個々の発光層の膜厚としては1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
次に、発光材料について説明する。
本発明に係る発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いる。
本発明において、燐光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光材料の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に燐光発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
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本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
《中間層》
本発明においては、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設けることも好ましい。
ここで、「非発光性の中間層」とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
非発光性の中間層の膜厚としては1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
本発明で有機EL素子を用いる場合、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また、一方では正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《有機EL素子の作製方法》
本発明に係る有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないと一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は全反射を起こし、素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明に係る発光素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚さが光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面またはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった、所謂ブラッグ回折により光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光をいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、前述のとおりいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明に係る発光素子は支持基板の光取出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
本発明に係る発光素子を、光出射面垂直方向から見た発光素子の発光領域の一部が互いに重なる素子積層部をもつように複数配置して発光パネルを構成する際、素子積層部に粘着剤及び接着剤を用いることができる。
本発明における粘着剤とは、広く工業分野において、粘着剤、接着剤、或いは粘着材、接着材等の呼称で用いられる剤或いは材のうち、加圧により接着しその際に接着部分の硬化を伴わないものを意味する。
粘着剤及び接着剤の種類は特に限定されないが、光透過性にすぐれた粘着剤及び接着剤を用いることが好ましい。接着剤においては塗布し、貼り合わせた後に、種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型接着剤が好適に用いられる。本発明で用いることのできる粘着剤及び接着剤の具体例としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、水性高分子−イソシアネート系、アクリル系等の硬化型接着剤及び粘着剤、湿気硬化ウレタン接着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間接着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間接着剤等が挙げられる。
上記素子積層部への粘着剤層及び接着剤層の形成方法としては特に限定されず、一般的方法、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、スプレー塗布、インクジェット法等の方法が挙げられる。
(封止材)
本発明に係る封止材は、有機EL素子を封止し、当該素子を温度変化、湿度、酸素、衝撃などの過酷な外部環境から守ためのものである。
封止材としては、種々の公知のガスバリア性フィルムを用いることができる。例えば、包装材等に使用される公知のガスバリア性フィルム、例えば樹脂(プラスチック)フィルム上に酸化珪素や、酸化アルミニウムを蒸着したフィルム、緻密なセラミック層と、柔軟性を有する衝撃緩和ポリマー層を交互に積層した構成からなるガスバリア性フィルム等を封止材として用いることができる。
また、特に、樹脂膜(ポリマー膜)をラミネートされた金属箔は、光取りだし側のガスバリア性フィルムとして用いることはできないが、低コストで、かつ透湿性の低い封止材料であり光取り出しを意図しない(透明性を要求されない)場合、封止材として好ましい。
本発明において、「金属箔」とは、スパッタや蒸着等で形成された金属薄膜や、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成された導電膜と異なり、圧延等で形成された金属の箔またはフィルムを指す。
金属箔としては、金属の種類に特に限定はなく、例えば銅(Cu)箔、アルミニウム(Al)箔、金(Au)箔、黄銅箔、ニッケル(Ni)箔、チタン(Ti)箔、銅合金箔、ステンレス箔、スズ(Sn)箔、高ニッケル合金箔等が挙げられる。これらの各種の金属箔の中で特に好ましい金属箔としてはAl箔が挙げられる。
金属箔の厚さは、バリア性(透湿度、酸素透過率)及びコストの観点から、6〜50μmが好ましい。
樹脂フィルム(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔において樹脂フィルムとしては、機能性包装材料の新展開(株式会社 東レリサーチセンター)に記載の各種材料を使用することが可能であり、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂等の樹脂は、延伸されていてもよく、さらに塩化ビニリデン系樹脂をコートされていてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、低密度あるいは高密度のものも用いることができる。
上記の高分子材料の中で、ナイロン(Ny)、塩化ビニリデン(PVDC)をコートしたナイロン(KNy)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、PVDCをコートしたポリプロピレン(KOP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PVDCをコートしたセロハン(KPT)、ポリエチレン−ビニルアルコール共重合体(エバール)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。また、これら熱可塑性フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押し出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて張り合わせ積層した多層フィルム等も当然使用できる。さらに必要とする包装材料の物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組み合わせて作ることも当然可能である。
樹脂膜(ポリマー膜)の厚さは、一概には規定できないが、3〜400μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましい。
金属箔の片面にポリマー膜をコーティング(ラミネート)する方法としては、一般に使用されているラミネート機を使用することができる。
ドライラミネート方式、ホットメルトラミネーション法やエクストルージョンラミネート法も使用できるがドライラミネート方式が好ましい。
接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。必要に応じて硬化剤を併用してもよい。
金属箔の片面が樹脂膜(ポリマー膜)でコーティングされたフィルムは、包装材用に市販されている。例えば、接着剤層/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)38μmの構成のドライラミネートフィルムが入手でき、これを用いて有機EL素子の陰極側の封止を行うこともできる。
また、封止材(フィルム)としては、金属箔の片面が樹脂膜(ポリマー膜)でコーティングされたフィルムの、樹脂膜(ポリマー膜)と反対側の金属箔上に、セラミック膜を形成して用いることも好ましい。
後述するが、2つのフィルムの封止方法としては、例えば、一般に使用されるインパルスシーラー熱融着性の樹脂膜(層)をラミネートして、インパルスシーラーで融着させ、封止する方法が好ましい。
本発明において、封止材(フィルム)のガスバリア性は、酸素透過度10−3g/m/day以下、水蒸気透過度10−3g/m/day以下のものであることが好ましい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/m/day以下であることが更に好ましい。
(接着剤等)
封止材を接着するための接着剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する熱硬化型接着剤等を挙げることができる。市販品としては、スリーボンド1152、1153等を使用することができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から100℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、当該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、当該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に当該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造をもたせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
〔有機EL素子の封止〕
本発明では、基材上に透明導電膜を形成し、作製した有機EL素子用樹脂基材上に、有機EL素子を構成する各種機能層を形成した後、不活性ガスによりパージされた環境下で、上記封止材で陰極面を覆うようにして、有機EL素子を封止することができる。
不活性ガスとしては、Nの他、He、Ar等の希ガスが好ましく用いられるが、HeとArを混合した希ガスも好ましく、気体中に占める不活性ガスの割合は、90〜99.9体積%であることが好ましい。不活性ガスによりパージされた環境下で封止することにより、保存性が改良される。
また、前記の樹脂膜(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔を用いて、有機EL素子を封止するにあたっては、ラミネートされた樹脂フィルム面ではなく、金属箔上にセラミック膜を形成し、このセラミック膜面を有機EL素子の陰極に貼り合わせることが好ましい。
接着方法としてはドライラミネート方式が作業性の面で優れている。この方法は一般には1.0〜2.5μm程度の硬化性の接着剤層を使用する。好ましくは、接着剤量を乾燥膜厚で3〜5μmになるように調節することが好ましい。
なお、ホットメルト接着剤を溶融し基材に接着層を塗設する方法(ホットメルトラミネーと法)や高温で溶融した樹脂(LDPE、EVA、PP等)をダイスにより基材上に塗設する方法(エクストルージョンラミネート法)等も用いることも良い。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
(有機EL素子の製造装置)
本発明に係る有機EL素子の製造装置及びそれを用いた製造方法(プロセス)の一例について、図6を参照して、説明する。
図6は、帯状基材を使用し多層構造を有する有機EL素子を作製する製造装置及び製造プロセスの模式図である。尚、本図で示す製造装置の説明は、有機EL素子の一例として、帯状可撓性基材上にガスバリア層、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子注入層、第2電極、封止層の順番に形成されている照明用(面発光)有機EL素子の場合について行う。本図では、帯状可撓性基材上にガスバリア層、第1電極が既に形成されたものを使用するため、第1電極形成工程は省略してある。
当該製造プロセスは、帯状基材の供給工程3′と、正孔輸送層を形成する正孔輸送層形成工程4′と、発光層を形成する発光層形成工程5′と、第1回収工程6′と、電子注入層を形成する電子注入層形成工程7′と、第2電極を形成する第2電極形成工程8′と、封止層を形成する封止層形成工程9′と、第2回収工程10′とを有している。本図で示される製造プロセスは、供給工程3′〜発光層形成工程5′迄を連続して大気圧条件下で行い、大気圧条件下で一旦巻き取った後、電子注入層形成工程7′〜封止層形成工程9′迄を連続して減圧条件下で行う場合を示している。第2回収工程10′は大気圧条件下又は減圧条件下の何れに配設しても構わない。
供給工程3′は、繰り出し工程301′と表面処理工程302′とを有している。繰り出し工程301′では、少なくとも一つの有機EL素子を形成するのに使用されるガスバリア膜と第1電極を含む少なくとも一つ陽極層とがこの順番で既に形成された帯状基材301′b(帯状基材Aとする)が巻き芯に巻き取られロール状態で供給される様になっている。301′aは帯状基材301′bの元巻きロールを示す。表面処理工程302′は洗浄表面改質処理装置302′aと、第1帯電防止手段302′bとを有している。洗浄表面改質処理装置302′aは、正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に繰り出し工程301′から送られてきた帯状基材Aの第1電極(不図示)表面を洗浄改質するため、例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等を使用することが好ましい。低圧水銀ランプによる洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cmで、距離5〜15mmで照射し洗浄表
面改質処理を行う条件が挙げられる。プラズマ洗浄装置による洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、大気圧プラズマが好適に使用される。洗浄条件としてはアルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100KHz〜150MHz、電圧10V〜10KV、照射距離5〜20mmで洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。
第1帯電防止手段302′bは、非接触式除電防止装置302′b1と接触式除電防止装置302′b2とを有している。非接触式除電防止装置302′b1としては例えば、非接触式のイオナイザーが挙げられイオナイザーの種類については特に制限はなく、イオン発生方式はAC方式、DC方式どちらでも構わない。ACタイプ、ダブルDCタイプ、パルスACタイプ、軟X線タイプが用いることが出来るが、特に精密除電の観点から、ACタイプが好ましい。ACタイプの使用の際に必要となる噴射気体については、空気かNが用いられるが、十分に純度が高められたNで行うことが好ましい。又、インラインで行う観点より、ブロワータイプもしくはガンタイプより選ばれる。
接触式除電防止装置302′b2としては、除電ロール又はアース接続した導電性ブラシを用いて行われる。除電器としての除電ロールは、接地されており、除電された表面に回転自在に接触して表面電荷を除去する。この様な除電ロールとしては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属製ロールの他に、カーボンブラック、金属粉、金属繊維等の導電性材料を混合した弾性のあるプラスチックやゴム製のロールが使用される。特に、帯状可撓性連続シートとの接触をよくするため、弾性のあるものが好ましい。アース接続した導電性ブラシとは、一般には、線状に配列した導電性繊維からなるブラシ部材や線状金属製のブラシを有する除電バー又は除電糸構造のものを挙げることが出来る。除電バーについては、特に限定はないが、コロナ放電式のものが好ましく用いられ、例えば、キーエンス社製のSJ−Bが用いられる。除電糸についても、特に限定はないが、通常フレキシブルな糸状のものが好ましく用いることが出来る。
非接触式帯電防止装置302′b1は帯状可撓性基材Aの第1電極面側に使用し、接触式帯電防止装置302′b2は帯状可撓性基材Aの裏面側に使用することが好ましい。第1帯電防止手段により基材の帯電除去が図られ、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、素子の歩留まりの向上が図られる。
正孔輸送層形成工程4′は帯状基材Aを保持するバックアップロール401′と、バックアップロール401′に保持された帯状基材Aに正孔輸送層形成用塗布液を外部取り出し電極となる一部を除いて塗布する湿式塗布機402′と、帯状基材A上の第1電極(不図示)上に形成された正孔輸送層形成用塗膜a′の溶媒を除去し正孔輸送層b′を形成する乾燥風の供給口403′a、排気口403′bと、搬送用ロール403′cとを有する乾燥装置403′とを有している。尚、乾燥装置403は加熱処理を可能とする部分を内部に有している。
404′は、形成された正孔輸送層b′の除電を行う第2除電処理手段を示す。第2除電処理手段404′は第1除電処理手段302′bと同じ非接触式除電防止装置404′aと接触式除電防止装置404′b2とを有している。
発光層形成工程5′は、第1塗布工程5′aと第1乾燥工程5′bと、第2塗布工程5′cと第2乾燥工程5′dと、第3塗布工程5′eと第3乾燥工程5′fとを有している。第1塗布工程5′aは第1液滴吐出手段として静電ノズル吐出装置5′a1と保持台5a2と、第1アキュームレータ部5′a3とを有している。第1塗布工程5′aで静電ノズル吐出装置5′a1による塗布は、静電ノズル吐出装置5′a1より吐出された液滴が一定間隔で正孔輸送層上に着弾し不連続状発光層形成用塗膜c′(不連続状第2有機機能層形成用塗膜)を形成する。
第1アキュームレータ部5′a3は、ロール5′a31が上下方向(図中の矢印方向)に移動することで、正孔輸送層形成工程4′と、第1塗布工程5′aとの搬送速度の差を調整するために配設されており、速度差に応じてロール5′a31の増設が可能となっている。
第1乾燥工程5′bは、乾燥風の供給口5′b11、排気口5′b12と、搬送用ロール5′b13とを有する乾燥装置5′b1と、形成された不連続状発光層形成用塗膜c′の除電を行う第3除電処理手段5′b2とを有している。第3除電処理手段5′b2は第1除電処理手段302′bと同じ非接触式除電防止装置5′b21と接触式除電防止装置5′b22とを有している。尚、乾燥装置5′b1は加熱処理を可能とする部分を内部に有している。不連続状発光層形成用塗膜c′(不連続状第2有機機能層形成用塗膜)は乾燥装置5′b1で溶媒が除去され不連続状発光層d′(不連続状第2有機機能層)を形成する。
第2塗布工程5′cは第2液滴吐出手段として静電ノズル吐出装置5′c1と載置台5′c2と第2アキュームレータ部5′c3を有している。第2塗布工程5′cで静電ノズル吐出装置5′c1による塗布は、静電ノズル吐出装置5′c1より吐出された液滴が、第1塗布工程5′aで形成された不連続状発光層d′(不連続状第2有機機能層)の未塗布部分に着弾し、連続状発光層形成用塗膜e′(連続状第2有機機能層形成用塗膜)を形成する。
第2アキュームレータ部5′c3は、ロール5′c31が上下方向(図中の矢印方向)に移動することで、第1塗布工程5′aと、第2塗布工程5′cとの搬送速度の差を調整するために配設されており、速度差に応じてロール5′c31の増設が可能となっている。第2乾燥工程5′dは、乾燥風の供給口5′d11、排気口5′d12と、搬送用ロール5′d13とを有する乾燥装置5′d1と、形成された連続状発光層f′の除電を行う第4除電処理手段5′d2とを有している。第4除電処理手段5′d2は第1除電処理手段302′bと同じ非接触式除電防止装置5′d21と接触式除電防止装置5′d22とを有している。尚、乾燥装置5′d1は加熱処理を可能とする部分を内部に有している。
第3塗布工程5′eは第3液滴吐出手段として静電ノズル吐出装置5′e1と、載置台5′e2と、第3アキュームレータ部5′e3とを有している。第3アキュームレータ部5′e3は、ロール5′e31が上下方向(図中の矢印方向)に移動することで、第2塗布工程5′cと、第3塗布工程5′eとの搬送速度の差を調整するために配設されており、速度差に応じてロール5′e31の増設が可能となっている。第3塗布工程5′eで静電ノズル吐出装置5′e1による塗布は、発光層形成用塗布液と同じ溶媒を使用し静電ノズル吐出装置5′e1より吐出された液滴が、形成された連続状発光層f′の上に着弾し、溶媒塗膜g′を形成する。尚、静電ノズル吐出装置5′a1、静電ノズル吐出装置5′c1及び静電ノズル吐出装置5′e1は帯状基材の幅方向への移動が可能となるように装置のフレーム(不図示)に配設することが好ましい。
第3乾燥工程5′fは、乾燥風の供給口5′f11、排気口5′f12と、搬送用ロール5′f13とを有する乾燥装置5′f1と、形成された連続状発光層h′の除電を行う第4除電処理手段5′f2とを有している。第4除電処理手段5′f2は第1除電処理手段302′bと同じ非接触式除電防止装置5′f21と接触式除電防止装置5′f22とを有している。乾燥装置5′f1は加熱処理を可能とする部分を内部に有している。
溶媒塗膜g′は発光層形成用塗布液に使用した溶媒と同じ溶媒であるため、乾燥装置5′f1で除去されるまでに、連続状発光層f′(連続状第2有機機能層)を溶解することで連続状発光層f′(連続状第2有機機能層)の均一化及び表面のレベリングが行われ均一の連続状発光層h′が形成される。尚、第3塗布工程5′eと、第3乾燥工程5′fとは、連続状発光層のさらなる均一化のためには配設することは好ましく、必要に応じて適宜配設することが可能となっている。
第1回収工程6′は第4アキュームレータ部6′aと、巻き取り装置(不図示)とを有している。連続状発光層h′が形成された帯状基材(帯状基材Bとする)は巻き芯に巻かれロール状帯状基材B601′で回収される。第4アキュームレータ部6′a、ロール6′a1が上下方向(図中の矢印方向)に移動することで、第3塗布工程5′eの搬送速度と、第1回収工程6′の巻き取り速度との差を調整するために配設されており、速度差に応じてロール6′a1の増設が可能となっている。
電子注入層形成工程7′は、供給部701′と、電子注入層形成部702′とを有している。供給部701′では、前工程で作製されたロール状帯状基材B601′が繰り出され電子注入層形成部702′へ供給される。電子注入層形成部702′では、連続状発光層h′上に電子注入層i′が形成される。702′aは蒸着装置を示し、702′bは蒸発源容器を示す。電子注入層i′が形成された帯状可撓性基材は、引き続き、第2電極形成工程8′へ送られる。
第2電極形成工程8′は、第2電極形成部801′で電子注入層形成部702′で形成された電子注入層i′上に第2電極j′が形成される。801′aは蒸着装置を示し、801′bは蒸発源容器を示す。
第2電極j′が形成された帯状可撓性基材は、引き続き、封止層形成工程9′に送られる。封止層形成工程9′は、第5アキュームレータ部901′と、封止層形成装置902′と、第5帯電防止手段903′とを有している。第5帯電防止手段903′は第1除電処理手段302′bと同じ非接触式除電防止装置903′aと接触式除電防止装置903′bとを有している。第2電極形成工程8で形成された第2電極j′の端部を除いて第2電極j′上に封止層形成装置902′により封止層k′が形成されることで帯状基材上に少なくとも一つの照明用(面発光)有機EL素子が作製される。
回収工程10′は、巻き取り装置(不図示)を有している。回収工程10では少なくとも一つの照明用(面発光)有機EL素子が形成された帯状可撓性基材(帯状可撓性基材Cとする)が巻き取り装置(不図示)により、封止層k′側を内側にして巻き取られ回収される。10′aは帯状可撓性基材Cが巻き芯に巻き取られロール状として回収されたロール状帯状基材を示し、性能維持、ダークスポット(未発光部分)等を考慮し、酸素濃度1〜100ppm、水分濃度1〜100ppmの環境下に保管することが好ましい。
本図に示される第1塗布工程5′aで静電ノズル吐出装置5′a1による塗布、第2塗布工程5′cで静電ノズル吐出装置5′c1による塗布及び第3塗布工程5′eで静電ノズル吐出装置5′e1による塗布は、静電ノズル吐出装置5a1、静電ノズル吐出装置5c1及び静電ノズル吐出装置5e1を帯状基材の搬送速度に合わせ帯状基材の幅方向に移動する方法が挙げられる。
本図では、電子注入層形成工程7′、第2電極形成工程8′、が蒸着装置の場合を示したが、電子注入層及び第2電極の形成方法については、蒸着法によらない電子注入層及び第2電極の形成方法も使用可能である。又、本図に示す封止層の代わりに、封止フィルムを貼着する方式であっても構わない。
図6に示される製造プロセスで使用する正孔輸送層形成用塗布液、及び発光層形成用塗布液は、少なくとも1種の有機化合物材料と少なくとも1種の溶媒とを有し、塗布時のハジキ、塗布ムラ等を考慮し、表面張力が15×10−3〜55×10−3N/mであることが好ましい。
図6に示される有機EL素子の構成層である正孔輸送層及び発光層を形成する工程は、正孔輸送層及び発光層の性能維持、異物付着に伴う故障欠陥の防止等を考慮し、露点温度−20℃以下、且つJISB 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス3〜クラス5で、且つ、乾燥部を除き10〜45℃の大気圧条件下で形成されることが好ましい。
〈封止材接着工程と断裁工程〉
本発明に係る封止材接着工程と断裁工程について図7を参照して詳細な説明をする。
図7は、発明の実施の形態における封止材接着・断裁工程の一例を示す模式図である。当該製造プロセスにおいて、封止材接着工程140は、接着剤層形成工程141、ラミネート工程142、硬化工程143、電極部露出工程144を有する。
ロール状に巻き取られた発光素子(有機EL構造体)および保護膜が形成された基材Aは、オフラインの封止材接着工程140および断裁工程150に投入されて、封止材層が形成された後に熱刃を用いて、熱硬化型接着剤が硬化する前に、所定の大きさに熱溶融断裁され、有機EL素子に形成される。
封止材接着工程140は、有機EL構造体およびバリア膜が形成された基材のロールを、再び基材を繰り出して、長尺の封止材を基材に接着して有機EL構造体上に封止材層16を形成する工程である。有機EL構造体に封止材層16を形成することにより、有機EL構造体の有機発光層は封止材により被覆され、空気中の水分や酸素により品質の劣化を招くことなく、高品質と高信頼性を維持できる。
封止材接着工程140は、概ね数万Paから数十万Paの大気圧環境である。ここにおいては、既に有機EL構造体上にスパッタによるバリア膜が成膜されており、水分や酸素を低減させた真空環境とする必要がない。
接着剤層形成工程141は、有機EL構造体が形成された基材の選択された領域に接着剤を塗布し接着剤層15を形成する工程である。接着剤層形成工程141では有機EL構造体の陽極および陰極の引き出し部12a、14aを除外した領域に接着剤層15を形成する。
ラミネート工程142は接着剤層を介して封止材である封止フィルム16Aを基材11にローラにより圧着して有機EL構造体上に封止材層16を形成する工程である。
硬化工程143は接着剤を硬化させる工程、また、電極部露出工程144は有機EL構造体の電極引き出し部12a、14aから封止材を除去して引き出し部を露出する工程である。
また、断裁工程150は、封止材が接着され封止材層16が形成された長尺基材を所定の位置で断裁し、枚葉の有機EL素子を得る工程である。
封止材接着工程140にては、接着剤層15は接着剤をスクリーン印刷法により基材11の所定の範囲、すなわち、陽極および陰極の引き出し部12a、14aを除外した領域にのみ選択的に塗布することにより形成される。
スクリーン印刷法はインキをスキージ(ヘラ)により版(ステンシル)に展延、摺擦し、版の開口部に張られたスクリーンの網目を通して媒体にインキを付着させて印刷する印刷方法であり、媒体の版の開口部に対向する位置範囲にのみインキを選択的に付着させることができる印刷方法である。本実施の形態では、スクリーン印刷法におけるインキを接着剤とし、媒体を有機EL構造体が形成された基材として、接着剤を基材の所定の範囲にのみ選択的に付着させることにより、基材の所定の範囲にのみ選択的に接着剤層を形成するものである。なお、以下の説明では、版をステンシルと称し、ステンシルにおける接着剤を透過させる部分を開口部、接着剤を透過させる部分をマスク部と称することにする。
接着剤層形成工程141は非図示の移動手段により図示矢印方向に往復移動するスキージ141Bを有し、スキージ141Bはその先端部にて接着剤141Aをステンシル141C面に展延、摺擦する。ステンシル141Cは開口に接着剤の透過が可能なスクリーンを張った開口部と、接着剤の透過が不可能なマスク部とを有し、スキージ141Bによりステンシル141C上に展延、摺擦された接着剤141Aは、開口部のスクリーンを通過して、基材11の開口部に対向する領域に塗布される。一方、マスク部は接着剤の通過が不可能なので、接着剤はマスク部に対向する領域には塗布されない。
本発明により、特に、ロール・ツー・ロール方式により可撓性を有する基材上に発光素子(有機EL構造体)を形成する有機EL素子の製造方法において、基材の洗浄および汚染除去、発光素子(有機EL構造体)の形成、発光素子(有機EL構造体)への保護膜の形成までをインラインで行える有機EL素子の製造方法を提供できる。本発明による製造方法では、基材への発光素子(有機EL構造体)の形成、保護膜の形成をインラインで行うので、水分や酸素による発光素子(有機EL構造体)への影響を回避でき、高品質と高信頼性の有機EL素子を製造できる。また、異なる条件の真空環境や大気圧環境にて実施される工程をロール・ツー・ロール方式のインラインで実施することが可能で、それぞれの工程をオフラインで実施する製造方法と比べると、工程が単純化し、作業効率の向上や工程停止時間の短縮がはかれる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《基材Aの作製》
(可撓性基材上に電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層を形成する工程)
予め、露点温度−65度、不活性ガス雰囲気下、圧力80Paで保管し、脱水処理・脱酸素処理をほどこした厚さ100ミクロンのポリエチレンナフタレートフィルムの片面に特開2007−83644号公報の〔実施例〕の欄に記載されている方法により、ガスバリア層を形成した。即ち、同公報に記載の図3に示すロール電極型放電処理装置を用いた。
前記樹脂フィルム基材上に密着層/セラミック層/保護層の順に以下に示す条件で、それぞれ形成しガスバリア膜をポリエチレンナフタレートフィルムの片面上にえた。各膜厚は、密着層が50nmで、セラミック層が30nm、保護層が400nmである。また製膜時の基材保持温度は、120℃とした。
〈セラミック層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5%
反応ガス2:TEOS(テトラエトキシシラン)を全ガスに対し0.1%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm高周波側電源電力:13.56MHzを10W/cm
〈密着層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.5%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm高周波側電源電力:13.56MHzを5W/cm
〈保護層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.5%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm高周波側電源電力:13.56MHzを5W/cm
次いで、ガスバリア層を形成したポリエチレンナフタレートフィルム上に、ターゲット材料としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いて、同じく、真空槽中スパッタガスに酸素5体積%を含むアルゴンを用いて、ガス圧力を0.5Paとし、連続的に搬送しながら、電極層として、ITO膜110nmをスパッタによりパターニング形成した。ITOのパターンは図3の導電層パターンを用いた。これを真空槽中でコアに巻き取った後、窒素気流下で常圧に戻し、大気(空気)にさらすことなく、常圧下の塗布工程へ移送した。
この導電層付基材上に、第一の塗布室に設置された押し出しコーターで後述の液組成の正孔注入層用塗布液(脱酸素処理済み)を塗布し、不活性ガス気流下で乾燥させた(乾燥後の厚さ30nm)。引き続き、第二の塗布室で正孔輸送層用塗布液(脱酸素、脱水処理済み)を塗布し、紫外線を照射して架橋させ、この工程以降の塗布溶剤に不溶化したのち、溶媒を乾燥させた(乾燥後の厚さが40nm)。さらに第三の塗布室で、架橋させた正孔輸送層上に発光層を塗布し(乾燥後の厚さが50nm)、乾燥して、3つの機能層が積層された塗布済み原反(ウェブW−1)を作製した。この常圧下の塗布工程は、窒素雰囲気中の水分濃度が1ppm以上200ppm以下、酸素濃度が30ppm以下の雰囲気下に維持した。
(正孔注入層用塗布液)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液用いた。
(正孔輸送層用塗布液)
10mlのトルエン中に50mgの下記化合物Aが含まれるよう溶解した溶液を用いた。90秒間紫外光を照射し、光重合・架橋を行った後、90℃の乾燥ゾーンをゆっくり搬送しながら、窒素気流下で乾燥した。
Figure 2010103040
(発光層用塗布液)
クロロベンゼン6ml中にPVK(ポリビニルカルバゾール)(60mg)と1.5mgのIr(ppy)が含有される様に溶解した溶液を用いた。成膜後、95℃の乾燥ゾーンをゆっくり搬送しながら、窒素気流下で乾燥し、乾燥膜厚50nmの発光層を形成した。
《基材Bの作製》
(乾燥剤を含有する層を有するフィルム上に表面平滑層を形成する工程)
封止フィルムとしての乾燥剤含有フィルムは特開2005−38661号公報の実施例1記載の積層基板の作製法を利用して、酸化バリウムを芯層に含有させたポリエチレン2,6ナフタレートフィルム(A−1)を作製して使用した。
即ち、ポリエチレン−2,6−ナフタレートA(酸化バリウム含有;酸化バリウム粉末(平均粒径、0.5μm)を、280℃でポリエチレン−2,6−ナフタレートチップと混合・混練(含有率5質量%)して作製した。)とポリエチレン−2,6−ナフタレートのチップを各々170℃で10時間真空乾燥した後、乾燥窒素気流中で保温しながら、押出し機上に設置したホッパーから3台の押出し機へ各々供給し290℃で溶融押出しを行ない、40メッシュのフィルターを通過させてから、Tダイ内で厚さ比が4:3:2となるように層状に接合して、60℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させて急冷冷却固化し、積層未延伸シートを得た。このとき芯(コア)層が、ポリエチレン−2,6−ナフタレートA(酸化バリウム含有)であり、表層がポリエチレン−2,6−ナフタレートとなるようにした。この未延伸シートをロール式縦延伸機へ導き、90℃で予熱し、低速と高速のロール間でIRヒーターで加熱しながら、縦方向に2.8倍に延伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機に供給し、130℃で横延伸倍率2.8倍となるように延伸した。得られた二軸配向フィルムを210℃で10秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しながら室温まで30秒かけて徐冷して厚さ90μmの二軸延伸積層PENフィルム支持体を得た(乾燥剤含有フィルムA−1)
表面粗さを光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定したところ、15nm以下であった。
A−1の層構成はポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)/PENと酸化バリウム/PENの3層からなり、全体厚さは90μm、厚さの比率は40/30/20である。
このフィルム元巻きは、露点温度−65度(水分10ppm以下)の不活性ガス雰囲気の保管庫に保存して、使用した。
(乾燥剤含有フィルムに電極層、電子注入層を形成する工程)
乾燥剤含有フィルムA−1の表層ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が40μmである面に、前記同様、特開2007−83644号公報実施例記載の組成のガスバリア層を同様に形成して、乾燥剤含有フィルムを被覆した。次いで、表層ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が20ミクロンである側(反対側)の表面にアクリル酸エステルからなる表面平滑層を形成し、紫外線で架橋硬化させてから、減圧室を経由して、真空搬送室へ導入し、第一の薄膜形成室で対電極層としてアルミニウムを蒸着により120nmの厚さにパターニング形成した。引き続き、第二の薄膜形成室でフッ化リチウム(電子注入層)を0.3nm蒸着形成した。
(対電極層・注入層形成済み乾燥剤含有フィルムに封止樹脂を塗布し、機能層形成済みウェブと貼合する工程)
乾燥剤含有フィルムA−1に電極層、電子注入層を形成したフィルムを不活性ガス気流中(窒素雰囲気中、水分濃度が1ppm以上200ppm以下、酸素濃度が30ppm以下)で、接着剤として、熱硬化型エポキシ樹脂(ナガセケムテック(株)製 UVレジン XNR5516)を所定の形状にスクリーン印刷を用いて塗布した。この電極付封止フィルムを巻き取ることなく、連続的に図5に示される加圧ロールを用いた貼合・封止工程に送り、W−1と貼り合せ位置を制御しながら、140℃において、圧着し(貼合圧は0.2MPaとした)、接着させた後、硬化途中段階(熱硬化型接着剤が硬化する前)において、表1に示す温度(25〜140℃)に加熱した熱刃により、表1に示す断裁速度(20〜80m/min)にて各素子様に断裁(カット)して、各種有機EL素子を作製した。
上記の方法により作製した有機EL素子について、封止材の剥離量と発光効率(輝度)半減寿命を測定し評価した。
《封止材の剥離量の測定》
封止剤の剥離量の測定は、次の手順で行った(図8参照)。:(i)断裁端面を10mm角に切り出す。(ii)切り出した端面サイド部をミクロトームで研磨する。(iii)電子顕微鏡(SEM)またはレーザー顕微鏡で断裁端面を400倍に拡大して剥離量を測定する。
《発光効率(輝度)半減寿命の測定》
発光効率(輝度)半減寿命は、各試料の素子を初期輝度が500cd/mとなるように印加電圧を調整した後、発光効率(輝度)が初期から50%低下するまでの時間を計測した。刃先温度140℃にて断裁・作製した有機EL素子の発光効率半減寿命を1.0としたときの各種有機EL素子の半減寿命を相対値で評価した。
以上の実験における条件及び評価結果をまとめて表1〜3及び図9に示す。
Figure 2010103040
Figure 2010103040
Figure 2010103040
表2、表3、及び図9に示した結果より明らかなように、本発明に係る有機EL素子は、剥離量が少なく、かつ発光効率半減寿命が長いことが分かる。
すなわち、本発明の手段により、可撓性基材に設けられた有機EL素子をその単位ごとに(素子様に)断裁する際の基材と封止材との間に発生する層間剥離を抑制し、所望の封止性能が得られる有機EL素子の製造方法、製造装置、及び有機EL素子を提供することができることが分かる。
実施例2
有機EL素子のウェブW−1の作製において、正孔注入層を形成した後、第三の塗布室で、後述した液組成の発電層を塗布し(乾燥後の厚さが150nm)原反ウェブW−2を作製した以外は、有機EL素子の作製と同様にして、乾燥剤を素子内に有した有機光電変換素子を作製した。
(発電層用塗布液)
クロロベンゼン6mlに、数平均分子量45000のレジオレギュラーP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)と、フラーレン誘導体PCBM(6,6−フェニル−C61−ブチル酸メチルエステル)を質量比が1:1で、3質量%となるように溶解した溶液を用いた。製膜後、140℃の乾燥ゾーンをゆっくり搬送しながら、窒素気流下で乾燥し、乾燥膜厚150nmの発電層を形成した。
得られた乾燥剤を素子内に有した有機光電変換素子について、ソーラシミュレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの強度で照射し続けたときの短絡電流密度Jscを評価したところ、長時間に渡って高い安定性を示し、十分な耐光性を有することがあきらかになった。また、有機エレクトロルミネッセンス素子と同様に、有機光電変換素子においても、量産レベルの工程において、製品の歩留まり、すなわち製造コストを低廉にすることができることが明らかになった。
(a)は、有機EL素子の全体の基本的構成を示す模式図、(b)有機EL素子の発光素子部分の構成を示す模式図 熱刃の一例を示す模式図 基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程の概念図 基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程の概念図 有機EL素子と封止材の基本的構成形態を示す模式図;(a)従来タイプの形態を示す模式図、(b)本発明に係る形態を示す模式図 本発明に係る有機EL素子の製造装置及び製造プロセスの模式図 本発明に係る封止材接着・断裁工程の一例を示す模式図 封止材の剥離量の測定方法を示す概念図 発光効率と発光寿命の関係を示す図
符号の説明
1 有機EL素子
2 熱刀
3 有機機能素子(OLED)形成済み基材
Pr 製造装置とプロセス
3′ 供給工程
301′ 帯状基材
4′ 正孔輸送層形成工程
5′ 発光層形成工程
5′a 第1塗布工程
5′a1 静電ノズル吐出装置
5′b 第1乾燥工程
5′c 第2塗布工程
5′c1 静電ノズル吐出装置
5′d 第2乾燥工程
5′e 第3塗布工程
5′e1 静電ノズル吐出装置
5′f 第3乾燥工程
7′ 電子注入層形成工程
8′ 第2電極形成工程
9′ 封止層形成工程
10 回収工程
140 封止材接着−断裁工程
141C ステンシル
141D 接着シート
144X、144Y 熱刀
150 断裁工程
151A、151B 熱刀

Claims (7)

  1. 少なくとも可撓性の基材、対向する一対の電極とそれらの間に挟持された有機層(以下「有機機能素子」という。)、及び封止材とで構成される有機エレクトロニクス素子の製造方法であって、前記基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上に封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止工程と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁工程とを備えていることを特徴とする有機エレクトロニクス素子の製造方法。
  2. 前記熱溶融断裁の手段として、熱刃を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
  3. 前記熱刃は、ヒータと刃先温度を検出する検出手段とを備え、前記検出手段で検出された温度に対応して、前記ヒータに供給する熱エネルギーを制御することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
  4. 前記熱刃の刃先温度が、前記熱硬化型接着剤の熱硬化温度以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
  5. 前記有機エレクトロニクス素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法を実施するための有機エレクトロニクス素子の製造装置であって、可撓性の基材上に有機機能素子を形成する工程の後に、(i)前記有機機能素子を覆うように前記基材上にロール状の封止材を熱硬化型接着剤で接着する封止手段と、(ii)前記封止材を接着後、当該熱硬化型接着剤が硬化する前に熱溶融断裁を行う断裁手段とを備えていることを特徴とする有機エレクトロニクス素子の製造装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
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