JP2010102902A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料収容部に内圧を低下させるための内圧調整機構が設けられる燃料電池において、内圧調整機構の作動を確認でき、安全性に優れるものを提供すること。
【解決手段】液体燃料を収容する燃料収容部22と、前記燃料収容部22に設けられ、前記燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに放出口から内部ガスを放出して前記内圧を低下させる内圧調整機構30とを具備する燃料電池1であって、前記内圧調整機構30の作動を検知する検知手段40を具備するもの。
【選択図】図1
【解決手段】液体燃料を収容する燃料収容部22と、前記燃料収容部22に設けられ、前記燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに放出口から内部ガスを放出して前記内圧を低下させる内圧調整機構30とを具備する燃料電池1であって、前記内圧調整機構30の作動を検知する検知手段40を具備するもの。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池に係り、特に燃料収容部に設けられた内圧を低下させるための内圧調整機構の作動を検知できる燃料電池に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いることが検討されている。燃料電池は燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料を補給することで連続して長時間発電することができる。このため、燃料電池を小型化することができれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムとなる。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であることから、携帯用電子機器の電源として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型のパッシブ方式が知られている。
これらのうち、内部気化型のパッシブ方式はDMFCの小型化に対して特に有利である。パッシブ方式のDMFCとしては、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(燃料電池セル)を、樹脂製の箱状容器からなる燃料収容部上に配置した構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。一方、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部とを流路を介して接続することが検討されている(特許文献2〜4参照)。燃料収容部に収容された液体燃料を流路を介して燃料電池セルに供給することで、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整することができる。
国際公開第2005/112172号パンフレット
特表2005−518646号公報
特開2006−085952号公報
米国特許公開第2006/0029851号公報
ところで、上記したような燃料電池については、想定外の高温環境下での放置等により燃料収容部内の液体燃料の気化が進み、過度に内圧が上昇することがある。燃料収容部の内圧が過度に上昇した場合、燃料収容部が破損し、この破損部分から液体燃料が漏れるおそれがある。例えば液体燃料として用いられるメタノールは人体に対する影響が大きく、吸入すると中枢神経を冒し、めまい、下痢を起こすおそれがある。特に、大量に吸入したり、眼に入ったりした場合、視神経に障害を起こすおそれがある。また、液体燃料が漏れた場合、発火のおそれもある。
このため、燃料収容部の内圧が所定の上限値、例えば大気圧に比べて0.5MPa程度高い圧力となったとき、開弁して内圧を低下させるバルブ機構を備える内圧調整機構を設けることが検討されている。しかしながら、内圧調整機構が作動したものは想定外の高温環境下に晒された可能性があり、燃料収容部の強度が低下し、破損しやすくなっているおそれがある。また、内圧調整機構が作動後に元の状態に戻らない構造の場合、具体的には開弁後に閉弁しない構造の場合、液体燃料が漏れ続けるおそれがある。このため、その後の使用を中止させるために、内圧調整機構が作動したことを確認できることが求められる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、燃料収容部に内圧を低下させるための内圧調整機構が設けられたものにおいて、内圧調整機構の作動を確認でき、安全性に優れる燃料電池を提供することを目的としている。
本発明の燃料電池は、液体燃料を収容する燃料収容部と、前記燃料収容部に設けられ、前記燃料収容部の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに放出口から内部ガスを放出して前記内圧を低下させる内圧調整機構とを具備する燃料電池であって、前記内圧調整機構の作動を検知する検知手段を具備することを特徴とする。
前記検知手段は、例えば前記内圧調整機構から放出される放出物の接触により変色もしくは発色するものであって、前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置されるものである。前記変色もしくは発色する検知手段は、例えば基材を前記放出物に溶解可能な着色剤で着色したもの、また例えば基材を前記放出物の接触により変色もしくは発色する着色剤で着色したもの、さらに例えば感熱紙である。
また、前記変色もしくは発色する検知手段は、例えば前記内圧調整機構から放出される前記液体燃料の放出物の接触により材料劣化するものであって、前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置されるものであってもよい。前記検知手段は、例えばアクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABS樹脂から選ばれる少なくとも1種からなるものである。
前記変色もしくは発色、または材料劣化する検知手段を有する燃料電池は、前記燃料収容部を覆い、かつ前記検知手段に対向する位置に透明部材からなる窓部が設けられた筐体を有することが好ましい。前記窓部は、前記液体燃料に対する耐性を有する樹脂からなることが好ましく、例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニルサルホン、およびポリエーテルサルホンの中から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
また、前記検知手段は、例えば前記内圧調整機構から放出される液体燃料を収容可能で、かつ前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置される透明部材からなる収容槽であってもよい。
さらに、前記検知手段は、前記内圧調整機構の放出口近傍の圧力を測定する圧力センサまたは燃料濃度を測定する濃度センサからなるものであってもよい。前記圧力センサまたは濃度センサからなる検知手段を用いる場合、前記検知手段の検知信号から前記内圧調整機構の作動の有無を判断し、通知する通知手段を設けることが好ましい。
本発明によれば、燃料収容部に内圧を低下させるための内圧調整機構が設けられる燃料電池において、この内圧調整機構の作動を検知する検知手段を設けることで、この検知手段を利用して使用者に内圧調整機構が作動したことを確認させ、その後の使用を中止させることができ、安全性に優れる燃料電池とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の燃料電池の一例を示す断面図である。燃料電池1は、例えば起電部を構成する膜電極接合体としての燃料電池セル10と、この燃料電池セル10に燃料を供給する燃料供給機構20とから主として構成されている。燃料供給機構20は、例えば燃料分配機構21と、液体燃料を収容する燃料収容部22と、これら燃料分配機構21と燃料収容部22とを接続する流路23と、この流路23中に配置されるポンプ24とから構成されている。
図1は、本発明の燃料電池の一例を示す断面図である。燃料電池1は、例えば起電部を構成する膜電極接合体としての燃料電池セル10と、この燃料電池セル10に燃料を供給する燃料供給機構20とから主として構成されている。燃料供給機構20は、例えば燃料分配機構21と、液体燃料を収容する燃料収容部22と、これら燃料分配機構21と燃料収容部22とを接続する流路23と、この流路23中に配置されるポンプ24とから構成されている。
そして、内圧調整機構30は、燃料収容部22に設けられている。また、内圧調整機構30の作動を検知する検知手段40は、内圧調整機構30、例えば内部ガスを放出する放出口またはその周辺部に設けられている。検知手段40としては、例えば内圧調整機構30から放出される放出物の接触により変色もしくは発色、または材料劣化するものであって、燃料電池1の外部から目視可能な位置に配置されるもの、また例えば内圧調整機構30から放出される液体燃料を収容可能なものであって、燃料電池1の外部から目視可能な位置に配置される透明部材からなる収容槽、さらに例えば圧力センサまたは濃度センサからなるものが挙げられる。
以下、上記した検知手段40について順に説明する。まず、検知手段40のうち内圧調整機構30から放出される放出物の接触により変色もしくは発色、または材料劣化等の外観変化を生じるものについて説明する。
このような内圧調整機構30から放出される放出物の接触により変色もしくは発色、または材料劣化等の外観変化を生じる検知手段40については、燃料電池1の外部からこの検知結果としての外観変化を目視することにより内圧調整機構30が作動したことを容易に確認できる。
図3〜5は、このような検知手段40を設けた内圧調整機構30の一例を示す断面図である。なお、図3〜5については、図中下側が燃料収容部22の内側、また図中上側が燃料収容部22の外側となるように図示している。
図3に示すように、内圧調整機構30は、例えば燃料収容部22の外壁を利用して設けられている。また、検知手段40は、内圧調整機構30の両端部のうち、例えば外側の端部に設けられている。
なお、このような内圧調整機構30および検知手段40を設ける場合、これらから放出される放出物の使用者への接触を防ぎ、より安全性に優れたものとするため、燃料収容部22の周囲に筐体50を設けることが好ましい。この際、内圧調整機構30の吸排気が可能となるように、筐体50と燃料収容部22との間に外部と繋がる隙間を設けることが好ましい。また、筐体50のうち検知手段40に対向する位置には、この検知手段40を目視するための透明部材からなる窓部51を設けることが好ましい。
筐体50は、例えば燃料収容部22と同様な材料からなるものとすることができる。また、窓部51を構成する透明部材は、放出物、特に液体燃料の燃料成分の接触により材料劣化しないものであることが好ましく、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)等が好ましいものとして挙げられる。
この内圧調整機構30は、燃料収容部22の内圧が所定の上限値、例えば大気圧に対して0.5MPa程度高い圧力に上昇したときに圧力を低下させる降圧機能と共に、燃料収容部22の内圧が所定の下限値、例えば大気圧に対して0.01MPa程度低い圧力に低下したときに圧力を上昇させる昇圧機能とを併せ持つものである。
なお、昇圧機能は、燃料収容部22の内圧が大気圧よりも低くなったときに、ポンプ24の実質的な送液能力が低下し、燃料電池1の発電特性が低下することから、燃料収容部22の内圧を大気圧に近づけ、ポンプ24の送液能力を回復させ、燃料電池1の発電特性を維持するために設けられている。
内圧調整機構30は、例えば燃料収容部22の外壁を利用して設けられる貫通孔31と、この貫通孔31に配置される弁体32と、この弁体32を貫通孔31に保持する保持材33と、これら弁体32と保持材33との間に配置され、これらの間をシール状態とするためのシール材34と、このシール材34に向かって弁体32を押圧する弾性体35とから構成されている。
貫通孔31は、例えば燃料収容部22の外側部分に形成され、弁体32を収容する収容部31aと、この収容部31aと燃料収容部22の内部とを接続する接続部31bとを有している。保持材33は、収容部31aに挿入される挿入部33aと、この挿入部33aの端部外周に突設され、収容部31aの周囲に係合する係合部33bと、これらを貫通する弁孔33cとを有している。保持材33は、例えば収容部31aに挿入部33aを嵌め込むようにして固定されている。
弁体32は、この弁体32を主として構成する第1の弁体36と、この第1の弁体36の保持材33側の端部に嵌め込まれる第2の弁体37とから構成されている。
第1の弁体36は、一方の端部が保持材33の弁孔33cに挿入され、他方の端部が接続部31bに挿入される軸部36aと、軸部36aの外周に突設される弁部36bと、軸部36aを貫通する軸孔36cとを有しており、収容部31a内を軸方向に移動可能となっている。
一方、第2の弁体37は、第1の弁体36の軸孔36cに挿入される軸部37aと、この軸部37aの端部外周に突設して形成され、第1の弁体36の軸孔36cの端部に係合する係合部37bとを有している。軸部37aは、側面部に軸方向に沿った複数の溝部37cを有しており、例えば断面が略十字状とされている。また、係合部37bは、第1の弁体36の軸孔36cよりも径大とされ、例えば円板状とされている。
このような第2の弁体37は、第1の弁体36の軸孔36cに軸部37aを嵌め込むことで固定されており、このとき第1の弁体36の軸孔36cの端部に係合部37bが係合することで、この軸孔36cを閉塞している。
なお、第2の弁体37は、完全には第1の弁体36に固定されておらず、燃料収容部22の内圧が所定の上限値となったときに、この内圧と大気圧との圧力差によって第1の弁体36から抜け出るように移動できるものとされている。また、このとき第2の弁体37に溝部37cが形成されていることで、実質的に第1の弁体36の軸孔36cが開放される。
また、シール材34は、例えば弾性材料からなるOリング等であって、第1の弁体36の弁部36bに対して保持材33側となる軸部36aの周囲に設けられている。また、弾性体35は、例えば圧縮スプリング等からなるものであって、第1の弁体36の弁部36bに対してシール材34の反対側となる軸部36aの周囲に設けられている。そして、第1の弁体36の弁部36bを弾性体35で押圧することで、保持材33と弁部36bとの間がシール材34によってシール状態とされている。
なお、弾性体35は、燃料収容部22の内圧が所定の下限値に低下したときに、この内圧と大気圧との圧力差によって弾性体35の反発力に抗して第1の弁体36が燃料収容部22の内側へと移動できるように反発力が調整されている。
このような内圧調整機構30における保持材33、第1の弁体36は、液体燃料に対する耐性、特に耐メタノール性を有する樹脂材料からなることが好ましく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:ヴィクトレックス社商標)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)等、さらには耐メタノール性と透明性を有する樹脂材料として、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)等からなることが好ましい。特に、燃料収容部22と同様の材料からなることで、燃料収容部22への超音波接合等による固定が良好となるため好ましい。
また、シール材34についても、液体燃料に対する耐性、特に耐メタノール性を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)からなることが好ましいが、例えばシリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)からなるものであっても構わない。さらに、弾性体35についても、液体燃料に対する耐性、特に耐メタノール性に優れたものするために表面処理が施されたものであることが好ましく、具体的にはステンレス系の圧縮スプリングに対し不動態化処理が行われ、耐食性に優れるものが好ましい。表面処理に関しては不動態化処理に限らず、金等の貴金属めっきやフッ素系樹脂等の樹脂コーティングも好適に用いられる。また、素材としてカーボンを用いたバネを使用することもできる。
このような内圧調整機構30によれば、燃料収容部22の内圧が所定の上限値と下限値との範囲内にある場合、保持材33の弁孔33cが第1の弁体36によって閉塞されると共に、この第1の弁体36の軸孔36cが第2の弁体37によって閉塞されることで、燃料収容部22からの液体燃料の漏れが抑制される。
そして、図4に示すように、燃料収容部22の内圧が所定の下限値を超えて低下した場合、この内圧と大気圧との圧力差により弾性体35の反発力に抗して弁体32の全体が燃料収容部22の内側へと移動することで、保持材33の弁孔33cが開放される。これにより、燃料収容部22の外部から内部へと外気を導入し、内圧を上昇させることができる(昇圧機能)。また、燃料収容部22の内圧が上昇した後は、弾性体35の反発力により弁体32の全体が元の位置へと押し戻され、再び保持材33の弁孔33cが閉塞される(図3)。
また、図5に示すように、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇した場合、この内圧と大気圧との圧力差により第1の弁体36から第2の弁体37が抜け出るように移動することで、第2の弁体37の溝部37cが第1の弁体36の軸孔36cから露出し、実質的に第1の弁体36の軸孔36cが開放される。これにより、燃料収容部22の内部から外部へと内部ガスを放出し、燃料収容部22の内圧を低下させることができる(降圧機能)。
検知手段40は、例えば図3に示すように、内圧調整機構30における放出口となる保持材33の弁孔33cに設けられる。この検知手段40は、上記したように内圧調整機構30から放出される放出物の接触により変色もしくは発色、またはクラックや白濁等の材料劣化するものである。
なお、放出物には、例えば燃料収容部22に収容される液体燃料自体およびその気化物が含まれ、具体的には液体状、気体状の燃料成分および水分が含まれる。そして、上記した検知手段40の変色、発色、または材料劣化は、これらの成分の少なくとも1種に基づくものであればよい。また、上記した検知手段40の変色、発色、または材料劣化は、放出物の熱を利用するものであってもよい。
このような検知手段40を設けることで、内圧調整機構30が作動した際、すなわち降圧機能が作動した際、内圧調整機構30からの放出物により検知手段40が変色等の外観変化をするため、後にこの外観変化を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認できる。また、この際、燃料収容部22の周囲に透明部材からなる窓部51を有する筐体50を設けることで、安全かつ確実に目視による確認ができる。
このような検知手段40のうち、放出物の接触により変色もしくは発色するものとしては、例えばインクジェットプリンタによる印刷等により、シート状やメッシュ状の基材、あるいは不織布からなる基材を着色剤で着色したものが挙げられる。
着色剤としては、例えば放出物に溶解可能なものが挙げられる。このような着色剤を用いることで、内圧調整機構30からの放出物により着色剤が流れ出して基材が脱色するように変色するため、目視により内圧調整機構30の作動を確認できる。
また、着色剤としては、例えば放出物の接触により変色もしくは発色するものであってもよい。このような着色剤としては、例えば放出物の接触により無色の状態から発色するもの、有色の状態から異なる色に変色するもの、また有色の状態から無色の状態に変色するものが挙げられる。このような着色剤を用いることで、内圧調整機構30からの放出物により着色剤が変色もしくは発色するため、目視により内圧調整機構30の作動を確認できる。
さらに、放出物の接触により変色もしくは発色する検知手段40としては、感熱紙からなるものであってもよい。検知手段40として感熱紙を用いることで、内圧調整機構30からの放出物の熱により変色もしくは発色するため、目視により内圧調整機構30の作動を確認できる。
一方、放出物の接触によりクラック、白濁等の材料劣化する検知手段40としては、液体燃料に対する耐性、特に耐メタノール性の低い樹脂からなるものが挙げられ、例えばアクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、PC/ABS樹脂からなるもの挙げられる。検知手段40をこのような樹脂からなるものとすることで、内圧調整機構30からの放出物、特に液体燃料の燃料成分によりクラック、白濁等の材料劣化が生じるため、この材料劣化を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認できる。
以上、検知手段40として内圧調整機構30からの放出物の接触により外観変化を生じるものを用いた場合について説明したが、このような検知手段40が設けられる内圧調整機構30は必ずしも上記したものに限られるものではない。以下、このような検知手段40が適用される内圧調整機構30の他の例について説明する。
図6、7は、内圧調整機構30の他の例を示す断面図である。なお、図6、7については、図中右下が燃料収容部22の内側、また図中上側および左側が燃料収容部22の外側となるように図示している。
図6に示すように、この内圧調整機構30は、弁体61と、この弁体61を収容する収容部62と、弁体61を収容部62に保持する保持材63と、収容部62と燃料収容部22の内部を繋ぐ弁孔64と、収容部62と燃料収容部22の外部を繋ぐ放出路65とを有している。
収容部62は、例えば燃料収容部22の外側に向けて開口する凹部とされている。そして、収容部62の底部に弁孔64が接続され、側面部に放出路65が接続されている。弁体61は、例えば軸方向に伸縮可能な円柱状弾性体であり、保持材63によって軸方向に押圧されることで、弁孔64の周囲に接触して閉塞させている。なお、弁体61は、燃料収容部22の内圧が所定の上限値となったときに、この内圧と大気圧との圧力差によって軸方向に収縮することで、弁孔64を開放するものとされている。
このような弁体61は、耐燃料性、特に耐メタノール性を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)からなることが好ましいが、例えばシリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)からなるものであっても構わない。
このような内圧調整機構30によれば、燃料収容部22の内圧が所定の上限値以下の場合、弁孔64が弁体61によって閉塞されることで、燃料収容部22からの液体燃料の漏れが抑制される。
そして、図7に示すように、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇した場合、この内圧と大気圧との圧力差により弁体61が軸方向に収縮することで弁孔64が開放され、これにより燃料収容部22の内部から外部へと内部ガスを放出し、燃料収容部22の内圧を低下させることができる。
このような内圧調整機構30については、例えば図6に示すように、内圧調整機構30の放出口となる放出路65に検知手段40が設けられる。また、筐体50のうち、この放出路65に設けられる検知手段40に対向する位置に窓部51が設けられる。
このように検知手段40を設けることで、内圧調整機構30が作動した際、内圧調整機構30からの放出物により検知手段40が変色等の外観変化をするため、後にこの外観変化を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認できる。
図8、9は、内圧調整機構30のさらに他の例を示す断面図である。
図8に示すように、この内圧調整機構30は、例えば弁体71と、この弁体71を収容する貫通孔72と、弁体71を貫通孔72に保持する保持材73とを有しており、この保持材73として検知手段40を用いている。また、筐体50のうち、貫通孔72に設けられる保持材73としての検知手段40に対向する位置に窓部51が設けられている。
図8に示すように、この内圧調整機構30は、例えば弁体71と、この弁体71を収容する貫通孔72と、弁体71を貫通孔72に保持する保持材73とを有しており、この保持材73として検知手段40を用いている。また、筐体50のうち、貫通孔72に設けられる保持材73としての検知手段40に対向する位置に窓部51が設けられている。
弁体71は、例えば筒部71aと、この筒部71aの端部に一体的に設けられる破断可能な膜部71bとを有する略筒状弾性体である。この弁体71は、膜部71bの両側の圧力差により該膜部71bが破れることで、弁体として機能するものである。
このような弁体71は、耐燃料性、特に耐メタノール性を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)からなることが好ましいが、例えばシリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)からなるものであっても構わない。
また、貫通孔72は、弁体71を収容する収容部72aと、この収容部72aと燃料収容部22の内部を繋ぎ、収容部72aよりも径小な接続部72bとを有している。そして、弁体71は、膜部71bが接続部72bを閉塞させるように、保持材73としての検知手段40に押圧されて収容部72a内に保持されている。
このような内圧調整機構30によれば、燃料収容部22の内圧が所定の上限値以下の場合、接続部72bが弁体71の膜部71bにより閉塞されることで、燃料収容部22からの液体燃料の漏れが抑制される。
そして、図9に示すように、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇した場合、この内圧と大気圧との圧力差により弁体71の膜部71bが破れて接続部72bが開放され、これにより燃料収容部22の内部から外部へと内部ガスを放出し、燃料収容部22の内圧を低下させることができる。
このとき、内圧調整機構30の放出口となる貫通孔72に検知手段40が設けられているため、貫通孔72からの放出物により検知手段40が変色等の外観変化し、後にこの外観変化を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認できる。
図10、11は、内圧調整機構30の別の例を示す断面図である。
図10に示すように、この内圧調整機構30は、外側から順に、第1の孔部81、この第1の孔部81よりも径小な第2の孔部82、およびこの第2の孔部82の端部に設けられる薄肉部83が形成されて構成されている。なお、薄肉部83は、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに、この内圧と大気圧との圧力差によって破断するものとされている。
図10に示すように、この内圧調整機構30は、外側から順に、第1の孔部81、この第1の孔部81よりも径小な第2の孔部82、およびこの第2の孔部82の端部に設けられる薄肉部83が形成されて構成されている。なお、薄肉部83は、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに、この内圧と大気圧との圧力差によって破断するものとされている。
そして、検知手段40は、内圧調整機構30の放出口となる第2の孔部82に設けられている。また、窓部51は、筐体50のうち、第2の孔部82に設けられる検知手段40に対向する位置に設けられている。
このような内圧調整機構30によれば、燃料収容部22の内圧が所定の上限値以下の場合、第1の孔部81が薄肉部83により閉塞されているために、燃料収容部22からの液体燃料の漏れが抑制されている。
そして、図11に示すように、燃料収容部22の内圧が所定の上限値を超えて上昇した場合、この内圧と大気圧との圧力差により薄肉部83が破断して第1の孔部81が開放され、これにより燃料収容部22の内部から外部へと内部ガスを放出し、燃料収容部22の内圧を低下させることができる。
このとき、第2の孔部82に検知手段40が設けられているため、第2の孔部82からの放出物により検知手段40が変色等の外観変化し、後にこの外観変化を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認できる。
次に、他の検知手段40について説明する。
検知手段40としては、上記したように例えば内圧調整機構30から放出される液体燃料を収容可能なものであって、燃料電池1の外部から目視可能な位置に配置される透明部材からなる収容槽であってもよい。図12は、収容槽からなる検知手段40を示したものである。なお、内圧調整機構30は、図10に示すものと基本的に同様なものである。
検知手段40としては、上記したように例えば内圧調整機構30から放出される液体燃料を収容可能なものであって、燃料電池1の外部から目視可能な位置に配置される透明部材からなる収容槽であってもよい。図12は、収容槽からなる検知手段40を示したものである。なお、内圧調整機構30は、図10に示すものと基本的に同様なものである。
このような検知手段40は、例えば一部に内圧調整機構30から放出される液体燃料を導入する導入口を有すると共に、導入した液体燃料を収容、保持可能な容器状のものであり、第1の孔部81に導入口を一致させて密封状態とするようにして第2の孔部82に配置される。検知手段40は、放出される液体燃料の接触により材料劣化しないものであることが好ましく、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)等が好ましいものとして挙げられる。
このような検知手段40によれば、内圧調整機構30が作動した場合、内圧調整機構30から放出される液体燃料を目視可能な状態で収容することができ、後にこの検知手段40に収容された検知結果としての液体燃料の有無を目視することにより内圧調整機構30の作動を確認することができる。また、放出された液体燃料により移動可能なボールバルブやフローター(浮き)を配置することで、より視認性を向上させることができる。
また、検知手段40としては、上記したように例えば圧力センサまたは濃度センサからなるものであってもよい。図13は、圧力センサからなる検知手段40を示したものである。なお、内圧調整機構30は、図10に示すものと同様なものである。
検知手段40は、例えば内圧調整機構30の実質的な放出口となる第1の孔部81の近傍に配置される。この検知手段40は、例えばシリコンチップ上に歪抵抗が形成されたものであり、圧力が加えられたときの歪みにより歪抵抗の抵抗値が変化し、これを利用して圧力変化を電気信号に変換するものである。
内圧調整機構30が作動した場合、内圧調整機構30の実質的な放出口である第1の孔部81の近傍の圧力が変化する。このため、この第1の孔部81の近傍に検知手段40を配置することで、第1の孔部81の近傍の圧力変化としての電気信号(検知信号)を得ることができ、これにより内圧調整機構30の作動の有無を判断できる。
また、このような判断結果を通知する通知手段41を検知手段40に接続することで、内圧調整機構30の作動を確認できる。通知手段41としては、使用者が確認できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば目視により確認できるもの、具体的にはランプ類、液晶表示装置等が挙げられ、これらは筐体50の外部に配置される。
また、検知手段40としては、圧力センサの代わりに燃料濃度、特にメタノール濃度を測定する濃度センサからなるものであってもよい。濃度センサとしては、例えば光学的な屈折率を利用したもの、静電容量を利用したもの、超音波方式のもの、密度を測定する方式のもの、電気化学的にメタノールの酸化電流を検出する方式のものなど種々の方式のものを利用することができる。
検知手段40として濃度センサを用いる場合についても、内圧調整機構30が作動した場合、内圧調整機構30の実質的な放出口である第1の孔部81の近傍の燃料濃度が変化するため、この第1の孔部81の近傍に濃度センサを配置することで、第1の孔部81の近傍の濃度変化としての電気信号(検知信号)を得ることができ、これにより内圧調整機構30の作動の有無を判断できる。また、このような判断結果を通知する通知手段41を検知手段40に接続することで、内圧調整機構30の作動を確認できる。
以上、他の検知手段40について説明したが、このような検知手段40が適用される内圧調整機構30は必ずしも図10に示されるような内圧調整機構30に限られるものではなく、若干の形態変更を行うことで、先に説明した図3〜9に示すような内圧調整機構30に対しても適用することが可能である。
次に、燃料電池1のその他の部分について説明する。
図1に戻り、燃料電池セル10は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
図1に戻り、燃料電池セル10は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
アノード触媒層11やカソード触媒層14に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層11にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層14にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。但し、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜17を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。但し、プロトン伝導性の電解質膜17はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11の集電体も兼ねている。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は、カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層14の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15は多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層12やカソードガス拡散層15には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAu、Ni等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)、薄膜または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)等の導電性金属材料にAuなどの良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。電解質膜17と燃料分配機構21およびカバープレート18との間には、それぞれゴム製のOリング19が介在されており、これらによって燃料電池セル10からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
図示を省略したが、カバープレート18は酸化剤である空気を取入れるための開口を有している。カバープレート18とカソード16との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層14への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料収容部22には、燃料電池セル10に対応した液体燃料が収容される。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部22には燃料電池セル10に応じた液体燃料が収容される。
この燃料収容部22は、耐燃料性、特に耐メタノール性を有する樹脂材料、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:ヴィクトレックス社商標)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)等、さらには耐メタノール性と透明性を有する樹脂材料として、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)等により構成される。
燃料電池セル10のアノード13側には、燃料分配機構21が配置されている。燃料分配機構21は途中にポンプ24が設けられた配管のような液体燃料の流路23を介して燃料収容部22と接続されている。燃料分配機構21にはこのような流路23を通して液体燃料が燃料収容部22から導入される。流路23は燃料分配機構21や燃料収容部22と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構21と燃料収容部22とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構21は流路23を介して燃料収容部22と接続されていればよい。
燃料分配機構21は、例えば図2に示すように液体燃料が流路23を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21aと、液体燃料やその気化成分を放出する複数個の燃料放出口21bとを有する燃料分配板21cである。燃料分配板21cの内部には、図1に示すように燃料注入口21aから導かれた液体燃料の通路となる空隙部21dが設けられている。複数の燃料放出口21bは燃料通路として機能する空隙部21dにそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21aから燃料分配板21cに導入された液体燃料は空隙部21dに入り、この燃料通路として機能する空隙部21dを介して複数の燃料放出口21bにそれぞれ導かれる。複数の燃料放出口21bには、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池セル10のアノード13には液体燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構21とアノード13との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料放出口21bからアノード13の複数個所に向けて放出される。
燃料放出口21bは燃料電池セル10の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板21cのアノード13と接する面に複数設けられている。燃料放出口21bの個数は1個以上であればよいが、燃料電池セル10の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料放出口21bが存在するように形成することが好ましい。燃料放出口21bの個数が0.1個/cm2未満であると、燃料電池セル10に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料放出口21bの個数を10個/cm2を超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
燃料分配機構21から放出された燃料は、上述したように燃料電池セル10のアノード13に供給される。燃料電池セル10内において、燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− …(1)
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− …(1)
この反応で生成した電子(e−)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード16に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e−)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e−+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
6e−+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
ポンプ24は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部22から燃料分配機構21に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ24で必要時に液体燃料を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。燃料分配機構21から燃料電池セル10に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部22に戻されることはない。図1に示す燃料電池1は燃料を循環させないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ24を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なるため、例えばセミパッシブ方式と呼称されるものである。
ポンプ24の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
ポンプ24の送液能力は燃料電池1の主たる対象物が小型電子機器であることから、10μL/分〜1mL/分の範囲とすることが好ましい。送液能力が1mL/分を超えると一度に送液される液体燃料の量が多くなりすぎて、全運転期間に占めるポンプ24の停止時間が長くなる。このため、燃料電池セル10への燃料の供給量の変動が大きくなり、その結果として出力の変動が大きくなる。これを防止するためのリザーバをポンプ24と燃料分配機構21との間に設けてもよいが、そのような構成を適用しても燃料供給量の変動を十分に抑制することはできず、さらに装置サイズの大型化等を招いてしまう。
一方、ポンプ24の送液能力が10μL/分未満であると、装置立ち上げ時のように燃料の消費量が増える際に供給能力不足を招くおそれがある。これによって、燃料電池1の起動特性等が低下する。このような点から、10μL/分〜1mL/分の範囲の送液能力を有するポンプ24を使用することが好ましい。ポンプ24の送液能力は10〜200μL/分の範囲とすることがより好ましい。このような送液量を安定して実現する上でも、ポンプ24には電気浸透流ポンプやダイアフラムポンプを適用することが好ましい。
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。例えば、本発明の燃料電池としては、燃料電池セルへ供給される液体燃料が全て液体燃料の蒸気であってもよいし、一部が液体状態で供給されるものであってもよい。
1…燃料電池、22…燃料収容部、30…内圧調整機構、40…検知手段、50…筐体、51…窓部
Claims (14)
- 液体燃料を収容する燃料収容部と、前記燃料収容部に設けられ、前記燃料収容部の内圧が所定の上限値を超えて上昇したときに放出口から内部ガスを放出して前記内圧を低下させる内圧調整機構とを具備する燃料電池であって、
前記内圧調整機構の作動を検知する検知手段を具備することを特徴とする燃料電池。 - 前記検知手段は、前記内圧調整機構から放出される放出物の接触により変色もしくは発色するものであって、前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、基材を前記放出物に溶解可能な着色剤で着色したものであることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、基材を前記放出物の接触により変色もしくは発色する着色剤で着色したものであることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、感熱紙であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、前記内圧調整機構から放出される放出物の接触により材料劣化するものであって、前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABS樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項6記載の燃料電池。
- 前記燃料収容部を覆い、かつ前記検知手段に対向する位置に透明部材からなる窓部が設けられた筐体を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項記載の燃料電池。
- 前記窓部は、前記液体燃料に対する耐性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の燃料電池。
- 前記窓部は、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニルサルホン、およびポリエーテルサルホンの中から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項9記載の燃料電池。
- 前記検知手段は、前記内圧調整機構から放出される液体燃料を収容可能なものであって、前記燃料電池の外部から目視可能な位置に配置される透明部材からなる収容槽であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記検知手段が前記内圧調整機構の放出口近傍の圧力を測定する圧力センサからなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記検知手段が前記内圧調整機構の放出口近傍の燃料濃度を測定する濃度センサからなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記検知手段の検知信号から前記内圧調整機構の作動の有無を判断し、通知する通知手段を有することを特徴とする請求項12または13記載の燃料電池。
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-
2008
- 2008-10-22 JP JP2008272450A patent/JP2010102902A/ja not_active Abandoned
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KR101970813B1 (ko) * | 2014-02-24 | 2019-04-19 | 주식회사 엘지화학 | 홀을 포함하고 있는 전지셀 |
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