JP2010251225A - 燃料電池用燃料タンクおよび燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性の高い内部圧力制御が可能で、かつ、生産性の向上および燃料電池の一層の小型化を図ることができる燃料電池用燃料タンク、およびそのような燃料タンクを用いた燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池用燃料タンク5は、液体燃料を収容するタンク本体51と、このタンク本体51に設けられた内圧排出路/外気導入路と、通常は内圧排出路/外気導入路を閉塞し、タンク本体の内圧が上昇したときに選択的に内圧排出路/外気導入路を開放する弁体502/507とを具備し、弁体502/507は、タンク本体51の外表面より内側で内圧排出路/外気導入路を閉塞するものである。燃料電池1は、燃料電池用燃料タンク51を具備する。
【選択図】図7

Description

本発明は、液体燃料を収容する燃料電池用燃料タンク、およびこれを用いた燃料電池に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は燃料と空気とを供給するだけで発電することができ、燃料を補給すれば連続して長時間発電することができる。このため、燃料電池を小型化できれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムといえる。
特に、エネルギー密度の高いメタノール燃料を用いた直接メタノール型燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯機器用の電源として有望視されている。DMFCにおける燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また燃料タンク内の液体燃料を燃料電池内で気化させて燃料極に供給する内部気化型のパッシブ方式が知られている。
これらのうち、パッシブ方式はDMFCの小型化に対して有利である。パッシブ方式のDMFCでは、例えば燃料タンク内のメタノール燃料を燃料含浸層や燃料気化層等を介して気化させて燃料極に供給している(例えば、特許文献1、2参照。)。
ところで、上記燃料タンクにおいては、発電に伴うメタノール燃料の減少により、内部の圧力が低下する。燃料タンク内の圧力が低下すると、燃料電池セル側がほぼ大気圧となっているため、燃料電池セルへの燃料供給量が減少し、十分な出力が得られないおそれがある。また、逆に、使用時の温度上昇等により、メタノール燃料が蒸発して、内部の圧力が過度に上昇することがある。燃料タンク内の圧力が過度に上昇すると、破損や燃料漏れ等が発生しやすくなり、燃料電池の信頼性が低下する。
この問題に対処して、例えば、燃料タンク内の圧力が低下したときに外気を導入する機構および/または燃料タンク内の圧力が上昇したときにその圧力を逃がす機構を設けた燃料電池が提案されている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかし、これらの外気を導入したり、圧力を逃がしたりする機構は、構成が複雑で、かつ燃料タンクと別体に形成されており、信頼性や生産性の観点から、さらには、燃料電池の小型化の観点からも、必ずしも満足できるものではなかった。
特許第3413111号公報 国際公開第2005/112172号パンフレット 特開2008−218012号公報 特開2008−243797号公報
本発明の目的は、信頼性の高い内部圧力制御が可能で、かつ、生産性の向上および燃料電池の一層の小型化を図ることができる燃料電池用燃料タンク、およびそのような燃料タンクを用いた燃料電池を提供することにある。
本発明の一態様に係る燃料電池用燃料タンクは、液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた内圧排出路と、通常は前記内圧排出路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が上昇したときに選択的に前記内圧排出路を開放する弁体とを具備し、前記弁体は、前記タンク本体の外表面より内側で前記内圧排出路を閉塞するものであることを特徴としている。
本発明の一態様に係る燃料電池用燃料タンクは、液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた外気導入路と、通常は前記外気導入路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が低下したときに選択的に前記外気導入路を開放する弁体とを具備し、前記弁体は、前記タンク本体の外表面より内側で前記外気導入路を閉塞するものであることを特徴としている。
本発明の一態様に係る燃料電池用燃料タンクは、液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた内圧排出路および外気導入路と、通常は前記内圧排出路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が上昇したときに選択的に前記内圧排出路を開放する弁体(I)と、通常は前記外気導入路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が低下したときに選択的に前記外気導入路を開放する弁体(II)とを具備し、前記弁体(I)および(II)は、前記タンク本体の外表面より内側で前記内圧排出路および前記外気導入路をそれぞれ閉塞するものであることを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る燃料電池は、上記の燃料電池用燃料タンクと、前記燃料電池用燃料タンクから供給される燃料によって発電動作する起電部とを具備することを特徴としている。
本発明の一態様に係る燃料電池用燃料タンクによれば、従来に比べ、必要な部品点数を少なくすることができ、また、燃料漏れのおそれを低減することができる。これにより、信頼性の高い内部圧力制御が可能となり、また、生産性を高め、かつ生産コストを低減することができる。さらに、燃料電池のさらなる小型化を図ることができる。
また、本発明の一態様に係る燃料電池によれば、上記のような特性を備えた燃料電池用燃料タンクを備えるので、起電部への燃料の供給が安定化し、出力特性を向上させることができる。
本発明の一実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。 燃料分配機構の一例を示す斜視図である。 図1の燃料電池に使用されている燃料タンクを示す側面図である。 図3に示す燃料タンクを他の側面から示した図である。 図3に示す燃料タンクを下面側から示した図である。 図3に示す燃料タンクの一部を分解して示す斜視図である。 図3のVII−VII線に沿う断面図である。 図7の要部を拡大して示す断面図である。 図8に示す燃料タンクの第1の内圧調整機構を拡大して示す断面図である。 図9に示す第1の内圧調整機構の使用状態を説明する断面図である。 第1の内圧調整機構の一変形例を示す断面図である 図11に示す第1の内圧調整機構の使用状態を説明する断面図である。 第1の内圧調整機構の他の変形例を示す断面図である 図13に示す第1の内圧調整機構の使用状態を説明する断面図である。 第1の内圧調整機構のさらに他の変形例を示す断面図である 図15に示す第1の内圧調整機構の使用状態を説明する断面図である。 図3に示す燃料タンクの第2の内圧調整機構を拡大して示す断面図である。 図17に示す第2の内圧調整機構の使用状態を説明する断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は図面に基づいて行うが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。また、以下の図面の記載において、共通する部分もしくは略同様の機能を有する部分には、同一符号を付している。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の構成を示す断面図である。図1に示す燃料電池1は、起電部を構成する燃料電池セル2と、この燃料電池セル2に燃料を供給する燃料供給機構3とを有している。燃料供給機構3は、例えば図2に示すような燃料分配機構4と、液体燃料を収容する燃料タンク5と、これらの燃料分配機構4と燃料タンク5とを接続する流路6と、この流路6に配置されるポンプ7とを有している。
まず、燃料供給機構3を構成する燃料タンク5について説明する。
この燃料タンク5には、液体燃料としてメタノール燃料が収容される。メタノール燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノールが用いられる。メタノール燃料は、燃料電池セル2の構成や特性等に応じて適宜選択されるものである。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料タンク5には、燃料電池セル2に応じた液体燃料が収容される。
燃料タンク5は、図3〜図9に示すように、液体燃料を収容する箱状容器からなるタンク本体51と、このタンク本体51の一側面側に略並列するように設けられた3つの機構、すなわち、第1および第2の内圧調整機構52、53と、接続機構(燃料カートリッジ接続機構)54とを有している。なお、図3は、燃料タンク5を3つの機構52、53、54が設けられた側面側から示した図であり、図4は、燃料タンク5を図3の側面に直交する側面から示した図であり、図5は、燃料タンク5を下面側から示した図である。また、図6は、燃料タンク5の一部を分解して示す斜視図であり、図7は、図3のVII−VII線に沿う断面図である。さらに、図8は、図7の要部を拡大して示す断面図であり、図9は、図7の要部をさらに拡大して示す断面図である。
タンク本体51は、全体が耐メタノール性を有する透明樹脂により形成されている。耐メタノール性を有する透明樹脂でタンク本体51を形成することにより、メタノール燃料に対する耐久性や信頼性を良好に保つことができる。また、タンク本体51全体が耐メタノール性を有する透明樹脂で形成された燃料タンク5によれば、その内部のメタノール燃料の残量を外部から確実に目視することが可能となる。
タンク本体51を構成する透明樹脂の耐メタノール性に関しては、JIS K 7114の「プラスチックの耐薬品性試験方法」に準拠する純メタノールの浸漬試験において、質量変化率が0.3%以下、長さ変化率が0.5%以下、厚さ変化率が0.5%以下を満足することが好ましい。各変化率の値が上記した値を超えると、タンク本体51にメタノール燃料を収容して実用に供した際に、タンク本体51に溶解やストレスクラッキング等が生じるおそれがある。タンク本体51に溶解やストレスクラッキング等が生ずると、タンク本体51の実用的な耐久性や信頼性を維持することができない。
また、タンク本体51を構成する透明樹脂の透明性に関しては、JIS K 7105−1981の「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠する光線透過率測定試験において、光線透過率が85%以上であることが好ましい。光線透過率が85%未満の場合にはタンク本体51内の燃料残量の視認性が低下し、タンク本体51内のメタノール燃料の残量を外部から目視で確認することができるという特性が損なわれることになる。
タンク本体51を構成する透明樹脂は、さらに耐衝撃性および耐熱性に優れるものであることが好ましい。耐衝撃性および耐熱性に優れる透明樹脂でタンク本体51を構成することによって、実用時のタンク本体51の内圧変化や温度変化に対する信頼性を高めることができる。
透明樹脂の耐衝撃性に関しては、ASTM D 638に準拠して測定される引張り強さが45MPa以上であることが好ましい。引張り強さが45MPa未満の場合には、実用時、タンク本体51の内圧が変化した際に、第1および第2の内圧調整機構52、53や接続機構54が設けられた部分が破損するおそれがある。なお、前記のように耐衝撃性を表す指標として引張り強さを使用しているが、これは特性として一般に引張り強さが大きいと靭性が高いため、結果として耐衝撃性に優れているためである。
また、透明樹脂の耐熱性に関しては、ASTM D 3418に準拠して測定されるガラス転移温度が100℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が100℃未満の場合には、実用時、タンク本体51の温度が上昇した際に、タンク本体51が変形するおそれがある。タンク本体51が変形すると、タンク本体51の実用的な信頼性が損なわれる。
タンク本体51の形成に使用される耐メタノール性を有する透明樹脂材料としては、例えばポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(TPX)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも、耐衝撃性および耐熱性にも優れる、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)が好ましく、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)がより好ましく、ポリエーテルサルホン(PES)が特に好ましい。
ここで、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)およびポリサルホン(PSF)について測定した引張り強さ(ASTM D 638)およびガラス転移温度(ASTM D 3418)の一例を表1に示す。
Figure 2010251225
このようなタンク本体51に形成された第1および第2の内圧調整機構52、53のうち、一方の第1の内圧調整機構52は、タンク本体51の内圧が上昇した際にその内圧を逃すものである。この第1の内圧調整機構52はタンク本体51の内圧が0.3MPaとなったときに作動することが好ましい。タンク本体51の内圧が0.3MPaとなったときに第1の内圧調整機構52が作動するものとすることで、タンク本体51の破損や液体燃料の漏れを抑制し、燃料電池1を信頼性に優れたものとすることができる。以下、この第1の内圧調整機構52が作動するときのタンク本体51の内圧を内圧上限値という。なお、内圧上限値は必ずしも0.3MPaに限られるものではなく、通常、0.1MPaを超え、1MPa以下の範囲で設定される。
第1の内圧調整機構52は、タンク本体51の一側面に円柱状の孔501を設け、この円柱状の孔501内に円柱状ないし紡錘状の弁体502を配置するとともに、その外側に蓋体503を嵌合させることにより円柱状ないし紡錘状の弁体502を円柱状の孔501内に押圧固定した構造を有する。孔501および弁体502の形状は、円柱状ないし紡錘状に限られるものではなく、例えば角柱状等であってもよい。
蓋体503は、前述したタンク本体51と同様の樹脂材料により形成され、タンク本体51に、例えば超音波溶着によって固定されている。なお、蓋体503を嵌合等でタンク本体51に固定する場合は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:VICTREX社の商標)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)等で形成されていてもよい。
円柱状の孔501の底面および側面には、タンク本体51の内圧を外部に逃がすための内圧排出路の一部を構成する内側連通孔504および外側連通孔505がそれぞれ設けられている。外側連通孔505は、タンク本体51の下面に開口している。外側連通孔505は、タンク本体51の上面や側面に開口されていてもよい。
弁体502は、弾性材料、具体的にはゴムやエラストマー等の弾性変形可能な材料からなり、図9に示すように、円柱状の孔501内に内側連通孔504を塞ぐように配置されている。このように円柱状ないし紡錘状の弁体502によって内側連通孔504が塞がれているため、通常はタンク本体51内の液体燃料の外部への流出が抑制されている。
また、この弁体502は、タンク本体51の内圧が上昇して内圧上限値に達すると、蓋体503側へと押しつぶされるように弾性変形することにより、内側連通孔504を開放するものである。言い換えれば、この弁体502が弾性変形する変形量を調整することによって内圧上限値が調整されている。このような変形量の調整は、例えば弾性材料の種類や硬度、弁体502の大きさや形状、蓋体503の厚み(実質的には、円柱状ないし紡錘状の孔501に挿入される部分の厚み)、円柱状の孔501に弁体502を配置する際の弁体502の軸方向の圧縮率等を適宜選択することにより行うことができる。
このような第1の内圧調整機構52においては、タンク本体51の内圧が上昇して内圧上限値に達すると、図10に示すようにタンク本体51の内圧により弁体502が蓋体503側へと押しつぶされるように弾性変形し、弁体502と内側連通孔504との間に隙間が形成される。この結果、タンク本体51には、内側連通孔504、円柱状ないし紡錘状の孔501および外側連通孔505からなる内圧排出路が形成されることになり、この内圧排出路を通じてタンク本体51の内圧が外部に排出される。
そして、タンク本体51の内圧が外部に排出されることにより、その内圧が内圧上限値よりも低くなると、円柱状ないし紡錘状の弁体502が燃料側へと膨らむように弾性変形し、図8に示すように、内側連通孔504が再び塞がれる。このように内側連通孔504が塞がれることによって、タンク本体51内の液体燃料の外部への流出が再び抑制される。
このように第1の内圧調整機構52は、タンク本体51に円柱状の孔501と、これに連通する内側連通孔504および外側連通孔505とを設けるとともに、円柱状の孔501に円柱状ないし紡錘状の弁体502と、これを押圧固定する蓋体503を装着しただけの簡単な構造であるため、容易かつ低コストで製造することができるうえ、燃料が外部に漏れ出るおそれも極めて少ない。すなわち、従来のように、内圧調整機構がタンク本体51と別体に設けられ、また、そのために部品点数が多い場合には、部品の接合部分等から燃料が漏れ出すおそれがあるが、第1の内圧調整機構52は、構造が簡単で、使用する部品数も少ないため、燃料が漏れ出るおそれはほとんどない。したがって、信頼性の高い内部圧力制御が可能となり、安全性も向上する。さらに、タンク本体51が第1の内圧調整機構52の一部を構成することになるため、燃料タンクの小型化、ひいては燃料電池の小型化を図ることができる。
なお、第1の内圧調整機構52は、図9、10で説明したものに限らず、例えば図11〜16に示すような構造のものであってもよい。
図11、12に示す第1の内圧調整機構52は、図9、10に示す第1の内圧調整機構52において、弁体502として球状のものを用いたものである。図11はタンク本体51の内圧が内圧上限値よりも低く内圧調整機能が作動していないときの状態を示したものであり、図12はタンク本体51の内圧が内圧上限値に達し、内圧調整機能が作動したときの状態を示したものである。
このような第1の内圧調整機構52においても、球状の弁体502は、図11に示すように、タンク本体51の一側面に設けられた円柱状の孔501に、内側連通孔504を塞ぐように配置されているため、通常はタンク本体51内の液体燃料の外部への流出が抑制されている。
そして、タンク本体51の内圧が上昇して内圧上限値に達すると、図12に示すように、球状の弁体502は蓋体503側へと押しつぶされるように弾性変形し、球状の弁体502と内側連通孔504との間に隙間が形成される。この結果、タンク本体51に、内側連通孔504、円柱状の孔501および外側連通孔505からなる内圧排出路が形成され、この内圧排出路を通してタンク本体51の内圧が外部に排出される。
さらに、このようにタンク本体51の内圧が外部に排出されて、その内圧が内圧上限値よりも低くなると、球状の弁体502が燃料側へと膨らむように弾性変形し、図12に示すように、内側連通孔504が再び塞がれる。このように内側連通孔504が塞がれることによって、タンク本体51内の液体燃料の外部への流出が再び抑制される。
図13、14に示す第1の内圧調整機構52は、図9、10に示す第1の内圧調整機構52において、弁体502として、円柱状ないし紡錘状の本体部502aと、円柱状ないし紡錘状の本体部502aの一端に同軸的に設けられた円柱状ないし紡錘状の本体部502aより大径で、円柱状の孔501の内径と略同径のフランジ部502bからなるものを用いたものである。弁体502は、フランジ部502bが蓋体503側に位置するように円柱状の孔501内に配置されている。図13はタンク本体51の内圧が内圧上限値よりも低く内圧調整機能が作動していないときの状態を示したものであり、図14はタンク本体51の内圧が内圧上限値に達し、内圧調整機能が作動したときの状態を示したものである。
このような第1の内圧調整機構52においても、弁体502は、図13に示すように、タンク本体51の一側面に設けられた円柱状の孔501に、内側連通孔504を塞ぐように配置されているため、通常はタンク本体51内の液体燃料の外部への流出が抑制されている。
そして、タンク本体51の内圧が上昇して内圧上限値に達すると、図14に示すように、弁体502は蓋体503側へと押しつぶされるように弾性変形し、弁体502と内側連通孔504との間に隙間が形成される。この結果、タンク本体51に、内側連通孔504、円柱状の孔501および外側連通孔505からなる内圧排出路が形成され、この内圧排出路を通してタンク本体51の内圧が外部に排出される。
さらに、このようにタンク本体51の内圧が外部に排出されて、その内圧が内圧上限値よりも低くなると、弁体502が燃料側へと膨らむように弾性変形し、図13に示すように、内側連通孔504が塞がれる。このように内側連通孔504が塞がれることによって、タンク本体51内の液体燃料の外部への流出が再び抑制される。
このような第1の内圧調整機構52においては、また、フランジ部502bを円柱状の孔501内に嵌合させることで、円柱状ないし紡錘状本体部502aの軸心を円柱状の孔501の軸心、ひいては内側連通孔504の軸心と重なるように容易に配置することが可能となる。このため、フランジ部502bを有さない弁体に比べ、内側連通孔504をより確実に閉塞することができ、内圧調整機能が作動していない場合における内側連通孔504からの液体燃料の流出をより確実に抑制することができ、また設定通りの内圧上限値で第1の内圧調整機構52を安定的に作動させることができる。
図15、16に示す第1の内圧調整機構52は、図11、12に示す第1の内圧調整機構52において、外側連通孔505を蓋体503に設けたものである。図15はタンク本体51の内圧が内圧上限値よりも低く内圧調整機能が作動していないときの状態を示したものであり、図16はタンク本体51の内圧が内圧上限値に達し、内圧調整機能が作動したときの状態を示したものである。
このような第1の内圧調整機構52においても、弁体502は、図15に示すように、タンク本体51の一側面に設けられた円柱状の孔501に、内側連通孔504を塞ぐように配置されているため、通常はタンク本体51内の液体燃料の外部への流出が抑制されている。
そして、タンク本体51の内圧が上昇して内圧上限値に達すると、図16に示すように、弁体502は蓋体503側へと押しつぶされるように弾性変形し、弁体502と内側連通孔504との間に隙間が形成される。この結果、タンク本体51に、内側連通孔504、円柱状の孔501および蓋体503に設けられた外側連通孔505からなる内圧排出路が形成され、この内圧排出路を通してタンク本体51の内圧が外部に排出される。
さらに、このようにタンク本体51の内圧が外部に排出されて、その内圧が内圧上限値よりも低くなると、弁体502が燃料側へと膨らむように弾性変形し、図15に示すように、内側連通孔504が塞がれる。このように内側連通孔504が塞がれることによって、タンク本体51内の液体燃料の外部への流出が再び抑制される。
図11〜16に示した第1の内圧調整機構52も、タンク本体51に、円柱状の孔501および内側連通孔504、または円柱状の孔501、内側連通孔504および外側連通孔505を設けるとともに、円柱状の孔501に弁体502と、これを押圧固定する蓋体503を装着しただけの簡単な構造であるため、容易かつ低コストで製造することができるうえ、燃料が外部に漏れ出るおそれも極めて少ない。すなわち、従来のように、内圧調整機構がタンク本体51と別体に設けられ、また、そのために部品点数が多い場合には、部品の接合部分等から燃料が漏れ出すおそれがあるが、第1の内圧調整機構52は、構造が簡単で、使用する部品数も少ないため、燃料が漏れ出るおそれはほとんどない。したがって、信頼性の高い内部圧力制御が可能となり、安全性も向上する。さらに、タンク本体51が第1の内圧調整機構52の一部を構成することになるため、燃料タンクの小型化、ひいては燃料電池の小型化を図ることができる。
上記のように、弁体502の形状は必ずしも限定されるものではないが、一般に球状のものに比べて柱状ないし紡錘状のものが好ましい。すなわち、金型成形によって何らかの形状の弁体502を作製した場合、その弁体502には金型の合わせ目に相当する部分にパーティングラインが形成される。弁体502が球状である場合、特に方向性がないことから、パーティングラインが内側連通孔504上に位置することがあり、このパーティングラインによって弁体502と内側連通孔504との間に隙間が形成され、弁体502によって内側連通孔504を適切に塞ぐことができないおそれがある。このため球状の弁体502を用いる場合には、予めパーティングラインをバレル研磨等によって除去する必要がある。
一方、弁体502が柱状ないし紡錘状である場合、例えば金型成形の際にパーティングラインが弁体502の側面部のみに形成されるようにし、軸方向の両端部表面にはパーティングラインが形成されないようにすることで、これら両端部表面のいずれかによって内側連通孔504を適切に塞ぐことができる。また、弁体502の側面部に形成されたパーティングラインは内圧調整機能の動作に特に影響を与えないため、バレル研磨等により除去する必要もなく、製造性に優れたものとすることができる。
なお、弁体502を構成する弾性材料としては、例えば、スチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(PEBAX)、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)等のゴム材料が挙げられる。これらのなかでも、耐メタノール性等を考慮して、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)等を用いることが好ましい。
第2の内圧調整機構53は、タンク本体51の内圧が低下したときに、外気を導入することによってその内圧を大気圧程度までに上昇させるものである。タンク本体51の内圧の低下は、主として液体燃料の消費、つまり燃料の燃料電池セル2への供給に伴って生ずるものである。この第2の内圧調整機構53はタンク本体51の内圧が大気圧より低くなったとき、例えば大気圧より0.005MPa低くなったときに作動することが好ましい。タンク本体51の内圧が大気圧より低くなったときに第2の内圧調整機構53が作動するものとすることで、燃料電池セルへの供給量の低下を抑制し、燃料電池の出力を安定化させることができる。以下、この第2の内圧調整機構53が作動するときのタンク本体51の内圧を内圧下限値という。なお、内圧下限値は、通常、大気圧よりも0.001MPa以上、0.1MPa以下低くなる範囲で設定される。
第2の内圧調整機構53は、図17、18に拡大して示すように、タンク本体51の一側面に小径部506aおよび大径部506bからなる段付き円筒状の貫通孔506を設け、この貫通孔506内に弁体としてダックビル弁507を配置するとともに、その外側にダックビル弁507を固定する固定部材508を嵌合させ、さらにその外側にフィルター509を配置した構造を有する。図17はタンク本体51の内圧が内圧下限値よりも高く内圧調整機能が作動していないときの状態を示したものであり、図18はタンク本体51の内圧が内圧下限値に達し、内圧調整機能が作動したときの状態を示したものである。なお、本発明においてはダックビル弁507に代えてアンブレラ弁(図示せず)を使用することも可能である。
固定部材508の中心には空気を導入するための孔508aが設けられており、フィルター509はこの空気導入孔508aを外側から覆うように配置されている。フィルター509は、タンク本体51内部への異物の混入を抑制するとともに、異物がダックビル弁507の後述するスリット状開閉部507aに挟まって完全に閉じなくなることを抑制するために設けられている。
固定部材508は、前述したタンク本体51と同様の樹脂材料により形成され、タンク本体51に、例えば超音波溶着によって固定されている。固定部材508は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)等で形成されていてもよい。
フィルター509は、例えば気体のみを透過させ、液体は透過させない気液分離体等により形成され、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリウレタン等のウレタン系樹脂からなる多孔体、膜、あるいは発泡体等により形成される。
ダックビル弁507は、その一端に小径部506aより大径のフランジ部507bが設けられており、このフランジ部507bを貫通孔506の段部と固定部材508との間に挟み込むようにして配置されている。ダックビル弁507の中心には、空気導入孔508aに連通する孔507cが設けられている。この連通孔507cはその中ほどより燃料側端部に向けて徐々に縮径し、やがて閉塞している。そして、その閉塞した端部には、軸方向から見た形状が−(マイナス)字状のスリット状開閉部507aが形成されている。
ダックビル弁507は、弾性材料、具体的にはゴムやエラストマー等の弾性変形可能な材料からなるものであり、タンク本体51の内圧が内圧下限値に達していない場合、図17に示すように、スリット状開閉部507aは閉じており、タンク本体51の内部から外部への液体燃料の漏れが抑制されている。
また、ダックビル弁507は、タンク本体51の内圧が低下して内圧下限値に達すると、スリット状開閉部507aが開き、外部の空気をタンク本体51内に導入するものである。ダックビル弁507のスリット状開閉部507aが開く内圧下限値の調整は、例えば弾性材料の種類、ダックビル弁507の大きさや形状等を適宜選択することにより行うことができる。
なお、ダックビル弁507を構成する弾性材料としては、例えば、スチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(PEBAX)、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)等のゴム材料が挙げられる。これらのなかでも、耐メタノール性等を考慮して、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)等を用いることが好ましい。
このような第2の内圧調整機構53においては、タンク本体51の内圧が内圧下限値に達していない場合、図17に示すように、ダックビル弁507のスリット状開閉部507aが閉じることにより、タンク本体51の内部から外部への液体燃料の流出が抑制されている。そして、タンク本体51の内圧が内圧下限値に達したときには、図18に示すようにスリット状開閉部507bが開くことにより、外部からタンク本体51の内部へと空気が導入される。
さらに、タンク本体51の内部に空気が導入されることにより、その内圧が内圧下限値よりも高くなると、ダックビル弁507のスリット状開閉部507aが閉じることによって、タンク本体51内の液体燃料の外部への流出が再び抑制される。
このように第2の内圧調整機構53は、タンク本体51に貫通孔506を設けるとともに、貫通孔506にダックビル弁507と、これを押圧固定する固定部材508、さらに、外部からの異物の混入を抑制するフィルター509とを装着しただけの簡単な構造であるため、容易かつ低コストで製造することができるうえ、燃料が外部に漏れ出るおそれも極めて少ない。すなわち、従来のように、内圧調整機構がタンク本体51と別体に設けられ、また、そのために部品点数が多い場合には、部品の接合部分等から燃料が漏れ出すおそれがあるが、第1の内圧調整機構52は、構造が簡単で、使用する部品数も少ないため、燃料が漏れ出るおそれはほとんどない。したがって、信頼性の高い内部圧力制御が可能となり、安全性も向上する。さらに、タンク本体51が第2の内圧調整機構53の一部を構成することになるため、燃料タンクの小型化、ひいては燃料電池の小型化を図ることができる。
接続機構54は、タンク本体51の一側面に第1の内圧調整機構52および第2の内圧調整機構53と共に設けられている。接続機構54は、図示しない燃料カートリッジを接続するためのものである。この接続機構54は、タンク本体51の一側面に円柱状の孔510を設け、この円柱状の孔510内に燃料カートリッジのプラグと接続するためのソケット511を装着した構造を有する。ソケット511は弁機構を有しており、燃料カートリッジのプラグが接続されていない状態では、弁機構が閉じることで液体燃料の外部への流出が抑制されている。そして、燃料カートリッジのプラグを接続した場合には、弁機構が開き、燃料カートリッジからの液体燃料の供給が可能となる。
次に、燃料電池1のその他の部分について具体的に説明する。
図1に示すように、燃料電池セル2は、アノード触媒層21とアノードガス拡散層22とを有するアノード23(燃料極)と、カソード触媒層24とカソードガス拡散層25とを有するカソード26(空気極/酸化剤極)と、アノード触媒層21とカソード触媒層24とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜27とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
アノード触媒層21やカソード触媒層24に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層21にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層24にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜27を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜27はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層21に積層されるアノードガス拡散層22は、アノード触媒層21に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層21の集電体も兼ねている。カソード触媒層24に積層されるカソードガス拡散層25は、カソード触媒層24に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層24の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層22およびカソードガス拡散層25は多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層22やカソードガス拡散層25には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAu、Ni等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)、薄膜または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)等の導電性金属材料にAu等の良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。電解質膜27と燃料分配機構4およびカバープレート28との間には、それぞれゴム製のOリング29が介在されており、これらによって燃料電池セル(MEA)2からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
図示を省略したが、カバープレート28は酸化剤である空気を取入れるための開口を有している。カバープレート28とカソード26との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層24で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層24への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料電池セル2のアノード23側には、燃料分配機構4が配置されている。燃料分配機構4は途中にポンプ7が設けられた配管のような液体燃料の流路6を介して燃料タンク5と接続されている。燃料分配機構5にはこのような流路6を通して液体燃料が燃料タンク5から導入される。流路6は燃料分配機構4や燃料タンク5と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構4と燃料タンク5とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構4は流路6を介して燃料タンク5と接続されていればよい。
燃料分配機構4は、例えば図2に示すように液体燃料が流路6を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口41と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口42とを有する燃料分配板43からなる。燃料分配板43の内部には図1に示すように燃料注入口41から導かれた液体燃料の通路となる空隙部44が設けられている。複数の燃料排出口42は燃料通路として機能する空隙部44にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口41から燃料分配板43に導入された液体燃料は空隙部44に入り、この燃料通路として機能する空隙部44を介して複数の燃料排出口42にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口42には、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池セル2のアノード(燃料極)23には液体燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構4とアノード23との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料排出口42からアノード23の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口42は燃料電池セル2の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板43のアノード23と接する面に複数設けられている。燃料排出口42の個数は1個以上であればよいが、燃料電池セル2の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cmの燃料排出口42が存在するように形成することが好ましい。燃料排出口42の個数が0.1個/cm未満であると、燃料電池セル2に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料排出口42の個数を10個/cmを超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
燃料分配機構4から放出された燃料は、上述したように燃料電池セル2のアノード23に供給される。燃料電池セル2内において、燃料はアノードガス拡散層22を拡散してアノード触媒層21に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層21で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層24で生成した水や電解質膜27中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード26に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜27を経てカソード26に導かれる。カソード26には酸化剤として空気が供給される。カソード26に到達した電子(e)とプロトン(H)は、カソード触媒層24で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
ポンプ7は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料タンク5から燃料分配機構4に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ7で必要時に液体燃料を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。燃料分配機構4から燃料電池セル2に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料タンク5に戻されることはない。図1に示す燃料電池1は燃料を循環させないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ7を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なるため、例えばセミパッシブ方式と呼称されるものである。
ポンプ7の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、本発明の燃料電池としては、燃料電池セルへ供給される液体燃料が全て液体燃料の蒸気であってもよいし、一部が液体状態で供給されるものであってもよい。また、燃料タンクから燃料電池セルへの燃料供給が行われる構成であれば、ポンプに代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。さらに、燃料供給機構にこのような燃料遮断バルブやポンプを持たない内部気化型のパッシブ型燃料電池であってもよい。パッシブ型燃料電池は気化した液体燃料を膜電極接合体のアノード極に自然供給する一方、カソード極に外部の空気を自然供給するものである。
1…燃料電池、2…燃料電池セル、5…燃料タンク、51…タンク本体、52…第1の内圧調整機構、53…第2の内圧調整機構、502…弁体、503…蓋体、504…内側連通孔、505…外側連通孔、507…ダックベル弁、507a…スリット状開閉部、507c…連通孔、508…固定部材、508a…空気導入孔、509…フィルター。

Claims (10)

  1. 液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた内圧排出路と、通常は前記内圧排出路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が上昇したときに選択的に前記内圧排出路を開放する弁体とを具備し、
    前記弁体は、前記タンク本体の外表面より内側で前記内圧排出路を閉塞するものであることを特徴とする燃料電池用燃料タンク。
  2. 前記弁体は弾性材料からなるものであって、前記タンク本体の内圧が上昇したときに弾性変形することによって前記内圧排出路を開放するものであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用燃料タンク。
  3. 液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた外気導入路と、通常は前記外気導入路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が低下したときに選択的に前記外気導入路を開放する弁体とを具備し、
    前記弁体は、前記タンク本体の外表面より内側で前記外気導入路を閉塞するものであることを特徴とする燃料電池用燃料タンク。
  4. 前記弁体は、スリット状開閉部を有するダックビル弁またはアンブレラ弁であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池用燃料タンク。
  5. 液体燃料を収容するタンク本体と、このタンク本体に設けられた内圧排出路および外気導入路と、通常は前記内圧排出路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が上昇したときに選択的に前記内圧排出路を開放する弁体(I)と、通常は前記外気導入路を閉塞し、前記タンク本体の内圧が低下したときに選択的に前記外気導入路を開放する弁体(II)とを具備し、
    前記弁体(I)および(II)は、前記タンク本体の外表面より内側で前記内圧排出路および前記外気導入路をそれぞれ閉塞するものであることを特徴とする燃料電池用燃料タンク。
  6. 前記タンク本体は、透明樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の燃料電池用燃料タンク。
  7. 前記透明樹脂は、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリサルホン、ポリエチレンナフタレート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマーおよびポリメチルペンテンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の燃料電池用燃料タンク。
  8. 前記透明樹脂は、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホンおよびポリサルホンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の燃料電池用燃料タンク。
  9. 前記透明樹脂は、ポリエーテルサルホンであることを特徴とする請求項6記載の燃料電池用燃料タンク。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項記載の燃料電池用燃料タンクと、
    前記燃料電池用燃料タンクから供給される燃料によって発電動作する起電部と
    を具備することを特徴とする燃料電池。
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