JP2010101965A - 光学素子及び表示装置 - Google Patents

光学素子及び表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010101965A
JP2010101965A JP2008271142A JP2008271142A JP2010101965A JP 2010101965 A JP2010101965 A JP 2010101965A JP 2008271142 A JP2008271142 A JP 2008271142A JP 2008271142 A JP2008271142 A JP 2008271142A JP 2010101965 A JP2010101965 A JP 2010101965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
substrate
light
diffractive structure
incident light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008271142A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4968234B2 (ja
Inventor
Atsushi Amako
淳 尼子
Daisuke Sawaki
大輔 澤木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2008271142A priority Critical patent/JP4968234B2/ja
Publication of JP2010101965A publication Critical patent/JP2010101965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4968234B2 publication Critical patent/JP4968234B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】反射光による悪影響を抑制することが可能な光学素子を提供すること。
【解決手段】本発明に係る光学素子は、入射光を偏光分離する機能を有する光学素子であって、入射光に対して透明な基板2と、断面形状が鋸歯形状の複数の凸部3aを含み、基板2の一面側に設けられた回折構造部3と、一方向に延在する複数の細線4aを含み、基板2の一面側であって回折構造部3の上面に沿って設けられたグリッド部4と、を備え、入射光の波長をλ、複数の細線4aの相互間隔をd、複数の凸部3aの相互間隔をδ、基板2の構成材料の屈折率をnとしたときに、これらのパラメータが、d<λ、かつ、λ/n<δ≦λ、の関係を満たすものである。
【選択図】図6

Description

本発明は、偏光分離機能を有する光学素子及びこの光学素子を利用した表示装置に関する。
偏光分離機能を有する光学素子の1つとして、ワイヤーグリッド型偏光分離素子が知られている。このワイヤーグリッド型偏光分離素子は、ガラス基板等の表面に多数の微細なワイヤー(例えば、アルミニウム細線)が並べられたものであり、各ワイヤーの相互間隔(周期)は光の波長よりも短く設定される。ワイヤーグリッド型偏光分離素子は、偏光分離性能が高いことに加え、構成材料が無機物であることから耐光性にも優れるという特徴がある。このため、種々の光学系において、従来の高分子を素材とした偏光分離素子に代替して用いることが検討されている。ワイヤーグリッド型偏光分離素子の応用例の1つとして、液晶プロジェクタのような投写型表示装置が挙げられる。
特開2002−372749号公報
上述の投写型表示装置においては、ワイヤーグリッド型偏光分離素子は、液晶パネル(液晶ライトバルブ)の前面又は背面の少なくとも一方に配置される。投写型表示装置では、表示される画像の輝度を向上させる等のために比較的に強度の高い光が液晶パネルに入力される。ところが、原理上、ワイヤーグリッド型偏光分離素子は、入射光のうちTM偏光成分はほぼ全て透過させるもののTE偏光成分についてはほぼ全て反射するため、この反射光(TE偏光成分)が液晶パネルに再度入射して液晶パネルの動作を不安定にすることが懸念される。また、このような懸念は投写型表示装置に限られたものではなく、ワイヤーグリッド型偏光分離素子を用いて構成される種々の光学的装置にも共通して言えることである。いかなる光学的装置においても、光路上において不要な反射光が発生することは好ましくないからである。
そこで、この発明は、反射光による悪影響を抑制することが可能な光学素子を提供することを1つの目的とする。
また、この発明は、上記の光学素子を用いて構成される高性能な表示装置を提供することを他の1つの目的とする。
本発明に係る光学素子は、入射光を偏光分離する機能を有する光学素子であって、
前記入射光に対して透明な基板と、断面形状が鋸歯形状の複数の凸部を含み、前記基板の一面側に設けられた回折構造部と、一方向に延在する複数の細線を含み、前記基板の一面側であって前記回折構造部の上面に沿って設けられたグリッド部と、を備え、前記入射光の波長をλ、前記複数の細線の相互間隔をd、前記複数の凸部の相互間隔をδ、前記基板の構成材料の屈折率をnとしたときに、これらのパラメータが、d<λ、かつ、λ/n<δ≦λ、の関係を満たすものである。
また、本発明に係る光学素子は、入射光を偏光分離する機能を有する光学素子であって、前記入射光に対して透明な基板と、断面形状が鋸歯形状の複数の凸部を含み、前記基板の一面側に設けられた回折構造部と、一方向に延在する複数の細線を含み、前記基板の一面側であって前記回折構造部の上面に沿って設けられたグリッド部と、を備え、前記入射光の波長をλ、前記入射光の入射角度幅を±θ、前記複数の細線の相互間隔をd、前記複数の凸部の相互間隔をδ、前記基板の構成材料の屈折率をnとしたときに、これらのパラメータが、d<λ、かつ、λ/(n−sinθ)<δ≦λ/(1+sinθ)、の関係を満たすものである。
この光学素子では、グリッド部の作用により入射光のうち一方の偏光成分が反射され、他方の偏光成分が透過する。また、この反射される偏光成分(反射光)は、回折構造部の作用により、十分に大きな角度で回折される。上記したパラメータの関係が満たされることにより、この回折された反射光は、基板の他面とその周囲の媒体(例えば空気)との界面において全反射され、基板中を伝搬し、基板端部へ向かう。したがって、本発明に係る光学素子を所望の光学系に用いた際には、グリッド部によって生じた反射光のほとんどが光路の前段側へ戻ることがなく、不要な反射光による悪影響が抑制される。
好ましくは、上記光学素子は、前記回折構造部の前記凸部の高さがmλ/2nと設定される。ここで、mが1以上の整数(1,2,3・・・)である。
λは上記のように入射光の波長、nは基板の構成材料の屈折率である。
この条件が満たされることにより、光学素子の回折構造部における反射光の回折効果を十分に高め、かつ透過光(透過する偏光成分)の回折効果を十分に抑えることが可能となる。それにより、透過光量の大部分が非回折成分となるため、光の利用効率をより高めることが可能となる。
上記光学素子においては、例えば、前記回折構造部の前記複数の凸部の各々の延在方向と前記グリッド部の前記複数の細線の各々の延在方向とが略平行とすることができる。また、上記回折構造部の上記複数の凸部の各々の延在方向と上記グリッド部の上記複数の細線の各々の延在方向とが交差していてもよい。
各凸部と各細線を交差させた場合には各凸部の段差の近傍における細線の形成がより容易となる。交差させる角度は任意であり、例えば、45°およびこの倍数の90°、135°などに設定することが可能である。
上記光学素子においては、例えば、前記基板の前記一面に前記基板と略等しい屈折率を有する接着層を介して前記基板と略等しい屈折率を有する第2の基板が接合されていてもよい。
回折構造部を有する基板の一面に、当該基板と略等しい屈折率を有する接着層を介して当該基板と略等しい屈折率を有する第2の基板を接合することで、回折構造部による透過光への影響をさらに抑えることができる。
上記した光学素子は、上記基板の端部側に配置された光減衰部を更に備えることも好ましい。この光減衰部は、基板端部に接して配置されてもよいし、基板端部から離間した位置に配置されてもよい。光減衰部は、例えば暗色の樹脂膜や、反射防止膜等である。
これにより、基板中を伝搬して基板端部に到達した反射光を吸収することにより、或いは外部に逃がすことにより、光学素子に閉じ込められる光の強度を低下させることができる。
本発明に係る投写型の表示装置は、(a)水銀ランプなどの光源と、(b)偏光分離機能を有し、上記光源の後段側に配置された第1の光学素子と、(c)入射光を変調する機能を有し、上記第1の光学素子の後段側に配置された液晶ライトバルブと、(d)偏光分離機能を有し、上記液晶ライトバルブの後段側に配置された第2の光学素子と、(e)上記第2の光学素子の後段側に配置された投射レンズと、を含み、少なくとも上記第2の光学素子として、上記の本発明に係る光学素子が用いられる。このとき、当該光学素子は、上記回折構造部及び上記グリッド部を設けた一面が後段側に配置される。
少なくとも第2の光学素子として上記光学素子が用いられることにより、グリッド部による反射光が液晶ライトバルブへ入射することを回避できる。それにより、不要な光が入射することによって液晶ライトバルブの安定動作が妨げられることがない。具体的には、例えば液晶ライトバルブに薄膜トランジスタが含まれる場合に、不要な光が入射するとこの薄膜トランジスタに誤動作を生じさせ、表示品質を低下させる等の不都合が考えられる。本発明に係る表示装置によれば、このような不都合が回避される。また、複数の金属細線からなるグリッド部によって偏光分離素子として用いるので、耐光性に優れた表示装置を実現できる。よって、本発明によれば高性能な表示装置を提供することが可能となる。
上記の表示装置において、更に上記第1の光学素子としても上記の本発明に係る光学素子が用いられることも好ましい。このとき、当該光学素子は、上記回折構造部及び上記グリッド部を設けた一面が後段側に配置される。
第1の光学素子として上記光学素子が用いられることにより、グリッド部による反射光が前段側(例えば、光源)へ戻ることを回避できる。また、複数の金属細線からなるグリッド部によって偏光分離素子として用いるので、耐光性に優れた表示装置を実現できる。
よって、更に高性能、高品質な表示装置を提供することが可能となる。
上記表示装置において、上記光源は、レーザー光源であってもよい。
レーザー光源は、光の波長幅が極めて狭いため、本発明に係る光学素子による光の制御性が更に向上する。それにより、表示装置の表示品質を更に高めることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
図1は、本発明を適用した一実施形態の光学素子の断面構造を示す模式図である。図1に示す本実施形態の光学素子1は、基板2と、回折構造部3と、グリッド部4と、光減衰部5と、を備える。この光学素子1は、グリッド部4の作用により入射光を偏光分離する機能を有する。
基板2は、入射光の波長に対して透明な基板である。基板2としては、例えばガラス基板(石英基板)などの無機材料からなる基板が用いられる。基板2の厚さは、例えば0.7mm程度である。この基板2の一面側に回折構造部3が設けられている。また、基板2の他面は図示のように平面である。
回折構造部3は、基板2の一面側に設けられている。この回折構造部3は、複数の凸部3aにより形成されている。なお、図中では便宜上、各1つの凸部3aについて符号を付している。これらの凸部3aからなる回折構造部3は図示のようにその断面形状が鋸歯形状である。ここで、鋸歯形状の断面形状とは、略三角形状の断面形状の斜辺の長さが異なり、頂点を通り底辺に垂直な直線に対して非対称の形状である。なお、略三角形状の断面形状の頂点が丸みを帯びた形状や、斜辺が曲線であるもの、あるいは微小な階段状に形成されているものも含む。また、各々の凸部3aの断面において斜辺の傾きがそれぞれ異なっていてもよい。本実施形態では、回折構造部3は、基板2の一面側を加工することによって形成されている。すなわち、基板2と回折構造部3とは一体に構成されている。
グリッド部4は、基板2の一面側であって回折構造部3の上面に沿って設けられている。このグリッド部4は、一方向に延在する複数の細線(微細ワイヤー)4aを含む。なお、図中では便宜上、1つの細線4aについてのみ符号を付している。各細線4aは、例えばアルミニウム等の金属膜である。
光減衰部5は、基板2の各端部に設けられている。この光減衰部5は、例えば暗色の樹脂膜である。この光減衰部5には、回折構造部3において生じ、基板2の他面と空気との界面において全反射された回折光が入射する。光減衰部5は、この入射した回折光を吸収し、あるいはその強度を減衰させる。なお、光減衰部5は、基板2の各端部に接して配置される場合のほか、図2に示すように基板2の各端部と離間した位置に設けられてもよい。光減衰部5は省略することも可能である。
図3は、光学素子の他の態様を説明する模式断面図である。図3に示す光学素子1aは、図1に示した光学素子1と同様の構成を有し、更に基板2の他面上に反射防止膜6を有する。この反射防止膜6は、例えば誘電体多層膜である。なお、反射防止膜6以外の構成要素については図1における光学素子1と共通の符号を付しており、それらについての説明を省略する。反射防止膜6を有することにより、基板2の他面側から入射する光の一部成分が反射することを抑制できる。
図4は、グリッド部4の一部を拡大して示した模式的な斜視図である。この図4に基づいてグリッド部4の有する機能を説明する。グリッド部4への入射光80は、各細線4aの延在方向(長軸方向)と平行な偏光軸を有する成分p(TE偏光成分)が反射され、各細線4aの延在方向と直交する偏光軸を有する成分s(TM偏光成分)が透過する。すなわち、グリッド部4は入射光80を互いに偏光状態の異なる反射光80rと透過光80tとに分離する機能(偏光分離機能)を有する。本実施形態の光学素子1は、このような偏光分離機能を果たすグリッド部4が基板2の一面側に設けられている。
図5は、回折構造部3のパターンの一部を示す模式的な平面図である。図5(A)に示すように、回折構造部3は、一方向(図示のY方向)に延在する複数の凸部3aを有する。これらの凸部3aは、図示のようにストライプ形状となっており、X方向に沿って周期的に配列されている。なお、各凸部3aは図5(A)に示したような一次元状の配列に限定されず、例えば図5(B)に示すように各凸部3aが二次元状に配列されていてもよい。
図6は、回折構造部3およびグリッド部4の一部を拡大して示した模式断面図である。
この図6に基づいて回折構造部3およびグリッド部4の構造を更に詳細に説明する。図示のように、回折構造部3の各凸部3aの相互間隔(凸構造の周期)をδ(nm)、グリッド部4の各細線4aの相互間隔(グリッド周期)をd(nm)、入射光の波長をλ(nm)、入射光の入射角度幅を±θ、基板2の構成材料の屈折率をn、基板2の周囲の空気の屈折率をnair(=1)、とする。本実施形態の光学素子1においては、この入射光の波長λと回折構造およびグリッド構造との間には以下の関係がある。
d<λ かつ λ/(n−sinθ)<δ≦λ/(1+sinθ) (1)
例えば、入射光の波長がλ=600nm、入射角度幅がθ=10度、基板2の構成材料の屈折率がn=1.46(例えば、SiOの場合)である場合、上記(1)の関係を満たすためには、例えばグリッド周期をd=140nm、凹凸構造の周期をδ=490nm、と設定することができる。
このような光学素子1に対して基板2の他面2bから入射した光は、グリッド部4の作用によって偏光分離される。すなわち、上記のようにTE偏光成分は反射され、TM偏光成分は基板2を透過する。また、これと併せて回折構造部3の作用により、TE偏光成分は大きな角度で回折される。この回折されたTE偏光成分は、空気と基板2との界面で全反射を生じることにより、基板2の内部を伝搬して基板2の端部へ進行する。上記のように基板2に光減衰部5が設けられている場合には、この基板2内部を伝搬したTE偏光成分は光減衰部5によって吸収され、又は強度が低下する。このように回折によって生じたTE偏光成分が基板2と空気との界面において全反射を生じるための条件、すなわち上記(1)式の条件について次に詳述する。
(A)λ/n<δの関係の導出
基板2の内部へm次の回折光が存在するためには、以下の関係式を満足する必要がある。
sinθm=sinθ/n+mλ/(nδ)<1 (2)
ただし、図示のように基板2の内部での回折角をθmとする。また、上記のようにλは空気中での入射光の波長、nは基板2の構成材料の屈折率、δは凸構造の周期である。
基板2の内部へ全ての回折光を閉じこめるとした場合、上記の(2)式において回折次数をm=1とする。これにより、下記の(3)式が導かれる。
λ/(n−sinθ)<δ (3)
(B)δ≦λの関係の導出
基板2の内部へm次の回折光を閉じこめるには、回折角θmが臨界角θc(全反射が起こる角度)よりも大きいこと、すなわち基板2と空気との界面におけるm次の回折光の入射角θiが臨界角θcよりも大きいことが必要である。そのためには、以下の式を満足する必要がある。
sinθm=−sinθ/n+mλ/(nδ)≧sinθc (4)
基板2の内部へ全ての回折光を閉じこめるとした場合、上記の(4)式において回折次数をm=1とする。これにより、下記の(5)式が導かれる。
δ≦λ/(nsinθc+sinθ) (5)
全反射条件では、nsinθc=1であるから、上記の(5)式は以下のようになる。
δ≦λ(1+sinθ) (6)
以上の(3)式および(6)式から、λ/(n−sinθ)<δ≦λ/(1+sinθ)の関係が導かれる。
次に、回折構造部3の凹凸構造の深さ(凸部3aの高さ)についての好適な条件を説明する。図6に示すように凹凸構造の深さをgとする。また、光学素子1に対する入射光が基板2の他面2bに対してほぼ直交する状況を考える。このとき、反射光の回折効果が最大となる場合の深さg(以下、便宜上「gr」とする)は近似的に以下の式で与えられる。
gr=mλ/2n: m=1,2,… (7)
他方、透過光の回折効果が最大となる場合の深さg(以下、便宜上「gt」とする)は近似的に以下の式で与えられる。
gt=mλ/(n−1): m=1,2,… (8)
上記の(7)式および(8)式から、反射光の回折効果が最大となる深さgrと透過光の回折効果が最大となる深さgtとは異なることが分かる。したがって、回折構造部3の深さgをgrに等しくすれば、透過光の回折効果を十分に抑えることが可能である。
例えば、λ=600nmの場合、m=1に対して、gr=205nm、gt=1304nmとなる。ただし、屈折率nが1.46であるとする。そこで、例えば回折構造部3の深さgをgrに等しい205nmと設定したとすると、透過光量のほとんどを非回折成分とすることができる。例えば、この光学素子1の後段にレンズを配置した場合であれば、ほぼ全ての光をこのレンズへ入射させることができる。
回折構造部3による透過光への影響をさらに抑えるには、図7に示すように、グリッド部4の上に接着層10を介して、回折構造部3に用いた基板2と同じ材質の基板20を貼り合せる。この際、接着層10の屈折率nを基板2の屈折率nと略等しくする。
なお、回折構造部3を挟んで貼り合せる2枚の基板2,20は同じ材質のものである必要はなく、両者の屈折率nが略等しく、どちらも透過光に対して透明であればよい。
回折構造部3の断面形状を鋸歯形状とすることにより、グリッド部4からの反射光を基板2の内部へ閉じ込め、伝播させることが可能となる。図6において、基板2の内部で生じる1次回折光は、基板2の他面側で全反射された後に、回折構造部3で再度回折される。このとき、一部の光が外へ漏れてしまう(図中、点線の矢印)。この漏れる光を極力少なくするには、回折構造部3の断面形状が鋸歯形状であることが望ましい。
図8(A)は回折構造部3の断面形状が鋸歯形状の場合における回折光強度と回折構造部3の深さgとの関係を示すグラフである。図8(A)において、曲線I(+)は+1次、曲線I(0)は0次、曲線I(−)は−1次を示している。
図8(A)に示すように、適当な深さg(例えば、6〜7rad)を選ぶことにより、入射光のほとんどのエネルギーを+1次の回折光へ移すことができる。そして、+1次の回折光が再度回折された場合でも、基板2の外へ漏れる光はほとんど生じない。
図8(B)は回折構造部3の断面形状が矩形の場合における回折光強度と回折構造部3の深さgとの関係を示すグラフである。図8(B)において、曲線I(+)は+1次、曲線I(0)は0次、曲線I(−)は−1次を示している。
図8(B)に示すように、適当な深さg(例えば、3〜3.3rad)を選ぶことにより、入射光の80%程度のエネルギーを+1次と−1次の回折光へ移すことができる。しかし、+1次と−1次の回折光が再度回折された場合、ある程度の光量(20%程度)が基板の外へ漏れてしまう。
図9は、回折構造部3とグリッド部4の配置を示す模式的な平面図である。この図に基づき、回折構造部3とグリッド部4との配置関係について説明する。回折構造部3とグリッド部4との相互の配置関係は、例えば図9(A)に示すような態様とすることができる。具体的には、図9(A)に示す例では、回折構造部3の各凸部3aはそれぞれ図示のY方向に沿って延在しており、かつこれらの凸部3aはX方向に沿って配列されている。同様に、グリッド部4の各細線4aはそれぞれ図示のY方向に沿って延在しており、かつこれらの細線4aはX方向に沿って交互に配置されている。すなわち、各凸部3aの延在方向と細線4aの延在方向とが平行である。
また、回折構造部3とグリッド部4との相互の配置関係は、図9(B)や図9(C)に示すように、各凸部3aの延在方向と各細線4aの延在方向とがある角度で交差するようにすることも好ましい。具体的には、図9(B)に示す例では、回折構造部3の各凸部3aはそれぞれ図示のY方向に沿って延在しており、かつこれらの凸部3aはX方向に沿って配列されている。これに対して、グリッド部4の各細線4aはそれぞれ図示のY方向に対してほぼ45°の角度で交差した方向に沿って延在しており、かつこれらの細線4aは当該交差方向と直交する方向に沿って配列されている。
図9(C)に示す例では、回折構造部3の各凸部3aはそれぞれ図示のY方向に沿って延在しており、かつこれらの凸部3aはX方向に沿って配列されている。これに対して、グリッド部4の各細線4aはそれぞれ図示のY方向に対してほぼ90°の角度で交差した方向(すなわちX方向)に沿って延在しており、かつこれらの細線4aは当該交差方向と直交する方向(すなわちY方向)に沿って配列されている。このように、凸部3aと各細線4aとを交差させることにより、各凸部3aの段差の近傍における細線4aの形成がより容易となる。各凸部3aの延在方向と各細線4aの延在方向との交差角度は適宜設定すればよい。上記の一例とした交差角度である45°および90°は、光学系一般においてよく用いられる角度であるために好ましい。
次にこの光学素子1の製造方法の一例について説明する。
図10および図11は、光学素子1の製造方法の一例を示す模式工程図である。図10および図11においては、光学素子1の断面の一部が拡大して示されている。
まず、基板2の一面に凸部3aからなる回折構造部3が形成される(図10(A))。本工程は、例えば周知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて実現できる。具体的には、基板2の一面上に感光膜(レジスト膜等)を形成しておき、各凸部3aに対応した露光パターンを有する露光マスクを用いてこの感光膜を露光し、現像する。その後、この現像後の感光膜をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチングまたはウェットエッチングを行う。それにより、露光マスクのパターンが基板2の一面に所定の凹凸形状が形成される。ここで、基板2は、例えば上記のようにガラス基板であり、その板厚は例えば0.7mmである。また、凸部3aの高さ(すなわち回折構造部3の深さg)は、例えば上記のように205nmである。この深さgは、エッチング時間等によって制御する。
次に、基板2の一面上に、凸部3aを覆う金属膜7が形成される(図10(B))。この金属膜7は、後の工程において加工され、上記のグリッド部4を構成する各細線4aとなるものである。金属膜7は、例えばアルミニウム膜、銀膜、ニッケル膜などであり、その膜厚は例えば120nm程度である。このような金属膜7は、例えば真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相堆積法を用いて形成することができる。
次に、基板2の一面上に、金属膜7を覆う反射防止膜8が形成される(図10(C))。この反射防止膜8は、後の工程において感光膜を露光する際に露光精度を向上する目的で用いられる。このような反射防止膜8としては、例えばSiON(酸化窒化硅素)膜、SnO(酸化錫膜)、ITO(インジウム錫酸化物)膜などが適している。反射防止膜8の膜厚は、例えば数十nm程度である。ある膜が反射防止膜として利用できるかどうかはその膜の材料が有する複素屈折率に依存し、例えば、複素屈折率の実部の値が+1.4以上、複素屈折率の虚部の値が−0.1〜−1.5くらいであることが望ましい。
次に、基板2の一面上に、反射防止膜8(又は金属膜7)を覆う感光膜9が形成される(図10(C))。感光膜9は、例えばネガ型またはポジ型のレジスト膜である。感光膜9は、例えばスピンコート法を用いて形成することができる。この感光膜9の膜厚は適宜設定すればよいが、少なくとも各凸部3aに重畳する領域を全て覆い、かつ図示のように膜表面がほぼ平坦となるようにすることが望ましい。この場合、回折構造部3の上部(凸部3a頂点)における感光膜9の膜厚と回折構造部3の下部(凸部3aの底部に対応する領域)における感光膜9の膜厚との差は、上記した回折構造部3の深さgとほぼ等しい。
次に、基板2の一面上に形成された感光膜9に対して、レーザー干渉露光が行われる(図11(A))。レーザー干渉露光に用いられる光源としては、例えば波長266nmの連続発振DUV(Deep Ultra Violet)レーザーが挙げられる。このレーザーから出力されるレーザー光を適宜2本のレーザー光に分岐し、図示のように所定の角度θで交叉させる。それにより、周期的な明暗からなる干渉縞を含む光(干渉光)が発生する。干渉縞のピッチ(明暗の周期)は上記の交叉角度θによって決まる。例えば、交叉角度θを72°に設定することにより、干渉縞のピッチを140nmとすることができる。このような干渉光を感光膜9に照射することにより、感光膜9には干渉縞のピッチに対応した潜像パターンが形成される。このとき、上述したように感光膜9の下側に反射防止膜8が設けられていることにより、レーザー光が金属膜7によって反射され、露光精度が低下するという不都合を回避することができる。
次に、干渉光を用いて潜像パターンが形成された感光膜9が現像される(図11(B))。それにより、図示のように干渉縞のピッチに対応した周期を有する感光膜パターン9aが形成される。例えば、干渉縞のピッチを140nmとした場合には、この感光膜パターン9aの周期も概ね140nmとなる。
次に、感光膜パターン9aをマスクとしてエッチング(例えば、ドライエッチング)が行われる(図11(C))。それにより、図示のように感光膜パターン9aのパターンが反射防止膜8に転写され、更に当該パターンが金属膜7に転写される。その後、感光膜パターン9aおよび反射防止膜8が除去される。それにより、図示のように基板2の一面上に、回折構造部3の各凸部3aの表面に沿ってグリッド部4(すなわち、各細線4a)が形成される。
なお、上述の製造方法においては、反射防止膜8と金属膜7との間に極薄い膜厚(例えば、20nm程度)のSiO膜を設けておくことも好ましい。それにより、金属膜7に対するエッチング選択比をより向上させることが可能となり、感光膜9をより薄くすることができる。このことは、潜像パターンが浅くなることを意味し、安定した露光を行う点でより有利になる。この場合には、上記の反射防止膜8を形成する工程の後、金属膜7を形成する工程に先だって、SiO膜を形成する工程を行えばよい。SiO膜は、例えば化学気相堆積法によって形成することができる。また、プロセス条件等によっては反射防止膜8を省略することもできる。
上記した本実施形態の光学素子1は、種々の光学装置に組み込んで用いることもできる。以下、光学装置の一例として、液晶ライトバルブを用いた投写型の表示装置(液晶プロジェクタ)について説明する。
図12は、本実施形態に係る光学素子を用いた投写型の表示装置の構成例を示す模式図である。図12では原理的な構成を説明するために1つの光学系のみを示している。図12に示す表示装置は、水銀ランプ等の光源50、光学素子51、液晶ライトバルブ(液晶パネル)52、光学素子53、瞳54a、投射レンズ54、を含む。図中の1点鎖線は、光源50から出力される光の光路を示している。この光路上に、光学素子51、液晶ライトバルブ52、光学素子53、投射レンズ54が順に配置されている。この表示装置において、少なくとも光学素子53として本実施形態に係る光学素子が用いられる。
光学素子51は、偏光分離機能を有する素子である。すなわち、光源50から出力された光がこの光学素子51に入射すると、一方の偏光成分だけが透過し、他方の偏光成分は透過しない。光学素子51は、例えば樹脂を一軸延伸する等によって得られる高分子タイプの偏光板である。また、光学素子51は、上記のグリッド部のような微細な多数の細線を透明基板上に設けたものであってもよい。このような構造の光学素子は、耐光性に優れており、入射光のうち各細線と平行な偏光成分を反射し、各細線と直交する偏光成分を透過させる。
液晶ライトバルブ52は、対向配置された2つの透明基板間に液晶材料(液晶層)が配置されている。この液晶ライトバルブ52は、各透明基板に設けられた電極を通じて液晶材料に適宜電圧を印加することにより、液晶分子の配向状態が制御される。この液晶分子の配向状態を制御することにより、光学素子51を透過した光の偏光状態を適宜変化させることができる。この光の偏光状態の変化に基づいて、スクリーン60に投射されるべき画像が形成される。すなわち、液晶ライトバルブ52は、光変調装置(光変調手段)としての機能を果たす。
光学素子53は、上記したように本実施形態に係る光学素子である。この光学素子53は、回折構造部およびグリッド部(図示を省略)が設けられた一面53aが光路の後段側に配置され、これらの回折構造部等が設けられていない他面53bが光路の前段側(光源50側)に配置される。このように配置することにより、液晶ライトバルブ52を透過した光のうち、TE成分が上述したようにして回折および全反射し、光学素子53の基板中を基板端部へ向かって伝搬する。それにより、液晶ライトバルブ52への戻り光が著しく軽減され、液晶ライトバルブ52の誤動作等の不具合を防止することが可能となる。
なお、上記の光学素子51についても本実施形態に係る光学素子が用いられてもよい。
その場合には、光学素子53と同様に配置される。すなわち、この場合の光学素子51は、回折構造部およびグリッド部(図示を省略)が設けられた一面51aが光路の後段側(液晶ライトバルブ52側)に配置され、これらの回折構造部等が設けられていない他面51bが光路の前段側(光源50側)に配置される。
これらの光学素子51、液晶ライトバルブ52および光学素子53によって形成された画像は、瞳54aを介して投射レンズ54に入射し、投射レンズ54によって拡大されてスクリーン60に結像する。それにより、拡大された画像がスクリーン60上に表示される。
次に、上記した投写型の表示装置の応用例として、3つの光学系を有する投写型の表示装置の構成例を説明する。なお、以下の各応用例において、上記図12に示した表示装置と共通する構成要素については同符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
図13は、3つの光学系を有する投写型表示装置の構成例を示す模式図である。図13に示す投写型の表示装置は、図示のように、プリズム(光合成手段)56の有する4面のうち、1つの面に光学素子51B、液晶ライトバルブ52B及び光学素子53Bが対向配置され、他の1つの面に光学素子51G、液晶ライトバルブ52G及び光学素子53Gが対向配置され、他の1つの面に光学素子51R、液晶ライトバルブ52R及び光学素子53Rが対向配置されている。
この投写型表示装置においては、光源50から出力された光はダイクロイックミラー58aに入射する。この入射光のうち、青色成分は透過し、残りの成分は反射される。透過した青色成分(以下「青色光」という。)は、ミラー57aによって反射され、光学素子51Bに入射し、液晶ライトバルブ52Bによって適宜変調され、光学素子53Bを通過してプリズム56の1つの面に入射する。また、ダイクロイックミラー58aによって反射された光成分はダイクロイックミラー58bに入射する。この入射光のうち、赤色成分は透過し、緑色成分は反射される。透過した赤色成分(以下「赤色光」という。)は、各ミラー57b、57cによって反射され、光学素子51Rに入射し、液晶ライトバルブ52Rによって適宜変調され、光学素子53Rを通過してプリズム56の他の1面に入射する。反射した緑色成分(以下「緑色光」という。)は、光学素子51Gに入射し、液晶ライトバルブ52Gによって適宜変調され、光学素子53Gを通過してプリズム56の他の1面に入射する。プリズム56の3面にそれぞれ入射した青色光、緑色光、赤色光は、プリズム56によって合成され、当該プリズム56の他の1面から出射する。この出射した合成光が投射レンズ55によって拡大され、スクリーン60上に投射される。
なお、図13に示す光学素子51R、51G、51Bが上記実施形態の光学素子51に相当し、液晶ライトバルブ52R、52G、52Bが上記実施形態の液晶ライトバルブ52に相当し、光学素子53R、53G、53Bが上記実施形態の光学素子53に相当する。各光学素子53R、53G、53Bは、それぞれ回折構造部およびグリッド部が設けられる一面側が光路上の後段側(プリズム側)に配置され、他面側が光路上の前段側(液晶ライトバルブ側)に配置される。また、各光学素子51R、51G、51Bにも回折構造部等を設ける場合には、各光学素子51R、51G、51Bは、それぞれ回折構造部およびグリッド部が設けられる一面側が光路上の後段側(液晶ライトバルブ側)に配置され、他面側が光路上の前段側(ミラー又はダイクロイックミラー側)に配置される。
図14は、3つの光学系を有する投写型表示装置の他の構成例を示す模式図である。この構成例は、上記図13に示した投写型表示装置とは異なり、プリズムを用いないで構成された投写型表示装置である。
この投写型表示装置においては、光源50から出力された光はダイクロイックミラー58aに入射する。この入射光のうち、赤色成分のみが反射され、残りの各成分は透過する。透過した各成分は、ダイクロイックミラー58bに入射する。この入射光のうち、緑色成分(緑色光)は反射され、青色成分(青色光)は透過する。透過した青色光は光学素子51Bに入射し、液晶ライトバルブ52Bによって適宜変調され、光学素子53Bを通過してミラー57bに入射する。ミラー57bに入射した青色光は反射され、ダイクロイックミラー58dに入射し、当該ダイクロイックミラー58dによって反射され、投射レンズ55に入射する。また、ダイクロイックミラー58aによって反射された赤色光はミラー57aに入射し、反射される。この反射された赤色光は光学素子51Rに入射し、液晶ライトバルブ52Rによって適宜変調され、光学素子53Rを通過してダイクロイックミラー58cに入射する。ダイクロイックミラー58cに入射した赤色光は、当該ダイクロイックミラー58cを透過してダイクロイックミラー58dに入射する。ダイクロイックミラー58dに入射した赤色光は当該ダイクロイックミラー58dを透過し、投射レンズ55に入射する。また、ダイクロイックミラー58bによって反射された緑色光は光学素子51Gに入射し、液晶ライトバルブ52Gによって適宜変調され、光学素子53Gを通過してダイクロイックミラー58cに入射する。ダイクロイックミラー58cに入射した緑色光は当該ダイクロイックミラー58cに反射され、ダイクロイックミラー58dに入射し、当該ダイクロイックミラー58dを透過し、投射レンズ55に入射する。このようにして最終的に合成され、投射レンズ55に入射した合成光(青色光、緑色光、赤色光の合成光)が投射レンズ55によって拡大され、スクリーン60上に投射される。
本例においても、光学素子51R、51G、51Bが上記実施形態の光学素子51に相当し、液晶ライトバルブ52R、52G、52Bが上記実施形態の液晶ライトバルブ52に相当し、光学素子53R、53G、53Bが上記実施形態の光学素子53に相当する。
各光学素子53R、53G、53Bは、それぞれ回折構造部およびグリッド部が設けられる一面側が光路上の後段側(ミラー又はダイクロイックミラー側)に配置され、他面側が光路上の前段側(液晶ライトバルブ側)に配置される。また、各光学素子51R、51G、51Bにも回折構造部等を設ける場合には、各光学素子51R、51G、51Bは、それぞれ回折構造部およびグリッド部が設けられる一面側が光路上の後段側(液晶ライトバルブ側)に配置され、他面側が光路上の前段側(ミラー又はダイクロイックミラー側)に配置される。
なお、各実施形態の投写型表示装置において、光源50はレーザー光源であってもよい。その場合、光の波長幅が極めて狭いため、本実施形態に係る光学素子による光の制御性が更に向上する。
また、各光学素子は、それぞれが対象とする光の波長λに応じて回折構造部およびグリッド部の構造が最適化されることも好ましい。例えば、上記図13又は図14に示す光学系において、青色光に対応する光学素子53Bに対しては波長λを450nm、緑色光に対応する光学素子53Gに対しては波長λを550nm、赤色光に対応する光学素子53Rに対しては波長λを650nmとして上記(1)式〜(8)式の各関係式を適用することにより、各光学素子の構造を各波長ごとに最適化することができる。
このように、本実施形態の光学素子によれば、グリッド部の作用により入射光のうち一方の偏光成分が反射され、他方の偏光成分が透過する。また、この反射される偏光成分(反射光)は、回折構造部の作用により、十分に大きな角度で回折される。上記したパラメータの関係が満たされることにより、この回折された反射光は、基板の他面とその周囲の媒体(例えば空気)との界面において全反射され、基板中を伝搬し、基板端部へ向かう。
したがって、本発明に係る光学素子を所望の光学系に用いた際には、グリッド部によって生じた反射光が光路の前段側へ戻ることがなく、不要な反射光による悪影響が抑制される。
また、本実施形態の投写型表示装置によれば、少なくとも液晶ライトバルブの後段側の光学素子として回折構造部とグリッド部とを有する上記の光学素子が用いられることにより、グリッド部による反射光が液晶ライトバルブへ入射することを回避できる。それにより、不要な光が入射することによって液晶ライトバルブの安定動作が妨げられることがない。また、複数の金属細線からなるグリッド部によって偏光分離素子として用いるので、耐光性に優れた表示装置を実現できる。よって、本発明によれば高性能な表示装置を提供することが可能となる。また、液晶ライトバルブの前段側の光学素子としても回折構造部とグリッド部とを有する上記の光学素子が用いられた場合には、更に高性能、高品質な表示装置を提供することが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。
例えば、基板上の位置によって入射する光の波長や入射角度等の条件が異なる場合に、その条件に対応して同一基板上で回折構造体の凸部の深さや幅、形状等を異ならせてもよい。
また、上述した実施形態では、基板の一面側に対してエッチング等の加工を行うことによって回折構造部を形成していたが、他の製造方法を採用することも可能である。具体的には、基板の一面上にポリマー(高分子樹脂)膜を形成し、その後このポリマー膜に対してフォトマスク露光およびウェットエッチングを行うことによって、上記と同様な光学素子を形成することも可能である。また、これ以外にも、型成形が可能な光屈折率ガラス(n=2.0程度)を用いて、回折構造部を有する基板を一体成形してもよい。この場合、屈折率が高いことにより、回折構造部の深さgをより小さくすることが可能となるので、グリッド部を形成する上で好ましい。また、基板上に他の膜(例えば、SiOなどの無機膜)を形成し、この膜を選択的にエッチングすることにより回折構造部を形成することもできる。
また、上述した実施形態では、光学素子の用途の一例として投写型表示装置を例示していたが、本発明に係る光学素子の応用例はこれに限定されるものではない。投写型表示装置は本発明に係る光学素子を備える光学装置の一例に過ぎない。本発明に係る光学素子は、他にも例えば偏光分離層を必要とする液晶ディスプレイへも適用することが可能である。もちろん、本発明に係る光学素子の表示用途の光学装置に限定されず、偏光分離機能を必要とする種々の光学装置一般に対し、本発明に係る光学素子を用いることが可能である。
本発明の実施形態における光学素子の断面構造を示す模式図である。 本発明の実施形態における光学素子の断面構造を示す模式図である。 本発明の実施形態における光学素子の断面構造を示す模式図である。 本発明の実施形態におけるグリッド部の一部を拡大して示した模式的な斜視図である。 回折構造部のパターンの一部を示す模式的な平面図である。 回折構造部およびグリッド部の一部を拡大して示した模式断面図である。 回折構造部およびグリッド部の一部を拡大して示した模式断面図である。 凸部の深さに対する反射回折効率を示すグラフである。 回折構造部とグリッド部の配置を示す模式的な平面図である。 光学素子の製造方法の一例を示す模式工程図である。 光学素子の製造方法の一例を示す模式工程図である。 投写型の表示装置の構成例を示す模式図である。 3つの光学系を有する投写型表示装置の構成例を示す模式図である。 3つの光学系を有する投写型表示装置の構成例を示す模式図である。
符号の説明
1,1a 光学素子、2 基板、3 回折構造部、3a 凸部、4 グリッド部、4a 細線、5 光減衰部、10 接着層、20 基板(第2の基板)、50 光源、51R,51G,51B 光学素子、52R,52G,52B 液晶ライトバルブ、53R,53G,53B 光学素子、54,55 投射レンズ、80 入射光、δ 相互間隔、d 相互間隔、λ 波長、θ 入射角度幅、n 屈折率

Claims (10)

  1. 入射光を偏光分離する機能を有する光学素子であって、
    前記入射光に対して透明な基板と、
    断面形状が鋸歯形状の複数の凸部を含み、前記基板の一面側に設けられた回折構造部と、
    一方向に延在する複数の細線を含み、前記基板の一面側であって前記回折構造部の上面に沿って設けられたグリッド部と、
    を備え、
    前記入射光の波長をλ、前記複数の細線の相互間隔をd、前記複数の凸部の相互間隔をδ、前記基板の構成材料の屈折率をnとしたときに、これらのパラメータが、
    d<λ、かつ、λ/n<δ≦λ、の関係を満たす、
    光学素子。
  2. 入射光を偏光分離する機能を有する光学素子であって、
    前記入射光に対して透明な基板と、
    断面形状が鋸歯形状の複数の凸部を含み、前記基板の一面側に設けられた回折構造部と、
    一方向に延在する複数の細線を含み、前記基板の一面側であって前記回折構造部の上面に沿って設けられたグリッド部と、
    を備え、
    前記入射光の波長をλ、前記入射光の入射角度幅を±θ、前記複数の細線の相互間隔をd、前記複数の凸部の相互間隔をδ、前記基板の構成材料の屈折率をnとしたときに、これらのパラメータが、
    d<λ、かつ、λ/(n−sinθ)<δ≦λ/(1+sinθ)、の関係を満たす、
    光学素子。
  3. mを1以上の整数としたときに、前記回折構造部の前記凸部の高さがmλ/2nと設定された、
    請求項1または請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記回折構造部の前記複数の凸部の各々の延在方向と前記グリッド部の前記複数の細線の各々の延在方向とが略平行である、
    請求項1または請求項2に記載の光学素子。
  5. 前記回折構造部の前記複数の凸部の各々の延在方向と前記グリッド部の前記複数の細線の各々の延在方向とが交差している、
    請求項1または請求項2に記載の光学素子。
  6. 前記基板の前記一面に前記基板と略等しい屈折率を有する接着層を介して前記基板と略等しい屈折率を有する第2の基板が接合されている、
    請求項1または請求項2に記載の光学素子。
  7. 前記基板の端部側に配置された光減衰部を更に備える、
    請求項1または請求項2に記載の光学素子。
  8. 投写型の表示装置であって、
    光源と、
    偏光分離機能を有し、前記光源の後段側に配置された第1の光学素子と、
    入射光を変調する機能を有し、前記第1の光学素子の後段側に配置された液晶ライトバルブと、
    偏光分離機能を有し、前記液晶ライトバルブの後段側に配置された第2の光学素子と、
    前記第2の光学素子の後段側に配置された投射レンズと、
    を含み、
    前記第2の光学素子として請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学素子が用いられ、かつ当該光学素子は前記回折構造部及び前記グリッド部を設けた一面が後段側に配置される、
    表示装置。
  9. 前記第1の光学素子として請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学素子が用いられ、かつ当該光学素子は前記回折構造部及び前記グリッド部を設けた一面が後段側に配置される、
    請求項8に記載の表示装置。
  10. 前記光源がレーザー光源である、
    請求項8または請求項9に記載の表示装置。
JP2008271142A 2008-10-21 2008-10-21 光学素子及び表示装置 Active JP4968234B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008271142A JP4968234B2 (ja) 2008-10-21 2008-10-21 光学素子及び表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008271142A JP4968234B2 (ja) 2008-10-21 2008-10-21 光学素子及び表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010101965A true JP2010101965A (ja) 2010-05-06
JP4968234B2 JP4968234B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=42292692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008271142A Active JP4968234B2 (ja) 2008-10-21 2008-10-21 光学素子及び表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4968234B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8300158B2 (en) 2010-02-19 2012-10-30 Seiko Epson Corporation Polarization element and projector
US8696131B2 (en) 2010-02-19 2014-04-15 Seiko Epson Corporation Polarization element and projector
JP2020522021A (ja) * 2017-06-02 2020-07-27 ディスペリックス オーイー 回折格子の製造方法
WO2023226018A1 (zh) * 2022-05-27 2023-11-30 京东方科技集团股份有限公司 光栅结构及其制备方法、显示装置

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11326618A (ja) * 1998-05-18 1999-11-26 Toppan Printing Co Ltd 光学シートおよびそれを用いた画像表示装置
JP2001343512A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Canon Inc 回折光学素子及びそれを有する光学系
JP2002014213A (ja) * 2000-06-30 2002-01-18 Minolta Co Ltd ブレーズ格子素子、回折格子素子および照明光学系
JP2004246193A (ja) * 2003-02-14 2004-09-02 Toppan Printing Co Ltd ブレーズド回折格子
WO2004099833A1 (ja) * 2003-05-07 2004-11-18 Hitachi Chemical Co., Ltd. ホログラム光学素子及びそれを用いた面光源装置
JP2006133275A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Sony Corp 偏光子、液晶パネルおよび投射型表示装置
JP2008107394A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Ricoh Co Ltd 光学素子および光学装置
JP2009103848A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Nippon Zeon Co Ltd 偏光素子

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11326618A (ja) * 1998-05-18 1999-11-26 Toppan Printing Co Ltd 光学シートおよびそれを用いた画像表示装置
JP2001343512A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Canon Inc 回折光学素子及びそれを有する光学系
JP2002014213A (ja) * 2000-06-30 2002-01-18 Minolta Co Ltd ブレーズ格子素子、回折格子素子および照明光学系
JP2004246193A (ja) * 2003-02-14 2004-09-02 Toppan Printing Co Ltd ブレーズド回折格子
WO2004099833A1 (ja) * 2003-05-07 2004-11-18 Hitachi Chemical Co., Ltd. ホログラム光学素子及びそれを用いた面光源装置
JP2006133275A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Sony Corp 偏光子、液晶パネルおよび投射型表示装置
JP2008107394A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Ricoh Co Ltd 光学素子および光学装置
JP2009103848A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Nippon Zeon Co Ltd 偏光素子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8300158B2 (en) 2010-02-19 2012-10-30 Seiko Epson Corporation Polarization element and projector
US8696131B2 (en) 2010-02-19 2014-04-15 Seiko Epson Corporation Polarization element and projector
JP2020522021A (ja) * 2017-06-02 2020-07-27 ディスペリックス オーイー 回折格子の製造方法
WO2023226018A1 (zh) * 2022-05-27 2023-11-30 京东方科技集团股份有限公司 光栅结构及其制备方法、显示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4968234B2 (ja) 2012-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5040847B2 (ja) 光学素子、液晶装置、表示装置
US7755718B2 (en) Optical element, liquid crystal device, and display
US7573546B2 (en) Wire grid polarizer having dual layer structure and method of fabricating the same
US7972017B2 (en) Optical element having a diffractive layer and a relief pattern with concave and convex portions
JP5271404B2 (ja) 発光装置
JP6450965B2 (ja) マイクロレンズアレイ基板、マイクロレンズアレイ基板を備えた電気光学装置、及び投写型表示装置
JP5658569B2 (ja) シート及び発光装置
JP2009015305A (ja) 光学素子及び投写型表示装置
JP4968234B2 (ja) 光学素子及び表示装置
JP2018097071A (ja) 位相差補償素子、液晶表示装置及び投射型画像表示装置
WO2010131439A1 (ja) 光学シート、発光装置および光学シートの製造方法
JP5511674B2 (ja) シートおよび発光装置
JP5359128B2 (ja) 偏光素子及びその製造方法
JP2007101834A (ja) マイクロレンズの製造方法、マスク、マイクロレンズ、空間光変調装置及びプロジェクタ
JP4449841B2 (ja) ワイヤーグリッド偏光子の製造方法、液晶装置、プロジェクタ
JP2006509240A (ja) 高屈折率の被覆調光フィルム
JP2010060621A (ja) 偏光素子及びその製造方法
JP2008224786A (ja) 光スイッチング素子とスイッチング素子と光スイッチング素子アレイと画像表示装置
JP2007279088A (ja) 光学素子基板、液晶装置及びプロジェクタ並びに光学素子基板の製造方法
JP4449833B2 (ja) ワイヤーグリッド偏光子の製造方法、液晶装置、プロジェクタ
CN116953980A (zh) 结合像差校正的空间光调制器
US9188851B2 (en) Pattern mask and method of manufacturing thin film pattern using pattern mask
JPH11326931A (ja) 反射型表示素子、投射型表示装置および基板の製造方法
JP2021005042A (ja) 光位相変調器
JP2007024947A (ja) 光変調素子アレイ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110322

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110520

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120319

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4968234

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350