JP2010101836A - 布材及び物体検知システム - Google Patents

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秀明 國貞
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Abstract

【課題】布材の特性を極力悪化させることなく、静電容量式センサの電極として使用可能とすることにある。
【解決手段】静電容量式のセンサの電極として使用可能となるように、下記(1)又は(2)の導電化手段によって導電化された布材10である。
(1)10cmあたりの抵抗値が100〜5×106Ωであって、前記布材の一部を構成する導電糸。
(2)コーティング面の抵抗率が1〜5×103Ω・cmとなるように導電性カーボンが含有されて布材一面の全部又は一部に形成された樹脂層。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電容量式センサの電極として使用可能な布材及びそれを用いた物体検知システムに関する。
この種の物体検知システムとして、静電容量式センサが設置された車両用シートが公知である(特許文献1を参照)。
この車両用シートは、シートクッションの着座部に埋設された電極ユニットと、電極ユニットに電圧を付与する電圧付与手段と、電極ユニットと車両を電気的につなげるシートフレームとを有する。そしてシートクッションに乗員が着座することで、電極ユニットが乗員(コンデンサ)を介して車両に電気的につながり、電極ユニットと乗員とシートフレームの間に電気回路が形成される。そして電気回路に流れる電流を検出することにより、シートクッション上の乗員を判別して、必要に応じてエアバッグを展開させるなどの動作を行う構成である。
ところで上記構成では、シートクッションとは別体の電極ユニットを着座部に埋設する。しかしシートの着座感などを考慮すると、異物感の原因となる電極ユニットを着座部に配置する構成は採用しにくいものであった。
そこで特許文献2〜特許文献4では、布材自体を導電化して電極とする技術が提案されている。例えば特許文献2では、専ら金属繊維を非導電繊維で被覆した経糸及び緯糸で織物(布材)を形成する技術が開示されている。また特許文献3では、金属メッキ処理してなる導電糸を織り込んだ布帛(布材)が開示されている。そして特許文献4では、金属皮膜と、導電フィラーを含有の樹脂層が重層された布材が開示されている。
これら公知の導電化された布材(表皮材)は、乗員などに対して異物感を極力感じさせることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。
特開2006−292631号公報 特開2006−234716号公報 特開2000−219076号公報 特開2003−266599号公報
しかしながら上記公知技術の布材は、車両用シートの表皮材として用いるにはやや不向きであった。例えば特許文献2の布材は、経糸及び緯糸(いずれも金属繊維を非導電繊維で被覆してなる太い糸)からなる織物であることから、シートの意匠上の自由度が制限される。また特許文献3や特許文献4の布材は、金属メッキや金属皮膜を使用することから、屈曲や摩耗に対する耐久性にやや劣ることがあった。
さらに上記公知技術は、いずれも導電性の良い導電化手段(電気抵抗が比較的小さい金属製の導電化手段)を用いることから、ときとして乗員の臀部などに電撃感を与えることがあった。例えば抵抗値の小さい金属製の導電糸(10cmあたりの抵抗値が6Ω程度のステンレス繊維)が、乗員の離席動作により剥離帯電することで、乗員と導電糸の間にスパークが生ずる。
もっとも電気抵抗(抵抗値又は抵抗率)の大きい導電化手段を用いればよいとも考えられる。例えば特開平2−145864号公報には、活性炭を含有の樹脂層(コーティング面の抵抗率が5×10Ω・cmよりも高くなるように、活性炭を含有する樹脂層)に関する開示がある。しかし電気抵抗の大きい導電化手段は、専ら帯電防止のためのものであり、静電容量式センサの電極として使用可能な導電性を布材に付与することができない。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、布材の特性を極力悪化させることなく、静電容量式センサの電極として使用可能とすることにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の電気抵抗の導電化手段を用いた布材が、その特性を極力悪化させることなく(例えば乗員に対して電撃感を極力与えることなく)、静電容量式センサの電極として使用可能であることを見出した。
すなわち上記課題を解決するための手段として、第1発明の布材は、静電容量式のセンサの電極として使用可能となるように、下記(1)又は(2)の導電化手段によって導電化されている。
(1)10cmあたりの抵抗値が100〜5×10Ωであって、布材の一部を構成する導電糸。
(2)コーティング面の抵抗率が1〜5×10Ω・cmとなるように導電性カーボンが含有されて、布材一面の全部又は一部に形成された樹脂層。
第2発明の布材は、第1発明の布材を、上記(1)の導電化手段によって導電化する。
そして導電化手段が、間隔寸法60mmの範囲内で布材に並列状に配置する複数の導電糸と、複数の導電糸を電気的につなげる通電手段とを有して構成されている。
本発明では、所定の間隔寸法で配置する複数の導電糸(布材の一部を構成する導電糸)により、布材本来の特性を極力損ねることなく布材を導電化する。
第3発明の布材は、第2発明の布材において、上述の通電手段が、コーティング面の抵抗率が1〜5×10Ω・cmとなるよう無機系導電剤が含有されて、布材一面の全部又は一部に形成された樹脂層である。
この通電手段としての樹脂層は、布材に対して比較的強固に一体化されることから、複数の導電糸同士をより強固に電気的につなげる。
第4発明の物体検知システムは、第1発明〜第3発明のいずれかに記載の布材と、布材に電圧を付与する電圧付与手段と、布材とともに第一コンデンサを構成するように接地する電極部材とを有する。
そして本システムでは、第二コンデンサが形成されるように布材上に物体が配置することで、物体の種類(例えば成人や乳児)に応じて静電容量が変化する構成である。そして本システムでは、この静電容量の差を検出手段により検出することで、布材上の物体に電撃感を極力与えることなく物体を判別(検知)する。
本発明に係る第1発明の布材は、その特性を極力悪化することなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。また第2発明によれば、布材の特性を悪化させることなく布材を導電化することができる。また第3発明によれば、より安定的に布材を導電化することができる。
そして第4発明によれば、布材の特性を極力悪化させることなく、布材上の物体を判別することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図7を参照して説明する。なお図2では、便宜上、一部の導電糸にのみ符号を付す。図7では、導電性カーボンをドットにて示す。
各実施形態の布材10は、図1を参照して、後述するように車両用シート2の表皮材4S(一例)であるとともに物体検知システムの一部を構成する。すなわち表皮材4Sとしての布材10自体が、シート上の乗員H(物体)を判別する静電容量式センサの電極として使用される。
そしてこの種の布材10では、乗員Hの着座感を考慮して、表皮材4Sとしての特性を極力損なわない(例えば乗員Hに電撃感を感じさせない)構成であることが望ましい。そこで以下の各実施形態では、後述する導電化手段を用いることにより、布材10の特性を極力損なうことなく、静電容量式センサの電極として使用可能としたものである。
[実施形態1]
本実施形態では、図1〜図6を参照して、複数の導電糸12を有する導電化手段(一例)を説明する。
そして後述するように、複数の導電糸12にて布材10の一部を構成することで、布材10の特性を極力悪化させることなく導電化する構成である。以下、各構成について詳述する。
(布材の基本構成)
布材10の基本構成は、絶縁材料にて構成された布帛(織物及び編物)又は不織布である。ここで布材10は、平織物、斜文織物又は朱子織物等のいかなる構成の織物でもよく、経編、丸編又は横編等のいかなる構成の編物でもよい。編物の組織は、ヨコ編み又はタテ編みのいずれでもよい。また布材10は、乾式又は湿式のいずれの方法によって製造した不織布でもよい。
そして絶縁材料とは、例えば比抵抗が10Ω・cmを超える材質であり、天然皮革及び合成皮革や、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混紡繊維などの絶縁繊維を例示することができる。
そして天然繊維では、綿、麻又は羊毛が風合いに優れるため、布材10の構成として用いることが好ましい。また化学繊維では、ポリエステル繊維やポリエチレン繊維(例えばポリエチレンテレフタレートのフィラメント)は耐久性と耐光性と強度に優れるため、布材10の構成として用いることが好ましい。
(導電糸)
そして導電糸12は、10cmあたりの抵抗値が100〜5×10Ωであるものを使用する。
ここで「10cmあたりの抵抗値」とは、5V程度の低電圧をかけたときの導電糸10cm間の抵抗値であり、汎用のテスター(抵抗測定値の最大値が60MΩ程度)を用いて測定することができる。なお典型的に静電容量式センサは弱電にて使用するため、帯電防止を目的とした高電圧での評価は適切ではない。
そして導電糸12の種類は、上述の抵抗値を有する限り特に限定しないが、硫化銅結合系の導電糸、カーボン系の導電糸、炭素質繊維や黒鉛質繊維を例示することができる。
なかでも硫化銅結合系の導電糸やカーボン系の導電糸(詳細は後述)は、意匠性、風合いや手触りに優れることから、天然繊維や化学繊維となじみやすい。
さらに硫化銅結合系の導電糸やカーボン系の導電糸は、ステンレス繊維と比較して伸縮性がよいため、屈曲や摩耗に対する耐久性に優れる。
ここでカーボン系の導電糸とは、ナイロン繊維やポリエステル繊維などの繊維にカーボンブラックを含有させた導電糸である。
このカーボン系の導電糸では、繊維に対するカーボンブラックの含有率を適宜調節するなどして所望の抵抗値を付与する。このとき繊維断面の一部を切欠いてカーボンブラックを練り込む構成であってもよく、繊維断面の外周を、カーボンブラックを練り込んだ高分子で被覆する構成であってもよい。
例えばユニチカファイバー社製の「メガーナR−N(登録商標)」は、カーボンブラックで繊維断面の外周を被覆した導電糸(33dtex、4フィラメント)であり、10cmあたりの抵抗値が3×10Ωである。
また硫化銅結合系の導電糸とは、ナイロン繊維やアクリル繊維などの繊維に硫化銅を結合させた導電糸である。この硫化銅結合系の導電糸では、繊維に対する硫化銅の結合量を適宜調節するなどして所望の抵抗値を付与する(特開昭56−169808号公報などを参照)。
例えば日本蚕毛社製の「サンダーロン(登録商標)」は、硫化銅を高分子に結合した導電糸(110dtex、24フィラメント)であり、10cmあたりの抵抗値が1.5×10Ωである。
そして導電糸12の10cmあたりの抵抗値を100〜5×10Ωとすることで、導電化された布材10が、乗員H(物体)に対して極力電撃感を与えることなく、静電容量式センサの電極として使用可能となる。
ここで導電糸12の10cmあたりの抵抗値が100Ω未満であると、布材10上の乗員H(物体)に電撃感を与えるおそれがある。また導電糸12の10cmあたりの抵抗値が5×10Ωより大きいと、布材10の導電化が十分になされず、静電容量式センサの電極として使用することができない。
そして好ましい導電糸12は、10cmあたりの抵抗値が1.0×10〜4.0×10Ωの導電糸である。この導電糸12により導電化された布材10は、乗員H(物体)に対してより確実に電撃感を与えることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。さらに好ましい導電糸12は、10cmあたりの抵抗値が1.5×10〜3.0×10Ωの導電糸である。この導電糸12により導電化された布材10は、ステンレス繊維により導電化された布材10と遜色のないセンサ機能を発揮する(静電容量を有する)。
(布材の導電化)
そして複数の導電糸12にて布材10の一部を構成することにより布材10を導電化する。このように布材10の一部を導電糸12にて構成することで、布材10本来の特性(意匠性、風合い、肌触り、座り心地、耐久性など)を極力損ねることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。
例えば本実施形態では、織物の布材10に対して、間隔寸法(W1)60mmの範囲内で複数の導電糸12を並列状に打ち込み、後述の通電手段14にて電気的につなげる(図2を参照)。
このとき各導電糸12(緯糸)を、数本の絶縁繊維13(経糸)毎に交錯させるように打込むことが好ましい(図3を参照)。こうすれば布材10の裏面に大部分の導電糸12が配置されて、布材10の表面側(表皮材4Sの着座側に相当)には導電糸12が極力露出しない構成となる。
ここで導電糸12の間隔寸法(W1)が60mmを超えると、布材10のセンサ機能が悪化(静電容量が低下)して、静電容量式センサの電極として機能しないおそれがある。
好ましくは導電糸12の間隔寸法(W1)の上限値を30mmとすることで、導電化された布材10がより好適なセンサ機能(静電容量)を備える。
さらに好ましい間隔寸法(W1)の上限値は25mmであり、最も好ましい上限値は20mmである。このように間隔寸法(W1)の上限値を30mm未満とすることで、一部の導電糸12が断線したとしても、断線した導電糸12の両側に位置する導電糸間の隙間寸法(W2)が好適に維持される。
なお各導電糸12の間隔寸法(W1)を25mmよりも小さく(狭く)しても布材10の静電容量の極端な向上は見られない。このため布材10のコストを考慮して、間隔寸法(W1)の下限を1mmとすることが望ましい。
(通電手段)
そして通電手段14は、複数の導電糸12を電気的につなげる導電部材であり、導電糸、導電テープ、導電化された樹脂層を例示することができる。この通電手段14は、布材10裏面の一部に形成されていてもよく、布材10裏面の全面に形成されていてもよい。そしてこの通電手段14の端部に、後述するケーブル16の端子16aが接続されることとなる。
例えば図2(a)を参照して、複数の導電糸12(緯糸)をつなげるように、導電テープ14aを経糸方向に貼着する。なお導電糸12の接続安定性を確保する観点から、導電テープの幅寸法が1mm以上であることが望ましい。
また通電手段14として、導電化された樹脂層を使用することもできる(樹脂層の詳細構成は実施形態2にて説明する)。
例えば図2(b)を参照して、複数の導電糸12(緯糸)を電気的につなげるように、導電化された樹脂層14bを経糸方向に形成する。この導電化された樹脂層14bは、布材10に対して比較的強固に一体化されており、接続安定性のよい(断線しにくい)構成である。
そして導電化された樹脂層14bは、コーティング面の抵抗率が1〜5×10Ω・cmとなるよう無機系導電剤を含有することが望ましい。こうすることで、布材10上の乗員H(物体)に極力電撃感を与えることなく、複数の導電糸12を電気的につなげることができる。ここで無機系導電剤とは、例えば導電性カーボンの微粒子(詳細は後述)、導電性酸化スズ(ATO)や酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物の微粒子である。
(変形例)
また本実施形態における「複数の導電糸にて布材の一部を構成する」手法は、上述の例に限定されるものではなく各種の手法を取り得る。
例えば編物の布材10では、編物のコース方向又はウェール方向の糸を、絶縁繊維と複数の導電糸12にて構成する。そして複数の導電糸12を通電手段14にて電気的につなげる構成とする。
また不織布の布材10は、絶縁繊維13と導電糸12(いずれも長繊維又は短繊維)を混紡してシート状としたのち、これらを交絡することで製造することができる。
[物体検知システム]
図1及び図6を参照して、上述の布材10を用いた物体検知システムの構成を詳述する。物体検知システムは、シートクッション4とシートバック6とエアバッグ8を備える車両用シート2に適用される。
そして物体検知システムは、シートクッション4の表皮材4S(布材10)と、電圧付与手段15と、シートフレームF(電極部材)と、測定回路18(検出手段)を有する。
シートフレームFは車室床面に接地しており、表皮材4Sとともに第一コンデンサCを構成する部材である。
そして電圧付与手段15は、表皮材4Sに電圧を付与する部材であり、シートクッション4に内蔵されている。この電圧付与手段15から延びるケーブル16の端子16aを、シートクッション4(パッド部材の図示しない挿通孔)を通して表皮材4Sに接続する(図2を参照)。こうすることで表皮材4SとシートフレームFの間に(第一コンデンサCを介して)電気回路が形成される。
さらに同システムでは、導電体の一種である乗員Hが表皮材4S上に配置することで、第二コンデンサ(乗員H)を介して別の電気回路が形成される構成である(図1を参照)。
このように本実施形態では、表皮材4S(布材10)自体が静電容量式センサの電極として機能することとなる。
ここで図4及び図5を参照して、上記システムを用いた静電容量の測定方法(一例)を説明する。
電圧付与手段15によって、ケーブル16の端部Vに直流電圧を印加する。そしてケーブル16途中の任意の位置Vで規定電圧Vに達するまでの時間Tを測定する。
そして車両用シート2が空席のとき(第一コンデンサCのみが形成されるとき)の時間Tをtとする。また車両用シート2に乗員Hが着座したとき(第一コンデンサCと第二コンデンサCが形成されるとき)の時間Tをtとする。この着座時の時間T(t)は、空席時の時間T(t)よりも長くなる。
このtとtの時間差(静電容量の差)を測定回路18にて測定することにより、表皮材4S上の乗員Hを判別することができる。
そして図6を参照して、車両用シート2(物体検知システム)にて乗員Hを判別したのち、車両用シートのECU(19)が必要に応じてエアバッグ8を展開させる。このような構成とすることで、乗員Hの着座している車両用シート2にのみ、エアバッグ8を展開させることができる(図1を参照)。また車両用シートのECU(19)が表示ランプ9を点灯させて、シートベルトの着用を乗員に促す(ウォーニング)などする。
ところで乗員Hが小さい子供(例えば1歳未満の乳児)の場合には、安全上、エアバッグ8を展開させないほうがよい場合がある(米国自動車安全基準FMVSS208を参照)。ここで本実施形態では、乳児(成人よりも体格の小さい乳児)が着座した場合、第二コンデンサCの静電容量が低下する構成である。このため車両用シート2(物体検知システム)では、乳児が着座したとき(比較的低い静電容量のとき)、エアバッグ8が展開しない設定とすることができる。
このように本実施形態の表皮材4S(布材10)によれば、乗員Hに電撃感を極力与えることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。
また表皮材4S(布材10)の一部を導電糸12により構成することで、表皮材4S本来の特性(意匠性、手触り、坐り心地、耐久性)を比較的維持することができる。また本実施形態の表皮材4S(布材10)は、金属繊維や金属メッキ糸を使用していないため、化学変化による経時変化が少なく、また屈曲や摩耗に対する表皮材4Sの耐久性に悪影響を及ぼすことがない。
このため本実施形態によれば、表皮材4S(布材10)の特性を極力悪化させることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。
[実施形態2]
実施形態2の基本構造は、実施形態1の基本構造とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
そして本実施形態では、図7を参照して、導電化された樹脂層20にて構成の導電化手段(他例)を説明する。
(樹脂層)
本実施形態の樹脂層20は、コーティング面の抵抗率が1〜5×10Ω・cmとなるよう、導電性カーボンが含有されて、布材10裏面の一部又は全部に形成される。
ここで「コーティング面の抵抗率」とは、「JIS K 7194(1994)」に準じて測定された電気抵抗率のことである。
そして導電性カーボンとして、例えばケッチェンブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックの微粒子(無定形炭素)を例示することができる。なかでもケッチェンブラックの微粒子は導電性に優れるため、樹脂層20の構成として好適に使用することができる。
また樹脂層20を構成する樹脂は、熱や乾燥により硬化して布材10に接着可能な熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である。
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂を例示することができる。また熱硬化性樹脂として、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂を例示することができる。
なかでもアクリル樹脂は、耐久性及び耐光性に優れることから、樹脂層20の構成として使用することが望ましい。
そして樹脂層20のコーティング面の抵抗率を1〜5×10Ω・cmとすることで、樹脂層20により導電化された布材10が、乗員H(物体)に対して極力電撃感を与えることなく、静電容量式センサの電極として使用可能となる。
ここでコーティング面の抵抗率が1Ω・cm未満であると、布材10上の乗員H(物体)が電撃感を感じる危険性がある。また樹脂層20の抵抗率が5×10Ωより大きいと、布材10の導電化が十分でなく、静電容量式センサの電極として使用できない。
好ましい樹脂層20は、コーティング面の抵抗率が1〜1×10Ω・cmの樹脂層である。この樹脂層20により導電化された布材10は、乗員H(物体)に対してより確実に電撃感を与えることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。さらに好ましい樹脂層20は、コーティング面の抵抗率が9〜8×10Ω・cmの樹脂層である。この樹脂層20により導電化された布材10は、ステンレス繊維により導電化された布材10と遜色のないセンサ機能を発揮する(静電容量を有する)。
(樹脂層の形成)
導電性カーボンと樹脂を、所定の溶剤に分散して樹脂組成物(バッキング剤)を調製する。導電性カーボンの含有量は、バッキング剤の全固形分に対して、重量比で3重量%〜30重量%であることが望ましい。なお溶剤中の溶媒は、導電性カーボンと樹脂を分散可能な溶媒であり、典型的には水系溶媒や有機系溶媒が用いられる。
そしてバッキング剤を布材10裏面側の全部または一部に付与したのち、加熱又は乾燥することで樹脂層20を形成する。布材10に対するバッキング剤の付与量は、導電性カーボンの含有量に応じて例えば30〜200g/cmとする。
なおコーティングする方法としては限定されず、コーティング機で塗布するほかにも、凸版型捺染、凹版型捺染、孔版型捺染の有版捺染やインクジェット捺染の無版型捺染などのプリントによる塗布が挙げられる。プリントのなかでもグラビアロールやロータリースクリーン捺染が好ましく用いられる。
そして本実施形態の布材10は、実施形態1と同様に、シートクッション4の表皮材4Sとして用いることができる(図1を参照)。こうすることで表皮材4S上の乗員Hに電撃感を極力与えることなく、静電容量の変化から乗員H(物体)を判別することができる。
また本実施形態の布材10は、比較的断線しにくい樹脂層20により導電化されているため、静電容量式センサの電極として安定的に使用することができる。また本実施形態の布材10は、金属皮膜を使用していないため、屈曲や摩耗に対する表皮材4Sの耐久性に悪影響を及ぼすことがない。このため本実施形態によっても、布材10の特性を極力悪化させることなく、静電容量式センサの電極として使用することができる。
以下、本実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例]
以下の実施例1〜実施例10は、実施形態1(導電糸を用いる構成)に相当する。また実施例11〜実施例13は、実施形態2(樹脂層を用いる構成)に相当する。
実施例1では、導電化された織物を作製した。織物を構成する糸として、ポリエステル系の仮撚加工糸(167dtex−48フィラメント)の経糸と、ポリエステル系の仮撚加工糸(167dtex−48フィラメント)の緯糸と、硫化銅結合系の導電糸(「サンダーロン(登録商標)」、110dtex−24フィラメント)の緯糸を使用した。
そして経糸を整経し、8枚朱子にてポリエステル系の緯糸を打込み、そこに導電糸の緯糸を、間隔をあけて打込みを行った。導電糸の隙間間隔(W1)は5mmに設定した(図2を参照)。また導電糸(緯糸)は、経糸8本に1本だけ布材表面(表皮材の着座側の面)に露出するように打込んだ(図3を参照)。
そして所定の仕上げ加工(精練98℃×30min、仕上げセット180℃)を行うことで布材を作製した。布材の仕上げ密度は、経/緯=124/80本/2.54cmであった。
そして通電手段としての導電テープ(住友3M製2191FR)を、布材裏面側において経糸方向に貼着して、上述の複数の導電糸(緯糸)を電気的につなげた。
実施例2では、実施例1の織物を作製する際に、硫化銅結合系の導電糸の代わりに下記のカバリング糸を使用した。
カバリング糸は、カーボン系の導電糸の芯糸に、ポリエステル系の仮撚加工糸(167dtex−48フィラメント)の鞘糸を、200回/mの撚数にてカバリングしたものを使用した。カーボン系の導電糸として(「メガーナR−N(登録商標)」、33dtex−4フィラメント)を使用した。
実施例3では、導電化されたトリコット(経編)を作製した。編機として、カールマイヤー社製のHKS−3M(ゲージ28G)を用いた。
そしてトリコットを構成する糸として、硫化銅結合系の導電糸(実施例1の導電糸)のバック糸と、ポリエステル系の仮撚加工糸(110dtex−48フィラメント)のバック糸を使用した。フロント糸とミドル糸は、ポリエステル系の仮撚加工糸(56dtex−24フィラメント)を使用した。
そして整経の際に、ポリエステル系のバック糸34本に1本の割合で導電糸のバック糸を導入した。導電糸の隙間間隔(W1)は25mmに設定した。
そして仕上げ加工(染色130℃×30min、乾燥、起毛、シャーリング、仕上げセット180℃)したものを布材とした。布材の仕上げ密度は、コース密度42本/2.54cm、ウェール密度34本/2.54cm、目付160g/mであった。
そして通電手段としての1cm幅の樹脂層(詳細は後述)を、布材裏面側においてコース方向に形成して、上述の複数の導電糸(バック糸)を電気的につなげた。
ここで実施例3の樹脂層の形成方法について説明する。
バッキング剤としては固形分としてブチルアクリレートとアクリロニトリルから合成されたアクリル系ポリマー27%、難燃剤67%、その他発泡剤や整泡剤を含むバッキング剤にライオンペーストW−310A(内カーボンブラック13.7%)を分散させて固形分中のカーボンブラック濃度が10重量%となるように調整したバッキング剤を用意した。
そして布材裏面側にマスキングテープを付けた状態でナイフコーティングして1cm幅のバッキングを行い150℃にて乾燥した。バッキング剤の塗布量は76g/mとした。このように布材裏面側のコース方向に樹脂層(1cm幅)を形成した。
実施例4では、導電化されたダブルジャージ(丸編)を作製した。福原精機株式会社の織り機(ゲージ30G、給糸数48口、針本数1862本、釜径30inch)を用いた。
そしてダブルジャージを構成する糸として、カーボン系の導電糸(実施例2のカバリング糸)の裏糸と、ポリエステル系の仮撚加工の先染め糸(334dtex−72フィラメント)の裏糸を用いた。表糸は、ポリエステル系の仮撚加工の糸染め糸(167dtex/2−48フィラメント)を用いた。
そして編成の際に、ポリエステル系の裏糸4コースに1本の間隔で導電糸の裏糸を挿入した。導電糸間の隙間間隔(W1)は4mmに設定した。
そして仕上げ加工(精練98℃×30min、仕上げセット180℃)したものを布材とした。布材の仕上げ密度は、コース密度25本/2.54cm、ウェール密度29本/2.54cmであった。
そして通電手段としての樹脂層を、実施例3と同様の手法で形成した。このとき布材裏面側においてウェール方向に樹脂層を形成して、上述の複数の導電糸(裏糸)を電気的につなげた。バッキング剤の塗布量は86g/mとした。
実施例5〜実施例10では、導電糸間の隙間間隔(W1)を適宜変更して、実施例1と同様の手法にて織物を作製した。
実施例5では、導電糸間の隙間間隔を1mmに設定した。実施例6では、導電糸間の隙間間隔を2.5mmに設定した。実施例7では、導電糸間の隙間間隔を10mmに設定した。実施例8では、導電糸間の隙間間隔を20mmに設定した。実施例9では、導電糸間の隙間間隔を30mmに設定した。実施例10では、導電糸間の隙間間隔を60mmに設定した。
実施例11〜実施例13では、実施例1の織物を作製する際に、導電化手段として、導電糸の代わりに樹脂層を用いた。マスキングテープを使用しないことを除いて樹脂層の形成方法は実施例3と同一とした。
実施例11では、バッキング剤を、その全固形分に対して重量比で5重量%のカーボンブラックが含有されるよう調整した。バッキング剤のその他の成分は、実施例3のバッキング剤と同一とした。このバッキング剤を、布材裏面に対して経方向にコーティングすることにより樹脂層を形成した。バッキング剤の塗布量は80g/mとした。
実施例12では、バッキング剤を、その全固形分に対して重量比で10重量%のカーボンブラックが含有されるよう調整した。実施例13では、バッキング剤を、その全固形分に対して重量比で15重量%のカーボンブラックが含有されるよう調整した。
[比較例]
比較例1では、実施例1の織物を作製する際に、硫化銅結合系の導電糸の代わりに、下記のカバリング糸(ステンレス繊維の導電糸)を使用した。ステンレス繊維には、日本精線社製の「ナスロン(登録商標)」(SUS304、単糸12μm径、100フィラメント)を用いた。
そしてカバリング糸は、ステンレス繊維の芯糸に、ポリエステル系の仮撚加工糸(167dtex−48フィラメント)の鞘糸を、200回/mの撚数にてカバリングしたものを使用した。
比較例2では、実施例1の織物を作製する際に、硫化銅結合系の導電糸の代わりに、電気抵抗の大きい下記のカバリング糸(カーボン系の導電糸)を使用した。カーボン系の導電糸には、KBセーレン社製の「ベルトロン(登録商標)」(22dtex−6フィラメント、タイプB31、10cmあたりの抵抗値が6MΩ以上)を用いた。
そしてカバリング糸は、カーボン系の導電糸の芯糸に、ポリエステル系の仮撚加工糸(167dtex−48フィラメント)の鞘糸を、200回/mの撚数にてカバリングしたものを使用した。
比較例3では、実施例4のダブルジャージ(丸編)を作製する際に、カーボン系の導電糸の代わりに、ステンレス繊維(比較例1のカバリング糸)の裏糸を使用した。
比較例4及び比較例5では、実施例1の織物を作製する際に、導電糸の代わりに導電化手段として樹脂層を用いた。樹脂層の形成方法は実施例3と同一とした。
そして比較例4では、バッキング剤を、その全固形分に対して重量比で1重量%のカーボンブラックが含有されるよう調整した。バッキング剤のその他の成分は、実施例3のバッキング剤と同一とした。
比較例5では、バッキング剤を、その全固形分に対して重量比で3重量%のカーボンブラックが含有されるよう調整した。
比較例6では、実施例11の織物を作製する際に、カーボンブラック剤の代わりに、活性炭含有の樹脂層を形成した。
バッキング剤は、アクリル樹脂含有の溶剤(実施例3の溶剤と同一組成)に活性炭溶剤を分散して作製した。活性炭溶剤は、水系溶媒に対して、19.5%の活性炭(粒度63μm以下)と、0.19%のアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム(重量平均分子量342の界面活性剤)と、1.1%のカルボキシメチルセルロース(重量平均分子量130000)を分散して作製した。そしてバッキング剤は、活性炭の含有量が、バッキング剤の全固形分に対して重量比で30重量%となるよう調整した。
このバッキング剤を、実施例3と同様に布材裏面に対して経方向にコーティングした。バッキング剤の塗布量は135g/mとした。
[試験方法]
(導電糸の抵抗値)
実施例1〜10に係る導電糸の抵抗値(Ω)を、各々、テスター(デジタルテスターCDM−6000、カスタム社製)を用いて測定した。
導電糸10cm間の抵抗値をランダムに5点測定したのち、5点の抵抗値の平均値を導電糸の10cmあたりの抵抗値とした。
また比較例1〜3に係る導電糸も、各々、同様の手順にて抵抗値を測定した。
(樹脂層の抵抗率)
実施例11〜13に係る樹脂層の抵抗率(Ω・cm)を、各々、「JIS K 7194(1994)」に準拠して測定した。低抵抗率計(LORESTA−GP MCP−T600、三菱化学社製)にてピックアップとしてASP(ピン間5mm)を用いた。
より詳しくは、各実施例の布材から試料片(長さ80mm×幅50mm)を切り出した。そしてリミッタ電圧を10Vとして試料片の1点測定を行った。
また比較例4〜6に係る樹脂層も、各々、同様の手順にて抵抗率を測定した。
(樹脂層の表面抵抗率の測定)
実施例11〜13に係る樹脂層の表面抵抗率(Ω)を、各々、絶縁抵抗試験器(HIGHMEGOHM Meter TR8601、AdVantest社製)を用いて測定した。
各実施例の布材から試料片(12cm角)を切り出した。そして絶縁抵抗試験器の電極(50φ)を試験片のコーティング面に接触させた状態で、測定印加電圧10Vにて、試料片の表面抵抗率を測定した。
また比較例4〜6に係る樹脂層も、各々、同様の手順にて表面抵抗率を測定した。
(静電容量)
図1の車両用シート及び図4の回路を用いて、実施例1〜13に係る布材の「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」を測定した。
各実施例の布材から試料片(40cm角)を切り出したのち、シートクッション上に試料片を配置した。試料片の上端は、シートクッションとシートバックの境界線に配置した。そしてシートの中心線と試料片の中心線を合わせて配置することで、常にシートの同じ位置に試料片を設置した。ケーブルの端子は、試料片の通電手段に接続した(図2を参照)。
そして空席時において、ケーブルの端部Vから5Vの直流電圧を印加して、ケーブル途中の位置Vが規定電圧(3.3V)になるまでの時間Tを測定した(Rは470kΩとした)。そしてVが規定電圧に達したのち、各コンデンサの電荷を一旦放電して、同様の測定を繰り返した。そして得られた値を平均化したものを試料片の静電容量とした。同様に着座時において、Vが規定電圧(3.3V)になるまでの時間Tを測定して、試料片の静電容量とした。
そして試料片の「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」を、Vが規定電圧となる時間T(t, t)の時間差から算出した。
また比較例1〜6に係る布材も、各々、同様の手順にて「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」を測定した。
(バッキング剤の塗布量)
(a)使用する布材の目付量(g/m)を測定するため予め、1m角を切り出して計測した。
(b)塗布して乾燥後、塗布前との密度が変わっていないことを確認した。塗布している部分においてランダムに5点、20cm角を切り出して目付量を計測した(実施例3、4、比較例3においては塗布部分1cm角を切り出して同様に目付量を計測した)。
(c)塗布前と塗布後の目付量の差から塗布量を得た。
[塗布量(g/m)]=[塗布後目付量(g/m)]−[塗布前目付量(g/m)]
(電撃感テスト)
実施例1の布材から、試料片(長さ1500mm×幅800mm)を切り出して電撃感テストを行った。
各試料片を、80℃の乾燥機にて24時間乾燥したのち、試験室(室温10℃、湿度30%)に6時間配置した。電撃感テストに用いる器具も、試験室(室温10℃、湿度30%)に6時間配置した。そして試料片を、各々、クッション・バックの天板部全面が覆われるように載置した。
そして電撃感テストの評価者は、羊毛1号によって作成された上着(長さ1m・円周長さ2mの筒状であり、腕と頭部を通せるように穴をあけた上着)と、ゴム底運動靴を着用した。評価者の足元は、樹脂板(ポリエチレン製)を置いて絶縁した。
そして評価者がサンプル上に着座したのち、10回の摩擦運動(サンプル上で臀部と腰を左右に動かす往復運動)を行った。その後速やかに立ち上がり、立ち上がる際の評価者の臀部への電撃感の有無を確認した。
同様に比較例1の布材に対して電撃感テストを行った。
[試験結果及び考察]
各試験の結果を、下記の[表1]〜[表4]に示す。
Figure 2010101836
Figure 2010101836
(センサ機能)
実施例1〜10の布材は、いずれも「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」の絶対値と、それらの差が大きかった。このことから実施例1〜10の布材(織物又は編物)は、いずれも静電容量の差によって乗員を判別可能であることがわかった。
このことから、10cmあたりの抵抗値が100〜5×10Ωの導電糸によれば、静電容量式センサの電極として使用可能な導電性を布材に付与できることがわかった。
また実施例1〜8の布材は、比較例1の布材(ステンレス繊維)と比較して、遜色のないセンサ機能(静電容量)を有していた。
このことから、導電糸の間隔寸法の上限値を30mm未満とすることで、布材が好適なセンサ機能を備えることがわかった。
これとは異なり比較例2の布材は、「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」の絶対値が小さかった。このため比較例2の布材は、乗員の種類を誤って(例えば成人と乳児を誤って)検知することが懸念された。
このことから、10cmあたりの抵抗値が5×10Ωを超える導電糸は、静電容量式センサの電極として使用可能な導電性を布材に付与できないことがわかった。
(布材の特性)
実施例3の布材(トリコット)及び実施例4の布材(ダブルジャージ)は、いずれも導電糸が布材表面から突出することなく(布材表面の意匠性に影響を与えることなく)、優れた風合いを有していた。
これとは異なり比較例3の布材(トリコット)は、ステンレス繊維の導電糸が布材から突出するように浮き上がっていた。これは仕上げ時の熱処理によってステンレス繊維が収縮しなかったためと考えられる。また比較例1の布材は風合いが硬かった。このことから比較例1の布材は、引っかかりやすく取扱い性に劣り、車両用シートの表皮材として使用するには不向きであることがわかった。
Figure 2010101836
Figure 2010101836
(センサ機能)
実施例11〜13の布材は、いずれも「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」の絶対値と、それらの差が大きかった。このことから実施例11〜13の布材は、いずれも静電容量の差によって乗員を判別可能であることがわかった。
このことから、コーティング面の抵抗率が1〜5×10Ω・cmの樹脂層によれば、静電容量式センサの電極として使用可能な導電性を布材に付与できることがわかった。
一方、比較例4及び6の布材は、静電容量自体を検出できなかった。このため比較例4及び6の布材は、静電容量式センサの電極として使用できないことがわかった。
また比較例5の布材は、「空席時の静電容量」と「着座時の静電容量」の絶対値が極めて小さく、それらの差も極めて小さかった。このため比較例5の布材は、乗員を判別不能又は乗員の種類を誤って(例えば成人と乳児を誤って)検知することが懸念された。
そして比較例4〜6の布材はいずれもコーティング面の抵抗率が測定不能であった(コーティング面の抵抗率が5×10Ω・cmよりも大きかった。[表4]では、測定不能を符号−で示す)。このためコーティング面の抵抗率が5×10Ω・cmを超える樹脂層は、静電容量式センサの電極として使用可能な導電性を布材に付与できないことがわかった。
(電撃感テスト)
電撃感テストにおいて、実施例1の布材は、評価者に電撃感を感じさせなかった。
このことから、10cmあたりの抵抗値が100〜5×10Ωの導電糸を用いた布材が、乗員などに対して電撃感を極力感じさせることなく、静電容量式センサの電極として使用可能であることがわかった。
なお電撃感が防止又は低減される明確な要因は不明であるが、上記抵抗値の導電糸では、剥離帯電により蓄積した静電気がコロナ放電にて速やかに除去されるのではないかと推測される(本推測は本発明を拘束するものではない)。
さらに上述の結果を検討すると、実施例2〜10の布材(比較的抵抗値の大きい導電糸を備える布材)も、乗員に電撃感を極力感じさせることなく、静電容量式センサの電極として使用可能であることが容易に推測される。
また同様に、実施例11〜13の布材(比較的抵抗率の大きい樹脂層を備える布材)も、乗員に電撃感を極力感じさせることなく、静電容量式センサの電極として使用可能であることが容易に推測される。
これとは異なり、比較例1の布材(ステンレス繊維)では、評価者が臀部に強い電撃感を感じた。これは10cmあたりの抵抗値が6Ωのステンレス繊維が、乗員の着座動作により剥離帯電することで、評価者と導電糸の間にスパークが生じたためと考えられる。このことから、10cmあたりの抵抗値が100Ω未満であると、布材上の乗員(物体)に電撃感を与えるおそれがあることがわかった。
従って比較例1の布材は、車両用シートの表皮材として使用するには不向きであることがわかった。
本実施形態の布材及びそれを用いた物体検知システムは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、専ら車両用シート2の表皮材4Sとして布材10を用いる構成を説明した。
本実施形態の布材は、例えば心電図を測定するための電極としても使用することができる(生体工学 44(1):177−183(2006)を参照)。
また本実施形態の布材は、静電容量結合方式によるタッチセンサとして使用することもでき、例えばシート位置調整を行うための制御として使用される。
(2)また本実施形態では、シートクッション4の表皮材4Sとして布材10を使用する例を説明した。本実施形態の布材は、天板メイン部、天板サイド部、かまち部、背裏部、及びヘッドレスト部などの車両用シートの各種構成の表皮材として使用することができる。また車両用シートのほか、天井部、ドア部、ハンドルなどの車両の各種構成の表皮材として使用することができる。
(3)また本実施形態では、布材10に対して、複数の導電糸12を並列状に配置する例を説明した。複数の導電糸の配置関係は特に限定されるものではなく、例えばメッシュ状(交差状、格子状)に配置されていてもよく、同心円状に配置されていてもよい。
また本実施例では、複数の導電糸が互いに独立した例を説明した。これとは異なり、一本の導電糸をジグザグ状として布材に配置してもよい。
また導電糸12はそのままの状態で使用してもよく、細繊度の比較的弱い導電糸は、他の絶縁材料で被覆して用いてもよい(カバリング糸として用いてもよい)。
(4)また本実施形態の樹脂層20は、布材10裏面の全面に形成されていてもよく、布材10裏面の一部に形成されていてもよい。例えば複数の樹脂層を、導電糸のように間隔寸法60mmの範囲内で並列状に形成してもよく、メッシュ状に形成してもよく、同心円状に形成してもよい。
車両用シートの一部透視側面図である。 (a)及び(b)は、布材の正面図である。 布材の一部タテ糸縦断面図である。 物体検知システムの回路図である。 静電容量を測定するためのグラフである。 物体検知システムとエアバッグを作動させるシステムの概略図である。 実施形態2の布材の縦断面図である。
符号の説明
2 車両用シート
4 シートクッション
4S 表皮材
6 シートバック
8 エアバッグ
9 表示ランプ
10 布材
12 導電糸
13 絶縁繊維
14a 導電テープ
14b 樹脂層
14 通電手段
15 電圧付与手段
16 ケーブル
18 測定回路
20 樹脂層
12 導電糸
F シートフレーム
H 乗員
第一コンデンサ
第二コンデンサ

Claims (4)

  1. 静電容量式のセンサの電極として使用可能となるように、下記(1)又は(2)の導電化手段によって導電化された布材。
    (1)10cmあたりの抵抗値が100〜5×106Ωであって、前記布材の一部を構成する導電糸。
    (2)コーティング面の抵抗率が1〜5×103Ω・cmとなるように導電性カーボンが含有されて、前記布材一面の全部又は一部に形成された樹脂層。
  2. 前記布材を、前記(1)の導電化手段によって導電化するとともに、
    前記導電化手段が、間隔寸法60mmの範囲内で前記布材に並列状に配置する複数の前記導電糸と、前記複数の前記導電糸を電気的につなげる通電手段とを有する請求項1に記載の布材。
  3. 前記通電手段が、コーティング面の抵抗率が1〜5×103Ω・cmとなるよう無機系導電剤が含有されて、前記布材一面の全部又は一部に形成された樹脂層である請求項2に記載の布材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の布材と、前記布材に電圧を付与する電圧付与手段と、前記布材とともに第一コンデンサを構成するように接地する電極部材とを有し、
    第二コンデンサが形成されるように前記布材上に物体が配置することで、前記物体の種類に応じて静電容量が変化する構成として、前記静電容量の差を検出手段により検出して物体を判別する構成とした物体検知システム。
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