JP2010099824A - ワイヤカット放電加工機の制御装置およびワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置 - Google Patents
ワイヤカット放電加工機の制御装置およびワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】加工プログラムを記憶する加工プログラム記憶手段1と、加工回数毎のワイヤオフセット量を記憶するオフセット量記憶手段6と、前記加工プログラムを解析する加工プログラム解析手段2と、加工プログラム解析手段2による解析結果に基づいて被加工物の加工形状を作成する加工形状作成手段3と、加工形状の補正を行うために用いる予め決められた円弧半径を記憶する加工形状補正用円弧半径記憶手段7と、加工形状作成手段3により作成された形状がお互いに非平行な2つの直線移動ブロックが交わることで形成される凹角コーナ部を有する加工形状の場合、当該凹角コーナ部側の各一部を削除し、該削除された部分に前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段4と、を有するワイヤカット放電加工機の制御装置と加工経路作成装置。
【選択図】図10
Description
また、本発明は、ワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置に関する。更に詳しく言えば、凹角コーナ部の加工精度を向上させることができるワイヤカット放電加工機で用いられる加工経路を作成するワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置に関する。
凹角コーナ部の加工について、円弧経路を追加するワイヤカット形状修正方法が提案されている。すなわち、このワイヤカット形状修正方法によれば、基本プログラムで指令される2つのブロックによる加工経路の交点が凹部加工の交点である場合、該交点を中心に加工経路に対するワイヤ電極のオフセット値を半径とする円弧のワイヤ電極移動軌跡の加工経路が、上記交点部に追加される。
この方法は、ブロック交点を中心とし、オフセット値を半径とする円弧状の加工経路を被加工物側に追加することで、金型の加工などで問題となる凹角コーナ部に生じる丸みを1st加工で除去することを企図している。つまり、この円弧経路は1st加工において被加工物を抉るように加工するもので、コーナ部の加工精度については全く問題視していない。
ワイヤ電極の放電ギャップの変化を伴う加工条件を変更可能なワイヤカット放電加工に対し、ワークを所望の形状に加工させるために、加工条件を変更する位置を適切に設定することで対処することが提案されている。ブロックの継ぎ目ではオフセットが変更される場合に、加工経路が不連続となる部分に補正ブロックを挿入し、それに対応する加工条件の変更のタイミングを適正に設定することが説明されている。オフセットによって凹角コーナ部で加工量が増大する問題に着目したものではない。
仕上げ加工時に、所定の軌跡をオフセットしたオフセット軌跡における加工除去距離が、直線を加工するときの加工除去距離よりも増加または減少し始めるワイヤ電極の位置を第1の変更点、ワイヤ電極が第1の変更点を通過し加工除去距離が変化しなくなるワイヤ電極の位置を第2の変更点、ワイヤ電極が第2の変更点を通過し加工除去距離が減少または増加に転じるワイヤ電極の位置を第3の変更点、ワイヤ電極が第3の変更点を通過し直線を加工するときの加工除去距離と同じになるワイヤ電極の位置を第4の変更点とそれぞれ定め、第1の変更点から第4の変更点間における所定単位距離毎の加工除去距離を計算して、計算された加工除去距離から適正送り速度を求め、第1の変更点と第4の変更点間において所定単位距離毎に適正送り速度に変更設定することが開示されている。
加工プログラム上の経路が円弧状であるコーナ部の形状精度を改善するための技術が開示されている。荒加工に続いて仕上げ加工を行っていく段階で、加工形状内円弧部の半径が予め設定された基準半径以下の円弧部に対して、1回目の加工で上記円弧部をこの円弧部の前後の加工経路と接し、かつ所定の半径より小さい円弧を挿入してなる加工経路により加工し、その後の加工で挿入する円弧の半径を徐々に大きくして加工経路を変換しながら加工する手法が説明されている。
加工プログラム上の経路が円弧状であるコーナ部の形状精度を改善しようとするものである。凹円弧コーナ部において、各加工工程の経路が同一の半径を持つようにして、加工可能な最小半径を極力小さくしようとしている。そのために、オフセット値の異なる各加工工程のインコーナ部加工における円弧軌跡が同一半径となるように各加工工程におけるインコーナ部の移動軌跡を計算し、その計算結果に基づき各加工工程のインコーナ部半径が同一になるような軌跡移動を行うような制御が行われている。
前記凹角コーナ部判定手段により凹角コーナ部であると判断された場合、当該凹角コーナ部を形成する各移動ブロックの一部または全部を削除し、該削除された部分に前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段と、を有することを特徴とするワイヤカット放電加工機の制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記円弧形状挿入手段により挿入する円弧形状の移動ブロックは、凹角コーナ部を形成する2つの移動ブロックに接するように挿入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記移動ブロックは直線移動ブロックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の制御装置である。
請求項9に係る発明は、前記円弧形状挿入手段により挿入する円弧形状の移動ブロックは、凹角コーナ部を形成する2つの移動ブロックに接するように挿入することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置である。
請求項10に係る発明は、前記移動ブロックは直線移動ブロックであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置である。
(1)プログラム指令形状(加工形状作成手段)に、指定された半径の円弧ブロックを挿入する(円弧形状挿入手段)(図5参照)。
(2)前記(1)でできた円弧コーナの形状をオフセット量の分だけオフセットする(加工経路作成手段)(図5参照)。
凹角コーナ部を形成する2つの直線A,Bのそれぞれから、オフセットを掛ける方向に、挿入する円弧の半径rの長さ離れた平行な2つの直線a,bを作ると、その2直線の交点が円弧の中心になる。凹角コーナ部を形成する2直線A,Bのうち、コーナ頂点の手前の直線ブロックの終点を円弧中心からの垂線との交点に変更し、コーナ頂点後の直線ブロックの始点を円弧中心からの垂線との交点に変更する。これは、従来のコーナRの挿入技術と同様である。
図8に示されるように、直線と角度(180度−θ)をなす円弧を挿入する場合、挿入する円弧の曲率半径をrとし、上述の2直線に接する円弧の求め方(図7参照)において、半径(r*cosθ)の円弧を挿入すると、円弧の中心を求めることができる(図9参照)。
凹角コーナ部を形成する2直線のうち、コーナ頂点手前の直線ブロックの終点、及び、コーナ頂点後の直線ブロックの始点は、コーナ頂点側へ長さ(r*sinθ)分移動させる。
上述したように(図7〜図9参照)、円弧ブロックを挿入する方法として、直線ブロックと挿入した円弧ブロックとが滑らかに接する場合と、所定の角度範囲内で接続される場合がある。
オフセット量記憶手段6は、加工に必要となるワイヤ電極のオフセット量が多数格納されているもので、加工プログラム解析手段2からの指示にしたがって加工に必要となる加工回数ごとのオフセット量を選び出し、加工経路作成手段5に渡す手段である。
円弧形状挿入手段4は、加工形状作成手段3から渡された加工形状と加工形状補正用円弧半径記憶手段7から渡された加工形状補正用円弧半径から、2つの移動ブロックが交わって形作られる凹角コーナ部に円弧形状の移動ブロックを挿入して補正し、目的とする加工形状を改めて作成し、加工経路作成手段5に渡す。
一般に、ワイヤカット放電加工の加工プログラムに従って多重加工を実行する際には、ワイヤ電極の移動が始まる前に、各回の加工で使用するオフセット量が加工プログラムに基づいて指令される。図13に示した例では、「D1」の指令コードによって図14のメモリ構成を持つオフセット量記憶手段の「オフセットメモリ1」に格納されているオフセット量が呼び出されて使用される。
結局、上述した2つの判別の組み合わせで、「凹角コーナ部」を特定することができる。
その後、切落し用サブプログラム「O7517」を呼び出し実行する。
また、この実施形態では、加工プログラム解析手段2で解析された加工プログラムを編集したり変更したりすることなく、円弧形状の移動ブロックが挿入された加工経路を加工経路作成手段5によって作成しているが、加工プログラム解析手段2で解析された加工プログラムに対して円弧形状の移動ブロックを自動的に挿入して編集し、円弧形状の移動ブロックを持つ加工プログラムを実際に作成することによって加工経路を作成しても、同様な効果が得られ、何ら問題はない。
●ステップST1;オフセット量δk、円弧半径rkを読み取る。δk、rkは、例えば、図16に示される指令により指定される。このステップST1の処理には、オフセット量δkの決定(オフセット量記憶手段6にアクセスして、指定されたオフセット量δkのデータを加工経路作成手段5に渡す)、及び、挿入する円弧半径の決定(加工形状補正用円弧半径記憶手段7にアクセスして、指定された円弧半径rkのデータを円弧形状挿入手段4に渡す)の処理が含まれる。
●ステップST2;指標iを初期設定する(i←1)。
●ステップST3;i番目(即ち、1番目)の移動ブロックを読み込み、解釈する。
●ステップST4;i+1番目(第1回目の処理サイクルでは、2番目)の移動ブロックを読込み、解釈する。
●ステップST5;i番目の移動ブロックとi+1番目の移動ブロックが角コーナ部を形成しているかどうか判断する。即ち、両ブロックが「互いに非平行な直線移動ブロック」であればYESとし、そうでなければNOとする。YESであればステップST6へ進み、NOであればステップST7へ進む。
判定結果が、「左折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向左側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。同様に、判定結果が、「右折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向右側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。それ以外の場合は、凹角コーナ部ではない(NO)。凹角コーナ部であれば、ステップST13へ進み、そうでなければステップST7へ進む。
●ステップST8;i番目の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。
●ステップST9;指標iを1アップする(i=i+1)。
●ステップST10;i+1番目の移動ブロックの有無をチェックする。i+1番目の移動ブロックが無ければステップST11へ進み、有ればステップST4へ戻る。なお、最初のステップST9においてはi=2となり、従って、ステップST10では3番目の移動ブロックの有無をチェックしていることになる。
●ステップST12;i番目の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。
●ステップST13;円弧半径rkの円弧ブロックを移動ブロックBLiの終点側と移動ブロックBLi+1の始点側に挿入する。
●ステップST16;ステップST13で挿入された円弧ブロックとi番目の移動ブロックBLiにオフセット量δkでオフセット補正する。
●ステップST18;i番目の移動ブロックBLiの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。なお、このステップで対象とする移動ブロックは、ステップST15を経ているので、同ステップST14で終点の補正がなされたものである。
●ステップST19;挿入された円弧経路の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。次のステップはステップST9である。 ●ステップST20;円弧部分を削除し、ステップST21へ進む。
●ステップST21;i番目の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。次のステップは、ステップST9である。
なお、ステップST3,ステップST4で読み込まれる移動ブロックが、ステップST5で「互いに非平行な直線移動ブロック」であるか否か判断している。ここで、2つの移動ブロックが、直線移動ブロックと円弧移動ブロック、または、円弧移動ブロックと円弧移動ブロックで、交点における2つの移動ブロックの成す角度が180度以外の場合も、互いに非平行な2つの直線移動ブロックと同様に、非平行とみなす。
なお、加工経路作成装置はワイヤカット放電加工機の制御装置とは独立した演算処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ)を用いて構成することができる。
オフセット量記憶手段6は、加工に必要となるワイヤ電極のオフセット量が多数格納されているもので、加工プログラム解析手段2からの指示にしたがって加工に必要となる加工回数ごとのオフセット量を選び出し、加工経路作成手段5に渡す手段である。
●ステップSP1;オフセット量δk、円弧半径rkを読み取る。δk、rkは、例えば、図16に示される指令により指定される。このステップSP1の処理には、オフセット量δkの決定(オフセット量記憶手段6にアクセスして、指定されたオフセット量δkのデータを加工経路作成手段5に渡す)、及び、挿入する円弧半径の決定(加工形状補正用円弧半径記憶手段7にアクセスして、指定された円弧半径rkのデータを円弧形状挿入手段4に渡す)の処理が含まれる。
●ステップSP2;指標iを初期設定する(i←1)。
●ステップSP3;i番目(即ち、1番目)の移動ブロックを読み込み、解釈する。
●ステップSP4;i+1番目(第1回目の処理サイクルでは、2番目)の移動ブロックを読込み、解釈する。
●ステップSP5;i番目の移動ブロックとi+1番目の移動ブロックが角コーナ部を形成しているかどうか判断する。即ち、両ブロックが「互いに非平行な直線移動ブロック」であればYESとし、そうでなければNOとする。YESであればステップSP6へ進み、NOであればステップSP7へ進む。
判定結果が、「左折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向左側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。同様に、判定結果が、「右折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向右側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。それ以外の場合は、凹角コーナ部ではない(NO)。凹角コーナ部であれば、ステップSP13へ進み、そうでなければステップSP7へ進む。
●ステップSP8;ステップSP3で算出したi番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。
●ステップSP9;指標iを1アップする(i=i+1)。
●ステップSP10;i+1番目の移動ブロックの有無をチェックする。i+1番目の移動ブロックが無ければステップSP11へ進み、有ればステップSP4へ戻る。なお、最初のステップSP9においてはi=2となり、従って、ステップSP10では3番目の移動ブロックの有無をチェックしていることになる。
●ステップSP12;i番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。
●ステップSP13;円弧半径rkの円弧ブロックを移動ブロックBLiの終点側と移動ブロックBLi+1の始点側に挿入する。
●ステップSP16;ステップSP13で挿入された円弧ブロックとi番目の移動ブロックBLiにオフセット量δkでオフセット補正する。
●ステップSP18;i番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。なお、このステップで対象とする移動ブロックは、ステップSP15を経ているので、同ステップSP14で終点の補正がなされたものである。
●ステップSP19;挿入された円弧経路の移動ブロックの加工経路を記憶する。次のステップはステップSP9である。
●ステップSP20;円弧部分を削除し、ステップSP21へ進む。
●ステップSP21;i番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。次のステップは、ステップSP9である。
なお、ステップSP3,ステップSP4で読み込まれる移動ブロックが、ステップSP5で「互いに非平行な直線移動ブロック」であるか否か判断している。ここで、2つの移動ブロックが、直線移動ブロックと円弧移動ブロック、または、円弧移動ブロックと円弧移動ブロックで、交点における2つの移動ブロックの成す角度が180度以外の場合も、互いに非平行な2つの直線移動ブロックと同様に、非平行とみなす。
●ステップSQ1;オフセット量δk、円弧半径rk、角度αを読み取る。δk、rkは、例えば、図16に示される指令により指定される。このステップSQ1の処理には、オフセット量δkの決定(オフセット量記憶手段6にアクセスして、指定されたオフセット量δkのデータを加工経路作成手段5に渡す)、及び、挿入する円弧半径の決定(加工形状補正用円弧半径記憶手段7にアクセスして、指定された円弧半径rkのデータを円弧形状挿入手段4に渡す)の処理が含まれる。角度αは凹角コーナ角度記憶手段10に記憶されており、ステップSQ1の処理には、凹角コーナ角度記憶手段10に記憶された角度αを凹角コーナ部判定手段9に渡す処理も含まれる。
●ステップSQ3;i番目(即ち、1番目)の移動ブロックを読み込み、解釈する。
●ステップSQ4;オフセット量δk<円弧半径rkであるか否か判断し、オフセット量δkが円弧半径rkより小さい場合にはステップSQ5へ移行し、そうでない場合にはステップSQ12へ移行する。
●ステップSQ6;i+n番目の移動ブロックが存在するか否か判断し、存在する場合にはステップSQ7へ移行し、存在しない場合にはステップSQ12へ移行する。
●ステップSQ7;i+n番目の移動ブロックを読み込み、解釈する。
判定結果が、「左折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向左側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。同様に、判定結果が、「右折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向右側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。それ以外の場合は、凹角コーナ部ではない(NO)。凹角コーナ部であれば、ステップSQ16へ移行し、そうでなければステップSQ10へ移行する。
●ステップSQ11;指標nは最大値nmaxより大きいか否か判断し、nmaxより大きければステップSQ12へ移行し、大きくなければステップSQ6へ移行する。
●ステップSQ12;移動ブロックBLiをオフセット量δkによりオフセット補正する。
●ステップSQ13;i番目の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。
●ステップSQ15;i番目の移動ブロックの有無をチェックする。i番目の移動ブロックが有ればステップSQ3へ戻り、無ければk回目の加工を終了する。
●ステップSQ16;i番目の移動ブロックとi+n番目の移動ブロックとの間に円弧を挿入可能であるか否か判断し、挿入可能でない場合にはステップSQ10へ移行し、挿入可能な場合にはステップSQ17へ移行する。ステップSQ16における円弧を挿入可能かの判断は、図28、図29、図30、および図31を用いて後述して説明する。
●ステップSQ18;i+1番目の移動ブロックからi+n−1番目の移動ブロックを削除する。
●ステップSQ19;i+n番目の移動ブロックの始点補正を行う。ステップSQ17〜SQ19において、円弧ブロックの挿入に伴って削除されるV字形状の直線区間の両端の点の内、i番目の移動ブロックに対応する直線経路上のものが同直線経路の終点となるように、i番目の移動ブロックの終点を補正する。同様に、同V字形状の直線区間の両端の点の内、i+n番目の移動ブロックに対応する直線経路上のものが同直線経路の始点となるように、i+n番目の移動ブロックの始点を補正する。図24を参照して説明すると、V字形状は指定された円弧半径rの円弧の左側のプログラム指令形状(オフセット前)の部分である。
●ステップSQ20;円弧半径rkの円弧ブロックを挿入する。
●ステップSQ22;i番目の移動ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。
●ステップSQ23;円弧ブロックの移動のための処理(補間、各軸サーボへの移動指令等の処理)を実行する。
●ステップSQ24;指標iをi+nとし、ステップSQ15へ移行する。
条件2:挿入された円弧が、元の経路i+1番目からi+n−1番目と交点を持たない。但し、接している場合を除く。
図30は、条件1は満たすが、条件2を満たさない例を説明する図である。この場合には円弧を挿入できない。円弧の始点Aはi番目の移動ブロック上にあり、円弧の終点Bはi+n番目の移動ブロック上にあるものの、挿入する円弧がi+1番目と交点を持つ場合である。
図31は、条件1および条件2を満たす他の場合を説明する図である。この場合は挿入する円弧がi+1番目の移動ブロックと接している場合である。
なお、ステップSQ3,ステップSQ7で読み込まれる移動ブロックが、ステップSQ8で「互いの移動ブロックの成す角度が角度α以下か否か」であるか否か判断している。ここで、2つの移動ブロックが、直線移動ブロックと円弧移動ブロック、または、円弧移動ブロックと円弧移動ブロックで、交点(仮想上の交点も含む)における2つの移動ブロックの成す角度が角度α以下か否か判断する。
図32に示される任意の2つのブロック間(隣り合ったブロックでなくてもよい)の角度が予め記憶した角度より小さい場合の本発明の実施形態に係る加工経路作成装置は、加工プログラム記憶手段1、加工プログラム解析手段2、加工形状作成手段3、円弧形状挿入手段4、加工経路作成手段5、オフセット量記憶手段6、加工形状補正用円弧半径記憶手段7、加工経路記憶手段8、凹角コーナ部判定手段9、および凹角コーナ角度記憶手段10を備えている。
なお、加工経路作成装置はワイヤカット放電加工機の制御装置とは独立した演算処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ)を用いて構成することができる。
●ステップSR3;i番目(即ち、1番目)の移動ブロックを読み込み、解釈する。
●ステップSR4;オフセット量δk<円弧半径rkであるか否か判断し、オフセット量δkが円弧半径rkより小さい場合にはステップSR5へ移行し、そうでない場合にはステップSR12へ移行する。
●ステップSR6;i+n番目の移動ブロックが存在するか否か判断し、存在する場合にはステップSR7へ移行し、存在しない場合にはステップSR12へ移行する。
●ステップSR7;i+n番目の移動ブロックを読み込み、解釈する。
判定結果が、「左折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向左側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。同様に、判定結果が、「右折」で且つオフセット量δkが指定する経路シフトが進行方向右側であれば、その角コーナ部は凹角コーナ部である(YES)。それ以外の場合は、凹角コーナ部ではない(NO)。凹角コーナ部であれば、ステップSR16へ移行し、そうでなければステップSR10へ移行する。
●ステップSR11;指標nは最大値nmaxより大きいか否か判断し、nmaxより大きければステップSR12へ移行し、大きくなければステップSR6へ移行する。
●ステップSR12;移動ブロックBLiをオフセット量δkによりオフセット補正する。
●ステップSR13;i番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。
●ステップSR15;i番目の移動ブロックの有無をチェックする。i番目の移動ブロックが有ればステップSR3へ戻り、無ければk回目の加工を終了する。
●ステップSR16;i番目の移動ブロックとi+n番目の移動ブロックとの間に円弧を挿入可能であるか否か判断し、挿入可能でない場合にはステップSR10へ移行し、挿入可能な場合にはステップSR17へ移行する。
●ステップSR18;i+1番目の移動ブロックからi+n−1番目の移動ブロックを削除する。
●ステップSR19;i+n番目の移動ブロックの始点補正を行う。ステップSR17〜SR19において、円弧ブロックの挿入に伴って削除されるV字形状の直線区間の両端の点の内、i番目の移動ブロックに対応する直線経路上のものが同直線経路の終点となるように、i番目の移動ブロックの終点を補正する。同様に、同V字形状の直線区間の両端の点の内、i+n番目の移動ブロックに対応する直線経路上のものが同直線経路の始点となるように、i+n番目の移動ブロックの始点を補正する。図24を参照して説明すると、V字形状は指定された円弧半径rの円弧の左側のプログラム指令形状(オフセット前)の部分である。
●ステップSR20;円弧半径rkの円弧ブロックを挿入する。
●ステップSR22;i番目の移動ブロックの加工経路を記憶する。
●ステップSR23;挿入された円弧ブロックの移動ブロックを記憶する。
●ステップSR24;指標iをi+nとし、ステップSR15へ移行する。
なお、ステップSR3,ステップSR7で読み込まれる移動ブロックが、ステップSR8で「互いの移動ブロックの成す角度が角度α以下か否か」であるか否か判断している。ここで、2つの移動ブロックが、直線移動ブロックと円弧移動ブロック、または、円弧移動ブロックと円弧移動ブロックで、交点(仮想上の交点も含む)における2つの移動ブロックの成す角度が角度α以下か否か判断する。
なお、ステップSR16における円弧を挿入可能か否かの判断方法は、図27において図28〜図31を用いて説明した内容と同様である。
2 加工プログラム解析手段
3 加工形状作成手段
4 円弧形状挿入手段
5 加工経路作成手段
6 オフセット量記憶手段
7 加工形状補正用円弧半径記憶手段
8 加工経路記憶手段
9 凹角コーナ部判定手段
10 凹角コーナ角度記憶手段
Claims (10)
- ワイヤカット放電加工機の制御装置であって、
加工プログラムを記憶する加工プログラム記憶手段と、
加工回数毎のワイヤオフセット量を記憶するオフセット量記憶手段と、
前記加工プログラム記憶手段に記憶されている加工プログラムを解析する加工プログラム解析手段と、
該加工プログラム解析手段による解析結果に基づいて被加工物の加工形状を作成する加工形状作成手段と、
前記加工形状の補正を行うために用いる予め決められた円弧半径を記憶する加工形状補正用円弧半径記憶手段と、
前記加工形状作成手段により作成された形状の1つの移動ブロックと該ブロックより予め定められた数以内の移動ブロックとの成す角度と、予め決められた角度とを順次比較し、移動ブロック同士の成す角度が前記予め決められた角度以下で、かつ、前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された円弧半径の円が挿入可能な場合に凹角コーナ部と判定する凹角コーナ部判定手段と、
前記予め決められた角度を記憶する凹角コーナ角度記憶手段と、
前記凹角コーナ部判定手段により凹角コーナ部であると判断された場合、当該凹角コーナ部を形成する各移動ブロックの一部または全部を削除し、該削除された部分に前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段と、
を有することを特徴とするワイヤカット放電加工機の制御装置。 - ワイヤカット放電加工機の制御装置であって、
加工プログラムを記憶する加工プログラム記憶手段と、
加工回数毎のワイヤオフセット量を記憶するオフセット量記憶手段と、
前記加工プログラム記憶手段に記憶されている加工プログラムを解析する加工プログラム解析手段と、
該加工プログラム解析手段による解析結果に基づいて被加工物の加工形状を作成する加工形状作成手段と、
前記加工形状の補正を行うために用いる予め決められた円弧半径を記憶する加工形状補正用円弧半径記憶手段と、
前記加工形状作成手段により作成された形状が互いに非平行な2つの移動ブロックが交わることで形成される凹角コーナ部を有する加工形状の場合、当該凹角コーナ部側の各一部を削除し、該削除された部分に前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段と、
を有することを特徴とするワイヤカット放電加工機の制御装置。 - 前記円弧形状挿入手段によって補正された加工形状から、前記オフセット量記憶手段に記憶された前記ワイヤオフセット量の分だけオフセットした加工経路を作成する加工経路作成手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の制御装置。
- 前記円弧形状挿入手段により挿入する円弧形状の移動ブロックは、凹角コーナ部を形成する2つの移動ブロックに接するように挿入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の制御装置。
- 前記移動ブロックは直線移動ブロックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の制御装置。
- ワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置であって、
加工プログラムを記憶する加工プログラム記憶手段と、
加工回数毎のワイヤオフセット量を記憶するオフセット量記憶手段と、
前記加工プログラム記憶手段に記憶されている加工プログラムを解析する加工プログラム解析手段と、
該加工プログラム解析手段による解析結果に基づいて被加工物の加工形状を作成する加工形状作成手段と、
前記加工形状の補正を行うために用いる予め決められた円弧半径を記憶する加工形状補正用円弧半径記憶手段と、
前記加工形状作成手段により作成された形状の1つの移動ブロックと該ブロックより予め定められた数以内の移動ブロックとの成す角度と、予め決められた角度とを順次比較し、移動ブロック同士の成す角度が前記予め決められた角度以下で、かつ、前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された円弧半径の円が挿入可能な場合に凹角コーナ部と判定する凹角コーナ部判定手段と、
前記予め決められた角度を記憶する凹角コーナ角度記憶手段と、
前記凹角コーナ部判定手段により凹角コーナ部であると判断された場合、当該凹角コーナ部を形成する各移動ブロックの一部または全部を削除し、該削除された部分に前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段と、
を有することを特徴とするワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置。 - ワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置であって、
加工回数毎のワイヤオフセット量を記憶するオフセット量記憶手段と、
加工プログラムを解析する加工プログラム解析手段と、
該加工プログラム解析手段による解析結果に基づいて被加工物の加工形状を作成する加工形状作成手段と、
前記加工形状の補正を行うために用いる予め決められた円弧半径を記憶する加工形状補正用円弧半径記憶手段と、
前記加工形状作成手段により作成された形状が互いに非平行な2つの移動ブロックが交わることで形成される凹角コーナ部を有する加工形状の場合、当該凹角コーナ部側の各一部を削除し、該削除された部分に前記加工形状補正用円弧半径記憶手段に記憶された前記円弧半径を持つ円弧形状の移動ブロックを挿入する円弧形状挿入手段と、
を有することを特徴とするワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置。 - 前記円弧形状挿入手段によって補正された加工形状から、前記オフセット量記憶手段に記憶された前記ワイヤオフセット量の分だけオフセットした加工経路を作成する加工経路作成手段を有することを特徴とする請求項6または7のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置。
- 前記円弧形状挿入手段により挿入する円弧形状の移動ブロックは、凹角コーナ部を形成する2つの移動ブロックに接するように挿入することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置。
- 前記移動ブロックは直線移動ブロックであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載のワイヤカット放電加工機の加工経路作成装置。
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