JP2010098846A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能な構造の電力変換装置を提供すること。
【解決手段】IGBT12に並列接続されたスナバモジュール64のスナバコンデンサ64とスナバダイオード74の接続点96と、IGBT16に並列接続されたスナバモジュール68のスナバコンデンサ84とスナバダイオード86の接続点98とを互いに接続し、互いに接続しスナバ抵抗102,104を挿入し、スナバ抵抗102,104の一端とIGBT12の負極側の回路との間にスナバ共通抵抗106を接続する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数のスイッチング素子を備えた電力変換装置に関する。
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の高速半導体スイッチング素子を用いた電力変換装置が様々な分野で使われている。このような高速半導体スイッチング素子のスイッチング時の跳ね上がり電圧抑制のためにスナバ回路が接続される。スナバ回路の方式としては、非特許文献1に記載されているように数通りがあるが、比較的損失が小さく、跳ね上がり電圧抑制効果もある充電式CDRスナバ回路が使われることが多い。
充電式CDRスナバ回路は、主回路の正極側のIGBTに接続する場合、IGBTのコレクタに一端が接続されるスナバコンデンサと、IGBTのエミッタにカソードが接続されるスナバダイオードとの直列回路(以下、スナバモジュールという。)をIGBTに並列に接続し、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と主回路の負極側とをスナバ抵抗を介して接続する構成となる。充電式CDRスナバ回路のスナバコンデンサは、電源相当の電圧値まで予め充電されていて、スイッチング時の跳ね上がり電圧が充電電圧を超えた時に、スナバダイオードが導通して電圧上昇を抑制する。跳ね上がり電圧の分だけがスナバ抵抗で消費されるので、スナバ抵抗での消費電力が小さく、比較的高周波でスイッチングする装置に適している。しかし、消費電力は小さくてもスナバ抵抗で熱が発生するため、発生する熱に応じて装置の大きさが決まる。
スナバモジュールの配線インダクタンスは跳ね上がり電圧に影響するため、できるだけ低減する必要がある。しかし、スナバ抵抗の場合はスイッチングの間に放電すればよく、それほど配線インダクタンスを低減する必要がない。よって、スナバ抵抗をIGBTから離れた位置に置くことが可能であるが、離れた位置に置くと配線が長くなり、配線部材が多く必要になる。
特開2007−151286号公報 トランジスタ技術スペシャルNo.85「改訂*実践パワーエレクトロニクス入門」CQ出版社
ところで、半導体技術の進歩により大容量半導体モジュールが実現されているが、さらに大容量化するためにIGBTを複数並列接続して用いることもある。前述したように、スナバモジュールの配線インダクタンスはできるだけ低減する必要があるため、並列接続されたIGBTそれぞれにスナバモジュールを接続しなければならず、スナバモジュールの共通化はできない。一方、スナバ抵抗の場合はIGBTから離れた位置に置いてもよいので、スナバ抵抗を共通にして部品数を低減することも考えられる。
しかし、スナバ抵抗を単純に共通化すると、並列接続されたIGBTそれぞれに接続されたスナバモジュールのスナバコンデンサ同士を配線で接続することになり、配線インダクタンスとスナバコンデンサとでLC共振回路が構成される。例えば、特許文献1の図18,23に示される構成のように並列接続されたIGBTで、スナバモジュールのスナバコンデンサ同士を接続してスナバ抵抗を共通化する場合、スナバコンデンサ同士を接続する配線が長くなり、配線インダクタンスが大きくなる。そのため、スナバ抵抗はLC共振回路の振動を抑制できる程度の抵抗値が必要となり、装置の寸法が大きくなるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、小型化が可能な構造の電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の電力変換装置は、並列接続された複数のスイッチング素子を用いて形成される複数のスイッチングアームをブリッジ接続し正極と負極との間に備え、それぞれのスイッチング素子にスナバ回路を並列接続してなる電力変換装置において、並列接続された複数のスイッチング素子のスナバ回路は、それぞれのスイッチング素子に並列接続されたスナバコンデンサとスナバダイオードからなる複数の直列回路のスナバコンデンサとスナバダイオードの接続点を互いに接続し、互いに接続した少なくとも1つの回路に第1のスナバ抵抗を挿入し、第1のスナバ抵抗の一端と正極又は負極との間に第2のスナバ抵抗を接続してなることを特徴とする。
本発明の構成によれば、スイッチング時の跳ね上がり電圧は、正極側のスイッチング素子について説明すると、スナバコンデンサから第1のスナバ抵抗、第2のスナバ抵抗、主回路の負極を経て放電される。スナバ抵抗に流れる電流は、スナバコンデンサに蓄積された電荷、すなわち、スナバコンデンサ容量と跳ね上がり電圧とで決まり、スナバ抵抗の値によってスナバ抵抗の発生電圧及び発熱量が変わる。ここで、仮に第1のスナバ抵抗のみで放電しようとすると、第1のスナバ抵抗の抵抗値を大きくしなければならず、発熱量も大きくなるので寸法を大きくしなければならない。寸法を大きくすると第1のスナバ抵抗をスナバコンデンサに近づけて配置することができず、スナバコンデンサから第1のスナバ抵抗の配線が長くなる。前述したように、容量を大きくするためにスイッチング素子を並列接続すると、スイッチング素子それぞれに接続されたスナバコンデンサと、スナバコンデンサ同士を接続する配線の配線インダクタンスとによりLC共振回路が形成され、スイッチング時の跳ね上がり電圧を抑制できない可能性がある。スナバコンデンサから第1のスナバ抵抗の配線が長くなるということは、配線インダクタンスが大きくなるということであり、上記LC共振回路のLが大きくなるということなので、LC共振を抑制するために第1のスナバ抵抗をさらに大きくしなければならない。
本発明によれば、跳ね上がり電圧分の電荷は、第1、第2のスナバ抵抗で放電されるので、第1のスナバ抵抗の抵抗値が小さくなり、放電の際の発熱量を小さくできる。これにより、第1のスナバ抵抗の寸法を小さくすることができ、スナバ抵抗をスナバモジュールにより近づけて配置できる。よって、スナバモジュール同士を接続する配線が短くなることから、配線インダクタンスを小さくすることができ、さらに第1のスナバ抵抗の抵抗値を小さくして装置を小型化することが可能となる。また、配線部材を少なくできる。なお、第2のスナバ抵抗については、装置から離し別体とすることで、ある程度抵抗値を大きくすることができるので、その配線インダクタンスはそれほど低減する必要がない。
この場合において、第1のスナバ抵抗は、複数の抵抗を直列接続して構成され、複数の抵抗の共通接続点に第2のスナバ抵抗を接続することが望ましい。
また、複数の抵抗の各抵抗値は第2のスナバ抵抗の抵抗値より小さいことが望ましい。これにより、第1のスナバ抵抗をさらに小さくすることができる。ただし、第1のスナバ抵抗値は、LC共振回路の振動の抑制ができる程度にすることが望ましい。
本発明によれば、小型化が可能な構造の電力変換装置を提供できる。
以下、本発明の電力変換装置を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
図1に、本発明の利用分野であるU相、V相、W相からなる3相インバータ回路の概略構成例を示す。本実施例では、半導体スイッチング素子としてIGBTを用いる。3相インバータ回路は、U相のスイッチングアーム2、V相のスイッチングアーム4、W相のスイッチングアーム6をブリッジ接続して形成され、平滑コンデンサ8に並列接続され、モータなどの負荷10を駆動するようになっている。
スイッチングアーム2は、並列接続された複数のIGBT12,14,16,18で構成され、スイッチングアーム4は、並列接続された複数のIGBT20,22,24,26で構成され、スイッチングアーム6は、並列接続された複数のIGBT28,30,32,34で構成されている。各IGBTは環流ダイオードを備えている。スイッチングアーム2,4,6を構成する上下一対のスイッチング素子が、オン・オフを繰り返すことで任意の交流電力を負荷に供給するようになっている。
図2に、本実施例を示す。図2は、図1で例示した3相インバータ回路の各IGBTにスナバ回路を並列接続した回路の中のスイッチングアーム2の回路構成である。ここでは、スイッチングアーム2の構成について示しているが、スイッチングアーム4,6も構成は同じである。
スイッチングアーム2の並列接続された一方のスイッチングアーム36の正極端子38には正極導体40が接続され、負極端子42には負極導体44が接続され、他方のスイッチングアーム46の正極端子48には正極導体50が接続され、負極端子52には負極導体54が接続されている。また、平滑コンデンサ8は、内部にコンデンサが2個並列接続された構成で、正極負極2対の端子を備え、接続点57でコンデンサ導体56が接続され、接続点59でコンデンサ導体58が接続され、コンデンサ導体56,58は接続点60,62でスイッチングアーム2に並列接続されている。正極導体40と負極導体44、正極導体50と負極導体54、コンデンサ導体56とコンデンサ導体58は、それぞれ近接して形成される積層構造で磁気結合されており、配線インダクタンスを低減するように構成されている。
スイッチングアーム36のIGBT12にはスナバモジュール64が、IGBT14にはスナバモジュール66が並列接続され、スイッチングアーム46のIGBT16にはスナバモジュール68が、IGBT18にはスナバモジュール70が並列接続されている。
スナバモジュール64,66は、それぞれ、スナバコンデンサ72とスナバダイオード74、スナバダイオード76とスナバコンデンサ78からなる直列回路であり、スナバダイオード74,76は、負極側に対して順方向に接続されている。スナバコンデンサ72の一端は正極端子38に接続され、他端はスナバダイオード74の一端に接続され、スナバダイオード74の他端はスナバダイオード76の一端に接続されている。スナバダイオード76の他端はスナバコンデンサ78の一端に接続され、スナバコンデンサ78の他端は負極端子42に接続されている。スナバモジュール64とスナバモジュール66の接続点80は、スイッチングアーム36の交流端子82と接続されている。なお、スナバモジュール68,70は、それぞれ、スナバコンデンサ84とスナバダイオード86からなる直列回路と、スナバダイオード88とスナバコンデンサ90からなる直列回路とを備え、スナバモジュール68とスナバモジュール70の接続点92は、スイッチングアーム46の交流端子94と接続されており、スナバモジュール64,66と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。実装上では、スナバモジュール64,66は一体のスナバモジュール67として形成され、スナバモジュール68,70は一体のスナバモジュール71として形成されている。なお、スイッチングアーム36,46の交流端子82,94は、モータなどの負荷10へと接続され、通常は負荷のリアクトル成分が大きいためこの配線のインダクタンスについては電線で接続されることが多く、図では省略した。
ここで、本実施例の特徴構成について説明する。スナバモジュール64のスナバコンデンサ72とスナバダイオード74の接続点96と、スナバモジュール68のスナバコンデンサ84とスナバダイオード86の接続点98とは、互いに接続点100で接続されている。また、接続点96と接続点100との間には、配線97,103を介してスナバ抵抗102が挿入され、接続点98と接続点100との間には、配線99,103を介してスナバ抵抗104が挿入されている。さらに、接続点100と接続点62とはスナバ共通抵抗106を介して接続されている。また、同様に、スナバモジュール66のスナバダイオード76とスナバコンデンサ78の接続点108と、スナバモジュール70のスナバコンデンサ90とスナバダイオード88の接続点110とは、互いに接続点112で接続され、接続点108と接続点112との間には配線109,115を介してスナバ抵抗114が挿入され、接続点110と接続点112との間には配線111,115を介してスナバ抵抗116が挿入され、接続点112と接続点60とはスナバ共通抵抗118を介して接続されている。なお、本実施例では、スナバ抵抗102,104,114,116の抵抗値は同一であり、スナバ共通抵抗106,118の抵抗値は同一である。スナバ抵抗102とスナバ共通抵抗106との抵抗値の比は1:3程度である。抵抗値については後述する。実装上では、スナバ抵抗102,114は一体のスナバ抵抗器113として形成され、スナバ抵抗104,116は一体のスナバ抵抗器119として形成されている。また、スナバ共通抵抗106,118は一体のスナバ共通抵抗器121として形成されている。
このように構成される本実施例の動作について、スイッチングアーム36のIGBT12及びスイッチングアーム46のIGBT16がターンオフする場合を例にして説明する。本実施例は、充電式CDRスナバ回路であり、スナバコンデンサ72には、常時、平滑コンデンサ8の直流電圧が印加されており、IGBT12がターンオフして直流電圧以上の跳ね上がり電圧が印加された時に動作する。IGBT12側の跳ね上がり電圧分の電荷は、スナバコンデンサ72から、スナバ抵抗102、スナバ共通抵抗106を介して放電され、IGBT16側の跳ね上がり電圧分の電荷は、スナバコンデンサ84からスナバ抵抗104、スナバ共通抵抗106を介して放電される。ここで、スナバ共通抵抗106を設けず、スナバ抵抗102のみでIGBT12の跳ね上がり電圧を放電させようとすると、スナバ抵抗102の抵抗値を大きくしなければならず、それにより発熱量が増えるため、寸法が大きくなる。放電の際には、スナバコンデンサ72,84と配線97,99,103の配線インダクタンスとでLC共振回路が形成され、跳ね上がり電圧を抑制できない可能性があり、スナバ抵抗102の寸法が大きくなるとスナバモジュール64に近づけて配置できないため、配線97の長さが長くなり、配線インダクタンスが増えてさらに抵抗値を大きくしなければならない。なお、正極導体40、接続点60、正極導体50を接続する配線のインダクタンスは、前述した磁気結合で低減されているので問題とならない。
本実施例では、IGBT12の跳ね上がり電圧は、スナバ抵抗102,106で放電させることができ、第1のスナバ抵抗の値が小さいことから、放電の際の発熱量を小さくできる。これにより、スナバ抵抗102の寸法を小さくすることができ、スナバ抵抗102をスナバモジュール64により近づけて配置できることから、配線97を短くできて配線インダクタンスを低減できる。
ここで、スナバ抵抗102の抵抗値について、動作の説明と同様に、IGBT12及びGBT16がターンオフする場合を例にして説明する。平滑コンデンサ8の電圧をVとすると、本実施例は充電式CDRスナバ回路なので、スナバコンデンサ72には定常的に電圧Vが印加されている。ここで、IGBT12に電流Iが流れている時点でターンオフすると、式(1)が成立するような跳ね上がり電圧ΔVとなる。
1/2・L・I=1/2・C・ΔV (1)
ここで、Lは正極端子38、正極導体40、接続点60を接続する配線の配線インダクタンスであり、Cはスナバコンデンサ72の容量である。式(1)より、配線インダクタンスL及び電流Iが大きいほど跳ね上がり電圧ΔVが大きくなり、スナバコンデンサ容量Cが大きいほど跳ね上がり電圧ΔVが低くなることがわかる。跳ね上がった分の電荷C・ΔVは、スナバ抵抗102、スナバ共通抵抗106を介して放電される。この時、スナバコンデンサ容量Cに比べて、平滑コンデンサ8の容量Cdは一般的に十分大きく(C≪Cd)、配線インダクタンスL及び、接続点62、スナバ共通抵抗106、接続点100、接続点96を接続する配線のスナバ配線インダクタンスLrは、スナバコンデンサ72の放電に大きく影響せず、放電時定数は概ねスナバコンデンサ容量Cとスナバ抵抗102の抵抗値Rとの積(C×R)となる。スナバコンデンサ72の電圧は、次のスイッチング時までに元のVに戻すため、スイッチング周波数が高い場合には、スナバ抵抗102の抵抗値はあまり高くできない。一方、インダクタンスが大きく、コンデンサ容量及び抵抗が小さいと振動的となるため、スナバ抵抗102は極端に小さくはできない。配線インダクタンスLは、跳ね上がり電圧抑制のために前述したように積層導体を用いるなどによりインダクタンス低減化が図られているため、L≪Lrである。また,前述したようにC≪Cdであるため,臨界制動抵抗値Rcは式(2)であり、スナバ抵抗102はこれよりも高い抵抗値にすべきである。
R>Rc=2・√(Lr/C) (2)
本実施例では、スナバ抵抗102とスナバモジュール67とを接続する配線97及び、スナバ抵抗104とスナバモジュール71とを接続する配線109は、スナバ抵抗102,104をスナバモジュール67,71にできるだけ近づけることで、スナバコンデンサ72,84とスナバ抵抗102,104とで構成される回路のインダクタンス分を低減することができて、LCR回路の臨界制動抵抗値を小さくすることができている。そのために、スナバ共通抵抗106よりも抵抗値を低くすることは十分可能である。
このように構成される本実施例の実装例について、図3,4を参照して説明する。図3は図2の実装例の斜視図であり、図4は実装例の側面図である。それぞれ1つの半導体モジュールで構成されるスイッチングアーム36,46が、平板状の金属120の下に冷却風通路122を備えている強制空冷ヒートシンクである放熱器124の上に設置されている。また、スイッチングアーム36,46の上にスナバモジュール67,71がそれぞれ設置され、スナバモジュール67,71の間には、正極導体40と負極導体44、正極導体50と負極導体54が設置されている。なお、後述するが、負極導体44,54は一つの配線導体55で形成されている。スイッチングアーム46及び放熱器124と間隔を空け、冷却風通路122の冷却風路を妨げないように平滑コンデンサ8が配置され、スナバモジュール71の上に積層されたコンデンサ導体56,58が、正極導体50及び配線導体55と平滑コンデンサ8に渡して設置されている。放熱器124上に、スナバモジュール67,71と間隔を空けてスナバ抵抗器113,119が設置され、スイッチングアーム36及び放熱器124と間隔を空けてスナバ共通抵抗器121が冷却風通路122の冷却風路を妨げないように配置されている。スナバ共通抵抗器121は、スナバ共通抵抗106,118を1つの筐体にまとめた構造にした。図3に示すように、スイッチングアーム36,46から遠い位置に置いて、正極導体40,50及び負極導体44,54と干渉することがなく、配線インダクタンスの低減が可能となっている。
図5にスナバモジュール67,71と、正極導体40,50と、配線導体55の配線の状態を、図6に正極導体40,50と、配線導体55の構造を示す。なお、本実装例では、各導体間の絶縁板は図示していない。スイッチングアーム36の正極端子38に接続される正極導体40は、コンデンサ導体56と接続点60で接続される。もう一方のスイッチングアーム46の正極端子48に接続される正極導体50は、コンデンサ導体58と接続点62で接続される。配線導体55は、正極導体40,50に挟まれる構造で、スイッチングアーム36の負極端子42と接続される負極導体44と、スイッチングアーム46の負極端子52に接続される負極導体54とが一体となって形成され、コンデンサ導体58と接続点62でされる。
図7にコンデンサ導体56,58の構造を示す。コンデンサの正極に接続されるコンデンサ導体56が下側に、コンデンサ負極に接続されるコンデンサ導体58が上側になるように構成されている。コンデンサ導体56は、正極導体40と紙面奥の接続点60で接続され、正極導体50と紙面手前の接続点60で接続される。また、負極導体40と紙面奥の接続点60で接続され、正極導体50と紙面手前の接続点60で接続され、平滑コンデンサ8と接続点57で接続される。コンデンサ導体58は、配線導体55と接続点62で接続され、平滑コンデンサ8と接続点59で接続される。
図8にスナバモジュール67,71の裏側を示す。紙面左側にスナバ抵抗器113,119が設置されている。スナバモジュール67は、スイッチングアーム36の正極端子38、負極端子42、交流端子82に接続され、スナバモジュール71は、スイッチングアーム46の正極端子48、負極端子52、交流端子94に接続される。また、スナバモジュール67は配線97,109によりスナバ抵抗器113に接続され、スナバモジュール71は配線99,111によりスナバ抵抗器119に接続される。
実装例の図3に示すように、スイッチングアーム36,46の端子は、正極導体40,50、配線導体55及びスナバモジュール67,71に囲まれた位置にある。そのため、そこにスナバ共通抵抗106,118からの配線を接続するのは作業性が良くないが、本実装例のように、接続点60,62に接続することで作業性が良くなるので、装置が故障した際の部品交換時の作業時間が短縮でき、装置の休止時間を短くすることができる。さらに、スナバ抵抗器113,119を、スイッチングアーム36,46から発生する熱を冷却するための放熱器124に取り付けて放熱させることで一層小型化を図っている。
以上説明したように本実施例によれば、IGBT12の跳ね上がり電圧分の電荷は、スナバ抵抗102、スナバ共通抵抗106で放電されるので、スナバ抵抗102の抵抗値が小さくなり、放電の際の発熱量を小さくできる。これにより、スナバ抵抗102の寸法を小さくすることができ、スナバ抵抗102をスナバモジュール67により近づけて配置できる。よって、スナバモジュール67,71同士を接続する配線97,103,99が短くなることから、配線インダクタンスを小さくすることができ、さらにスナバ抵抗102の抵抗値を小さくして装置を小型化することが可能となる。また、配線部材を少なくできる。その他のスナバ抵抗104,114,116についても同様である。
本発明の第2の実施例を図9乃至11に示す。ここでは、第1の実施例の回路構成と異なる点のみ説明する。図9は、本実施例の回路構成であり、図3と同一の部品には同一符号を付している。本実施例においては、スナバモジュール67にスナバ抵抗102,114を内蔵しており、同様にスナバモジュール71にスナバ抵抗104,116を内蔵している。また、平滑コンデンサ8は、正極導体130に接続点132で接続され、負極導体134に接続点136で接続され、負荷10は配線138に接続されている。さらに、スナバ共通抵抗106はスナバモジュール71の正極端子48で接続され、スナバ共通抵抗118はスナバモジュール71に負極端子52で接続されている。
図10は、本実施例の実装例の斜視図であり、図11は、図10における正極導体130、負極導体134、負荷10への配線及びスナバ抵抗間の配線をスイッチングアーム36,46面から上方に向けて見た図を示している。図11に示すように、配線115のほとんどが正極導体130の投影領域に入ることで、スナバコンデンサ78、スナバ抵抗114,116、スナバコンデンサ90で構成される回路の配線インダクタンスが低減できるため、スナバ抵抗114,116の抵抗値を小さくでき、抵抗が小型化できてスナバモジュール67に内蔵することが可能である。スナバコンデンサ72、スナバ抵抗102,104、スナバコンデンサ84で構成される回路についても同様である。また、スナバ共通抵抗器121を、近い位置にある正極端子48、負極端子52に接続することで配線140,142の長さを低減することができるとともに、スイッチングアーム46の端子に接続することで配線140,144と、配線142,146が近接することで、スナバ共通抵抗器121を遠くに配置しても配線インダクタンスはあまり増大しない。本実施例でも第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように実施例1,2によれば、装置の小型化に適し、かつ、配線部材もできるだけ少なく、作業性を低下させない構造の電力変換装置を提供することができる。
以上、2つの実施例について説明したが、本発明は、これらの実施例に限らず適宜構成を変更して適用することができる。例えば、本実施例では、IGBTを適用しているが、他のスイッチング素子にも適用できるのは言うまでもない。また、実装例の放熱器124として強制空冷ヒートシンクの例で説明したが、他の構成、例えばヒートパイプ式放熱器などでも良い。
また、本実施例では、接続点100の両側にスナバ抵抗102,104を設けたが、場合によって片側にスナバ抵抗102を設けるのみでも良い。しかし、両側に設けるほうがより好ましい。
また、図8において、スナバ抵抗器113,119は、紙面左側に接続されるため、各スナバ抵抗への各配線の接続点を図8の紙面左側に寄せることでさらに配線を短くできるが、この場合スナバモジュール67,71が異なる構造となる。
また、本発明は、図1に示したインバータ回路に限らず、コンバータ回路や電源回路等、スイッチングアーム並びにスナバ回路を備える各種の電力変換装置に適用することができる。
本発明が適用される一般的な電力変換装置の回路構成を示す。 本発明の第1の実施例の回路構成を示す。 本発明の第1の実施例の実装例の斜視図を示す。 本発明の第1の実施例の実装例の側面図を示す。 スイッチングアーム、正極導体、配線導体の接続状態を示す。 正極導体、配線導体の構成を示す。 コンデンサ導体の構成を示す。 スナバモジュールの裏側の構成を示す。 本発明の第2の実施例の回路構成を示す。 本発明の第2の実施例の実装例の斜視図を示す。 本発明の第2の実施例における配線をスイッチングアーム面から上方に向けて見た図を示している。
符号の説明
12,14,16,18 IGBT
36,46 スイッチングアーム
64,66,67,68,70,71 スナバモジュール
97,99,103,109,111,115 配線
102,104,114,116 スナバ抵抗
106,118 スナバ共通抵抗
113,119 スナバ抵抗器
121 スナバ共通抵抗器

Claims (3)

  1. 並列接続された複数のスイッチング素子を用いて形成された複数のスイッチングアームをブリッジ接続して正極と負極との間に備え、それぞれの前記スイッチング素子にスナバ回路を並列接続してなる電力変換装置において、
    前記並列接続された複数のスイッチング素子の前記スナバ回路は、それぞれのスイッチング素子に並列接続されたスナバコンデンサとスナバダイオードからなる複数の直列回路の前記スナバコンデンサと前記スナバダイオードの接続点を互いに接続し、互いに接続した少なくとも1つの回路に第1のスナバ抵抗を挿入し、第1のスナバ抵抗の一端と前記正極又は前記負極との間に第2のスナバ抵抗を接続してなることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載のインバータ回路において、
    第1のスナバ抵抗は、複数の抵抗を直列接続して構成され、該複数の抵抗の共通接続点に第2のスナバ抵抗を接続してなることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項2に記載のインバータ回路において、
    前記複数の抵抗の各抵抗値は第2のスナバ抵抗の抵抗値より小さいことを特徴とする電力変換装置。
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