JP2010098199A - インダクタンス素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を保ちながら、対向する導体パターン間の静電容量結合性成分を低減することができる小型化・低背化・高周波化に適したインダクタンス素子を提供する。
【解決手段】コモンモードチョークコイル10は、絶縁体層16と、該絶縁体層16の内部に対向配置された一対のコイル形状の導体パターン18,20と、前記絶縁体層16を挟み込む絶縁性の基板12,14と、コア24により構成される。前記導体パターン18,20のコイル部18A,20Aの間には、低誘電率層22と絶縁体層16Bが存在している。前記低誘電率層22は、多量の独立閉気孔を含有しており、導体パターン18,20間の静電容量結合性成分を低減させることができる。このため、従来構造と同特性を有するコモンモードチョークコイルにおいて、コイル部18A,20A間の間隔IAを短くして、小型化・低背化を図ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】コモンモードチョークコイル10は、絶縁体層16と、該絶縁体層16の内部に対向配置された一対のコイル形状の導体パターン18,20と、前記絶縁体層16を挟み込む絶縁性の基板12,14と、コア24により構成される。前記導体パターン18,20のコイル部18A,20Aの間には、低誘電率層22と絶縁体層16Bが存在している。前記低誘電率層22は、多量の独立閉気孔を含有しており、導体パターン18,20間の静電容量結合性成分を低減させることができる。このため、従来構造と同特性を有するコモンモードチョークコイルにおいて、コイル部18A,20A間の間隔IAを短くして、小型化・低背化を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、コモンモードチョークコイルやアンテナ素子として利用されるインダクタンス素子及びその製造方法に関し、更に具体的には、対向する導体パターン間の静電容量結合性成分の低減に関するものである。
磁気的に結合した2回路のコイルは互いに影響を及ぼし合い、信号を通過させ、ノイズを除去する働きがある。信号電流により生じる磁界は、二つのコイルで相互に打ち消し合い、フェライトに磁界の変化を及ぼさないため、交流信号を通過させることができる。しかしながら、ノイズがコイル部を通過しようとするときには、それらにより生じる磁界は二つのコイルで強め合うため、フェライトの磁界に変化を及ぼし、フェライトのノイズ除去作用によりノイズが通過しにくくなる。
これらの作用を効果的にするためには、2つのコイルの磁気結合量を大きくし、静電結合量を小さくする必要がある。この磁気結合量を大きくするためには、2つのコイルを近付けることが必要となる。一般的に、コモンモードチョークコイルの回路構成は、図23(A)に示すようになっている。また、構造的には、巻線や積層などで部品内部に二つのコイルが対に形成されているのが一般的である。積層タイプでは、図23(B)に示すように、二つのコイルを積層した形状となっている。図23(B)に示すコモンモードチョークコイル300は、複数の絶縁体層306A〜306Cからなる絶縁体層306と、該絶縁体層306の内部に対向するように形成された一対のコイル形状の導体パターン308,310と、前記絶縁体層306を挟み込む基板(フェライト基板など)302,204により構成されている。前記導体パターン308,310の間には絶縁体層306Bが存在している。このようなコモンモードチョークコイル300は、MLCI(Multilayer Ceramic Inductors)のプロセスや、配線を高精細に形成するフォトリソ工法などを利用して製作される。
ところで、コモンモードチョークコイルを設計する場合には、コイル層(導体パターン)間の距離やコイル線の太さ、線間距離を設定することで狙いとする特性を得る。また、小型化・低背化の要求が高いため、各層の厚みを薄くできると都合がよい。しかしながら、上述した背景技術では、一般的なポリイミド等の永久レジストが用いられているため、レジストを薄くしようとするとコイル間に生じる静電容量結合性成分が増大してしまう。従って、2つのコイル間に生じる静電容量結合性成分を抑えるためには、コイル層間の距離(図23(C)の間隔IDに相当)が所定の厚み以上となるように絶縁体層を形成する必要があり、これは製品を小型化ないし低背化、更に高周波化するための阻害要因となっている。下記特許文献1には、第1及び第2のスパイラル状導体を備えるコモンモードチョークコイルにおいて、前記第1及び第2のスパイラル状導体間に空洞を設けることによって、スパイラル状導体間の容量成分を低減することが開示されている。
特開2008−108903号公報
ところで、誘電体や磁性体を利用したインダクタンス素子には、上述したコモンモードチョークコイルのほかに、アンテナ素子なども含まれる。図24(A)には、従来の磁性体による波長短縮効果を利用して小型化したループアンテナの外観斜視図が示されており、図24(B)には前記(A)を#24−#24線に沿って切断し矢印方向に見た端面が示されている。同図に示すように、アンテナ素子320は、フェライト基板322上に、微小ループアンテナの導体パターン324が形成された構造となっている。前記導体パターン324は、例えばAg,Cu,Niなどであって、印刷,メッキ,スパッタなどの適宜工法によって形成されている。
しかしながら、以上のような背景技術には次のような不都合がある。まず、従来のフォトリソ工法を用いたコモンモードチョークコイル構造は、ポリイミド等の永久レジストをコイル層間(導体パターン間)に用いるために、誘電率の低い材料を形成することができないという不都合がある。また、前記特許文献1に記載の技術では、対向するコイル層間のみならず、同一面内で隣接する導体間にも空間が存在しているため、全体として空間が多く、周囲温度変化により空間内に存在する気体が膨張収縮し、その応力によって素子の破壊や特性のドリフトが生じたり、更には空間内の内圧変化による呼吸作用により周囲の湿り空気が浸入し、素子の破壊や素子の絶縁不良等を生じたりするなど、製品の信頼性が低いという不都合がある。更に、前記図24に示したアンテナ素子構造では、導体パターン324のアスペクト比(図24(B)のH/W)を高くすることが困難である。また一般的に、アンテナの高効率化のためには低抵抗配線を必要とし、これを達成するために高アスペクト比の導体層を形成する。しかし、図24に示す素子構造で導体パターンを高アスペクト比にすると、導体パターンが空気中にせり出すのみである。従って、この導体パターンを高アスペクト比化しても、磁性体や誘電体から離れるのみであり、波長短縮効果の恩恵が薄れてしまう。
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、信頼性を保ちながら、対向する導体パターン間の静電容量結合性成分を低減することができる小型化・低背化・高周波化に適したインダクタンス素子とその製造方法を提供することである。
前記目的を達成するため、本発明のインダクタンス素子は、絶縁体中に、一対の導体パターンが対向配置されたインダクタンス素子であって、前記絶縁体のうち、前記一対の導体パターンで挟まれた部分に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層又はギャップ層を設けたことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記低誘電率層又はギャップ層を、前記一対の導体パターンの少なくとも一方に直に接する位置に設けたことを特徴とする。他の形態は、前記ギャップ層が、空気層,真空層,不活性ガス層,非腐食性ガス層のいずれかであることを特徴とする。
他の発明のインダクタンス素子は、一対の導体パターンが、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層の両主面に対向配置されるとともに、前記一対の導体パターン及び低誘電率層が、絶縁体中に埋め込み形成されていることを特徴とする。
他の形態は、前記いずれかに記載のインダクタンス素子において、前記絶縁体がフェライトであって、前記導体パターンが、絶縁体に設けられた配線溝の表面に形成された銀膜又は銅膜と、電解メッキもしくは半田浴によって前記配線溝に充填された導体とからなることを特徴とする。更に他の形態は、前記導体パターンを形成するための配線溝が前記絶縁体に設けられているときに、前記配線溝の表面に、ポリシラザンのシリカ転化によるSiO2層を設けることで、前記配線溝表面を平坦化したことを特徴とする。
本発明のインダクタンス素子の製造方法は、ベースの絶縁体層上に、第1の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,前記第1の導体パターンを含む絶縁体層上に、他の絶縁体層を形成する工程,前記他の絶縁体層に、前記第1の導体パターンの表面が露出するように、該導体パターンに対応する形状の空隙を形成する工程,前記空隙を形成した絶縁体層上に、前記第1の導体パターンと対向する第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,を含むことを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程の前に、前記空隙を形成した絶縁体層上に更に他の絶縁体層を設ける工程,を含むことを特徴とする。他の形態は、前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,又は、前記更に他の絶縁体層を設ける工程を、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかの雰囲気中で行うことによって、前記空隙が、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかで置換されたギャップ層を形成することを特徴とする。更に他の形態は、前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,又は、前記更に他の絶縁体層を設ける工程の前に、前記空隙に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層を形成するための低誘電率材料を充填する工程,を含むことを特徴とする。
他の発明のインダクタンス素子の製造方法は、ベースの絶縁体層上に、第1の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,前記第1の導体パターンを含む絶縁体層上に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層を形成する工程,該低誘電率層上に、前記第1の導体パターンと対向する第2の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,を含むことを特徴とする。
他の形態は、前記いずれかに記載のインダクタンス素子の製造方法において、前記絶縁体層がフェライトであるときに、該絶縁体層に含まれる第1又は第2の導体パターンは、前記絶縁体層に設けられており導体パターンに対応する形状の溝の表面に、銀膜又は銅膜を形成する工程,該工程によって銀膜又は銅膜が形成された溝に、電解メッキもしくは半田浴によって導体を充填する工程,によって形成されることを特徴とする。
更に他の発明のインダクタンス素子の製造方法は、絶縁体層の一方の主面に、導体パターンに対応する形状の溝を形成する工程,該溝に導体ペーストを塗布する工程,前記導体ペーストを乾燥させたときの体積収縮により、前記絶縁体層の主面より凹んだ導体パターンを得る工程,前記工程によって導体パターンが形成された絶縁体層同士を、それぞれの導体パターンが対向するように主面同士を貼り合わせ、一対の導体パターン間にギャップ層を形成する工程,を含むことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記導体パターンが形成された絶縁体層同士を貼り合わせる工程を、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかの雰囲気中で行うことによって、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかで置換されたギャップ層を形成することを特徴とする。他の形態は、前記導体ペーストが、Agペーストであることを特徴とする。
更に他の形態は、前記導体パターンを形成するための溝が前記絶縁体層に設けられているときに、前記溝の表面に、ポリシラザンのシリカ転化によるSiO2層を形成して、前記溝表面を平坦化する処理を行うことを特徴とする。更に他の形態は、前記ポリシラザンのシリカ転化によって溝表面を平坦化する処理は、塗布可能な粘度となるように有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記溝表面に塗布する工程,不活性ガス中で前記絶縁体層を加熱し、前記有機溶媒を除去する工程,該工程で有機溶媒が除去された絶縁体層を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、溝表面を被覆したポリシラザンをシリカ転化する工程,を含むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明は、絶縁体中に対向配置された一対の導体パターンを有するインダクタンス素子において、前記一対の導体パターンによって挟まれている部分に多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層又はギャップ層(空気層,真空層,不活性ガス層,非腐食性ガス層など)を設ける,あるいは、絶縁体内において、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層の両主面に導体パターンを対向配置することとした。このため、信頼性を保ちながら導体パターン間の静電容量結合性成分を低減させ、インダクタンス素子の小型化・低背化・高周波化を図ることができるという効果がある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
最初に、図1〜図6を参照しながら本発明の実施例1を説明する。本実施例は、本発明をコモンモードチョークコイルに適用した例である。図1(A)は本実施例のコモンモードチョークコイルの断面図,図1(B)は前記(A)を一部拡大して示す図,図1(C)〜(F)は本実施例の変形例を示す図である。図2〜図5は、本実施例の製造工程の一例を示す図,図6は、本実施例の変形例の断面図である。
図1(A)に示すように、本実施例のコモンモードチョークコイル10は、複数の絶縁体層16A〜16Cからなる絶縁体層16と、該絶縁体層16の内部に対向するように形成された一対のコイル形状の導体パターン18,20と、前記絶縁体層16を挟み込む絶縁性の基板12,14と、前記導体パターン18,20の中心を貫通して前記基板12,14を接続するコア24により構成されている。なお、図1(A)に示す例では前記コア24を設けることとしたが、図6に示すコモンモードチョークコイル50のように、コアのない構造としてもよい。前記絶縁体層16Aには、前記導体パターン18の一方の引出線18Bが形成され、前記絶縁体層16Bには、前記導体パターン18の他方の引出線18Cが形成されている。また、前記絶縁体層16Cには、他方の導体パターン20の引出線20B,20Cが形成されている。これら引出線18B,18C,20B,20Cは、図示しない外部電極に接続されている。
前記導体パターン18,20のコイル部18A,20Aの間には、図1(B)に示すように、低誘電率層22と絶縁体層16Bが存在している。前記低誘電率層22は、例えば、ε≦2.8であって、該低誘電率層22を設けることにより、導体パターン18,20間の静電容量結合性成分を低減させることができるため、従来構造と同特性を有するコモンモードチョークコイルの小型化・低背化を実現することができる。この効果は、誘電特性と、物質の誘電率と、物質の厚さによる下記の数式1の関係から容易に推測が可能である。なお、数式1中のCは静電容量,Sはコイルに挟まれた絶縁体(誘電体)の面積,tはコイル層間距離(図1(B)の間隔IAに相当),εは誘電率である。
以上のようなコモンモードチョークコイル10の基板12,14やコア24を構成する材料としては、例えば、低周波用にはパーマロイ、高周波用にはフェライトなどの磁性体が用いられる。また、絶縁体層16としては、例えばポリイミドなどの誘電体が用いられ、導体パターン18,20としては、例えば、AgやCuなどが用いられる。また、前記低誘電率層22としては、独立閉気孔(微小なポア)を多量に含有するものが用いられ、例えば、シリコンとシリコン酸化物の混合物や多孔質炭素物質、多孔質架橋ポリフェニレン等で形成される。前記独立閉気孔を多量に含有する低誘電率層22を設けることにより、空気の誘電率に近づけることができる。このため、コイル部18A,20A間の距離(コイル層間距離)IAを、図23(B)に示した従来構造のコイル層間距離IDよりも大幅に低減し、コモンモードチョークコイル10の小型化・低背化が可能となる。
次に、図2〜図5を参照して、本実施例の製造方法を説明する。まず、図2(A)に示すように、基板12上の絶縁体層16Aに、公知の手法によって導体パターン18の引出線18Bを形成するとともに、コア24に相当する位置に形成した空隙に導体26を設ける。前記絶縁体層16Aは、説明の都合上一層として扱っているが、ビルドアップ工法によって形成する場合には、実際には複数の絶縁体層から構成される。次に、前記絶縁体層16A上に、図2(B)に示すように、レジスト28Aを塗布する。前記レジスト28Aとしては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂やアクリル樹脂等を用いたドライフィルムレジストが用いられる。そして、図2(C)に示すように、前記レジスト28Aをパターニングし、導体パターン18のコイル部18Aと引出線18C,コア24に相当する位置に、空隙30A,30C,30Bを形成する。次に、図2(D)に示すように、前記空隙30A〜30Cに導体を印刷し、導体パターン18のコイル部18Aと引出線18Cを形成したのち、図2(E)に示すように、レジスト28Bを全面に塗布する。
そして、図2(F)に示すように、前記レジスト28Bをパターニングし、コイル部18A,導体26,引出線18Cの表面が露出した空隙32A,32B,32Cを形成する。前記空隙32A〜32Cには、図2(G)に示すように低誘電率材料が塗布され、低誘電率層22が形成される。次に、図3(A)に示すように、前記レジスト28B上の全面に、レジスト28Cが塗布され、図3(B)に示すように、コア24に相当する位置をパターニングし、低誘電率層22が露出した空隙34が形成される。そして、該空隙34を利用して、露出した低誘電率層22を図2(C)に示すようにエッチングし、図3(D)に示すように空隙34に導体26が印刷される。以上の工程で積層したレジスト28A〜28Cにより、前記絶縁体層16Bが形成される。
次に、前記図2(B)〜(D)と同様の手順で、前記絶縁体層16B上に、レジスト28Dを塗布し、導体パターン20のコイル部20A,その引出線20C,コア24に相当する位置に導体を印刷する(図3(E))。そして、図4(A)に示すように、前記レジスト28Dの全面にレジスト28Eを塗布し、該レジスト28Eをパターニングして、図4(B)に示すようにコア24に相当する位置に空隙36を形成し、該空隙36に導体26を印刷する(図4(C))。次に、図4(D)に示すように、前記レジスト28Eの全面にレジスト28Fを塗布し、該レジスト28Fをパターニングして、図4(E)に示すように、引出線20Bに相当する位置をパターニングして空隙38を形成する。
そして、図5(A)に示すように、前記空隙38に導体を印刷して引出線20Bを形成したのち、図5(B)に示すようにコア24に相当する位置をパターニングして空隙40を形成し、導体26の表面を露出させる。次に、前記空隙40を利用して前記導体26をエッチバックして図5(C)に示すように開口部42を形成し、該開口部42に図5(D)に示すようにフェライト樹脂などを埋め戻してコア24を形成する。以上の工程で積層したレジスト28D〜28Fにより、絶縁体層16Cが形成される。最後に、図5(E)に示すように、前記絶縁体層16Cの表面に基板14を形成する。
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)絶縁体層16中に対向配置された導体パターン18,20のコイル部18A,20A間に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層22(ε≦2.8)を設け、同一のコイル部の隣接する導体間(18A同士及び20A同士の間)には絶縁体層を存在させることとした。このため、信頼性を保ちながらコイル部18A,20A間の静電容量結合性成分を低減させ、コモンモードチョークコイル10の小型化・低背化を図ることができる。
(2)ビルドアップ工法とSOG(Spin On Glass:塗布型層間絶縁膜用材料)の手法を用いることとしたので、コイル部18A,20A間に低誘電率層22を形成することができる。
(1)絶縁体層16中に対向配置された導体パターン18,20のコイル部18A,20A間に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層22(ε≦2.8)を設け、同一のコイル部の隣接する導体間(18A同士及び20A同士の間)には絶縁体層を存在させることとした。このため、信頼性を保ちながらコイル部18A,20A間の静電容量結合性成分を低減させ、コモンモードチョークコイル10の小型化・低背化を図ることができる。
(2)ビルドアップ工法とSOG(Spin On Glass:塗布型層間絶縁膜用材料)の手法を用いることとしたので、コイル部18A,20A間に低誘電率層22を形成することができる。
なお、図1(A)及び(B)に示した例では、導体パターン18,20間の絶縁体層16Bのうち、両側がコイル部18A,20Aで挟まれた箇所にのみ,すなわち、コイル部18,20とほぼ同じ範囲にのみ低誘電率層22を設けることとしたが、これも一例であり、図1(C)に示す例のように、低誘電率層22が、コイル部18A,20Aよりも幅広となるように形成してもよい。あるいは、導体パターン18,20間の絶縁体層16Bの密着が十分であれば、図1(D)に示すように、上下のコイル部18A,20A間を完全に埋めるように低誘電率層22を設けるようにしてもよい。また、その場合も、図1(E)に示す例のように、低誘電率層22の幅を、コイル部18A,20Aよりも広く形成してもよい。
更に、図1(F)に示す例のように、低誘電率層22が、上下のコイル部18A,20Aよりも幅が狭い部分を有するようにしてもよい。この場合も、図示のように中央部が一番幅狭くなるようにしてもよいし、全体の幅を狭くしてもよい。また、上下のコイル部18A,20A間を完全に埋めずに、一方のコイル部18Aのみに接触するようにしてもよい。このような幅狭の低誘電率層22は、製造の結果として意図せずに形成されたものであってもよいし、意図的に幅狭く形成したものであってもよい。いずれの形態の場合でも、上述した図1(A)及び(B)の構造と同様の効果が得られる。
次に、図7を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。上述した実施例1では、導体パターン18,20のコイル部18A,20Aで挟まれた部分にのみ、低誘電率層22を設ける構成としたが、本実施例のコモンモードチョークコイル60は、図7に示すように、コイル部18A,20A間の全てを低誘電率層62とした例である。このような構造を形成する場合には、例えば、前記実施例1と同様の手順で図2(D)に示す構造を形成したあと、レジスト28Aの全面に低誘電率層62を形成し、その後、図3(E)以降と同様の手順を行うようにすればよい。あるいは、前記低誘電率層62を形成したのち、前記図2(D)までの工程で得たもう一つの構造体を、前記低誘電率層62を挟むように重ね合わせて接着するようにしてもよい。なお、図示の例ではコアを設けない構造としたが、前記実施例1と同様にコア24を設けるようにしてもよい。本実施例の基本的効果は、上述した実施例1と同様である。また、本実施例の低誘電率層62は、平坦化絶縁膜としてLSIでは使用されているため、次工程以降の平坦化処理を低減できるという効果がある。
次に、図8及び図9を参照しながら本発明の実施例3を説明する。上述した実施例1及び2は、いずれも導体パターン18,20の引出線18B,18C,20B,20Cを、絶縁体層16中に形成した構造であるが、本実施例は、前記いずれかの引出線を、絶縁性の基板12,14側に設けた例である。基板12,14への引出線の形成は、例えば、エッチングを利用して行われる。なお、本実施例では、全てコアがない構造を図示しているが、必要に応じてコアを設けるようにしてもよい。まず、図8(A)に示すコモンモードチョークコイル50Aは、前記実施例1の変形例のコモンモードチョークコイル50において、引出線18Bを基板12中に形成し、引出線20Bを基板14中に埋め込み形成した例である。
また、図8(B)に示すコモンモードチョークコイル60Aは、前記実施例2のコモンモードチョークコイル60において、引出線18Bを基板12中に形成し、引出線20Bを基板14中に埋め込み形成した例である。図9(A)に示すコモンモードチョークコイル50Bは、前記実施例1の変形例のコモンモードチョークコイル50において、引出線18Bのみを基板12中に形成した例であり、図9(B)に示すコモンモードチョークコイル60Bは、前記実施例2のコモンモードチョークコイル60において、引出線18Bのみを基板12中に形成した例である。むろん、図9(A)及び(B)に示す例も一例であり、引出線20Bのみを基板14側に形成するようにしてもよい。本実施例の基本的効果は、上述した実施例1と同様である。これに加え、本実施例の構造は、製品の性能を劣化させる原因である誘電体の厚みを、引出線の層分減らすことができるため、より高周波領域での信号通過特性とノイズ低減特性を持つことができる。
次に、図10及び図11を参照しながら本発明の実施例4を説明する。図10(A)は本実施例のコモンモードチョークコイルの断面図,図10(B)は前記(A)を一部拡大して示す図,図10(C)〜(F)は変形例を示す図である。図11は、本実施例の製造方法の主要工程を示す図である。上述した実施例1〜3はいずれも、一対のコイル部18A,20A間に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層22又は62を設けることとした。これに対し、本実施例のコモンモードチョークコイル70は、図10(A)及び(B)に示すように、前記低誘電率層22にかえて、ギャップ層(空気層,真空層,不活性ガス層,非腐食性ガス層など)72を設けた構造となっている。前記ギャップ層72を設けることにより、コイル部18A,20A間の間隔IBを、前記実施例1と同様に狭くして、小型化・低背化・高周波化を図ることが可能となる。前記ギャップ層72は、真空が最も優れているが、アルゴンやネオン等の不活性ガスや窒素等の非腐食性ガスが好ましく、空気を用いる場合は乾燥空気を用いることが好ましい。
本実施例のコモンモードチョークコイル70は、例えば、ビルドアップ工法とドライフィルムレジストを利用したテンティング法により製作される。その製造方法の一例を説明すると、導体パターン18の上面のレジスト28Bに、コイル部18A,コア24,引出線18Cに相当する位置に空隙32A〜32Cを形成するまでは、前記実施例1で説明した図2(F)までの工程と同様である。図11(A)に示すように前記空隙32A〜32Cを形成した後は、図11(B)に示すように、前記レジスト28Bの全面を覆うようにレジスト28Cでラミネートし、ギャップ層72を形成する。前記図11(B)のラミネート工程を、所望の雰囲気中で行うことにより、ギャップ層72を乾燥空気,アルゴンやネオンなどの不活性ガス,窒素等の非腐食性ガス,真空などの所望の層にすることができる。次に、図11(C)に示すように、コア24に相当する位置をパターニングしてレジスト28Cに空隙34を形成し、該空隙34に導体26を印刷する(図11(D))。図11(D)に示す工程以降は、前記実施例1で説明した図3(E)以降と同様である。
このように、実施例4によれば、導体パターン18,20のコイル部18A,20Aの間にギャップ層72を設けることにより、上述した実施例1と同様の効果が得られる。また、コイル部18A,20A間にのみギャップ層72を形成し、同一コイル部の隣接導体間(18A同士及び20A同士の間)には絶縁体が存在しており空間が少ないため、信頼性を向上させることができる。なお、本実施例においても、図10(C)に示すように、ギャップ層72をコイル部18A,20Aよりも幅広に形成してもよいし、図10(D)に示すように、コイル部18A,20A間全てをギャップ層72としてもよい。更に、図10(E)に示すように、図10(D)に示す例において、ギャップ層72をコイル部18A,20Aよりも幅広に形成するようにしてもよいし、図10(F)に示すように、ギャップ層72をコイル部18A,20Aよりも幅狭く形成するようにしてもよい。
次に、図12及び図13を参照しながら本発明の実施例5を説明する。本実施例は、前記実施例4と同様に、コモンモードチョークコイルの対向する導体間にギャップ層を設けた例であるが、前記実施例4が基板上に絶縁体を積層しながらギャップ層を形成したのに対し、本実施例は磁性体基板に直接導体パターンを形成した例である。本実施例のコモンモードチョークコイル80は、図13(E)に示すように、コイル状の導体パターン86,88が埋め込み形成された絶縁性のフェライトなどの基板82,84を、前記導体パターン86,88が対向するように接着剤90で貼り合わせた構造となっている。前記導体パターン86,88の中央部には引出部86B,88Bが設けられており、これらが外部電極94,96に接続されている。なお、図示されていないが、導体パターン86,88の外周側の引出部も、前記外部電極94,96に接続されている。前記導体パターン86,88のコイル部86A,88Aの間には、接着剤90を介してギャップ層92が形成されており、上述した実施例4と同様の効果が得られるようになっている。
次に、本実施例の製造方法を説明する。まず、図12(A)に示すように、フェライトなどの基板82(84)の中央に、レーザー,反応性レーザーエッチング加工,プラズマドライエッチング(RIE)加工,超音波,塑性加工,反応性放電加工,サンドブラストなどの手法によって、開口部98を形成する。次に、図12(B)に示すように、前記開口部98に、導体ペーストを印刷し、引出部86B(88B)を形成する。本実施例では、前記導体ペーストとして計画的に希釈したAgペーストを利用しているため、該導体ペーストの乾燥に伴う体積収縮により、前記開口部98には若干の隙間が生じる。次に、図12(C)に示すように、前記基板82(84)の全面にレジスト100をラミネートし、導体パターンと略同一形状にパターニングし、図12(D)に示すように空隙102を形成する。そして、例えばサンドブラスト工法により、図12(E)に示すように、基板82(84)に溝104を形成する。溝104の形成後は、図12(F)に示すようにレジスト100を剥離する。
次に、図13(A)に示すように、前記溝104に、導体ペースト106を印刷する。該導体ペースト106が乾燥すると体積が収縮して、図13(B)に示すように、前記溝104内に、コイル部86A(88A)と隙間108が形成される。ここまでの工程によって、基板82と84の双方に、導体パターン86,88を形成する。次に、図13(C)に示すように、一方の基板82の上面に接着剤90を塗布し、前記導体パターン86と88が対向するように、他方の基板84を貼り合わせる。すると、双方のコイル部86A,88Aが形成された溝104には、それぞれ隙間108が存在しているため、図13(D)に示すように、前記コイル部86A,88Aは、ギャップ層92を介して対向するようになる。最後に、図13(E)に示すように、外部電極94,96を、Agペーストの印刷により形成する。本実施例のように、サンドブラスト工法と導体ペーストの体積収縮を利用することによっても、上述した実施例4と同様にギャップ層を導体間に有するコモンモードチョークコイル80を形成することが可能となる。本実施例においても、図13(C)及び(D)に示す貼り合わせの工程を、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスなどの所望の雰囲気下で行うことにより、前記ギャップ層92を空気層,真空層,不活性ガス層,非腐食性ガス層のいずれかに形成できることは、上述した実施例4と同様である。
次に、図14を参照しながら本発明の実施例6を説明する。本実施例は、前記実施例5と同様にサンドブラスト工法、若しくはウエットエッチング工法やドライエッチング工法と導体ペーストの体積収縮を利用したギャップ層形成の他の製造方法を示すものである。なお、図14には、説明を容易にするために、コモンモードチョークコイル120の主要部のみが示されている。まず、図14(A)に示すように、フェライトなどの基板122(124)上の全面にレジスト130(132)を塗布し、図14(B)に示すようにパターニングし、導体パターン(コイル部)126,128に相当する空隙130A(132A)を形成する。次に、前記空隙130A(132A)を利用し、図14(C)に示すように、前記基板122(124)にサンドブラスト工法によって溝134を形成する。
そして、前記溝134に、図14(D)に示すように導体ペースト136を塗布し、該導体ペースト136を乾燥させて、図14(E)に示すように、前記溝134内に、導体パターン126(128)と隙間127(129)を形成する。以上の手順で基板122及び124を加工したら、一方の基板122のレジスト130に接着剤138を塗布し、導体パターン126と128が対向するように、所望の雰囲気下で他方の基板124を接着する。すると、前記隙間127,129と、レジスト130及び132の空隙130A,132Aによって、導体パターン126,128間にギャップ層140が形成され、コイル間の静電容量結合性成分の低減を図ることができる。本実施例では、前記レジスト130,132は、絶縁体層として作用するとともに、ギャップ層140を形成するためのスペーサとしても作用する。
なお、前記図14に示した製造方法では、前記レジスト130,132をスペーサとして利用することとしたが、基板122,124間の距離をなるべく近づけるためには、図15に示す手法を用いてもよい。図15は、本実施例の他の製造工程を示す図であって、前記図14(A)〜(C)の工程によって基板122(124)に溝134を形成したのち、図15(A)に示すように、レジスト130(132)を剥離する。そして、図15(B)に示すように、前記溝134に導体ペースト136を印刷し、該導体ペースト136を乾燥して収縮させることにより、図15(C)に示すように導体パターン126(128)と隙間127(129)を得る。導体パターン126,128が形成された基板122,124が得られたら、図15(D)に示すように、前記導体パターン126,128が対向するように接着剤138によって基板122,124を貼り合わせ、導体パターン126,128間にギャップ層140Aが介在するコモンモードチョークコイル120Aを形成する。図15に示す例では、前記接着剤138がスペーサの役割を果たすため、基板122,124間の距離ICを限りなく0に近づけることが可能となる。
次に、図16を参照しながら本発明の実施例7を説明する。本実施例は、本発明をスタックドペア型のアンテナ素子に適用したものである。図16(A)は、本実施例のアンテナ素子の全体構成を示す外観斜視図,図16(B)は前記(A)を#16A−#16A線に沿って切断した端面図,図16(C)は本実施例の変形例のアンテナ素子の全体構成を示す外観斜視図,図16(D)は前記(C)を#16B−#16B線に沿って切断した端面図である。図16(A)及び(B)に示すように、アンテナ素子200は、基板202に形成された溝206中に、微小ループアンテナの導体パターン204が形成されている。前記導体パターン204は、給電部204A,204Bを除いたループ状の部分に、他の基板210が接着層212を介して重ね合わせられており、図16(B)に示すように、前記導体パターン204と基板210の間には、ギャップ層208が設けられている。
前記基板202,210としては、例えばフェライト基板が用いられ、前記接着層212の材料としては、例えばSiO2が用いられ、250℃程度の温度で基板202と210を接合している。また、前記導体パターン204は、Agペーストなどの塗布・乾燥により形成されている。図16(A)に示すアンテナ素子200の各部の寸法は、例えば、L1及びL2が25mm,L3が5mmであり、図16(B)に示す接着層212の厚みTが約0.1μmである。また、溝204は、開口部の幅W1が約200μm、深さH1が100μmである。上述した実施例4のように、溝204に印刷された導体ペーストは、乾燥による収縮に伴い、ギャップ層208を形成する。このように、本実施例によれば、導体パターン204を基板202に埋め込み形成することとしたので、高いアスペクト比(H1/W1)が得られるとともに、大きな波長短縮効果が得られる。
また、図16(C)及び(D)に示す例のように、基板210側にも溝216を形成し、該溝216に、前記導体パターン204と対向する導体パターン214を形成することによって、差動出力に対応した形態としてもよい。この場合、前記導体パターン204,214を基板202,210に埋め込み形成することとしたので、高いアスペクト比(図16(B)のH1/W1と同様)が得られるとともに、形状を対称にすることができるため、コモンモードノイズ除去効果が得られる。また、対称構造のアンテナが一対存在するので差動出力ICに対しては平衡−不平衡変換機器が不要となる効果が得られる。更に、前記導体パターン204,214は、ギャップ層208Aを介して対向することになるため、一対のアンテナ間の静電容量結合性成分の低減を図ることが可能となる。
次に、図17〜図19を参照しながら本発明の実施例8を説明する。本実施例は、上述した実施例1〜4における導体パターンの他の形成方法を示す例である。図17は、比較例の真空印刷による導体パターンの形成手順を示す断面図,図18は、本実施例による導体パターンの形成手順を示す断面図である。図19は、本実施例による導体パターンの他の形成手順を示す断面図である。本実施例では、フェライト基板に導体パターンを形成する場合について説明する。図17(A)及び(B)に示すように、フェライト基板220の配線溝(ないし凹部)222に導体パターンを形成する際、従来の真空印刷法では、真空中でスキージ224をフェライト基板220の表面に沿って移動させることで、導体ペースト(本実施例ではAgペースト226)を配線溝222に印刷している。この方法では、Agペースト226の粘度が高いため、配線溝222中のAgペースト226にボイド(気泡)228が形成され、このまま硬化させると抵抗が上がり特性が低下してしまう。図17(B)では、真空中で印刷されたためボイド228の内部も真空である。このボイド228を消滅させるために、図17(C)で周囲を大気圧にすると、ボイド228の真空との間に圧力差を生じ、ボイド228はその圧力差で潰れる。図17(D)は、前記ボイド228が潰れた後に、前記Agペースト226の硬化によって収縮し、体積が減少して凹み227を生じた状態を示している。
これに対し、本実施例では、図18(A)に示すように、Agペーストを希釈したAgペースト希釈液230を利用し、前記配線溝222にAgペースト希釈液230を印刷する。このとき、配線溝222中のAgペースト希釈液230にボイド228が形成されたとしても、図18(C)に示すようにフェライト基板220をキュアや焼成すると、固形分が少ないAgペースト希釈液230から気泡が抜けて、前記配線溝222の表面を覆う銀膜232が形成される。次に、図18(D)に示すように、銀膜232が形成されたフェライト基板220を、メッキ槽234のメッキ液236に浸漬し、該フェライト基板220と電極238を電源装置240に接続して電解メッキを行うと、前記配線溝222に導体(銀,銅,炭素,ニッケル等)が充填され、銀膜232と導体(銀,銅,炭素,ニッケル等)からなる導体パターンが形成される。該導体パターンは、前記配線溝222の高さよりも低い状態,完全に埋まった状態(すなわち、配線溝222の高さとほぼ同じ状態),配線溝222よりも盛り上がった状態など自由に作成可能である。なお、これらの処理は全て大気圧で行われる。
あるいは、前記電解メッキに代えて、図18(E)に示すように、銀膜232が形成されたフェライト基板220を、半田槽242中の溶融した半田244に浸漬し、半田浴を行うことによって、前記配線溝222に銀膜232と半田からなる導体パターンを形成するようにしてもよい。半田244は、粘度が低いため、ボイドを形成することなく導体パターンの形成が可能となる。また、前記図18(A)〜(C)に示す工程において、前記Agペースト希釈液230の代わりに、Cuペーストを利用したCuペースト希釈液(図示せず)を前記配線溝222に印刷し、銅膜を形成するようにしてもよい。そして、図18(D)に示す電解メッキによって配線溝222を導体で充填し、銅膜と導体からなる導体パターンを形成してもよいし、図18(E)に示す半田浴によって、銅膜と半田からなる導体パターンを形成してもよい。
更に、図19に示す例のように、レジストを利用して配線溝の表面に銀膜を形成するようにしてもよい。まず、図19(A)に示すように、フェライト基板220の表面に、レジスト246を形成する。前記レジスト246は、ドライ(ウェット)エッチングやブラスト加工用マスクなどの利用により、配線溝222を露出させる。次に、図19(B)に示すように、無電解メッキ,スパッタ,蒸着,CVDなどの方法によって、配線溝222及びレジスト246の表面に銀膜232を形成する。そして、前記レジスト246を剥離すると、図19(C)に示すように、前記配線溝222の表面のみが銀膜232で覆われた状態となる。その後は、図19(D)に示すように、半田浴によって導体を形成するようにしてもよいし、図19(E)に示すように電解メッキによって導体を形成するようにしてもよい。図19に示す形成方法においても、全ての工程は大気圧にて行われる。むろん、前記図19に示す例の場合も、前記銀膜232の代わりに銅膜を配線溝の表面に形成するようにしてもよい。
次に、図20〜図22を参照しながら本発明の実施例9を説明する。本実施例は、上述した全ての実施例における基板への溝形成前あるいは導体パターンの形成前に適用可能な平坦化処理に関するものである。例えば、溝を形成する前に平坦化処理を施すと、溝を形成するフォトリソグラフィ工程で液体レジストを使用した場合に、フェライト基板のポア(穴)に入り込んで除去できなくなる問題や、フォトリソグラフィ工程で固体(ドライフィルム)レジストを使用した場合にフェライト基板のポアによるレジストの剥がれの問題が解決する。図20は、本実施例による導体パターンの配線溝の平坦化処理の手順を示す断面図である。図21は、平坦化処理を行わない比較例の導体パターン配線溝を示す図であり、(A)は平面図,(B)は前記(A)のコーナー部Pを拡大して示す図,(C)は前記(A)の実線Qで囲った部分の断面の拡大図,(D)は配線溝の底面の穴を拡大して示す図である。図22は、本実施例による配線溝の平坦化処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
例えば、上述した実施例5〜7では、フェライト基板に設けられた溝に、直に導体ペーストを塗布して導体パターンを形成している。ところが、図20(A)〜(D)に示すように、フェライト基板250の表面250Aや、配線溝252の表面に多数の穴(ポア)254がある場合、これらの穴254を塞がずに導体を設けると、隣接する配線溝252内の穴254同士が連続している場合にショートするおそれがある。また、平滑性が低いため、導体ペーストが擦れてしまう。シリコーン樹脂やエポキシ樹脂で穴254を埋める技術は従来あるが、これらの材料は、誘電率が高いため、キャパシタンスが大きくなってしまう。そこで、本発明では、耐熱性が高く、誘電率が低いSiO2層によって前記穴254を埋めて、配線溝252やフェライト基板表面250Aを平坦化するために、ポリシラザンを利用することとした。
基本的な平坦化工程を図20を用いて説明すると、まず、基板表面250Aや配線溝252の表面に多数の穴254を有するフェライト基板250(図20(A)及び図21参照)に、ポリシラザン希釈液256を真空中で塗布し、前記穴254に浸透させる。ポリシラザン希釈液256は、ポリシラザンを水との相溶性をもたない有機溶媒で希釈したものである。次に、表面がポリシラザン希釈液256で覆われたことを確認したら、前記フェライト基板250を、不活性ガス中で乾燥させて有機溶媒のみを除去し、図20(C)に示すように基板表面250Aの表面(配線溝252の表面も含む)がポリシラザン258で覆われた状態とする。最後に、水又は酸素の存在下(例えば大気中)において、ポリシラザン258がシリカ転化する温度でフェライト基板250を加熱すると、図20(D)に示すように、フェライト基板表面250Aが、配線溝252の表面も含めてSiO2層260で覆われる。該SiO2層260は、前記穴254にも充填されているため、配線溝252の表面やフェライト基板表面250Aを平坦化することができる。
図22には、前記平坦化処理の詳細な手順が示されている。まず、フェライト基板250を洗浄する(ステップS10)。該フェライト基板250を、真空,乾燥窒素,水蒸気の3種類の雰囲気に設定可能な冷却機能付きの熱処理炉に入れる(ステップS12)。次に、前記熱処理炉の温度を−10℃に下げる(ステップS14)。熱処理炉を真空にする(ステップS16)。この状態で、前記フェライト基板の表面250A(配線溝252の表面も含む)に、例えば、キシレン等の有機溶媒で希釈したポリシラザンの希釈液256を、スピンコート,スプレーコート,ディップコートなどの適宜手法により滴下する(ステップS18)。
前記フェライト基板表面250Aがポリシラザンの希釈液256で覆われたことを確認したら(ステップS20)、前記熱処理炉に乾燥窒素を導入し大気圧に設定する(ステップS22)。そして、熱処理炉を乾燥窒素で満たした状態で温度を80℃に設定して溶媒を除去し(ステップS24)、更に、熱処理炉を乾燥窒素で満たした状態で温度を250℃〜450℃に設定し除去する(ステップS26)。仮に、ステップS24,S26のように2段階で加熱せず、キシレンのような有機溶媒が多量にある状態で高い温度で加熱すると、急激な沸騰を生じフェライト基板表面250Aの平坦性を損なってしまう。これを防ぐため、本実施例では、多量に有機溶媒がある状態では、低温で有機溶媒を徐々に揮発除去させ(ステップS24)、表面の平坦性を確保する。その後、極めて微量な有機溶媒を含有した状態となってから高温を用い(ステップS26)、有機溶媒を高精度に除去している。また、乾燥窒素の代わりに大気中等で乾燥を行うと、有機溶媒が抜ける前にポリシラザンの表面からシリカ転化し、内部にある有機溶媒が閉じ込められてしまうため、本実施例では有機溶媒が閉じ込められるのを防止するために、乾燥窒素中で乾燥を行うこととしている。
前記ステップS24,S26によって有機溶媒を除去したら、前記熱処理炉に水蒸気を導入し(ステップS28)、該熱処理炉を水蒸気で満たした状態で温度を250℃〜450°に設定し、ポリシラザンをシリカに転化させ(ステップS30)、最後に応力を除去しながら冷却(除冷)する(ステップS32)。なお、本実施例で示す平坦化処理は、配線溝252表面に穴254が多い場合に、必要に応じて行われる処理であって、表面に穴254が少なく十分な平坦性(ないし平滑性)が確保されている場合には省略するようにしてもよい。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した低誘電率層22,62の材料も一例であり、多量の独立閉気孔を含有した低誘電率の層を形成できるものであれば、他の材料を利用してよい。
(3)前記実施例で示した製造方法も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
(4)低誘電率層とギャップ層の双方を含む構成としてもよい。また、前記ギャップ層としては、ギャップ内のガスが温度変化に応じて膨張収縮しない,高周波特性が最もよい,周囲の物質を腐食や劣化させないといった理由から、真空層とすると最も信頼性が高いが、真空層に限らず、必要に応じて空気層としてもよいし、他の公知の各種の不活性ガスや非腐食性ガスの層としてもよい。
(5)実施例9で示した基板表面及び配線溝表面の平坦化処理も一例であり、必要に応じて行うようにすればよい。
(6)前記実施例では、本発明をコモンモードチョークコイル及びアンテナ素子に適用した例を示したが、これも一例であり、本発明は、一対の導体パターンが対向配置された他の公知の各種のインダクタンス素子全般に適用可能である。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した低誘電率層22,62の材料も一例であり、多量の独立閉気孔を含有した低誘電率の層を形成できるものであれば、他の材料を利用してよい。
(3)前記実施例で示した製造方法も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
(4)低誘電率層とギャップ層の双方を含む構成としてもよい。また、前記ギャップ層としては、ギャップ内のガスが温度変化に応じて膨張収縮しない,高周波特性が最もよい,周囲の物質を腐食や劣化させないといった理由から、真空層とすると最も信頼性が高いが、真空層に限らず、必要に応じて空気層としてもよいし、他の公知の各種の不活性ガスや非腐食性ガスの層としてもよい。
(5)実施例9で示した基板表面及び配線溝表面の平坦化処理も一例であり、必要に応じて行うようにすればよい。
(6)前記実施例では、本発明をコモンモードチョークコイル及びアンテナ素子に適用した例を示したが、これも一例であり、本発明は、一対の導体パターンが対向配置された他の公知の各種のインダクタンス素子全般に適用可能である。
本発明によれば、絶縁体中に対向配置された一対の導体パターン間に、多量の独立閉気孔を含有する低誘電率層又はギャップ層を設けて、導体パターン間の静電容量結合性成分を低減することとしたので、小型化・低背化・高周波化が望まれるインダクタンス素子の用途に適用できる。特に、高速差動伝送などのノイズ除去部品の用途に好適である。
10:コモンモードチョークコイル
12,14:基板
16,16A〜16C:絶縁体層
18,20:導体パターン
18A,20A:コイル部
18B,18C,20B,20C:引出線
22:低誘電率層
24:コア
26:導体
28A〜28F:レジスト
30A〜30C,32A〜32C,34〜40:空隙
42:開口部
50,50A,50B,60,60A,60B:コモンモードチョークコイル
62:低誘電率層
70:コモンモードチョークコイル
72:ギャップ層
80:コモンモードチョークコイル
82,84:基板
86,88:導体パターン
86A,88A:コイル部
86B,88B:引出部
90:接着剤
92:ギャップ層
94,96:外部電極
98:開口部
100:レジスト
102:空隙
104:溝
106:導体ペースト
108:隙間
120,120A:コモンモードチョークコイル
122,124:フェライト基板
126,128:導体パターン(コイル部)
127,129:空隙
130,132:レジスト(絶縁層)
130A,132A:空隙
134:溝
136:導体ペースト
138:接着剤
140,140A:ギャップ層
200:アンテナ素子
202,210:基板
204,214:導体パターン
204A,204B:給電部
206,216:溝
208,208A:ギャップ層
212:接着層
220:フェライト基板
222:配線溝
224:スキージ
226:Agペースト
227:凹み
228:ボイド
230:Agペースト希釈液
232:銀膜
234:メッキ槽
236:メッキ液
238:電極
240:電源装置
242:半田槽
244:半田
246:レジスト
250:フェライト基板
250A:表面
252:配線溝
254:穴
256:ポリシラザン希釈液
258:ポリシラザン
260:SiO2層
300:コモンモードチョークコイル
302,304:基板
306,306A〜306C:絶縁体層
308,310:導体パターン
308A,310A:導体
320:アンテナ素子
322:フェライト基板
324:導体パターン
12,14:基板
16,16A〜16C:絶縁体層
18,20:導体パターン
18A,20A:コイル部
18B,18C,20B,20C:引出線
22:低誘電率層
24:コア
26:導体
28A〜28F:レジスト
30A〜30C,32A〜32C,34〜40:空隙
42:開口部
50,50A,50B,60,60A,60B:コモンモードチョークコイル
62:低誘電率層
70:コモンモードチョークコイル
72:ギャップ層
80:コモンモードチョークコイル
82,84:基板
86,88:導体パターン
86A,88A:コイル部
86B,88B:引出部
90:接着剤
92:ギャップ層
94,96:外部電極
98:開口部
100:レジスト
102:空隙
104:溝
106:導体ペースト
108:隙間
120,120A:コモンモードチョークコイル
122,124:フェライト基板
126,128:導体パターン(コイル部)
127,129:空隙
130,132:レジスト(絶縁層)
130A,132A:空隙
134:溝
136:導体ペースト
138:接着剤
140,140A:ギャップ層
200:アンテナ素子
202,210:基板
204,214:導体パターン
204A,204B:給電部
206,216:溝
208,208A:ギャップ層
212:接着層
220:フェライト基板
222:配線溝
224:スキージ
226:Agペースト
227:凹み
228:ボイド
230:Agペースト希釈液
232:銀膜
234:メッキ槽
236:メッキ液
238:電極
240:電源装置
242:半田槽
244:半田
246:レジスト
250:フェライト基板
250A:表面
252:配線溝
254:穴
256:ポリシラザン希釈液
258:ポリシラザン
260:SiO2層
300:コモンモードチョークコイル
302,304:基板
306,306A〜306C:絶縁体層
308,310:導体パターン
308A,310A:導体
320:アンテナ素子
322:フェライト基板
324:導体パターン
Claims (17)
- 絶縁体中に、一対の導体パターンが対向配置されたインダクタンス素子であって、
前記絶縁体のうち、前記一対の導体パターンで挟まれた部分に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層又はギャップ層を設けたことを特徴とするインダクタンス素子。 - 前記低誘電率層又はギャップ層を、前記一対の導体パターンの少なくとも一方に直に接する位置に設けたことを特徴とする請求項1記載のインダクタンス素子。
- 前記ギャップ層が、空気層,真空層,不活性ガス層,非腐食性ガス層のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のインダクタンス素子。
- 一対の導体パターンが、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層の両主面に対向配置されるとともに、前記一対の導体パターン及び低誘電率層が、絶縁体中に埋め込み形成されていることを特徴とするインダクタンス素子。
- 前記絶縁体がフェライトであって、前記導体パターンが、絶縁体に設けられた配線溝の表面に形成された銀膜又は銅膜と、電解メッキもしくは半田浴によって前記配線溝に充填された導体とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインダクタンス素子。
- 前記導体パターンを形成するための配線溝が前記絶縁体に設けられているときに、前記配線溝の表面に、ポリシラザンのシリカ転化によるSiO2層を設けることで、前記配線溝表面を平坦化したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインダクタンス素子。
- ベースの絶縁体層上に、第1の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,
前記第1の導体パターンを含む絶縁体層上に、他の絶縁体層を形成する工程,
前記他の絶縁体層に、前記第1の導体パターンの表面が露出するように、該導体パターンに対応する形状の空隙を形成する工程,
前記空隙を形成した絶縁体層上に、前記第1の導体パターンと対向する第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,
を含むことを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。 - 前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程の前に、前記空隙を形成した絶縁体層上に更に他の絶縁体層を設ける工程,
を含むことを特徴とする請求項7記載のインダクタンス素子の製造方法。 - 前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,又は、前記更に他の絶縁体層を設ける工程を、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかの雰囲気中で行うことによって、前記空隙が、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかで置換されたギャップ層を形成することを特徴とする請求項7又は8記載のインダクタンス素子の製造方法。
- 前記第2の導体パターンを含む絶縁体層を設ける工程,又は、前記更に他の絶縁体層を設ける工程の前に、前記空隙に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層を形成するための低誘電率材料を充填する工程,
を含むことを特徴とする請求項7又は8記載のインダクタンス素子の製造方法。 - ベースの絶縁体層上に、第1の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,
前記第1の導体パターンを含む絶縁体層上に、多数の独立閉気孔を含有する低誘電率層を形成する工程,
該低誘電率層上に、前記第1の導体パターンと対向する第2の導体パターンを含む絶縁体層を形成する工程,
を含むことを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。 - 前記絶縁体層がフェライトであるときに、該絶縁体層に含まれる第1又は第2の導体パターンは、
前記絶縁体層に設けられており導体パターンに対応する形状の溝の表面に、銀膜又は銅膜を形成する工程,
該工程によって銀膜又は銅膜が形成された溝に、電解メッキもしくは半田浴によって導体を充填する工程,
によって形成されることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のインダクタンス素子の製造方法。 - 絶縁体層の一方の主面に、導体パターンに対応する形状の溝を形成する工程,
該溝に導体ペーストを塗布する工程,
前記導体ペーストを乾燥させたときの体積収縮により、前記絶縁体層の主面より凹んだ導体パターンを得る工程,
前記工程によって導体パターンが形成された絶縁体層同士を、それぞれの導体パターンが対向するように主面同士を貼り合わせ、一対の導体パターン間にギャップ層を形成する工程,
を含むことを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。 - 前記導体パターンが形成された絶縁体層同士を貼り合わせる工程を、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかの雰囲気中で行うことによって、空気,真空,不活性ガス,非腐食性ガスのいずれかで置換されたギャップ層を形成することを特徴とする請求項13記載のインダクタンス素子の製造方法。
- 前記導体ペーストが、Agペーストであることを特徴とする請求項13又は14記載のインダクタンス素子の製造方法。
- 前記導体パターンを形成するための溝が前記絶縁体層に設けられているときに、
前記溝の表面に、ポリシラザンのシリカ転化によるSiO2層を形成して、前記溝表面を平坦化する処理を行うことを特徴とする請求項7〜15のいずれかに記載のインダクタンス素子の製造方法。 - 前記ポリシラザンのシリカ転化によって溝表面を平坦化する処理は、
塗布可能な粘度となるように有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記溝表面に塗布する工程,
不活性ガス中で前記絶縁体層を加熱し、前記有機溶媒を除去する工程,
該工程で有機溶媒が除去された絶縁体層を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、溝表面を被覆したポリシラザンをシリカ転化する工程,
を含むことを特徴とする請求項16記載のインダクタンス素子の製造方法。
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JP2008269233A JP2010098199A (ja) | 2008-10-18 | 2008-10-18 | インダクタンス素子及びその製造方法 |
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- 2008-10-18 JP JP2008269233A patent/JP2010098199A/ja not_active Withdrawn
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