JP3982268B2 - アンテナ回路装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターン導体と磁性膜とを有するアンテナ回路部を備えるアンテナ回路装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、音楽、音声、画像等といったオーディオ・ビデオ(以下、AVと記す。)データがデジタル化され、パーソナルコンピュータやモバイルコンピュータ等で容易に扱えるようになってきている。また、音声コーデックや画像コーデック等により帯域が圧縮され、デジタル通信やデジタル放送等を利用して、デジタル化されたAVデータを容易に配信できる環境が整ってきている。
【0003】
これらのAVデータ通信においては、セルラー電話や、コードレスフォン等により戸外での送受信が可能になってきている他、家庭内でも様々なホームネットワークが提案されている。
【0004】
このようなAVデータ通信のネットワークとしては、例えばIEEE802.11において提案されているような周波数が5GHz帯のホームネットワーク、周波数が2.45GHz帯のLAN、Bluetoothと呼ばれる近距離通信、ワイヤレスコミュニケーション方式等が提唱されており、次世代ワイヤレスネットワークとして期待されている。
【0005】
ワイヤレスネットワークとしては、図26に示すように、すでにパーソナルコンピュータ等に脱着可能なカード型の無線モジュール100を用いる技術が知られている。この無線モジュール100は、パーソナルコンピュータ等に無線でAVデータ等を送受信できるように内部にアンテナ部101を備える、いわゆるPCMCIA型LANカードである。
【0006】
また、発明者らは、いわゆるメモリーモジュールの中に無線通信機能を搭載し、パーソナルコンピュータ等のインターフェースに対して脱着可能にした図27に示す超小型通信モジュール200を、特願平11−323453号にて提案している。この超小型通信モジュール200は、無線通信機能において重要なアンテナ部201を回路基板内にパターン導体として備え、PCMCIA型LANカードより劇的に小型化されている。
【0007】
上述した、無線モジュール100は、主に、例えばIEEE802.11bに提案されている周波数が2.45GHz帯を用いた無線LANとして、パーソナルコンピュータ等に用いられる。一方、超小型通信モジュール200は、同じ2.45GHz帯の周波数を用いたBluetoothと呼ばれる近距離通信等で、例えばカード型小型通信機器といったインターフェース等に用いられるように開発が進められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した超小型通信モジュール200では、パターン導体によるアンテナ部201が、いわゆるパッチ型や、逆F型等といった形状にパターン形成されており、所望の周波数波長と、アンテナ部201を形成するパターン導体に通過する電流とによりアンテナ部201のパターン導体が共振することから、アンテナ部201をアンテナ素子として機能させることになる。
【0009】
また、アンテナ素子を集中定数的に見立てた場合、パターン導体によるコイルと、周波数トリマとを組み合わされて構成され、いわゆる微小ループアンテナや、バーアンテナと呼ばれるアンテナ素子が形成される。この場合、コイルを小さくするほどアンテナ素子を小型化することができ、アンテナ特性を高める目的でアンテナ素子のコアに磁性材が用いられる。
【0010】
この磁性材を用いたアンテナ素子の場合、磁性材の高周波損失(以下、tanδと記す。)がアンテナ特性に大きく寄与し、例えばMHz帯域〜GHz帯域といった高周波帯域になると磁性材の透磁率μ’とμ”との比、すなわち磁性材のtanδが大きくなり、アンテナ特性が劣化してしまう。このため、磁性材を用いたアンテナ素子は、例えばAMラジオや、kHz帯域で用いる非接触ICカード等に限定されて用いられる。
【0011】
アンテナ素子に用いられる磁性材としては、MHz帯域〜GHz帯域で用いられる際のtanδが小さくなるような材料の開発も進められている。しかしながらこの場合、tanδを小さくすると透磁率μ’が小さくなって磁性体の特性が低下してしまい、透磁率μ’を大きくするとtanδが大きくなってしまうといった問題がある。このため、高周波帯域で良好なアンテナ特性を有する磁性材を得ることは大変困難であるとされている。
【0012】
一方、半導体技術においては、透磁率μ’が大きく、tanδが小さい高周波帯域のアンテナ素子に用いられる際に優れた磁性材となる例えばCoNbZr系の磁性材料等を薄膜技術により磁性薄膜として成膜できることが報告されている。(M.Yamaguchi、他、2001 International Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALSでのunpublished data。)
このような磁性薄膜では、特開平11−261325号公報で提案されている手法により、その膜上にパターン導体によるコイルを形成させて高周波帯域で用いるアンテナ素子を得ることも可能である。
【0013】
ところで、アンテナ素子においては、その体積を大きくすることで優れたアンテナ特性が得られることが知られている。このため、磁性薄膜を用いたアンテナ素子では、スパッタリングや、蒸着といった薄膜技術により成膜された磁性薄膜の厚みが1μm程度であり、体積が小さくなってしまうことから、充分なアンテナ特性を得ることが困難である。
【0014】
そこで、薄膜技術により磁性薄膜を厚く成膜させた場合、成膜に時間がかかることから成膜初期と成膜後期との膜質に差が生じて磁性材の特性が劣化してしまうことがある。薄膜技術により磁性薄膜を厚く成膜させた場合、厚く成膜された磁性薄膜と、磁性薄膜を成膜させた下層との密着性が劣化することがある。さらに、薄膜技術により磁性薄膜を厚く成膜させた場合、磁性薄膜の成膜に時間がかかることから製造歩留まりの低下や、製造コストの向上といった問題も生じてしまう。
【0015】
以上のように、磁性薄膜を用いたアンテナ素子では、薄膜技術により磁性薄膜の厚みを厚くさせることが難しいことから、磁性材の厚みを厚くし、その体積を大きくすることで優れたアンテナ特性を得ることは大変困難である。
【0016】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、アンテナ特性の優れたアンテナ回路部を備えるアンテナ回路装置及びその製造方法を提供することを目的に提案されたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係るアンテナ回路装置は、誘電絶縁材からなる絶縁層を介して複数の配線層が構成された多層配線回路基板であり、当該配線層に一方の主面に露出する入出力端子部が形成されたベース基板と、誘電絶縁材からなる絶縁層とパターン導体からなる配線層とによって構成され、配線層に互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路を有する第1の回路層と、第1の回路層上に、誘電絶縁材からなる絶縁膜と磁性材からなる磁性膜とを交互に積層させた構成の磁性層と、磁性層上に、誘電絶縁材からなる絶縁層とパターン導体からなる配線層とによって構成され、配線層に、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と他方の第1の線路の他端部とを磁性層に形成された層間ビアを介して接続させると共に、互いに同一方向に並んで複数形成された第2の線路を有する第2の回路層とによって構成されるアンテナ回路部とを備え、上記アンテナ回路部は、上記ベース基板に対向する面に、上記第1の回路層又は上記第2の回路層の配線層に電気的に接続されたバンプを介して上記ベース基板の上記入出力部と電気的に接続され、上記ベース基板の上記配線層に実装されている。
【0021】
このアンテナ回路装置は、アンテナ回路が互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路と、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と他方の第1の線路の他端部とを接続させるように複数形成された第2の線路とを、磁性層に形成された層間ビアを介して接続させた構造となっている。
【0022】
したがって、このアンテナ回路装置では、アンテナ回路が、磁性層を第1の線路と第2の線路とにより挟んだ構造となっていることから、アンテナ回路における磁性層の磁性膜の層数を増やすこと、すなわち磁性膜を厚くしてアンテナ回路の体積を大きくすることが容易であり、優れたアンテナ特性が容易に得られる。
【0023】
また、上述した目的を達成する本発明に係るアンテナ回路装置の製造方法は、第1のダミー基板に剥離層を介して積層され、誘電絶縁材からなる絶縁層と、パターン導体からなる配線層とにより構成され、平坦化処理で主面が平坦化された回路層を複数形成する回路層形成工程と、平坦化処理で平坦化された上記回路層の主面上に、誘電絶縁材からなる絶縁膜と、磁性材からなる磁性膜とが交互に積層された磁性層を形成する磁性層形成工程と、何れかの回路層の配線層に、互いに平行に並ぶように複数設けられた第1の線路を形成させる第1の線路形成工程と、第1の線路を有する回路層以外の回路層における上記配線層に、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と、他方の第1の線路の他端部とを接続させるように設けられていると共に、互いに同一方向に複数並べられた第2の線路を形成させる第2の線路形成工程と、第1の線路と第2の線路とを、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と他方の第1の線路の他端部とを第2の線路が接続させるように、磁性層に形成された層間ビアにより接続させることでアンテナ回路を形成させる回路形成工程と、上記第1のダミー基板を積層した面とは反対側の面に、剥離層を介して第2のダミー基板を積層して第1のダミー基板を除去し、上記アンテナ回路部の上記第1の線路を有する第1の回路層に、ベース基板と対向してバンプを形成させるバンプ形成工程と、バンプを介して、上記アンテナ回路を、誘電絶縁材からなる絶縁層を介して複数の配線層が形成された多層配線回路基板であり、当該配線層に一方の主面に露出する入出力端子部が形成されたベース基板の当該配線層に実装させる実装工程とを有している。
【0024】
このアンテナ回路装置の製造方法では、互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路と、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と他方の第1の線路の他端部とを接続させる互いに同一方向に並ぶように複数形成された第2の線路とを、磁性層に形成された層間ビアを介して接続させることで構成されるアンテナ回路を備えるアンテナ回路装置を製造させる。
【0025】
したがって、このアンテナ回路装置の製造方法では、アンテナ回路部を第1の線路と第2の線路とが磁性層を挟むように積層させた構造に形成させることから、アンテナ回路部における磁性層の磁性膜の層数を増やすこと、すなわち磁性膜を厚くしてアンテナ回路部の体積を大きくすることが容易であり、優れたアンテナ特性が容易に得られるアンテナ回路装置を製造させる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として図1及び図2に示すアンテナ回路装置1は、携帯通信端末機器等に備えられた送受信部において高周波信号の処理等を行う高周波回路を構成している。アンテナ回路装置1は、アンテナ回路部2がアンテナ素子3を備え、ベース基板4の一主面(以下、実装面と記す。)4a上に実装された構成となっている。
【0027】
アンテナ回路部2は、第1の回路層5の主面上に第1の磁性層6が積層形成され、第1の磁性層6の主面上に第2の回路層7が積層形成され、この第2の回路層7上に第2の磁性層8、第3の回路層9、第3の磁性層10、第4の回路層11が順次積層された構造となっている。アンテナ回路部2においては、各回路層5、7、9、11が絶縁層12と配線層13とによって構成されている。
【0028】
アンテナ回路部2は、第1の回路層5〜第4の回路層11全層を貫通或いは上下層を貫通するビア14によって電気的に層間接続されている。アンテナ回路部2は、第1の回路層5〜第4の回路層11における主面が例えば化学−機械研磨法(CMP:Chemical-Mechanical Polishing)等によって平坦化されており、第1の回路層5に形成されたビア14上に第1の磁性層6のビア14を形成するといったビア−オン−ビア(Via-on-Via)構造が可能とされている。また、アンテナ回路部2は、各回路層5、7、9、11における主面が平坦化されていることから、配線層13を精度良く形成することが可能となる。
【0029】
アンテナ回路部2においては、各回路層5、7、9、11における絶縁層12が低誘電率で低いTanδ有すると共に、優れた高周波特性を有する誘電絶縁材によって形成されている。具体的には、例えばベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、ポリノルボルネン(PNB)、液晶ポリマ(LCP)或いはエポキシ樹脂やアクリル系樹脂等が用いられる。この絶縁層12は、比較的に形成する厚み等を制御し易い、例えばスピンコート法、カーテンコート法、ローリコート法、ディップコート法等によって形成されている。アンテナ回路部2においては、各回路層5、7、9、11においては、配線層13が例えばCu等の導電性の高いパターン導体からなり、スパッタリングといった薄膜技術等によって成膜された金属膜にエッチング処理等でパターニング処理が施されることで形成される。
【0030】
アンテナ回路部2において、各磁性層6、8,10は、透磁率μ’が大きく、高周波損失Tanδが小さく、誘電率が低く、優れた高周波特性を有すると共に、MHz帯域〜GHz帯域といった高周波帯域で優れた磁性特性を有する誘電磁性絶縁材によって形成されている。具体的には、例えばCoNbZr系の誘電磁性絶縁材料等を用いる。これらの各磁性層6、8,10は、上述した配線層13と同様に、薄膜技術によって成膜されている。
【0031】
アンテナ素子3は、配線層13の一部に設けられた所定の形状にパターン形成された第1の線路15と、第2の線路16とを各磁性層6、8、10を介してビア14によって接続されることで構成されている。具体的には、第1の回路層5の配線層13の一部に互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路15と、第4の回路層11の配線層13の一部に、互いに隣り合う第1の線路15のうちの一方の第1の線路15の一端部と他方の第1の線路15の他端部とを接続させるように互いに同一方向に並べて複数形成された第2の線路16とを、積層方向に繋がったビア14を介して接続させることで、アンテナ素子3が構成される。具体的には、アンテナ素子3に電流が流れる際に、第1の線路15、第2の線路16、ビア14が電流を螺旋状に流すことになることから、コイルアンテナ構造のアンテナ素子3を構成させる。
【0032】
このアンテナ素子3は、第1の線路15と第2の線路16との間に、磁性層6、8、10を挟むような構成になっており、見かけ上、誘電磁性絶縁材が厚くなるような構成になっている。これにより、アンテナ素子3では、コイルアンテナ構造におけるコイルの内周側に高周波特性に優れた誘電磁性材料を厚く備えた構成にさせることが可能になる。
【0033】
ベース基板4は、複数の配線層17が各層間に絶縁層18を介して構成されており、複数の配線層17は全層を貫通或いは複数層を貫通するビア19で層間接続されている。ベース基板4は、その表裏主面に配線層17の一部として入出力端子部20が複数備えられており、これら入出力端子部20が例えばアンテナ回路部2や、外部電源に対する接続端子として機能する。また、ベース基板4においては、複数の配線層17が、入出力端子部20から供給された電力、コントロール信号、高周波信号等をアンテナ回路部2へ伝達させる配線として機能すると共に、グランド(接地電極)等としても機能する。
【0034】
ベース基板4においては、絶縁層18の材料に低誘電率で低いTanδ、すなわち高周波特性に優れた材料、例えばポリフェニレンエーテル(PPE)、ビスマレイドトリアジン(BT−resin)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、液晶ポリマ(LCP)、ポリノルボルネン(PNB)、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂等の有機材料、セラミック等の無機材料、或いはガラスエポキシ等の有機材料と無機材料の混合体等が用いられる。なお、ベース基板4は、一般的な多層配線基板製造工程を経ることによって製造させることも可能である。
【0035】
以上のような構成のアンテナ回路装置1は、アンテナ素子3が、互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路15と、互いに隣り合う第1の線路15のうちの一方の第1の線路15の一端部と他方の第1の線路15の他端部とを接続させるように複数形成された第2の線路16とを、磁性層6、8、10を介してビア14により接続させた構造になっている。具体的に、このアンテナ回路装置1おいては、アンテナ素子3に電流が流れる際に、導体である第1の線路15、第2の線路16、ビア14を螺旋状に電流が流れることから、アンテナ素子3として第1の線路15、第2の線路16、ビア14により、いわゆるコイルアンテナを構成することになる。
【0036】
これにより、このアンテナ回路装置1では、アンテナ素子3が第1の線路15と第2の線路16との間に三層の誘電磁性絶縁材からなる磁性層6、8、10を挟んだ構造、すなわちコイルアンテナの内周側に誘電磁性絶縁材を備える構造になり、アンテナ素子3における誘電磁性絶縁材の厚みを厚くさせてアンテナ素子3の体積を大きくさせることから、優れたアンテナ特性が得られる。
【0037】
このアンテナ回路装置1では、アンテナ素子3の磁性層6、8、10を透磁率μ’が大きく、高周波損失Tanδの小さい誘電磁性絶縁材で形成させており、これらの磁性層6、8、10がMHz帯域〜GHz帯域といった高周波帯域で優れた磁性特性を示すことから、特に高周波帯域で優れたアンテナ特性を得ることが可能となる。
【0038】
次に、上述したアンテナ回路装置1の製造方法について説明する。アンテナ回路装置1は、先ず、アンテナ回路部2を作製する。アンテナ回路部2を形成する際は、図3に示すように、ダミー基板30を用意する。このダミー基板30には、その主面30a上に剥離層31が成膜されている。ダミー基板30には、高い耐熱性を有し、その主面が高度に平坦化されている例えばガラス基板や、石英基板や、Si基板等を用いる。剥離層31は、例えばスパッタリング法や化学蒸着(CDV:Chemical Vapor Deposition)法等によってダミー基板30の主面30a上の全面に亘って1000Å程度の均一な厚みに成膜された銅やアルミニウム等の金属膜31aと、この金属膜31a上にスピンコート法等で全面に亘って1μm〜2μm程度の厚みに成膜されたポリイミド樹脂等の樹脂膜31bとによって構成されている。
【0039】
次に、剥離層31上には、図4に示すように、絶縁層12が均一な厚みに形成される。絶縁層12は、従来の配線基板製造工程において一般的に知られる誘電絶縁材を用いて成膜形成される。絶縁層12には、上述したように、低誘電率で低いTanδを有し、高周波特性に優れた誘電絶縁材が用いられる。絶縁層12は、誘電絶縁材が例えばスピンコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ディップコート法等によって剥離層31上に塗布されることで成膜形成される。
【0040】
次に、絶縁層12には、図5に示すように、所定の位置に層間ビア14aとなる開口部32がパターンニング処理により形成される。開口部32は、絶縁層12にパターンニング処理が施されることによって形成される。開口部32は、絶縁層12に感光性の絶縁性誘電材料を用いた場合、フォトリソグラフ技術によるパターンニング処理が施されることで形成される。また、開口部32は、絶縁層12に非感光性の絶縁性誘電材料を用いた場合、フォトレジストやアルミニウム等のマスクを用いてドライエッチングやレーザ加工等によってパターンニング処理が施される。
【0041】
次に、絶縁層12には、図6に示すように、エッチング処理が施されて配線溝33が形成される。配線溝33は、絶縁層12上に所望のパターンに対応した開口部を有するエッチングマスクが形成され、絶縁層12のエッチングマスク以外の領域に例えば酸素プラズマによる方向性イオンエッチング法(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチング処理が施された後に、エッチングマスクが除去されることで形成される。このとき、配線溝33には、第1の線路15に対応した形状の第1の線路溝部33aも形成される。
【0042】
次に、配線溝33が形成された絶縁層12上には、図7に示すように、金属めっき処理が施されることによって、金属めっき層34が形成される。金属めっき層34は、例えば銅等、導電性の高い金属によって形成されている。金属めっき処理は、電解めっき或いは無電解めっきの何れを用いても良く、絶縁層12の配線溝33が設けられている主面全面及び開口部32を金属めっき層34が埋めて、金属めっき層34の最厚部が絶縁層12の最厚部よりも厚くなるように施される。金属めっき処理は、電解めっきによって金属めっき層34を形成する場合に、剥離層31の金属膜31aが電圧印加電極として機能することになる。
【0043】
次に、金属めっき層34は、図8及び図9に示すように、絶縁層12が露出するまで平坦化処理が施されることでパターン導体となり、配線層13として形成されることになる。これにより、剥離層31上には、絶縁層12と配線層13とによって構成された第1の回路層5が形成される。このとき、第1の回路層5には、配線層13の一部に、アンテナ素子3を構成する互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路15が形成されることになる。
【0044】
この第1の回路層5は、平坦化処理により高度に平坦化された主面5aを有している。平坦化処理は、材質が異なる絶縁層12と金属めっき層34とを同時に研磨することから、例えば化学−機械研磨法(CMP:Chemical-Mechanical Polishing)等が用いられる。このCMP法は、銅等の金属からなる金属めっき層34の研磨レートを大きくさせるように材料に選択性をもった研磨を施すことが可能であり研磨面を高精度に平坦化させる。
【0045】
この第1の回路層5においては、絶縁層12に感光性の絶縁性誘電材料を用いた場合、絶縁層12が高精度の平坦化されているダミー基板30の主面30a上に形成されて絶縁層12の厚みにばらつきがないことから、フォトリソグラフ処理によるパターンニング像の焦点のずれが抑制されて配線層13や層間ビア14aを精度良く形成させることが可能となる。
【0046】
このようにして形成された第1の回路層5は、絶縁層12に配線層13が埋め込まれた状態で形成され、その主面5aがCMP法による平坦化処理により高精度に平坦化されていると共に、層間ビア14aも一括して形成されている。この層間ビア14aは、第1の回路層5の主面5aに露出している端部も高精度の平坦化されていることから、その上方に後述する工程で形成される第1の磁性層6の層間ビア14bを形成した構造にすることが可能、すなわち上述したビア−オン−ビア(Via-on-Via)構造にすることが可能となる。このビア−オン−ビア構造は、各回路層5、7、9、11同士の配線層13の層間接続を最短で行えると共に、アンテナ回路部2の小面積化も図ることが可能となる。
【0047】
次に、第1の回路層5の主面5a上には、図10に示すように、第1の磁性層6が成膜される。この第1の磁性層6を形成する際は、層間ビア14aが露出する第1の回路層5の主面5a上に上述した誘電磁性絶縁材からなる磁性膜35を全面に亘って1μm程度の厚みにスパッタリング法や蒸着法等といった薄膜技術によって成膜させる。次に、この磁性膜35には、図11及び図12に示すように、上述した配線層13の製造工程と同様にして、複数形成された第1の線路15のそれぞれの端部と、第1の回路層5の配線層13の所定の位置とに接続される層間ビア14bが形成される。このようにして、第1の磁性層6が形成される。
【0048】
この第1の磁性層6も、第1の回路層5と同様に、その表面に平坦化処理が施されていることから、高精度に平坦化された主面6aを有している。また、第1の磁性層6は、磁性膜35に層間ビア14bが埋め込まれた状態で形成されており、第1の回路層5の層間ビア14aと同様に、主面6aに露出している層間ビア14bの端部も高精度の平坦化されていることから、その上方に後述する工程で形成される第2の回路層7の層間ビア14cを形成してビア−オン−ビア(Via-on-Via)構造にすることが可能となる。
【0049】
次に、第1の磁性層6の主面6a上には、図13に示すように、第2の回路層7が形成される。第2の回路層7は、第1の回路層5と同様の材料を用いると共に、同様の工程を経ることによって形成される。第2の回路層7も、第1の回路層5と同様に、絶縁層12と配線層13とによって構成されている。第2の回路層7は、第1の回路層5と同様に、絶縁層12に配線層13が埋め込まれており、その主面7aが平坦化処理により高精度に平坦化されていると共に、層間ビア14cも一括して形成されている。そして、第2の回路層7においては、第1の磁性層6に形成された複数の第1の線路15におけるそれぞれの端部と接続する層間ビア14bの直上に、層間ビア14cを形成させる。
【0050】
第2の回路層7では、絶縁層12に感光性の誘電絶縁材を用いた場合、絶縁層12が高精度の平坦化された第1の磁性層6の主面6a上に形成されて厚みにばらつきが生じないことから、フォトリソグラフ処理によるパターンニング像の焦点のずれが抑制されて配線層13や層間ビア14cを精度良く形成させることが可能となる。
【0051】
次に、第2の回路層7の主面7a上には、図14に示すように、第2の磁性層8が形成される。第2の磁性層8は、第1の磁性層6と同様の材料を用いると共に、同様の工程を経ることによって形成される。第2の磁性層8も、第1の磁性層6と同様に、磁性膜に層間ビア14dが埋め込まれており、その主面8aが平坦化処理により高精度に平坦化されている。そして、第2の磁性層8においては、第2の回路層7に形成された複数の第1の線路15におけるそれぞれの端部に繋がる層間ビア14cの直上に、層間ビア14dを形成させる。第2の磁性層8においても、高精度に平坦化された第2の回路層7の主面7a上に形成されていることから、層間ビア14dを精度良く形成させることが可能となる。
【0052】
次に、第2の磁性層8の主面8a上には、図15に示すように、第3の回路層9と第3の磁性層10とが順次積層形成される。これらのうち、第3の回路層9は、第2の回路層7と同様に、第1の回路層5と同様の材料を用いると共に、同様の工程を経ることによって形成される。また、第3の回路層9には、第2の磁性層8に形成された複数の第1の線路15におけるそれぞれの端部に繋がる層間ビア14dの直上に、層間ビア14eが形成されている。
【0053】
一方、第3の磁性層10は、第2の磁性層8と同様に、第1の磁性層6と同様の材料を用いると共に、同様の工程を経ることによって形成される。また、第3の磁性層10には、第3の回路層9に形成された複数の第1の線路15におけるそれぞれの端部に繋がる層間ビア14eの直上に、層間ビア14fが形成されている。
【0054】
次に、第3の磁性層10上には、図16及び図17に示すように、第4の回路層11が形成される。第4の回路層11も、第2の回路層7と同様に、第1の回路層5と同様の材料を用いると共に、同様の工程を経ることによって形成される。したがって、この第4の回路層11も、第1の回路層5と同様に、絶縁層12と、この絶縁層12に埋め込まれた状態でその主面11aから露出する配線層13とによって構成されている。
【0055】
第4の回路層11には、配線層13の一部に、互いに隣り合う第1の線路15のうちの一方の第1の線路15の一端部と他方の第1の線路15の他端部とを接続させるように第2の線路16が、同一方向に並べられて複数形成されることになる。また、第4の回路層11には、配線層13の一部に第2の線路のそれぞれの端部、すなわち第3の磁性層10に形成された複数の第1の線路15におけるそれぞれの端部に繋がる層間ビア14fの直上に、層間ビア14gが形成されることになる。
【0056】
これにより、第1の線路15及び第2の線路16は、積層方向に直列で繋がる層間ビア14b〜層間ビア14gにより、積層方向で相対する端部同士が接続されることになる。そして、第1の線路15及び第2の線路16は、積層方向に磁性層6、8、10が介在されていることから、第1の回路層5〜第4の回路層11全層に跨るアンテナ素子3を構成させることになる。なお、層間ビア14a〜層間ビア14gは、アンテナ回路部2におけるビア14を構成している。
【0057】
この第4の回路層11には、配線層13の一部に、受動素子であるインダクタ部36がパターン導体によって形成されている。なお、本実施の形態においては、配線層13の一部にパターン導体による回路部としてインダクタ部36を形成しているが、このことに限定されることはなく、例えばキャパシタ回路、レジスタ回路、フィルタ回路等をパターン導体によって配線層13の一部に形成させても良い。
【0058】
次に、第4の回路層11上には、図18に示すように、その主面全面を覆うレジスト層37が形成される。このレジスト層37には、例えばソルダーレジストや、上述した誘電絶縁材等を用いる。このレジスト層37には、所定の形状にパターンニングされたマスクを介してフォトリソグラフ処理を施すことによって所定の位置に第4の回路層11における配線層13が臨む開口部を形成させても良い。次に、レジスト層37には、研磨処理が施される。この研磨処理は、例えばグラインダを用いた機械研磨法、ウェットエッチングによる化学研磨法或いはこれらの研磨法を併用したCMP方等によって行われる。このようにして、アンテナ回路部2が形成される。
【0059】
次に、アンテナ回路部2のレジスト層37側の主面(以下、一主面と記す。)2aには、図19に示すように、剥離層38を介してダミー基板39が接合される。剥離層38は、上述した剥離層31と同様の材料、構成、工程によって成膜され、金属膜38aと樹脂膜38bとにより構成されている。ダミー基板39には、上述したダミー基板30と同様に、高い耐熱性を有し、その主面が高度に平坦化されている例えばガラス基板や、石英基板や、Si基板等を用いる。
【0060】
次に、ダミー基板30は、図20に示すように、アンテナ回路部2から剥離層31と共に除去される。具体的には、ダミー基板30及び剥離層31をアンテナ回路部2ごと例えば塩酸や硝酸等の酸性溶液中に浸漬させることで酸性溶液が剥離層31の金属膜31aを僅かに溶解させつつ金属膜31aと樹脂膜31bとの間に浸入していき、金属膜31aと樹脂膜31bとの間で剥離が進行し、アンテナ回路部2の第1の回路層5側の主面(以下、他主面と記す。)2b上に樹脂膜31bが残留した状態でダミー基板30が除去される。このとき、アンテナ回路部2の一主面2aには、予め保護層等を形成しておいても良い。また、ダミー基板30は、例えばレーザアブレーション処理によってアンテナ回路部2から除去されるようにしても良い。
【0061】
次に、アンテナ回路部2に他主面2b上に残留した樹脂膜31bは、例えば酸素プラズマによるドライエッチング法等によって除去される。これにより、アンテナ回路部2の他主面2bには、ビア14が露出することになる。また、アンテナ回路部2は、相対していたダミー基板30の主面30aが高度に平坦化されていることから、その他主面2bも高度に平坦化されることになる。
【0062】
次に、アンテナ回路部2には、図21に示すように、その他主面2bに露出しているビア14上に例えば半田等によるバンプ部40が形成される。バンプ部40は、ベース基板4にアンテナ回路部2を実装する際の電気的接続部として機能し、例えば電解めっきや無電解めっき等によりニッケル/銅めっき層として形成しても良い。アンテナ回路部2では、ダミー基板39を支持基板としていることから撓みのない状態にされており、その他主面2bにバンプ部40を精度良く形成することが可能となる。
【0063】
次に、ダミー基板39は、図22に示すように、アンテナ回路部2から剥離層38と共に除去される。ダミー基板39及び剥離層38は、アンテナ回路部2の他主面2bからダミー基板30及び剥離層31を除去したときと同じようにしてアンテナ回路部2の一主面2aより除去される。
【0064】
次に、アンテナ回路部2は、図23に示すように、その他主面2bが対向するように上述したベース基板4の実装面4a上に実装される。ベース基板4は、層内にグランド等を備える配線層17と絶縁層18とを複数有し、アンテナ回路部2が実装される実装面4a上にレジスト等によって形成される保護層41から露出する入出力端子部20が形成されている。
【0065】
そして、アンテナ回路部2は、ベース基板4の実装面4aで露出している入出力端子部20にバンプ部40を介して電気的に接続されることでベース基板4に実装されている。具体的には、バンプ部40と入出力端子部20とが相対している状態のアンテナ回路部2とベース基板4との間にアンダーフィル42が充填され、例えば半田リフロー槽等で加熱されることによってバンプ部40と入出力端子部20とが電気的に接続されて、アンテナ回路部2がベース基板4の実装面4aに実装される。このようにして、アンテナ素子3を備えるアンテナ回路部2がベース基板4に実装された構成のアンテナ回路装置1が製造される。
【0066】
以上のようなアンテナ回路装置1の製造方法では、アンテナ回路部2において、互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路15と、互いに隣り合う第1の線路15のうちの一方の第1の線路15の一端部と他方の第1の線路15の他端部とを接続させるように複数形成された第2の線路16とを、磁性層6、8、10を介してビア14により接続させた構造のアンテナ素子3を備えるアンテナ回路装置1が製造される。具体的には、アンテナ素子3に電流が流れる際に、電流が第1の線路15、第2の線路16、ビア14を螺旋状に流れることから、いわゆるコイルアンテナ構造のアンテナ素子3をアンテナ回路部2に備えるアンテナ回路装置1が製造される。
【0067】
これにより、このアンテナ回路装置1の製造方法では、アンテナ回路部2に、第1の線路15と第2の線路16との間に三層の誘電磁性絶縁材からなる磁性層6、8、10を挟んだ構造のアンテナ素子3、すなわちコイルアンテナの内周側に誘電磁性絶縁材を備える構造のアンテナ素子3を形成させることから、アンテナ素子3における誘電磁性絶縁材の厚みを厚くさせてアンテナ素子3の体積を大きくさせることが可能となり、優れたアンテナ特性を有するアンテナ回路装置1が得られる。
【0068】
このアンテナ回路装置1の製造方法では、アンテナ素子3における磁性層6、8、10に透磁率μ’が大きく、高周波損失Tanδが小さい誘電磁性絶縁材が用いられており、この誘電磁性絶縁材がMHz帯域〜GHz帯域といった高周波帯域で優れた磁性特性を示すことから、特に高周波帯域で優れたアンテナ特性が得られるアンテナ素子3を有するアンテナ回路装置1が製造される。
【0069】
上述した実施の形態においては、アンテナ回路装置1がアンテナ素子3や受動素子等を備えるアンテナ回路部2をベース基板4上に実装させた構造になっているが、このことに限定されることはなく、図24に示すように、例えばアンテナ回路装置60が主にアンテナ素子61だけを備えるアンテナ回路部62を、半導体チップ、IC(integrated circuit)チップ、LSI(Large-scale Integrated Circuit)チップといった半導体部品63と共にベース基板4上に実装させた構造になっていても良い。なお、図24においては、上述したアンテナ回路装置1と同等な構成、部位及び製造方法についての説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付するものとする。
【0070】
このような構成のアンテナ回路装置60では、アンテナ素子61を備えるアンテナ回路部62をコイルアンテナ部品として、その他の半導体部品63と同様に、ベース基板4の実装面4a上に実装させることができ、例えばアンテナ回路部上に半導体部品等を実装させた場合に比べて薄くすることが可能となり、半導体部品63を含む全体の小型化が図れる。
【0071】
また、上述した実施の形態においては、アンテナ素子3が第1の線路15、第2の線路16がアンテナ回路部2の配線層13の一部に形成された構成となっているが、このことに限定されることはなく、図25に示すように、例えばアンテナ回路装置70におけるアンテナ素子71が、ベース基板72の形成面72aに露出する配線層17の一部に第1の線路73と、アンテナ回路部74の配線層13の一部に形成された第2の線路75とによって構成されても良い。なお、図25においては、上述したアンテナ回路装置1と同等な構成、部位及び製造方法についての説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付するものとする。
【0072】
アンテナ回路装置70において、ベース基板72は、アンテナ回路装置1と同様に、複数の絶縁層18とパターン導体からなる複数の配線層17とが多層に積層されており、形成面72aに露出する配線層17の一部に、アンテナ素子71を構成する互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路73を有している。
【0073】
アンテナ回路装置70において、アンテナ回路部74は、アンテナ回路装置1における第1の回路層5だけを除き、第1の磁性層6、第2の回路層7、第2の磁性層8、第3の回路層9、第3の磁性層10、第4の回路層11が順次積層された構成となっており、第4の回路層11における配線層13の一部に、互いに隣り合う第1の線路73のうちの一方の第1の線路73の一端部と他方の第1の線路73の他端部とを接続させるように第2の線路75が、同一方向に並べられて複数形成されている。
【0074】
このアンテナ回路装置70は、ベース基板72の形成面72aより露出する第1の線路73及びアンテナ回路部74の配線層13の一部に形成された第2の線路75が、積層方向に直列で繋がるビア14により、積層方向で相対する端部同士が接続された構造のアンテナ素子71を備えることになる。なお、アンテナ素子71においては、ベース基板72側の第1の線路73の端部と、アンテナ回路部74側のビア14との接続は例えばビア14側に設けたバンプ部40によって行われる。
【0075】
このアンテナ回路装置70では、アンテナ素子71における第1の線路73をベース基板72側に形成することで、アンテナ回路部74の積層数を減らすことが可能となり、アンテナ回路部74の厚みを薄くして小型化を図ることが可能となる。
【0076】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、アンテナ回路が互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路と、互いに隣り合う第1の線路のうちの一方の第1の線路の一端部と他方の第1の線路の他端部とを接続させるように複数形成された第2の線路とを、磁性層に形成された層間ビアを介して接続させた構造になっており、このアンテナ回路に電流が螺旋状に流れることから、いわゆるコイルアンテナ構造のアンテナを備えることになる。
【0077】
したがって、本発明によれば、第1の線路と第2の線路が磁性層を挟むように積層されていることから、磁性層における磁性膜の層数を増やすこと、すなわち磁性膜を厚くして磁性層部分の体積を大きくすることが容易であることから、磁性層を厚くしてアンテナ回路の体積を大きくすることでアンテナ特性の優れたアンテナ回路装置が得られる。
【0078】
本発明によれば、アンテナ回路における磁性膜に透磁率μ’が大きく、高周波損失Tanδが小さい磁性材が用いられており、この磁性材がMHz帯域〜GHz帯域といった高周波帯域で優れた磁性特性を示すことから、特に高周波帯域で優れたアンテナ特性が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンテナ回路装置を示す縦断面図である。
【図2】同アンテナ回路装置に備わるアンテナ素子を一部透視して示す斜視図である。
【図3】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、ダミー基板上に剥離層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図4】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、剥離層上に絶縁層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図5】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、絶縁層に開口部が形成された状態を示す縦断面図である。
【図6】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、絶縁層に配線溝が形成された状態を示す縦断面図である。
【図7】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、絶縁層上に金属めっき層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図8】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、剥離層上に第1の線路を備える第1の回路層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図9】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、配線層の一部に形成された第1の線路を示す平面図である。
【図10】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第1の回路層上に第1の磁性層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図11】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第1の磁性層に層間ビアが形成された状態を示す縦断面図である。
【図12】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第1の磁性層に形成された層間ビアを示す透視平面図である。
【図13】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第1の磁性層上に第2の回路層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図14】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第2の回路層上に第2の磁性層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図15】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第2の磁性層上に第3の回路層と第3の磁性層とが順次積層形成された状態を示す縦断面図である。
【図16】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第3の磁性層上に第2の線路を備える第4の回路層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図17】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、配線層の一部に形成された第2の線路を示す透視平面図である。
【図18】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、第4の回路層上にレジスト層が形成された状態を示す縦断面図である。
【図19】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、アンテナ回路部の一主面に剥離層を介してダミー基板が接合された状態を示す縦断面図である。
【図20】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、アンテナ回路部の他主面側のダミー基板と剥離層が除去された状態を示す縦断面図である。
【図21】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、アンテナ回路部の他主面上にバンプ部が形成された状態を示す縦断面図である。
【図22】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、アンテナ回路部の一主面側のダミー基板と剥離層が除去された状態を示す縦断面図である。
【図23】同アンテナ回路装置の製造工程を説明するため図であり、完成したアンテナ回路装置を示す縦断面図である。
【図24】同アンテナ回路装置の他の構成例を示す縦断面図である。
【図25】同アンテナ回路装置の他の構成例を示す縦断面図である。
【図26】無線モジュールの内部構造を模式的に示す平面図である。
【図27】超小型通信モジュールを示す平面図である。
【符号の説明】
1,60,70 アンテナ回路装置、2 アンテナ回路部、3 アンテナ素子、4 ベース基板、5 第1の回路層、6 第1の磁性層、7 第2の回路層、8 第2の磁性層、9 第3の回路層、10 第3の磁性雄、11 第4の回路層、12,18 絶縁層、13,17 配線層、14,19 ビア、15 第1の線路、16 第2の線路、20 入出力端子部

Claims (6)

  1. 誘電絶縁材からなる絶縁層を介して複数の配線層が形成された多層配線回路基板であり、当該配線層に一方の主面に露出する入出力端子部が形成されたベース基板と、
    誘電絶縁材からなる絶縁層とパターン導体からなる配線層とによって構成され、当該配線層に互いに平行に並ぶように複数形成された第1の線路を有する第1の回路層と、上記第1の回路層上に、誘電絶縁材からなる絶縁膜と磁性材からなる磁性膜とを交互に積層させた構成の磁性層と、上記磁性層上に、誘電絶縁材からなる絶縁層とパターン導体からなる配線層とによって構成され、当該配線層に、互いに隣り合う上記第1の線路のうちの一方の上記第1の線路の一端部と他方の上記第1の線路の他端部とを上記磁性層に形成された層間ビアを介して接続させると共に、互いに同一方向に並んで複数形成された第2の線路を有する第2の回路層とによって構成されるアンテナ回路部とを備え、
    上記アンテナ回路部は、上記ベース基板に対向する面に、上記第1の回路層又は上記第2の回路層の配線層に電気的に接続されたバンプを介して上記ベース基板の上記入出力端子部と電気的に接続され、上記ベース基板の上記配線層に実装されているアンテナ回路装置。
  2. 上記第1の線路又は上記第2の線路が、上記ベース基板の上記アンテナ回路部と対向する主面の配線層に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ回路装置。
  3. 上記第1の回路層及び/又は上記第2の回路層における上記配線層には、レジスタ回路、キャパシタ回路、インダクタ回路、フィルタ回路のうち、一種又は複数種がパターン形成されている請求項1又は請求項2記載のアンテナ回路装置。
  4. 第1のダミー基板に剥離層を介して積層され、誘電絶縁材からなる絶縁層と、パターン導体からなる配線層とにより構成され、平坦化処理で主面が平坦化された回路層を複数形成する回路層形成工程と、
    平坦化処理で平坦化された上記回路層の主面上に、誘電絶縁材からなる絶縁膜と、磁性材からなる磁性膜とが交互に積層された磁性層を形成する磁性層形成工程と、
    何れかの上記回路層の上記配線層に、互いに平行に並ぶように複数設けられた第1の線路を形成させる第1の線路形成工程と、
    上記第1の線路を有する上記回路層以外の上記回路層における上記配線層に、互いに隣り合う上記第1の線路のうちの一方の上記第1の線路の一端部と、他方の上記第1の線路の他端部とを接続させるように設けられていると共に、互いに同一方向に複数並べられた第2の線路を形成させる第2の線路形成工程と、
    上記第1の線路と上記第2の線路とを、互いに隣り合う上記第1の線路のうちの一方の上記第1の線路の一端部と他方の上記第1の線路の他端部とを上記第2の線路が接続させるように、上記磁性層に形成された層間ビアにより接続させることでアンテナ回路部を形成させる回路形成工程と、
    上記第1のダミー基板を積層した面とは反対側の面に、剥離層を介して第2のダミー基板を積層して第1のダミー基板を除去し、上記アンテナ回路部の上記第1の線路を有する第1の回路層に、ベース基板と対向してバンプを形成させるバンプ形成工程と、
    上記バンプを介して、上記アンテナ回路部を、誘電絶縁材からなる絶縁層を介して複数の配線層が形成された多層配線回路基板であり、当該配線層に一方の主面に露出する入出力端子部が形成されたベース基板の当該配線層に実装させる実装工程とを有するアンテナ回路装置の製造方法。
  5. 上記第1の線路形成工程又は上記第2の線路形成工程において、上記第1の線路又は上記第2の線路を、上記ベース基板の上記アンテナ回路部と対向する主面の配線層に形成させる請求項4記載のアンテナ回路装置の製造方法。
  6. 上記回路層形成工程において、少なくとも一層以上の回路層の上記配線層に、レジスタ回路、キャパシタ回路、インダクタ回路、フィルタ回路のうち、一種又は複数種をパターン形成させる請求項4又は請求項5記載のアンテナ回路装置の製造方法。
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