JP2010094064A - 生地用添加剤及びこれを使用した方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然由来の有効成分を含有し、且つ食品の特性を効果的に向上させることのできる生地用添加剤及びこれを使用した方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る生地用添加剤は、ホップ水抽出物を含有することを特徴とする。また、この生地用添加剤は、酵母とともに生地に添加されることとしてもよい。本発明に係る方法は、ホップ水抽出物を生地用添加剤の有効成分として使用することを特徴とする。この方法においては、ホップ水抽出物を含有する生地用添加剤を添加した生地を製造することができる。また、この方法においては、ホップ水抽出物を含有する生地用添加剤が添加された生地を使用して食品を製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、生地用添加剤及びこれを使用した方法に関し、特に、食品の特性を向上させる生地用添加剤に関する。
従来、例えば、パン類の特性を向上させるために生地に添加する添加剤として、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤が用いられていた(特許文献1参照)。
特開2003−23955号公報
しかしながら、添加剤の有効成分としては、より安全性の高い天然由来成分が好ましい。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、天然由来の有効成分を含有し、且つ食品の特性を効果的に向上させることのできる生地用添加剤及びこれを使用した方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る生地用添加剤は、ホップ水抽出物を含有することを特徴とする。本発明によれば、天然由来の有効成分を含有し、且つ食品の特性を効果的に向上させることのできる生地用添加剤を提供することができる。また、この生地用添加剤は、酵母とともに生地に添加されることとしてもよい。こうすれば、酵母による生地の発酵を促進し、食品の特性をより効果的に向上させることができる。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る方法は、ホップ水抽出物を生地用添加剤の有効成分として使用することを特徴とする。本発明によれば、天然由来の有効成分によって、食品の特性を効果的に向上させることのできる方法を提供することができる。
また、この方法においては、前記生地用添加剤を添加した生地を製造することとしてもよい。こうすれば、天然由来の有効成分によって特性が効果的に向上した生地の製造方法を提供することができる。また、この場合、前記生地用添加剤と酵母とを添加した生地を製造することとしてもよい。さらにこの場合、前記生地用添加剤と前記酵母とを添加し、次いで前記酵母による発酵を行うこととしてもよい。こうすれば、酵母による生地の発酵が促進され、その特性がより効果的に向上した生地を製造することができる。また、これらの方法において、前記生地を使用して食品を製造することとしてもよい。こうすれば、天然由来の有効成分によって特性が効果的に向上した食品の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る生地用添加剤(以下、「本添加剤」という。)は、生地を使用した食品の製造方法において、当該生地及び食品の特性を向上させるために当該生地に添加される添加剤である。
そして、本添加剤は、ホップ水抽出物を含有する。すなわち、本添加剤は、生地及び食品の特性を向上させる有効成分としてホップ水抽出物を含有する。また、本実施形態に係る方法(以下、「本方法」という。)においては、このホップ水抽出物を生地用添加剤の有効成分として使用する。
ホップ水抽出物は、ホップを水で抽出して得られる抽出物である。ホップとしては、目的に応じて適切な品種のものを任意に選択して用いることができる。すなわち、例えば、チェコ産ザーツ種ホップ、ドイツ産ハラタウ・トラディション種ホップ、ドイツ産ハラタウ・マグナム種ホップ、ドイツ産ペルレ種ホップ、ドイツ産ヘルツブルッカー種ホップ、アメリカ産ナゲット種ホップ、ニュージーランド産パシフィック・ハラタウ種ホップ、日本国産フラノ18号ホップを用いることができる。
また、ホップとしては、ホップの毬花の全体又は一部を用いることができる。すなわち、例えば、ホップの毬花そのもの、毬花の一部であるルプリン部分、毬花の他の一部である苞部分をそれぞれ単独で又はこれらを混合して用いることができる。
また、ホップとしては、保存や輸送等の目的に応じて適切に加工された任意の形態のものを用いることができる。すなわち、例えば、乾燥させたホップの毬花を圧縮して得られるプレスホップ、乾燥させたホップの毬花を粉砕して得られるホップパウダー、当該ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られるホップペレット、ホップの苞部分からなるスペントホップを用いることができる。
抽出溶媒としての水は、任意の温度のものを用いることができ、例えば、温度が0〜30℃の範囲内の冷水を好ましく用いることができる。なお、抽出効率を向上させることを目的として、水に少量(例えば、10質量%以下の濃度)のアルコール系溶媒(例えば、エタノール)を添加することとしてもよい。
ホップを水で抽出する方法は特に限定されず、目的に応じて適切な方法を任意に選択して実施することができる。すなわち、例えば、まず、所定の容器内にホップと水とを入れて、適度に撹拌しながら、所定の時間だけ放置することにより、当該水中に当該ホップに含有される成分を溶出させる。次いで、この容器からホップ及びホップ由来成分を含有する溶液を回収してろ過し、ホップの残渣が除去されたろ液をホップ水抽出物として回収することができる。また、ろ液を減圧濃縮等の処理により濃縮することもできる。
本添加剤は、このようにして得られるホップ水抽出物そのものとすることができる。また、本添加剤は、ホップ水抽出物に加えて、他の成分や溶媒を含有することができる。すなわち、本添加剤は、例えば、ホップ水抽出物を所定の溶媒により希釈して調製することができる。また、本添加剤は、例えば、その効果が損なわれない限度で、pH調整剤、酸化防止剤、着色料、香料等を含有することができる。
また、本添加剤は、目的に応じて様々な形態の製品とすることができる。すなわち、本添加剤は、例えば、溶液、ペースト、粉末、錠剤(タブレットやカプセル等)とすることができる。
本添加剤が添加される生地は、当該生地を使用して製造される食品の種類に応じた原料から製造される。すなわち、この生地は、例えば、パン類、ケーキ類、麺類、ピザ、餃子やシュウマイの皮、焼き菓子(クッキー、ビスケット等)等の食品の生地とすることができる。ここで、パン類としては、例えば、食パン、菓子パン、蒸しパンが挙げられる。ケーキ類としては、例えば、スポンジケーキやホットケーキが挙げられる。麺類としては、例えば、うどん、らーめん、そば、米粉麺、パスタが挙げられる。
したがって、本添加剤が添加される生地は、例えば、麦粉(小麦粉、大麦粉、ライ麦粉)、そば粉、米粉等の穀粉を主成分として含有する生地とすることができる。この生地は、必要に応じて、砂糖、塩、ショートニング、卵、乳製品(牛乳やバター等)を含む生地とすることもできる。
また、本添加剤は、酵母とともに生地に添加される生地用添加剤とすることができる。すなわち、この場合、生地は、本添加剤に加えて、発酵用の生きた酵母を含有する。酵母としては、生地の発酵に利用できるものであれば特に限られず、任意の種類のものを選択して使用することができ、例えば、パン酵母を好ましく使用することができる。
そして、本方法においては、このような本添加剤を添加した生地を製造することができる。すなわち、この場合、本方法においては、生地用添加剤の有効成分としてホップ水抽出物が添加された生地を製造する。
具体的に、例えば、穀粉、水等の生地の原料と、本添加剤と、をそれぞれ準備し、これらを混合することにより生地を製造する。また、例えば、発酵生地を製造する場合には、穀粉、水、酵母等の原料と、本添加剤と、をそれぞれ準備し、これらを混合することにより生地を製造する。
さらにこの場合、本添加剤と酵母とが添加された生地を発酵することにより発酵生地を製造することができる。すなわち、生地内において、ホップ水抽出物の存在下で酵母による発酵を行う。
より具体的に、例えば、パン類やケーキ類を製造する場合には、本添加剤及び酵母を含む生地を、当該酵母による発酵に適した温度で、所定時間保持することによって、当該生地の膨張を伴う発酵を行う。
また、これらの生地は、保存等の目的で冷凍することができる。酵母が添加される場合には、冷凍生地は、当該酵母による発酵が行われた後に冷凍された生地とすることができ、又は当該酵母による発酵が行われる前に冷凍された生地とすることができる。
また、本方法においては、このようにして製造された生地を使用して食品を製造することもできる。すなわち、例えば、パン類、ケーキ類、ピザ、焼き菓子等の食品を製造する場合には、本添加剤が添加された生地を焼成する。また、例えば、麺類、餃子やシュウマイの皮等の食品を製造する場合には、本添加剤が添加された生地を所定の形状に成形する。また、成形された生地を茹でることもできる。
本添加剤は、ホップ水抽出物を含有することにより、外観、触感、食感、香り、味等、生地及び食品の特性を効果的に向上させることができる。
ここで、ホップ水抽出物を生地に添加することによって、当該生地及び当該生地から製造される食品の特性を向上させることができるという知見は、本発明の発明者が鋭意検討を行った結果、独自に見出したものである。
この知見によれば、抽出溶媒として水を用いることにより、ホップに含有されている有効成分を効果的に抽出できる。すなわち、水を用いることにより、例えば、ホップに含有されている苦味成分が抽出されることを抑制しつつ、食品の特性向上に寄与する成分を効率よく抽出することができる。
このため、ホップ水抽出物は、ホップ由来の有効成分を苦味成分に対して優先的に含有することができる。したがって、本添加剤を生地に添加すると、食品の苦味増加を抑えつつ、当該生地及び当該生地から製造される食品の特性を効果的に向上させることができる。
なお、ビールの製造で好ましく利用されるホップ由来の苦味成分は煮沸等の高温抽出で効率よく抽出される。このため、例えば、ホップを煮沸して得られた抽出物を生地に添加すると、当該生地から製造した食品には必然的に顕著な苦味が付与されてしまう。
また、抽出溶媒として水を用いることにより、食品に適さない強い草的な香りがホップから抽出物に移行することを効果的に抑制することができる。また、草的な香りの成分が水抽出物に僅かに混入した場合であっても、例えば、減圧濃縮によって当該成分を効果的に除去することができる。なお、ホップの煮沸により得られる熱抽出物には、この草的な香りの成分が大量に含まれるため、減圧濃縮を行ったとしても、当該成分を十分に除去することはできない。また、ホップ粉末等、ホップそのものからなる添加剤においては、当該ホップに含まれる草的な香りの成分はそのまま含まれる。したがって、本添加剤を生地に添加すると、食品には適さない強い草的な香りが食品に対して付与されることを効果的に抑制しつつ、当該生地及び当該生地から製造される食品の特性を効果的に向上させることができる。
また、本添加剤は、パン類、ケーキ類、ピザ、焼き菓子等の生地及び当該生地を用いた食品の製造に使用することができるが、本添加剤は、従来使用されている、いわゆるホップ種とは全く異なるものである。すなわち、ホップ種は、例えば、ホップの煮汁にジャガイモや小麦粉等を添加して醗酵させ、さらに種継ぎを繰り返すといった煩雑な操作により製造される。これに対し、本添加剤は、上述のとおり、ホップを水で抽出することによって簡便に且つ効率よく製造することができる。しかも、微量の本添加剤をそのまま生地に添加するだけで、簡便に且つ確実に当該生地及び当該生地から製造される食品の特性を向上させることができる。なお、ホップ種はホップに由来する抗菌性を有するが、ホップ水抽出物には、ホップに由来するα酸等の防腐効果を有する成分はほとんど含まれない。
また、ホップ水抽出物は、発酵生地及び当該発酵生地から製造される食品の特性を効果的に向上させることができる。これは、ホップ水抽出物によって、生地内における酵母の発酵が促進されることによるものと考えられる。また、本添加剤を、パン類、ケーキ類、ピザ、焼き菓子等の生地及び当該生地を用いた食品の製造に使用することにより、例えば、触感における弾力性やしっとり感の向上、食感におけるモチモチ感や柔らかさの向上といった効果を得ることができる。また、本添加剤を、麺類、餃子やシュウマイの皮等の生地及び当該生地を用いた食品の製造に使用することにより、例えば、脆さを増大させることなく柔らかさが向上するといった効果を得ることができる。
次に、本実施形態に係るより具体的な例を示す。
[実施例1]
実施例1では、本添加剤を使用して食パンを製造した。まず、次のような手順で本添加剤を製造した。すなわち、まず100gのホップペレットを2Lの冷水(20℃)に浸漬し、適宜撹拌しながら一晩静置した。次いで、このホップペレットを含む水溶液を15分遠心分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃縮した。上清の濃縮は減圧濃縮により行い、Brix値は糖度計(PAL−1、株式会社アタゴ製)を用いて測定した。こうして得られた液状の濃縮物(すなわち、ホップ水抽出物)をそのまま本添加剤として使用した。
次に、市販の家庭用パン製造機(ホームベーカリーSPM−KP1、三洋電機株式会社)(以下、「ホームベーカリー」という。)を使用して食パンを製造した。なお、ホームベーカリーを使用した以下の操作は、当該ホームベーカリーに付属した取扱説明書に従って実行した。
パン生地の原料としては、260gの強力粉、4gの塩、17.5gの砂糖、5gのスキムミルク、20gのショートニング、2gのドライイースト、所定量の水及び所定量の本添加剤を使用した。
ここで、本添加剤は、強力粉に対して0.25重量%、0.5重量%又は1.0重量%に相当する量で使用した。すなわち、第一の条件では、260gの強力粉と、当該強力粉の0.25重量%に相当する0.65gの本添加剤と、を含む原料に水を加え、総量を180mLとした。また、第二の条件では、260gの強力粉と、当該強力粉の0.5重量%に相当する1.3gの本添加剤と、を含む原料に水を加え、総量を180mLとした。また、第三の条件では、260gの強力粉と、当該強力粉の1.0重量%に相当する2.6gの本添加剤と、を含む原料に水を加え、総量を180mLとした。
より具体的には、まずホームベーカリーに水及び本添加剤を入れた。一方、強力粉、塩、砂糖、スキムミルク及びショートニングを混合して粉末原料を調製した。そして、水及び本添加剤の入ったホームベーカリーに、この粉末原料を入れた。さらに、ホームベーカリー内で水の上に浮遊した粉末原料の中央付近に、当該水に触れないようにドライイーストを添加した。その後、運転開始ボタンを押して、「小麦コース・食パンメニュー」を選択してホームベーカリーを作動させた。
ホームベーカリーにおいては、パン生地をこねる工程、当該パン生地を発酵させる一次発酵工程、当該パン生地からのガス抜き等を行うベンチタイム工程、当該パン生地を丸める工程、及び当該パン生地をさらに発酵させる二次発酵工程、当該パン生地を焼き上げる工程が順次実行された。
こうして、本添加剤を0.25重量%、0.5重量%又は1.0重量%使用した3種類の食パン(以下、それぞれ「0.25%添加」、「0.5%添加」、「1.0%添加」という。)を製造した。また、本添加剤を使用せず、180mLの水を使用する点以外は同様の条件にて食パン(以下、「無添加I」という。)を製造した。
そして、これら4種類の食パンについて、官能検査及びテクスチャー試験を行った。官能検査は、熟練した3人のパネリストにより行った。テクスチャー試験は、クリープメータ(RE2−33005B 自動解析装置CA3305付、株式会社山電)を用いて行った。なお、このテクスチャー試験においては、クリープメータの試験台に所定サイズ(70mm×55mm、厚さ20mm)の食パン片を載せ、当該食パン片に当該クリープメータのプランジャー(直径30mm、プラスチック製)を押し当てた際に検出される荷重と、当該食パン片の歪率と、を測定した。
図1には、官能検査の結果を示す。図1においては、「無添加I」、「0.25%添加」、「0.5%添加」、「1.0%添加」の各食パンについて、5つの評価項目(外観、香り、触感、食感、味)に関するパネラーによるコメント及び点数を示している。なお、点数が高いほど、より好ましい評価が得られたことを示している。また、図1に示す「平均点」は5つの評価項目について得られた点数の算術平均値である。
図1に示すように、本添加剤が添加された3種類の食パンについては、「無添加I」に比べて、特に、触感に関して弾力性やしっとり感の向上、食感に関してモチモチ感や柔らかさの向上といったより好ましい評価が得られた。なお、本添加剤の使用に伴って食パンに付与された苦味は、ホップに由来すると思われたが、その点数から明らかなように、食材として十分に許容されるものであった。
また、図1においては、各食パンの膨らみの程度を表す指標として、その高さ(mm)及び幅(mm)を測定した結果も示している。この結果から、特に「0.5%添加」及び「1.0%添加」について、高さが顕著に増加しており、生地がより効果的に膨張していた。
このように、本添加剤を生地に添加することにより、食パンの特性が向上することが確認された。本添加剤の使用に伴う効果をもたらす原因の一つとしては、ホップ水抽出物による発酵促進が考えられた。
図2には、テクスチャー試験の結果を示す。図2において、横軸は、プランジャーによる押圧に伴う食パン片の変形の程度を表す歪率(%)、縦軸は、当該押圧に伴い当該食パン片に加えられた荷重(N)をそれぞれ示している。また、図2において、破線は「無添加I」、一点鎖線は「0.25%添加」、二点鎖線は「0.5%添加」、実線は「1.0%添加」についての結果をそれぞれ示し、各線の頂点は、食パン片が破断した点を示している。
図2に示すように、本添加剤が添加された3種類の食パンについては、「無添加I」に比べて、より低い荷重でより大きな歪率が得られ、より大きな歪率で破断した。すなわち、本添加剤が添加されることによって、食パンの柔らかさが増す一方で、パンの組織が壊れにくくなっていることが示された。
また、本添加剤の添加量が増加するに従って、より低い荷重でより大きな歪率が得られ、より大きな歪率で破断した。すなわち、本添加剤の添加量が増加するに従って、食パンの柔らかさが増す一方で、パンの組織が壊れにくくなっていることが示された。
これらの結果は、図1に示した官能検査の結果を裏付けるものであった。このように、本添加剤を生地に添加することによって、当該生地から製造される食パンの特性を向上させることができた。
[比較例1]
比較例1では、ホップ粉末からなる生地用添加剤(以下、「比較添加剤」という。)を使用して食パンを製造した。まず、次のような手順で比較添加剤を製造した。すなわち、40℃の熱風で乾燥したホップを、ハンマーミル(ZM100、株式会社Retsch製)で粉砕し、メッシュ径1mmの篩にかけた。篩を通過したホップ粉末をそのまま比較添加剤として使用した。
次に、本添加剤を使用した上述の実施例1と同様に、ホームベーカリーを使用して、比較添加剤が添加された食パンを製造した。すなわち、第一の条件では、強力粉の0.25重量%に相当する0.65gの比較添加剤と、259.35gの強力粉と、180mLの水と、を使用した。また、第二の条件では、強力粉の0.5重量%に相当する1.3gの比較添加剤と、258.7gの強力粉と、180mLの水と、を使用した。また、第三の条件では、強力粉の1.0重量%に相当する2.6gの比較添加剤と、257.4gの強力粉と、180mLの水と、を使用した。
こうして、比較添加剤を0.25重量%、0.5重量%又は1.0重量%使用した3種類の食パン(以下、それぞれ「0.25%比較」、「0.5%比較」、「0.1%比較」という。)を製造した。また、比較添加剤を使用せず、260gの強力粉を使用する点以外は同様の条件にて食パン(以下、「無添加II」という。)を製造した。そして、上述の実施例1と同様に、これら4種類の食パンについて、官能検査及びテクスチャー試験を行った。
図3には、官能検査の結果を示す。図3においては、図1と同様に、「無添加II」、「0.25%比較」、「0.5%比較」、「1.0%比較」の各食パンについて、5つの評価項目に関するパネラーによるコメント及び点数、当該点数の平均点、食パン片の高さ(mm)及び幅(mm)が示されている。
図3に示すように、比較添加剤が添加された3種類の食パンについては、「無添加II」に比べて、特に、触感及び食感に関してパサつきが増加し、香り及び味に関してホップに由来する強い草的な香り及び苦味の増加といった好ましくない評価が得られた。特に、ホップ由来の強い草的な香り及び強い苦味は、食品として許容し難いものであった。また、比較添加剤の添加による効果的な生地の膨張は見られなかった。
図4には、テクスチャー試験の結果を示す。図4においては、図2と同様に、横軸は歪率(%)、縦軸は荷重(N)をそれぞれ示し、破線は「無添加II」、一点鎖線は「0.25%比較」、二点鎖線は「0.5%比較」、実線は「1.0%比較」についての結果をそれぞれ示している。図4に示すように、比較添加剤が添加された3種類の食パンと「無添加II」との間には顕著な違いは見られなかった。このように、比較添加剤の使用によっては、食パンの特性の向上は達成されなかった。
[実施例2]
実施例2では、本添加剤を使用して、うどんを製造した。まず、上述の実施例1と同様の手順で本添加剤を製造した。次に、ホームベーカリーを使用して、うどんを製造した。なお、ホームベーカリーを使用した以下の操作は、当該ホームベーカリーに付属した取扱説明書に従って実行した。
うどんの原料としては、中力粉、食塩水及び本添加剤を使用した。すなわち、400gの中力粉と、当該中力粉の0.5重量%に相当する2gの本添加剤と、に6%の食塩水を加え、総量を200mLとした。
より具体的には、まずホームベーカリーに本添加剤及び食塩水を入れ、続いて中力粉を入れた。そして、「小麦コース・ヌードルメニュー」を選択し、運転開始ボタンを押して、麺モードにてホームベーカリーを作動させた。ホームベーカリーにおいては、うどん生地をこねる工程、当該うどん生地からのガス抜き等を行うベンチタイム工程が順次実行された。こうして、うどん生地を製造した。
その後、うどん生地をホームベーカリーから取り出し、打ち粉をした板に載せた。次いで、このうどん生地を麺棒で平らに伸ばし、折りたたみ、さらに包丁で所定の太さに切って、うどんにした。このうどんを、十分量の湯で所定時間(12分、18分又は24分)茹でた後、冷水で冷却した。
こうして、茹で時間が12分、18分、又は24分である3種類のうどん(以下、それぞれ「添加−12分」、「添加−18分」、「添加−24分」という。)を製造した。また、比較のため、同様にして、原料として中力粉400g及び6%の食塩水200mLを使用し、本添加剤を使用することなく、茹で時間が12分、18分、又は24分である3種類のうどん(以下、それぞれ「無添加III−12分」、「無添加III−18分」、「無添加III−24分」という。)を製造した。そして、プランジャーとしてクサビ型(W13×30°、先端1mm幅平面、クサビ幅10mm)を使用した以外は上述の実施例1と同様に、これら6種類のうどんについて、クリープメータを用いたテクスチャー試験を行った。なお、茹でたうどんは、その乾燥を防ぐため、クリープメータによる測定までは濡れ布巾に包み、速やかに測定した。
図5には、テクスチャー試験の結果を示す。図5において、横軸は、プランジャーによる押圧に伴ううどん片の変形の程度を表す歪率(%)、縦軸は、当該押圧に伴い当該うどん片に加えられた荷重(N)をそれぞれ示している。また、図5において、白丸印は「無添加III−12分」、白三角印は「無添加III−18分」、白四角印は「無添加III−24分」、黒丸印は「添加−12分」、黒三角印は「添加−18分」、黒四角印は「添加−24分」についての結果をそれぞれ示し、これらの印を繋ぐ各線の頂点は、うどん片が破断した点を示している。
図5に示すように、茹で時間が同一の場合、本添加剤が添加されたうどんについて、本添加剤が添加されていないうどんに比べて、より低い荷重でより大きな歪率が得られた。また、茹で時間が18分及び24分の場合には、本添加剤が添加されたうどんについて、本添加剤が添加されないうどんに比べて、破断直前における歪率の増加に伴い荷重が増加する傾きが緩やかになる傾向が見られた。すなわち、本添加剤が添加されることによって、茹で過ぎた場合のような脆さ(切れやすさ)の増大を伴うことなく、うどんの柔らかさを適度に増すことができた。また、本添加剤が添加されていないうどんは、茹で時間が12分の場合に比べ、茹で時間がより長い18分及び24分のいずれの場合においても、より小さな歪率で破断し、茹で時間の増加に伴い脆さが確実に増大する傾向が見られた。これに対し、本添加剤が添加されたうどんは、茹で時間が24分の場合においても、破断する歪率は茹で時間が12分の場合と同一であった。すなわち、本添加剤の添加により、茹で時間の増加に伴う脆さの増大を抑制できた。このように、本添加剤を生地に添加することによって、当該生地から製造されるうどんの特性を向上させることができた。
本発明の一実施形態に係る生地用添加剤を使用して製造された食パンについて、官能検査結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る生地用添加剤を使用して製造された食パンについて、テクスチャー試験結果の一例を示す説明図である。 ホップ粉末を使用して製造された食パンについて、官能検査結果の一例を示す説明図である。 ホップ粉末を使用して製造された食パンについて、テクスチャー試験結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る生地用添加剤を使用して製造されたうどんについて、テクスチャー試験結果の一例を示す説明図である。

Claims (7)

  1. ホップ水抽出物を含有する
    ことを特徴とする生地用添加剤。
  2. 酵母とともに生地に添加される
    ことを特徴とする請求項1に記載された生地用添加剤。
  3. ホップ水抽出物を生地用添加剤の有効成分として使用する
    ことを特徴とする方法。
  4. 前記生地用添加剤を添加した生地を製造する
    ことを特徴とする請求項3に記載された方法。
  5. 前記生地用添加剤と酵母とを添加した生地を製造する
    ことを特徴とする請求項4に記載された方法。
  6. 前記生地用添加剤と前記酵母とが添加された生地を発酵させる
    ことを特徴とする請求項5に記載された方法。
  7. 前記生地を使用して食品を製造する
    ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載された方法。
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