以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。図における同一符号は同一物または相当物を示す。
まず、空気調和機の全体構成について図1〜図4を用いて説明する。図1は実施例の空気調和機の構成図である。図2は空気調和機の室内機の断面図である。図3は室内機の上下風向板を開いた外観斜視図である。図4は室内機の表示装置の拡大図である。
空気調和機1は、室内機2と室外機6とを接続配管8で接続し、室内を空気調和する。室内機2は、筐体ベース21の中央部に室内熱交換器33を置き、室内熱交換器33の下流側に室内熱交換器33の幅と略等しい長さの横流ファン方式の室内送風機311を配置し、露受皿35等を取り付け、これらを化粧枠23で覆い、化粧枠23の前面に前面パネル25を取り付けている。この化粧枠23には、室内空気を吸込む空気吸込み口27と、温湿度が調整された空気を吹出す空気吹出し口29とが上下に設けられている。室内熱交換器33の空気流下流には室内送風機311が設けられ、室内送風機311が回転すると室内空気が室内機2に設けられた空気吸込み口27から室内熱交換器33,室内送風機311を通って室内送風機311の長さに略等しい幅を持つ吹出し風路290に流れ、吹出し風路290途中に配した左右風向板295で気流の左右方向を偏向され、更に、空気吹出し口29に配した上下風向板291で気流の上下方向を偏向されて室内に吹出す。
筐体ベース21には、室内送風機311,フィルター231,231′,室内熱交換器33,露受皿35,上下風向板291,左右風向板295等の基本的な内部構造体が取り付けられ、これらの基本的な内部構造体は、筐体ベース21,化粧枠23,前面パネル25からなる筐体20に内包され室内機2を構成する。
また、前面パネル25の下部一側には、運転状況を表示する図4のような複数の発光部397−1〜6を持つ表示装置397と、別体のリモコン5からの赤外線の操作信号を受ける受光部396とが配置されている。
化粧枠23の下面に形成される空気吹出し口29は、前面パネル25との分割部に隣接して配置され、奥の吹出し風路290に連通している。上下風向板291は、閉鎖状態で、吹出し風路290をほぼ隠蔽して室内機2の底面に連続する大きな曲面を有するように構成されている。この上下風向板291は、両端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5からの指示に応じて、駆動モータにより空気調和機1の運転時に所要の角度回動して空気吹出し口29を開き、その状態に保持する。空気調和機1の運転停止時には、この上下風向板291は空気吹出し口29を閉じるように制御される。
左右風向板295は、下端部に設けた回動軸を支点にして駆動モータにより回動され、リモコン5からの指示の応じて回動されてその状態に保持される。これによって、吹出し空気が左右の所望の方向に吹出される。なお、リモコン5から指示することにより、空気調和機1の運転中に上下風向板291,左右風向板295を周期的に揺動させ、室内の広範囲に周期的に吹出し空気を送ることもできる。
可動パネル251は、下部に設けた回動軸を支点として駆動モータにより回動され、空気調和機1の運転時に前側空気吸込み部230′を開くように構成されている。これによって、室内空気は、運転時に前側空気吸込み部230′からも室内機2内に吸引される。空気調和機1の停止時には、前側空気吸込み部230′は閉じるように制御される。
室内機2は、内部の電装品ボックスに制御基板を備え、この制御基板に室内機制御部10が設けられる。この室内機制御部10は、室内温度センサー,室内湿度センサー等の各種のセンサーからの信号を受けると共に、リモコン5からの操作信号を受光部396を介して受ける。この室内機制御部10は、これらの信号に基づいて、室内送風機311,可動パネル駆動モータ,上下風向板駆動モータ,左右風向板駆動モータ等を制御すると共に、室外機6との通信を司り、室内機2を統括して制御する。また、制御基板の適所に、音発生装置395を備え、リモコン5からの信号を受信した時に、確認用の応答音を発する。
フィルター231,231′は、吸込まれた室内空気中に含まれる塵埃を取り除くためのものであり、室内熱交換器33の吸込側を覆うように配置されている。露受皿35は、室内熱交換器33の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器33に発生する凝縮水を受けるために設けられている。受けて集められた凝縮水はドレン配管37を通して室外に排出される。
次に、空気調和機の全体制御について図5,図6を用いて説明する。図5は空気調和機の構成を示すブロック図である。図6は室内機のリモコン、(b)は詳細設定ボタン部である。
空気調和機はリモコン5,室内機2,室外機6の各々に分かれて備えられたリモコン制御部,室内機制御部10,室外機制御部により制御される。リモコン5には該リモコン制御部,操作ボタン,表示部,変調回路,送信部などが内蔵され、操作ボタンは普段良く使い、外部から直接押すことのできる外部操作ボタン53と、普段はあまり使わない、扉52の内部に隠されている内部操作ボタン55がある。
操作ボタン53,55を押すとリモコン制御部は操作ボタンからの信号を読み込み、これをもとに空調動作の指示信号(操作情報)を出力する演算制御器として、例えば、マイコン等で構成されている。すなわち、操作器制御部は操作ボタンとともに、操作ボタンの操作に伴う操作情報を出力する操作手段を構成している。このとき、リモコン送信部54からの信号を後述する室内機制御部10が受付けたことを確認する応答音が後述する音発生装置395から発せられ、リモコン5の操作を明瞭に確認できる。
また、実施例の空気調和機には故障が起きた場合、または正常動作ではあるが使用者の意図とは異なる動作になる場合に(使用者が禁止操作をした場合も含む)、使用者にこれを報せるために、故障状態または動作状態を表示装置397の点滅で報せる機能が付いている。
この表示装置397が故障情報または動作情報を点滅表示で通報中に、特定の内部操作ボタン(実施例では内部操作ボタン55h=「上下」ボタン:上下風向板の風向位置を変更する。)を長時間(実施例では5秒間以上)押し続けると、故障情報または動作情報に応じて後述する音発生装置395が断続鳴動する。
液晶表示部51は操作ボタンの操作による空調動作の設定値(操作情報)を表示する表示装置として、例えば、液晶表示板等で構成されている。この表示内容の信号はリモコン制御部より出力される。送信部54は電圧の印加により赤外線パルス等の無線信号を発信する素子、例えば、赤外線発光素子等で構成されている。変調回路は上記指示信号をもとに送信部への印加電圧を発生する回路である。変調回路および送信部54は、送信手段として、上記指示信号を空気調和機の室内機2に向けて遠隔送信する。
室内機2は、受光部396,復調回路,室内機制御部10,音発生装置395,室内機機構部,室内機駆動回路,室内センサー,表示装置397を備えて構成されており、空気調和機本体の、空調空間内に設置される部分であり、冷気,暖気等の空調空気を空調空間に放出する。
受光部396は、受信手段として、送信部54からの赤外線パルス等の無線信号を受信して電気信号を発生する素子、例えば、赤外線受光素子等で構成されている。復調回路は受光部396からの電気信号を指示信号に復元する回路である。
室内機制御部10は、鳴動制御手段,指示信号出力手段および風向板制御手段として、復調回路からの指示信号を読み込み、これに基づいて空気調和機の制御を行う部分であり、例えば、マイコン等で構成されている。また、室内機制御部10には、後述の室内センサー,室外センサー等からの信号や、回路の短絡,開放状態等に応じて、空気調和機の意図しない動作や異常な状態を判断し、動作状態や故障状態を診断する診断部が内蔵され、診断結果に応じて特定の表示装置397の発光部397−1〜6を点滅表示させたり、音発生装置395を断続鳴動させて故障状態を通報する。
音発生装置395は電気信号により音を発生する鳴動手段として、例えば、圧電ブザー等で構成されている。この音発生装置395には室内機制御部10からの電気信号が入力される。
室内機機構部は室内送風機311,上下風向板291,左右風向板295および上下,左右風向板回転用のモータ等の、空調空気の放出を行う駆動部分である。室内機駆動回路は室内機制御部10が出力する制御信号にもとづいて、室内機機構部の駆動電力を発生する。室内センサーは温度,湿度,電気量等の、空気調和機の制御に必要な空調空間の情報や、冷凍サイクル,電気回路等の情報を計測する一連のセンサーであり、室内センサーの検出による情報が室内機制御部10に入力される。
表示装置397は空気調和機が運転中であること、タイマーの予約がされていること等を点灯表示する「運転」,「タイマー」等の発光部397−1〜6からなり、発光ダイオード(LED)等の発光素子で構成されている。
実施例では図4のように表示装置397としてこの他、室内空気の汚れをモニターする「みはり」,フィルターの清掃動作中を示す「清掃」,空気清浄運転中を示す「清浄」,人センサーによる運転中を示す「センサー」の発光部(LED)397−3〜6を備えている。表示装置397の表示内容は室内機制御部10によって制御される。また、室内機制御部10は室外機6との間で制御信号の授受を行うようになっている。
室外機6は、室外機制御部,室外センサー,室外機駆動回路,室外機機構部を備え、空気調和機本体のうち屋外に設置される部分として構成されている。この室外機6は室内機2と接続配管8,接続ケーブルで結合されており、冷房時に熱を放出し、暖房時に熱を吸収することができる。室外機制御部は、室内機制御部10とともに空気調和機の運転を制御する運転制御手段および空調制御手段を構成し、室内機制御部10が出力する制御信号を読み込み、これに基づいて室外機6を制御する部分であり、例えば、マイコン等で構成されている。実施例では室外機制御部にも室外機に起因する故障または意図しない動作の診断部を内蔵させ、室内機制御部10にその情報を伝達するようにしている。室外機機構部は圧縮機およびファン等の、冷媒を圧縮して上記熱の放出,吸収を行う駆動部分である。
室外機駆動回路は室外機制御部が出力する制御信号にもとづいて、室外機機構部に必要な駆動電力を発生する。室外センサーは、外気温,湿度,電気量等の、空気調和機の制御に必要な屋外の情報や、冷凍サイクル,電気回路等の情報を計測する一連のセンサーであり、室外センサーの検出による情報は室外機制御部を介して必要に応じて室内機制御部10に入力される。
空気調和機を冷房運転する時には図2に破線で示すように上下風向板291は吹出し風路290の上壁290a,下壁290bと略平行な姿勢または水平な向きにして使用される。また、吹出された冷風が直接、在室者に当って不快感を生じさせる場合は、適宜、上下風向板291や左右風向板295の方向をリモコン5で変更し、在室者の周囲を快適な温湿度に保つ。
空気調和機を暖房運転する時には図2に点線で示すように上下風向板291はほぼ垂直に近い姿勢にして使用される。このようにすることにより、吹出し風路290を流れる温風は空気調和機から下方に向かって吹出し、床面近くまで到達し、足もと近くを暖め、室内を快適な環境にする。
次に、空気調和機が故障または意図しない動作をしたときの故障状態または動作状態の通報の方法について図7〜図11を用いて説明する。図7は室内機の表示装置発光タイムチャート1である。図8は空気調和機の故障及び動作コード表、(a)は室内機の故障及び動作コード表、(b)は室外機の故障及び動作コード表である。図9は室内機の鳴動発光タイムチャート1、(a)はブザー鳴動タイムチャート、(b)はLED発光タイムチャートである。図10は室内機の音発生装置鳴動タイムチャート1である。図11はタイムチャートの各部名称説明図である。
空気調和機の運転中に異常または意図しない動作が発生した場合に、これを通報する動作について説明する。異常とは過電流,過熱等、空気調和機が正常に動作しないことであり、意図しない動作とは異常ではないが使用者の意図する動作以外の動作をすることである。
空気調和機の運転中に異常または意図しない動作が発生すると、室内機制御部10は異常または意図しない動作を示す通報信号を演算作成して出力する。異常または意図しない動作は室内機制御部10、または室外機制御部の故障及び動作診断部のプログラムにより検出する。このとき、室内機制御部10は異常または意図しない動作の内容に応じて、空気調和機の機能の一部又は全部を停止し、表示装置397の特定の発光部を点滅させる。
以下、異常な状態になった場合を例に採り、詳細に説明する。例えば、室外機6を狭い場所に据付けた時などに、据付け当初は室外機6の通風を妨げないように、必要かつ十分な空間を確保していたが、長年使用しているうちに、周囲に物や鉢植えを置いたり、植木が伸びて葉が繁ったりして室外機6の通風が十分で無くなると、冷房の場合、冷凍サイクルの高圧側圧力が上昇し、冷凍サイクルの圧縮機に過大な負荷がかかり、圧縮機の回転を維持できなくなって圧縮機が停止する。
この場合、空気調和機は送風運転は続けるものの冷房機能は停止し、室外機制御部の故障診断部で室外機6の回路各部の短絡,開放状態を総合判断して圧縮機過負荷下限カットと診断し、その情報を室内機制御部10に送る。室内機制御部10はこの情報に基づいて、表示装置397のみはりLED397−3を図7のように0.35秒間の消灯を挟んで0.35秒間の点灯を5回繰返し、2秒間休む(消灯する)サイクルで繰返し点滅させる。
この点滅するLEDの種類と点滅の回数の組合せと故障の状態は予めコード化されて図8のように故障コード表に纏められていて、点滅するLEDの種類と点滅の回数で故障コード表を参照することで故障の状態を知ることができる。
このとき、空気調和機の使用者は、運転の操作をしても空気調和機が運転しないので、室内機2を注視し、表示装置397が点滅していることに気付く。表示装置397の点滅に気付いた使用者は、空気調和機を購入した販売店、又は、製造者のサービス部門に、運転を再開する方法を、多くの場合電話で問い合わせる。
問い合わせを受けた販売店又はサービス部門の担当者は、使用者の問い合わせにより、空気調和機の型式,故障現象などを把握する。しかし、使用者が電話する時点で、どのLEDが何回点滅しているかを正確に覚えていることは稀で、使用者からの故障状態の通報は、「空気調和機が運転しない」,「空気調和機のLEDが点滅している」の2点くらいに留まるのが普通である。
これに対して、どのLEDが何回点滅しているかを尋ねると、使用者に点滅しているLEDに書いてある字を読み取ってもらい更に、その回数を目を凝らして数えて貰わなければならない。
しかし、これを尋ねると、使用者の目の良否、外国人の場合は字の識別力、回数を数えている間の瞬きの禁止等、使用者に不快な負担を強いることにもなりかねず、空気調和機が使えない状況でのイライラも手伝って、使用者が怒り出してしまい、必要な情報が取れない場合も多々有る。
このため、サービスマンを使用者宅まで派遣し、故障情報を正確に把握した後に、簡単な修理であれば、その場で修理することもできるが、簡単な修理で無い場合は、再訪を約し、必要なパーツ,工具,技術を確認して、本格修理に向かうため、簡単な修理で無い場合は、掛かる時間が更に長く掛かってしまう。
その間、使用者に我慢を強いることになると共に、サービス部門としても故障情報の正確な把握のためだけに使用者宅を訪れなければならず、修理の効率が上がらない悩みがあった。
本発明の空気調和機はこのような時に効果を発揮するもので、サービス部門の担当者が使用者から型式,故障現象などを聞いた後、この空気調和機がブザー音による故障通報機能があることを告げ、「ピッピッ」と言う音と「ピーッ、ピーッ、ピーッ、」と言う音のように、ブザー音をまねして見せ、ブザー音の鳴動方法を教えて、ブザー音の鳴動を依頼する。
実施例ではブザーを鳴動させる方法として、リモコン5の内部操作ボタン55h(「上下」ボタン)を5秒以上押すという方法を採用し、ブザー395が鳴動している時に同じ上下ボタン55hを5秒以上長く押すことにより、ブザー395の鳴動が停止するように構成した。
ブザー音の鳴動方法がリモコン5の特定ボタンの長押しだけであるので、慣れない使用者でも容易に操作でき、ブザー音を聞くと、いつもリモコン5を操作したときに聞く応答音が断続して鳴動するので、直ぐに、それと判る。
続いて、担当者は電話の送話口を空気調和機に近づけて、例えば、1分間ブザー音を聞かせて貰えるように依頼する。電話が固定電話の場合は送話口を空気調和機に近づけるのが困難な場合も有るが、携帯電話が普及している昨今ではこの依頼も簡単に適えられる。
ブザー395の鳴動音の周波数は0.3kHz〜3.4kHzに設定されているので、固定電話でも、携帯電話でも伝送可能であり、好ましくは1.8kHz以上と人の普通の話し声の中心帯域である男0.8kHz,女1.2kHzから離れた帯域に選定してあるので、人の話し声から聞き分けやすく、サービス部門の担当者は電話を通して、空気調和機が発する故障情報を明瞭に聴くことができる。
実施例では、電話による伝送が可能で、市場での入手のし易さも考慮して、ブザー395の鳴動音の周波数を2kHzとしている。
ブザー395の鳴動音は図9(a)のように、短いパルス音と長いパルス音の組合せで構成される。説明の例では、短い「ピッピッ」と言う音が2回有り、長い休止時間があって次にやや長い「ピーッ、」と言う音が「ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、」と5回続いて、長い休止時間が有り、以下、長い休止時間を挟んで「ピッピッ」と「ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、」が繰返される。このとき、室内機2の表示装置397のみはりLED397−3が図9(b)のように長いパルス音に同期して点滅する。
ここで、鳴動音の各部の呼称とその長さについて図10,図11を用いて説明する。
通報音の1周期は通報音サイクルであり、説明の例では13.95秒で有り、故障状態によってその長さは異なり、実施例では最長で30秒以内に抑えるようにした。
鳴動音サイクルは短いパルスの断続である短パルス部と、長いパルスの断続である長パルス部と、これらを区切る消音部1,消音部2で構成される。
短パルス部は短停止部を挟んだ複数の短パルスからなる組パルスで構成され、組パルス間には組停止部が設けられている。1個の組パルスと1個の組停止部の合体を組サイクルと言い、1個の短パルスと1個の短停止部の合体を短パルスサイクルと言う。
短停止部は短パルスを「ピッピッ・・・」と聞き分けられるように0.03秒以上とし、実施例では0.05秒とした。また、組停止部は組パルス中の短パルスの断続と誤解を与えないよう、短停止部の3倍以上の長さをとり、実施例では0.5秒とした。
消音部1,2は3秒以上とし、実施例では5秒とした。これは、短パルス部の組パルスの数と組パルス中の短パルスの数や、長パルスの数をメモなどに記入するための時間で、メモを取ることにより、勘違いなどを防いで、確実に故障情報を把握することができる。
長パルス部は長パルスで構成され、長パルス間には長停止部が設けられている。1個の長パルスと1個の長停止部の合体を長パルスサイクルと言う。長パルス部は表示装置397の点滅と同期させて、同じ故障内容を表示していることを理解し易くさせ、混乱を防いでいる。このようにするため、長停止部の長さは表示装置397の点滅を視覚の残像の影響があっても見分けられるように、0.2秒以上とし、実施例では0.35秒とした。
電話口のサービス部門の担当者はブザー音を聞き分け、組パルス中の短パルスの数と組パルスの数を数え、消音部1でメモにとる。このとき、短パルスの数と組パルスの数をリズムとして捕らえて覚えると聞き分けがうまく行く。次いで、長パルスの数を数えて、消音部2でメモにとる。
ブザー音を聞かせて貰う時間は1分とお願いしてあるので、少なくとも2サイクルの鳴動音を聞くことができ、コード化された故障情報を正確に把握できる。故障コード(コード化された故障情報)を正確に把握した担当者は、故障コードを予め定めてある故障コード表と対比し、故障状態を知ることができる。
故障状態を把握した担当者は、使用者自身が解決できるような故障か、サービスマンの派遣が必要な故障かを伝え、使用者の意向を確認し、使用者がサービスマンの派遣を希望すれば、故障状態に応じたパーツ,工具,技術,資料を確認して、これらを持ったサービスマンの派遣を手配する。
サービス部門の担当者は故障状態を把握した後、ブザー音を停止する操作を使用者に伝え、室内の静かな環境を取戻せるようにする。
故障情報に応じた十分、且つ、過大で無い適切なパーツ,工具,技術,資料を持ったサービスマンは使用者宅を訪問し、表示装置397のLED397−2〜6を確認して、必要に応じてより詳しく空気調和機内部を点検し、修理し、完了する。
このように、使用者からの最初の問い合わせの時に、故障情報を正確に把握できるので、修理までの時間に無駄が無く、修理を効率よく、短期間で完了させることができる。
次に、他の故障の場合について図12,図13を用いて説明する。図12は室内機の表示装置発光タイムチャート2である。図13は室内機の鳴動発光タイムチャート2、(a)はブザー鳴動タイムチャート、(b)はLED発光タイムチャートである。
また、次の例として、室内機2と室外機6をつなぐ接続ケーブルの室内側端子台との接続に差込み長さ不足などで接続が不完全となった場合、接続ケーブルと端子台との接触部に熱を持ち、経年的に酸化が進むなどして接触抵抗が増大し、更に、接触部の温度が上がり、端子台に沿って設けた温度ヒュ−ズが溶断する。この場合、空気調和機は停止し、室内機制御部10の故障診断部で回路各部の短絡,開放状態を総合判断して室内機2の端子台温度ヒューズの溶断と診断し、表示装置397のタイマーLED397−2を図12のように0.35秒間の消灯を挟んで0.35秒間の点灯を3回繰返し、2秒間休む(消灯する)サイクルで繰返し点滅させる。
空気調和機が運転しないことと、表示装置397が点滅していることから、前述と同様のプロセスでサービス部門への故障情報の伝達が行われる。
前述と同様に、リモコン5の上下ボタン55hを5秒以上押すと、ブザー395が図13(a)のように鳴動する。ブザー395の鳴動音は図13(a)のように、短い「ピッピッ」と言う音が1回有り、長い休止時間があって次にやや長い「ピーッ、」と言う音が「ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、」と3回続いて、長い休止時間が有り、以下、長い休止時間を挟んで「ピッピッ」と「ピーッ、・・・・、ピーッ、・・・・、ピーッ、」が繰返される。このとき、室内機2の表示装置397のタイマーLED397−2が図13(b)のように長いパルス音に同期して点滅する。サービス部門の担当者がこの鳴動音を電話で聞き分けることにより、早い段階で、故障内容を正確に把握することができる。
このブザーの断続とLEDの点滅により、図8の故障コード表を参照して故障の内容を「室内機2の端子台温度ヒューズの溶断」と知ることができる。
このように、故障状態を系統的に区分し、故障分類(大分類)で故障の部位を報せ、小分類で故障の内容を報せるようにすると、故障の状態を判りやすく細分化でき、故障状態の把握に役立つ。実施例では、ブザー395の鳴動の組パルスの中の短パルスの数と、組パルスの数で故障部位を区分し、例えば、「ピッピッ」と言う短い断続音が1回の場合は室内機、「ピッピッ」と言う音が2回の場合は室外機と言うように分けて報せる。
更に、「ピーッ、・・・・、」言う長い断続音の回数で故障の内容を区分し、例えば、「ピッピッ」と言う短い断続音が1回で消音部を挟んで「ピーッ、」言う長いパルス音が3回した場合は室内機2の端子台温度ヒューズの溶断、「ピッピッ」と言う短い断続音が2回で消音部を挟んで「ピーッ、」言う長いパルス音が5回した場合は室外機6の過負荷下限カットのように系統的に区分する。
表示装置397の点滅についても、同様に、LEDの種類で故障部位を区分し、点滅がタイマーLED397−2の場合は室内機、みはりLED397−3の場合は室外機と言うように分けて報せる。
更に、LEDの点滅の回数で故障の内容を区分し、タイマーLED397−2が3回点滅した場合は室内機2の端子台温度ヒューズの溶断、みはりLED397−3が5回点滅した場合は室外機6の過負荷下限カットのように報せる。
以上、空気調和機が故障した場合について述べたが、空気調和機が意図しない動作をした場合も、前述と同様に、表示装置397に動作状態が点滅で示される。意図しない動作なので、使用者は製造者のサービス部門または販売店に問い合わせる。
問い合わせを受けたサービス部門の担当者は、前述と同様に、ブザー395の鳴動を依頼し、動作情報を直接耳で聞き識別する。担当者は動作情報と動作コード表から空気調和機の動作状態を把握する。空気調和機の動作状態を把握した担当者は使用者に現在の空気調和機の動作状態を説明し、禁止操作が受付けられなかったことや正常運転でそのまま運転を続けて支障ないことなどを伝えることができる。この結果、使用者の懸念は解消され、空気調和機への理解も深まって、次に、同様のことが起こっても、正しく対処でき、無駄な電話をすることが無くなる。また、サービス部門にとっても、使用者宅の正常状態の空気調和機へ無駄にサービスマンを派遣することが無くなり、サービスマンの適正な運用が行われる。
このように、実施例の空気調和機は、点滅可能な表示装置とリモコン操作応答用のブザーとを備え、該ブザーの鳴動音の0.02〜20kHzの範囲のピークが0.3kHz〜3.4kHzにあり、故障情報または動作情報を該表示装置の点滅、及び、該ブザーの断続音で通報する。
一般に、電話の音声帯域周波数は0.3kHz〜3.4kHzであり、この範囲であれば、良好に通話が可能である。
また、家電品には故障が起きた場合、または正常動作ではあるが使用者の意図とは異なる動作になる場合に(使用者が禁止操作をした場合も含む)、使用者にこれを報せるために、故障状態または動作状態を表示器で報せるものがあるが、その情報は、コード化されていて、製造者のサービス部門や販売店の担当者でなければその情報を正確に把握することは難しく、故障の修理または意図しない動作の解消をサービス部門に依頼する時に、慣れていない使用者が表示器の点滅状況を電話で正確に伝えることは困難であり、結局、サービスマンが使用者宅を訪問し、直接故障状態または動作状態を確認する必要が有った。このため、正常な動作の場合は無駄足になり、故障の場合もごく軽微な故障以外は、最初の訪問の時に修理できることは少なく、多くの場合、最初の訪問では故障状態の把握に留まり、日を改めて、修理に必要な技術,部品,資料等を整えて再度訪問し修理することが行われている。
実施例の空気調和機によれば、故障または意図しない動作をした時に、点滅の故障表示または動作表示の他に、ブザーを鳴動させることができる。このブザーの鳴動による通報音は電話で伝達できる音声帯域の中にあるので、この通報音を電話を通じて、機器の製造者のサービス部門に伝達することができる。これにより、空気調和機の故障情報または動作情報を慣れているサービス部門の者が聞き分け正確に把握することができる。
このように、機器のサービス部門は使用者から聞いた故障または動作の状況に加えて、空気調和機自体が自ら故障診断または動作診断した結果を自分の耳で聞くことができ、空気調和機の故障状態または動作状態を正確に知ることができる。
これにより、使用者からのサービス要求の時点で空気調和機の故障状態または動作状態を正確に把握できるので、正常運転の場合は無駄足を踏むことが無く、故障の場合もサービスマンが使用者宅を訪問する時に、修理に必要な技術,部品,手順等を予め用意することができ、迅速な修理が行われる。
このため、サービス依頼への対応が早くなって、使用者,製造者双方の利益になる空気調和機を提供することができる。
なお、この場合、空気調和機には運転の状況を表示するLEDやリモコンの操作による信号を受信したことを通報する応答確認用のブザーが備わっていることが多く、部品を増加させることなく、機能を追加することができてコストパフォーマンスが良い。
また、表示器の点滅に同期してブザーがなるので関連を認識しやすく、使用者を混乱させない。
また、近年は、携帯電話が普及しているので、通報音を伝える時には、携帯電話を空気調和機の通報部にかざして、近いところから通報音を聞かせるので、通報音をむやみに大きくする必要も無い。
更にまた、修理のために使用者宅を訪問して、空気調和機から直接故障情報を受ける時も、故障情報がブザーの鳴動で通報されるので、通報音を耳で聞きながらメモを取ることができる。従来のように表示器による点滅だけの場合は、点滅の数を数えようとすると、目を表示器に向けたままメモを取らなければならず、取ったメモが正確かどうか不確かになる。かといってメモに目を向けると、点滅を見逃す恐れが有り都合が悪い。
本発明では、通報音を耳で聞きながら、目はしっかりとメモを見て正確にメモを取ることができるので、通報音のパルスを間違えたり、不正確なメモになる恐れが少なくなる。
なお、表示装置の点滅を、表示装置の点灯/減光に代えても同様の効果を得ることができるのは勿論のことである。
また、実施例の空気調和機は、前記ブザーの鳴動音の0.02〜20kHzの範囲のピークが1.8kHz〜3.4kHzである。
一般に、人が話す時の音声の周波数は男性で0.1kHz〜8kHz,女性で0.15kHz〜10kHzと言われ、その中心帯域は男性で0.8kHz,女性で1.2kHzと言われている。
実施例の空気調和機によれば、通報音の周波数を音声の中心帯域から離して、電話で伝達可能な上限の周波数側に近づけたので、人の話し声と重なっても聞き分けやすく、通報音を明確に識別することができ、聞き間違いや聞きにくいための再度の聞きなおしが少なくなる。
このため、使用者のサービス部門への情報伝達の負担が小さい空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、断続音が断続間隔の短いパルス音で構成される短パルス部と、断続間隔の長いパルス音で構成される長パルス部と、短パルス部と長パルス部を区切る消音部との組合せからなる。
これにより、電話でも識別しやすいパルス音の長短で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容を区別して通報できるので、サービス部門の担当者が識別しやすく、聞き間違いや聞きにくいための再度の聞きなおしが少なくなって、故障情報または動作情報の伝達が円滑になり、使用者とサービス部門のコミュニケーションが良くなって良好な関係が築かれる。
また、短パルス部と長パルス部の間に長い消音部を設けたので、サービス部門の担当者が電話を受けた時に、短パルス部を聞いた後の消音部で1組のパルス数と短パルス部の組数をメモし、次の長パルスの数を数えてその後の消音部でその数をメモすることができ都合が良い。
このため、使用者のサービス部門への情報伝達の負担が小さい空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記短パルス部で故障分類または動作分類を通報し、前記長パルス部で故障内容または動作内容を通報する。
これにより、聞き取りやすい断続間隔の短いパルス音で故障通報または動作通報を感知し、そのリズムで故障分類または動作分類を知り、その後の断続間隔の長いパルス音の数で故障または動作の内容を知る。
このように、長短2種類のパルス音に故障分類または動作分類と故障内容または動作内容を割り付けることで、通報できる故障または動作の内容の数を増やすことができ、故障または動作の内容を詳細に細分化して通報することができるようになり、サービスの対応が適切、且つ、早くできるようになって、使用者の不満が軽減される。
このため、故障状態または動作状態を故障分類または動作分類で細分化して通報し、サービスの対応を適切に行える空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記消音部の長さが3秒以上である。
これにより、長短パルスの数を確認した後に、その数をメモにとる時間が確保され、故障情報または動作情報を正確に記録でき、聞き返したりして、使用者に重ねての負担をかけることが少なくなる。
このため、故障情報または動作情報が確実,正確に通報され、使用者の負担が少ない空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、長パルス部の断続音に同期して、短パルス部の断続音の断続パターンに応じた表示装置の特定の発光部を点滅させる。
これにより、短パルス部の通報音の断続パターンが示す故障分類または動作分類ごとに、発光部を変えて、点滅発光させるので、周囲の騒音が大きく音発生装置の断続が明瞭に聞き取れない場合でも、サービスマンが使用者宅を訪問し、故障情報または動作情報を確認する時に、表示装置の点滅している発光部の位置と点滅の回数で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容が判別できる。
また、逆に、据付け位置や照明の関係で表示装置の点滅が良く見えない場合でも、音発生装置の断続で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容が判別できる。このように、音発生装置と表示装置の両方で故障情報または動作情報を通報するので、どちらか一方で故障情報または動作情報を確認でき、故障情報または動作情報が確認できなくて、原因究明に手間取ることが無くなり、修理の迅速化につながる。
このため、音発生装置と表示装置の何れか一方を使用して、故障状態または動作状態を適切に把握できる空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記短パルス部は複数の断続間隔の短いパルス音の組の1組又は複数組で構成され、前記長パルス部は単発又は複数の断続間隔の長いパルス音で構成されている。
これにより、短パルス部が複数の短パルスサイクルからなる組パルスで構成されるため、長パルス部と明らかに違った断続音になって、系統的に故障状態または動作状態を階層分類する時の上位,下位のデータのいずれであるかを直感的に感知することができる。また、電話を受けたサービス部門の担当者が使用者に状況を説明して空気調和機からの通報音を電話で伝達するよう依頼する場合など、未経験者に、言葉で説明する時に「ピッピッ」と言う音、「ピー」と言う音のように使用者に説明でき、使用者も音の違いを明確に認識できるので、サービス部門の依頼に応じやすく、修理に向けての活動が円滑に進み、使用者,サービス部門の両方に好都合である。更に、組パルス中の短パルスサイクルの数を変えることで、通報できる故障または動作の種類,故障または動作の内容の数を更に増やすことができ、故障または動作の内容を詳細に細分化して通報することができるようになり、サービスの対応が適切、且つ、早くできるようになって、使用者の不満が軽減される。
このため、故障状態または動作状態を故障分類または動作分類に、更に細分化して通報でき、サービスの対応を、より適切に行える空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記短パルス部は、断続間隔の短い5パルス以下の短パルスからなる組パルスで構成されている。
一般に、短いパルス音の断続は、数が少ないうちはリズムの一部として捕らえることができる。例えば、2発の短パルスはピッピッ,3発の短パルスはピッピッピッ,4発の短パルスはピッピッピッピッ,5発の短パルスはピッピッピッピッピッと言うリズムになる。しかし、数が多くなってくると連続した単調な音に聞こえて、その数を正確に数えることが難しくなる。
勿論、人によっては6発以上の断続した短パルスでもリズムとして捉えることも可能であるが、パルスの数が多くなってくると、そのような人も急激に減少してくる。一般的には、少し訓練すれば5発位までの短パルスはリズムとして識別が可能になる。
実施例の空気調和機によれば、5パルス以下の短パルスであるので、容易にこれをリズムとして捕らえることができ、識別に迷いを生ずることは無い。
このため、聴覚で識別できる短パルスの断続音で、故障分類または動作分類を正確に通報する空気調和機を提供することができる。
この場合、ブザーによる故障分類に表示装置のLEDが不足する場合も生ずるが、複数のLEDを同時に点滅させるなどの方法を採ることにより支障なく対処できる。
また、実施例の空気調和機は、通報音の繰返し間隔を30秒以内とする。
一般に、人が覚醒している時には、生理的に静止し続けることはできず、数分の中で意識的にあるいは無意識のうちに手,脚,顔など体の一部を動かしている。このため、サービス部門に電話し、故障情報を通報音で伝える時に、その通報音の1周期の間、携帯電話を空気調和機にかざして無言で通報が一回りするのを待たなければならないが、通報音の周期が長いと、途中で携帯電話を持っている人の体が揺れて、携帯電話が空気調和機から離れて、受話しているサービス部門の担当者への伝達音が小さくなって、聞き取れなくなったり、時間が来るのを待ち切れなくなって通報音の伝達を途中で止めてしまったりして、再度、始めから伝達し直さければならず、使用者の負担が大きい。
実施例の空気調和機によれば、通報音の繰返しの周期が短いので、伝達時間が短縮され、使用者の負担が軽くなり、故障情報または動作情報のサービス部門への伝達が円滑に行われて、サービス部門の故障情報または動作情報の把握が早い段階で行われ、素早い対応が可能になる。
このため、使用者の負担が軽くなり、且つ、迅速なサービスを受けられる空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、通報音の音量を複数段階に変更可能である。
これにより、周囲の騒音環境に応じて、通報音の強さを加減でき、騒音の大きいところからでも故障情報または動作情報を伝えることができる。
このため、騒音の大きいところからでも故障情報または動作情報の伝達を確実に行える空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、故障通報中または動作通報中に通報音の停止及び開始の操作が可能である。
これにより、必要に応じて、使用者に操作を教えて故障情報または動作情報を通報音で通報させ、電話を介して聞くことで、故障状態または動作状態を把握することができる。また、その後、通報音を停止させ、室内に静けさを取戻させることもできる。このとき、同期している表示装置の点滅は継続し、故障であること、修理が必要であること、または意図しない動作中であることを表示し続けるようにすると良い。
このため、故障表示中または動作表示中でも室内を静かな環境に保ち、且つ、必要に応じて故障情報または動作情報を音でも確認できる空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、通報音の継続時間を制限する。
これにより、ブザー停止の操作をしなくても、所定時間後にはブザーは停止し、停止操作の方法が判らない時や、就寝時や、不在の時でも、室内は静かになり、故障または意図しない動作に対して冷静に対処できるようになると共に、ブザーを停止させることで少しでは有るが省エネになる。このとき、前述のように、同期している表示装置の点滅は継続させるのが良い。使用者が点滅に気付いて、サービス部門に電話し、サービス部門の担当者に聞いて、故障通報音または動作通報音の再開の操作をすることで、空気調和機の故障情報または動作情報を通報音でサービス部門に伝達でき、サービスを受けることができる。
このため、故障または動作の表示は明確にしつつも、静かさが戻り、且つ、省エネにもなる空気調和機を提供することができる。
また、実施例の空気調和機は、前記複数の短パルス間の短停止部長さが30ms以上で、且つ、組パルス間の組停止部の長さの1/3以下である。
一般に、ブザーにパルスを加えて鳴動させ、パルスの間隔を段々短くして行くと、始めは断続が明確に区別できていたものが、次第に断続の区別が付かなくなり、加えるパルスが断続していても耳には連続した音として聞こえるようになる。
これは、聴覚の伝達機構の物理的な運動の速度がパルスの断続に追いつかない状態になるためと思われるが、その限界の断時間はおよそ30msである。パルスのオフから次のパルスのオンまでの時間がこれ以下になると、断続した音として聞こえず、連続した音として聞こえるようになる。
実施例の空気調和機によれば、パルス間の短停止部長さを30ms以上にしたので、断続した音として、短パルスを捕らえることができ、また、組停止部の長さの1/3以下にしたので、組パルスの停止時間と混同することが無く、明確に区別することができる。
このため、組パルス中の短パルスを明確に聞き分けられ、故障分類または動作分類を細分化できる空気調和機を提供することができる。
なお、実施例では短パルスで故障分類または動作分類を示し、長パルスで故障内容または動作内容を示すようにしたが、長短パルスの役割を逆転させて、長パルスで故障分類または動作分類を示し、短パルスで故障内容または動作内容を示すようにしても、同様の効果を得ることができるが、この場合、ブザー音と同期させる表示装置397の点滅は、ブザー音と同様の短パルスの断続では、短停止部が短すぎて残像が残り、短パルスを視覚的に識別できないので、組パルスの長さを持つパルスの点滅とするのが良い。
また、表示装置397の他のLEDへの故障分類の割り当てについて図14を用いて説明する。図14は故障分類または動作分類の例である。
実施例では、表示装置397のLEDのうちみはりLED397−3とタイマーLED397−2についてのみ説明しているが、他のLEDについても故障分類または動作分類を割り当て、例えば、清掃LED397−4はフィルターの清掃機構の故障または意図せぬ動作、清浄LED397−5は空気清浄機構の故障または意図せぬ動作、センサーLED397−6は人検知機構の故障または意図せぬ動作、運転LED397−1は暖房運転時の意図せぬ動作を表示するようにして、故障内容または動作内容を系統的に分類すると、故障内容または動作内容の把握がより正確になる。
これに合わせて、ブザー音の短パルス部を図14のように、清掃機構の故障または意図せぬ動作の場合、3個の短パルスを1回、空気清浄機構の故障または意図せぬ動作の場合、3個の短パルスを2回、人検知機構の故障または意図せぬ動作の場合、3個の短パルスを3回、暖房運転時の意図せぬ動作の場合、2個の短パルスを3回のように構成して鳴動させる。
また、実施例では、故障分類または動作分類を故障部位または動作部位で区分したが、故障現象または動作現象,故障機能または動作機能などによって分類しても良く、また、修理の難易度,修理の緊急性,修理費用の高低など、他の区分方法によることもできる。このようにすれば、故障または意図せぬ動作が発生する形態に応じて、多様な機器に本発明を適用し、迅速な修理または機能の回復を希求することができる。
また、実施例では、ブザー395の断続パターンによって故障内容または動作内容を把握するようにしているが、ブザー音の音調,音階,強弱を変えて、故障内容または動作内容を通報するようにしても同様の効果を得ることができるのは言うまでも無い。
以上説明したように、請求項1記載の空気調和機によれば、点滅可能な表示装置と、リモコンからの操作に応答して断続音を発生する音発生装置と、を備えた空気調和機において、故障情報または動作情報により前記表示装置が点滅した後、前記リモコンからの操作に応答して、前記音発生装置から発生する前記故障情報または前記動作情報に対応した断続音が通報される。
また、請求項2の空気調和機によれば、前記音発生装置の断続音の0.02〜20kHzの範囲のピークが0.3kHz〜3.4kHzである。
これにより、故障または意図しない動作をした時に、点滅の故障表示または動作表示の他に、ブザーを鳴動させることができる。このブザーの鳴動による通報音は電話で伝達できる音声帯域の中にあるので、この通報音を電話を通じて、機器の製造者のサービス部門に伝達することができる。これにより、空気調和機の故障情報または動作情報を慣れているサービス部門の者が聞き分け正確に把握することができる。
このように、機器のサービス部門は使用者から聞いた故障または動作の状況に加えて、空気調和機自体が自ら故障診断または動作診断した結果を自分の耳で聞くことができ、空気調和機の故障状態または動作状態を正確に知ることができる。
これにより、使用者からのサービス要求の時点で空気調和機の故障状態または動作状態を正確に把握できるので、正常運転の場合は無駄足を踏むことが無く、故障の場合もサービスマンが使用者宅を訪問する時に、修理に必要な技術,部品,手順等を予め用意することができ、迅速な修理が行われる。
このため、サービス依頼への対応が早くなって、使用者,製造者双方の利益になる空気調和機を得ることができる。
また、請求項3記載の空気調和機によれば、前記音発生装置の断続音の0.02〜20kHzの範囲のピークが1.8kHz〜3.4kHzである。
これにより、通報音の周波数を音声の中心帯域から離して、電話で伝達可能な上限の周波数側に近づけたので、人の話し声と重なっても聞き分けやすく、通報音を明確に識別することができ、聞き間違いや聞きにくいための再度の聞きなおしが少なくなる。
このため、使用者のサービス部門への情報伝達の負担が小さい空気調和機を得ることができる。
また、請求項4記載の空気調和機によれば、前記断続音が断続間隔の短いパルス音で構成される短パルス部と、断続間隔の長いパルス音で構成される長パルス部と、短パルス部と長パルス部を区切る消音部との組合せからなる。
これにより、電話でも識別しやすいパルス音の長短で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容を区別して通報できるので、サービス部門の担当者が識別しやすく、聞き間違いや聞きにくいための再度の聞きなおしが少なくなって、故障情報または動作情報の伝達が円滑になり、使用者とサービス部門のコミュニケーションが良くなって良好な関係が築かれる。
また、短パルス部と長パルス部の間に長い消音部を設けたので、サービス部門の担当者が電話を受けた時に、短パルス部を聞いた後の消音部で1組のパルス数と短パルス部の組数をメモし、次の長パルスの数を数えてその後の消音部でその数をメモすることができ都合が良い。
このため、使用者のサービス部門への情報伝達の負担が小さい空気調和機を得ることができる。
また、請求項5記載の空気調和機によれば、前記短パルス部で故障分類または動作分類を通報し、前記長パルス部で故障内容または動作内容を通報する。
これにより、聞き取りやすい断続間隔の短いパルス音で故障通報または動作通報を感知し、そのリズムで故障分類または動作分類を知り、その後の断続間隔の長いパルス音の数で故障または動作の内容を知る。
このように、長短2種類のパルス音に故障分類または動作分類と故障内容または動作内容を割り付けることで、通報できる故障または動作の内容の数を増やすことができ、故障または動作の内容を詳細に細分化して通報することができるようになり、サービスの対応が適切、且つ、早くできるようになって、使用者の不満が軽減される。
このため、故障状態または動作状態を故障分類または動作分類で細分化して通報し、サービスの対応を適切に行える空気調和機を得ることができる。
また、請求項6記載の空気調和機によれば、前記消音部の長さが3秒以上である。
これにより、長短パルスの数を確認した後に、その数をメモにとる時間が確保され、故障情報または動作情報を正確に記録でき、聞き返したりして、使用者に重ねての負担をかけることが少なくなる。
このため、故障情報または動作情報が確実,正確に通報され、使用者の負担が少ない空気調和機を得ることができる。
また、請求項7記載の空気調和機によれば、前記長パルス部の断続音に同期して、前記短パルス部の断続音の断続パターンに応じた前記表示装置の特定の発光部を点滅させる。
これにより、短パルス部の通報音の断続パターンが示す故障分類または動作分類ごとに、発光部を変えて、点滅発光させるので、周囲の騒音が大きく音発生装置の断続が明瞭に聞き取れない場合でも、サービスマンが使用者宅を訪問し、故障情報または動作情報を確認する時に、表示装置の点滅している発光部の位置と点滅の回数で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容が判別できる。
また、逆に、据付け位置や照明の関係で表示装置の点滅が良く見えない場合でも、音発生装置の断続で故障分類または動作分類と故障内容または動作内容が判別できる。このように、音発生装置と表示装置の両方で故障情報または動作情報を通報するので、どちらか一方で故障情報または動作情報を確認でき、故障情報または動作情報が確認できなくて、原因究明に手間取ることが無くなり、修理の迅速化につながる。
このため、音発生装置と表示装置の何れか一方を使用して、故障状態または動作状態を適切に把握できる空気調和機を得ることができる。
また、請求項8記載の空気調和機によれば、前記短パルス部は複数の断続間隔の短いパルス音の組の1組又は複数組で構成され、前記長パルス部は単発又は複数の断続間隔の長いパルス音で構成される。
これにより、短パルス部が複数の短パルスサイクルからなる組パルスで構成されるため、長パルス部と明らかに違った断続音になって、系統的に故障状態または動作状態を階層分類する時の上位,下位のデータのいずれであるかを直感的に感知することができる。また、電話を受けたサービス部門の担当者が使用者に状況を説明して空気調和機からの通報音を電話で伝達するよう依頼する場合など、未経験者に、言葉で説明する時に「ピッピッ」と言う音、「ピー」と言う音のように使用者に説明でき、使用者も音の違いを明確に認識できるので、サービス部門の依頼に応じやすく、修理に向けての活動が円滑に進み、使用者,サービス部門の両方に好都合である。更に、組パルス中の短パルスサイクルの数を変えることで、通報できる故障または動作の種類,故障または動作の内容の数を更に増やすことができ、故障または動作の内容を詳細に細分化して通報することができるようになり、サービスの対応が適切、且つ、早くできるようになって、使用者の不満が軽減される。
このため、故障状態または動作状態を故障分類または動作分類に、更に細分化して通報でき、サービスの対応を、より適切に行える空気調和機を得ることができる。
また、請求項9記載の空気調和機によれば、前記短パルス部は、断続間隔の短い5パルス以下の短パルスからなる組パルスで構成される。
これにより、5パルス以下の短パルスであるので、容易にこれをリズムとして捕らえることができ、識別に迷いを生ずることは無い。
このため、聴覚で識別できる短パルスの断続音で、故障分類または動作分類を正確に通報する空気調和機を得ることができる。
また、請求項10記載の空気調和機によれば、通報音の繰返し間隔を30秒以内とする。
これにより、通報音の繰返しの周期が短いので、伝達時間が短縮され、使用者の負担が軽くなり、故障情報または動作情報のサービス部門への伝達が円滑に行われて、サービス部門の故障情報または動作情報の把握が早い段階で行われ、素早い対応が可能になる。
このため、使用者の負担が軽くなり、且つ、迅速なサービスを受けられる空気調和機を得ることができる。
また、請求項11記載の空気調和機によれば、通報音の音量が複数段階に変更可能である。
これにより、周囲の騒音環境に応じて、通報音の強さを加減でき、騒音の大きいところからでも故障情報または動作情報を伝えることができる。
このため、騒音の大きいところからでも故障情報または動作情報の伝達を確実に行える空気調和機を得ることができる。
また、請求項12記載の空気調和機によれば、前記故障情報または動作情報の通報中に、通報音の停止及び開始の操作が可能である。
これにより、必要に応じて、使用者に操作を教えて故障情報または動作情報を通報音で通報させ、電話を介して聞くことで、故障状態または動作状態を把握することができる。また、その後、通報音を停止させ、室内に静けさを取戻させることもできる。このとき、同期している表示装置の点滅は継続し、故障であること、修理が必要であること、または意図しない動作中であることを表示し続けるようにすると良い。
このため、故障表示中または動作表示中でも室内を静かな環境に保ち、且つ、必要に応じて故障情報または動作情報を音でも確認できる空気調和機を得ることができる。
また、請求項13記載の空気調和機によれば、通報音の継続時間を制限する。
これにより、ブザー停止の操作をしなくても、所定時間後にはブザーは停止し、停止操作の方法が判らない時や、就寝時や、不在の時でも、室内は静かになり、故障または意図しない動作に対して冷静に対処できるようになると共に、ブザーを停止させることで少しでは有るが省エネになる。このとき、前述のように、同期している表示装置の点滅は継続させるのが良い。使用者が点滅に気付いて、サービス部門に電話し、サービス部門の担当者に聞いて、故障通報音または動作通報音の再開の操作をすることで、空気調和機の故障情報または動作情報を通報音でサービス部門に伝達でき、サービスを受けることができる。
このため、故障または動作の表示は明確にしつつも、静かさが戻り、且つ、省エネにもなる空気調和機を得ることができる。
また、請求項14記載の空気調和機によれば、前記複数の短パルス間の短停止部長さが30ms以上で、且つ、組パルス間の組停止部の長さの1/3以下である。
これにより、パルス間の短停止部長さを30ms以上にしたので、断続した音として、短パルスを捕らえることができ、また、組停止部の長さの1/3以下にしたので、組パルスの停止時間と混同することが無く、明確に区別することができる。
このため、組パルス中の短パルスを明確に聞き分けられ、故障分類または動作分類を細分化できる空気調和機を得ることができる。