JP2010089073A - 有機凝結剤及び排水処理方法並びに汚泥脱水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 凝結性能に優れ、排水処理や汚泥脱水処理を良好に行うことができる有機凝結剤、及び該有機凝結剤を用いた排水処理方法並びに汚泥脱水方法を提供する。
【解決手段】アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有する有機凝結剤とする。
【選択図】 なし
【解決手段】アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有する有機凝結剤とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、化学工場、半導体工場、食品工場、紙・パルプ工場、印刷工場、自動車工場等の一般工場から排出される排水や、し尿処理場、下水処理場から排出される生物処理水の処理及び該処理等で生じる汚泥の処理などで用いる有機凝結剤、汚泥脱水組成物、及び排水処理方法並びに汚泥脱水方法に関する。
地球環境保護、人の健康確保の面から、年々排水処理に係わる規制が地球規模で厳しくなってきている。特に、河川放流、閉鎖水域への放流については、水質管理項目の規制値の見直しなど、国および各地方自治体での動きが活発になってきている。また、排水処理では濁質の凝集沈殿物である汚泥が生じるが、運搬費用や処分地の確保の点から、汚泥の減容化が求められている。
ここで、例えば、工場などから排出される排水の処理の場合、有機系の排水に対しては通常活性汚泥などの生物処理が行われ、その後、河川等への放流前に、濁質除去を目的に凝集沈殿処理や加圧浮上処理などが行われる。
一般的な凝集沈澱処理や加圧浮上処理の方法は、排水に、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ鉄、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等の無機凝集剤を添加し、次に有機高分子凝集剤を添加することにより微細な濁質を凝集させる。その後、シックナーや加圧浮上装置にて固液分離処理することにより、濁度の低い処理水を得ることができる。無機凝集剤を添加する目的は濁質の荷電で、微細な濁質を一次凝集させ、次に添加する高分子量の有機高分子凝集剤により、微細な濁質の一次凝集体をさらに大きくフロック(凝集物)化して、凝集沈殿処理では沈降しやすく、また、加圧浮上処理では浮上しやすくする。
この無機凝集剤と有機高分子凝集剤による処理の適正な凝集条件は、pHが中性付近であるため、無機凝集剤由来の金属水酸化物が生じる。したがって、金属水酸化物も汚泥となるため、上記排水処理方法では、汚泥量が多くなるという問題点を有している。
また、最近の排水は、工場での製造物の多様化に伴い、排水成分の変動が大きくなり、また、ノニオン性成分等の凝集し難い成分が含まれることが多くなってきている。
したがって、工場排水の排水処理において、近年特に無機凝集剤の使用量低減、凝集効果の安定化や向上が望まれている。なお、このような問題は、工場から排出される排水に限らず、し尿処理場や下水処理場から排出されるその他の排水においても、同様に存在する。
このような要望に対して、無機凝集剤にジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)系ポリマーを併用する方法(特許文献1参照)や、無機凝集剤にポリアミンやジアルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物を併用する方法(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、排水成分の変動によって効果が変動し安定した処理効果が得られないという問題や、無機凝集剤の低減効果が排水の種類によって異なるという問題がある。
また、排水処理の際、上述したように汚泥が生じ、運搬費用や処分地の確保の点から汚泥の減容化が求められているが、汚泥の減容化では、汚泥の機械的脱水後の脱水ケーキの含水率を如何に下げるかがポイントとなる。含水率を下げることにより、ケーキの重量、体積が低減するため、処分地不足の問題が軽減される。また、ケーキを焼却処理する場合は、含水率を下げることにより重油使用量が大幅に削減でき、コスト低減、省エネになるばかりでなく、CO2排出削減効果も期待でき、地球温暖化防止にもつながる。
しかしながら、工場での製造物の多様化により、有機物の比率が高いなど以前よりも脱水しにくい汚泥性状になりつつあり、また、汚泥性状の変動も大きくなり、安定した汚泥処理を行いにくくなってきている。また、食生活の多様化から、し尿処理場や下水処理場から排出される汚泥も脱水しにくくかつ性状変動も大きく、安定した汚泥処理を行いにくくなってきている。
ここで、汚泥の脱水処理には、一般的に高分子量のカチオン性ポリマーが使用されているが、充分な処理量が得られないことや、低含水率のケーキが得られにくいことから最近では見直され、例えば、無機凝集剤を添加した後、両性ポリマーを添加して、汚泥を脱水する方法(特許文献3参照)、ポリアルキレンイミンを汚泥脱水に用いる方法(特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら、汚泥性状の変動、特にVSS(揮発性浮遊固形分)の増加や繊維分の減少により、上記方法では低含水率のケーキが得られにくいことや、最近の高効率脱水機に適用できる高フロック強度が得られにくくなっていることなど、汚泥脱水方法について改善が求められている。
本発明は上述した事情に鑑み、凝結性能に優れ、排水処理や汚泥脱水処理を良好に行うことができる有機凝結剤、及び該有機凝結剤を用いた排水処理方法並びに汚泥脱水方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや、該ポリアルキレンポリアミンと架橋剤とを反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含有する有機凝結剤により、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明の有機凝結剤は、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有することを特徴とする。
前記アルキルアミンは、ジアルキルアミンであることが好ましい。
また、前記ハロゲン化グリシジルエーテル、前記アルキルアミン、前記アルキレンジアミンの比率は、モル比でハロゲン化グリシジルエーテル:アルキルアミン:アルキレンジアミン=1:0.7〜0.99:0.3〜0.01であってもよい。
前記アルキルアミンは、ジアルキルアミンであることが好ましい。
また、前記ハロゲン化グリシジルエーテル、前記アルキルアミン、前記アルキレンジアミンの比率は、モル比でハロゲン化グリシジルエーテル:アルキルアミン:アルキレンジアミン=1:0.7〜0.99:0.3〜0.01であってもよい。
ここで、前記ポリアルキレンポリアミンにさらに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含有する有機凝結剤でもよい。
前記架橋剤はジグリシジルエーテル化合物であることが好ましい。
また、前記アルキレンジアミンと前記架橋剤の比率は、モル比でアルキレンジアミン:架橋剤=1:0.00001〜0.005であってもよい。
前記架橋剤はジグリシジルエーテル化合物であることが好ましい。
また、前記アルキレンジアミンと前記架橋剤の比率は、モル比でアルキレンジアミン:架橋剤=1:0.00001〜0.005であってもよい。
本発明の他の態様は、上記有機凝結剤、無機凝集剤、及び、高分子凝集剤を排水に添加し、固液分離処理を行うことを特徴とする排水処理方法にある。
本発明の他の態様は、上記有機凝結剤、及び、高分子凝集剤を汚泥に添加した後、脱水することを特徴とする汚泥脱水方法にある。
また、前記汚泥に無機凝集剤を添加することが好ましい。
そして、上記有機凝結剤、及び、高分子凝集剤を含有する汚泥脱水組成物としてもよい。
また、前記汚泥に無機凝集剤を添加することが好ましい。
そして、上記有機凝結剤、及び、高分子凝集剤を含有する汚泥脱水組成物としてもよい。
本発明によれば、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや、該ポリアルキレンポリアミンに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含むことにより、凝結性能に優れた有機凝結剤を提供することができる。そして、この有機凝結剤を排水処理に用いると、凝集効果が安定し向上するため、清澄な処理水が得られ、また、無機凝集剤の使用量を低減して汚泥発生量を抑制することができる。また、この有機凝結剤を汚泥脱水処理に用いると、フロック強度が高くなり、低含水率のケーキを得ることができる。さらに、この有機凝結剤及び高分子凝集剤等を含有した泥脱水組成物は、良好に汚泥脱水処理を行うことができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の有機凝結剤は、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有するものである。このような分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンは、高カチオン密度で分岐構造を有するためか、凝結性能に優れ、密度の高いフロックを形成することができる。
本発明の有機凝結剤は、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有するものである。このような分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンは、高カチオン密度で分岐構造を有するためか、凝結性能に優れ、密度の高いフロックを形成することができる。
アルキルアミンは、特に限定はなく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノアルキルアミンや、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、エチルプロピルアミン等のジアルキルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。ジアルキルアミンを用いると、モノアルキルアミンを用いた場合と比較して水溶性が確保し易くなるため、ジアルキルアミンであることが好ましい。
また、ハロゲン化グリシジルエーテルとしては、例えば、エピクロルヒドリン、1,2−エポキシ−2−(p−クロロフェニル)プロパン、1,2−エポキシエチル−p−クロロベンゼン、及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されるものではない。
アルキレンジアミンは、得られるポリアルキレンポリアミンの分岐構造を形成する化合物である。アルキレンジアミンとしては、例えば、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1、6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノベンゼン、ピペラジン、及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されるものではない。
アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させる方法としては、例えば、Die Angewandte Makromolekulare Chemie,192,199-211(1991)記載の方法で合成できる。その例では、まず、反応容器に水とアルキレンジアミンを入れ、その中にジアルキルアミン水溶液を撹拌しながら室温にてゆっくり添加する。撹拌下、1分当たり対アミンモル比0.0025の速度で6時間かけて必要量の80%分のハロゲン化グリシジルエーテルを滴下する。滴下終了後、50℃に昇温して3時間撹拌、つづいて90℃に昇温して水酸化ナトリウム、残り20%分のハロゲン化グリシジルエーテルを30分かけて滴下し、5時間反応させる。室温まで冷却した後、希塩酸で中和することで、分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを得ることができる。
各モノマーの比率は、モル比で、ハロゲン化グリシジルエーテル:アルキルアミン:アルキレンジアミン=1:0.7〜0.99:0.3〜0.01が好ましく、さらに好ましくは、1:0.8〜0.98:0.2〜0.02である。その理由は、アルキレンジアミンの比率が高すぎると水不溶性となり、また、低すぎると架橋構造による効果が現れにくくなるからである。なお、上記モノマー比の範囲で得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンは、60質量%水溶液(蒸発残分換算)を25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度が300〜10000(mPa・s)である。
例えば、アルキルアミンが下記式(i)であり、ハロゲン化グリシジルエーテルが下記式(ii)であり、アルキレンジアミンが下記式(iii)又は式(iv)である場合、得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンの構造は、下記式(1)又は(2)で表される。なお、各式中、Xはハロゲンを表し、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、CH3、C2H5、C3H7、ベンジル基又はシクロヘキシル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に、H、CH3又はC2H5であり、R5は−(CH2)n−又は−(CH2CH2O)n−(nは1〜18である。)を表す。
上記式において、下記式で表される繰返し単位(A)はアルキルアミンとハロゲン化グリシジルエーテルとで形成される。また、下記式で表される繰返し単位(B)又は(C)は、アルキレンジアミンとハロゲン化グリシジルエーテルとで形成される。なお、分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンは、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよい。
ここで、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有する上記ポリアルキレンポリアミンに、さらに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含有する有機凝結剤としてもよい。このような分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンをさらに架橋剤と反応させた架橋ポリアルキレンポリアミンは、高カチオン密度で高度な架橋構造を有するためか、より凝結性能に優れ、密度の高いフロックを形成することができる。
架橋剤は、上記ポリアルキレンポリアミンと反応性を有するものであればよく、例えば、ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、アルデヒド化合物及びイソシアネート化合物が挙げられ、水溶性の架橋剤が好ましく、最も好ましくはジグリシジルエーテル化合物である。
ジグリシジルエーテル化合物としては、例えば、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,7−オクタジエンジエポキシド、ブタジエンジエポキシド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(−(CH2CH2O)m−のmは2〜30である。)、グリセリン・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、エチレングリコール・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ハロエポキシ化合物としては、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、αーメチルエピクロロヒドリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
そして、アルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、グリオキザ−ル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソエイアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有する上記ポリアルキレンポリアミンと架橋剤とを反応させる方法としては、例えば、ポリアルキレンポリアミンの5〜50質量%水溶液を攪拌しながら、室温以下で架橋剤をそのまま若しくはアセトンやアルコール溶液として添加して反応させる。室温でも反応は起こるが、未反応物を低減するために、50℃以上に加温して2〜3時間反応させることが好ましい。
分岐構造を有する上記ポリアルキレンポリアミンに反応させる架橋剤量は、該ポリアルキレンポリアミンの原料であるアルキレンジアミンと架橋剤の比率がモル比でアルキレンジアミン:架橋剤=1:0.00001〜0.005となるようにすることが好ましく、さらに好ましくは、1:0.0001〜0.003である。架橋剤の比率が高すぎると得られる化合物(架橋ポリアルキレンポリアミン)がゲル化して水不溶性となり、また、低すぎると架橋剤による凝結性能の向上効果が顕著ではなくなるからである。得られた架橋ポリアルキレンポリアミンの水溶液の粘度で、架橋度の過不足が判断できる。例えば、上記比率の範囲で得られる架橋ポリアルキレンポリアミンは、30質量%水溶液(蒸発残分換算)を25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度が1000〜30000(mPa・s)である。
本発明の有機凝結剤は、アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン、及び、該ポリアルキレンポリアミンにさらに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンの少なくとも一方を含有していればよく、両者を含有していてもよい。また、有機凝結剤は、水等の溶媒や、その他添加剤を含有していてもよい。
上記アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや、該ポリアルキレンポリアミンを架橋剤で反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンは、凝結性能に優れ密度の高いフロックを形成することができるため、分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや架橋ポリアルキレンポリアミンを用いると、排水処理や、汚泥脱水処理を良好に行うことができる。
具体的には、本発明の排水処理方法は、上記本発明の有機凝結剤と、無機凝集剤、及び、高分子凝集剤を排水に添加して、固液分離処理を行うものである。
本発明の排水処理方法においては、まず、無機凝集剤及び本発明の有機凝結剤を排水に添加して、排水に含まれる濁質と反応させる。
排水としては、化学工場、半導体工場、食品工場、紙・パルプ工場、印刷工場、自動車工場などの一般工場から排出される排水や、し尿処理場、下水処理場から排出される生物処理水を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。最近の排水は、工場での製造物の多様化に伴い、排水成分の変動が大きくなり、また、ノニオン性成分等の凝集し難い成分が含まれることが多くなってきているため、従来の方法では処理し難いが、本発明の排水処理方法においては、上記所定の有機凝結剤を用いるため、良好に処理することができる。なお、本発明の有機凝結剤の添加量は特に限定はなく、排水の性状に応じて調整すればよいが、排水に対して、分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン又は架橋ポリアルキレンポリアミンが0.2〜100mg/L程度(蒸発残分換算)である。
無機凝集剤としては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機凝集剤の添加量も特に限定はなく、排水の性状に応じて調整すればよいが、処理する排水に対して、通常の市販製品で概ね100〜5000mg/L程度である。
本発明の有機凝結剤及び無機凝集剤を排水に添加する順序に特に限定はなく、無機凝集剤を添加した後に本発明の有機凝結剤を添加してもよく、また、排水に本発明の有機凝結剤を添加した後無機凝集剤を添加してもよく、さらに、本発明の有機凝結剤及び無機凝集剤を同時に添加してもよい。
次に、本発明の有機凝結剤及び無機凝集剤を添加した排水を必要に応じて、pHを5〜7程度に調整する。
次に、排水に高分子凝集剤を添加する。高分子凝集剤に特に限定はなく、排水処理で通常使用される有機高分子凝集剤を用いることができる。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドの共重合物、及び、それらのアルカリ金属塩等のアニオン系有機高分子凝集剤、ポリ(メタ)アクリルアミド等のノニオン系有機高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはその4級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはその4級アンモニウム塩等のカチオン性モノマーからなるホモポリマー、及び、それらカチオン性モノマーと共重合可能なノニオン性モノマーとの共重合体等のカチオン系有機高分子凝集剤が挙げられる。また、高分子凝集剤の添加量にも特に限定はなく、排水の性状に応じて調整すればよいが、処理する排水に対して概ね固形分で1〜100mg/Lである。
高分子凝集剤を添加し、撹拌などして反応させて排水中の濁質を凝集させた後は、生成した凝集フロックを、凝集沈殿処理、加圧浮上処理、ろ過、膜分離処理などで固液分離処理することで、排水から濁質を除去することができる。
なお、本発明の有機凝結剤、無機凝集剤、及び、高分子凝集剤に加えて、さらに、一般的な有機凝結剤を併用することもできる。一般的な有機凝結剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、エチレンジアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン、及びこれらの混合物など、通常の排水処理で使用されるカチオン性有機系ポリマーが挙げられる。添加量に特に限定はなく、排水の性状に応じて調整すればよいが、処理する排水に対して、概ね固形分で1〜100mg/L添加すればよい。
さらに、必要に応じて、殺菌剤、消臭剤、消泡剤、防食剤なども任意に併用してもよい。さらに、必要に応じて、紫外線照射、オゾン処理、膜処理、生物処理などを併用してもよい。
このような排水処理方法では、高カチオン密度で分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや該ポリアルキレンポリアミンにさらに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含有し凝結性能に優れた本発明の有機凝結剤を用いるため、無機凝集剤によって生成する微凝集フロックをさらに高密度化して密度の高いフロックを形成することができる。したがって、凝集効果が安定し向上するので、清澄な処理水が得られ、また、無機凝集剤の使用量が低減できるので汚泥発生量を抑制することができる。なお、凝集状態は、フロック形成時間、フロック系や沈降速度を評価することで確認できる。また、処理水の清澄性については、濁度、色度、場合によってはTOCやCODを測定することで確認できる。
また、本発明の汚泥脱水方法は、上記本発明の有機凝結剤及び高分子凝集剤を汚泥に添加した後、脱水するものである。具体的には、まず、本発明の有機凝結剤を排水に添加して、排水に含まれる濁質と反応させる。
汚泥としては、化学工場、半導体工場、食品工場、紙・パルプ工場、印刷工場、自動車工場などの一般工場排水の凝集沈殿や加圧浮上処理にて生成する有機性汚泥や生物処理により生成する余剰汚泥、し尿処理場、下水処理場における凝集沈殿や生物処理により生成する有機性汚泥が主に挙げられるが、これらに限定されるものではない。近年工場での製造物の多様化により、有機物の比率が高いなど以前よりも脱水しにくい汚泥性状になりつつあり、また、汚泥性状の変動も大きくなり、安定した汚泥処理を行いにくくなってきている。さらに、食生活の多様化から、し尿処理場や下水処理場から排出される汚泥も脱水しにくくかつ性状変動も大きく、安定した汚泥処理を行いにくくなってきている。したがって、従来の方法では低含水率のケーキを得難いが、本発明の汚泥脱水方法においては、上記所定の有機凝結剤を用いるため、良好に処理することができる。なお、本発明の有機凝結剤の添加量は特に限定はなく、汚泥の性状に応じて調整すればよいが、汚泥スラリーに対して分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン又は架橋ポリアルキレンポリアミンが1〜500mg/L程度(蒸発残分換算)である。
ここで、本発明の有機凝結剤を汚泥に添加するに際して、無機凝集剤も併用してもよい。無機凝集剤としては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機凝集剤の添加量も特に限定はなく、汚泥の性状に応じて調整すればよいが、処理する汚泥スラリーに対して、通常の市販製品で概ね100〜5000mg/L程度である。
なお、本発明の有機凝結剤及び無機凝集剤を汚泥に添加する順序に特に限定はなく、無機凝集剤を添加した後に本発明の有機凝結剤を添加してもよく、また、汚泥に本発明の有機凝結剤を添加した後に無機凝集剤を添加してもよく、さらに、本発明の有機凝結剤及び無機凝集剤を同時に添加してもよい。
本発明の有機凝結剤及び必要に応じて無機凝集剤を汚泥に添加した後、汚泥を必要に応じて、pHを3〜7程度に調整する。
次いで、汚泥に高分子凝集剤を添加する。高分子凝集剤に特に限定はなく、汚泥処理で通常使用される有機高分子凝集剤を用いることができる。例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの三級塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性モノマーからなるホモポリマー、あるいはそれらカチオン性モノマーと共重合可能なノニオン性モノマーとの共重合体等のカチオン系高分子凝集剤が挙げられる。また、ポリビニルアミンやポリアクリルアミドのホフマン分解物やマンニッヒ変性物、ポリアミジンなども挙げられる。また、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの三級塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性モノマーと(メタ)アクリル酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸等のアニオン性モノマーとの共重合体等の両性高分子凝集剤でもよい。なお、この時、(メタ)アクリルアミド等の共重合可能なノニオン性モノマーを共重合させてもよい。さらに、N−ビニルホルムアミドやアセトアミドとアニオン性モノマーを共重合させて加水分解した両性ポリマーも挙げられる。そして、(メタ)アクリル酸ソーダのホモポリマーや(メタ)アクリル酸ソーダと(メタ)アクリルアミドとの共重合体や、これらに、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸やビニルスルホン酸等のスルホン系モノマーを共重合させたアニオン性高分子凝集剤が挙げられる。なお、高分子凝集剤の添加量に特に限定はなく、汚泥の性状に応じて調整すればよいが、処理する汚泥スラリーに対して概ね固形分で10〜2000mg/L程度である。
高分子凝集剤を添加し、撹拌などして反応させて汚泥の凝集フロックを形成させた後、該凝集フロックを形成した汚泥を汚泥脱水機にかける等して脱水する。汚泥脱水機に特に制限はなく、例えば、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円盤型など任意に選定できる。
なお、本発明の有機凝結剤や、高分子凝集剤に加えて、さらに、一般的な有機凝結剤を併用することもできる。一般的な有機凝結剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、エチレンジアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン、及びこれらの混合物など、通常の汚泥脱水処理で使用されるカチオン性有機系ポリマーが挙げられる。添加量に特に限定はなく、汚泥の性状に応じて調整すればよいが、処理する汚泥スラリーに対して、概ね固形分で1〜100mg/L添加すればよい。
さらに、必要に応じて、殺菌剤、消臭剤、防食剤なども任意に併用してもよい。
このような汚泥脱水方法では、高カチオン密度で分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンや高カチオン密度で高度な架橋構造を有する架橋ポリアルキレンポリアミンを含有し凝結性能に優れた本発明の有機凝結剤を用いるため、密度の高いフロックを形成することができる。したがって、脱水機による機械的脱水によって汚泥が粉砕され難くなり、汚泥内部から水分が抜け易くなる。よって、低含水率のケーキが得られる。なお、汚泥の凝集状態は、フロック径、重力ろ過性、ろ液の濁度を評価することで確認できる。また、脱水効果は、圧搾ケーキの含水率を測定することで確認できる。
上記では、有機凝結剤を汚泥に添加した後に、高分子凝集剤を添加する方法について説明したが、本発明の汚泥脱水方法においては、有機凝結剤及び高分子凝集剤を同時に汚泥に添加してもよい。なお、同時に添加する場合、有機凝結剤及び高分子凝集剤並びに必要に応じて添加する無機凝集剤や上記殺菌剤等を予め混合した汚泥脱水組成物とし、この汚泥脱水組成物を汚泥に添加するようにしてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌羽根、冷却管、温度計を備えた300mlセパラブルフラスコに水15.1mlとN,N’−ジエチルエチレンジアミン0.03molを入れ、その中に40%ジメチルアミン水溶液をジメチルアミンとして0.76mol相当分を撹拌しながら室温にてゆっくり添加した。そして、撹拌下、1分当たり対アミンモル比0.0025の速度で6時間かけてエピクロルヒドリン73.1g(0.79mol)を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温して3時間撹拌、つづいて90℃に昇温して0.02molの水酸化ナトリウムを5%水酸化ナトリウムで滴下し、5時間反応させた。室温まで冷却した後、希塩酸で中和し、褐色の粘稠ポリマー水溶液を得た。この粘稠ポリマー水溶液を実施例1の有機凝結剤とした。なお、得られた粘稠ポリマー水溶液を60質量%水溶液(蒸発残分換算)とし25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度は900(mPa・s)であった。
撹拌羽根、冷却管、温度計を備えた300mlセパラブルフラスコに水15.1mlとN,N’−ジエチルエチレンジアミン0.03molを入れ、その中に40%ジメチルアミン水溶液をジメチルアミンとして0.76mol相当分を撹拌しながら室温にてゆっくり添加した。そして、撹拌下、1分当たり対アミンモル比0.0025の速度で6時間かけてエピクロルヒドリン73.1g(0.79mol)を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温して3時間撹拌、つづいて90℃に昇温して0.02molの水酸化ナトリウムを5%水酸化ナトリウムで滴下し、5時間反応させた。室温まで冷却した後、希塩酸で中和し、褐色の粘稠ポリマー水溶液を得た。この粘稠ポリマー水溶液を実施例1の有機凝結剤とした。なお、得られた粘稠ポリマー水溶液を60質量%水溶液(蒸発残分換算)とし25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度は900(mPa・s)であった。
(実施例2)
N,N‘−ジエチルエチレンジアミンを0.08mol、ジメチルアミン0.71molとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例2の有機凝結剤とした。また、得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は、1050(mPa・s)であった。
N,N‘−ジエチルエチレンジアミンを0.08mol、ジメチルアミン0.71molとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例2の有機凝結剤とした。また、得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は、1050(mPa・s)であった。
(実施例3)
アルキレンジアミンをピペラジンとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例3の有機凝結剤とした。また、得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は、1250(mPa・s)であった。
アルキレンジアミンをピペラジンとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例3の有機凝結剤とした。また、得られた粘稠ポリマー水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は、1250(mPa・s)であった。
(比較例1)
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(固有粘度(1N・NaCl,30℃で測定)=0.8dL/g)を比較例1の有機凝結剤とした。
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(固有粘度(1N・NaCl,30℃で測定)=0.8dL/g)を比較例1の有機凝結剤とした。
(比較例2)
アルキレンジアミンを使用せず、またジメチルアミンを0.79molとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた水溶液を比較例2の有機凝結剤とした。また、得られた水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は680(mPa・s)であった。
アルキレンジアミンを使用せず、またジメチルアミンを0.79molとした以外は実施例1と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた水溶液を比較例2の有機凝結剤とした。また、得られた水溶液を実施例1と同様の方法で測定した回転粘度は680(mPa・s)であった。
(比較例3〜5)
食品工場生物処理水(SS(濁質)濃度=1830mg/L、原水濁度=130NTU)500mLを入れた500mLビーカー3個をジャーテスターに設置して、各ビーカーに硫酸バンド(18重量%のAl2O3水溶液)を600mg/L(比較例3)、800mg/L(比較例4)、1000mg/L(比較例5)となるように添加し、150rpmで1分間撹拌した。次に5%NaOHでpHを6.5に調整し、150rpmで1分間撹拌した後、高分子凝集剤P1(アクリル酸ソーダ:アクリルアミド=20:80(モル%)の共重合体、1N−NaCl,30℃で測定した固有粘度dL/g=22,ポリマーは粉末であるため0.2質量%水溶液として試験に供した。)を各ビーカーに1mg/Lずつ添加し、まず150rpmにて1分、次いで50rpmにて3分撹拌して、SSを凝集させた。そして、撹拌停止3分後、各上澄み液の濁度及びフロック径を測定した結果を表1に示す。なお、フロック径は目視にて測定した。この結果、濁度が1桁と清澄になる硫酸バンドの最適量は800mg/Lであった。
食品工場生物処理水(SS(濁質)濃度=1830mg/L、原水濁度=130NTU)500mLを入れた500mLビーカー3個をジャーテスターに設置して、各ビーカーに硫酸バンド(18重量%のAl2O3水溶液)を600mg/L(比較例3)、800mg/L(比較例4)、1000mg/L(比較例5)となるように添加し、150rpmで1分間撹拌した。次に5%NaOHでpHを6.5に調整し、150rpmで1分間撹拌した後、高分子凝集剤P1(アクリル酸ソーダ:アクリルアミド=20:80(モル%)の共重合体、1N−NaCl,30℃で測定した固有粘度dL/g=22,ポリマーは粉末であるため0.2質量%水溶液として試験に供した。)を各ビーカーに1mg/Lずつ添加し、まず150rpmにて1分、次いで50rpmにて3分撹拌して、SSを凝集させた。そして、撹拌停止3分後、各上澄み液の濁度及びフロック径を測定した結果を表1に示す。なお、フロック径は目視にて測定した。この結果、濁度が1桁と清澄になる硫酸バンドの最適量は800mg/Lであった。
(実施例4)
比較例3で用いた食品工場生物処理水500mLを、500mLビーカーに入れジャーテスターに設置して、ビーカーに硫酸バンド(18重量%のAl2O3水溶液)を600mg/L添加し、150rpmで1分撹拌した。次に、実施例1の有機凝結剤を、排水に対して蒸発残分換算で1mg/Lとなるように添加し、150rpmで1分間撹拌した。次いで、5%NaOHでpHを6.5に調整し、150rpmで1分間撹拌した。その後、高分子凝集剤P1を1mg/Lずつ添加し、まず150rpmにて1分、次いで50rpmにて3分撹拌して、SSを凝集させた。そして、撹拌停止3分後、上澄み液の濁度及びフロック径を測定した結果を表2に示す。
比較例3で用いた食品工場生物処理水500mLを、500mLビーカーに入れジャーテスターに設置して、ビーカーに硫酸バンド(18重量%のAl2O3水溶液)を600mg/L添加し、150rpmで1分撹拌した。次に、実施例1の有機凝結剤を、排水に対して蒸発残分換算で1mg/Lとなるように添加し、150rpmで1分間撹拌した。次いで、5%NaOHでpHを6.5に調整し、150rpmで1分間撹拌した。その後、高分子凝集剤P1を1mg/Lずつ添加し、まず150rpmにて1分、次いで50rpmにて3分撹拌して、SSを凝集させた。そして、撹拌停止3分後、上澄み液の濁度及びフロック径を測定した結果を表2に示す。
(実施例5〜10及び比較例6〜11)
有機凝結剤の種類及び添加率を表2で示すようにした以外は実施例4と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
有機凝結剤の種類及び添加率を表2で示すようにした以外は実施例4と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
この結果、本発明の有機凝結剤を用いた実施例4〜10では、通常の有機凝結剤を用いた比較例6〜11に比べて清澄な処理水が得られ、また、無機凝集剤の添加量の多い比較例4及び5と比較して同程度以上の清澄な処理水が得られており、無機凝集剤の低減効果、除濁効果とも優れることが確認できた。
(比較例12)
ポリエチレンイミン(固有粘度(1N・NaCl,30℃で測定)=0.4dL/g)を比較例12の有機凝結剤とした。
ポリエチレンイミン(固有粘度(1N・NaCl,30℃で測定)=0.4dL/g)を比較例12の有機凝結剤とした。
(実施例11)
汚泥I(化学工場余剰汚泥(SS濃度=1.35質量%、VSS/SS=78.5質量%、pH6.2、繊維分/SS=1.01質量%)200mLを入れた300mLポリビーカーに、無機凝集剤として10質量%Al2O3のポリ塩化アルミニウム(PAC)を3500mg/Lを添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次に、実施例1の有機凝結剤を、汚泥スラリーに対して蒸発残分換算で20mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次いで、高分子凝集剤として下記表3に示すP3を250mg/L添加し、スパーテルにて180rpmで30秒撹拌を行い、汚泥を凝集させた。その時のフロック径を目視にて測定した。次に、40メッシュのナイロンろ布を敷いたブフナーロートに塩ビの円筒を置き、その中に凝集汚泥を一気に注ぎ、10秒後のろ液量、分離したろ液の清澄性を測定した。続いて、ロート上に残った汚泥を少量取り、面圧1kg/cm2にて60秒圧搾し、そのケーキを105℃で一晩乾燥させて、ケーキ含水率を求めた。結果を表4に示す。なお、ろ液の清澄性は、目視により観察し、ほとんどSS(懸濁物質)がなく透明な場合を○、わずかにSSが存在する場合を△、SSが多く濁っていた場合を×とした。
汚泥I(化学工場余剰汚泥(SS濃度=1.35質量%、VSS/SS=78.5質量%、pH6.2、繊維分/SS=1.01質量%)200mLを入れた300mLポリビーカーに、無機凝集剤として10質量%Al2O3のポリ塩化アルミニウム(PAC)を3500mg/Lを添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次に、実施例1の有機凝結剤を、汚泥スラリーに対して蒸発残分換算で20mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次いで、高分子凝集剤として下記表3に示すP3を250mg/L添加し、スパーテルにて180rpmで30秒撹拌を行い、汚泥を凝集させた。その時のフロック径を目視にて測定した。次に、40メッシュのナイロンろ布を敷いたブフナーロートに塩ビの円筒を置き、その中に凝集汚泥を一気に注ぎ、10秒後のろ液量、分離したろ液の清澄性を測定した。続いて、ロート上に残った汚泥を少量取り、面圧1kg/cm2にて60秒圧搾し、そのケーキを105℃で一晩乾燥させて、ケーキ含水率を求めた。結果を表4に示す。なお、ろ液の清澄性は、目視により観察し、ほとんどSS(懸濁物質)がなく透明な場合を○、わずかにSSが存在する場合を△、SSが多く濁っていた場合を×とした。
(実施例12〜27及び比較例13〜35)
汚泥、無機凝集剤、有機凝結剤及び高分子凝集剤の種類や添加率を表4や表5で示すようにした以外は実施例11と同様の操作を行った。なお、表中、実施例を「実」と、比較例を「比」と表記した。また、汚泥IIは紙パルプ工場加圧浮上汚泥(SS濃度=2.1質量%、VSS/SS=71質量%、pH5.8、繊維分/SS=27.8質量%)、硫酸バンドは18重量%のAl2O3水溶液を用いた。結果を表4及び表5に示す。
汚泥、無機凝集剤、有機凝結剤及び高分子凝集剤の種類や添加率を表4や表5で示すようにした以外は実施例11と同様の操作を行った。なお、表中、実施例を「実」と、比較例を「比」と表記した。また、汚泥IIは紙パルプ工場加圧浮上汚泥(SS濃度=2.1質量%、VSS/SS=71質量%、pH5.8、繊維分/SS=27.8質量%)、硫酸バンドは18重量%のAl2O3水溶液を用いた。結果を表4及び表5に示す。
この結果、本発明の有機凝結剤を用いた実施例11〜27では、通常の有機凝結剤を用いた比較例13〜35に比べて、フロック強度が高くなり、低含水率のケーキを得ることができることが確認できた。
(実施例28)
撹拌羽根、冷却管、温度計を備えた300mlセパラブルフラスコに水15.1mlとN,N’−ジエチルエチレンジアミン3.48g(0.03mol)を入れ、その中に40%ジメチルアミン水溶液85.5g(ジメチルアミンとして0.76mol相当分)を撹拌しながら室温にてゆっくり添加した。そして、撹拌下、1分当たり対アミンモル比0.0025の速度で6時間かけてエピクロルヒドリン73.1g(0.79mol)を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温して3時間撹拌、つづいて90℃に昇温して0.02molの水酸化ナトリウムを5%水酸化ナトリウムで滴下し、5時間反応させた。室温まで冷却した後、希塩酸で中和し、褐色の粘稠ポリマー水溶液(分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン水溶液)を得た。得られた粘稠ポリマー水溶液を30質量%水溶液(蒸発残分換算)とし25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度は540(mPa・s)であった。
撹拌羽根、冷却管、温度計を備えた300mlセパラブルフラスコに水15.1mlとN,N’−ジエチルエチレンジアミン3.48g(0.03mol)を入れ、その中に40%ジメチルアミン水溶液85.5g(ジメチルアミンとして0.76mol相当分)を撹拌しながら室温にてゆっくり添加した。そして、撹拌下、1分当たり対アミンモル比0.0025の速度で6時間かけてエピクロルヒドリン73.1g(0.79mol)を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温して3時間撹拌、つづいて90℃に昇温して0.02molの水酸化ナトリウムを5%水酸化ナトリウムで滴下し、5時間反応させた。室温まで冷却した後、希塩酸で中和し、褐色の粘稠ポリマー水溶液(分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン水溶液)を得た。得られた粘稠ポリマー水溶液を30質量%水溶液(蒸発残分換算)とし25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度は540(mPa・s)であった。
次いで、得られた分岐構造を有するポリアルキレンポリアミン水溶液に、少量のアセトンに溶解した1,5−ヘキサジエンジエポキシドを0.03mmoL(N,N‘−ジエチルエチレンジアミン1moLに対して0.001moL)添加し、50℃で3時間攪拌することにより、架橋構造を有する架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を得た。得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を実施例28の有機凝結剤とした。また、得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を30質量%水溶液(蒸発残分換算)とし25℃、30rpmでB型粘度計にて測定した回転粘度は15300(mPa・s)であった。
(実施例29)
1,5−ヘキサジエンジエポキシドのかわりにエピオールE−400(日油株式会社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(−(CH2CH2O)m−のmは9である。))0.05mmoL(N,N‘−ジエチルエチレンジアミン1moLに対して0.0017moL)を添加した以外は実施例28と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を実施例29の有機凝結剤とした。また、得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を実施例28と同様の方法で測定した回転粘度は、9650(mPa・s)であった。
1,5−ヘキサジエンジエポキシドのかわりにエピオールE−400(日油株式会社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(−(CH2CH2O)m−のmは9である。))0.05mmoL(N,N‘−ジエチルエチレンジアミン1moLに対して0.0017moL)を添加した以外は実施例28と同じ条件、操作にて合成を行った。得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を実施例29の有機凝結剤とした。また、得られた架橋ポリアルキレンポリアミン水溶液を実施例28と同様の方法で測定した回転粘度は、9650(mPa・s)であった。
(実施例30)
食品工場排水の活性汚泥処理水(SS(濁質)濃度=0.85質量%、溶解性CODMn=65mg/L,濁度=28NTU,pH6.7)500mLを、500mLビーカーに入れジャーテスターに設置して、ビーカーに10質量%Al2O3のポリ塩化アルミニウム(PAC)及び実施例28の有機凝結剤を添加し、150rpmで撹拌しながらpHを5%NaOHで6.5に調整した。なお、被処理水に対して、10質量%のポリ塩化アルミニウム(PAC)は600mg/Lとなるように、また、実施例28の有機凝結剤は2mg/Lとなるように添加した。
食品工場排水の活性汚泥処理水(SS(濁質)濃度=0.85質量%、溶解性CODMn=65mg/L,濁度=28NTU,pH6.7)500mLを、500mLビーカーに入れジャーテスターに設置して、ビーカーに10質量%Al2O3のポリ塩化アルミニウム(PAC)及び実施例28の有機凝結剤を添加し、150rpmで撹拌しながらpHを5%NaOHで6.5に調整した。なお、被処理水に対して、10質量%のポリ塩化アルミニウム(PAC)は600mg/Lとなるように、また、実施例28の有機凝結剤は2mg/Lとなるように添加した。
次に、高分子凝集剤P6(アクリル酸ソーダ:アクリルアミド=20:80(モル%)の共重合体、1N−NaCl,30℃で測定した固有粘度dL/g=20,ポリマーは粉末であるため0.2質量%水溶液として試験に供した。)を被処理水に対して1mg/Lとなるように添加し、まず150rpmにて1分、次いで50rpmにて3分撹拌して、SSを凝集させた。該50rpm攪拌2分経過後にフロック径を目視にて測定した。また、撹拌停止3分後、上澄み液の濁度及びCODMnを測定した。結果を表6に示す。
(実施例31〜37及び比較例36〜39)
有機凝結剤の種類及び添加率、PACの添加率を表6で示すようにした以外は実施例30と同様の操作を行った。結果を表6に示す。
有機凝結剤の種類及び添加率、PACの添加率を表6で示すようにした以外は実施例30と同様の操作を行った。結果を表6に示す。
この結果、本発明の有機凝結剤を用いた実施例30〜37では、無機凝集剤の添加量の多い比較例37よりも清澄な処理水が得られており、無機凝集剤量の低減効果、除濁効果とも優れることが確認できた。また、架橋ポリアルキレンポリアミンを含有する実施例28及び29の有機凝結剤を用いた実施例30〜35は、特に清澄な処理水が得られた。
(実施例38)
汚泥(下水処理場活性汚泥処理の余剰汚泥(SS濃度=1.9質量%、VSS/SS=77質量%、pH5.8、繊維分/SS=8.8質量%)200mLを入れた300mLポリビーカーに、無機凝集剤として塩化第二鉄(38度ボーメ)を汚泥にスラリーに対して1000mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次に、実施例28の有機凝結剤を、汚泥スラリーに対して蒸発残分換算で10mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次いで、pHが5であることを確認後、高分子凝集剤として上記表3に示すP3を180mg/L添加し、スパーテルにて180rpmで30秒撹拌を行い、汚泥を凝集させた。その時のフロック径を目視にて測定した。次に、40メッシュのナイロンろ布を敷いたブフナーロートに塩ビの円筒を置き、その中に凝集汚泥を一気に注ぎ、10秒後のろ液量、分離したろ液の清澄性を測定した。続いて、ロート上に残った汚泥を少量取り、面圧1kg/cm2にて60秒圧搾し、そのケーキを105℃で一晩乾燥させて、ケーキ含水率を求めた。結果を表7に示す。なお、ろ液の清澄性は、目視により観察し、ほとんどSS(懸濁物質)がなく透明な場合を○、わずかにSSが存在する場合を△、SSが多く濁っていた場合を×とした。
汚泥(下水処理場活性汚泥処理の余剰汚泥(SS濃度=1.9質量%、VSS/SS=77質量%、pH5.8、繊維分/SS=8.8質量%)200mLを入れた300mLポリビーカーに、無機凝集剤として塩化第二鉄(38度ボーメ)を汚泥にスラリーに対して1000mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次に、実施例28の有機凝結剤を、汚泥スラリーに対して蒸発残分換算で10mg/Lとなるように添加し、プロペラ羽根の撹拌機にて250rpmで20秒撹拌した。次いで、pHが5であることを確認後、高分子凝集剤として上記表3に示すP3を180mg/L添加し、スパーテルにて180rpmで30秒撹拌を行い、汚泥を凝集させた。その時のフロック径を目視にて測定した。次に、40メッシュのナイロンろ布を敷いたブフナーロートに塩ビの円筒を置き、その中に凝集汚泥を一気に注ぎ、10秒後のろ液量、分離したろ液の清澄性を測定した。続いて、ロート上に残った汚泥を少量取り、面圧1kg/cm2にて60秒圧搾し、そのケーキを105℃で一晩乾燥させて、ケーキ含水率を求めた。結果を表7に示す。なお、ろ液の清澄性は、目視により観察し、ほとんどSS(懸濁物質)がなく透明な場合を○、わずかにSSが存在する場合を△、SSが多く濁っていた場合を×とした。
(実施例39〜45及び比較例40〜43)
有機凝結剤の種類及び添加率、第二塩化鉄の添加率を表7で示すようにした以外は実施例38と同様の操作を行った。結果を表7に示す。
有機凝結剤の種類及び添加率、第二塩化鉄の添加率を表7で示すようにした以外は実施例38と同様の操作を行った。結果を表7に示す。
この結果、本発明の有機凝結剤を用いた実施例38〜45では、フロック強度が高くなり、低含水率のケーキを得ることができることが確認できた。
Claims (10)
- アルキルアミン、ハロゲン化グリシジルエーテル及びアルキレンジアミンを反応させて得られる分岐構造を有するポリアルキレンポリアミンを含有することを特徴とする有機凝結剤。
- 前記アルキルアミンが、ジアルキルアミンであることを特徴とする請求項1に記載の有機凝結剤。
- 前記ハロゲン化グリシジルエーテル、前記アルキルアミン、前記アルキレンジアミンの比率は、モル比でハロゲン化グリシジルエーテル:アルキルアミン:アルキレンジアミン=1:0.7〜0.99:0.3〜0.01であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機凝結剤。
- 前記ポリアルキレンポリアミンにさらに架橋剤を反応させて得られる架橋ポリアルキレンポリアミンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機凝結剤。
- 前記架橋剤はジグリシジルエーテル化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機凝結剤。
- 前記アルキレンジアミンと前記架橋剤の比率は、モル比でアルキレンジアミン:架橋剤=1:0.00001〜0.005であることを特徴とする請求項4又5に記載の有機凝結剤。
- 請求項1〜6の何れかに記載の有機凝結剤、無機凝集剤、及び、高分子凝集剤を排水に添加し、固液分離処理を行うことを特徴とする排水処理方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の有機凝結剤、及び、高分子凝集剤を汚泥に添加した後、脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
- 前記汚泥に無機凝集剤を添加することを特徴とする請求項8に記載の汚泥脱水方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の有機凝結剤、及び、高分子凝集剤を含有することを特徴とする汚泥脱水組成物。
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2009
- 2009-06-12 JP JP2009141530A patent/JP2010089073A/ja active Pending
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