JP2011050889A - 両性有機凝結剤および廃水処理方法 - Google Patents

両性有機凝結剤および廃水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凝結性と脱水性に優れ且つCOD(化学的酸素要求量)低減率が高い両性有機凝結剤の提供。
【解決手段】一般式(1)のカチオン性モノマーと一般式(2)のスルホン酸及び/又はその塩の共重合体から成る両性有機凝結剤。
Figure 2011050889

(上記の一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子、メチル基またはベンジル基を表し、Aは酸素原子またNH基を表し、Bは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Xは陰イオンをそれぞれ表す。また、上記の一般式(2)において、Xは陽イオンを表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は両性有機凝結剤および廃水処理方法に関する。
従来、下水、し尿、工場廃水に由来する有機性汚泥やその処理後の廃水、製紙工場における廃水などを処理する場合、無機凝結剤(例えば硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄など)が広く使用されてきたが、無機凝結剤は廃水に対して莫大な添加量が必要とされることから固液分離後のスラッジ量が増大するという問題があった。そこで、有機凝結剤として、エピクロルヒドリンとアミンの重縮合物(特許文献1)や、ジアリルジメチルアンモニウムハライド重合体など(特許文献2及び3)を使用することにより、スラッジ量を低減させて廃水処理のコストを低減させる提案がなされている。
ところで、上記の廃水処理においては、昨今の汚泥および廃水量の増加に対応するために処理速度を向上させることが不可欠となり、そのため、より強固なフロックを生成することが望まれている。また、脱水工程後の脱水ケーキを焼却または埋め立て処分するためのコストを低減させるため、脱水ケーキ中の含水率を低減させる性能、更には、脱水工程後の分離水の脱色、COD低減、濁度の低減についても有機凝結剤の性能として求められている。
しかしながら、上記のカチオン型有機凝結剤ではこれらの要求を十分に満足させることは出来ず、上記のカチオン型有機凝結剤と高分子凝集剤を併せた処理においても未だ十分な性能を発現することは出来ない状況にある。
特公昭38−26794号公報 特開2001−38104号公報 特開2001−270906号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、凝結性および脱水性に優れ且つCOD低減率が高い両性有機凝結剤、および当該有機凝結剤を使用した廃水処理方法を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、以下の一般式(1)で表されるカチオン性モノマーと以下の一般式(2)で表されるアニオン性モノマーである2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸及び/又はその塩の共重合体から成ることを特徴とする両性有機凝結剤に存する。
Figure 2011050889
上記の一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子、メチル基またはベンジル基を表し、Aは酸素原子またNH基を表し、Bは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Xは陰イオンをそれぞれ表す。また、上記の一般式(2)において、Xは陽イオンを表す。
そして、本発明の第2の要旨は、上記の両性有機凝結剤を使用することを特徴とする廃水処理方法に存する。
本発明の両性有機凝結剤は、製紙工場の廃水などの工業廃水などに添加することにより、優れた凝結性および脱水性と共に高いCOD低減率を表し、無機凝結剤の添加量を大幅に低減することにより発生するスラッジ量を大幅に低減することが出来る。更に、汚泥中に添加、混合することのより、優れた凝結性を示し、高分子凝集剤と併用することで優れた脱水性を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の両性有機凝結剤について説明する。
本発明の両性有機凝結剤は、前記の一般式(1)で表されるカチオン性モノマーと前記の一般式(2)で表されるアニオン性モノマーである2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸及び/又はその塩の共重合体から成る。そして、一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子、メチル基またはベンジル基を表し、Aは酸素原子またNH基を表し、Bは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Xは陰イオンをそれぞれ表す。また、一般式(2)において、Xは陽イオンを表す。
上記のR及びRにおける炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、プロピル基などが挙げられるが、特にメチル基が好ましい。上記のBにおける炭素数1〜4のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられるが、特にエチレン基が好ましい。上記の陰イオンXの具体例としては、Cl−,Br−等のハロゲンイオン、1/2SO 2−の硫酸基を表す。また、上記の陽イオンXの具体例としては、水素イオン、ナトリウムやカリウムのようなアルカリイオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられるが、特にナトリウムイオンが好ましい。
一般式(1)で表されるカチオン性モノマーの代表例としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系カチオンモノマーなどが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩酸塩や硫酸塩などの3級塩;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩化メチル付加物などのハロゲン化アルキル付加物や塩化ベンジル等のハロゲン化アリール付加物などの4級塩などが挙げられる。また、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の塩酸塩や硫酸塩などの3級塩;ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加物などのハロゲン化アルキル付加物や塩化ベンジル付加物などのハロゲン化アリール付加物などの4級塩も挙げられる。これらの中では、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートハロゲン化アルキル付加物が好ましく、特にジメチルアミノエチルメタアクリレートメチルクロライド付加物が好ましい。
上記のカチオン性モノマーに対する上記のアニオン性モノマーの共重合比率は、特に制限されないが、凝結剤としての効果の観点から、通常0.1〜3質量%の範囲である。
前記の共重合体の製造方法としては、ラジカル重合法、例えば、水溶液滴下重合法、逆層懸濁重合法、水溶液光重合法、沈殿重合法、逆層乳化重合法、静置断熱重合法を採用することが出来る。これらの中では、工業的観点から、水溶液滴下重合と水溶液光重合法が好ましく、特に水溶液光重合法が好ましい。
水溶液光重合法は、重合開始前のモノマー反応液を均一にシート状にし、光開始剤を使用して可視光あるいは紫外光を照射することにより行われる。水溶液光重合方法では、通常、共重合が終了すると、含水ゲル状で前記の共重合体が得られる。
上記の光開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。光開始剤の添加量は、モノマー反応液100質量部に対し、通常0.001〜0.1質量部である。光開始剤の添加量が0.001質量部未満の場合は、共重合速度および共重合率の点で不十分であり、0.1質量部を超える場合は、共重合反応が暴走したり共重合体の品質が低下することがある。また、共重合の際には、必要に応じて連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、次亜リン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩などが挙げられる。
含水ゲル状で得られた共重合体は、適当な方法で解砕した後に乾燥し、粉砕して粉末状にすることが出来る。また、共重合体の10質量%塩粘度(有機凝結剤50.0gを脱イオン水450.0gに溶解し、更に食塩20gを溶解した25℃の水溶液の粘度)は、通重10〜3000mPa・sである。上記の溶液粘度はB型粘度計(東機産業社製)を使用した値である。
本発明の両性有機凝結剤は、前記の共重合体から成り、各種の廃水に適用でき、特に製紙工場廃水の処理に好適に使用することが出来る。この際、更に凝結作用を向上させるため、本発明の効果を阻害しない範囲で他の凝結剤(有機および無機凝結剤)を併用することが出来る。他の有機凝結剤としては、エピクロルヒドリンとジメチルアミン重縮合物(塩酸塩)、ポリアリルアミン(塩酸塩)、ポリエチレンイミン(塩酸塩)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと二酸化イオウの共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体、ジアリルアミン塩酸塩と二酸化イオウとの共重合体などが挙げられる。無機凝結剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、消石灰等などが挙げられる。これらの中では、濾液清澄度の観点から、無機凝結剤が好ましく、特に、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄の群から選択される何れかが好ましい。また、本発明の両性有機凝結剤は、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤、キレート化剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤から成る群から選ばれる添加剤を併用することが出来る。
次に、本発明の廃水処理方法について説明する。
本発明の廃水処理方法は前記の両性有機凝結剤を使用することを特徴とする。本発明の廃水処理方法は、有機凝結剤の添加により廃水または汚泥中の汚濁物質を凝結して固液分離を行う方法であれば。特に限定されることはない。例えば、以下の(1)〜(4)の方法などが挙げられる。
(1)廃水または汚泥に有機凝結剤を添加、攪拌し、必要によりpH調整した後に凝結物を固液分離する方法。
(2)廃水または汚泥に有機凝結剤および無機凝結剤を添加、攪拌し、必要によりpH調整した後に凝結物を固液分離する方法。
(3)廃水または汚泥に有機凝結剤を添加、攪拌し、必要によりpH調整し、凝結させた後、高分子凝集剤を添加することで粗大フロックを形成させた後に固液分離する方法。
(4)廃水または汚泥に有機凝結剤および無機凝結剤を添加、攪拌し、必要によりpH調整し、凝結させた後、高分子凝集剤を添加することで粗大フロックを形成させた後に固液分離する方法。
固液分離方法としては、例えば、重力沈降、膜濾過、カラム濾過、加圧浮上、濃縮装置、脱水装置(例えば、遠心分離機、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機など)等を利用することが出来る。
上記の処理方法の中では、よりフロックが粗大化し、固液分離が容易になるという観点から(3)及び(4)の方法が好ましい。
また、上記の処理方法(2)及び(4)で使用する無機凝結剤としては、前記の無機凝結剤が挙げられ、これらは2種類以上を併用することも可能である。上記の処理方法(3)及び(4)で使用される高分子凝集剤としては、特に限定されず、カチオン性、ノニオン性、アニオン性、両性の何れでもよく、これらを併用することも出来る。
上記のカチオン性高分子凝集剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアミジン、ポリビニルアミン及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミドのマンニッヒ変性物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の単独重合体または(メタ)アクリルアミド等の他のモノマーとの共重合体、その他、前記一般式(1)で表されるカチオン性モノマーを含む(共)重合体などが挙げられる。
前記のノニオン性高分子凝集剤としてはポリアクリルアミド等が挙げられる。
前記のアニオン性高分子凝集剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリルアミドの加水分解物、(メタ)アクリルアミド・(メタ)アクリル酸ナトリウム共重合体、(メタ)アクリルアミド・(メタ)アクリル酸ナトリウム・2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−1−スルホン酸ナトリウム共重合体、(メタ)アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−1−スルホン酸ナトリウム共重合体、その他、ここで使用されるアニオン性モノマーを含む共重合体などが挙げられる。
前記の両性高分子凝集剤としては、上記のカチオン性モノマーとアニオン性モノマー(及び必要により使用されるノニオン性モノマー)との共重合体などが挙げられる。
上述の高分子凝集剤の中では、各種工場廃水などの凝集沈殿処理において、有機凝結剤や無機凝結剤のカチオン成分と反応し、粗大フロックを形成して沈降させ易いという観点から、アニオン性高分子凝集剤を使用することが好ましい。また、有機性汚泥処理において、懸濁粒子のアニオン電荷の荷電中和能力を有するとの観点から好ましいのはカチオン性高分子凝集剤および両性高分子凝集剤である。
上記の廃水処理方法において、廃液に有機凝結剤を添加する方法としては、粉末状の有機凝結剤をそのまましてもよいが、均一混合の観点から、有機凝結剤を水溶液にした後に、廃水または汚泥に添加して十分に攪拌する方法が好ましい。粉末状の有機凝結剤を水溶液として使用する場合、有機凝結剤の濃度は、通常0.01〜30質量%、好ましくは1〜20%質量である。
有機凝結剤の溶解方法および溶解後の希釈方法は、特に限定されないが、例えば、予め秤量した水を攪拌モーター等の攪拌装置により攪拌しながら所定量の有機凝結剤を加え、10分〜5時間攪拌して溶解する方法などが採用される。
上記の廃水処理方法において、有機凝結剤の使用量は、廃水または汚泥の種類、懸濁粒子の含有量、使用される有機凝結剤の種類などによって異なるために一概には言えないが、処理後の濾液の濁度を向上させる観点から、処理する廃水に対し、通常0.01〜10ppm、好ましくは0.5〜8ppmである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、また、例中の「%」は、特に断らない限り、質量%を示す。
<有機凝結剤の製造>
製造例1−1;
水溶性カチオン性モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩水溶液(以下「DMC」と略す)(大阪有機化学工業社製、純度80%)1287.0g及び2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム(以下「SMS」と略す)(旭化成ファインケム社製)10.4gを、2000mL褐色耐熱瓶に投入し、全モノマー濃度80%、総質量1300gになるように蒸留水2.6gを加え、pHが4.5になるように1mol/L硫酸で調整し、モノマー反応液(DMC:SMS=99:1(質量%比))を調製した。
更に、光開始剤として「DAROCUR(登録商標)1173」(以下「D−1173」と略す。2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、Ciba社製)を、モノマー反応液の総質量に対して、500ppmとなるように投入し、これに窒素ガスを30分間吹き込みながら溶液温度を16℃に調節した。その後、モノマー反応液をステンレス反応容器に移し、容器の下方から16℃の水を噴霧しながら、ケミカルランプを10W/mの照射強度で照射した。照射開始から10分後に照射強度を5W/mとして更に20分間照射した。更に、照射強度を50W/mにして10分間照射し、共重合を行った。これにより、板状の共重合体を得た。
この板状の共重合体を容器から取り出し、ハンマーを使用して0.5cm角以下まで解砕した。これを温度60℃で16時間乾燥後、粉砕して粉末状の有機凝結剤(A−1)を得た。得られた粉末は吸湿を防ぐために蓋付きのポリ容器等に保管した。
得られた有機凝結剤(A−1)50.0gを脱イオン水450.0gに溶解し、更に、食塩20gを溶解した水溶液を調製した。B型粘度計(東機産業社製)を使用し、溶液粘度に応じたローターにより、温度25℃、回転速度60rpmの条件で、5分後の有機凝結剤水溶液の粘度を測定した(これを10%塩粘度と称する)。表1に共重合体のモノマー比率および10%塩粘度の測定結果を示す。5%塩粘度は、有機凝結剤を25.0g、脱イオン水を475.0gとした以外は、前記10%塩粘度と同様にして測定した値である。
製造例1−2〜6及び製造例2−2〜3:
添加するSMSの量を表1に示す量とした以外は、製造例1−1と同様な操作を行い、有機凝結剤(A−2)〜(A−6)、(B−2)、(B−3)を得た。表1に共重合体のモノマー比率および10%塩粘度の測定結果を示す。
比較製造例2−1:
DMC1300.0gを2000mL褐色耐熱瓶に投入し、pHが4.5になるように1mol/L硫酸で調整し、モノマー反応液(DMC:SMS=100:0(質量%))を調整した。更に、D−1173を、モノマー反応液の総質量に対して、500ppmとなるように投入した。以下、製造例1と同様の操作を行い、有機凝結剤(B−1)を得た。表1に共重合体のモノマー比率および5%塩粘度の測定結果を示す。5%塩粘度は、有機凝結剤を25.0g、脱イオン水を475.0gとした以外は、前記10%塩粘度と同様にして測定した値である。
製造例2−4:
DMC1300.0gを2000mL褐色耐熱瓶に投入し、連鎖移動剤として次亜リン酸(和光純薬製試薬特級)1%を加えた後にpHが4.5になるように1mol/L硫酸で調整し、モノマー反応液(DMC:SMS=100:0(質量%))を調整した。更に、D−1173を、モノマー反応液の総質量に対して、500ppmとなるように投入した。以下、製造例1と同様の操作を行い、有機凝結剤(B−4)を得た。表1に共重合体のモノマー比率および5%塩粘度の測定結果を示す。
<市販有機凝結剤との比較>
ダイヤニトリックス社製のダイヤフロックK415(DMC100%:製品濃度40%)を濃度10%となるように4倍希釈し、有機凝結剤(B−5)を得た。表1に10%塩粘度の測定結果を示す。
<有機凝結剤の評価−1>
製紙工業廃水処理場(I)から採取したDIP廃水、冷却廃水などから成る総合廃水(I)(pH:6.85、SS分:2500ppm)を使用した。混合廃水(I)500mLを500mLのビーカーに採取した。これに、硫酸バンド600ppmを加えた後に表1に示す有機凝結剤の1%溶液を添加し、30秒間攪拌する。その後に表2記載のアニオン性凝集剤A(ダイヤニトリックス社製「AP741B」)を2ppm加えてフロックを形成させ、フロック径を計測した。アニオン性凝集剤を加えた後、2分間の攪拌時間が経過したら攪拌を停止、更に、その2分後に処理液の上澄みをシリンジにて採取し、濁度計(ラコムテスター濁度計「N−100」)にて上澄み濁度(NTU)を計測した。
<有機凝結剤の評価−2>
製紙工業廃水処理場(II)から採取したDIP廃水、冷却廃水などから成る総合廃水(II)(pH:6.7、SS分:3100ppm)を使用した。混合廃水(II)500mLを500mLのビーカーに採取した。これに、硫酸バンド450ppmを加えた後に表1に示す有機凝結剤の1%溶液を添加し、ジャーテスターにより30秒間攪拌した。その後、表2記載のアニオン性凝集剤B(ダイヤニトリックス社製「AP335B」)を5ppm加えてフロックを形成させ、目視によりフロック径を計測した。アニオン性凝集剤を加えた後、2分間の攪拌時間が経過したら攪拌を停止、更に、その2分後に処理液の上澄みをシリンジにて採取し、濁度計(ラコムテスター濁度計「TN−100」)にて上澄み濁度(NTU)を計測した。
実施例1〜6:
<有機凝結剤の評価−1>にて有機凝結剤(A−1)〜(A−6)を評価した。表3に結果を示す。
実施例7〜12:
<有機凝結剤の評価−2>にて有機凝結剤(A−1)〜(A−6)を評価した。表3に結果を示す。
比較例1〜5:
<有機凝結剤の評価−1>にて有機凝結剤(B−1)〜(B−5)を評価した。表3に結果を示す。
比較例6〜10:
<有機凝結剤の評価−2>にて有機凝結剤(B−1)〜(B−5)を評価した。表3に結果を示す。
Figure 2011050889
Figure 2011050889
Figure 2011050889
表3の結果から、混合廃水(I)及び(II)の何れにおいても本発明の両性有機凝結剤は、カチオン性モノマーから成るカチオン性有機凝結剤よりも上澄み濁度の低減に効果があることが確認できた。

Claims (6)

  1. 以下の一般式(1)で表されるカチオン性モノマーと以下の一般式(2)で表されるアニオン性モノマーである2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸及び/又はその塩の共重合体から成ることを特徴とする両性有機凝結剤。
    Figure 2011050889
    (上記の一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子、メチル基またはベンジル基を表し、Aは酸素原子またNH基を表し、Bは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Xは陰イオンをそれぞれ表す。また、上記の一般式(2)において、Xは陽イオンを表す。)
  2. カチオン性モノマーに対するアニオン性モノマーの共重合比率が0.1〜3質量%の範囲である請求項1記載の両性有機凝結剤。
  3. 共重合体が粉末状である請求項1又は2に記載の両性有機凝結剤。
  4. 10質量%塩粘度(有機凝結剤50.0gを脱イオン水450.0gに溶解し、更に食塩20gを溶解した25℃の水溶液の粘度)が10〜3000mPa・sである請求項1〜3の何れかに記載の両性有機凝結剤。
  5. 廃水に請求項1〜4の何れかに記載の両性有機凝結剤を添加し、廃水中の汚濁物質を凝結して固液分離を行うことを特徴とする廃水処理方法。
  6. 両性有機凝結剤を添加した後にアニオン性高分子凝集剤を添加する請求項5に記載の廃水処理方法。
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