JP2010084925A - フロントフォーク - Google Patents

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Abstract

【課題】 フォーク本体内に収装されるアクチュエータやリード線における電気的故障を発現され難くすると共に、フォーク本体内に収装のダンパにおける伸縮作動を保障しながら懸架バネにおけるバネ力調整を可能にする。
【解決手段】 車体側チューブ1と車輪側チューブ2とからなるフォーク本体内にダンパとアクチュエータ3および懸架バネSとジャッキ機構を有し、アクチュエータ3から延びるリード線4が車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11を径方向に挿通してキャップ部材11の外に延在させ、ジャッキ機構がキャップ部材11における下端側部11eと、この下端側部11eに摺動可能に連繋されてこの下端側部11eとの間に膨縮する圧力室R3を画成するピストン部材13とを有し、キャップ部材11における軸芯部から偏心する部位に形成の圧油給排路Lを介しての圧力室R3に対する圧油の給排でこの圧力室R3を膨縮させてピストン部材13をキャップ部材11に対して昇降させ、懸架バネSにおける上端位置を昇降させる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、フロントフォークに関し、特に、二輪車の前輪側に架装されて二輪車の前輪を懸架しながらその前輪に入力される路面振動を吸収する油圧緩衝器たるフロントフォークの改良に関する。
二輪車の前輪側に架装されて二輪車の前輪を懸架しながらその前輪に入力される路面振動を吸収する油圧緩衝器たるフロントフォークとしては、これまでに種々の提案がある。
その中で、たとえば、特許文献1には、フロントフォークを構成するフォーク本体内に収装のダンパにおける減衰作用を遠隔操作で制御するフロントフォークの提案が開示され、また、特許文献2には、フォーク本体内に収装の懸架バネにおけるバネ力の強弱を調整して、二輪車における車高を高低調整可能にするフロントフォークの提案が開示されている。
すなわち、特許文献1に開示のフロントフォークにあっては、車体側チューブと車輪側チューブとからなるフォーク本体内に収装のダンパにおける減衰作用を同じくフォーク本体内に収装のアクチュエータに対する遠隔操作で電気的に制御する。
ちなみに、アクチュエータが制御するのは、ダンパを構成するシリンダ体内に収装のピストン部における減衰部を迂回するバイパス路中に設けたコントロールバルブの作動である。
一方、特許文献2に開示のフロントフォークにあっては、フォーク本体内に収装の懸架バネにおける上端に当接されて直列されるピストンたるプランジャがフォーク本体外からの圧油の給排で懸架バネの軸線方向に摺動し、懸架バネの上端位置を昇降させて懸架バネのバネ力を調整する。
それゆえ、特許文献1に開示されている提案と、特許文献2に開示されている提案とを合体したフロントフォークにあっては、たとえば、車体に設けた各種のセンサからの検知信号を演算部で処理してアクチュエータに信号として出力することで、フォーク本体内に収装のダンパにおける減衰部による減衰作用を遠隔操作で電気的に制御し得ると共に、車体に設けた圧油給排源を駆動することで、フォーク本体内に収装の懸架バネにおける上端位置を昇降させて懸架バネのバネ力を調整し、車高を高低調整し得ることになる。
特開平2008‐14431号公報(明細書中の段落0039,図3参照) 特開平4‐8934号公報(明細書第3頁中左欄の上段の記載,同第4頁中左欄の下段の記載,第1図,第4図参照)
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2に開示の各フロントフォークにあっては、それぞれの良さを有する点で基本的に問題がある訳ではないが、これを合体して言わば一本のフロントフォークに具現化するとなると、些かの不具合があると指摘される可能性がある。
すなわち、上記の特許文献1に開示のフロントフォークにあっては、アクチュエータが、また、上記の特許文献2に開示のフロントフォークにあっては、上記のプランジャを有する言わばジャッキ機構が、それぞれフォーク本体内の軸芯部に、すなわち、車体側チューブにおける上端部側の軸芯部に配設されている。
それゆえ、新たに創案されるフロントフォークにあって、文献開示のアクチュエータおよびジャッキ機構の両方をそのまま車体側チューブにおける上端部側の軸芯部に配設することは困難と言い得る。
そこで、上記のアクチュエータとジャッキ機構の内のいずれか一方を車体側チューブにおける上端部側の軸芯部に優先的に配設させ、他方を車体側チューブにおける上端部側の軸芯部から偏芯する部位に配設させることになるが、いずれを車体側チューブにおける上端部側の軸芯部に配設させるかは任意となる。
ただ、上記した特許文献1に開示の提案にあっては、アクチュエータから延びるリード線が車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材の軸芯部を貫通してフォーク本体の上方に引き延ばされる点で、また、上記した特許文献2に開示の提案にあっては、ダンパがフォーク本体と一体とされていない点で不具合がある。
すなわち、特許文献1の提案による場合には、車体側チューブの上端に雨水が当たるときに、上記のリード線およびこれをモールドする部位が直接雨水に晒されることになり、たとえば、モールド部分が経年劣化でクラックを生じるなどして雨水を浸透させ易い状況になると、このモールド部分を介するなどして内部に雨水が浸入し、アクチュエータに電気的故障を発現させ易くなる不具合がある。
そして、リード線にあっても、車体側チューブの上端から上方に向けて突出するから、いわゆる横力を受けて倒れ易くなり、この起立および倒れが繰り返されることで、また、倒れた状態が継続されることで、内部での断線が発現され、通電不能になり易くなる不具合がある。
また、特許文献2の提案による場合には、ダンパを構成するロッド体がプランジャに連結されると解されるが、そうだとすると、ロッド体がフォーク本体に直接連結されておらず、したがって、ダンパにおける伸縮方向たる軸線方向とフォーク本体における伸縮方向たる軸線方向が一致しなくなり、伸縮するフォーク本体に対するダンパの円滑な伸縮作動を保障し難くする。
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、フォーク本体内に収装されて遠隔操作によって減衰作用を電気的に制御するアクチュエータやこれに接続されるリード線における電気的故障を発現し難くし、また、フォーク本体内に収装のダンパにおける伸縮作動を保障しながら懸架バネにおけるバネ力の調整を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となるフロントフォークを提供することである。
上記した目的を達成するために、この発明によるフロントフォークの構成を、基本的には、車体側チューブと車輪側チューブとからなるフォーク本体内にこのフォーク本体の伸縮作動に伴う減衰作用を遠隔操作で電気的に制御するアクチュエータを有し、このアクチュエータに接続されるリード線が上記の車体側チューブの外に延在されて遠隔操作部に接続されると共に、上記のフォーク本体内に収装の懸架バネにおける上端位置を上記のフォーク本体内に収装のジャッキ機構の駆動で昇降させて上記の懸架バネにおけるバネ力の調整を可能にしてなるフロントフォークにおいて、上記の車体側チューブの上端開口がキャップ部材で閉塞され、このキャップ部材の軸芯部に上記のアクチュエータが収装され、このアクチュエータから延びるリード線がキャップ部材を径方向に挿通してこのキャップ部材の外に延在される一方で、上記のジャッキ機構が上記のキャップ部材における下端側部と、このキャップ部材における下端側部に摺動可能に連繋されてこの下端側部との間に膨縮する圧力室を画成するピストン部材とを有すると共に、上記のキャップ部材が軸芯部から偏心する部位に圧油給排路を有し、この圧油給排路が上記の圧力室に連通しながら上記のフォーク本体外に配設の油圧給排源に連通され、この圧油給排路を介しての上記の圧力室に対する圧油の給排でこの圧力室を膨縮させて上記のピストン部材を上記のキャップ部材に対して昇降させ、上記の懸架バネにおける上端位置を昇降させてなるとする。
それゆえ、この発明にあっては、フォーク本体を構成する車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材の軸芯部に収装されるアクチュエータから延びるリード線がキャップ部材を径方向に挿通してこのキャップ部材の外に延在されるから、このリード線が車体側チューブの上端から上方に向けて延在される場合に比較して、雨水がリード線周りを介して内部に浸入する危険性を大幅に低減させる。
そして、上記のリード線がキャップ部材を径方向に挿通してこのキャップ部材の外に延在されるから、このリード線が車体側チューブの上端から上方に向けて延在される場合に比較して、いわゆる横力を受けて倒れることがなく、このリード線の倒れや、このリード線の起立および倒れの繰り返しによる内部での断線の危惧がない。
一方、この発明にあっては、フォーク本体内に収装のジャッキ機構において、懸架バネの上端位置を昇降させるピストン部材が車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材における下端側部に摺接しながらキャップ部材との間に圧力室を画成するから、この圧力室に対する圧油の給排でピストン部材を昇降させて、懸架バネの上端位置を昇降させることが可能になる。
そして、この発明にあっては、ピストン部材がキャップ部材における下端側部の外周に摺接する上方筒部を上端に連設させる下方部を有し、この下方部がキャップ部材における下端側部から下方に向けて突出する下端軸部に摺接し、フォーク本体が軸芯部にダンパを有し、このダンパがシリンダ体内に出没可能に挿通されるロッド体を有し、このロッド体の上端部が上記のキャップ部材における下端軸部の軸芯部に螺着されることで、ジャッキ機構におけるピストン部材の昇降が保障されると共に、ダンパにおけるロッド体をフォーク本体に一体的に連結することが可能になる。
また、この発明にあっては、フォーク本体外に配設の油圧給排源に連通しながら圧力室に連通する圧油給排路がキャップ部材の軸芯部から偏心する部位に開穿されてなるから、キャップ部材における軸芯部へのアクチュエータの配設を妨げない。
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるフロントフォークは、二輪車の前輪側に架装されて二輪車の前輪を懸架しながらその前輪に入力される路面振動を吸収する油圧緩衝器として機能する。
そして、このフロントフォークにあっては、図1に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とからなるフォーク本体内にこのフォーク本体の伸縮作動に伴うダンパによる減衰作用を遠隔操作で電気的に制御するアクチュエータ3を有すると共に、このアクチュエータ3から延びるリード線4が車体側チューブ1の外に延在されて、図示しない遠隔操作部に接続されている。
また、このフロントフォークにあっては、フォーク本体内に収装の懸架バネSにおける上端位置をこのフォーク本体内に収装のジャッキ機構の駆動で昇降させて、懸架バネSにおけるバネ力の調整を可能にしてなる。
このとき、図示するところでは、基本的には、アクチュエータ3およびジャッキ機構におけるジャッキ部が車体側チューブ1における上端部側の軸芯部に配設され、アクチュエータ3の下方にジャッキ部が位置決められ、ジャッキ機構における圧油給排路Lが車体側チューブ1における軸芯部から偏心した部位に設けられている。
このように設定することで、前記した特許文献2に開示の提案に比較して、圧油給排路Lを車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11の軸芯部を貫通させてフォーク本体の上方に引き延ばさないから、このキャップ部材11の軸芯部を他の用途に供することを可能にする。
なお、図示するところでは、フォーク本体が車体側チューブ1をアウターチューブにすると共に車輪側チューブ2をインナーチューブにする倒立型に設定されてなるが、この発明の具現化にあっては、図示しないが、上記と逆に、フォーク本体が車体側チューブ1をインナーチューブにすると共に車輪側チューブ2をアウターチューブにする正立型に設定されても良い。
そして、このフロントフォークにあって、懸架バネSは、下端が後述するダンパにおけるシリンダ体5側に担持され、上端が筒状に形成のスペーサS1を介してであるが、同じく後述するダンパにおけるロッド体6側に係止されて、車体側チューブ1内から車輪側チューブ2を突出させる方向に、すなわち、フォーク本体を伸長方向に附勢している。
具体的には、懸架バネSの下端がシリンダ体5の上端に連設されるオイルロックケース7の上端に担持され、懸架バネSの上端を係止させるスペーサS1の上端がシリンダ体5の上端開口を閉塞するキャップ部材11の下端側部に係止されている。
なお、上記のオイルロックケース7には、ダンパにおけるロッド体6に保持されたオイルロックピース61が対向すると共に、このオイルロックピース61がフォーク本体の最収縮作動時にオイルロックケース7内に嵌入して、クッション効果を発揮すると共にオイルロック現象を発現させる。
そして、このフロントフォークにあって、ダンパは、車輪側チューブ2内に立設される下端側部材たるシリンダ体5と、車体側チューブ1内に垂設されて上端側部材とされると共に図中で下端部となる先端部がシリンダ体5内に出没可能に挿通されるロッド体6とを有してなる。
シリンダ体5の下端部は、図示しないが、車輪側チューブ2の下端開口を閉塞するボトム部材21に結合され、ロッド体6の上端部は、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11にロックナット62の配在下に螺着されており、したがって、このダンパにあっては、フォーク本体の伸縮作動に同期して伸縮作動する。
また、このダンパにあっては、ロッド体6の先端部に保持されながらシリンダ体5内に摺動可能に収装されるピストン部Pを有してなり、このピストン部Pが有する減衰部における減衰作用を後述するアクチュエータ3によって遠隔操作で電気的に制御し得るとしている。
このとき、ピストン部Pは、図2に示すように、ロッド体6における先端部を構成する先端部材63に保持されながらシリンダ体5内に摺動可能に収装されてこのシリンダ体5内に上方室R1と下方室R2を画成するピストン体8を有してなる。
そして、このピストン部Pにあっては、ピストン体8に開穿されて上記の上方室R1と下方室R2との連通を許容する伸側ポート8aと圧側ポート8bとを有すると共に、各側のポート8a,8bの下流側端を開放可能に閉塞する伸側減衰バルブ8cと圧側減衰バルブ8dとを有してなる。
さらに、このピストン部Pにあっては、上記の伸側減衰バルブ8cと圧側減衰バルブ8dとを迂回して上記の上方室R1と下方室R2との連通を許容するバイパス路(符示せず)を有すると共に、このバイパス路における通過流量を制御するコントロールバルブ9を有してなる。
そして、上記の各側の減衰バルブ8c,8dが上記したピストン部Pにおける減衰部を構成し、この減衰部による減衰作用を上記のコントロールバルブ9が制御する。
ちなみに、各側の減衰バルブ8c,8dは、環状リーフバルブからなり、内周端固定で外周端自由の態様に配設され、外周端が撓むことでそこに出現する隙間を作動油が通過し得るとして、所定の減衰作用を具現化する。
一方、上記のダンパにあっては、図示しないが、シリンダ体5の下端部内にベースバルブ部を有すると共に、シリンダ体5の外側をリザーバ室R(図1参照)にしており、このリザーバ室Rにシリンダ体5内の下方室R2がベースバルブ部を介して連通可能とされている。
このとき、ベースバルブ部は、同じく図示しないが、シリンダ体5内の下方室R2の作動油がリザーバ室Rに向けて流出するのを許容する圧側減衰バルブを有すると共に、この圧側減衰バルブに並列してリザーバ室Rからの作動油のシリンダ体5内の下方室R2への流入を許容するチェック弁を有してなる。
コントロールバルブ9は、図示するところでは、ニードル弁体91を有し、このニードル弁体91における尖端部91aがバイパス路を構成する流路(符示せず)で進退してこの流路における作動油の通過流量を大小制御することで、上記の各側の減衰バルブ8c,8dによる減衰作用を制御する。
そして、このコントロールバルブ9におけるニードル弁体91は、その基端側に介装された附勢バネ92の附勢力によって図中での上昇方向となる後退方向に附勢されており、具体的には、後述するアクチュエータ3からの推力であるが、外力の入力時に図中で下降するように前進して、上記したバイパス路における作動油の通過流量を大小させる。
なお、上記のニードル弁体91の基端部91bは、外周にシール91cを有する隔壁部とされ、この隔壁部の背面には、アクチュエータ3からの推力を伝達させるコントロールロッドたるロッド体6の軸芯部に開穿の透孔6aを挿通するプッシュロッド93の図中で下端となる先端が隣接されている。
それゆえ、上記のダンパにあっては、フォーク本体の収縮作動に同期してシリンダ体1内でピストン部Pが下降する収縮作動時に、シリンダ体1内の下方室R2の作動油がピストン部Pの圧側減衰バルブ8dを介して上方室R1に流入すると共に、下方室R2で余剰となるロッド侵入体積分に相当する量の作動油がベースバルブ部における圧側減衰バルブを介してリザーバ室Rに流出し、所定の圧側減衰作用を具現化する。
そして、上記のダンパにあっては、フォーク本体の伸長作動に同期してシリンダ体1内でピストン部Pが上昇する伸長作動時に、シリンダ体1内の上方室R1の作動油がピストン部Pの伸側減衰バルブ8cを介して下方室R2に流出すると共に、下方室R2で不足するロッド退出体積分に相当する量の作動油がベースバルブ部におけるチェック弁を介してリザーバ室Rから補充され、所定の伸側減衰作用を具現化する。
ところで、この発明にあっては、前記したように、ダンパにおけるピストン部Pたる減衰部による減衰作用がフォーク本体内に収装のアクチュエータ3によって遠隔操作で電気的に制御されるとしている。
そこで、以下には、このアクチュエータ3について少し説明するが、先ず、アクチュエータ3は、図3に示すように、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11の軸芯部に収装され、このアクチュエータに接続するリード線4は、キャップ部材11を径方向に貫通してこのキャップ部材11の外に延在される。
このとき、この種のフロントフォークにあって車体側チューブ1の上端開口を閉塞するいわゆるキャップは、この発明にあって、キャップ部材11と後述するカバー部材12とからなるいわゆる分断構造に形成されてなるとしている。
すなわち、いわゆるキャップをキャップ部材11とカバー部材12とに分断することで、キャップ部材11に対するアクチュエータ3の配設を容易にし得ると共に、カバー部材12によるアクチュエータ3の所定位置への定着とアクチュエータ3を覆うことによる防水性の保障を容易に可能にし得ることになる。
先ず、キャップ部材11は、軸芯部に上端を開口にする凹部11aを有し、この凹部11aにアクチュエータ3を収装し、この凹部11aを形成する周壁部11bに径方向に形成の切欠溝11cに上記のリード線4を臨在させ、この凹部11aの開口をカバー部材12の圧入で閉塞すると共に、このカバー部材12の圧入で上記のアクチュエータ3を上記の凹部11aに定着させている。
以上からすると、キャップ部材11は、金属材料からなるが、上記のカバー部材12については、圧入操作を容易にすると共に、キャップ部材11に対する定着性を良くし、また、キャップ部材11に対して気密性を得易くする材料で形成されるのが好ましく、たとえば、軟質合成樹脂材が選択されるとき、交換する場合を含めて安価にして防水性および耐久性を期待できるであろう。
また、カバー部材12の圧入によるアクチュエータ3の凹部11aにおける定着に際しては、凹部11aの底部に環状の座部材31を配設するもが好ましく、この座部材31が弾性材からなるとき、カバー部材12の圧入によるアクチュエータ3の定着時に、言わば余計な力をアクチュエータ3に作用させないことが可能になると共に、アクチュエータ3の作動時の振動を打ち消すことが可能になる点で有利となる。
なお、上記のキャップ部材11における周壁部11bの外周にはシール11dが介装されていて車体側チューブ1との間における液密性を保障している。
一方、リード線4は、前記したように、キャップ部材11における凹部11aを形成する周壁部11bに径方向に形成の切欠溝11cに臨在されるが、このリード線4が臨在される切欠溝11cには、爾後に、図示しないが、多くの場合に、たとえば、モールド材が充填されて防水が図られるであろう。
ちなみに、この実施形態の場合には、キャップ部材11を車体側チューブ1に螺着させるとき、リード線4が切欠溝11cから撤去されており、したがって、キャップ部材11の螺合操作は、なんら不具合なく実践できる。
なお、上記のアクチュエータ3は、リード線4を介しての信号たる電力の入力時に前記したプッシュロッド93を図中で下降するように前進させ、上記の電力の解消時にプッシュロッド93を図中で上昇するように後退させるもので、たとえば、ソレノイドを有してなる。
以上のように形成されたアクチュエータ3とこれに接続されるリード線4とを有してなるフロントフォークにあっては、リード線4を介しての信号たる電力の入力時に、アクチュエータ3をいわゆるオン作動させてプッシュロッド93を前進させ、このプッシュロッドと連動するニードル弁体91(図2参照)からなるコントロールバルブ9(図2参照)が作動して減衰部を迂回するバイパス路における作動油の通過流量を少なくし、減衰部による減衰作用を大きくすることが可能になる。
そして、上記と逆に、リード線4を介しての信号たる電力の解消時に、アクチュエータ3がいわゆるオフ作動してプッシュロッド93を後退させ、このプッシュロッドと連動するニードル弁体91からなるコントロールバルブ9が減衰部を迂回するバイパス路における作動油の通過流量を多くし、減衰部による減衰作用を小さくすることが可能になる。
そしてまた、このフロントフォークにあっては、フォーク本体を構成する車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11の軸芯部に収装されるアクチュエータ3から延びるリード線4がキャップ部材11を径方向に挿通してこのキャップ部材11の外に延在されるから、このリード線4が車体側チューブ1の上端から上方に向けて延在される場合に比較して、雨水がリード線4周りを介して内部に浸入する危険性を大幅に低減させることが可能になる。
このとき、リード線4がキャップ部材11を挿通するのではなく、車体側チューブ1と共に、あるいは、車体側チューブ1のみを径方向に貫通する場合に比較して、車体側チューブ1に言わば余計な加工を施さなくて済むから、車体側チューブ1の耐久性をいたずらに低下させないのはもちろんのこと、いわゆる加工数の増大を招かない。
さらに、上記のリード線4がキャップ部材11を径方向に貫通してこのキャップ部材11の外に延在されるから、このリード線4が車体側チューブ1の上端から上方に向けて延在される場合に比較して、いわゆる横力を受けて倒れることがなく、このリード線4の倒れや、このリード線4の起立および倒れの繰り返しによる内部での断線の危惧がない。
その結果、フォーク本体内に収装されて遠隔操作によって減衰作用を電気的に制御するアクチュエータ3を有するフロントフォークにあって、アクチュエータ3に接続されるリード線4における電気的故障が発現され難くなる。
ところで、この発明にあっては、前記したように、フォーク本体内に収装の懸架バネSにおけるバネ力をジャッキ機構で調整し得るとしているが、以下には、このジャッキ機構について少し説明する。
先ず、ジャッキ機構は、図3に示すように、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11における下端側部11eと、このキャップ部材11における下端側部11eに摺動可能に連繋されてこの下端側部11eとの間に膨縮する圧力室R3を画成するピストン部材13とを有してなる。
そして、このジャッキ機構にあっては、フォーク本体外に配設の圧油給排源(図中に符号P1でのみ示す)からの圧力室R3に対する圧油の給排でこの圧力室R3を膨縮させてピストン部材13をキャップ部材11に対して昇降させ、懸架バネSにおける上端位置を昇降させる。
そのため、キャップ部材11は、透孔からなる圧油給排路Lを有し、この圧油給排路Lが圧力室R3に連通すると共にフォーク本体外に配設の油圧給排源P1に連通してなるが、図示するところにあって、前述したように、この圧油給排路Lがキャップ部材11において軸芯部から偏心している。
そして、この圧油給排路Lがキャップ部材11において軸芯部から偏心することで、前記したアクチュエータ3およびジャッキ機構におけるジャッキ部を車体側チューブ1における軸芯部に配設することが可能になる。
一方、このキャップ部材11にあっては、上記の下端側部11eから下方に向けて突出する下端軸部11fを有してなり、図示するところでは、この下端軸部11fの軸芯部に前記したロッド体4の上端部をロックナット62の配在下に螺着させている。
このことからも、前記したように、ダンパにあって、ロッド体6の上端部が車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11に螺着され、したがって、シリンダ体5が車輪側チューブ2に結合されることと併せて、フォーク本体に一体的に連結され、ダンパにおける伸縮方向たる軸線方向とフォーク本体における伸縮方向たる軸線方向が一致し、それゆえ、伸縮するフォー本体に対するダンパの円滑な伸縮作動を保障し得ることになる。
ところで、キャップ部材11における下端側部11eとの間に圧力室R3を画成するピストン部材13は、キャップ部材11における下端側部11eの外周に摺接する上方筒部12aを有すると共に、上方筒部13aを上端に連設させる下方部13bを有してなる。
そして、このピストン部材13にあって、下方部13bは、キャップ部材11における下端側部11eから下方に向けて突出して、ロッド体4の上端部を軸芯部に螺着させる前記の下端軸部11fの外周に摺接し、この状態で、その下端にバネシートS2を介して前記した筒状に形成のスペーサS1の上端を係止させている。
ちなみに、上記のキャップ部材11における下端側部11eの外周にはシール11gが介装されていて、ピストン部材13における上方筒部13aとの間における液密性を保障し、ピストン部材13における下方部13bの内周にはシール13cが介装されていて、上記のキャップ部材11における下端軸部11fとの間における液密性を保障している。
なお、上記したキャップ部材11における下端軸部11fとこれに上方筒部13aが摺接するピストン部材13がこの発明に言うジャッキ機構におけるジャッキ部を構成する。
それゆえ、以上のように形成されたジャッキ機構にあっては、ピストン部材13における外径がインナーチューブからなる車輪側チューブ2の内径より小さく設定されてなるとして、フォーク本体が最収縮するときに、車体側チューブ1内に侵入してくる車輪側チューブ2に干渉しないようにし得るから、ジャッキ機構の駆動が妨げられることを危惧しなくて済む。
そして、このジャッキ機構にあっては、ピストン部材13の上方筒部13aにおける外径を車輪側チューブ2の内径より小さくする一方で、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11における下端側部11eの外周に摺接されるから、このキャップ部材11と上記のピストン部材13との間に画成される圧力室R3を、たとえば、前記した特許文献1に開示の提案の場合に比較して、たとえば、車輪側チューブ2の内径を同一にするとき、圧力室R3における受圧面積を大きくでき、供給油圧に対する作動効率を良くすることが可能になる。
また、このジャッキ機構にあっては、前記した特許文献2に開示の提案に比較して、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11と、これに連繋するピストン部材13とで構成されるから、部品点数を少なくすると共に、既存のキャップ部材11に対する僅かな改変で足りるから、いたずらなコスト高を招来しない利点がある。
前記したところは、この発明によるアクチュエータ3がソレノイドを有してなるとしたが、この発明が意図するところからすると、バイパス路における制御構造に改変を要すが、アクチュエータ3がステッピングモータを有してなるとしても良いこともちろんである。
また、前記したところでは、ジャッキ機構における圧力室R3がフォーク本体の外に配設した圧油給排源P1に接続されてなるとしたが、この発明によるジャッキ機構が機能するところからすれば、上記した圧力室R3に対して給排されるのが油でなく、代替品たる水が利用されるとしても良く、また、流体との観点からすれば、気体が利用されるとしても良い。
そして、水が利用される場合には、素材として入手し易くなり、気体が利用される場合には、圧力室R3におけるエアバネ効果を期待できることになる利点がある。
さらに、前記したところでは、この発明を具現化する油圧緩衝器が二輪車の前輪側に架装されて二輪車の前輪を懸架するフロントフォークとされる場合を例にしたが、この発明が意図するところからすると、上記に代えて、四輪車両における四輪各部に配設されて懸架装置とされるショックアブソーバに具現化されても良く、その場合に作用効果が異ならないこともちろんである。
この発明によるフロントフォークを一部破断して示す縦断面図である。 図1のフロントフォークに内装されるダンパにおける減衰部を示す部分拡大縦断面図である。 図1のフロントフォークにおける車体側チューブの上端部分を示す部分拡大縦断面図である。
符号の説明
1 車体側チューブ
2 車輪側チューブ
3 アクチュエータ
4 リード線
5 シリンダ体
6 ロッド体
11 キャップ部材
11a 凹部
11b 周壁部
11e 下端側部
11f 下端軸部
12 カバー部材
13 ピストン部材
13a 上方筒部
13b 下方部
L 圧油給排路
P ピストン部
P1 圧油給排源
R3 圧力室
S 懸架バネ
S1 スペーサ

Claims (7)

  1. 車体側チューブと車輪側チューブとからなるフォーク本体内にこのフォーク本体の伸縮作動に伴う減衰作用を遠隔操作で電気的に制御するアクチュエータを有し、このアクチュエータに接続されるリード線が上記の車体側チューブの外に延在されて遠隔操作部に接続されると共に、上記のフォーク本体内に収装の懸架バネにおける上端位置を上記のフォーク本体内に収装のジャッキ機構の駆動で昇降させて上記の懸架バネにおけるバネ力の調整を可能にしてなるフロントフォークにおいて、上記の車体側チューブの上端開口がキャップ部材で閉塞され、このキャップ部材の軸芯部に上記のアクチュエータが収装され、このアクチュエータから延びるリード線がキャップ部材を径方向に挿通してこのキャップ部材の外に延在される一方で、上記のジャッキ機構が上記のキャップ部材における下端側部と、このキャップ部材における下端側部に摺動可能に連繋されてこの下端側部との間に膨縮する圧力室を画成するピストン部材とを有すると共に、上記のキャップ部材が軸芯部から偏心する部位に圧油給排路を有し、この圧油給排路が上記の圧力室に連通しながら上記のフォーク本体外に配設の油圧給排源に連通され、この圧油給排路を介しての上記の圧力室に対する圧油の給排でこの圧力室を膨縮させて上記のピストン部材を上記のキャップ部材に対して昇降させ、上記の懸架バネにおける上端位置を昇降させてなることを特徴とするフロントフォーク。
  2. 上記のキャップ部材が軸芯部に上端を開口にする凹部を有し、この凹部に上記のアクチュエータを収装し、この凹部を形成する周壁部に径方向に形成の切欠溝に上記のリード線を臨在させ、上記の開口をカバー部材の圧入で閉塞すると共に、このカバー部材の圧入で上記のアクチュエータを上記の凹部に定着させてなる請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 上記のフォーク本体がダンパを有し、このダンパがシリンダ体内に出没可能に挿通のロッド体に保持されながら上記のシリンダ体内に摺動可能に収装のピストン部を有し、このピストン部が減衰部を有すると共にこの減衰部における減衰作用を上記のアクチュエータで制御してなる請求項1または請求項2に記載のフロントフォーク。
  4. 上記のピストン部材が上記のキャップ部材における下端側部の外周に摺接する上方筒部を有すると共に、この上方筒部の外径が車体側チューブ内に挿通される車輪側チューブの内径より小さく設定されてなる請求項1、請求項2または請求項3に記載のフロントフォーク。
  5. 上記のピストン部材が上記のキャップ部材における下端側部の外周に摺接する上方筒部を上端に連設させる下方部を有すると共に、この下方部が上記のキャップ部材における下端側部から下方に向けて突出する下端軸部に摺接してなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のフロントフォーク。
  6. 上記の懸架バネが下端を車輪側チューブ側に担持させながら上端に筒状に形成のスペーサにおける下端を当接させ、このスペーサにおける上端が上記のピストン部材における上方筒部を連設させる下方部の下端に係止されてなる請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5に記載のフロントフォーク。
  7. 上記のフォーク本体がダンパを有し、このダンパがシリンダ体内に出没可能に挿通されるロッド体を有し、このロッド体の上端部が上記のキャップ部材における下端側部から下方に向けて突出する下端軸部に螺着されてなる請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5または請求項6に記載のフロントフォーク。
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