JP2010084245A - 耐油性紙ラベル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紙基材層10、クレーコート層、印刷層、耐油層20を順次積層してなる紙ラベルであり、前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする。印刷層の表面に耐油層を形成することで、簡素な層構成で耐水性、耐油性、表面保護機能を発揮することができる。
【選択図】図1
Description
また、本発明は、環境保全の観点から、有機溶媒や不揮発水性化助剤を実質的に含まずに得られる耐油性紙ラベルを提供することを目的とする。
本発明の耐油性紙ラベルは、簡素な層構成で調製することができ、得られるラベルは、耐油性に優れるとともに耐水性にも優れ、油瓶などのラベルや感熱ラベルとして好適に使用することができる。
本発明の耐油性紙ラベルの好適な態様の一例を図面を用いて説明する。
図1は、紙基材層(10)と耐油層(20)とが積層されてなる耐油性紙ラベルの断面図である。図2に示すように、前記紙基材層(10)の表面には、クレーコート層(30)が積層され、その上に耐油層(20)が積層されるものでもよい。また、本発明の耐油性紙ラベルは、図3に示すように、紙基材層(10)、クレーコート層(30)、印刷層(40)、耐油層(20)がこの順に積層されるものであってもよい。この態様であれば、耐油層(20)が併せてオーバーコート層の機能も発揮し、印刷層(40)を適切に保護することができる。
(2)紙基材層
本発明で使用する紙基材層は、耐カール性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができる。紙基材層としては、例えば、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙基材層を使用することができる。紙基材層としては、これらの紙を複数層重ねたものであってもよい。また、紙は、坪量20〜200g/m2程度、好ましくは坪量50〜100g/m2程度のものを使用することができる。
本発明では、紙基材層は、クレーコート層を積層したものであってもよい。紙基材層は、表面に凹凸があるため、紙基材層に印刷を施すと明瞭な印刷面を構成することができない。このため、紙基材層の上にクレーコート層を形成し、その上に印刷を行うことが望ましい。
クレーコート層の塗工方法は、特に限定されず、従来公知の塗工方法が用いられるが、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗工方法が用いられる。
紙基材層とクレーコート層としては、紙基材層にクレーコート層が既に形成された材料を用いることもできる。
本発明の耐油性紙ラベルでは、少なくとも紙基材層に耐油層が積層されるが、紙基材層にクレーコート層が積層された場合には、紙基材層に積層されてもクレーコート層に積層されてもよい。また、更に印刷層が形成されるものであってもよい。例えば、図1に示すように耐油層(20)と紙基材層(10)とが積層されるものや、図2に示すように、耐油層(20)、クレーコート層(30)、紙基材層(10)の順に積層されるものであってもよい。また、印刷層が形成される場合には、ラベル表面に印刷層が形成されてもよいが、例えば図3に示すように、耐油層(20)、印刷層(40)、クレーコート層(30)、紙基材層(10)の順に積層されるものが好ましい。耐油層(20)によって印刷面を化学的に保護すると共に、印刷層(40)の表面に耐油層(20)を形成することで物理的に印刷面を保護することができる。
本発明の耐油性紙ラベルには、所望の印刷層を形成することができる。印刷層はいずれの層の上に形成してもよいが、好ましくは、クレーコート層の上である。
本発明の耐油性紙ラベルの製造方法に限定はないが、紙基材層に、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥し、この水性分散液の塗布および乾燥を、1〜5回行って耐油層を形成して耐油性紙ラベルの製造方法することができる。
一方、紙基材層に上記水性分散液を塗布する場合には、使用する紙基材によっても異なるが、塗布と乾燥とを2回以上、より好ましくは2〜5回、特に好ましくは3〜5回繰り返す。上記水性分散液には40〜99質量%の範囲で水を含むため、紙基材層の表面にある凹凸から上記水性分散液が吸液され、一回の塗布並びに乾燥では耐油性を確保することが困難である。しかしながら、上記水性分散液の被膜形成を複数回行うことで耐油性を確保しうることが判明した。従って、紙基材層に直接前記水性分散液を塗工する場合と、クレーコート層に前記水性分散液を塗工する場合とでは、耐油性を確保するのに必要な塗工量が異なる場合がある。
(実施例1)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)のクレーコート層に、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、不揮発性水性化助剤不使用、水分含有量60質量%)をマイヤーバー#3にて、乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させて耐油性紙ラベルを得た。
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)を用い、この比較耐油性紙ラベルのクレーコート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非クレーコート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させて比較耐油性紙ラベルを得た。
(比較例3)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非クレーコート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させ、この操作を2回実施して比較耐油性紙ラベルを得た。
(実施例2)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非コート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させ、この操作を3回実施して耐油性紙ラベルを得た。
また、耐油性紙ラベルの水性分散液塗工層側に、メチレンブルー水溶液を1滴たらし、常温にて5分経過後の水滴の染み込み度合いを観察した。結果を表2に示す。
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)を用いて、非クレーコート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
(比較例5)
フッ素樹脂が使用された汎用耐油紙を用いて、上記コート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
フッ素樹脂が使用された汎用耐油紙を用いて、このコート紙の非コート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)のクレーコート層に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により印刷を行った。印刷は、クレーコート層に、濃色から淡色に、墨、藍、紅、黄、白となるように刷った。
なお、上記耐油層より印刷層が物理的に保護された。
(1) 実施例1、比較例1、比較例6の結果から、クレーコート層に前記水性分散液を塗工する場合には、フッ素樹脂を使用することなく、かつ実質的に不揮発水性化助剤を配合することなく、1回の塗工でフッ素樹脂による耐油コート紙(比較例6)と同程度の耐油性に優れる耐油層を形成することができた。
(4) 実施例3の結果から、印刷層の上に前記水性分散液を塗工することで耐油層を形成することができた。耐油層によって印刷層が物理的に保護されることが推定された。
20・・・耐油層、
30・・・クレーコート層、
40・・・印刷層
Claims (4)
- 少なくとも紙基材層と、耐油層とを積層してなる紙ラベルであり、
前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする、耐油性紙ラベル。 - 前記紙基材層は、片面にクレーコート層を有し、前記耐油層は、前記クレーコート層に積層されることを特徴とする、請求項1記載の耐油性紙ラベル。
- 前記耐油性紙ラベルは更に印刷層を有し、印刷層は前記クレーコート層の上に形成され、前記耐油層は前記印刷層の上に積層されることを特徴とする、請求項2記載の耐油性紙ラベル。
- 前記耐油層における水性分散液の塗布量は、乾燥時、0.1〜100g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐油性紙ラベル。
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