JP2004270050A - 耐油性・耐水性シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全で、環境に優しい耐油性・耐水性および耐熱性を有する食品加熱用包装紙などに使用できる耐油性・耐水性シートを提供すること。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を有することを特徴とする耐油性・耐水性シート。
【選択図】 なし
【解決手段】基材の少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を有することを特徴とする耐油性・耐水性シート。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐油性、耐水性、耐熱性に優れるコーティング膜(塗工層)を有するシートおよびその製造方法に関するものであり、特にこのコーティング膜を有するシートは食品加熱用包装紙に好適である。
【0002】
【従来の技術】
食品包装などに用いられる紙には、食品中の油分と水分をはじき、食品に接していない面に油分と水分がにじみ出ない耐油性と耐水性が必要である。また、食品用包装紙は、食品を包装したまま電子レンジやオーブンなどで加熱されるため耐熱性も必要である。
これらの問題を解決する方法として、単層抄の内添サイズ紙の少なくとも一方の面にノニオン性あるいはカチオン性のポリビニルアルコールの塗工層とフッ素系の耐油剤の塗工層を順次設けた耐油紙の使用が提案されている(特許文献1参照)。また、フッ素化合物を使用しないものとしてポリビニルアルコール層とシリコーン樹脂層とを有する食品加熱用包装紙が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−12849号公報
【特許文献2】
特開平8−232194号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者におけるフッ素系耐油剤は、高温においてフッ化水素、フッ化カルボニル、フッ酸などの有毒なフッ素化合物が発生するとされており、かかる耐油剤を含む食品包装用の耐油紙は、調理中、あるいは使用後廃棄された後の焼却の際にこれらの有毒なフッ素化合物が発生する可能性があり、安全性の面では問題がある。また、後者においてはポリビニルアルコール層とシリコーン樹脂層の2層を設けるために工程数が増え作業上好ましくないばかりか、耐油性および耐水性もフッ素系耐油剤を用いる場合に比べて劣っている。
従って、本発明の目的は、安全で、環境に優しい耐油性・耐水性および耐熱性を有する食品加熱用包装紙などに使用できる耐油性・耐水性シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題のない安全で、環境に優しい耐油性・耐水性および耐熱性を有するシートを開発すべく鋭意検討した結果、基材にポリビニルアルコールとシリコーンオイルとを含む塗膜を形成することで耐油性、耐水性、耐熱性に優れ、なおかつ食品用途としても安全な食品加熱用包装紙に好適なシートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
本発明によれば、基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を有することを特徴とする耐油性・耐水性シートおよびその製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明の耐油性・耐水性シートは、基材シートの片面または両面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイル含む塗工層を有することが特徴である。
【0008】
本発明で使用するポリビニルアルコールとしては、部分ケン化型、完全ケン化型(ケン化度95モル%以上)、あるいはカルボキシル基、スルホン基、アセトアセチル基、シラノール基などで変性されたものが挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。重合度は特に限定されないが、通常500〜3000の範囲、好ましくは1000〜2500の範囲である。重合度が500未満では造膜が難しく、十分な耐油性が得られない。また、重合度が3000を超えると溶液の粘度がかなり高くなり、塗工作業が難しくなる。
【0009】
本発明ではポリビニルアルコールは溶剤に溶解した溶液(塗工液)として使用されるが、溶剤としてはポリビニルアルコールを溶解する溶剤であれば特に限定されない。例えば、水、アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなど)、アルコール水溶液などが挙げられるが、水が好ましい。
【0010】
本発明で使用するシリコーンオイルは、従来公知のストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルが何れも使用できるが、特にポリビニルアルコールの水系溶液に溶解または分散可能なものが好ましい。さらに好ましくは、本発明の効果を高める上で硬化可能な変性シリコーンオイルが好ましい。また、本発明の耐油性・耐水性シートが食品加熱用包装紙にも使用されることから、食品用のシリコーンオイルの使用が望ましい。シリコーンオイルは種々の市販品があり、入手して使用することができるが、例えば、KF−355A、KM72、73、787、X−22−4272(いずれも信越化学工業(株)の製品)などが挙げられる。
【0011】
本発明ではポリビニルアルコールおよびシリコーンオイルの硬化(架橋)剤としてはイソシアネート化合物が好ましい。ポリビニルアルコールの溶液に可溶または分散可能な、少なくとも二官能性のもので、特に水系溶剤に可溶または分散可能なものが好ましい。このようなイソシアネート化合物は種々の市販品があり、入手して使用することができる。例えば、タケネートWD−220、240、720、725、730など(三井武田ケミカル(株)の製品)、アクネート100、120、200、210など(日本ポリウレタン工業(株)の製品)などが挙げられる。また、水分散ブロックイソシアネート化合物として、例えば、タケネートWB−700、720、730、920など(三井武田ケミカル(株)の製品)も使用可能であるが、ブロック化合物を解離させるために高温を必要とするので作業上好ましくない。
【0012】
本発明の耐油性・耐水性シートは、基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工液を塗工して塗工層を形成することによって製造される。
そのために、少なくとも塗工層形成成分のポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工液を用意する。例えば、ポリビニルアルコールを溶剤に溶解させて溶液とし、これにシリコーンオイルを溶解または分散させて塗工液を調製する。これ以外の調製方法であっても構わない。必要により硬化剤を溶解させる。
【0013】
硬化剤の使用量は、本発明のシートに要求される耐油性、耐水性に応じて適宜決定することができる。ポリビニルアルコールおよびシリコーンオイル中のOH基の濃度およびイソシアネート化合物のNCO基濃度によって異なるが、通常、ポリビニルアルコール、またはポリビニルアルコールおよびシリコーンオイルの固形分に対して、イソシアネート化合物を固形分で0.1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量%である。イソシアネート化合物の使用量が少なすぎると耐水性が不足し、多すぎるとシートの耐油性が阻害される。
【0014】
塗工液には、必要に応じて消泡剤、防腐剤、着色剤などの添加剤を適宜添加することができる。
また、必要に応じてポリビニルアルコールと相溶する樹脂を本発明の効果が損なわれない範囲で併用することができる。このような樹脂としては、例えば、ビニルアルコールとスチレンあるいはアクリル酸エステルとの共重合体、水溶性セルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂が挙げられる。
【0015】
本発明で使用する基材シートとしては、例えば、紙、不織布(レーヨン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられるが、紙が好ましい。
【0016】
塗工液は、通常、固形分が2〜40重量%程度に調整され、例えば、バーコーター、ロールコーター、エアーナイフコーターあるいはグラビア印刷などの公知の塗工方法で基材シートの少なくとも一方の面に塗工され、乾燥される。塗工層の乾燥重量は、特に制限されないが、通常、0.1〜10g/m2程度である。
乾燥後、必要に応じてエージングによりポリビニルアルコールの硬化を十分とすることができる。エージング条件は、特に限定されないが、例えば、20〜80℃で12〜96時間程度である。
【0017】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の文中における部および%は重量基準である。
【0018】
実施例1
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製品 GH−23)の10%水溶液を調製し、これにシリコーンオイル(KF−355A:信越化学工業(株)製品)を加え、それぞれの含有量(固形分)が5%の塗工液を得た。
この塗工液を基材紙の片面にバーコーターNo.05で乾燥重量が2g/m2となるように塗工し、120℃にて20秒間乾燥させて食品加熱用包装紙を得た。
得られた食品加熱用包装紙の耐油性、耐水性および耐熱性を下記の試験方法で評価した(他の例も同様。)。
【0019】
(耐油性試験)
得られた食品加熱用包装紙に2mlのスポイトで食用油を1滴、滴下し、30秒後に滴下した油滴を拭き取り、該紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
また、同様に食用油を1滴、滴下し、30分後に滴下した油滴を拭き取り、紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
30秒後、30分後とも油のにじみはなく、十分な耐油性が得られた。
【0020】
(耐水性試験)
得られた食品加熱用包装紙を水浴に浸し、全体が水で十分濡れたところで水浴から取り出し、120℃にて30秒間乾燥させる。このように1度水に浸した食品加熱用包装紙を再度上記の方法で耐油性試験をして、30秒後と30分後の紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
30秒後、30分後とも油のにじみはなく十分な耐水性が得られた。
【0021】
(耐熱性試験)
得られた食品加熱用包装紙に2mlのスポイトで食用油を1滴、滴下し、それを電子レンジで500W、1分間加熱し、その後滴下した油滴を拭き取り、紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
油のにじみはなく、十分な耐油性が得られた。
【0022】
実施例2
シリコーンオイルをX−22−4272(信越化学工業(株)製品)に代える以外は実施例1と同様にして食品加熱用包装紙を得た。実施例1と同様にして耐油性、耐水性および耐熱性を試験した。
耐油性試験は、いずれの場合も紙表面への油のにじみはなく十分な耐油性が確認された。耐水性試験では、30分後に紙表面への若干の油のにじみが認められたが、実用上問題のない程度であった。耐熱性試験では十分な耐熱性が確認された。
【0023】
実施例3
実施例1の塗工液に硬化剤のアクネート100(日本ポリウレタン工業(株)製品)をポリビニルアルコールに対して固形分で2%となるように添加して塗工液を調製した。この塗工液を実施例1と同様にして基材紙の一方の面に塗工および乾燥し、その後40℃で48時間エージング処理して食品加熱用包装紙を得た。耐油性、耐水性および耐熱性を試験したが、いずれも十分な特性が確認された。
【0024】
比較例1
未塗工の基材紙自体の耐油性を試験したが、30秒後に紙表面に大きな油のにじみが生じ、耐油性は全くなかった。
【0025】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、基材の少なくとも一方の面にポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を設けることで耐油性、耐水性、耐熱性に優れた、特に食品用途としても安全な食品加熱用包装紙として好適な耐油性・耐水性シートが提供される。本発明の耐油性・耐水性シートは食品加熱用包装紙以外にも建材用耐油紙、紙テープ基材などに使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐油性、耐水性、耐熱性に優れるコーティング膜(塗工層)を有するシートおよびその製造方法に関するものであり、特にこのコーティング膜を有するシートは食品加熱用包装紙に好適である。
【0002】
【従来の技術】
食品包装などに用いられる紙には、食品中の油分と水分をはじき、食品に接していない面に油分と水分がにじみ出ない耐油性と耐水性が必要である。また、食品用包装紙は、食品を包装したまま電子レンジやオーブンなどで加熱されるため耐熱性も必要である。
これらの問題を解決する方法として、単層抄の内添サイズ紙の少なくとも一方の面にノニオン性あるいはカチオン性のポリビニルアルコールの塗工層とフッ素系の耐油剤の塗工層を順次設けた耐油紙の使用が提案されている(特許文献1参照)。また、フッ素化合物を使用しないものとしてポリビニルアルコール層とシリコーン樹脂層とを有する食品加熱用包装紙が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−12849号公報
【特許文献2】
特開平8−232194号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者におけるフッ素系耐油剤は、高温においてフッ化水素、フッ化カルボニル、フッ酸などの有毒なフッ素化合物が発生するとされており、かかる耐油剤を含む食品包装用の耐油紙は、調理中、あるいは使用後廃棄された後の焼却の際にこれらの有毒なフッ素化合物が発生する可能性があり、安全性の面では問題がある。また、後者においてはポリビニルアルコール層とシリコーン樹脂層の2層を設けるために工程数が増え作業上好ましくないばかりか、耐油性および耐水性もフッ素系耐油剤を用いる場合に比べて劣っている。
従って、本発明の目的は、安全で、環境に優しい耐油性・耐水性および耐熱性を有する食品加熱用包装紙などに使用できる耐油性・耐水性シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題のない安全で、環境に優しい耐油性・耐水性および耐熱性を有するシートを開発すべく鋭意検討した結果、基材にポリビニルアルコールとシリコーンオイルとを含む塗膜を形成することで耐油性、耐水性、耐熱性に優れ、なおかつ食品用途としても安全な食品加熱用包装紙に好適なシートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
本発明によれば、基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を有することを特徴とする耐油性・耐水性シートおよびその製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明の耐油性・耐水性シートは、基材シートの片面または両面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイル含む塗工層を有することが特徴である。
【0008】
本発明で使用するポリビニルアルコールとしては、部分ケン化型、完全ケン化型(ケン化度95モル%以上)、あるいはカルボキシル基、スルホン基、アセトアセチル基、シラノール基などで変性されたものが挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。重合度は特に限定されないが、通常500〜3000の範囲、好ましくは1000〜2500の範囲である。重合度が500未満では造膜が難しく、十分な耐油性が得られない。また、重合度が3000を超えると溶液の粘度がかなり高くなり、塗工作業が難しくなる。
【0009】
本発明ではポリビニルアルコールは溶剤に溶解した溶液(塗工液)として使用されるが、溶剤としてはポリビニルアルコールを溶解する溶剤であれば特に限定されない。例えば、水、アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなど)、アルコール水溶液などが挙げられるが、水が好ましい。
【0010】
本発明で使用するシリコーンオイルは、従来公知のストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルが何れも使用できるが、特にポリビニルアルコールの水系溶液に溶解または分散可能なものが好ましい。さらに好ましくは、本発明の効果を高める上で硬化可能な変性シリコーンオイルが好ましい。また、本発明の耐油性・耐水性シートが食品加熱用包装紙にも使用されることから、食品用のシリコーンオイルの使用が望ましい。シリコーンオイルは種々の市販品があり、入手して使用することができるが、例えば、KF−355A、KM72、73、787、X−22−4272(いずれも信越化学工業(株)の製品)などが挙げられる。
【0011】
本発明ではポリビニルアルコールおよびシリコーンオイルの硬化(架橋)剤としてはイソシアネート化合物が好ましい。ポリビニルアルコールの溶液に可溶または分散可能な、少なくとも二官能性のもので、特に水系溶剤に可溶または分散可能なものが好ましい。このようなイソシアネート化合物は種々の市販品があり、入手して使用することができる。例えば、タケネートWD−220、240、720、725、730など(三井武田ケミカル(株)の製品)、アクネート100、120、200、210など(日本ポリウレタン工業(株)の製品)などが挙げられる。また、水分散ブロックイソシアネート化合物として、例えば、タケネートWB−700、720、730、920など(三井武田ケミカル(株)の製品)も使用可能であるが、ブロック化合物を解離させるために高温を必要とするので作業上好ましくない。
【0012】
本発明の耐油性・耐水性シートは、基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工液を塗工して塗工層を形成することによって製造される。
そのために、少なくとも塗工層形成成分のポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工液を用意する。例えば、ポリビニルアルコールを溶剤に溶解させて溶液とし、これにシリコーンオイルを溶解または分散させて塗工液を調製する。これ以外の調製方法であっても構わない。必要により硬化剤を溶解させる。
【0013】
硬化剤の使用量は、本発明のシートに要求される耐油性、耐水性に応じて適宜決定することができる。ポリビニルアルコールおよびシリコーンオイル中のOH基の濃度およびイソシアネート化合物のNCO基濃度によって異なるが、通常、ポリビニルアルコール、またはポリビニルアルコールおよびシリコーンオイルの固形分に対して、イソシアネート化合物を固形分で0.1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量%である。イソシアネート化合物の使用量が少なすぎると耐水性が不足し、多すぎるとシートの耐油性が阻害される。
【0014】
塗工液には、必要に応じて消泡剤、防腐剤、着色剤などの添加剤を適宜添加することができる。
また、必要に応じてポリビニルアルコールと相溶する樹脂を本発明の効果が損なわれない範囲で併用することができる。このような樹脂としては、例えば、ビニルアルコールとスチレンあるいはアクリル酸エステルとの共重合体、水溶性セルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂が挙げられる。
【0015】
本発明で使用する基材シートとしては、例えば、紙、不織布(レーヨン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられるが、紙が好ましい。
【0016】
塗工液は、通常、固形分が2〜40重量%程度に調整され、例えば、バーコーター、ロールコーター、エアーナイフコーターあるいはグラビア印刷などの公知の塗工方法で基材シートの少なくとも一方の面に塗工され、乾燥される。塗工層の乾燥重量は、特に制限されないが、通常、0.1〜10g/m2程度である。
乾燥後、必要に応じてエージングによりポリビニルアルコールの硬化を十分とすることができる。エージング条件は、特に限定されないが、例えば、20〜80℃で12〜96時間程度である。
【0017】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の文中における部および%は重量基準である。
【0018】
実施例1
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製品 GH−23)の10%水溶液を調製し、これにシリコーンオイル(KF−355A:信越化学工業(株)製品)を加え、それぞれの含有量(固形分)が5%の塗工液を得た。
この塗工液を基材紙の片面にバーコーターNo.05で乾燥重量が2g/m2となるように塗工し、120℃にて20秒間乾燥させて食品加熱用包装紙を得た。
得られた食品加熱用包装紙の耐油性、耐水性および耐熱性を下記の試験方法で評価した(他の例も同様。)。
【0019】
(耐油性試験)
得られた食品加熱用包装紙に2mlのスポイトで食用油を1滴、滴下し、30秒後に滴下した油滴を拭き取り、該紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
また、同様に食用油を1滴、滴下し、30分後に滴下した油滴を拭き取り、紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
30秒後、30分後とも油のにじみはなく、十分な耐油性が得られた。
【0020】
(耐水性試験)
得られた食品加熱用包装紙を水浴に浸し、全体が水で十分濡れたところで水浴から取り出し、120℃にて30秒間乾燥させる。このように1度水に浸した食品加熱用包装紙を再度上記の方法で耐油性試験をして、30秒後と30分後の紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
30秒後、30分後とも油のにじみはなく十分な耐水性が得られた。
【0021】
(耐熱性試験)
得られた食品加熱用包装紙に2mlのスポイトで食用油を1滴、滴下し、それを電子レンジで500W、1分間加熱し、その後滴下した油滴を拭き取り、紙の表面の油のにじみの有無を目視で確認する。
油のにじみはなく、十分な耐油性が得られた。
【0022】
実施例2
シリコーンオイルをX−22−4272(信越化学工業(株)製品)に代える以外は実施例1と同様にして食品加熱用包装紙を得た。実施例1と同様にして耐油性、耐水性および耐熱性を試験した。
耐油性試験は、いずれの場合も紙表面への油のにじみはなく十分な耐油性が確認された。耐水性試験では、30分後に紙表面への若干の油のにじみが認められたが、実用上問題のない程度であった。耐熱性試験では十分な耐熱性が確認された。
【0023】
実施例3
実施例1の塗工液に硬化剤のアクネート100(日本ポリウレタン工業(株)製品)をポリビニルアルコールに対して固形分で2%となるように添加して塗工液を調製した。この塗工液を実施例1と同様にして基材紙の一方の面に塗工および乾燥し、その後40℃で48時間エージング処理して食品加熱用包装紙を得た。耐油性、耐水性および耐熱性を試験したが、いずれも十分な特性が確認された。
【0024】
比較例1
未塗工の基材紙自体の耐油性を試験したが、30秒後に紙表面に大きな油のにじみが生じ、耐油性は全くなかった。
【0025】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、基材の少なくとも一方の面にポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を設けることで耐油性、耐水性、耐熱性に優れた、特に食品用途としても安全な食品加熱用包装紙として好適な耐油性・耐水性シートが提供される。本発明の耐油性・耐水性シートは食品加熱用包装紙以外にも建材用耐油紙、紙テープ基材などに使用することができる。
Claims (7)
- 基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工層を有することを特徴とする耐油性・耐水性シート。
- ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールとシリコーンオイルが硬化されている請求項1に記載の耐油性・耐水性シート。
- 基材シートの少なくとも一方の面に、少なくともポリビニルアルコールとシリコーンオイルを含む塗工液を塗工することを特徴とする耐油性・耐水性シートの製造方法。
- 塗工液は、ポリビニルアルコールの溶液に、少なくともシリコーンオイルが溶解または分散してなるものである請求項3に記載の耐油性・耐水性シートの製造方法。
- 更に硬化剤が溶解してなる請求項4に記載の耐油性・耐水性シートの製造方法。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法で得られる耐油性・耐水性シート。
- 基材シートが紙の食品加熱用包装紙である請求項1または2または6に記載の耐油性・耐水性シート。
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JP2003059018A JP2004270050A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 耐油性・耐水性シートおよびその製造方法 |
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