JP2010082873A - 酸素吸収性積層体および包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】内容物を充填包装し、その包装体内に存在ないし発生する酸素を十分に捕捉し、その酸素捕集機能を発揮し、内容物の品質を保護するに有用な包装用材料、包装用袋、包装製品等を提供する。
【解決手段】基材樹脂層10、接着性樹脂層20、酸素吸収層30、接着性樹脂層40およびヒートシール層50の順に積層された共押出フィルムであって、基材樹脂層は、ポリアミド系樹脂またはポリエチレン系樹脂であり、前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなり、前記接着性樹脂層は、接着性ポリオレフィン系樹脂からなる。酸素吸収性に優れ、かつカールなどが生じず、加工適性に優れる。
【選択図】図1
【解決手段】基材樹脂層10、接着性樹脂層20、酸素吸収層30、接着性樹脂層40およびヒートシール層50の順に積層された共押出フィルムであって、基材樹脂層は、ポリアミド系樹脂またはポリエチレン系樹脂であり、前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなり、前記接着性樹脂層は、接着性ポリオレフィン系樹脂からなる。酸素吸収性に優れ、かつカールなどが生じず、加工適性に優れる。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸素吸収性積層体およびそれを使用した包装容器に関し、更に詳しくは、酸素吸収層を含む共押出フィルムからなり、容器内の残存酸素を吸収しうる酸素吸収性積層体および酸素吸収性積層体からなる包装容器に関する。
酸化劣化が好ましくないとされる食品等の内容物が収容された包装体内の酸素を除去するために、内容物を酸素吸収剤の小袋と共にガスバリア容器内に収容・密閉する脱酸素包装方法等が知られている。しかしながら、内容物を電子レンジなどで加熱する場合には、予め酸素吸収剤を除去する必要があり、理想的には、容器をそのまま電子レンジに投入して内容物を加熱できることが望ましい。このため、酸素吸収層を積層した各種の酸素吸収性積層体が開発されている。
例えば、酸素感応性製品を収納する容器として、外側セットと内側セットとからなり、前記外側セットは無機バリアー層を含み、前記内側セットは所定の酸素透過度を有する酸素捕捉層とヒートシール層とを含み、前記酸素捕捉層がポリアミドなどの被酸化性有機成分とコバルトなどの金属化合物とからなる包装用材料がある(特許文献1)。実施例には、外側セットとしてポリエチレンテレフタレートとアルミニウム箔とがポリウレタン系接着剤で接着された構成であり、内側セットがMXD6とコバルトとからなる層とヒートシール層とからなり、前記内側セットと外側セットとがポリウレタン系接着剤で接着されている包装用材料が開示されている。
また、包装内部から包装外部に向けて、オレフィン系樹脂内面層/酸素バリアー性樹脂の第一の層/酸素吸収性樹脂層/環状オレフィン系共重合体層/酸素バリアー性樹脂の第二の層/オレフィン系樹脂外面層の積層構成を有することを特徴とする酸素吸収性包装体もある(特許文献2)。前記酸素吸収性樹脂層は、酸化性樹脂と遷移金属系触媒との樹脂組成物からなり、酸化性樹脂として、酸牽制低密度ポリエチレンなどの、炭素側鎖を含み、且つ主鎖または側鎖にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された少なくとも1個の官能基を含む樹脂が開示されている。この酸化性樹脂は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された少なくとも1個の官能基を有しており、これらは何れも電子吸引性の基であって第三級炭素原子を活性化させ、および遷移金属触媒成分に対する吸着サイトとなるため、ラジカルの発生や酸素の付加における誘導期を短縮し、常態で樹脂の劣化を生じない少量の遷移金属触媒の存在下に酸素吸収力を発揮するとしている。実施例では、酸変性低密度ポリエチレンにコバルト濃度5000ppmで混練している。
また、熱可塑性樹脂から成る内層及び外層と、前記内層及び外層の間に酸素吸収層を有し、前記内層及び/又は外層の表面に無機膜層が設けられていることを特徴とするプラスチック多層容器もある(特許文献3)。熱可塑性樹脂と酸化触媒から成る酸素吸収層は、酸素を捕捉するとその樹脂が劣化してクラックを生じ、前記酸素吸収層上に無機膜層を設けると前記クラックが無機膜層に伝達し、ガスバリアー性の低下を招く点に鑑みてなされたものであり、上記構成によれば、炭酸ガスの透過防止及び樹脂中の残存酸素の捕捉を高度に行うことができる、という。
さらに、少なくとも3層の共押出製膜化フィルムからなり、更に、上記の共押出製膜化フィルムの表面層を構成する第1層が、熱可塑性樹脂と白色系着色剤とを含む樹脂組成物による白色樹脂層からなり、また、上記の共押出製膜化フィルムの中間層を構成する第2層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなり、更に、上記の共押出製膜化フィルムの裏面層を構成する第3層が、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物による透明ないし半透明の樹脂層からなることを特徴とする酸素吸収性多層積層フィルムもある(特許文献4)。酸素吸収性樹脂層としてラジカル発生剤、光増感剤を含むものであり、内容物を充填包装した後に包装用袋の内面に紫外光を照射し、次いで、開口部をヒートシールしてシール部を形成して密閉すると、紫外光は、酸素吸収性樹脂層に容易に到達し、これにより、該酸素吸収性樹脂層を構成する遷移金属触媒が酸化性樹脂に作用し、該酸化性樹脂が包装用袋内の酸素等を結合し、吸収する、という。
また、酸素吸収性積層体を容器の蓋材として使用したものもある。例えば、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜、および、ガスバリア性塗布膜を設け、更に、該ガスバリア性塗布膜の上に、印刷模様層、および、ラミネート用接着剤層を順次に設け、次いで、該ラミネート用接着剤層を介してヒートシール性樹脂層を設けたことを特徴とする無菌米飯充填包装容器用蓋材がある(特許文献5)。強度、耐熱性、防湿性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性等に優れ、酸素や水蒸気等の透過を阻止しうる蓋材を使用した無菌包装米飯を製造し得る、というものである。常圧で無菌的に炊飯した御飯を、無菌の雰囲気の中で殺菌されたプラスチック製トレー等からなる包装容器の中に充填し、その開口部をプラスチック製蓋材等で密閉包装してなる無菌包装米飯の充填に使用されるものである。
特許第2785405号公報
特開2002−137347号公報
特開2003−20023号公報
特開2006−224399号公報
特開2005−8160号公報
最内層にヒートシール層を有する積層体は、それ自体を製袋することで包装容器として使用することができる。また、容器本体の蓋材などとしても使用することができる。
例えば、無菌米飯充填包装容器は、電子レンジなどで加熱しうる利点があり、近年多用される容器である。このような蓋材として、たとえば特許文献5に記載されるヒートシール層を有する積層体がある。しかしながら、特許文献5に記載する無菌米飯充填包装容器用蓋材は、ガスバリア性を有するが、容器内部の酸素を除去することはできない。このため、より長期間の保存を目的として、酸素吸収性を付与できることが望まれる。
例えば、無菌米飯充填包装容器は、電子レンジなどで加熱しうる利点があり、近年多用される容器である。このような蓋材として、たとえば特許文献5に記載されるヒートシール層を有する積層体がある。しかしながら、特許文献5に記載する無菌米飯充填包装容器用蓋材は、ガスバリア性を有するが、容器内部の酸素を除去することはできない。このため、より長期間の保存を目的として、酸素吸収性を付与できることが望まれる。
一方、酸素吸収層を積層する包装用材料として上記特許文献1〜4があるが、特許文献1記載の包装用材料では、ガスバリア層としてアルミニウム箔をラミネート接着しており、アルミニウム箔を含むと電子レンジによる加熱が困難となる。また、内容物が、米飯などのように臭いの影響を受け易い場合に積層の接着に際してラミネート接着を行うと、内容物に接着剤層の溶媒臭が移行する場合がある。
また、特許文献2記載の酸素吸収性包装体は、最外層がオレフィン系樹脂外面層であり、本来、ブロー成形容器やチューブ容器を対象とするものである。したがって、ヒートシール層を有さず、無菌米飯充填包装容器用の蓋材として使用することはできない。
同様に、特許文献3記載のプラスチック多層容器も容器を対象とするものであり、ヒートシール層が存在せず、蓋材として使用することができない。
更に、特許文献4記載のフィルムは、酸素吸収性樹脂層としてラジカル発生剤、光増感剤を含むものであり、内容物を充填包装した後に包装用袋の内面に紫外光を照射する必要がある。また、3層の共押出製膜化フィルムであり、より機械的強度の高い積層体が望まれる。
更に、特許文献4記載のフィルムは、酸素吸収性樹脂層としてラジカル発生剤、光増感剤を含むものであり、内容物を充填包装した後に包装用袋の内面に紫外光を照射する必要がある。また、3層の共押出製膜化フィルムであり、より機械的強度の高い積層体が望まれる。
更に、多層フィルムは製袋によって包装容器として使用しうるものであり、加工適性を有する必要がある。
上記現状に鑑み、ヒートシール性と酸素吸収性とを有し、加熱調理器として電子レンジで加熱することができ、容器用包装材や蓋材などとして有用な酸素吸収性積層体を提供することを目的とする。
上記現状に鑑み、ヒートシール性と酸素吸収性とを有し、加熱調理器として電子レンジで加熱することができ、容器用包装材や蓋材などとして有用な酸素吸収性積層体を提供することを目的とする。
また、本発明は、加工適性を有する、酸素吸収性積層体を提供することを目的とする。
また、このような酸素吸収性積層体からなる包装容器や蓋材を提供することを目的とする。
また、このような酸素吸収性積層体からなる包装容器や蓋材を提供することを目的とする。
本発明は、電子レンジで加熱可能な積層体を種々検討したところ、ポリアミドに遷移金属触媒を混練して酸素吸収層を構成すれば、電子レンジによる加熱調理が可能であること、基材樹脂層としてポリアミド系樹脂やポリエチレンテレフタレートを使用すると機械的強度を確保でき、かつカールなどの積層体の変形を防止できること、最内層に熱可塑性樹脂層を配設すればヒートシール性を確保できること、基材樹脂層と酸素吸収層、および酸素吸収層とヒートシール層とを接着性樹脂層で構成し、共押出製膜フィルムとすればラミネート接着剤を使用する際に発生する臭気を回避できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、基材樹脂層、接着性樹脂層、酸素吸収層、接着性樹脂層およびヒートシール層の順に積層された共押出フィルムであって、基材樹脂層は、ポリアミド系樹脂またはポリエチレン系樹脂であり、前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなり、前記接着性樹脂層は、接着性ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする、酸素吸収性積層体を提供するものである。
また、前記酸素吸収性積層体からなる無菌米飯充填包装容器用蓋材を提供するものである。
さらに、前記酸素吸収性積層体を製袋してなる包装容器を提供するものである。
さらに、前記酸素吸収性積層体を製袋してなる包装容器を提供するものである。
加えて、本発明は、容器本体と蓋材とからなる容器であって、蓋材が前記酸素吸収性積層体である、包装容器を提供するものである。
本発明の酸素吸収性積層体は、共押出フィルムであるためラミネート接着剤による臭気の発生がなく、内容物の保存性に優れる。
本発明の酸素吸収性積層体は、最内層がヒートシール層であるため、それ自体を製袋して包装容器とすることができ、また蓋材として容器の一部として使用することができる。
本発明の酸素吸収性積層体は、最内層がヒートシール層であるため、それ自体を製袋して包装容器とすることができ、また蓋材として容器の一部として使用することができる。
本発明の酸素吸収性積層体は、5層の共押出フィルムであり、かつ酸素吸収層が第三層に配設される構成であるため、変形が少ない。このため、この酸素吸収性積層体を使用して、蓋材や包装容器を容易に製袋することができる。
本発明の酸素吸収性積層体は、酸素吸収層がポリアミドと遷移金属触媒とからなり、酸素吸収性に優れる。また、電子レンジなどによる内容物の加熱を行うことができる。
本発明の酸素吸収性積層体は、更にガスバリア性フィルムなどを積層することができ、長期にわたる内容物の保持性に優れる。
本発明の酸素吸収性積層体は、更にガスバリア性フィルムなどを積層することができ、長期にわたる内容物の保持性に優れる。
本発明は基材樹脂層、接着性樹脂層、酸素吸収層、接着性樹脂層およびヒートシール層の順に積層された共押出フィルムであって、前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなり、前記接着性樹脂層は、接着性ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする、酸素吸収性積層体である。
(1)酸素吸収性積層体の層構成
本発明の酸素吸収性積層体は、図1に示すように共押出フィルムであり、基材樹脂層(10)、接着性樹脂層(20)、酸素吸収層(30)、接着性樹脂層(40)およびヒートシール層(50)とからなる。ラミネート用接着剤を使用せずに5層が積層されるため、特にラミネート用接着剤に含まれる溶媒臭が問題となる収納物の包装容器として適切である。
本発明の酸素吸収性積層体は、図1に示すように共押出フィルムであり、基材樹脂層(10)、接着性樹脂層(20)、酸素吸収層(30)、接着性樹脂層(40)およびヒートシール層(50)とからなる。ラミネート用接着剤を使用せずに5層が積層されるため、特にラミネート用接着剤に含まれる溶媒臭が問題となる収納物の包装容器として適切である。
本発明では、ヒートシール層(50)を、顔料や染料を含む着色層(51)と含まない層(53)とに分離することができる。この態様を図2に示す。着色層(51)の形成により、遮光性を確保することができる。
上記酸素吸収性積層体は、前記基材樹脂層(10)の外側にポリアミドフィルム(60)やガスバリア性フィルム(70)をさらに積層するものであってもよい。このようなポリアミドフィルムやガスバリア性フィルムは、ラミネート用接着剤(80)を介して接着することができる。この態様を図3に示す。ポリアミドフィルムによって耐突き刺し性を確保することができ、ガスバリア性フィルムによって酸素バリア性などを確保することができる。
また、前記ガスバリア性フィルムの内側には、印刷層(90)が形成されていてもよい。内容表示の他、意匠を向上させることができ、更に高い遮光性が要求される場合には白ベタ印刷などを行うことができる。
(2)基材樹脂層
基材樹脂層としては、ポリアミド系樹脂またはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂を使用する。
基材樹脂層としては、ポリアミド系樹脂またはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂を使用する。
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドであっても、芳香族ポリアミドであっても、これらを混合した組成物であってもよい。好ましいポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ‐ε‐アミノへプタン酸(ナイロン7)、ポリ‐ε‐アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン‐6ナイロン(MXD6)などを挙げることができ、これらを主成分とする共重合体であってもよく、その例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体などを挙げることができる。これらのポリアミドには、フィルムの柔軟性改質成分として、芳香族スルホンアミド類、p‐ヒドロキシ安息香酸、エステル類などの可塑剤や低弾性率のエラストマー成分やラクタム類を配合することも有効である。ポリアミド系樹脂は、密度が比重1.14〜1.22g/m3であることが好ましい。その理由は、押出し特性などの加工適性に優れるからである。
また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートを好適に使用することができる。基材樹脂層としてポリアミド系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を使用することで、得られる酸素吸収性積層体のカールを防止することができる。酸素吸収性積層体をそのまま包装用材料として使用する場合や、酸素吸収性積層体に更に他のフィルムを積層する場合に、酸素吸収性積層体の扁平が維持されない場合には加工中にひだや耳折れが発生し、安定した生産が困難となる。本発明では、基材樹脂層を設けることで酸素吸収のみならず、安定した加工を行うことができる。ポリエステル系樹脂は、比重1.00〜1.41g/m3であることが好ましい。その理由は、押出適性に優れるからである。
本発明において、上記基材樹脂層の膜厚としては、5〜25μm、より好ましくは、5〜15μmが望ましい。
なお、上記基材樹脂層の製膜化に際して、例えば、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、離形性、難燃性、抗カビ性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
なお、上記基材樹脂層の製膜化に際して、例えば、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、離形性、難燃性、抗カビ性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
(3)酸素吸収層
本発明の酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6−6、ホモポリマーの例としてポリ−m−キシリレンアジパミド、ポリ−m−キシリレンセバカミドおよびポリ−m−キシリレンスペラミド、コポリマーの例としてm−キシリレン/p−キシリレンアジパミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンピペラミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンアゼラミドコポリマーが挙げられる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、環状ジアミンの例として、ピペラジン、芳香族ジアミンの例として、p−ビス(2−アミノエチル)ベンゼン、芳香族ジカルボン酸の例として、テレフタル酸が挙げられる。
本発明の酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6−6、ホモポリマーの例としてポリ−m−キシリレンアジパミド、ポリ−m−キシリレンセバカミドおよびポリ−m−キシリレンスペラミド、コポリマーの例としてm−キシリレン/p−キシリレンアジパミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンピペラミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンアゼラミドコポリマーが挙げられる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、環状ジアミンの例として、ピペラジン、芳香族ジアミンの例として、p−ビス(2−アミノエチル)ベンゼン、芳香族ジカルボン酸の例として、テレフタル酸が挙げられる。
その他、べンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、N,N'−ジメチルメタキシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタキシリレンジアミン、N,N'−ジメチルパラキシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルパラメタキシリレンジアミン、N,N'−ジエチルメタキシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラエチルメタキシリレンジアミン、N,N'−ジエチルパラキシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラエチルパラキシリレンジアミン、1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンと有機カルボン酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、トール油脂肪酸などのモノカルボン酸およびアジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸などのジカルボン酸との塩およびアミド、エポキシ樹脂硬化剤として広く用いられているメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとホルムアルデヒド及びフェノ−ルとの反応によって得られるマンニッヒ塩基、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのビニル化合物との付加体、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとエポキシ化合物、例えばビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF系エポキ樹脂、ブチルグリシジルエーテルなどとの付加体、及びこれら硬化剤により硬化されたエポキシ樹脂硬化物、テトラグリシジルメタキシリレンジアミンで代表されるアミノ基含有エポキシ化合物、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジジイソシアネートで代表されるイソシアネート化合物とそれぞれから誘導されるポリウレタン等を例示することができるがこれらのものを複数配合して使用することもできる。ポリアミドは、密度が1.14〜1.22であることが好ましい。
また、遷移金属触媒としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Sn、Cu又はその混合物から選択される遷移金属を使用することができる。
遷移金属としては、Co、Cu、Feまたはその混合物から選択される組成物、また、周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族を好適に使用することができる。なお、上記の遷移金属の低価数の無機酸塩あるいは有機酸塩あるいは錯塩の形で使用する場合、無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンのオキシ酸塩、ケイ酸塩等がある。また、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等がある。
遷移金属としては、Co、Cu、Feまたはその混合物から選択される組成物、また、周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族を好適に使用することができる。なお、上記の遷移金属の低価数の無機酸塩あるいは有機酸塩あるいは錯塩の形で使用する場合、無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンのオキシ酸塩、ケイ酸塩等がある。また、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等がある。
具体例としては、酢酸、プロピオン酸塩、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3、5、5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マ−ガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
本発明において、遷移金属触媒としては、具体的には、コバルトネオデカノエ−ト、コバルト2−エチルヘキサノエ−ト、コバルトオレエ−トおよびコバルトステアレ−トを使用することが好ましい。
ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒との配合割合は、上記ポリアミド系樹脂100質量部に対し遷移金属触媒が、0.001〜10質量部である。遷移金属触媒が0.001質量部未満であると、触媒作用が低くなり、酸化反応が進行しない等の理由から好ましくなく、また、10質量部を超えると、触媒量が多すぎることで、酸化反応は進むものの、他の副反応等が発生すること、あるいは、コスト的に上昇すること等の理由から好ましくないものである。
本発明では、酸素吸収層を構成する樹脂は、密度が1.14〜1.22であることが好ましい。
本発明において、上記酸素吸収層の膜厚としては、12〜25μm、より好ましくは、12〜20μmが望ましい。
本発明において、上記酸素吸収層の膜厚としては、12〜25μm、より好ましくは、12〜20μmが望ましい。
(4)ヒートシール層
ヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。
ヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂を好適に使用することができる。特に、シングルサイト系メタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体が好適である。具体的には、プロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロックまたはランダムコポリマーからなるポリプロピレン系ランダム共重合体である。接着性に優れるからである。ヒートシール層を構成する樹脂のメルトフローレート(MFR)としては、0.2〜4.0g/minであることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0である。0.2g/minを下回ると、加工適性の点で不利である。一方、4.0g/minを超えると、加工適性の点で不利である。なお、本発明において、メルトフローレイト(MFR)とは、JIS K6921に準拠した手法から測定したものであり、また、密度は、JIS K7112に準拠した手法から測定したものである。
上記のヒートシール層は、厚さ5〜60μm、好ましくは10〜30μmが望ましい。
ヒートシール層は、上記樹脂の1種からなる単層でも多層でもよく、2層以上の多層であってもよい。
ヒートシール層は、上記樹脂の1種からなる単層でも多層でもよく、2層以上の多層であってもよい。
例えば、図2に示すようにヒートシール層を顔料や染料を含有する着色層(51)と含まない層(53)とに分離し、前記着色層として、例えば、白色顔料や染料を混練して遮光性に優れる白色樹脂層などとすることができる。
本発明において白色樹脂層などの着色層を構成する白色系着色剤としては、白色系の各種の無機系ないし有機系の染料、顔料等の着色剤の1種ないし2種以上の混合物を使用することが望ましいものである。具体的には、例えば具体的には、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、その他等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。これらは、包装容器の美粧性を損なうことなく、太陽や蛍光灯等の透過を阻止ないし遮断し、包装袋内に充填包装した内容物の分解ないし変質、褪色、その他等の光劣化を防止することができる。着色層において、着色料の配合量は、ヒートシール層を構成する樹脂に対し、0.1〜30質量、好ましくは、0.5〜20質量%である。
本発明では、上記白色染料または白色顔料に限定されず、他の色彩の顔料や染料を使用して着色層を形成することができる。
このような着色層を形成する場合には、着色層の厚さは厚さ5〜60μm、好ましくは10〜40μmであることが望ましい。この範囲であれば目的の着色による効果を得る事ができる。
このような着色層を形成する場合には、着色層の厚さは厚さ5〜60μm、好ましくは10〜40μmであることが望ましい。この範囲であれば目的の着色による効果を得る事ができる。
また、このような着色層を形成した場合には、最内層にヒートシール層を形成する。顔料や染料として無機チタンなどを混練するとヒートシール性が低下するが、最内層に顔料や染料を含まない層を形成することで、ヒートシール性を確保することができる。この際の顔料や染料を含まない層の厚さは、5〜30μm、好ましくは5〜30μmである。この範囲で十分なヒートシール性を確保することができる。
(5)接着性樹脂層
接着性樹脂としては、前記基材樹脂層と酸素吸収層とを接着し、または酸素吸収層とヒートシール層とを接着する樹脂である。酸素吸収層が、ポリアミド系樹脂を主体とするものであるから、本発明で使用する接着性樹脂としては、ポリアミドに密着しうるものを好適に使用することができる。具体的にはオレフィン樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマー、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)使用して重合したエチレンーα・オレフィン共重合体、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。上記接着性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であり、本発明の酸素吸収性積層体を構成するヒートシール層と同質である。したがって、上記接着剤樹脂によって基材樹脂層と酸素吸収層、並びに酸素吸収層とヒートシール層とを接着することができる。
接着性樹脂としては、前記基材樹脂層と酸素吸収層とを接着し、または酸素吸収層とヒートシール層とを接着する樹脂である。酸素吸収層が、ポリアミド系樹脂を主体とするものであるから、本発明で使用する接着性樹脂としては、ポリアミドに密着しうるものを好適に使用することができる。具体的にはオレフィン樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマー、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)使用して重合したエチレンーα・オレフィン共重合体、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。上記接着性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であり、本発明の酸素吸収性積層体を構成するヒートシール層と同質である。したがって、上記接着剤樹脂によって基材樹脂層と酸素吸収層、並びに酸素吸収層とヒートシール層とを接着することができる。
本発明では、接着性樹脂層を構成する樹脂は、密度が0.88〜0.92であることが好ましい。その理由は、加工適性、接着性が向上するためである。接着剤樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、三菱化学社製、商品名「モディックAP P555」、三井化学社製、商品名「アドマー QF570」などがある。
なお、基材樹脂層と酸素吸収層とを接着する接着性樹脂層と、酸素吸収層とヒートシール層とを接着する接着性樹脂とは、同一でも異なっていてもよい。
このような接着性樹脂層は、厚さ3〜15μm、好ましくは5〜10μmである。
このような接着性樹脂層は、厚さ3〜15μm、好ましくは5〜10μmである。
(6)ポリアミドフィルム
本発明では、共押出フィルムからなる上記酸素吸収性積層体に、更に他のフィルムなどを積層することができる。このような他のフィルムとしてポリアミドフィルムがある。ポリアミドフィルムを積層することで、突き刺しなどに対する耐性を確保することができる。
本発明では、共押出フィルムからなる上記酸素吸収性積層体に、更に他のフィルムなどを積層することができる。このような他のフィルムとしてポリアミドフィルムがある。ポリアミドフィルムを積層することで、突き刺しなどに対する耐性を確保することができる。
本発明で用いられるポリアミドフィルムとして好ましいホモポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−9−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。
また、コポリアミドとしては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体等を挙げることができる。
更に、柔軟性を付与するため芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、エステル類等の可塑剤を配合し、低弾性率のエラストマー成分やラクタム類等を配合してもよい。該エラストマー成分としては、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、変性アクリルゴム、変性エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
なお、製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
本発明において、ポリアミドフィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムを製造し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムを使用することができる。
本発明において、ポリアミドフィルムの膜厚としては、15〜50μm、より好ましくは15〜25μmが望ましい。
(7)ガスバリア性フィルム
本発明では、酸素や水蒸気の透過を阻止しうる各種のガスバリア性フィルムを使用することができる。
(7)ガスバリア性フィルム
本発明では、酸素や水蒸気の透過を阻止しうる各種のガスバリア性フィルムを使用することができる。
(a) ポリビニルアルコール
本発明では、ガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールを好適に使用することができる。ポリビニルアルコールからなるガスバリア性フィルムの厚さに制限はないが、好ましくは15〜25μmである。
本発明では、ガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールを好適に使用することができる。ポリビニルアルコールからなるガスバリア性フィルムの厚さに制限はないが、好ましくは15〜25μmである。
一方、ポリビニルアルコールは単層フィルムとして使用することができるが、水溶性高分子であるため、耐水性に優れる基材フィルムにポリビニルアルコールからなる塗布膜を形成した積層フィルムであってもよい。このような基材フィルムは、後記するガスバリア性積層フィルムの項で記載する基材フィルムを好適に使用することができる。これにより、耐水性を確保することができる。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーである「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を例示することができる。
(b) エチレン・ビニルアルコール共重合体
本発明では、ガスバリア性フィルムとして、エチレン・ビニルアルコール共重合体も好適に使用することができる。エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア性フィルムの厚さに制限はないが、好ましくは10〜30μmである。
本発明では、ガスバリア性フィルムとして、エチレン・ビニルアルコール共重合体も好適に使用することができる。エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア性フィルムの厚さに制限はないが、好ましくは10〜30μmである。
一方、エチレン・ビニルアルコール共重合体は単層フィルムとして使用することができるが、基材フィルムにエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる塗布膜を形成した積層フィルムであってもよい。このような基材フィルムは、後記するガスバリア性積層フィルムの項で記載する基材フィルムを好適に使用することができる。これにより、機械的特性など基材フィルムに応じた各種の特性を向上させることができる。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
(c) ガスバリア性積層フィルム
本発明で使用するガスバリア性フィルムとして、基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設け、該蒸着膜上に一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けたガスバリア性積層フィルムを使用することもできる。ガスバリア性塗布膜をポリビニルアルコール系樹脂またはエチレン・ビニルアルコール共重合体と1種以上のアルコキシドとが相互に化学的に反応して強固な三次元網目状複合ポリマー層を形成しており、前記蒸着膜とが相乗的に作用し、酸素、水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性に優れ、耐熱水性にも優れる。
本発明で使用するガスバリア性フィルムとして、基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設け、該蒸着膜上に一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けたガスバリア性積層フィルムを使用することもできる。ガスバリア性塗布膜をポリビニルアルコール系樹脂またはエチレン・ビニルアルコール共重合体と1種以上のアルコキシドとが相互に化学的に反応して強固な三次元網目状複合ポリマー層を形成しており、前記蒸着膜とが相乗的に作用し、酸素、水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性に優れ、耐熱水性にも優れる。
(i)基材フィルム
ガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂を使用することができる。特に、ポリエステル系樹脂、またはポリアミド系樹脂を好適に使用することができる。基材フィルムの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmである。
ガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂を使用することができる。特に、ポリエステル系樹脂、またはポリアミド系樹脂を好適に使用することができる。基材フィルムの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmである。
(ii)表面処理
本発明において、上記の基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を形成するが、予め基材フィルムに表面処理をおこなってもよい。これによって前記蒸着膜やガスバリア性塗布膜との密着性を向上させることができる。このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理などがある。
本発明において、上記の基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を形成するが、予め基材フィルムに表面処理をおこなってもよい。これによって前記蒸着膜やガスバリア性塗布膜との密着性を向上させることができる。このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理などがある。
(iii)有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜
本発明における蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、物理気相成長法またはこれらを複合して、有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。
本発明における蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、物理気相成長法またはこれらを複合して、有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。
化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、低温プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等がある。具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。高活性の安定したプラズマが得られる点で、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。
上記の低温プラズマ化学気相成長法による蒸着膜の形成法の一例を低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である図5を用いて説明する。
本発明では、プラズマ化学気相成長装置221の真空チャンバー222内に配置された巻き出しロール223から基材フィルム201を繰り出し、更に、該基材フィルム201を、補助ロール224を介して所定の速度で冷却・電極ドラム225周面上に搬送する。一方、ガス供給装置226、227および、原料揮発供給装置228等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスその他等を供給して蒸着用混合ガス組成物を調製し、これを原料供給ノズル229を通して真空チャンバー222内に導入する。該蒸着用混合ガス組成物を上記冷却・電極ドラム225周面上に搬送された基材フィルム201の上に供給し、グロー放電プラズマ230によってプラズマを発生させ照射し、蒸着膜を製膜化する。次いで、上記で蒸着膜を形成した基材フィルム201を補助ロール233を介して巻き取りロール234に巻き取れば、プラズマ化学気相成長法による有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。なお、冷却・電極ドラム225は、真空チャンバー222の外に配置されている電源231から所定の電力が印加され、冷却・電極ドラム225の近傍には、マグネット232を配置してプラズマの発生が促進されている。このように冷却・電極ドラムに電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成される。このグロー放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態で基材フィルムを一定速度で搬送させると、グロー放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルムの上に、有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。なお、図5中、符号235は真空ポンプを表す。
本発明では、プラズマ化学気相成長装置221の真空チャンバー222内に配置された巻き出しロール223から基材フィルム201を繰り出し、更に、該基材フィルム201を、補助ロール224を介して所定の速度で冷却・電極ドラム225周面上に搬送する。一方、ガス供給装置226、227および、原料揮発供給装置228等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスその他等を供給して蒸着用混合ガス組成物を調製し、これを原料供給ノズル229を通して真空チャンバー222内に導入する。該蒸着用混合ガス組成物を上記冷却・電極ドラム225周面上に搬送された基材フィルム201の上に供給し、グロー放電プラズマ230によってプラズマを発生させ照射し、蒸着膜を製膜化する。次いで、上記で蒸着膜を形成した基材フィルム201を補助ロール233を介して巻き取りロール234に巻き取れば、プラズマ化学気相成長法による有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。なお、冷却・電極ドラム225は、真空チャンバー222の外に配置されている電源231から所定の電力が印加され、冷却・電極ドラム225の近傍には、マグネット232を配置してプラズマの発生が促進されている。このように冷却・電極ドラムに電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成される。このグロー放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態で基材フィルムを一定速度で搬送させると、グロー放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルムの上に、有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。なお、図5中、符号235は真空ポンプを表す。
本発明では、真空チャンバー内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調整することが好ましい。
原料揮発供給装置は、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバー内に導入させる。この際、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%、酸素ガスの含有量は10〜70%、不活性ガスの含有量は10〜60%の範囲とすることが好ましく、例えば、有機珪素化合物:酸素ガス:不活性ガスの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。なお、上記有機珪素化合物、不活性ガス、酸素ガスなどを供給する際の真空チャンバー内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは真空度1×10-1〜1×10-2Torrであることが好ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分、好ましくは50〜150m/分である。このようにして得られる有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜の形成は、基材フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される蒸着膜は、緻密で隙間の少ない、可撓性に富む連続層となり、従って、蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高く、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができる。また、SiOXプラズマにより基材フィルムの表面が清浄化され、基材フィルムの表面に、極性基やフリーラジカル等が発生するので、形成される蒸着膜と基材フィルムとの密接着性が高いものとなる。更に、蒸着膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torrであって、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torrに比較して低真空度であるから、基材フィルムの原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度が安定しやすく製膜プロセスも安定化する。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX(ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。上記酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX(ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましい。なお、Xの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
本発明において、酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。本発明では、上記蒸着膜として、有機珪酸化合物を含有する蒸着膜であることが好ましい。なお、上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。この際、上記の化合物が蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%、好ましくは5〜20%である。含有率が0.1%未満であると、蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になる場合があり、一方、50%を越えるとバリア性が低下する場合がある。
更に、本発明では、有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜において、上記の化合物の含有量が蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。これにより、蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、基材フィルムとの界面では、上記化合物の含有量が少ないために基材フィルムと蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
本発明において、上記の蒸着膜は、例えばX線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析し、蒸着膜の元素分析を行うことで、上記の物性を確認することができる。
本発明において、上記蒸着膜の膜厚は、50Å〜4000Å位であることが好ましく、より好ましくは100〜1000Åである。4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生する場合があり、一方、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になる場合がある。なお、膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくする方法、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
本発明では、有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜として、蒸着膜の1層だけでなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した蒸着膜を構成することもできる。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。これらの中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に好ましい。なお、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
一方、本発明では、物理気相成長法によっても有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。このような物理気相成長法として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)などにより有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を形成することができる。
具体的には、有機珪素化合物、金属または金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。なお、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。物理気相成長法による蒸着膜を形成する方法について、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図を示す図6を参照して説明する。
まず、巻き取り式真空蒸着装置241の真空チャンバー242の中で、巻き出しロール243から繰り出す基材フィルム201は、ガイドロール244、245を介して、冷却したコーティングドラム246に案内される。上記の冷却したコーティングドラム246上に案内された基材フィルム201の上に、るつぼ247で熱せられた蒸着源248、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口249より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク250、250を介して、例えば、酸化アルミニウム等を蒸着してなる蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、前記蒸着膜を形成した基材フィルム201を、ガイドロール251、252を介して送り出し、巻き取りロール253に巻き取ると物理気相成長法による蒸着膜を形成することができる。なお、上記巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず第1層の蒸着膜を形成し、次いで、その上に蒸着膜を更に形成し、または、上記巻き取り式真空蒸着装置を2連に連接し、連続的に蒸着膜を形成して、2層以上の多層膜からなる前記蒸着膜を形成してもよい。
金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であればよく、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。よって、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物と称することができ、その表記は、例えば、SiOX、AlOX、MgOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は0を超え2以下、アルミニウム(Al)は0を超え1.5以下、マグネシウム(Mg)は0を超え1以下、カルシウム(Ca)は0を超え1以下、カリウム(K)は0を超え0.5以下、スズ(Sn)は0を超え2以下、ナトリウム(Na)は0を超え0.5以下、ホウ素(B)は0を超え1、5以下、チタン(Ti)は0を超え2以下、鉛(Pb)は0を超え1以下、ジルコニウム(Zr)は0を超え2以下、イットリウム(Y)は0を超え1.5以下の範囲である。上記においてX=0の場合は完全な金属であり、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しい。このため、本発明において、Mとしてケイ素やアルミニウムが好ましく、その際これらのXの値は、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲である。なお、前記蒸着膜の膜厚は、使用する金属や金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å、好ましくは、100〜1000Åの範囲内で任意に選択することができる。また、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜は、使用する金属または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した蒸着膜を構成することもできる。
更に、本発明では、例えば物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の前記蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。
上記の異種の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を設け、次いで、該蒸着膜の上に、物理気相成長法による金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる蒸着膜を構成することが好ましいものである。上記とは逆くに、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる蒸着膜を構成することもできる。
上記の異種の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を設け、次いで、該蒸着膜の上に、物理気相成長法による金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる蒸着膜を構成することが好ましいものである。上記とは逆くに、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る有機珪素化合物を蒸着してなる蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる蒸着膜を構成することもできる。
(iv)ガスバリア性塗布膜
本発明で使用するガスバリア性塗布膜としては、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜であり、該組成物を上記基材フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を設け、20℃〜180℃、かつ上記の基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して形成することができる。
本発明で使用するガスバリア性塗布膜としては、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜であり、該組成物を上記基材フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を設け、20℃〜180℃、かつ上記の基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して形成することができる。
また、前記ガスバリア性組成物を上記基材フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を2層以上重層し、20℃〜180℃、かつ、上記基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理し、ガスバリア性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、R1としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などを挙げることができる。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、R2としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR2)が存在する場合には、(OR2)は同一であっても、異なってもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができる。
本発明においてケイ素であることが好ましい。この場合、本発明で好ましく使用できるアルコキシドとしては、上記一般式R1 nM(OR2)mにおいてn=0の場合には、一般式Si(ORa)4(ただし、式中、Raは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。このようなアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシランSi(OCH3)4、テトラエトキシシランSi(OC2H5)4、テトラプロポキシシランSi(OC3H7)4、テトラブトキシシランSi(OC4H9)4等を例示することができる。
本発明においてケイ素であることが好ましい。この場合、本発明で好ましく使用できるアルコキシドとしては、上記一般式R1 nM(OR2)mにおいてn=0の場合には、一般式Si(ORa)4(ただし、式中、Raは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。このようなアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシランSi(OCH3)4、テトラエトキシシランSi(OC2H5)4、テトラプロポキシシランSi(OC3H7)4、テトラブトキシシランSi(OC4H9)4等を例示することができる。
また、nが1以上の場合には、一般式RbnSi(ORc)4-m(ただし、式中、mは、1、2、3の整数を表し、Rb、Rcは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他を表わす。)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。このようなアルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシランCH3Si(OCH3)3、メチルトリエトキシシランCH3Si(OC2H5)3、ジメチルジメトキシシラン(CH3)2Si(OCH3)2、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si(OC2H5)2、その他等を使用することができる。本発明では、上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
本発明では、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがZrであるジルコニウムアルコキシドも好適に使用することができる。例えば、テトラメトキシジルコニウムZr(OCH3)4、テトラエトキシジルコニウムZr(OC2H5)4、テトラiプロポキシジルコニウムZr(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシジルコニウムZr(OC4H9)4、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがTiであるチタニウムアルコキシドを好適に使用することができ、例えば、テトラメトキシチタニウムTi(OCH3)4、テトラエトキシチタニウムTi(OC2H5)4、テトライソプロポキシチタニウムTi(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシチタニウムTi(OC4H9)4、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがAlであるアルミニウムアルコキシドを使用することができ、例えば、テトラメトキシアルミニウムAl(OCH3)4、テトラエトキシアルミニウムAl(OC2H5)4、テトライソプロポキシアルミニウムAl(is0−OC3H7)4、テトラnブトキシアルミニウムAl(OC4H9)4、その他等を使用することができる。
本発明では、上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい。例えばアルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性積層フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避される。この際、ジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して10質量部以下の範囲である。10質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、基材フィルムを被覆した際にガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
また、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性塗布膜の熱伝導率が低くなり、耐熱性が著しく向上する。この際、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して5質量部以下の範囲である。5質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、基材フィルムを被覆した際に、ガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる場合がある。
本発明で使用するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、質量比で、ポリビニルアルコ一ル系樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体=10:0.05〜10:6位であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であり、好ましくは20〜200質量部の配合割合である。500質量部を越えると、ガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、得られるバリア性フィルムの耐水性および耐候性等が低下する場合がある。一方、5質量部を下回るとガスバリア性が低下する場合がある。
前記ポリビニルアルコ一ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体において、ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーである「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を例示することができる。
また、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものことが好ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
本発明で使用するガスバリア性組成物は、前記一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して得たガスバリア性組成物である。上記ガスバリア性組成物を調製するに際し、シランカップリング剤等を添加してもよい。
本発明で好適に使用できるシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを広く使用することができる。例えば、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。このようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。なお、シランカップリング剤の使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して1〜20質量部の範囲内である。20質量部以上を使用すると、形成されるガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、ガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する場合がある。
また、ゾルゲル法触媒とは、主として、重縮合触媒として使用される触媒であり、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンなどの塩基性物質が用いられる。例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。本発明においては、特に、N、N−ジメチルべンジルアミンが好適である。その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100質量部当り、0.01〜1.0質量部である。
また、上記ガスバリア性組成物において用いられる「酸」としては、上記ゾルゲル法において、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他等を使用することができる。上記酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モルを使用することが好ましい。
更に、上記のガスバリア性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは、0.8から2モルの割合の水をもちいることができる。水の量が2モルを越えると、上記アルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、そのような多孔性のポリマーは、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性を改善することができなくなる。また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる場合がある。
更に、上記のガスバリア性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、その他等を用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記アルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態で取り扱われることが好ましく、上記有機溶媒の中から適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。なお、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することもでき、例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名「ソアノール」などを好適に使用することができる。上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾルゲル法触媒の合計量100質量に対して30〜500質量部である。
本発明において、ガスバリア性積層フィルムは、以下の方法で製造することができる。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合し、ガスバリア性組成物を調製する。混合により、ガスバリア性組成物(塗工液)は、重縮合反応が開始および進行する。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合し、ガスバリア性組成物を調製する。混合により、ガスバリア性組成物(塗工液)は、重縮合反応が開始および進行する。
次いで、基材フィルム上の前記蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物を塗布し、および乾燥する。この乾燥工程によって、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が更に進行し、塗布膜が形成される。第一の塗布膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗布膜を形成してもよい。
次いで、上記ガスバリア性組成物を塗布した基材フィルムを20℃〜180℃、かつ基材フィルムの融点以下の温度、好ましくは、50℃〜160℃の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理する。これによって、前記蒸着膜の上に、上記ガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を1層ないし2層以上形成したバリア性フィルムを製造することができる。
なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体単独、またはポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体との両者を用いて得られたバリア性フィルムは、熱水処理後のガスバリア性に優れる。一方、ポリビニルアルコール系樹脂のみを使用してバリア性フィルムを製造した場合には、予め、ポリビニルアルコール系樹脂を使用したガスバリア性組成物を塗工して第1の塗布膜を形成し、次いで、その塗布膜の上に、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物を塗工して第2の塗布膜を形成し、それらの複合層を形成すると、熱水処理後のガスバリア性が向上したバリア性フィルムを製造することができる。
更に、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物により塗布膜を形成し、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて含有するガスバリア性組成物により塗布膜を形成し、これらを複数積層しても、バリア性フィルムのガスバリア性の向上に有効な手段となる。
本発明で使用するガスバリア性積層フィルムの製造法について、アルコキシドとしてアルコキシシランを使用し、より詳細に説明する。
ガスバリア性組成物として配合されたアルコキシシランや金属アルコキシドは、添加された水によって加水分解される。加水分解の際には、酸が加水分解の触媒として作用する。次いで、ゾルゲル法触媒の働きによって、加水分解によって生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
ガスバリア性組成物として配合されたアルコキシシランや金属アルコキシドは、添加された水によって加水分解される。加水分解の際には、酸が加水分解の触媒として作用する。次いで、ゾルゲル法触媒の働きによって、加水分解によって生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きによりエポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。また、加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体が存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。なお、生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーである。
上記反応において、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が、基材フィルム、または、基材フィルム上の有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜の表面の水酸基等と結合するため、基材フィルム、または前記蒸着膜表面と、塗布膜との接着性も良好なものとなる。このように、本発明においては、有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成するため、蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得る。
なお、本発明では、添加される水の量をアルコキシド類1モルに対して0.8〜2モル、好ましくは1.0〜1.7モルに調節した場合には、上記直鎖状のポリマーが形成される。このような直鎖状ポリマーは結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため、特にガスバリア性(O2、N2、H2O、CO2、その他等の透過を遮断、阻止する)に優れる。更に、この水酸基によって接着性樹脂層と化学的に結合し、強固な積層構造を形成することができる。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗布膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
このようなガスバリア性積層フィルムは、厚さ12〜30μmである。
(8)印刷層
本発明では、酸素吸収性積層体を構成するいずれかの層に印刷層を形成してもよく、好ましくはガスバリア性フィルムに印刷層を形成することである。裏印刷によれば印刷層を保護することができる。
(8)印刷層
本発明では、酸素吸収性積層体を構成するいずれかの層に印刷層を形成してもよく、好ましくはガスバリア性フィルムに印刷層を形成することである。裏印刷によれば印刷層を保護することができる。
印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。
印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
(9)ラミネート用接着剤
上記において、ラミネート用接着剤層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2一エチルへキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
(9)ラミネート用接着剤
上記において、ラミネート用接着剤層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2一エチルへキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1〜10.0g/m2(乾爆状態)位が望ましい。
(10)酸素吸収性積層体の製造方法
本発明の共押出フィルムからなる酸素吸収性積層体は、上記基材樹脂層、酸素吸収層、ヒートシール層、接着剤樹脂層を構成する樹脂を調製し、それらを、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出成形することで、基材樹脂層、接着性樹脂層、酸素吸収層、接着性樹脂層およびヒートシール層の順に積層された5層の共押出製膜化フィルムからなる酸素吸収性積層体を製造することができる。また、ヒートシール層を、顔料や染料を含む着色層と含まない層とに分離し、6層の共押出製膜化フィルムからなる酸素吸収性積層体を製造することもできる。
本発明の共押出フィルムからなる酸素吸収性積層体は、上記基材樹脂層、酸素吸収層、ヒートシール層、接着剤樹脂層を構成する樹脂を調製し、それらを、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出成形することで、基材樹脂層、接着性樹脂層、酸素吸収層、接着性樹脂層およびヒートシール層の順に積層された5層の共押出製膜化フィルムからなる酸素吸収性積層体を製造することができる。また、ヒートシール層を、顔料や染料を含む着色層と含まない層とに分離し、6層の共押出製膜化フィルムからなる酸素吸収性積層体を製造することもできる。
更に本発明では、定法に従って、上記酸素吸収性積層体に、ラミネート接着剤を介してポリアミドフィルムやガスバリア性フィルムを積層することができる。ポリアミドフィルムの積層により機械的強度を向上させることができ、ガスバリア性フィルムの積層によって酸素透過度や水蒸気透過度を低減することができる。
(11)包装容器の製造方法
本発明の包装容器は、上記酸素吸収性積層体を製袋して製造することができる。袋体は、上記酸素吸収性積層体を使用し、そのヒートシール層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、上記のような本発明に係る酸素吸収性積層体を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、本発明に係る包装用容器を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
本発明の包装容器は、上記酸素吸収性積層体を製袋して製造することができる。袋体は、上記酸素吸収性積層体を使用し、そのヒートシール層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、上記のような本発明に係る酸素吸収性積層体を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、本発明に係る包装用容器を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明では、上記袋体の開口部から、例えば、内容物を充填し、しかる後、その容器内の空気を脱気して減圧状態にしながら真空包装すれば、特に包装用容器内に残存する酸素などによる酸化を効率的に防止することができる。
(12)用途
本発明に係る酸素吸収性積層体は、強度等を有して耐久性に優れ、かつ防湿性、ヒートシール性、耐突き刺し性、透明性等にも優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有する。
本発明に係る酸素吸収性積層体は、強度等を有して耐久性に優れ、かつ防湿性、ヒートシール性、耐突き刺し性、透明性等にも優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有する。
本発明の酸素吸収性積層体は、上記のように製袋し、包装容器として使用することができる。また、容器本体と蓋材とからなる包装容器の蓋材などとしても使用することができる。容器本体が、ポリプロピレン製の碗型または舟形容器であり、その開口部のフリンジを介して上記酸素吸収性積層体を蓋材として、内容物収納後に蓋材をヒートシールして、包装容器とすることができる。内容物として、例えば無菌米飯などがある。本発明の包装容器に無菌米飯を収納すれば、容器内の酸素が酸素吸収性層によって吸収除去され、ガスアリア性フィルムによって酸素や水蒸気の透過を防止することができ、内容物の保存性に優れる。
本発明の酸素吸収性積層体は、前記共押出フィルムが膜厚5〜25μmの基材樹脂層、膜厚5〜15μmの接着剤樹脂層、膜厚10〜30μmの酸素吸収層、膜厚5〜15μmの接着剤樹脂層、膜厚5〜60μmのヒートシール層とからなり、酸素吸収層を中心として略対称的な厚さであり、かつ基材樹脂層としてポリアミドやポリエチレンテレフタレートを使用することで積層体のカールを抑制することができる。このため、更にポリアミドフィルムやガスバリア性フィルムを積層する際にも積層が容易で加工適性に優れる。
また、共押出フィルムを構成する接着性樹脂層は、ポリアミド系樹脂との接着性に優れるポリオレフィン系樹脂であるため、ポリアミドを主成分とする酸素吸収層や基材樹脂層との接着性に優れ、かつ同質であるためヒートシール層との接着性にも優れる。このため、デラミなどの発生を防止し、長期に亘り保存が期待される保存食品用の包装容器として特に好適である。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
まず、下記の(イ)〜(ヘ)の樹脂組成物を、5種6層キャスト法共押出製膜機を用いて共押出し、5種6層からなる総厚60μmの共押出フィルムを製造した。
(実施例1)
まず、下記の(イ)〜(ヘ)の樹脂組成物を、5種6層キャスト法共押出製膜機を用いて共押出し、5種6層からなる総厚60μmの共押出フィルムを製造した。
(イ) 第一層(表面層)として密度1.14のナイロン6、
(ロ) 第二層(接着性樹脂層)として、密度0.90 MFR5.0の三菱化学社製、商品名「モディックAP P555」、
(ハ) 第三層(酸素吸収層)として、ポリメタキシリレンアジパミド100.0質量部に遷移金属触媒として[コバルト2−エチルヘキサノエート]0.04質量部を混練した組成物、
(ニ) 第四層(接着性樹脂層)として密度0.895 MFR3.2の三菱化学の三菱化学社製、商品名「モディックAP P604V」、
(ホ) 第五層(着色層)としてランダムコポリマーポリプロピレン100.0質量部と酸化チタンを60%質量部含有した乳白色のマスターバッチ30質量部とを混錬した組成物、
(ヘ) 第六層(着色料を含まないヒートシール層)として上記ランダムコポリマーポリプロピレンを作成した。
(ロ) 第二層(接着性樹脂層)として、密度0.90 MFR5.0の三菱化学社製、商品名「モディックAP P555」、
(ハ) 第三層(酸素吸収層)として、ポリメタキシリレンアジパミド100.0質量部に遷移金属触媒として[コバルト2−エチルヘキサノエート]0.04質量部を混練した組成物、
(ニ) 第四層(接着性樹脂層)として密度0.895 MFR3.2の三菱化学の三菱化学社製、商品名「モディックAP P604V」、
(ホ) 第五層(着色層)としてランダムコポリマーポリプロピレン100.0質量部と酸化チタンを60%質量部含有した乳白色のマスターバッチ30質量部とを混錬した組成物、
(ヘ) 第六層(着色料を含まないヒートシール層)として上記ランダムコポリマーポリプロピレンを作成した。
上記共押出フィルムは、(イ)の樹脂組成物による第1層が10μm、(ロ)の樹脂組成物による第2層が5μm、(ハ)のよる樹脂組成物による第3層が15μm、(ニ)の樹脂組成物による第4層が5μm(ホ)の樹脂組成物による第5層が20μm、(ヘ)の樹脂組成物による第6層が5μmであった。
上記で製造した共押出フィルムを成形して100mm×100mmの透明バリアパウチを製造した。このパウチの中に2%酸素(98%は窒素)を100cc封入し、経時でパウチ内部の酸素濃度を測定した。尚、透明バリアパウチは酸素透過性が0.3cc/m2・day・atmであった。経時変化を表1に示す。
なお、酸素透過性の測定は以下によった。
温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。なお、酸素透過度の単位は、〔cc/m2/day・23℃・90%RH〕である。
温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。なお、酸素透過度の単位は、〔cc/m2/day・23℃・90%RH〕である。
実施例1で製造した共押出フィルムからなる酸素吸収性積層体は、乳白色で美観性に優れていた。また、光線遮断性に優れ、紫外線(波長320nm以下)の透過率が最大3%以下であり油脂の酸化に起因する紫外線をほとんど透過させず、極めて良好であった。
厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムの蒸着面側と二軸延伸ナイロンフィルム15μmとを2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を用いて接着した。次いで、この二軸延伸ナイロンフィルムと上記実施例1で得た共押出多層積層フィルムの第一層側とを2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を用いて接着して酸素吸収性積層体を得た。
ついで、酸素吸収性積層体にて130mm×170mm角の透明パウチを作製し、パウチ内に2%酸素(98%は窒素)を100cc封入し、経時でパウチ内部の酸素濃度を測定した。尚、酸素透過性は、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
なお、二軸延伸PETフィルム/ONYフィルムと共押出フィルムとを積層する際、共押出フィルムに幅方向のカールが大きいと貼り合わせ時に耳折れやラミ浮きなどのトラブルが発生するが、実施例1の共押出フィルムからなる酸素吸収性積層体はカールがなく、加工適性に優れていた。
本発明は、包装製品中のヘッドスペース等に存在する酸素、あるいは、内容物中に含まれている酸素あるいは発生する酸素等を結合し、吸収するという酸素捕集機能を奏し、その結果、包装製品の外から透過してくる酸素は、バリア性基材フィルムでその透過を阻止する機能と相まって、内容物の品質、鮮度、その他等を、例えば、充填包装したときのその状態をほぼそのままあるいはそれ以上の状態で維持し、更に、その包装製品を長期間貯蔵、保管、展示等においても、内容物の色、味、匂い等の品質の変化は、ほとんど認められず、内容物の品質、鮮度、その他等を極めて良好に保護することができるものであり、更に、その外観を損ねることもなく、その美粧性等にも優れ、上記の内容物保護性能と両立し、更に、内容物の製品寿命等を延ばすことも可能なものであり、種々の形態からなる包装製品に適用可能なものである。
10・・・基材樹脂層、
20・・・接着性樹脂層、
30・・・酸素吸収層、
40・・・接着性樹脂層、
50・・・ヒートシール層、
60・・・ポリアミドフィルム、
70・・・ガスバリア性フィルム、
80・・・ラミネート接着剤層、
90・・・印刷層。
20・・・接着性樹脂層、
30・・・酸素吸収層、
40・・・接着性樹脂層、
50・・・ヒートシール層、
60・・・ポリアミドフィルム、
70・・・ガスバリア性フィルム、
80・・・ラミネート接着剤層、
90・・・印刷層。
Claims (9)
- 基材樹脂層、接着性樹脂層、酸素吸収層、接着性樹脂層およびヒートシール層の順に積層された共押出フィルムであって、
基材樹脂層は、ポリアミド系樹脂またはポリエチレン系樹脂であり、
前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂と遷移金属触媒とからなり、
前記接着性樹脂層は、接着性ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする、酸素吸収性積層体。 - 前記酸素吸収層は、ポリアミド系樹脂に前記遷移金属触媒を300〜500質量ppm含有するものである、請求項1記載の酸素吸収性積層体。
- 前記接着性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1または2記載の酸素吸収性積層体。
- 前記ヒートシール層が、顔料や染料を含む着色層と含まない層との2層からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素吸収性積層体。
- 前記基材樹脂層より外層に、更にポリアミドフィルムが接着されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収性積層体。
- 前記ポリアミドフィルムより外層にガスバリア性フィルムが積層されたことを特徴とする、請求項5記載の酸素吸収性積層体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の酸素吸収性積層体からなる無菌米飯充填包装容器用蓋材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の酸素吸収性積層体を製袋してなる包装容器。
- 容器本体と蓋材とからなる容器であって、
蓋材は、請求項1〜6のいずれかに記載の酸素吸収性積層体であることを特徴とする、包装容器。
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