JP2010081512A - 信号処理装置及び信号処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最大の周波数マージンで、発生させる発振周波数をロック状態にする。
【解決手段】ループフィルタ23は、発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して発振周波数を発生させるVCO63であって、所定の特性が粗調整されるVCO63に、制御電圧を入力し、VCO粗調整回路135は、制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、VCOによる所定の特性を、複数の特性のうちのいずれかに粗調整し、DAC133は、制御電圧が所定の設定範囲内で変化する場合に、発振周波数がロック状態とならないとき、所定の設定範囲を広げる方向に更新する。本発明は、例えばPLL回路やCDR回路に適用することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、信号処理装置及び信号処理方法に関し、特に、VCO(voltage controlled oscillator)制御電圧に対応して発生させる発振周波数を、周波数マージンが最大のVCO制御電圧で、所望の発振周波数にロック(固定)するようにした信号処理装置及び信号処理方法に関する。
従来、入力された所定の周波数のクロック信号であるリファレンス信号に同期するクロック信号を出力するPLL(phase lock loop)回路が存在する。
図1は、従来のPLL回路1を示している。
このPLL回路1は、フェーズディテクタ(phase detector)21、チャージポンプ(charge pump)22、ループフィルタ(loop filter)23、VCO(voltage controlled oscillator、電圧制御発振回路)24、及び1/n分周器25により構成される。
フェーズディテクタ21には、外部からのリファレンス信号、及び、1/n分周器25からの1/n倍に逓倍後のクロック信号が入力される。
フェーズディテクタ21は、入力されたリファレンス信号と、1/n分周器25からのクロック信号の位相を比較し、それらの位相の差を表す位相差情報として、UP信号及びDOWN信号(以下、DN信号という)をチャージポンプ22に入力する。
ここで、UP信号は、クロック信号に対するリファレンス信号の位相の進み分を表す信号である。また、UP信号のレベルは、クロック信号に対してリファレンス信号の位相が進んでいる場合にH(high)レベルとなり、進んでいない場合にL(low)レベルとなる。
さらに、DN信号は、クロック信号に対するリファレンス信号の位相の遅れ分を表す信号である。また、DN信号のレベルは、クロック信号に対してリファレンス信号の位相が遅れている場合にHレベルとなり、遅れていない場合にLレベルとなる。
チャージポンプ22は、フェーズディテクタ21からのUP信号のレベルがHレベルである場合、ループフィルタ23に対して電流を流し込み、これにより、ループフィルタ23に電荷が蓄積される。
また、チャージポンプ22は、フェーズディテクタ21からのDN信号のレベルがHレベルである場合、ループフィルタ23から電流を引き込み、これにより、ループフィルタ23に蓄積された電荷が放出される。
ループフィルタ23は、ループ制御を安定させるための回路であり、チャージポンプ22により変更されるDC(direct current)電圧に重畳された高域成分を削除し、シングルエンドのVCO制御電圧として、VCO24に入力(印加)する。
VCO24は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応する発振周波数を発生させる。VCO24は、発生させた発振周波数のクロック信号を、シングルエンドにより、外部に出力するとともに、1/n分周器25に出力する。
1/n分周器25は、VCO24からのクロック信号を1/n倍に逓倍し、その結果得られる逓倍後のクロック信号を、フェーズディテクタ21にフィードバック(入力)する。
上述したPLL回路1において、例えばVCO24が、500[MHz]乃至1000[MHz]の範囲内で発振周波数を発生させるものであれば、リファレンス信号の周波数が500[MHz]から1000[MHz]に連続的に変化したとしても、リファレンス信号の周波数と等しい発振周波数を発生させることができる。
しかし、PLL回路1において、リファレンス信号の周波数が1000[MHz]よりも高い周波数に変化した場合には、VCO24は、リファレンス信号の周波数と等しい発振周波数を発生させることができない。
次に、図2は、リファレンス信号の周波数がより広範囲に変化したとしても、リファレンス信号の周波数と等しい発振周波数を発生させることができる、従来の差動構成によるPLL回路41を示している。
なお、図中、図1のPLL回路1に対応する部分については同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
すなわち、このPLL回路41は、VCO24に代えて、VCO63が設けられているとともに、新たにコンパレータ61、及びVCO粗調整回路62が設けられている他は、図1のPLL回路1と同様に構成されている。
コンパレータ61には、ループフィルタ23から入力されるVCO制御電圧として、差動電圧(VCNT-VCNTX)が入力される。
コンパレータ61は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧を、予め定められた上限値REFUP、及び下限値REFDNと比較し、その比較結果を、VCO粗調整回路62に入力する。
VCO粗調整回路62は、コンパレータ61からの比較結果に基づいて、ループフィルタ23からVCO63に入力されるVCO制御電圧に応じて変化する発振周波数の特性を示すVCO制御電圧特性を粗調整する。
VCO63は、VCO粗調整回路62により粗調整されたVCO制御電圧特性に基づいて、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応する発振周波数を発生させ、発生させた発振周波数のクロック信号を、外部に出力するとともに、1/n分周器25に出力する。
図3は、VCO63の回路構成を示している。
VCO63は、キャパシタ81a乃至81d、NMOS(negative-channel metal oxide semiconductor)トランジスタ(以下、NMOSともいう)82a乃至82d、キャパシタ83a乃至83d、NMOS84及び85、抵抗86乃至88、PMOS(positive-channel metal oxide semiconductor)トランジスタ(以下、PMOSともいう)89、コイル90及び91、キャパシタ92、バラクタ93及び94、並びにキャパシタ95により構成される。
NMOS82aのゲートは、VCO粗調整回路62の一端と接続されており、NMOS82aのソースは、キャパシタ81aの一端と接続されている。また、NMOS82aのドレインは、キャパシタ83aの一端と接続されている。NMOS82b乃至82dについても、NMOS82aと同様である。
なお、以下の説明において、NMOS82a乃至82dを区別する必要がない場合には、NMOS82a乃至82dを、単に、NMOS82ともいう。
キャパシタ81aは、VCO63の出力端子のうちの一方、コイル90の一端、キャパシタ92の一端、NMOS84のドレイン、NMOS85のゲートに接続されている。キャパシタ81b乃至81dについても同様である。
キャパシタ83aは、VCO63の出力端子のうちの他方、コイル91の一端、キャパシタ95の一端、NMOS84のゲート、NMOS85のドレインに接続されている。キャパシタ83b乃至83dについても同様である。
なお、以下の説明において、キャパシタ81a乃至81dを区別する必要がない場合には、キャパシタ81a乃至81dを、単に、キャパシタ81ともいう。また、キャパシタ83a乃至83dを区別する必要がない場合には、キャパシタ83a乃至83dを、単に、キャパシタ83ともいう。
NMOS84のソースは、NMOS85のソースと接続されている。また、NMOS84及び85のソースには、低電位の基準電位VSSが接続されている。
PMOS89のソースには、高電位の基準電位VDDが接続されている。PMOS89のドレインには、コイル90の一端(キャパシタ81aが接続されている一端とは異なる一端)、及びコイル91の一端(キャパシタ83aが接続されている一端とは異なる一端)が接続されている。
バラクタ93の一端には、抵抗87の一端、及びキャパシタ92の一端(キャパシタ81aが接続されている一端とは異なる一端)が接続されている。
バラクタ93の他端(バラクタ93の一端とは異なる一端)には、抵抗86の一端、及びバラクタ94の一端が接続されている。
バラクタ93は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、例えば図4に示すような容量特性により、バラクタ容量を変化させる。
次に、図4を参照して、バラクタ93の容量特性について説明する。なお、バラクタ94も、その容量特性は、バラクタ93と同様である。
図4は、バラクタ93の一端の電圧VCNTと、バラクタ93の他端(バラクタ93の一端とは異なる一端)の電圧VCNTXとの電圧差(VCNT-VCNTX)を示すVCO制御電圧に応じて、バラクタ93のバラクタ容量が変化する容量特性の一例を示している。
図4に示す容量特性では、下限値REFDNから上限値REFUPまでの範囲内において、VCO制御電圧が大きく(高く)なる程に、バラクタ容量は減少する。
バラクタ94の他端(バラクタ94の一端とは異なる一端)には、抵抗88の一端、及びキャパシタ95の一端(キャパシタ83aが接続されている一端とは異なる一端)が接続されている。
バラクタ93は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、図4に示すような容量特性で、バラクタ容量を変化させる。
同様に、バラクタ94は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、図4に示すような容量特性で、バラクタ容量を変化させる。
これにより、ループフィルタ23からVCO63に入力されるVCO制御電圧に応じて、VCO63により発生される発振周波数を連続的に変化させることができる。
また、NMOS82は、VCO粗調整回路62からの、オン状態又はオフ状態のいずれか一方に変更させるための状態変化電圧により、NMOS82がオン状態とされたり、NMOS82がオフ状態とされる。これにより、VCO制御電圧特性が粗調整される。
なお、状態変化電圧としては、NMOS82をオン状態からオフ状態に変更させるためのオフ状態変化電圧、及びNMOS82をオフ状態からオン状態に変更させるためのオン状態変化電圧が存在する。
また、NMOS82の状態において、オン状態とは、NMOS82のゲート電圧が高電位の電位VDD以上である状態をいい、オフ状態とは、NMOS82のゲート電圧が低電位の電位VSS以下である状態をいう。
次に、図5は、NMOS82のオン状態又はオフ状態に対応して、VCO制御電圧特性が粗調整される様子を示している。
図5には、横軸をVCO制御電圧とし、縦軸をVCO63により発生される発振周波数としたときに定義される複数のVCO制御電圧特性として、特性A、特性B、特性C、特性D、及び特性Eが示されている。
なお、VCO制御電圧特性は、VCO制御電圧が、下限値REFDNよりも大きく、上限値REFUPよりも小さい範囲を示す動作レンジ内において、VCO63等により用いられる。
これは、動作レンジ内においては、動作レンジ外における場合と比較して、周波数ゲイン(VCO制御電圧に対する発振周波数の変化の割合)が一定であるため、PLL回路のループ特性を一定に保つことができることによる。これにより、ループ特性を一定に保てずにジッタを増加させてしまうことを回避することが可能となる。これらのことは、後述する他の図面についても同様である。
VCO粗調整回路62は、コンパレータ61からの比較結果に基づいて、VCO63を制御して、VCO制御電圧特性を粗調整する。すなわち、VCO粗調整回路62は、状態変化電圧を、NMOS82(例えば、NMOS82a)のゲートに入力し、NMOS82をオン状態又はオフ状態にして、対応するキャパシタ81及び83(例えば、キャパシタ81a及び83a)のキャパシタ容量を変化させることにより、発振周波数のVCO制御電圧特性を粗調整する。
具体的には、VCO粗調整回路62が、NMOS82a乃至82dすべてをオフ状態とすると、VCO制御電圧特性は特性Aとなる。また、NMOS82a乃至82dのうちの1つをオン状態とし、残りの3つをオフ状態とすると、VCO制御電圧特性は特性Bとなる。
NMOS82a乃至82dのうちの2つをオン状態とし、残りの2つをオフ状態とすると、VCO制御電圧特性は特性Cとなる。また、NMOS82a乃至82dのうちの3つをオン状態とし、残りの1つをオフ状態とすると、VCO制御電圧特性は特性Dとなる。さらに、NMOS82a乃至82dすべてをオン状態とすると、VCO制御電圧特性は特性Eとなる。
なお、PLL回路41では、VCO制御電圧特性を、特性A、特性B、特性C、特性D、及び特性Eのいずれかに粗調整することができるため、VCO制御電圧特性が1つだけ(例えば、特性Aだけ)であるPLL回路1と比較して、広範囲の発振周波数を発生させることが可能である。
また、状態変化電圧にノイズ電圧が生じたとしても、状態変化電圧が、オン状態に変更させるためのオン状態変化電圧(レベルがHレベルの信号)であるのか、オフ状態に変更させるためのオフ状態変化電圧(レベルがLレベルの信号)であるのかを識別できないほどに変形することは殆どない。このため、VCO63のNMOS82a乃至82dは、ノイズに強い構成となっている。
VCO63は、VCO粗調整回路62により粗調整されたVCO制御電圧特性に基づいて、ループフィルタ23から入力されるVCO制御電圧に対応する発振周波数を発生させる。
また、VCO63は、1/n分周器25のnがn=1である場合(1/n分周器25が、クロック信号を1倍に逓倍する場合)に、動作レンジ内で、発生させる発振周波数と、リファレンス信号の周波数とが一致したとき、リファレンス信号の周波数と一致する発振周波数を発生し続けるロック状態を維持するように動作する(以下、説明簡略化のため、特に指定のない限り、1/n分周器25のnをn=1と仮定して説明する)。
これにより、リファレンス信号の周波数と、VCO63が発生させる発振周波数とが一致し、ループが安定した状態となる。なお、以下の説明では、リファレンス信号の周波数と一致するロック状態の発振周波数を、ロック周波数ともいう。
なお、上述したPLL回路1及びPLL回路41により、発振周波数を発生させる技術の他に、バラクタや駆動電流値を温度変化に応じて変化させる温度補償を行うことにより、発振周波数を一定に制御する制御方式が存在する(例えば、特許文献1を参照)。
特表2007−531471号公報
ところで、PLL回路41(のVCO63)によりロック状態が維持されている場合に、VCO63が内蔵する回路に温度変化や電源電圧の変動が生じて、VCO制御電圧特性が変化し、ロック状態が解除されてしまうことがある。
次に、ロック状態が解除されてしまうときの例について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、ロック状態となる動作点のうち、周波数マージンが最小のVCO制御電圧でロック状態となっている動作点(黒丸で示す)を示している。なお、周波数マージンとは、VCO制御電圧の上限値REFUPと動作点に対応するVCO制御電圧との差分絶対値、及び、VCO制御電圧の下限値REFDNと動作点に対応するVCO制御電圧との差分絶対値のうち、値が小さい方の差分絶対値をいう。
すなわち、図6は、特性Eにおいて、上限値REFUPの近くでロック状態となっているときの動作点(黒丸で示す)を示している。なお、動作点は、VCO制御電圧に対応して、VCO63が発生させる発振周波数を示している。
また、図6は、図5の場合と同様に構成されているが、図面が煩雑になるのを避けるために、特性A及びBの図示は省略している。
図7は、VCO63が内蔵する回路に温度変化や電源電圧の変動が生じたことに起因して、VCO制御電圧特性が変化してしまうときの一例を示している。
図7に示すように、VCO63が内蔵する回路に温度変化や電源電圧の変動が生じたことに起因して、特性Eが、点線で示す特性E'に変化するとともに、特性Dが、点線で示す特性D'に変化する。なお、特性A、特性B、及び特性Cについても同様に変化する。
したがって、例えば、動作点が、図6に示したように、上限値REFUPの近くでロック状態となっている場合、すなわち、図7においては、動作点が特性E上の位置1に存在する場合において、VCO63が内蔵する回路に温度変化や電源電圧の変動が生じたことに起因して、特性Eが、特性E'に変化すると、その変化に追従する形で、ループフィルタ23からVCO63に入力されるVCO制御電圧が変化し、動作点は、ロック状態を維持したまま、位置1から位置2に移動する。
動作点が位置2に移動すると、動作点に対応するVCO制御電圧は上限値REFUPを超えて動作レンジの範囲外となるため、VCO制御電圧特性は、VCO粗調整回路62により、特性E'から特性D'に粗調整される。
このとき、理想的には、ロック状態を維持したまま、特性E'上の位置2から、特性D'上の位置4に直接、移動させることが望ましいが、現実的には、VCO制御電圧を急激に変化させることができないため、不可能である。
したがって、動作点は位置2から位置3に移動し、その後、位置4に移動することになる。このため、位置3に移動したことにより、動作点のロック状態が一旦解除されることになる。
このロック状態の解除のため、例えば、PLL回路41が出力するクロック信号に同期して、一定のビットレートにより高速にデータを伝送するHDMI(High Definition Multimedia Interface)(R)等の通信インタフェースでは、出力データの波形の劣化、出力データの損失等が生じてしまい、映像が途切れる不具合等が発生してしまう。
また、上述した従来の制御方式では、温度補償を行うことにより、温度変化に起因して、ロック状態が解除されることを抑止することはできるかもしれないが、電源電圧の変動、PLL回路41のVCO63を構成するLSI(large scale integration)外部から供給される基準電圧やバイアス電流等の変動が生じた場合には、やはり、ロック状態を維持したまま、動作点を移動させることができない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、最大の周波数マージンで、発生させる発振周波数をロック状態にするものである。
本発明の一側面の信号処理装置は、発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCO(voltage controlled oscillator)であって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOに、前記制御電圧を入力する入力手段と、前記制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、前記VCOによる所定の前記特性を、複数の前記特性のうちのいずれかに粗調整する粗調整手段と、前記制御電圧が前記所定の設定範囲内で変化する場合に、前記発振周波数がロック状態とならないとき、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新する更新手段とを含む。
前記入力手段には、正方向又は負方向のいずれか一方向にのみ変化する前記制御電圧を入力させることができる。
前記制御電圧が、前記所定の設定範囲を超えた場合、前記VCOに入力されている前記制御電圧の符号を反転する符号反転手段をさらに設けることができる。
前記所定の設定範囲は、第1の閾値よりも大きく、第2の閾値よりも小さい範囲に設定されており、前記更新手段には、前記VCOに入力される前記制御電圧が、前記第1の閾値以下となるとともに、前記第2の閾値以上となった場合に、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新させることができる。
本発明の一側面の信号処理方法は、前記入力手段が、発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCOであって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOに、前記制御電圧を入力し、前記粗調整手段が、前記制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、前記VCOによる所定の前記特性を、複数の前記特性のうちのいずれかに粗調整し、前記更新手段が、前記制御電圧が前記所定の設定範囲内で変化する場合に、前記発振周波数がロック状態とならないとき、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新するステップを含む。
本発明の一側面においては、発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCOであって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOに、前記制御電圧が入力され、前記制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、前記VCOによる所定の前記特性が、複数の前記特性のうちのいずれかに粗調整され、前記制御電圧が前記所定の設定範囲内で変化する場合に、前記発振周波数がロック状態とならないとき、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新される。
本発明によれば、最大の周波数マージンで、発生させる発振周波数をロック状態にすることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第1の実施の形態であるPLL回路111の構成例を示している。
なお、PLL回路111と、図2に示された従来のPLL回路41の構成要素のうち、共通するものについては同一の符号を付しているので、その説明は適宜省略する。
すなわち、PLL回路111において、コンパレータ61及びVCO粗調整回路62に代えて、コンパレータ134及びVCO粗調整回路135が設けられているとともに、新たにクロック分周器131、ロック検出回路(lock detector)132、DAC(digital to analog converter)133、及びバッファ136が設けられている他は、従来のPLL回路41と同様に構成されている。
クロック分周器131には、所定の周波数のクロック信号であるリファレンス信号が、差動信号(CK-CKX)により入力される。クロック分周器131は、入力されたリファレンス信号を、所定の分周数で分周(所定の分周数分の1倍に逓倍)し、その結果得られた分周リファレンス信号を、差動信号(CKD-CKDX)により、フェーズディテクタ21、及びロック検出回路132に入力する。
また、クロック分周器131は、入力されたリファレンス信号を分周したときの分周数に応じて、動作点がロック状態であるか否かを検出する期間(ロック検出幅)を示すロック検出幅信号を生成し、差動信号(LW-LWX)により、ロック検出回路132に入力する。
ロック検出回路132には、1/n分周器25から、1/n倍に逓倍後のクロック信号が、差動信号(VCOD-VCODX)により入力される。
ロック検出回路132は、クロック分周器131からのロック検出幅信号及び分周リファレンス信号、並びに1/n分周器25からのクロック信号に基づいて、動作点がロック状態であるか否かを検出する。
次に、図9を参照して、ロック検出回路132により行われる、動作点がロック状態であるか否かを検出する検出方法を説明する。
図9Aは、主に、動作点がロック状態であるときの分周リファレンス信号及びクロック信号の様子を示している。
図9Aに示すように、ロック検出幅信号が示すロック検出幅(レベルがHレベルである期間)において、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在する場合、クロック信号と、分周リファレンス信号との位相は、(ほぼ)同一であることを示す。
なお、立ち上がりエッジとは、LレベルからHレベルに変化したときに生じるエッジをいう。
ロック検出回路132は、ロック検出幅信号が示すロック検出幅において、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在するか否かを判定する。
ロック検出回路132は、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在すると判定した場合、動作点がロック状態であるとして、その旨を示すロック信号を生成し、VCO粗調整回路135に入力する。
なお、ロック検出幅としては、例えば、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジを1つだけ検出することができる期間が採用される。例えば、図9Aに示すように、クロック分周器131が行う分周により、リファレンス信号の4つの立ち上がりエッジが、1つの立ち上がりエッジに変換されて分周リファレンス信号が得られた場合、ロック検出幅としては、リファレンス信号の4つの立ち上がりエッジが発生する期間が採用される。
図9Bは、主に、動作点がロック状態でないときの分周リファレンス信号及びクロック信号の様子を示している。
図9Bに示すように、ロック検出幅信号が示すロック検出幅において、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジは存在するが、クロック信号の立ち上がりエッジは存在しない場合、クロック信号の立ち上がりエッジと、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジとの位相は、異なることを示す。
ロック検出回路132は、ロック検出幅信号が示すロック検出幅において、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの少なくとも一方が存在しないと判定した場合、動作点がロック状態でないとして、その旨を示すアンロック信号を生成し、VCO粗調整回路135に入力する。
図8に戻り、DAC133は、検索上限値SERUP、及び検索下限値SERDNを、コンパレータ134に入力する。また、DAC133は、VCO粗調整回路135の制御にしたがって、検索上限値SERUP、及び検索下限値SERDNのうちの少なくとも一方を更新する。
なお、DAC133は、図示せぬメモリを内蔵しており、そのメモリに、検索上限値SERUPとして、予め決められた値を記憶している。DAC133は、VCO粗調整回路135の制御にしたがって、検索上限値SERUPを更新するまでは、予め決められた検索上限値SERUPを、コンパレータ134に入力する。このことは、検索下限値SERDNについても同様である。
コンパレータ134は、DAC133からの検索上限値SERUPと、ループフィルタ23からのVCO制御電圧とを比較し、そのVCO制御電圧が検索上限値SERUP以上であるか否かを判定する。そして、VCO制御電圧が検索上限値SERUP以上であると判定した場合のみ、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力する。
また、コンパレータ134は、DAC133からの検索下限値SERDNと、ループフィルタ23からのVCO制御電圧とを比較し、そのVCO制御電圧が検索下限値SERDN以下であるか否かを判定する。そして、VCO制御電圧が検索下限値SERDN以下であると判定した場合のみ、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力する。
VCO粗調整回路135は、コンパレータ134からの判定結果に応じて、VCO63を制御して、VCO制御電圧特性を粗調整する。
また、VCO粗調整回路135は、ロック検出回路132からロック信号が入力された後、コンパレータ134からの出力を無視(破棄)する。
さらに、VCO粗調整回路135は、DAC133を制御して、検索下限値SERDN、又は検索上限値SERUPのうちの少なくとも一方を更新する。
バッファ136には、VCO63からのクロック信号が入力される。バッファ136は、VCO63からのクロック信号をAC(alternating current)カップリングして増幅した後、差動信号(VCO-VCOX)により、外部及び1/n分周器25に出力する。
次に、図10及び図11を参照して、PLL回路111が、ロック状態となるときの動作点の位置(ロック位置)を検索する第1の動作点ロック処理について簡単に説明する。
なお、第1の動作点ロック処理では、検索下限値SERDNから検索上限値SERUPまでの範囲を示す検索範囲内において、動作点を移動させることにより、ロック位置を検索する。そして、検索範囲内において、ロック位置を検出することができなかった場合には、検索範囲を拡大し、拡大後の検索範囲内において、動作点を移動させることにより、ロック位置を検索することを繰り返す。
図10は、検索下限値SERDNから検索上限値SERUPまでの範囲を示す検索範囲と、ロック位置との関係の一例を示している。
図10において、特性C上のロック位置、特性D上のロック位置、及び特性E上のロック位置(いずれも黒丸で示す)は、検索範囲外に存在している。なお、図10においては、図面が煩雑になるのを避けるために、特性A及びBの図示は省略している。後述する図11についても同様である。
例えば、PLL回路111のVCO63は、特性Eにおいて、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、検索下限値SERDNから、特性E上のロック位置が存在する上限値REFUPの方向に向かって、動作点を移動させていく。
この場合、特性E上のロック位置は、検索上限値SERUPよりも、上限値REFUP側に存在するため、動作点が検索上限値SERUPを超えて、対応するVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上となる。
動作点に対応するVCO制御電圧が、検索上限値SERUP以上になると、コンパレータ134は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、VCO制御電圧が検索上限値SERUP以上であると判定し、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力する。
VCO粗調整回路135は、コンパレータ134からの判定結果に基づいて、VCO制御電圧特性を、特性Eから特性Dに粗調整する。
VCO63は、粗調整された特性Dにおいて、動作点を、検索上限値SERUPから、特性D上のロック位置が存在する下限値REFDNの方向に移動させていく。
この場合、特性D上のロック位置は、検索下限値SERDNよりも、下限値REFDN側に存在するため、動作点が検索下限値SERDNを超えて、動作点に対応するVCO制御電圧は、検索下限値SERDN以下となる。
動作点に対応するVCO制御電圧が、検索下限値SERDN以下になると、コンパレータ134は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、VCO制御電圧が検索下限値SERDN以下であると判定し、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力する。
VCO粗調整回路135は、コンパレータ134から、特性Eにおいて、VCO制御電圧が検索上限値SERUP以上であるとの判定結果、及び特性Dにおいて、VCO制御電圧が検索下限値SERDN以下であるとの判定結果を得た場合、図10に示すように、ロック位置が検索範囲内に存在しないと判断する。
このとき、VCO粗調整回路135は、DAC133を制御して、検索上限値SERUP及び検索下限値SERDNを更新し、例えば、図10に示した検索範囲を、図11に示す検索範囲に拡大させる。
次に、図11は、VCO粗調整回路135により拡大された検索範囲と、ロック位置との関係の一例を示している。
図11において、特性C上のロック位置は、図11に示す検索範囲内に存在しないが、特性D上のロック位置、及び特性E上のロック位置は、いずれも、図11に示す検索範囲内に存在している。
VCO粗調整回路135は、DAC133を制御して、図10に示す検索範囲を、図11に示す検索範囲に拡大させた後、VCO63を制御して、VCO制御電圧特性を、特性Dから特性Eに粗調整する。
VCO63は、VCO粗調整回路135により粗調整された特性Eにおいて、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、検索下限値SERDNから、特性Eのロック位置が存在する上限値REFUPの方向に向かって、動作点を移動させていく。
この場合、特性E上のロック位置は、検索上限値SERUPよりも、下限値REFDN側に存在(図11に示す検索範囲内に存在)するため、VCO63は、特性E上のロック位置まで動作点を移動させ、その後、動作点のロック状態を維持するように動作する。
動作点が特性E上のロック位置まで移動し、ロック状態となると、ロック検出回路132は、図9Aに示したように、動作点のロック状態を検出し、その旨を示すロック信号を生成して、VCO粗調整回路135に入力する。
VCO粗調整回路135は、ロック検出回路132からロック信号が入力された後、コンパレータ134からの出力を無視する。これは、動作点がロック状態となった後に、VCO粗調整回路135が、コンパレータ134からの出力に応じて、VCO制御電圧特性を粗調整してしまうことにより、動作点のロック状態が解除されてしまうことを防止するためである。
以上、図10及び図11を参照して説明したように、第1の動作点ロック処理は行われる。
次に、図12及び図13のフローチャートを参照して、PLL回路111が行う第1の動作点ロック処理の詳細を説明する。
ステップS1において、VCO粗調整回路135は、VCO63のNMOS82a乃至82dすべてをオン状態とし、VCO制御電圧特性を特性Eに粗調整する。
また、VCO粗調整回路135は、図示せぬメモリを内蔵しており、オフ状態であるNMOS82の個数を示す変数Sを0に初期化し、内蔵するメモリに、変数Sを記憶する。なお、変数Sは、オフ状態であるNMOS82の最小個数を表す最小値Smin(=0)から、オフ状態であるNMOS82の最大個数を表す最大値Smax(いまの場合、最大値Smaxは値4である)まで範囲で変化する。
さらに、VCO粗調整回路135は、検索上限値SERUP以上のVCO制御電圧が、ループフィルタ23からVCO63に入力されたか否かを示すフラグUP_Flagを0に設定する。なお、フラグUP_Flagは、検索上限値SERUP以上のVCO制御電圧が、ループフィルタ23からVCO63に入力されたときに値1とされ、入力されていないときに値0とされる。
また、VCO粗調整回路135は、検索下限値SERDN以下のVCO制御電圧が、ループフィルタ23からVCO63に入力されたか否かを示すフラグDN_Flagを0に設定する。なお、フラグDN_Flagは、検索下限値SERDN以下のVCO制御電圧が、ループフィルタ23からVCO63に入力されたときに値1とされ、入力されていないときに値0とされる。
ステップS2において、VCO63は、ステップS1で粗調整された特性Eにおいて、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応して、動作点を移動させていき、ロック位置を検索する。
また、VCO63は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応する発振周波数を発生させて、バッファ136に入力する。バッファ136は、VCO63からのクロックを、1/n分周器25に入力する。
ステップS3において、ロック検出回路132は、クロック分周器131から入力されたロック検出幅信号が示すロック検出幅において、1/n分周器25から入力されたクロック信号の立ち上がりエッジ、及び、クロック分周器131からの分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在するか否か、すなわち、動作点がロック状態であるか否かを判定する。
ステップS3において、ロック検出回路132が、ロック状態であると判定した場合、ロック信号を生成し、VCO粗調整回路135に入力して、処理は、図13のステップS17に進められる。そして、VCO粗調整回路135は、ロック検出回路132からのロック信号が入力された後、コンパレータ134からの出力を無視する。その後、第1の動作点ロック検出処理は終了される。
また、ステップS3において、ロック検出回路132が、ロック状態でないと判定した場合、処理はステップS4に進められる。
ステップS4において、コンパレータ134は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧が、DAC133からの検索上限値SERUP以上であるか否かを判定する。
ステップS4において、コンパレータ134が、ループフィルタ23からのVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上であると判定した場合、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力して、処理はステップS5に進められる。
そして、VCO粗調整回路135は、コンパレータ134からの判定結果が入力されたことに対応して、内蔵するメモリに記憶している変数Sに値1を加算し、その加算結果を新たな変数Sとするとともに、フラグUP_Flagを0から1に設定する。
ステップS6において、VCO粗調整回路135は、内蔵するメモリに記憶されている変数Sが、変数Sの最大値Smaxよりも大きいか否かを判定する。
ステップS6において、VCO粗調整回路135が、変数Sは最大値Smaxよりも大きくないと判定した場合、処理はステップS7に進められる。
ステップS7において、VCO粗調整回路135は、NMOS82a乃至82dのうち、オン状態である1つのNMOS82をオフ状態に変更し、VCO制御電圧特性を、より高い発振周波数を発生させる特性(例えば、特性Eから特性D)に粗調整する。
その後、処理はステップS7からステップS2に戻り、VCO63は、ステップS7で粗調整されたVCO制御電圧特性(例えば、特性D)において、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応して、動作点を移動させていき、ロック位置を検索する。以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS6において、VCO粗調整回路135が、変数Sは最大値Smaxよりも大きいと判定した場合、処理は図13のステップS12に進められる。なお、説明の便宜上、ステップS12の処理は後述する。
一方、ステップS4において、コンパレータ134が、ループフィルタ23からのVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上でないと判定した場合、処理はステップS8に進められる。
ステップS8において、コンパレータ134は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧が、DAC133からの検索下限値SERDN以下であるか否かを判定する。
ステップS8において、コンパレータ134が、ループフィルタ23からのVCO制御電圧は、検索下限値SERDN以下でないと判定した場合、すなわち、ループフィルタ23からのVCO制御電圧は、検索上限値SERUPよりも小さくて、検索下限値SERDNよりも大きい動作レンジの範囲内であると判定された場合、処理はステップS2に戻る。
そして、VCO63は、現在、設定されているVCO制御電圧特性において、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応して、動作点を移動させて、ロック位置を検索し、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS8において、コンパレータ134が、ループフィルタ23からのVCO制御電圧は、検索下限値SERDN以下であると判定した場合、コンパレータ134は、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力して、処理はステップS9に進められる。
そして、VCO粗調整回路135は、コンパレータ134からの判定結果が入力されたことに対応して、内蔵するメモリに記憶している変数Sに値1を減算し、その減算結果を新たな変数Sとするとともに、フラグDN_Flagを0から1に設定する。
ステップS10において、VCO粗調整回路135は、内蔵するメモリに記憶されている変数Sが、最小値Sminよりも小さいか否かを判定する。
ステップS10において、VCO粗調整回路135が、変数Sは最小値Sminよりも小さくないと判定した場合、処理はステップS11に進められる。
ステップS11において、VCO粗調整回路135は、NMOS82a乃至82dのうち、オフ状態である1つのNMOS82をオン状態に変更し、VCO制御電圧特性を、より低い発振周波数を発生させる特性(例えば、特性Dから特性E)に粗調整する。
その後、処理はステップS11からステップS2に戻り、VCO63は、ステップS11で粗調整されたVCO制御電圧特性(例えば、特性E)において、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応して、動作点を移動させ、ロック位置を検索して、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS10において、VCO粗調整回路135が、変数Sは最小値Smaxよりも小さいと判定した場合、処理は図13のステップS12に進められる。
ステップS12において、VCO粗調整回路135は、内蔵するメモリに記憶しているフラグUP_Flag及びDN_Flagのいずれも1であるか、フラグUP_Flag及びDN_Flagの少なくとも一方が0であるかを判定する。
ステップS12において、VCO粗調整回路135が、フラグUP_Flag及びDN_Flagの少なくとも一方は0であると判定した場合、処理は図12のステップS2に戻り、VCO63は、現在、設定されているVCO制御電圧特性において、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に対応して、動作点のロック位置を検索して、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS12において、VCO粗調整回路135が、フラグUP_Flag及びDN_Flagのいずれも1であると判定した場合、VCO粗調整回路135は、検索上限値SERUP及び検索下限値SERDNの更新を指示する更新信号を生成し、DAC133に入力して、処理はステップS13に進められる。
ステップS13において、VCO粗調整回路135は、NMOS82a乃至82dすべてをオン状態とし、変数Sを値0に初期化するとともに、フラグUP_Flag及びDN_Flagを、1から0に設定する。
ステップS14において、DAC133は、VCO粗調整回路135からの更新信号が入力されたことに対応して、検索上限値SERUPに対して、予め決められた値D(>0)を加算し、その加算結果を新たな検索上限値SERUPとし、コンパレータ134に入力する。
これにより、ステップS14の処理後に行われるステップS4では、コンパレータ134により、ループフィルタ23からのVCO制御電圧が、ステップS14の処理で得られた新たな検索上限値SERUP以上であるか否かが判定されることになる。
また、ステップS15において、DAC133は、VCO粗調整回路135からの更新信号が入力されたことに対応して、検索下限値SERDNに対して、予め決められた値Dを減算し、その減算結果を新たな検索下限値SERDNとし、コンパレータ134に入力する。
これにより、ステップS15の処理後に行われるステップS8では、コンパレータ134により、ループフィルタ23からのVCO制御電圧が、ステップS15の処理で得られた新たな検索下限値SERDN以下であるか否かが判定されることになる。
ステップS16において、DAC133は、ステップS14の処理により得られた新たな検索上限値SERUPが、上限値REFUP以上であるか否かを判定する。また、DAC133は、ステップS15の処理により得られた新たな検索下限値SERDNが、下限値REFDN以下であるか否かを判定する。
ステップS16において、DAC133が、新たな検索上限値SERUPは、検索上限値REFUP以上でないと判定し、かつ、新たな検索下限値SERDNは、下限値REFDN以下でないと判定した場合、処理は図12のステップS2に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS16において、DAC133が、新たな検索上限値SERUPは、検索上限値REFUP以上であると判定したか、新たな検索下限値SERDNは、下限値REFDN以下であると判定した場合、DAC133は、コンパレータ134の出力を無視することを指示する無視信号を、VCO粗調整回路135に入力して、処理はステップS17に進められる。
ステップS17において、VCO粗調整回路135は、ロック検出回路132からのロック信号の他、DAC133からの無視信号に対応して、コンパレータ134からの出力を無視する。以上で、第1の動作点ロック処理は終了される。
以上説明したように、第1の動作点ロック処理では、検索範囲内で、ロック位置を検索し、検索範囲内にロック位置が存在しない場合には、徐々に検索範囲を拡大していき、拡大された検索範囲内で、さらに、ロック位置を検索することとした。
したがって、動作点が、最大の周波数マージンでロック状態となるため、PLL回路111による電源電圧や温度の変動、カップリングノイズ等に起因して、ロック状態の動作点が、上限値REFUPから下限値REFDNまでの範囲を示す動作レンジ外に移動し、ロック状態が解除されることを防止することができる。
また、動作点が、最大の周波数マージンでロック状態となるため、ループが安定し、ノイズ電圧により、動作点のロック状態が解除されにくくなるため、ループを安定させるとともに、ノイズを低減させるためにVCO63に設けられた抵抗86乃至88、キャパシタ92及び95等を取り外して、VCO63の回路を簡素化することが可能となる。
次に、図14は、検索範囲と、ロック位置との関係の一例を示している。なお、図14は、図10及び図11と同様に構成されている。
第1の動作点ロック処理において、図14に示すような場合、PLL回路111のVCO63は、特性Eにおいて、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、検索下限値SERDNから、特性E上のロック位置が存在する上限値REFUPの方向に向かって、動作点を移動させていく。
この場合、特性E上のロック位置は、検索上限値SERUPよりも、上限値REFUP側に存在するため、動作点が検索上限値SERUPを超えて、対応するVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上となる。
動作点に対応するVCO制御電圧が、検索上限値SERUP以上になると、コンパレータ134は、ループフィルタ23からのVCO制御電圧に基づいて、VCO制御電圧が検索上限値SERUP以上であると判定し、その判定結果を、VCO粗調整回路135に入力する。
VCO粗調整回路135は、コンパレータ134からの判定結果に基づいて、VCO制御電圧特性を、特性Eから特性Dに粗調整する。
VCO63は、粗調整された特性Dにおいて、動作点を、検索上限値SERUPから、特性D上のロック位置が存在する下限値REFDNの方向に移動させていく。
この場合、特性D上のロック位置は、検索下限値SERDNよりも、上限値REFUP側に存在(図14に示す検索範囲内に存在)するため、VCO63は、特性D上のロック位置まで動作点を移動させ、その後、動作点のロック状態を維持するように動作する。
図14に示すような場合、VCO63は、特性Eにおいて、動作点を、検索下限値SERDNから、特性E上のロック位置が存在する上限値REFUPの方向に移動させていき、動作点が検索上限値SERUPを超えた場合には、特性Dにおいて、動作点を、検索上限値SERUPから検索下限値SERDNの近くに存在する特性D上のロック位置まで移動させなければならない。
次に、図15は、例えば図14に示されたような場合に、特性Eにおいて、動作点を、検索下限値SERDNから上限値REFUPの正方向のみに移動させていき、動作点が検索上限値SERUPを超えた場合には、特性Dにおいて、動作点を、さらに、検索下限値SERDNから上限値REFUPの正方向のみに移動させて、特性D上のロック位置まで移動させるPLL回路151の構成例を示している。
すなわち、図15は、例えば図14に示されたような場合に、より迅速に、動作点を、ロック位置まで移動させることが可能な、本発明の第2の実施の形態であるPLL回路151の構成例を示している。
なお、このPLL回路151において、図8に示したPLL回路111と共通する構成要素については同一の符号を付しているので、その説明は適宜省略する。
すなわち、PLL回路151において、新たにクロススイッチ171及び172が追加して設けられているとともに、PLL回路111のVCO粗調整回路135に代えて、VCO粗調整回路173が設けられている他は、PLL回路111と同様に構成されている。
クロススイッチ171は、VCO粗調整回路173の制御にしたがって、チャージポンプ22の2つの出力端子と、ループフィルタ23の2つの入力端子との接続の切替えを行う。
クロススイッチ172は、VCO粗調整回路173の制御にしたがって、クロススイッチ171による切替えが行われるタイミングで、ループフィルタ23の2つの出力端子と、VCO63の2つの入力端子との接続の切替えを行う。
VCO粗調整回路173は、VCO粗調整回路135と同様の処理を行う他、クロススイッチ171及び172を制御して、接続の切替えを行う。
なお、本発明の第2の実施の形態において、フェーズディテクタ21は、UP信号のみを出力するものとする。
この場合、チャージポンプ22は、ループフィルタ23に対して、一方のノードには電荷の蓄積のみを行い、他方のノードには電荷の放電(放出)のみを行う。
そして、ループフィルタ23には、チャージポンプ22の電荷の蓄積に応じたDC電圧が、クロススイッチ171を介して入力される。さらに、ループフィルタ23は、チャージポンプ22の電荷の蓄積に応じたDC電圧に重畳された高域成分を削除し、VCO制御電圧として、クロススイッチ172を介して、VCO63に入力する。
これにより、フェーズディテクタ21によりUP信号が出力される程に、VCO63には、フェーズディテクタ21からのUP信号の出力に対応して、高い(大きい)VCO制御電圧が入力される。すなわち、VCO63には、正方向(値が増加する方向)にのみ変化するVCO制御電圧が入力される。
次に、図16を参照して、VCO粗調整回路173の制御にしたがって切替えを行うクロススイッチ171及び172の動作を説明する。
図16Aは、チャージポンプ22の出力端子と、ループフィルタ23の入力端子との接続状態、ループフィルタ23の出力端子と、VCO63の入力端子との接続状態が、図8のPLL回路111と同一の接続状態である場合のクロススイッチ171及び172を示している。
図16Aにおいて、クロススイッチ171は、チャージポンプ22の出力端子22a1と、ループフィルタ23の入力端子23b1とを相互に接続しているとともに、チャージポンプ22の出力端子22a2と、ループフィルタ23の入力端子23b2とを相互に接続している。
また、クロススイッチ172は、ループフィルタ23の出力端子23a1と、VCO63の入力端子63b1とを相互に接続しているとともに、ループフィルタ23の出力端子23a2と、VCO63の入力端子63b2とを相互に接続している。
図16Aに示す接続状態である場合には、ループフィルタ23の出力端子23a1からクロススイッチ171を介して、VCO63の入力端子63b1に、電圧VCNTが入力される。また、ループフィルタ23の出力端子23a2からクロススイッチ172を介して、VCO63の入力端子63b2に、電圧VCNTXが入力される。
これにより、VCO63には、入力端子63b1に入力された電圧VCNTから、入力端子63b2に入力された電圧VCNTXを差し引いて得られる差動電圧(VCNT-VCNTX)が、VCO制御電圧として入力される。
図16Bは、チャージポンプ22の出力端子と、ループフィルタ23の入力端子との接続状態、ループフィルタ23の出力端子と、VCO63の入力端子との接続状態が、図8のPLL回路111とは逆の接続状態である場合のクロススイッチ171及び172を示している。
図16Bにおいて、クロススイッチ171は、チャージポンプ22の出力端子22a1と、ループフィルタ23の入力端子23b2とを相互に接続しているとともに、チャージポンプ22の出力端子22a2と、ループフィルタ23の入力端子23b1とを相互に接続している。
また、クロススイッチ172は、ループフィルタ23の出力端子23a1と、VCO63の入力端子63b2とを相互に接続しているとともに、ループフィルタ23の出力端子23a2と、VCO63の入力端子63b1とを相互に接続している。
図16Bに示す接続状態である場合には、ループフィルタ23の出力端子23a1からクロススイッチ171を介して、VCO63の入力端子63b2に、電圧VCNTが入力される。また、ループフィルタ23の出力端子23a2からクロススイッチ172を介して、VCO63の入力端子63b1に、電圧VCNTXが入力される。
これにより、VCO63には、入力端子63b1に入力された電圧VCNTXから、入力端子63b2に入力された電圧VCNTを差し引いて得られる差動電圧(VCNTX-VCNT)が、VCO制御電圧として入力される。
例えば、図16Aに示す接続状態である場合に、クロススイッチ171及び172は、VCO粗調整回路173の制御にしたがって、図16Aに示す接続状態を、図16Bに示す接続状態に変化させる。
すなわち、クロススイッチ172の切替えをトリガとして、VCO63の入力端子63b1に接続されている、ループフィルタ23の出力端子23a1が、VCO63の入力端子63b2に接続されるとともに、VCO63の入力端子63b2に接続されている、ループフィルタ23の出力端子23a2が、VCO63の入力端子63b1に接続される。
これにより、VCO63に入力されているVCO制御電圧(VCNT-VCNTX)が、VCO制御電圧(VCNT-VCNTX)の符号を反転したVCO制御電圧(VCNTX-VCNT)に瞬時に変化する。
クロススイッチ172の切替えと同時に、クロススイッチ171の切替えも行われる。すなわち、クロススイッチ171の切替えにより、ループフィルタ23の入力端子23b1に接続されている、チャージポンプ22の出力端子22a1が、ループフィルタ23の入力端子23b2に接続されるとともに、ループフィルタ23の入力端子23b2に接続されている、チャージポンプ22の出力端子22a2が、ループフィルタ23の入力端子23b1に接続される。
なお、クロススイッチ171の切替えを行うのは、クロススイッチ172の切替えにより、ループフィルタ23の出力端子と、VCO63の入力端子どうしの接続状態が逆の接続状態となり、その逆の接続状態と、チャージポンプ22の出力端子とループフィルタ23の入力端子との接続状態との整合がとれなくなることで、チャージポンプ22、ループフィルタ23、及びVCO63が正常に動作しなくなることを回避するためである。
次に、図17のフローチャートを参照して、第2の動作点ロック処理の詳細を説明する。
なお、第2の動作点ロック処理において、上述のように、フェーズディテクタ21は、UP信号のみを出力するものとする。これにより、正方向にのみ変化するVCO制御電圧が、ループフィルタ23からクロススイッチ172を介して、VCO63に入力される。
ステップS31において、VCO粗調整回路173は、NMOS82a乃至82dすべてをオン状態とし、VCO制御電圧特性を特性Eに粗調整する。また、VCO粗調整回路173は、オフ状態であるNMOS82の個数Sを0に初期化する。
ステップS32において、VCO63は、ステップS31で粗調整された特性Eにおいて、クロススイッチ172からの、正方向にのみ変化するVCO制御電圧に対応して、動作点を、検索下限値SERDN(に対応する位置)から上限値REFUPの正方向にのみ向かって移動させて、ロック位置を検索する。
また、VCO63は、クロススイッチ172からのVCO制御電圧に対応する発振周波数を発生させて、バッファ136に入力する。バッファ136は、VCO63からのクロックを、1/n分周器25に入力する。
1/n分周器25は、バッファ136からのクロックを1/nに逓倍し、ロック検出回路132、及びフェーズディテクタ21に入力する。
ステップS33において、ロック検出回路132は、クロック分周器131から入力されたロック検出幅信号が示すロック検出幅において、1/n分周器25から入力されたクロック信号の立ち上がりエッジ、及び、クロック分周器131からの分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在するか否か、すなわち、動作点がロック状態であるか否かを判定する。
ステップS33において、ロック検出回路132が、ロック状態であると判定した場合、ロック信号を生成し、VCO粗調整回路173に入力して、処理は、ステップS42に進められる。そして、VCO粗調整回路173は、ロック検出回路132からのロック信号が入力された後、コンパレータ134からの出力を無視する。その後、第2の動作点ロック検出処理は終了される。
また、ステップS33において、ロック検出回路132が、ロック状態でないと判定した場合、処理はステップS34に進められる。
ステップS34において、コンパレータ134は、クロススイッチ172からのVCO制御電圧が、DAC133からの検索上限値SERUP以上であるか否かを判定する。
ステップS34において、コンパレータ134が、クロススイッチ172からのVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上でないと判定した場合、処理はステップS32に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
ステップS34において、コンパレータ134が、クロススイッチ172からのVCO制御電圧は、検索上限値SERUP以上であると判定した場合、その判定結果をVCO粗調整回路173に入力して、処理はステップS35に進められる。そして、VCO粗調整回路173は、コンパレータ134からの判定結果が入力されたことに対応して、内蔵するメモリに記憶している変数Sに値1を加算する。
ステップS36において、VCO粗調整回路173は、変数Sが最大値Smaxよりも大きいか否かを判定する。
ステップS36において、VCO粗調整回路173が、変数Sは最大値Smaxよりも大きくないと判定した場合、処理はステップS37に進められる。そして、VCO粗調整回路173は、NMOS82a乃至82dのうち、オン状態である1つのNMOS82をオフ状態に変更し、VCO制御電圧特性を、より高い発振周波数を発生させる特性に粗調整する。
ステップS38において、VCO粗調整回路173は、クロススイッチ171及び172を制御し、図16に示したように、図16Aに示す接続状態から図16Bに示す接続状態(又は図16Bに示す接続状態から図16Aに示す接続状態)となるように、クロススイッチ171及び172を切替える。
これにより、VCO63には、クロススイッチ172から入力されている現在のVCO制御電圧から、そのVCO制御電圧の符号を反転させたVCO制御電圧が入力されることとなる。
処理はステップS32に戻り、VCO63は、ステップS37で粗調整された新たなVCO制御電圧特性において、クロススイッチ172からの、正方向にのみ変化するVCO制御電圧に対応して、符号を反転させたVCO制御電圧(に対応する動作点の位置)から、上限値REFUPの正方向にのみ向かって、動作点のロック位置を検索し、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS36において、VCO粗調整回路173が、変数Sは最大値Smaxよりも大きいと判定した場合、VCO粗調整回路173は、検索上限値SERUPを更新することを示す更新信号を生成し、DAC133に入力して、処理はステップS39に進められる。
ステップS39において、VCO粗調整回路173は、NMOS82a乃至82dすべてをオン状態とし、変数Sを値0に初期化する。
ステップS40において、DAC133は、VCO粗調整回路173から更新信号が入力されたことに対応して、検索上限値SERUPに、所定の値Dを加算し、その加算結果(SERUP+D)を、新たな検索上限値SERUPとして、コンパレータ134に入力する。
ステップS41において、DAC133は、ステップS40の処理により得られた新たな検索上限値SERUPが、上限値REFUP以上であるか否かを判定する。
ステップS41において、DAC133が、新たな検索上限値SERUPは、上限値REFUP以上でないと判定した場合、処理はステップS38に進められる。そして、VCO粗調整回路173は、クロススイッチ171及び172を制御し、図16に示したように、図16Aに示す接続状態から図16Bに示す接続状態(又は図16Bに示す接続状態から図16Aに示す接続状態)となるように、クロススイッチ171及び172を切替える。
これにより、VCO63には、新たな検索上限値SERUPに更新される前の検索上限値SERUP付近に存在する現在のVCO制御電圧から、そのVCO制御電圧の符号を反転させたVCO制御電圧が入力されることとなる。
ステップS41において、DAC133が、検索上限値SERUPは、上限値REFUP以上であると判定した場合、DAC133は、コンパレータ134の出力を無視することを指示する無視信号を、VCO粗調整回路173に入力して、処理はステップS42に進められる。
ステップS42において、VCO粗調整回路173は、ロック検出回路132からのロック信号の他、DAC133からの無視信号に対応して、コンパレータ134からの出力を無視する。以上で、第2の動作点ロック処理は終了される。
以上説明したように、第2の動作点ロック処理では、例えば図14に示したような場合、特性Eにおいて、検索下限値SERDNから、特性E上のロック位置が存在する正方向にのみ向かって動作点を移動させるとともに、動作点が検索上限値SERUPを超えた場合には、クロススイッチ171及び172を高速に切替えて、クロススイッチ172からVCO63に入力されるVCO制御電圧の符号を反転させることにより、特性Dにおいて、検索下限値SERDN(=-SERUP)から、特性D上のロック位置が存在する正方向にのみ向かって動作点を移動させるようにした。
したがって、例えば図14に示すような場合には、より迅速に、動作点をロック状態にすることが可能である。
ところで、第2の実施の形態である図15のPLL回路151では、図16に示したように、チャージポンプ22、ループフィルタ23、並びに、クロススイッチ171及び172を構成することとしたが、これに限定されない。
すなわち、例えば、チャージポンプ22からクロススイッチ171を介してループフィルタ23に接続される配線の抵抗値が無視できるほどに小さい場合には、図16に示したクロススイッチ171及び172による切替えの機能を共に有する1つのクロススイッチを、チャージポンプ22とループフィルタ23との間に配置させるように構成することが可能である。
次に、図18は、本発明の第3の実施の形態として、クロススイッチ171及び172による切替えの機能を共に有する1つのクロススイッチ211を、チャージポンプ22とループフィルタ23との間に配置させるように構成したPLL回路191の構成例を示している。
なお、このPLL回路191において、図15に示したPLL回路151と共通する構成要素については同一の符号を付しているので、その説明は適宜省略する。
すなわち、PLL回路191において、チャージポンプ22とループフィルタ23とを接続していたクロススイッチ171、及びループフィルタ23とVCO63とを接続していたクロススイッチ172として、クロススイッチ211が設けられている他は、図15のPLL回路151と同様に構成されている。
クロススイッチ211は、図16に示したクロススイッチ171が有する機能とクロススイッチ172が有する機能を有しており、VCO粗調整回路173の制御にしたがって、切替えを行う。
次に、図19を参照して、VCO粗調整回路173の制御にしたがって切替えを行うクロススイッチ211の動作を説明する。
図19Aは、チャージポンプ22の出力端子と、ループフィルタ23の入力端子との接続状態、ループフィルタ23の出力端子と、VCO63の入力端子との接続状態が、図16Aに示す接続状態と同一の接続状態である場合のクロススイッチ211を示している。
図19Aにおいて、クロススイッチ211は、チャージポンプ22の出力端子22a1と、ループフィルタ23の入力端子23b1とを相互に接続しているとともに、チャージポンプ22の出力端子22a2と、ループフィルタ23の入力端子23b2とを相互に接続している。
また、クロススイッチ211は、ループフィルタ23の出力端子23a1と、VCO63の入力端子63b1とを相互に接続しているとともに、ループフィルタ23の出力端子23a2と、VCO63の入力端子63b2とを相互に接続している。
なお、図19に示すループフィルタ23において、出力端子23a1と入力端子23b1、及び、出力端子23a2と入力端子23b2とは、それぞれ、同一の端子により構成されている。
図19Aに示す接続状態である場合には、ループフィルタ23の出力端子23a1からクロススイッチ211を介して、VCO63の入力端子63b1に、電圧VCNTが入力される。また、ループフィルタ23の出力端子23a2からクロススイッチ211を介して、VCO63の入力端子63b2に、電圧VCNTXが入力される。
これにより、VCO63には、入力端子63b1に入力された電圧VCNTから、入力端子63b2に入力された電圧VCNTXを差し引いて得られる差動電圧(VCNT-VCNTX)が、VCO制御電圧として入力される。
図19Bは、チャージポンプ22の出力端子と、ループフィルタ23の入力端子との接続状態、ループフィルタ23の出力端子と、VCO63の入力端子との接続状態が、図16Bに示す接続状態と同一の接続状態である場合のクロススイッチ211を示している。
図19Bにおいて、クロススイッチ211は、チャージポンプ22の出力端子22a1と、ループフィルタ23の入力端子23b2とを相互に接続しているとともに、チャージポンプ22の出力端子22a2と、ループフィルタ23の入力端子23b1とを相互に接続している。
また、クロススイッチ211は、ループフィルタ23の出力端子23a1と、VCO63の入力端子63b2とを相互に接続しているとともに、ループフィルタ23の出力端子23a2と、VCO63の入力端子63b1とを相互に接続している。
図19Bに示す接続状態である場合には、ループフィルタ23の出力端子23a1からクロススイッチ211を介して、VCO63の入力端子63b2に、電圧VCNTが入力される。また、ループフィルタ23の出力端子23a2からクロススイッチ211を介して、VCO63の入力端子63b1に、電圧VCNTXが入力される。
これにより、VCO63には、入力端子63b1に入力された電圧VCNTXから、入力端子63b2に入力された電圧VCNTを差し引いて得られる差動電圧(VCNTX-VCNT)が、VCO制御電圧として入力される。
例えば、図19Aに示す接続状態である場合に、クロススイッチ211は、VCO粗調整回路173の制御にしたがって、図19Aに示す接続状態を、図19Bに示す接続状態に変化させる。
すなわち、クロススイッチ211の切替えをトリガとして、VCO63の入力端子63b1に接続されている、ループフィルタ23の出力端子23a1が、VCO63の入力端子63b2に接続されるとともに、VCO63の入力端子63b2に接続されている、ループフィルタ23の出力端子23a2が、VCO63の入力端子63b1に接続される。
これにより、VCO63に入力されているVCO制御電圧(VCNT-VCNTX)が、VCO制御電圧(VCNT-VCNTX)の符号を反転したVCO制御電圧(VCNTX-VCNT)に瞬時に変化する。
また、クロススイッチ211の切替えをトリガとして、ループフィルタ23の入力端子23b1に接続されている、チャージポンプ22の出力端子22a1が、ループフィルタ23の入力端子23b2に接続されるとともに、ループフィルタ23の入力端子23b2に接続されている、チャージポンプ22の出力端子22a2が、ループフィルタ23の入力端子23b1に接続される。
第1及び第2の動作点ロック処理では、特性Eから、動作点のロック位置を検索することとしたが、その他、特性A、特性B、特性C、特性Dのいずれかの特性から、動作点のロック位置を検索するようにしてもよい。
また、第2の動作点ロック処理において、検索下限値SERDNから上限値REFUPの正方向のみに、動作点を移動させるようにしたが、フェーズディテクタ21の出力をDN信号のみにすることにより、検索上限値SERUPから下限値REFDNの負方向(値が減少する方向)のみに、動作点を移動させるようにしてもよい。
なお、本発明の第2の実施の形態(第2の動作点ロック処理)において、フェーズディテクタ21は、UP信号のみを出力することとしたが、これに限定されず、UP信号を出力するとともに、DN信号については、レベルがLレベルのDN信号のみを出力させるようにしてもよい。このことは、フェーズディテクタ21がDN信号のみを出力するようにした場合についても同様のことがいえる。
本発明の第1の実施の形態において、ロック検出回路132は、図9Aに示したように、ロック検出幅において、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在すると1回だけ判定した場合、動作点がロック状態であるとしたが、これに限定されない。
すなわち、例えば、ロック検出回路132は、複数のロック検出幅毎に、クロック信号の立ち上がりエッジ、及び、分周リファレンス信号の立ち上がりエッジの両方が存在するか否かを判定し、両方が存在すると所定の回数だけ判定した場合に、動作点がロック状態であるとすることが可能である。
この場合、動作点がロック状態であるか否かを、より正確に判断することが可能となる。
また、本発明は、PLL回路の他、例えば、データ信号に同期するクロック信号を出力するCDR(clock data recovery、クロックデータリカバリ)回路にも適用することが可能である。
本明細書において、第1の動作点ロック処理、及び第2の動作点ロック処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
従来のPLL回路の第1の構成例を示すブロック図である。 従来のPLL回路の第2の構成例を示すブロック図である。 VCOの構成例を示すブロック図である。 バラクタの容量特性の一例を示す図である。 VCO制御電圧特性の一例を示す図である。 動作点がロック状態であるときの一例を示す図である。 動作点のロック状態が解除されるときの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態であるPLL回路の構成例を示すブロック図である。 ロック状態であるか否かを検出する検出方法を説明する図である。 検索範囲とロック位置との関係を示す第1の図である。 検索範囲とロック位置との関係を示す第2の図である。 第1の動作点ロック処理を説明する第1のフローチャートである。 第1の動作点ロック処理を説明する第2のフローチャートである。 検索範囲とロック位置との関係を示す第3の図である。 本発明の第2の実施の形態であるPLL回路の構成例を示すブロック図である。 図15に示すクロススイッチの動作を説明する図である。 第2の動作点ロック処理を説明するフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態であるPLL回路の構成例を示すブロック図である。 図18に示すクロススイッチの動作を説明する図である。
符号の説明
21 フェーズディテクタ, 22 チャージポンプ, 23 ループフィルタ, 25 1/n分周器, 63 VCO, 131 クロック分周器, 132 ロック検出回路, 133 DAC, 134 コンパレータ, 135 VCO粗調整回路, 136 バッファ, 171及び172 クロススイッチ, 173 VCO粗調整回路, 211 クロススイッチ

Claims (5)

  1. 発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCO(voltage controlled oscillator)であって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOに、前記制御電圧を入力する入力手段と、
    前記制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、前記VCOによる所定の前記特性を、複数の前記特性のうちのいずれかに粗調整する粗調整手段と、
    前記制御電圧が前記所定の設定範囲内で変化する場合に、前記発振周波数がロック状態とならないとき、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新する更新手段と
    を含む信号処理装置。
  2. 前記入力手段は、正方向又は負方向のいずれか一方向にのみ変化する前記制御電圧を入力する
    請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記制御電圧が、前記所定の設定範囲を超えた場合、前記VCOに入力されている前記制御電圧の符号を反転する符号反転手段をさらに含む
    請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 前記所定の設定範囲は、第1の閾値よりも大きく、第2の閾値よりも小さい範囲に設定されており、
    前記更新手段は、前記VCOに入力される前記制御電圧が、前記第1の閾値以下となるとともに、前記第2の閾値以上となった場合に、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新する
    請求項1に記載の信号処理装置。
  5. 発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCOであって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOが発生させる発振周波数がロック状態になるまで、所定の設定範囲を広げる方向に更新する信号処理装置の信号処理方法において、
    前記信号処理装置は、
    入力手段と、
    粗調整手段と、
    更新手段と
    を含み、
    前記入力手段が、発振周波数における所定の特性に基づいて、入力される制御電圧に対応して前記発振周波数を発生させるVCOであって、所定の前記特性が粗調整される前記VCOに、前記制御電圧を入力し、
    前記粗調整手段が、前記制御電圧が所定の設定範囲を超えた場合に、前記VCOによる所定の前記特性を、複数の前記特性のうちのいずれかに粗調整し、
    前記更新手段が、前記制御電圧が前記所定の設定範囲内で変化する場合に、前記発振周波数がロック状態とならないとき、前記所定の設定範囲を広げる方向に更新する
    ステップを含む信号処理方法。
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